ゼノビアへ

万が一の時のために残しておく

きみの指示通り、例の本のカバーを差し替えておいた
偽装に使ったのはクソな本だ、カバー以外は燃やさなきゃいけないからね
ただ、燃やして戻ってみたら隠したはずのカバーが並んでいたけれど……あれはきみの指示かい？
とりあえず最初に偽装できなかった分だけ回収したよ
それはヴァレリー先生の本棚にある

ところで、パーヴェルさんは“あれ”を何処にやったのだろうね？
きみがそんなにミンタイ好きだなんて知らなかったよ、擂り身でお詫びになるといいのだけれど

きみのリョーシャより

ゼノビアへ

複数枚書き残しておけるのを知らずに、さっきのメモは随分端折ってしまった
書ききれなかった分を補足しておく

問題のカバーだけど、俺はこれも本棚に隠した
クソじゃない本のカバーの下さ、つまり、二重にかけておいたんだ
その上側だけを外すなんて、よく考えたらきみの指示であるはずがない
だってこれを知っていたのは俺だけだ
FSBの犬が見ていたのか？　でもあのとき、集会所には俺しかいなかったはずだが……

どうしてこんなことになってしまったのだろう
本がきみの元に無事に戻ることを祈る

リョーシャ