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[魔力で繋がっている鷹は素早く呼び寄せられて腕に止まった。
ここ一帯の人の出入り、奇妙な動きがないか読み取ってチェックする。
やがて一通り情報を確認し終えれば、人目がないことを確かめて枇杷茶の羽を持った鷹に変身して空へと。
魔法の素養があるものは、舞い落ちる羽が一瞬浅葱◆に輝いて消えることに気付けるかもしれない*]
ー連合国・???ー
[現在、ミツルに上司、部下はいないようだ!(同僚はいるかもしれない)
入隊前に「好きにやらせてもらえるなら入る」と軍に条件を出していた。
それが許されるのは戦闘力がずば抜けているからである。ミツルに訓練など必要がないので、いつもどこかでふらふらしている。(ミツルが本気を出せば国一つを滅ぼすことが出来るかもしれない)
>> 14 もし、クロロがミツルを見つけ話し掛けてきたら会話をするだろう**]
[入室の許可を下すその声は、正しく件のアレクシスのものだった。冷めた感情の読めない声音。恐ろしいとまでは思わないが苦手だ。近づきすぎない方がいいかもしれない、と無意識に感じていた。]
失礼致します。
[扉を開けて、中に一礼。末席に設けられた、自分の席に進む。孤児院にいた頃の顔見知りは、アレクの他に二人いた。どちらも特別親しかった訳ではないが、戦争が始まってから変わったように思う。
女神像の喪失から、孤児院の子供達は散り散りに戦争に引き込まれて行った。再会も離別もあったが、誰も皆今まで通りとはいかなかった。当たり前だ。安穏とした孤児院と凄惨な戦場では何もかも違いすぎる。変わることは必然。そこまで考えて、自分の現状を思って自嘲的な笑みが零れる。変わらない自分、どっちもどっちだ。]
― 回想/完全独立組織・自室 ―
女神がきっと救ってくれるぅ?
[きゃははっと声を上げて笑う少女が一人。
戦争の原因である女神が救うだなんて、夢を見るならもっとマシな夢を見てほしいものだ。
女神がもしもいるならこの手でぐちゃぐちゃに引き裂いて、一生女神なんて呼べない容貌にしてやるのに!]
あー、おっかしい!
いつまで幻想に浸ってるのかしら、ほんと笑えちゃう。
[自分が組織に来たのは三年ほど前だ。
戦争がだんだんと酷くなってきた時、自分の身を守る為に開花した魔法の力を望まれた。ただそれだけ。
女神を信仰する軍なんて冗談じゃなかった。だから、寧ろ憎んでいるらしい此処に来たのだ。]
……クーちゃん、元気かな。
まだレターセット、あったかなぁ。
[引き出しをがさごそと漁ってペンと真っ白な紙を探し出して、机に向かう。本当に時々だが、こうして彼に手紙を送っているのだ。]
『クーちゃんへ。
このお手紙が、無事届いていることを願います。
元気ですか?エリィは毎日魔法の練習で、いい加減飽きてきたところです。
最近はようやく荒れていた花壇を整えることが出来て、今度綺麗なお花をたくさん植えるつもりです。クーちゃんが好きなお花は何だったかな。...
戦争は終わるどころか、むしろ激化してさえいるけれど、どうか無事でいてね。
きっとまた皆と暮らせる時がくるはずだから。
それまで体には気を付けて――』
[そんな他愛もないエリィゼの日常やちょっとした愚痴、ささやかな願い等が綴られている。
ただ、肝心な自分の想いだけは書けないまま。封筒の中に造ったリナリアの花を入れて。何もなければ、無事彼の元に届いただろう。]
やーね。
ブレイクタイムっていうお仕事よ。
[ 煙草の火を消されれば、
まだ全然吸ってないのにと
方を落とし、口を尖らせる。 ]
あー、そっか。アンタも聖職だっけ。
やだわぁ、
シスターが銃器取り扱うなんて。
[ 煙草の仕返しに悪態つき、
一つ銃を手に取る。
同じように銃を扱う者としては
メンテナンス依頼が嫌な訳がなく。
「 大事にしてる?嫌われてない? 」
なんて、またまた追い打ちを。 **]
[自分の魔法は戦争向きだ。一人いれば、武器庫に積まれた重火器全てが不要になる。物資も兵士も可燃性なのだから、一般兵レベルなら幾ら集まっても問題ない。加えて安定したコントロール技術と備えられた知識。自分が早々に軍に連れて行かれた理由は、想像に難くない。
子供の内に成熟して凍りきった心は、戦争においても容易くは変わらなかった。いや、変わりたくなかったのかもしれない。戦争向きな能力。殺戮を受容すれば、自分は依存してしまうだろう。求められることに。これは自分なりの防御だった。
外からノックの音。エリィゼだ。彼女もまた孤児院時代からの顔見知りだが、正直もう信頼することはできなかった。スパイ容疑が色濃くあったのもそうだが、纏う雰囲気が異質になった。言葉で説明することは難しいし、わざわざ上層部に進言するのも面倒だ。脆いばかりの城なら崩れるも必定。上司のクルークに一任しておけばいい。]
ー連合国軍本部ー
うわあ…やっぱり、本部は凄いなあ。
[見上げるほど立派で巨大な建物。城のようなその建物は、まさしく連合国軍の本部そのものだった。
門番に名前と所属を確認してもらい、門を開けてもらう。係官による施設説明が終わり、指定の時間まで少しあるので、中を見回ってみようと思っていた…丁度その時だった。]
あれは…ミツル?
