情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
[1]
[2]
[3]
[4]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
カロラ は クノー に投票した。
ベニ は カロラ に投票した。
クノー は カロラ に投票した。
ミナ は カロラ に投票した。
ウル は カロラ に投票した。
カロラ は村人達の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか。
暗雲が去り、まぶしい光が降り注ぐ。――全ての人狼を退治したのだ!
『間もなく、終着駅、サウザンクロス、サウザンクロス』
[くぐもったアナウンスが流れ、列車が静かに停車する。
しろいしろい天の川のずうっと川下に、青や橙の光でちりばめられた十字架が、まるで一本の木のように立っていた。
その上には青じろい雲がまるい環になっているのがみえた]
―サウザンクロスに到着する直前―
[降車するために席を立つクノーの手を、もう一度握る。」
ねぇ、クノー。
ベニは、クノーに会えて、クノーに触れられて、クノーとお話出来て、嬉しかった。
[ずっと重ねていたクノーの手の温もりは、やがて直接は感じられなくなるだろう。
でも、クノーとの時間は、きっとこの先もベニの心に温かさをもたらしてくれる。
何の根拠もないけど、そんな確信があった。]
…ベニが元気になれたら、真っ先にサウザンクロスに、クノーに会いに行くね。
それに……またベニがこの列車に乗った時には、きっとここで降りるから。
その時には、いっぱいいっぱいクノーにお話しするんだから。
約束…だからね。
[今度は自分から小指をそっと差し出す。
視線を上げれば、優しい表情のクノー。その瞳をまっすぐに見つめた。]
…『またね』、クノー。
[到着のアナウンス>>#0を耳にすればゆっくりと手を離し、サウザンクロスで降車していくクノーの後姿に手を振る。
クノーの姿が車両から消え、窓から降り立ったであろうクノーにも手を振り、列車が再び走り出した頃、ベニの姿もその席から消えていた…*]
―とある病院の一室―
[ゆっくりと目を開くと、そこには少し白いものとしわが増えたような、ママの顔。]
「ベニ!…気が付いたのね!」
[眩しさに目を細めると、身体を強く抱きしめられる。
…口元にマスクもなく、胸の苦しさもない。
ただ、体が強張って痛いだけで。]
……マ……マ…?
[か細く掠れるような声で縋り付く人を呼べば、涙でぐちゃぐちゃになった顔に微笑みを浮かべていた。]
「おかえり、ベニ。
あなた、ゆっくり眠りすぎよ…?」
[頬を頭を撫でる手は、優しさに満ち溢れていて。**]
―数か月後―
[車椅子に移して貰えれば足と手で車椅子を操って移動できるまでに回復し、私は個室から4人部屋に移った。]
レイナちゃんは今日退院だよね。
[少しの間同室になったのは、移植した心臓が止まりかけて、でも戻ってきたレイナちゃん。
不思議な列車の話をしたらすごく驚かれた。
…レイナちゃんも同じところに停まった列車に乗ってて、青い森の三角標で降りたと言う。
でもそこからどの方向に進むのか迷っていたら、自分そっくりの子が「おねえちゃん」って言って近づいてきて、突き飛ばされ、気が付いたら病院にいた…と。]
「その子、私の名前知っててさ。
しかもおねえちゃんって言われてね、両親に聞いてみたんだ。
そしたら、私の心臓は別の理由で助からなかった『妹』…ニイナから貰ったものだって。
あの時、ニイナが突き飛ばしてくれなかったら…私、ここに居ないってことだよね。
妙にリアルな夢かと思ってたんだけど、ベニもあの列車を知ってるなら、やっぱり私はニイナに会えてたんだ。
…うん、決めた。
私、絶対にニイナの分まで生きて幸せになる。
ベニと、…ニイナに誓う。」
[レイナちゃんは、優しく胸に手を置いて、そう話した。*]
―その日の午後―
「元気になったら、病院の外で会おうね!」
[お互いにあの列車に乗って、持った『決意』を話せる相手。
長くかかるかもしれないけど、ベニもきっと元気になって退院するから、その時は天の川を見に行こう…列車を降りて旅立った人達に会いに行こう。
そう約束して連絡先を交換した。
迎えに来たご両親、彼氏さんと共に病院を出るレイナちゃんに、病室の窓から精一杯手を振る。
