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ー回想・孤児院の庭ー
[洗濯物を干しているツリガネに歩み寄る。]
あら、いつもいつも偉いわねぇ
ふふ、私も手伝っていいかしら?
[そう言って、洗濯物を干すのを数枚手伝う。]
たまにこうしてやるのも、清々しいわね…
[ニコリと微笑む。その時、彼女は照れたように笑っていたっけか。]
ツーちゃんは、いいお嫁さんになれると思うわっ
[心からそう思った。だって、こんなにも優しくて、強くて、何でもできる子だったから。千早に色々相談をしてくれた。信頼されて嬉しかった。]
―回想/3年前―
[>>98研究所へ通うようになったシエラを羨ましく思う気持ちも、久しぶりの外出で引っ込み。楽しい物だったのだろう。
戦場に巻き込まれ。あの水の槍が兄の物だったことは後から理解できた。
もっと小さい時に見た兄の綺麗な手から生み出される水は、あんな恐ろしい物ではなかった気がする。そうもちろん赤い色でもなくて、なんだろうこの赤い水は。目の前の兄の指の本数が足りないのは何で?
いつのまにかへたりこんだ私の腕をシエラが引っ張った。]
――だって、シエラ、お兄ちゃん が……[炎の膜が視界の隅に入る]そう、そうだ、シエラの魔法なら助けられるでしょ!!私と違ってシエラなら!、、シエラ、
お兄ちゃんは、
[お兄ちゃんは小さい時、あの家にも孤児院にもこんな役に立たない私なのに1人にしなかった。役立たずの私が、また役立たずで、]
お兄ちゃん、
お兄ちゃん、
離して!
お兄ちゃん 置いて行くわけない!!!!
[兄が、なのか、兄を、なのか。
その瞬間、何かの箍が外れる音がした。
目に見えるほどに周囲を渦巻く、シエラの持つ熱の魔力とは逆の白く冷たい靄。
それに触れた周りの死体が起き出し暴れ出し兵士たちからも混乱の悲鳴が上がった。
――そうして、目の前で立ちあがったマオの姿。
その兄の姿を見て、彼女もまた立ちあがった。]
―2d夜・23〜0時頃/交戦地区A―
[ばちっ、ばちっ、と音を鳴らしながら飛ぶように、指示された場所へと向かう。途中で自国の外交官集団とすれ違ったが、一瞬過ぎて気づかれなかったのは幸いだった。
交戦地区に着き、息を殺して教会の外に潜むと、外交官と思わしき人物が中から出てきた。そのままその一行が完全に背を向けるのを確認して中を覗くと、中には3人の人影が。]
殺害命令が出てるのは外交官と、隊長代理。
優先度は隊長代理の方が上、か…。
[両方殺せたら殺してこいと言われている。ただ、今はその名前が指すものがあの人達でないことを強く願うばかりだ。]
ー隊長代理ツリガネ、外交官アルフ…別人、だといいな。
[そう思いながら。クロロは素早く教会に入り、扉のそばにいた二人の兵を斬り伏せた。
もう一人は少し離れたところにいたが、斬った際の電撃で、後ろで何かが起こったことに気づくだろう。]
[いい答えは与えられないけど、正面から受け止めてくれた。千早にはあまり中のいい友達というものがいなかった。その雰囲気のせいだろうか。誰とでも話すが、友達とはいえない。エリィゼや、アレクシスに、ミツル。そして、ツリガネとだけはよく話せた。]
ツーちゃん、もし生まれ変われるなら…何になりたい?
[その問いの答え。覚えてはいないけれど、彼女らしい回答だったとおもう。]
私はね…生まれ変わったらーー
[膨れ上がる熱源は、もはや生み出した自分にさえ操ることはできなかった。>>93暴走を止めようとするアレクに、申し訳なく思う。力の暴走に耐えきれず地面に崩れ落ちる。視界の端でエリィゼが見えた。
彼女も女神に囚われているのだろうか。帝国を憎む心は、即ち戦争を憎んでいるのだろうか。暴走の影響か、声が出ない。ただ静かに彼女の言葉を聞く。……ティナ。それが彼女の失った世界の一部か。>>84>>85
重力によって地面に縫い付けられると、自然と意識が遠くなる。自分の所為で彼女に逃亡を許してしまった。アレクが罰されるようなことに、ならなければいいのだが……。]
……ごめん………あり、がと……
[アレク…と名前を呼ぶ声が、彼に届いたかはわからない。この時を最後に記憶が途切れた。]
[磨り減ると妙なところを咎めたグレン>>100にきょとりと目を瞬かせる。髪を撫でられれば、嬉しそうに笑った。
言われたとおりに椅子に座ると、歩き回る姿を見つめ。
不備がなかったことを確認すればほっと息をつく。]
いえ、これも目的の為ですから。
最初こそ嫌悪はあれど、日が経てば慣れてきましたし。
[それでもハルモニア崇拝だけは受け入れられなかった。
一応従順なフリをするために稀に教会へ行ったりもしたがどれもこれも吐き気を催すものばかり。]
クーちゃん、元気なんですね……良かった…!
[伝えられたことの内容は、彼が自分を気遣ってくれたのだろう。長い間知り得なかったクロロの情報もあって、顔をほころばせて喜んだ。
しかしそれも、今後の方針の話になれば鳴りを潜める。]
そうですね。協定を結んで停戦しても、連合軍にとっては絶好のチャンス……忠実に守られるとは思いません。
[そう言うと、問いかけにこくりと頷きを返し]
勿論です、兄様。
帝国が奪われた要所に忍び込み、魔法で造りだした爆弾を仕掛けます。
連合国側には帝国の足掻きに、帝国側には連合国の裏切りのように見えるように仕組めるかと。
[爆発させることで、両国どちらにも損害は降りかかるだろう。
如何でしょうか?と問いかけるように首を傾げ、指示を仰いだ。]
―回想・3年前―
[セシルの悲痛な声>>105に返す言葉が見つからない。多少の切り傷なら……あるいは焼いて止血することも出来たかもしれない。でも今回は。彼女の必死な様子に、胸を締め付けられる。]
できないんだ、セシル。せめて君だけでも助からなきゃ、お願いだから…!
