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……まだ、頑張れるよ。
(頑張らなきゃいけないから。もう、大人に任せっきりになんて、出来ないから。走らなくなったら、オレじゃない)
[資料室>>13で、俯いてうまく返せなかった呼びかけにそっと答える。
アミルが人ならばその苦しみを独り占めなんて許さない。獣ならばやるべき事は言うまでもなく。
何度挫けても、食って、寝て、そしたらまた立ち上がろう。掌からたくさんが滑り落ちていっても、オレの肩には遺されていったモノが肩を叩いた彼の手の感触のように、やさしく残っているんだから**]
( 17 ) 2015/02/26(木) 16:31:18
― 自室・朝 ―
[外が騒がしい。
雪だるまでも作っているのか、裏庭で楽しそうな声がする]
……うるさい…
[窓を閉めてしまおうとベッドから這い出す。窓は閉まっていた。
白く凍って外は見えない。
そっと手を当てると、痛いほどに冷たかった。
皮膚の触れたところがわずかに溶けて水滴を作るものの、また直ぐに曇って見えなくなる。ひどく体温を奪っていく。
それはいやがおうにもいつかの冷たい手>>3:35を想起させた]
( 18 ) 2015/02/26(木) 18:08:50
[惨劇が始まった日。>>2:281
死を覚悟するフィグネリアを目の前にして、それまでは生まれたから生きるだけだと快活に考えていたのに、急に自分の人生の意味を考えてしまった。
何かを成し遂げたわけではない。
誰かの記憶に残るようなこともしてこなかった。
それでも、あの日、小さな命を一つ救えた。>>0:76
その子が幸せに生きてくれれば、自分の無責任な人生にも意味があったように思えた。
それはまた、自分が生きたことの証なのだと]
( 19 ) 2015/02/26(木) 18:11:10
[生きていて欲しかった。けれど彼女はそれを望まなかった。
あの一票を投じたとき、自分が何を思っていたのか、今はもうわからなくなってしまった。
ありがとう、彼女の最後の言葉が聞こえる。>>2:314]
助けて、くれ……
[思わず言葉がこぼれた。
無意味だと知りつつ、心の堰は壊れかけていた]
疲れたよ…なあ…今度は俺を、助けてくれ……
[俺が本当にあんたを助けられたというのなら。
目を瞑り、額を窓に押し付けるようにして、助けて助けてとうわごとのように繰り返す。
窓の上をゆっくりと滑りおちる指が、透明な痕を残した。
先程までの賑やかな声はいつのまにか止んでいた。
代わりに、裏庭の隅から何かが折れる鈍い音が響いてきた]
( 20 ) 2015/02/26(木) 18:11:35
―前日/資料室―
[亡骸の傍らに片膝をついて涙を零していた時>>4:159、
ポラリスが背を撫でてくれた>>10。
ナイフで自分の掌を傷つけていたトロイ>>4:156の背も。
ポラリスは、こんな風に誰かに触れて慰める子だったろうか
それとも、イライダやトロイのことは全く疑っていないのか。
一瞬だけ過った違和感は、少女の手から伝わるぬくもりに溶けた]
……ありが、とう、ポラリス。
そうね…。
[冷静に提案するポラリス>>4:157に、
荒い呼吸の度に鋭い痛みを訴える左胸を
片手で押さえたまま、一つ頷いて]
( 21 ) 2015/02/26(木) 19:54:09
―前日/資料室―
……トロイ。――…、わかった、わ。
黒い袋に……リー・リーの…
[トロイに尋ねられれば>>8、そう答えかけて。
リー・リーの名を口にした途端、ドラガノフの姿を奪っていた獣が、
彼の声で遺した呪いが、心臓に突き刺ささる。
リー・リーを裏切って殺したのは、イライダだと>>4:123.