振り返って手を振るレイナちゃんの姿はとても眩しかった。**]
『またね』、ベニ。
……行ってらっしゃい。
[その言葉と、再び頭を撫でたのが、最後。
サウザンクロスのホームへと降り立ち、歩き出して。]
……きっと、あの星を目指せば良いんだろうけど……。
[不揃いに耀く星々の傍ら、宝石箱や石炭袋が並ぶ空。
天の川の真白にあって尚、くっきりと行方を照らす、五ツ星。
……だが。
少し離れた辺りで足を止め、列車の一ヶ所を見詰めた。
ベニを見送るよう、列車が離れるまでは、その場に立ち尽くして。]
…………けれども。
貴女もボクを、見守ってくれていたんですよね。
――――“母さん”。
[歩み寄れども、最期まで交わることの無かった“もう一人の母”。
彼女に自らの死も背負わせる形になったことは、どれほど懺悔しても足りないだろうけど。
それでも。
二人の《母》の幸いを祈り、十字を切って。
……そして。
いつか、あの少女と再び出会える日を。微睡みの中で、待つように。瞼を、伏せた*]
―4年後―
[とある南の島の海辺、日も沈んだ時間。
星明かりの下、傍らにトランクケース置いて腰を下ろして空を見上げる小柄な女性の姿があった。]
やっと会いに来れたよ。クノー。
[女性の視線の先に瞬くのは、――サウザンクロス。]
私ね、この前成人式に出たんだよ。
……手術の時は11歳だったのに、目が覚めたら16歳ですって言われてすごいびっくりしちゃった。
でも、中学校に入ってきた友達が卒業していったんだから、そうだよね。
…ってあっさり納得したら、却って先生たちにビックリされちゃったよ。
[コロコロと明るく笑う。]
ここに来れるまで元気になるのに4年かかったから、私、ハタチになったんだよ。
…まだクノーのほうがお兄さんだよね。
[話を紡ぎながらトランクケースをゴソゴソと探り、中から取り出したのは2つのコップと水筒、それに小さなチョコレート。
水筒の中身を2つのコップに開けると、コーヒーの良い香りが辺りに広がった。]
――お話することは、たくさんあるんだから。
[自分の隣にもう一人居るかのようにコーヒーとチョコレートを2人分用意すると、再び夜空に瞬くサウザンクロスに向かって語りかけはじめた。
きっと瞬く星が陽の光で見えなくなる頃まで、話は尽きることなく。*]
(―――それだけの時間、ずっとそばに居てくれてた)
[あいつも、妹も。
自分が何もできなくなっても、変わらずにそばにいて助けてくれた]
[客車を出て、ホームに降り立つ。
天の川の川下、青や橙の光がちりばめられた十字架が一本の木のように立っていた。
その上には青じろい雲がまるい輪になって浮かんでいて。
さらに見上げれば煌びやかな宝石箱や、反対に真っ黒な石炭袋が
小さな星の粒や見えない野原を隠してぽっかりと浮かんでいる]
[……綺麗だな、と。
空を見上げながら、ここに来てはじめて忌憚なくそう思えた]
[ここで降りる客も多いのだろう。
自分と同じようにして降りていく乗客たち。
川下の十字架の許へ、まっすぐ歩いていく者もいれば、
しばらく駅のホームに立ち尽くす者もいて。
――自分は、後者のほうだった]
……また、『いつか』。
[列車が離れていくのを見えなくなるまで見守ってから。
誰にともなく、そんな言葉を呟いた。
小さく手を振って、去りゆく列車と、ちらと見えた名前も知らない乗客たちを見送った後、やがて線路に背を向けて歩きだした*]
[再び、列車は静かに走り出す。
その行き先は、告げられぬまま]
……きみは、きみたちは、
まだ、生きているんだね。
[自分の他に列車に残った2人に向けて、カロラは穏やかに口を開く。
ならばここにいるべきではないと――視線をサウザンクロスのはるかはるか先へ向けて]
このまま列車に乗り続けていけば、ぐるりとめぐって、元の世界に戻れるだろう。
その先の道がどこに繋がっているかは分からないけれど、そこにレールはないから、どんな未来でも君たちの前には広がっているんだ。
しあわせのかたちは人それぞれで、その人にしかわからないものだから。
君たちは生きて、どうか君たちだけのしあわせを見つけて。
[僕はその先に、行くことは出来ないから――。
言外に告げて、寂しげに、笑みを浮かべる]
[ふと見ると、水面に泣いている女の子が映っていて
───“マイ”だ]
ねえ…どうして、泣いてるの…?
