情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[13]
[14]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
遅延メモが残されています。
銀色鈴 リコシェ は その日暮らし フラニー に投票した。
鉄の犬牙 アンブローズ は その日暮らし フラニー に投票した。
光塵を見つめる リュミール は その日暮らし フラニー に投票した。
魔獣の女史 サラ は 塵の尾 ヘール に投票した。
塵の尾 ヘール は その日暮らし フラニー に投票した。
見えない糸の リネア は その日暮らし フラニー に投票した。
その日暮らし フラニー は 塵の尾 ヘール に投票した。
鳥を懐かしむ ヴァルチャー は その日暮らし フラニー に投票した。
隠り処の番人 ミリオ は その日暮らし フラニー に投票した。
その日暮らし フラニー は村人達の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか。
現在の生存者は、銀色鈴 リコシェ、鉄の犬牙 アンブローズ、光塵を見つめる リュミール、魔獣の女史 サラ、塵の尾 ヘール、見えない糸の リネア、鳥を懐かしむ ヴァルチャー、隠り処の番人 ミリオ の 8 名。
●回答をお願いします。
↓狼用解答用紙
--------------------------------------
襲撃キャンセルですか? ⇒ YES NO
--------------------------------------
↓狩人用解答用紙
------------------------
GJですか? ⇒ YES NO
------------------------
YESかNOを削って、どうぞ。
回答ありがとうございます。
血人襲撃で確定です。
全体に見える情報は以下の通りです。
・その日暮らし フラニー は投票により隔離されかけたところで姿を消しました。
どうやら音叉が浚ったようです。
・共鳴の影響で浚われた人はいません。
理由は分かりません。
【塔の屋上】
[魔力による風が旋風となって、足元から吹き荒れる。額の聖痕は、血をぶちまけたような真っ赤な光を煌々と放ち――。]
[伏せていた瞳を見開く。カッと剥いた眼球の白目部分は真っ赤に染まっていた。]
――……………。
[光と旋風は、ゆっくりと静まっていった。最後には何もなかったかのように、そこは凪ぎに包まれる。瞳の色も元に戻っていく。]
ひひっ♪
[ぎ、と獰猛な笑みを浮かべた。**]
【寄宿棟・一室】
[鳥がちよちよと鳴いていた。]
[3日目の朝だ。
この人は一晩中、剣を抱き、ベッドに腰かけたまま、
微塵も身動きをしなかった。]
[頭にもやがかかっていた。
瞼は鉄みたいに重く、自然に落ちていく。
なのに、完全に瞼を閉じたら、
この頭の痛みを視覚情報で誤魔化すことが出来なくなった。]
[何か分からないものが耳から入りこんで、頭の中をめちゃくちゃに殴りつけているようだった。脳みそにばりばりと爪を立てているようだった。目の内側から、鼻の内側から、頭の中ぜんぶがずたずたに引き裂かれているようだった。]
[目がやたらとぎょろぎょろ動く。
皮膚表面ぜんぶが毛羽立って、
この人を刺激しているようだった。]
[うるさい。]
あぁ、
