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[すっぽりと鞄の中に赤竜が入ったのを確認して、そっとショルダーバックを肩から掛ける。
確かに多少の重さはあれど、サーヴァントとして現界した身であれば然程問題はなさそうであった。]
…一応、気にして持ち歩く心算だが。
何かあれば、言ってくれ。
[閉じられた蓋の上から、ぽん、と軽く手を置く様に叩く。
…とはいえ、多少の揺れは我慢して貰わねばならない。
さて英霊と赤竜の奇妙な組み合わせとは言え、拠点が必要なのは事実だ。
宿、と言われても、流石にそこまでは勝手がいまいち判らないが――まぁ、何とでもなるだろう。必要があればバックの中に問う事に決めると、再び歩き出した**]
― 西・教会 ―
[アルフレットに続いて教会へと入る。
離されすぎてしまわぬよう、一定の距離を保ちながら。
彼を誘うように声をかけてきた少女には、一瞥を寄せる。]
――――……。
[堂内には、男と同じ気配が漂っている。
候補は三人。
声をかけた少女か、管理者として紹介された少女か、はたまた]
……………、平和なものだな。
[長椅子でだらけきっている男からは、早々に視線を切った。]
そっちが管理人か。
参加者の一人だ、とりあえず挨拶が必要だというから参った。
戦いに当たり何か必要な事はがあるのだろうか?
[管理者へ形式的な挨拶を行う。]
それとこの舞台について一つ聞いておきたい。
いったい、上には何を隠している?
[そして街を歩いて感じていた違和感についてたずねた。]
あら、珍しい。
教会にこんなにお客さんが来るなんて。
[目を丸くして驚いてみせる。]
そう、私がこの教会の「管理人」よ。
お祈りとか懺悔とかは勘弁してほしいけど、戦争ごとの協力ならおまかせって感じね。
もちろん不公平にならない範囲でだけど。
あなたたちは私にこの聖杯戦争の情報をもたらしてくれるわ。
だから、私もできる限り返してあげる。
[「兄里」が代々継いでいくものは人に繁栄をもたらす術であり、傷つける為のものではない。
口で伝えていたものが形で示すものになって以来、兄里の家では「呪術」ではなく「祝術」と呼んでいる。
祈るものには癒しを。
願うものには希望を。
縋るものには救いを。
呪うではなく祈り祝うことにそのすべてを注ぐのだ。
最も、令呪を剥がされたあの日、そこに示されていたものは酷く傷ついてしまっていた]
先に教会、かな。
[確かそう離れていなかったはずだ、と簡易マップを見ながら*歩き始めた*]
戦いに必要なこと、ねえ。
挫けぬ心とかかしら?
[にっこり、笑う。]
ごめんなさい、多分「聖杯戦争そのもの」についてはあなた達の方が私より分かってると思うわ。
私の立場からの忠告としては、ここが異常な場所で、だからこそそこまでの無茶はしないでほしいってことくらいね。
この「町」の住人は、どうやら、確かに生きているわ。
信じられる?
私は信じられない。
[マスターと金髪の少女が語るところは、情報についてのやり取り。
アルフレットの対応も、警戒に身を硬くしたものではなかった。
どこか事務的な言葉は、ランサーとの会話を想起させる。
つまり――]
あちらがサーヴァントか。
[脇に退いた少女を視界に収め
上から下までぎろりと観察を*始めた*。]
「塔」の上に何があるか。
それが「一番上」って意味なら、自分で確かめてとしか言えない。
「この階層の上」って意味なら、何もないわ。
私の所見では、あなた達はそこ、自由に行けるはずなんだけど。
どうかしら?
戦う心がない物はこの舞台に来ないだろう。
挫けぬ心も恐らくはな……。
そして、この街でいきているのが信じられないか。
魔術師としては決して珍しくない事ではない。
まぁ、そんな事はどうでもいい。
とりあえず顔出しは終わりだ。
あとは好きにさせてもらう。
「無理しない程度」に、な。
[言葉の裏を考えながら返信をする**]
あら、私も今は魔術師ってことになってるのよ。
[肩をすくめてみせる。]
もちろん、好きにして。
私にそれを止める権限も力もないわ、正直ね。
がんばって、応援してる。
[にっこり、笑う。*]
18人目、ブライジンガー 諒 がやってきました。
[Interlude:case-BURAI]
『全てを手に入れた。だが、全てを失った。』
[たぶん、俺は夢を見ている。
聖杯戦争というもの。俺はそれに勝利した。はずだった。
願いは叶えられた。はずだった。
今、俺の視界全てがどす黒い「何か」に包まれている。
戦うために訪れた街。■■■■■■■と二人、奔走した道。
『■■■・・・・・・■■■■■■■■■■■■■■!!!』
僕は、確かに何かを叫んだ。気がした。
きっと、そろそろ夢が覚める]
『聖杯』
[それは願望の再生機。だった。
だが3年前の災害を聖杯がもたらしたものであるとするならば、封印せざるを得ない。
闇に包まれた忍神町は生あるもの全てを飲み込み、そして沈黙が訪れた。
一夜にして数十万人の人口が消滅し、それ以降封鎖状態にある。
だった、筈だ。
しかし、僕は目を覚ますと、その忍神町の病院の一室にいた。]
・・・・・・
[声が出ない。正確に言えば、出せる状態ではない。
喉には管が繋がり、息を吐くことで音が鳴るような構造にはなっていなかった。
耳には定期的に鳴っている聞きなれない電子音が響いている。
ドラマでこういう風景を見たことがある気がする。そう、よくある医療関係ものの心電図の音だ。
まだ視界はぼやけているが、その窓から差し込む光に、視線を奪われた。
もやがかかったような意識で思考を廻らせる。おかしい。
遠く遠くの空に、地面が見える。いやこの場合地表という表現が正しいのだろうか。]
言葉にしなくてもいいよ、まだ本調子じゃないだろう。
まさか僕を呼び出した事も忘れたしまったのかい?
僕は君のサーヴァントで、君は聖杯戦争に参加したマスターだ。
呼び出した途端その衝撃で気を失って、今ここにいるんだよ。
[そうだった、か?
そうだったかもしれない。
影になってよく見えないが、そう僕に語り掛けている片翼の彼は、不敵に笑っているようにも見えた。]
さあ、聖杯戦争の続きだ。そろそろ僕以外のサーヴァントも召喚される頃だよ。
願いを叶えようじゃないか。この天から地に向かって聳え立つ《天空貫く階梯(バベルの塔)》の頂上。
そこにある聖杯を掴もうよ。
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