[触れようと手を伸ばしたけど、届くはずもなくて]
…私のことなんて…っ、早く忘れてよ…
[いつの間にか溢れていた涙
懇願するように叫んだ]
[死んだことは、悲しくないって言ったけど
君を悲しませるならば、生きて再び君の側に、なんて
思うことなんて許されないのに]
ああ、ごらん。
石炭袋だ。
[サウザンクロスの足元に、ぽっかりと浮かんだ孔を示す。
しろく輝く川の中に穿たれたまっくらな孔は、深く、深く。その奥になにがあるのかは、いくら目を凝らしても見ることが出来ないだろう]
……残念だけれど、僕は君たちと一緒に行くことはできない。
ここで、さようならだ。
[その言葉と共に、石炭袋の傍らで列車は止まった]
……ミナ。
あの時、言いかけた言葉に答えるよ。
川に飛び込んだ時、たぶん僕は最初から、助かろうという気持ちはなかったんだ。
だからあの濁流の中で、妹を捕まえられたのだと思う。
それにもしかしたら……。
心のどこかで、母さんに会いたいという気持ちがあったのかもしれない。
きっとこれは、妹を理由にした自殺みたいなものだから、僕はみんなを不幸にしてしまったし、妹に、罪悪感を与えてしまった。
それは、僕の罪だ。
だから、天上に行くことは出来ないのだと思う。
[静かに、駅もない石炭袋の近くで列車は停まり――
カロラ1人をおろして、扉が閉まる]
『しあわせのかたちは人それぞれで、その人にしかわからないものだから。
君たちは生きて、どうか君たちだけのしあわせを見つけて』
[いのちある者たちに、その願いを残して――**]
ずっと、一緒だねー。
[もし次に産まれてくる時には、二つの命として、揃って産まれてきたい。
そんな思いを胸に猫を抱きしめる。
『ママ』と『お母さん』二人に伝えることができなかった気持ちを、一番知っているのは、このぬいぐるみだから。]
さっ!いこーね。
[星屑の道はあまりにも眩しくて。
キラキラと白く輝くその姿は、落ちてはいけないと注意されていたあの白線のよう。
だけれども、否。だからこそ。
一歩一歩、安心して足を踏み出す。
白線の上を歩く限り、道に迷うことはないとわかっているから。]
[――夢を、見ていたような気がする]
……。
[目を開けると、白い天井と、“あいつ”の顔があった]
「……ウル。」
[顔を真っ赤にして、ぽろぽろと涙を零しながらこちらの名前を呼ぶ。
―――ああ、またそんな顔をして]
……泣くなよ、って痛てっ!?
「ばか! ばかばかばかっ!!ばかぁ!!」
[手を差し出そうとすると、
ぽかぽかと顔を真っ赤にしてこちらに殴りかかってくる。
いつもなら大したことはないんだが、流石に起き抜けにこれは痛い。
近くにいた看護婦が慌ててあいだに入ってくれた…看護婦?]