ドラガノフを信じたいと思ってしまった、
命と同じ重さの票を預けてしまった、イライダのの弱さと怯懦が…
この手が、守るべき大切な相方だった、リー・リーの命を奪った]
( 22 ) 2015/02/26(木) 20:04:06
こき使って、いいな、ら…覚悟して、ね。
でも、少しだけ待って…ちゃんと、考えるから…
そう、ね…トロイの言うとおり、
なるべく一人にならない方が、いいかもしれないわ…ね。
[痛む胸を押さえながら、一人にならない方がいい、
というトロイの考え>>8にも同意を示して。
遺体に関しては、冷静なポラリスも同意見>>1だったようで、
彼女や他の二人に頼んだのだったか]
( 23 ) 2015/02/26(木) 20:04:57
―前日/資料室―
[トロイが何処か子どものような口調で、
ミレイユのことを口にし>>9。アミルが答えていた>>13]
………。
[“どこにも行っちゃいないさ”
その言葉に、アミルの意図とは異なるだろうと思いながらも、
常にイライダの胸奥に抱きしめ続ける、
犠牲となった子ども達>>4:158の面影が記憶を過る。
彼らは今も、この心臓に宿り、命を共に生きている。
常に傍らに在り、苦しみ泣き続けている。
消えることのない、憎しみと怒りの灯火に炙られながら]
( 24 ) 2015/02/26(木) 20:14:48
[ミレイユの鈴を、最後に持っていたのは、
テレーズだったか>>3:180。
痛む胸を押さえ、ふらつく足でテレーズの遺体に近づき、
暫し躊躇った後、ポケットを探る]
…この鈴…
なぜか、私の部屋の前に落ちていたらしいけど、
ミレイユの、唯一の形見だから…。
[ミレイユが、いつからミレイユではなかったのかは、分からない。もしかしたら最初から全部、嘘だったのかもしれない。
けれど、獣がミレイユの遺体の場所に言及していたように、
彼女も、殺され姿を奪われた犠牲者だ。
兄の為にも早く一人前になりたいと、話していた少女。
朝の食堂、柔らかな紅茶の香りに包まれた笑顔が、脳裏を過る。
耳に馴染んだ、微かな鈴の音が聴こえた錯覚がして…
見つからないかもしれない遺体の代わり、
鳴らない鈴を、そっとトロイに差し出したのだったか]
( 25 ) 2015/02/26(木) 20:31:42
―前日/資料室―
[歩み寄ってきたアミル>>12に、心臓のことを聞かれれば]
……っ。ええ、もう…隠せないわね…。
私の…心臓は、役立たずなの…。
[ドラガノフの姿を奪った獣の血にまみれた姿で
荒い呼吸の合間に胸を押さえ、
泣き笑いのような表情を浮かべる。
テレーズの遺体の傍で倒れて目覚めた後、
どこか普段と違うぼんやりした様子で口にした>>4:32>>4:34>>4:37
のと同じような、役立たずの身体への嫌悪の滲む声で]
( 26 ) 2015/02/26(木) 20:40:08
[ 冷え切った震える指先で、
何度かポイズン・リングの蓋を開けようとするも。
テレーズの遺体の前でのように>>4:10、なかなか上手くいかず]
――…っ。ごめん、なさい。
ポイズン・リングの、蓋を…あけて貰っても、いい?
[アミルの労りの言葉>>26の後ろにある、
イライダへの内心の問いかけには気づける由もなく。
彼に頼めたか、自分で開けたか。
ポイズン・リングに残る 2粒の青い粒薬を、数瞬、じっと見つめ。
覚悟を決めるように、一瞬だけ瞼をきつく瞑ってから、
あと1粒を残し、1粒だけ口に含んだ。
もう、1粒ではすぐに痛みの治まる筈もなく。
明日の惨劇も予感しているのだろうアミルの、無理はするなの声に。整わぬ呼吸で力なく頷き、片づけを頼んだのだったか*]
( 27 ) 2015/02/26(木) 20:50:50
─ 朝・廊下 ─
[やはり、静かな支部内は冷え冷えと寒い。気温や天気に対してそう思うのか、欠けた誰かの影に対して思うのか。
残された者たちを探しながら、重たい頭で少しずつ考え始める。誰が欠けたか、あるいは現状のままであるか。
昨日は捨て鉢に誰かまた犠牲になるだろうと思っていたけれど、そういえば最終局面ではあえて喰わずに疑心暗鬼を煽る手があったっけ、とようやく思い至っていた。まして憑狼が相手とあらば、策はいくらもあろう。
イライダは、無事だろうか。誰の色を見たのか。
少なくとも、昨日の彼女は本人であると信じたかった。そっと差し出してくれた鈴>>25が、脳裏でだけちりんと鳴る。
最後は、結局皆を自分の目で見て判断するしかないのだが。『信じたい』と『信じられる』が、心の熱い部分と凍った部分とにしんしんと積もっていく]
( 28 ) 2015/02/26(木) 20:59:43
―翌 明け方/ 自室―
[[翌日の明け方。
胸の痛みを堪えながら、
両掌に紫水晶の耳飾を包み祈り続けて、
何時の間にか、意識を失っていたらしい。
一昨日のトロイの昏く深い苦悩と悲痛の滲む瞳>>4:21
は、人間のものだと、心が信じていた。
トロイの“用心しろ”>>3:159と、