でも、僕なんかが声かけても大丈夫なのかなあ。きっとミツルは出世してるだろうし…。
[ずっと訓練兵として訓練を続けている僕と違い、ミツルは開花した魔法能力の高さを認められ、最初から本部配属になった…ところまでは知っていた。
でも、クロロは久しぶりに会う旧友の姿を見て、声をかけずにはいられなかった。]
…お久しぶりです。僕のこと、覚えていらっしゃいますか?
[立場的に失礼に当たらないよう、申し訳程度の敬語を使い、おそるおそる話しかけた。ミツルならきっと昔と変わってないだろうと、自分を棚に上げた、淡い期待を持ちながら。
最近のクロロを知っている人は、彼が自分から他人へ話しかけるなんて、珍しいと思うだろう。クロロは軍に配属されてから、人と関わるのを避けるようになってしまったから。]
―回想/完全独立組織・エリィゼ自室前―
……エリィゼ。
今、ちょっといいか。
[部屋の扉を叩き、声をかけた。
無邪気で泣き虫の愛らしいちびっ子はもういない。切れ味の鋭い憎悪を抱えた少女を、いつからかチビッコとからかう事はなくなっていた。
この頃はまだ自分は中立国を離れる気になれていなかったが、魔法を開花させ憎悪を募らすエリィゼの今後の動向について気に掛かっていた]
ー回想・帝国軍訓練兵武器適合試験ー
[訓練兵としてクロロが配属になってすぐ、上官による武器の適合試験が行われた。
試験と言うのも名ばかりな所があり…基本的に、各々の兵には事前に行った身体能力・魔法力テストのデータから推薦された武器の中から選んでもらう仕組みになっている。武器が気に入らなければ、推薦外から選ぶことも可能。この辺は、流石物資が豊富な連合国といったところか。
クロロも、最初はただの杖を選んでいた。杖なら、物理攻撃力は落ちるが、魔法の制御力は格段にあがる。
杖を選び、どう使って行こうか悩んでいると…ガラガラと音を立てて、細長く、真っ黒い箱が運ばれてきた。]
「ちゅうもーく!!これは、帝国に代々伝わる魔剣である。魔力により持ち主を選び、帝国を勝利へと導いてくれると言い伝えられている。
毎年、新兵には順番にこれに触れてもらうことになっている。主と認められれば、何らかの反応が出るはずだ。」
[そうして、別室に一人ずつ呼ばれていった。皆、残念そうな顔をして出てくる。どうやら、誰も持ち主になれなかったらしい。]
「お前の番だ、さあ入れ。」
[部屋に入り、上官に一礼してから剣を見て、思わず眉をひそめた。剣は持ち手しか箱から出されておらず、刀身は見えぬまま。…まあ、握るだけだからそれでいいのか。と、クロロは剣を握った。どうせ何も起こらないと、軽い気持ちで。]
[瞬間。ばちぃっ!!!と音が鳴り、箱から眩いほどの発光が生じ、漏れ出た電流が部屋を暴れた。ばちばち、ばちばちと。
なにもしていないのに、どうして、と動揺するクロロをよそに。監視の上官は、何が起こったのか理解したらしく、発光中に部下にこれからのことについて、指示をだしていたらしい。
…暫くして、発光が収まると。「おめでとう」という言葉と、手渡されたのは箱の中の剣。何も切れないなまくらにしか見えない、ボロボロの剣だった。]
[部屋を出た後、同期に武器が変わっていることについて聞かれたが、上官にこっちの武器の方がいいと言われたんだよ、と笑って答えた。
みるからにボロボロの剣。誰も、これが妖刀、魔剣の類だとは思わなかった。ただ、笑われて。お前は一生訓練兵だと言われて。]
[スパイも多くいるというこのご時世、魔剣の持ち主が決まったなどと、国が発表するわけがない。
その日から僕には、表向きは訓練兵として過ごしつつ、毎日訓練後に戦闘用の最上級訓練を受けるというハードな課題が課せられた。
…この剣を持って暗躍し、味方を勝利へと導く者へとなるために。]
[手紙を書き終えた妙な達成感に包まれていると、扉が叩かれる音と自分の名前を呼ぶ声>>41がした。
扉を開けると、そこには予想通りの見慣れた姿。]
グレン兄様?