……。
(……ああ、そうか)
[思い出した。
どうして自分が、ここにいるのか]
……ユイ。
[両手で顔を覆って泣きじゃくる彼女の名前を呼ぶと、
再度手を差しのべる。
なんとか肩に手が届いたので、そのままこちらへと引き寄せた]
…わりぃ、ただいま。
[ぽん、と落ち着かせるように頭を撫でたあと、彼女の耳許で囁く。
嗚咽が治まるのを待ちながら背中を撫でていると、
やがてごしごしと手の甲で目元を擦ってからこちらに顔を向けた]
[赤くなった目に大粒の涙をためてはいるけれど、まっすぐに“俺”を見上げて]
「…おかえりなさい」
[少しむすっとした、それでいて嬉しそうな、
泣き顔とも笑顔ともつかない表情でそう、返事を返してきた*]
ー姉を見送ってー
・・・これで、よかった・・・
[鼓動を感じなくなった胸元。
ポケットごしにボタンを握りしめ、言い聞かせるように呟く。]
・・・さよなら、おねえちゃん。
[ウルに言ったように、“またね”とは言えなかった。
強い絆で結ばれた、双子の姉妹。
“またね”があれば、再び姉の中に戻ってしまうかもしれない。
今度こそ、姉を“殺して”しまうかもしれない。
だから、もう会えない。
今は、“さよなら”で、いい。]*
─いつかの、夏祭りの日─
[遠くから、祭囃子の音が聞こえる。
川縁には縁日の屋台が並び、色とりどりの飴玉や駄菓子、それに、お面やビーズ飾りや銀弾鉄砲といったものが電灯のあかりを受けて、まるで宝石箱のようにきらきらと輝いていた。
その喧噪から離れた川下の岸部に、一組の親子の姿があった。幼い男の子と、その手を引く若い母親。
彼女のもう一方の手には、白い山梔子(くちなし)の花があった]
「ママ、今年も川にお祈りするの?」
「ええ。ここにはね、ママが子供の頃に助けてくれた、ママの大切な人が眠っているのよ」
「ここに?」
「……そう。ずっとずっと、ここにいるの」
[もう、どのくらい昔のことになるか。
増水した川に転落した妹を助けた兄は流され、その遺体も遺留品も、未だ、その一部すら見つかっていない。
母親が山梔子の花を川面に置くと、ゆるゆると滑るようにして花が流れ、やがて水に飲まれて見えなくなる。
あの日とは違う穏やかな川面に、空を流れる白く大きな川を映して。
――山梔子。
その花言葉は『私はとても幸せです』**]
[どれくらい時間が経ったのかわからない
未だ止まらない“マイ”と私の涙
もしかして私は、マイに「忘れてほしくない」って思ってる?
そんな願いなんて、まるで悪魔みたい。“マイ”を縛りつけちゃいけない
でも、泣き止むことのないマイを見て、ふっ、と降りてきた、こと
──もしかして彼女も、私のことを忘れたくないって思ってる?
思い上がりかもしれない、都合の良いことを考えているだけかもしれない
でも、もしそうなら
マイも、私のことを大切に思ってくれていたんだ───]
…あは…っ
[「しあわせ」というものは、見えないけれど、本当はすぐ側にあって]
[ごしごし涙を拭って、私は思う
マイ、テツヤくん
私のことを背負わせてごめんね
泣いて泣いて泣いても、きっといつかは晴れる日がくるから
だからそれまで、私はこの星空の上でずっと見守っているから
二人が幸せになれることを願っているから
そのときは、ときどき私のことも思い出して、笑ってほしいな
ああ、もし転生なんてものがあるなら、マイとテツヤくんの子どもに生まれるのも良いなあ…
なーんて、ね!]
・・・大好きな人・・・
[なぜか、ウルの顔が浮かんだ。
胸ポケットからボタンを取り出す。
彼がどうして自分にこれをくれたのか。
その理由は、結局聞けなかった気がする。
でもきっと、自分を特別に思ったからくれたのだろう。
その“特別”が、どんな種類の“特別”なのかはわからないけれど、彼が自分の存在を認めてくれたことは確かで。]
・・・そうか。
もう“持ってる”んだった・・・
[ふっと、顔が綻んだ。
あの列車で出会った人たちは皆、自分を見てくれた。
「ニイナ」と名前を呼んでくれた。
頭を、背中を、撫でてくれた。
存在を、認めてくれた。
自分はすでに、ずっと望んでいたものを、あの列車で手に入れていたのだ。]
じゃあきっと、“次”も大丈夫、だよね。
[納得したように頷いて、ボタンを大事そうに、胸ポケットにしまった。
そして、ふたたび歩き出す。
目指すはあの明るい星。
そこに、“次のしあわせ”があると信じて。]**
―サウザンクロスを出て―
[車内は一気に閑散とした。
先ほどまで聞こえていた他の乗客の声も、ほどんど聞こえない。
それにクノーを見送った後、同じ席にいるのは寂しすぎた。
ルルーを見送り、クノーを見送り、アイスを囲んだ時には4人いた座席に、今は1人。]
(――そういえば、カロラはどこに行ったんだろう…?)