シュテファンとドラガノフの最後の言葉>>4:92のことも。
けれど、ドラガノフの姿を奪った獣に止めを刺したアミルと、
止めを刺すか尋ねていたポラリスに比べ。
一昨日には殺しかけた獣に、実際には刃を下さなかったトロイ。
テレーズから憑依した憑狼ではないかと、
信じたい気持ちと、訝しむ気持ちの間で、不安の振子は揺れて]
( 29 ) 2015/02/26(木) 21:08:30
(オレ、自分の事ばっかりじゃ…ダメだ。しっかりしろ……)
[血のせいか鳴らない鈴を左手で握り締め、痛みと一緒に胸に収める。
昨日は、年下のポラリス>>10にまで気を使わせたし、思い遣り諭すようなアミル>>13の声は胸が痛かった。
誰もが仲間を、大事な人を失っている。そして、三人のいずれかがその無念さも知られぬままに姿を奪われている。
ゆっくりと首を振って、足を緩めながら思考と警戒を同時に行う。感情と理性でぐちゃぐちゃだ。悔しかった。踏まれても立ち上がる以外の力を持たない無力さが]
( 30 ) 2015/02/26(木) 21:09:03
―翌 明け方/ 自室―
[まだ薄暗い室内に、差し込む一筋の淡い曙光が、
煌く暁色の石の表面を照らしていた。
星のような形の、白い光が浮かんでいる。
トロイ・ボールドウィンが、
占った昨日の時点までは“人間”であると示していた]
( 31 ) 2015/02/26(木) 21:17:00
ー 資料室・昨晩 ー
[ポイズン・リングを差し出されれば>>27、頷いてそれを受け取った。
小さなリングにやや苦労する。リー・リーの首にかかった縄を解こうとした時と似た感覚だった。
蓋を開け、転がり出た青い薬がたった2粒しかなかったことに、ハッとイライダの顔を直視してしまった。
彼女はフィグネリアと仲がよかった。
リー・リーのことを信じていたらしい。
ドラガノフを還せと叫んでいたか。
うしろめたさから思わず目を逸らした。
薬とリングを相手の手のひらに押し込むようにして返すと、未だ呼吸の整わない彼女から逃げるように片付けに加わった]*
( 32 ) 2015/02/26(木) 21:22:32
─ 廊下 ─
ポラリス!
[ポラリスが資料室>>11を出てしばらくした頃だろうか、自分と同じように歩き回っていたらしい彼女を見かけて駆け寄った]
あんたは、他の連中の顔は見たか?
オレは、部屋を出たばっかなんだけど……。
[昨日は色々あって、クルミの袋を返す約束>>3:206も果たしていない。剣は帯びているものの、ひとまず警戒をせずに近寄る]
なぁ、ポラリスは……大丈夫なのか?
体調なり気分なり。
[ポラリスを心配する本心に、お前はこれまでの約束や会話>>2:232を覚えている本人か、と見極める厳しさをこめて問いかけた*]
( 33 ) 2015/02/26(木) 21:30:31
―翌 明け方/ 自室―
……良かった…。トロイはやっぱり人間、よね…。
占ってしまって、ごめんなさい…。
憑狼を見つけられなくて、ごめんなさい…っ。
[微かに瞳が潤んだ。
次いで、恐怖に近い翳に暁色が曇る。
今日の遺体のないのを、まだ知らぬがゆえに。
ドラガノフのように、もし今日、トロイが憑依されていたなら…]
( 34 ) 2015/02/26(木) 21:53:11
[それから、彼女からいくらか話を聞いたろうか。問われたならば同じく答えて]
あんたは、昨日はアレの処刑で終わるかもって可能性>>1も考えてたみたいだが──オレは、たとえ今日死んでる奴がいなかったとしても『テレーズ』として潜んでた奴を逃がす気はない。
オレはアレがミレイユからドラガノフに移ったと考えてるから、まだ終わってなんか、ないんだ。
[彼女の淡い瞳に、何か浮かびはしただろうか。見逃さないようにじっと見つめる]
もう、誰かに任せたり躊躇ったりしない。この手で、やり遂げる。だから、一通り見てきたら……また話に来る。ポラリスの意見も、聞きたいから。
[もしかしたら投票すらまだるっこしいと行動を起こしてしまうかもしれないが、やりそこなうのは一度で充分だ。もう間違えられないのだから。
『ポラリス』が刺繍を施されたクルミの袋について何も触れなければ、探るように見つめただけでその場を去っただろう]
( 35 ) 2015/02/26(木) 21:54:32
[信じたいとか、裏切られる恐怖よりも先に。
見慣れた青い瞳の少年の面影が脳裏を過り、
唇から小さな悲鳴のように、ひとつの願いが、零れた。
それは、9年前のかつての惨劇の最中、
占いで信じられた狩人だった少年>>3:12に、
最期に叫んだ祈りと同じく。
カタカタ 吹雪の真白い窓枠の風鳴り音が、耳に響く。
イライダの瞳に映る窓は、今も、そして、いつだって、
一面の吹雪に真白く染まっている――9年前の惨劇からずっと*]
( 36 ) 2015/02/26(木) 22:03:33
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