[不死者のような声が漏れた。]
[しゃっくりのように、えずいた。 長い間隔を空けずに、何度もえずく。でも、何も熱い物は上がってこない。それでもいつか、この部屋に昨日みたいな汚物を撒き散らしてしまう気がして、背を丸めて腹を押さえて大きく息を呑みこんだ。腹大動脈が激しく拍動していた。]
[うるさい。]
[両手を額にあてた。持ち上がった前髪が、重力に負けて手へと下がる。ぐしゃりと前髪を崩した。ぶちぶちと髪を何本か引きちぎった。指先を強く皮膚に押しつけた。ぐりぐりとねじった。爪を立てた。ばりばりと引っ掻いた。ばりばりと…………]
[手を離して、見る。
爪に、皮膚の欠片と血が付着していた。]
[窓の外を見る。
3日目の朝だ。]
[あと何度か瞬いたら、がりがりと歯と歯を擦らせて、
ふらりと立ち上がって、部屋から出て行った。**]
【会議室前の廊下】
[その場は朝からやけに慌ただしく。掲示をしに来た彼女は逃げるように、けれど足を引き摺ってそれもままならないまま、部屋へと去ろうとしていた。
「隔離するはずだった女が居ない」
「逃げたのか」「浚われたとも聞くが」
そんな声が飛び交って、耳に響いて。
右足が重い。誰かを量るほど、音叉の力に影響されるほど。足が、身体が、鉛の様で。
胸を押さえてその場に膝をついた。
からん、乾いた音を立てて、杖が転がる。]
…
本当に…馬鹿な子…
[絞り出した声は、掠れて声になりきらない。
やがて、一人の研究員が彼女の肩を担いでいった。**]
【塔の裏、朝】
[朝露に濡れる草を、薄い靴が踏んでいる。
挟まっていた羊皮紙を片手に、少年は塔の裏手、壁に寄りかかっている。
一応小さな鞄を下げているのは、もし、兄が来なければ。ここに置手紙をしていくつもりだからだ。]
>>5銀
【塔の裏、朝】
[早朝の塔には出てきている研究員は少ないし、泊まりでも、まともな意識を保って起きている研究員は殆どいない。
静かなものだった。]
[塔の裏手へ回るための葉は、踏むとさくさくと鳴る。
さく、さく、さく、
それは人の訪れを教えるものだった。]
リコシェ。
[やはり、いつもの声がした。
けれど、現れたのは、普段よりぼさぼさの髪で、目は腫れぼったい瞼とはっきりと浮かんだ隈を持った姿だった。明らかに、もう3日ばかり眠っていないような。]
【街・小さな広場】
[ぐー、ぱー。ぐー、…己の手を握っては開いて、を繰り返して。
何度目を凝らしても、そこには魔力の痕跡も何も見えない。]
[最も疑わしかった人物は、音叉に浚われていったとは言えひとまず姿を消した。
音叉に危害を加えられた者も見つからなかった。
ひとまず、ある程度平穏な形で事が進んだように思えた。]
[だのに、なんだろう。このもやがかった気持ちは。
ぐー、ぱー。ぐー。
手を握っては、開いて、握っては、開いて、握る。でも。
―そこには、何の手応えもなかった。]
…もしか、すると。
[ある程度平穏な形で事が進んだかと思ったけれど。
これは一番まずい形なのではないか。
青年の前髪を、朝風が揺らす。
爽やかさの裏に、どこかぞっとする寒気を含んだような風だった。]
【魔術師の塔】
[早朝、羊皮紙をはりだしに来て、すでに張られていたサラの紙に、しばらく立ち尽くしていた。考え込んでいた。]
[浚われたのは、フラニーだけだと聞いた。
隔離するはずじゃなかったのかと問い詰めても、埒が明かない。]
[牢に置かれた紙を見る。手袋をつけたままの指でたどる。