[停車場ではないところで席を離れたカロラ。
もう降りてしまっているのかもしれないけれど、もしかしたら…まだ乗っているのなら。
サウザンクロス遠ざかる窓から視線を外すと、ボストンバッグを肩にかけ、席を立った。]
[カロラの姿もなくなった車内で再びラウンジの元の席に腰を下ろすと、カロラの声がもう一度頭に響いた気がした。>>21]
(しあわせ。…ルルーが言ってた「しあわせ」>>2:74。)
(クノーも「しあわせ」見つけたのかな…?)
[ルルーが座っていた席とクノーが座っていた席を交互に見つめながら、二人に思いをはせる。]
(…ベニにはまだよくわかんないよ。)
(だから、クノーと一緒に降りられなかったのかな…?)
[列車は石炭袋を出ると、スピードを上げて夜空を疾走する。
その揺れは乗客を眠りに誘うようで、いつしかベニも瞼を伏せ、座席に身を沈めていた。**]
[俺が眠っているあいだに、季節はすっかり色を変えていた]
……こないだまで夏だったのになー。
[制服のブレザーに袖を通しながらぼやく。
意識を取り戻した頃には夏も終わりに差し掛かっていて、
病院を出た頃にはとっくに夏休みが終わっていた。]
[玄関先の鏡を見ながらネクタイを直す。
「またネクタイ曲がってる!」とユイの小言を聞くのは嫌だし]
[いつものように互いの家の前で合流して、駅までの道のりを歩く。
――変わらない通学路、変わらない教室、変わらない授業風景。
いつもどおりの平和な日常。]
[変わったのは、ただ、放課後の過ごし方だけで。]
[授業が終わったあと、以前なら病院に向かっていた俺たちは
俺はバイトに、あいつは新しく入った部活に行くようになっていた]
[俺の周りで変わったことは季節ばかりではなくて。
俺が眠っているあいだに、『あいつ』がいなくなっていた。
意識を取り戻した頃にはもう既に葬式も火葬も終わっていて。
『あいつ』の最期を俺は見ていない。
…そのせいだろうか?
今でも俺は、あいつが「死んだ」という実感が持てずにいる]
[やがて秋が深まり、冬が迫ってきたある日のこと]
[その日は珍しくバイトが入ってなくて。
一緒に帰ろう、とユイを誘ってみたら思いのほか素直に頷いた。
ユイの部活が終わるまで、図書館で暇を潰したあと、一緒に駅までの道のりを歩く]
[それからしばらく駅のホームでなんてことのない話をした後、
ようやくやってきた電車に乗り込む。
すでに日は落ちかけて、東の空が藍色に染まりかけていた]
[疲れていたんだろうか?
列車に乗り込むなり、ユイはうとうとと櫓を漕ぎ始めた。
少し呆れたような、なんとも言えない気持ちになりながら、こちらの肩にもたれかかってすやすやと寝息を立てる彼女の肩を抱き寄せた]
[やがて、ゴトン、と音を立てて列車が進み始めた。
肩にもたれかかるユイの頭を撫でながら、何気なく西の空を眺める]
[薄藍に染まる空に、沈みかけの太陽が一筋の光の柱を天上へと走らせていた。]
……天気輪の、柱。
[図書館で時間を潰していたとき、たまたま読んだ本のフレーズが口をついて出た。
たしかあれは、主人公が銀河を走る鉄道に乗り込むときに現れたものではなかったか]
[気がつくと、日は既に落ちていて。
天気輪の柱は見えなくなっていた。
藍色に染まり始めた空には、ぽつりぽつりと小さく星が浮かぶ]
[窓の外に浮かぶ星を見上げた。
あのときのような星の海ではない。
地上の光にかき消されて、
よくよく目を凝らさなければ見えないようなそんな小さな星たち。
だけど、確かにそこに存在していたのだ。
目に見えなくても、光を放つ星たちが確かに]
[『またいつか』と、あいつは言った。>>15]
……そうだな。
[また、きっと『いつか』巡り会うときがくるのだろう。
再びあの列車に乗り込むときはくるのだろう。
自分たちが、生きている限り。
同時に、生きてさえいれば、どこにだっていける。きっと]
[あいつがあいつ自身の幸せを見つけたように、
俺は俺の幸せを見つける。
俺だけじゃない、あいつが俺に託していったもののために。
…あの列車に乗り込むのは、きっと、そのあとでいい]
―――だから、待ってろ。
[また『いつか』会えたときに、胸を張って会いに行くから。
隣に眠る少女をそっと抱き寄せながら、ただ、窓の外の星を見上げて、誰にともなく呟いた**]
「なんでこんなものも出来ないんだよっ!」
「ミナ君…君には独創性が足りないんじゃないの?」
[真面目な両親の間に、長男として産まれたミナは、自由な弟と、何をするにものんびりな妹に対比するように「手のかからない子」として育てられた。]
す、すみませ…っ、すぐに描き直します…!