[焦りを感じて彼女を連れて行こうとした瞬間、周囲の空気が変わる>>106。一面の靄が炎の内外に立ち上る。咄嗟に魔法を解いたのは、見たこともないはずのその現象が、彼女によるものだという奇妙な確信があったからだった。動き出す死体には流石に寒気を感じたが、彼女の初めての魔法発動を静かに見守ろうと思った。]
ーああ。やっぱり、ツリガネだったんだ…
[こちらに気づいたツリガネ>>112の顔を見て、昔の友人本人であったことを認識したが、クロロの手は止まらなかった。]
ー僕がここで殺さなくても、きっと誰かに…
[それならいっそ僕の手で、と、ツリガネに近づこうとしたが、足が動かない。そういえばツリガネは土魔法の使い手だったなあとたいして焦る様子もなく。]
ごめんね。ツリガネ。
任務がなければ、ゆっくり話したかったのだけれど。
[そう言って、剣先をツリガネに向けると、一気に魔力をこめた。
剣から発された電気は…びりり、という爆発音にも似た雷鳴と共に、ツリガネに襲いかかった。
[ざわりと木々が揺らめく。異様な空気。バチバチと、何かが爆ぜる音。]
──なにかしら。
[アルフは不穏な空気を感じ立ち止まる。同僚がどうした、と聞いてくるので、彼に書類の入った鞄を託した。]
あんたこれ持って 早めに戻っててくれる?
[おまえ、何を、と言う彼。小さな子供を諭すようにして、アルフは言う]
…なーんか やな予感すんのよ…
ちょっと さっきの教会見てくるわ!
「おいっ!アレフ!」
[男は教会へ走って行くアレフを引きとめようとして、雷の音に気づく。それに臆し、また任務を全うするために、彼は外交文章を抱えて走る他ない。
彼が無事国に辿り着けたならば、今回の交渉について上部に報告するだろう]
[一方のアルフは、機関銃を持って教会へ戻った。内部を見たならば、彼は惨状を目の当たりにして、息を飲むだろう**]
―回想・3年前―
[>>113あなたを見上げて、立ちあがらぬままにだだをこねた。]
何で出来ないの!?シエラ、だってシエラの魔法なら、私もお兄ちゃんも助けて、
[そんなうわごとが途切れ、兄の死した姿とこの状況への感情が爆発した直後。
周囲の空気が代わる。あなたが炎を解いたかわりに解放されたかのように一面の靄が辺りを満たす。靄の向うで動き出した死体が陣営構わず兵士たちを襲う様は、出来の悪いホラー小説のようだっただろうか。死者が出るたびに増える彼女たち3人を守るような死体の柵も出来ていた。]
――ほら、シエラ!置いてっちゃだめだよ。お兄ちゃんはすごいんだもの。
[立ちあがって、兄を見上げて嬉しげな声。妹の頭を撫でた兄の死体が、シエラと妹を見比べて外へと視線を向けた。]
外に逃げようって。
[行こう、とあなたの手を今度は逆に取る。混乱の最中、先導する兄の後を追い、外へと逃れて行っただろうか。
安全な場所まで辿りつけば、また兄の姿は死体へと崩れて。それを今度は静かに見下ろした。]
……気にするな。休んでろ。
[>>109ごめん、と謝る彼女に掛けた言葉は、彼女が気絶する前に届いていただろうか。意識を失くした彼女を背負えば、一先ず軍の拠点へと向かう。処分を受けるだろうか。何せ、取り逃したのは初めてではあるが彼女は此方の損害を幾分か出した上に更に情報を持ち去ったのだ。
恐らく女神を嫌ってた節からは独立組織に所属しているのだろう。
はあ、とこれから待ち受ける事に溜息を零し。やはり情けや過去に未練を持ってはいけないのだ――此処で不要と判断されないためには。]
(ここでしか、居場所が無いんだ。
……俺に利用価値がある以上は、帝国は何も言わないはず――)
(どうせ、昔の皆も――、
他に誰も、俺なんて、受け入れてくれる事なんてないんだ)
[ツリガネが死んだことで、足に絡んできていた泥がただの土へと変わる。]
ーこれは、きっとアルフも本人だろうなぁ。
[足を抜き、そんなことを思いつつ。
もうここから遠く離れていってしまったなら、アルフを追いかけなくてもいいかな。外交官なら、自国に戻れば死なないだろうと、国に帰ってツリガネの件だけ報告しようと。]
[そう、考えていたら、外から走ってくるような音。
教会入り口に姿を表し、中を見て息を飲むその姿は]
アルフ、来ちゃったんだね。
来てしまったからには、見逃せないな。
[クロロはそう呟くと、アルフに斬りかかりに行った。
反射的に機関銃で応戦される。避けたり刀で弾いたりしつつ、距離を詰める。アルフが何か叫んでるが機関銃と自分の電気の音で聞こえない。]
ーああ。僕は、いつから、人を殺すのに躊躇いがなくなったんだろう。いつから…最初から?かつての仲間さえも、いつか訪れるかもしれない平和のために…?
『――そう、お前は だから』
『誰も彼も――皆お前から離れてく』
(昔から。追い詰める様に囁く声は――一体誰のものか)
(聞きたくない、とばかりに顔を歪めた。)
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