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フラン…劇、頑張って…。
あたいは見守ってやるからさ…。
だからだから…。
[フランの両の手を取って、両手で包み込むだろう。
今の私が思いつくのはこれが精一杯だった。]
ーホール入り口ー
なんとか間に合いそう・・・?
[受付でチケットを渡して人混みをかき分けて観客席に向かう]
ここ座って見よう!先輩!
[最前席を確保してそこにカロルさんと一緒に座る。そのときのカロルさんの顔はどうだったろうか。困ってた?嫌がってた?]
……もっと軽い子だったら、「マジでー付き合おうぜ!」で済ませる気満々だったんだよ。
[せめて正直に伝えられたのは良かったと苦笑する。
そんなんじゃ後悔するだろうなと、ずっと思っていた。直接話が出来てよかったと思う]
中途半端なとこでゴメンな、裏方落ち着いたら舞台袖に戻るから。
そしたらちゃんと返事――ん? おお……。
[1分? なんだろう、と首をかしげて]
……。
ありがとう。行ってくるな。
ロビンに、皆に見てもらうのにふさわしい劇になるように!
[心を決めてきたはずなのに、伝えようと思っていた事が飛んでしまいそうだった。
ばたつく空気の中、言えたのはそれだけで。一度、ロビンを裏方から舞台が見られる袖に案内して別れた]
>>51
え…えと…ここって座って、大丈夫なのかな?
[と、心配しつつ]
(劇…始まるんだー
大丈夫…見て帰るだけ…。
そう、、私は、もう…関係ないんだから。)
[カロルは強がり、泣きそうな顔を必死に隠していた。]
―ホール―
[やがて準備が整えば、電気が落とされた舞台にスポットライトが当てられた。
主役の男女が、村を連れ立って歩いていく。
年に一度のお祭りを謳歌する二人は、さまざまなトラブルに立ち向かいながら、一見恋人同士のように笑いあったりしている。
シリウス先輩演じる名脇役が場を動かす第2幕までは、楽しげな恋愛の要素を加えた喜劇のように見えるかもしれない。
一通り演出の担当と手の足りないところの手伝いを終えて、そっと舞台袖へ回り込んだ]
め、目の前ですね!!
(さすがアカリさん…さすがにこれはちょっと恥ずかしい…)
で、でも知ってる人とかみれそうですし…
―舞台袖―
[場面転換や衣装を変えるために、密やかに騒がしい。
独特の忙しさと熱量が好きだった。席について見るのとは違う視点で、劇全体を楽しめるから]
――シリウス先輩、長台詞超ガンバっす…!
[そっと応援して、ヒーローとヒロインの声に耳を澄ませる。一度幕を引かなければいけなかった]
「ああ、よかった。お隣のお婆ちゃんが無事で」
「お嫁さんが泣いて喜んでたな」
「あなたのおかげね」
「いいや、君のおかげさ」
「「さあ、今度こそ楽しいお祭りの続きをしよう」」
[数度目のトラブルを解決し、微笑みあう男女が分かれ道で互いに背を向けた瞬間、ふっと笑顔の仮面が剥がれる。不穏な音楽が流れ始めたところで第1幕が終わり、場面転換となった]
ロビン、落ち着かないとこでごめんな。
でも、ここで話したいって思ってたんだ。来てくれて、話してくれて、ありがとう。
[隅の方にもどって、声を潜めて話し始める]
裏方がどんな風に舞台を支えてるか、一緒に見てほしかったんだ。
オレ、こんなふうに、ひとつの物語を紡ぎあげるのがスゲー好きでさ。
大道具や照明、音響がなくたって役者一人いりゃ出来なくはない。
けど、合わせた力が噛みあったらもっと面白くなるじゃん。
剣道の基礎練みたいに積み重ねていって、試合で――舞台で結果が出るんだ。
いざ幕が上がったら目立たなくても、サイコーにドキドキする仕事だから。
ロビンも、自分の事ガサツとかいうけど、そんな事ない。エプロンでもその衣装でも、スゲー綺麗だよ。
[ロビンの目を見つめて、返事を伝えようと口を開いた]
万が一ロビンが軽くててきとーに付き合えるような子だったら、オレ、決意を曲げて「付き合って」って頼み込んでたかも。カロルに文化祭が終わったら話したいって言ってたのに、だぜ。
……オレのカッコ悪いとこ、受け入れてくれてありがとな。
でも、ホント、しょーもないやつなんだぜ。
自分の気持ちから目そらしてロビンのそばにいたら、オレ、自分の事嫌いになると思う。
一緒にいて楽しくなる度、後ろめたくなって。
一緒にいて好きになる度、申し訳なくなって。
でかい魚逃して、振られて、さんっざんに終わるかもしんねえけど。
せめて「一度ロビンに選んでもらった男」に相応しくなりたい。
オレなんかの事見てくれて、ありがとう。
[そう言って、ふーと息を吐いた]
[劇が始まるとじっと内容に集中ししばらく黙りこむ。内容にあわせて笑ったりハラハラしていただろう。]
先輩、目の前で見ると迫力ありますね!
さっきいた子って・・・あれ? 先輩・・?
[どうもカロルの様子がおかしい。
よくみれば涙が零れていただろうか?]
悲しい場面でもあった・・・かな?
[鞄からハンカチを取り出しカロルの手の上にそっとおいてあげた。]
[第二幕が始まるまで後5分__
今回の舞台では衣装替えがないシリウスにとってこの5分は気持ちを落ち着かせるのに最適な時間だった
第二幕はシリウスの台詞から始まる]
………よしっ
[一つ深呼吸した後、頬を軽く叩くと
観客席の後ろに回り込み第二幕開幕のブザーを待った]
[カロルやレベッカが、ずいぶんと前の席についているのが遠目に見えた。
オレが自分の事でいっぱいいっぱいになってる間、せめて文化祭を楽しんでいてくれたらいいんだけど]
――第二幕、はじまるな。
[しばらくしてまた幕があがるまで、現場の熱にあてられたように押し黙っていた]
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