「早くしてよ!時間ないんだから!」
ご、ごめんなさい…。
[両親の期待を受けて成長した彼は、高校生の頃に見た絵の影響を受けて美大へと進学する。
両親は賛成してくれたが、あの時の二人の残念そうな―裏切られたと物語っていた顔を、ミナは忘れることが出来ない。]
[しかし、現実はそんな簡単ではなく。
ミナを待ち受けていたのは、失意と、非難の声だった。人は熱意だけでは成功しない。ましてミナは「手のかからない」という肩書きを手に、周りの目を気にしながら生きてきたのだ。
この世界で生きるには、ミナは周りの目を気にし過ぎた。]
[ああ、もう。]
すみません…ごめんなさ…っ。
[声が、煩い。]
…だからね?カロラさん。僕は―俺は声から逃げる為に、自分で死んだんじゃないかなって、思ってる。
声からだけじゃない。俺は親から期待されてるってのに甘えて、世界を見ようともしなかった。
世界がこんなに厳しいって知らなかったんだよね。それから逃げようとしたんだと思う。
俺は、弱いから。
[でもね、]
…俺、こんな世界を見れたから後悔なんてしてないんだ。
[怖がる自分に声をかけてくれた赤毛の学生、涙を流し、その後笑顔で去ったブラウスの女性、胸にしていた想いを語った制服姿の少女。
ぬいぐるみを抱きしめていた少女、革鞄を持つ落ち着いた青年、ボストンバッグを持つ女の子、最後に、お守りとともに"しあわせ"を見つけたシャロ。
夜空にかかる天の河、白鳥の眠る停車場、星と星を繋ぐ鉄道。]
こんな世界、願ったって見られるもんじゃない。だから人は想像で表現するんだから。
…やっと分かったんだ。弱い俺でも弱いなりに戦う術はあったんじゃないかって。
どんなに弱くても人は世界で生きなきゃダメだよ。
ここで見たこと、俺は忘れないよ。
[もう遅いかもしれないけど、と苦笑する。
しばらくするとアナウンス>>#0が聞こえ、人が降りた後で]
…そうなんだ。俺、生きてたんだ。
[カロラ>>17の言葉を静かに受けとめる。敷かれたレールからそれたと思っていた人生。だけど実際は違った。
レールなんて、最初から無かったんだ。]
石炭袋…。やっぱり君は、
[今度は、こちらが口を噤む番だった。深くは問わず、静かに聴く。
カロラは、この運命を最初から分かっていたのだろうか。
"しあわせのかたち"を諭す彼は、それを見つけられないまま、何処へ行くのだろうか。]
ばいばい、カロラ。俺は生きるから。
もう逃げないから。
[―ありがとう。そう呟いて。
石炭袋を後にした列車は、星空を駆けていく。]
[ミナはスケッチブックをぱらぱらと捲り、無心でこれまでを描いていく。一秒でも記憶が鮮明な内に、全てを残そうと描いていき、次第に意識が薄れ―…]
[目が覚めたらそこは自分の部屋で、ミナは机を枕代わりにしてうつ伏せでいた。]
いたた…。
ん…あれは、やっぱり…。
[鮮明な夢だったのか。そう思って起き上がろうとした時、臙脂のスケッチブックが腕にあたり、こつんと音を立てて床に落ちる。
それを拾ってページを捲るとそこに残っていたのはメモ程度の小さな文字、可愛らしいお守り、そして]
…見つけるからね、しあわせのかたち。
[夜空を駆ける、銀河鉄道**]
[1]
[2]
[3]
[4]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新