はい、大丈夫です。私に何かご用でしょうか。
[呼び名だけはあの頃のまま、変えることは出来ずにいた。
いつからだろうか、彼が自分を『チビッコ』と呼びからかうことがなくなったのは。
そしてそれを少しばかり、寂しいと思うようになったのは。
もうここに来た当初から自分はこんな風だったと記憶している。帝国同盟の兵士が撃った銃の流れ弾が、友人だった少女に当たって殺されたあの日。皆がバラバラになった時抑えていた憎しみが制御できなくなったのだ。
奪われたなら、こっちだって奪ったっていいはずだ。
全ての元凶は女神の皮を被った悪魔ハルモニア。殺された友人、引き離されたかつての仲間の為に、自分は強くなったのだ。
だから戦うのだって、皆の為。
いつの間にか殺しが快楽に変わっただなんて、愉しいと思うようになったなんて、そんなことは――ない。]
[自分の持っていた手紙を見て眉をひそめるグレンに、そっと苦笑いを浮かべ。]
…兄様。
私、色々考えたんです。このまま送り続けてもいいのか。
[白い封筒には、長年抱えてきた想いが詰まっているけど。
また皆と一緒になんて、そんな願いとうの昔に朽ち果てた気がする。帝国同盟の者はかつての孤児院の者だろうと憎悪や嫌悪しか抱けなくなった。
連合国軍だって同じこと。大事なのは今の仲間、そして恋慕を抱く相手だけ。
そうしているうちに自分には、彼とグレンしか大切だと思える人はいなくなってしまった。]
でもやっぱり、好きだって思うんです。
……兄様がいけないと思うなら、途中で捨ててください。
[そんなことは何だかんだしない優しさにつけこんで、やっぱり自分は悪い人間だと自嘲する。]
[クロロが戦争に参加しているのは、全て平穏な日常を取り戻したいため。上官からは剣で勝利を導けと言われているが、本気でそのつもりもなく。ただ、平和的に戦争が終わらないかなあと、その一心だった。]
…電気なら、調節さえできれば相手を殺さずに済むかもしれないしね。
[暗殺員失格なのかもしれないけれど、クロロはそういう、甘い考えで魔剣の持ち主となることを承諾した。]
ー回想・異動前、訓練兵寮ー
[エリィとは、今でも手紙のやりとりをしている。
最初に彼女に花を貰った時は、どれほど嬉しかったことか。花をどの手でも触れるようになった今でも、彼女から送られてきた小さな花々は、手紙と合わせて一番の宝物だ。
異動して、任務で忙しくなる前にと、クロロは筆をとった。]
『エリィへ。
お花、本当にありがとう。エリィから貰った花は全部とってある。訓練が辛い時とかに見ると、心が暖かくなる。
最近は花に触れるようになってきたけど、それでも、エリィの造花より綺麗な花を、僕は知らないんだ。
あ。万年訓練兵だけど、訓練はきついんだよ?ほんとだってば!
また暇を見つけて送りたいけれど…これから戦争が激しくなって、手紙が届かなくなるんじゃないかって心配だよ。エリィも僕も、散り散りになってしまった孤児院の皆も…どうか、無事で。また一緒に、お花を眺められる日が来るといいなあ。』
[これからも、手紙を送りあえれば…いや、また会って、笑顔で話ができる日がくるといいのだけれど。]**
―回想・帝国同盟/医務室―
少し早い時間過ぎたでしょうか……。
[少し朝早い時間帯、トントンと医務室の戸を叩く。
迷惑だと思いつつも、補佐になりたてのツリガネに取れる時間は少なかった。]
失礼します。
ジロさん、起きていますか?
今日も少し教えを請いたいのですが。
[そう言って戸を開くと、顔だけ覗かせた。]
あら?サボタージュっていうんじゃないかしら?なんて、ね?ふふふ…
[彼(女)の正確な勤務時間など把握していないため本当のところがどっちなのかは知らないが。]
適性が銃器だったんだから仕方ないでしょう?私だって魔道具の方が良かったわよぉ?
ジロも医務担当なのに銃器なんか持ってどうするのかしら?毒の方が似合うと思うわっ
[元々戦いを好む方ではない。空間と重力に適性があったが、移動が便利になりそうという理由で空間魔法を使うことにしていたのだ。
悪態をつかれたら返すのが礼儀だとばかりに返す。いつものやり取りだ。]
大事にしてるわよ?それはもう愛でるように…
[恍惚といった表情で愛銃"アリア"と"ディーヴァ"を見た。]
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