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お……
[砂塵が周囲を取り囲む。
距離を取るという選択肢は、これで断たれた。
明らかに、自分が不利な状況。だが]
応!!
[グレダの叫びを、叱咤の声と受け止める。
まだ、諦める訳にはいかない]
[パラに絡み付いていた『清流』が、回収の動きで一瞬跳ね上がる]
そこ――!!
[左手の『射陽』を腕に通すようにしながら、『清流』に向け手を伸ばす。
一瞬気が逸れた瞬間にも、連撃は留まることなく加えられるだろう。
『幽谷響』と、右腕全体までも使って、それを受け止める。
もうこの試合の間は右手を攻撃に使えなくなろうだろうが、覚悟の上だ]
[左腕が『清流』の柄に触れる。
掴んだそれを、狙いも何もなしに振り回す。
利き腕ではないから、器用に扱うことなど出来ない。
だが、魔力を流すことは出来る]
砂よ――私に従え。
[周囲の砂塵の支配権を取り返そうとする。
囲まれたという事実を好機に変えるしか、今は方法はない]
我が竜器の力にて、竜の息吹となれ。
[『幽谷響』が手から落ちる――否、落とした。
右手を左手に添えるようにして、ありったけの魔力を籠める
これが、最後の勝負だ]
――サンドブレス!!
[それは竜の力を純粋に魔法へ変換した、魔法戦士にとっての最大奥義。
生み出された横倒しの竜巻は、周囲の砂を巻き込みながら、グレダに向けて殺到する*]
なんていう……。
[なんていう戦いだろう?
戦士という存在は、なんて高潔で純粋なんだろう。
戦う。
己の信念を通す。
その為に、2人の戦士が己の技術を尽くし、
竜器の可能性を引き出し、
魔法を放って、
そして戦っている]
[ここにいるのは、気のいい「女将さん」ではなくて……、
「戦士」グレダ]
[そして相手も。
周りの観客の話を漏れ聞くに、エルフの女性だということだ。
普段は、森に潜み、弓と魔法を扱って過ごしているはずだ。
こんな砂浜で。己の身を削るような戦い方は本分ではないだろうに。
それでも、その透明な闘志には何一つ欠けはない]
砂っつーか火山砂っぽいんだよなあ。鉱物っぽい。
あれってさ、たまに水晶っぼい砂利見つけるとテンションあがるよな〜〜。
[昔の遊びを懐かしみつつ、ぼやいたら、たまたま相棒への返事になっていたようだ。
アイスキャンディーをスズメにおすそわけ。
エステルの鋭い一撃>>62を見れば]
出力がはねあがったなあ!
今まで手加減してたってことはないだろうし……?
[再び首をかしげつつ。]
[今度はグレダの連激に目を見張りながら]
やっぱ魔法をおもっきし使えるっていいよな〜〜。
つうか、グレダさんはバランスがいいんだろーなあ。
[先程からのグレダの戦い方が羨ましく、アイスキャンディーの棒を口ではさんでぴこぴこゆらす。]
……っくぅっ…!!
[殺到する竜巻。その中心にあって、退くことはない。
現役で背に守るべきもののあったころと違って、守らなければならぬものがある戦いとは違う。
けれど、その背は見守るもののある背だ。
それらの皆に、恥じ入るような戦いはしたくない…!!]
―――おぉぉおおっ!
[退きはしない。その一念でロサを繰り出す。
魔力はパラに。停滞の力でもって、竜巻の力をわずかなり減衰せんと。
同時に、魔力はアズゥに。『異物を祓う』魔力によって、竜巻からわずかなり身を守ろうと。
そして同時に、魔力はロサに。
水気と砂塵の力を得て、わずかなりと繰り出す一撃に重みを加えようと。 中空だったその柄に、ありったけの水気を満たしながら、エステルの竜巻の中心、射陽へと、狙いを引き絞る―――!!]
なるほど、鉱物か!
流石サイラス、やはり見るところはしかと見ているな!
[砂に混ざるものの事を失念していた。
相棒の言葉を受けて、至極納得いったように頷いて]
よく、その水晶のような砂利で大きなものを見つけようと
足を運んだものだ。
誰とあたるのかはわからんが、少しばかり注意しておいた
方が良いな。
水にせよ、鉱石にせよ―――。
[相棒は見ていないようで見ていて、そのひとつひとつの
詳細を忘れずにその思いに刻んでいる。
男は、少しばかり思考を試合から外す。]
[最大魔法を前にして、グレダは退きも逃れもしない。>>75
竜巻の中心へ突き進む攻撃。
見えてはいても、かわすことは出来ない。
全ての意識を媒介たる竜器、一点に集中しなければ、竜の息吹は放てないのだから]
[つまり最後は、グレダの竜器がこちらの竜器に到達するか否かの勝負。
自身に出来ることは、魔法の出力を保ち続けることのみ]
(いやいや、御前試合が終わった後の事はまだ考えるまい。)
[男の頭に描かれたのは、これから先に歩く道。
自然に恵まれた、それでも小さな集落でしかない故郷に
このまま帰るのが惜しくなった。
広い世界を歩いてみたくなった。
相棒と、スズメと三人で。]
グレダ……!!
[突如湧き上がる巨大な竜巻。
すごい。
すごい、ここまでの大魔法……!
相手が奥の手を出してきたのだと、わたしは知る]
[アルゴルを抱き寄せて、ぎゅうと握る。
背中に、メリッサの手が置かれた。
ふと見れば、わたしの服をカティちゃんが掴んでいる。
皆居る]
ここで見ているよ……!
[相手の奥の手に対して、こちらの奥の手はずっとずっと地味だ。
デッキブラシ<ロサ>の柄は中空になっている。
それは強度よりも取りまわしやすさ、軽さを取った結果だ]
[だがその構造は、思わぬ裏技を生んだ。
「集める」魔法と組み合わせ、中身を水で満たせば……、
必要な時、必要な間だけ、大重量を持った鈍器と化す]
[戦闘が後半にさしかかり、ロサの攻撃の重さを知っているほど、
突如重くなったそれは……]
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