誰の字だ。誰の字だ。聖痕者の顔が浮かんでは否定するように消えてゆく。]**
>>8銀
[がちゃ、がちゃ、がちゃ、
歩くほど、腰の剣が揺れた。]
[君の名を呼んだ以降、この人は唇を薄く開いたり、閉じたりして、何か言いそうで言葉を葉ッしない様子ばかり見せていた。ただそのままに、君へと歩み寄って行く。
眉間に皺が寄っている。この人の眉間にいつもうすく浮いていて、癖になっている怒り皺の通りに、はっきりと皺が寄っている。
やたらに多く瞬きを繰り返す目に、優しさは無くて、ただ君を睨んでいて、]
[質問には答えなかった。
君は、この人の、昨日から明らかに変わった異常な様子に、歩み寄る足を止めたかもしれない。]
[それでも、もう、十分に近くって、]
>>8銀
[一閃。
腰の剣が引き抜かれた。]
[君が動けなければ、首筋にぴたりと当てる。
君が動いても、追い詰める目つきのままで。]
仲間に声をかけるな。
[低い声で。
今、ここで。
意識裏で、そのうるさい"波動"で。
仲間と心が通じ合っていたとしても。]
【街道・早朝】
[掲示板の張り紙を思い返しながら、帰路についていた。意識しなければ、足元ばかり見てしまうので、睨むように前を向いていた。【音叉】が、あの、姉のような人を連れて行ったという。隔離より早く、どこか、預り知らないところへ。彼女は音叉ではなかったという。犯行宣言。勢いづいたような散文。歯がかちりと鳴る。]
[――ちがう。]
[間違えた筈がない。まだ、躓いてさえいない。そのはずだ。彼を、信じているから。
それだから、案じてはいけない。悲しむ権利はない。自分で選んで決めたから。一度立ち止まり、ゆるゆると首を振る。幸いにして人通りは少なかった。]
……ラニーねぇは、
[音叉に浚われたんじゃない。音叉が匿ったんだ。それだから、無事で居るはずで。またそうして、考えてはいけないことを考える。『疑うことは大変。』その言葉が何度も聴こえる気がした。]**
>>13銀
[君のまっちろな首筋に、ひやりとした金属があてられる。これを思いきり引っ張れば、きっときみは死ぬ。青年は圧倒的優位だった。なのに、彼はどうにも、両手が震えていた。きっとこれは睡眠不足のせいじゃない。まなこと、唇も震えていた。きっとこれも睡眠不足のせいじゃない。]
[もう片手で、僅かに君の肩を押した。君が最初立っていた壁際へ、移動するように。方向転換は許されない。ただ彼はゆっくりと、真っ直ぐ歩く。君を壁に押しつけようと。]
[君の犬歯を見た。
震える口端がぴくりと痙攣するように吊りあがって、彼の犬歯もまた覗いた。けど、これは笑みじゃなくて。]
なぜだ。リコシェ。
なぜ、平穏をこわす。
>>15鉄
[生ぬるい朝の空気の中、その鉄は犬に嵌められる首輪よりも冷たい。それはもう、目も覚めるほどに。
けれど少年はしっかり起きていたし、だからこそ、あなたを赤い瞳で見上げていた。
剣が首に当てられているのはこちらなのに、命を握られているという側なのに、何の感情もないかのような淡々とした赤い瞳が、震えるあなたを見上げていた。]
[押されるまま、何の抵抗もしなかった。トン、と壁に背が当たる。それは剣よりもぬるい。
完全に追い詰められているのに、何も、感慨のない表情であなたを見上げている。]
──平穏に、したい。から。
[それだけ、一言。]
でも、そっか。
お兄ちゃんが、【星読み】。なんだね。
なんで。ぼく、を。読んだ、の?
>>16銀
[頭にもやがかかったようだった。
でも、それもきっと、睡眠不足のせいじゃなくて、]
[君の背を壁に押しつける。君の喉から頸動脈にかけて、刃をあてる。君の肩越しに、壁に片手をつく。確実な脅迫と、生命の確実な掌握だった。
けれど、彼は怯えていた。自分が覆いかぶさるように見下ろすそれは弟である筈なのに、弟ではないかのように、この状況に酷く無感動で、いっそ無関心なようにさえ見えた。]
["平穏にしたい"
この言葉に、眉間の皺が深まった。眉を吊り上げ、]
きさまは──きさまらは、平穏を奪ってる。
何も無かったんだ。何も。
全てを乱したのは……… ["おまえだ"]
[低く。唸るように。絞り出すように。
怒りに満ちて。震える声で。]
そうだ。
俺が【星読み】だ。
俺は、
欲しかった。
身近な人間を、絶対的に信頼できる保証が。
[なのに、]
>>17>>18鉄
[ただただ、無感動にあなたを見上げている。いわば。確かにやるべきことを見つけた時の、迷わぬ表情で。
「おまえだ」。そんな言葉に、はじめて視線が伏せられた。それは後ろめたさからではなくて、ため息を一つ、吐き出すためだ。]
平穏、じゃ。ない。
そう、だね。何も、なかった。ううん。
なにも、ない。
[ため息の中に混じった呟きは、まるであなたの震える声とは裏腹に、ひどく静かだ。
そして、また赤い瞳があなたを捕える。少しばかり細められて、あなたを眩しげに、どこか嬉しそうに、]
ぼく、は。信頼、できない。
──嬉しいよ。お兄ちゃん。
はじめて。
ぼくを、みてくれて。
>>19銀
[ひく、ひく、と、目尻が、口端が痙攣した。
音もしないくらいに、小刻みに打ち合う歯の隙間から、細く、細く、息を吸い込んだ。]
何も無いから。
何も無いから、やったのか。
何も無いことが、不満だったのか。
人々の心を乱すことが平穏か。
俺がッ、 こうやって ッッ、
お前の首に刃を立てていることが平穏かッッ!!!
[荒声を普段発さぬこの人の、この十年間。
一切発されなかった怒声が、激しくぶつけられる。
息荒く、荒く、何度も肩を上下させ、剣を握る手を震わせながら。]
──………。
[首に剣を突きたてられているのに。
君が嬉しげに目を細めるのは、ただただ困惑だった。
けれど、次に続いた言葉は、どんよりとした闇のようにこの人の心に染みて、
深く、深く、息を呑みこまさせた。]
一瞬だけ、目に悲哀を浮かばせて。
首を横に振って。
少しだけ、瞼を浅く伏せる。]
仲間は誰だ。
>>22 >>23銀
[何度も、何度も、胸が上下した。
汗がふき出した。朝引きちぎったばかりの額の傷に滲んだ。
熱い息を吐き出した。瞬きを繰り返した。]
[君の言葉が紡がれる。
これから君が言い出そうとすることに、"やめろ"と言いたかった。
けれど、薄く唇が開閉するだけで、
言葉は出なくって、震えるばかりで。
"やめろ"と言いたかった。]
───………
[ただ、悲痛に目を見開いたばかりだ。
まるで恐怖に怯えるように、歯を噛んで、眉を下げた。
脚が震えた。膝から崩れ落ちそうに。]
>>25>>26>>27鉄
[まったく落ち着いていなくて、感情にぐらぐらと揺れるあなたとは正反対に、少年は叫びを終えてすら、ただ静かにそこにいた。チリと鳴っていた鈴すら、もう、今は鳴らない。]
──……。
[目を閉じたまま、微動だにしない。太陽に照らされて白い顔は、恐怖にも怒りにも染まらぬまま。
ただ、あなたが「仲間」について尋ねた時、笑ったのだ。あきらめにも似た色の笑みで。]
[剣の柄が鳴る音に比べれば、ほんのかすかな音の鈴の音。それは胸元を滑った剣のせいで、ようやくその赤い瞳をうっすらと開けた。
赤く筋のついた首筋がピリピリと傷むけれど、項垂れるあなたを見上げる。
ゆっくりと持ち上げられた手は、項垂れたあなたの額の傷を撫でようと。
尤も払おうとするならば、それは容易く払われてしまう程度の、緩やかな動きで。]
>>28銀
[先程の、激昂しきって、あるいは、焦燥しきった態度とはあまりにも正反対に。彼は、全身の全ての力が奪われてしまったようだった。最早この人から、君に迫った時に見られた明確な殺意や、君に怒鳴った時に見られた明確な敵意は、完全に失われていた。
ただ、無力に、例えば大切な人を失った瞬間かのように、呆然と立ちつくしていたのである。
剣を握っていた手はぶらりと下げられ、指先がヒクヒクと震えていた。]
[さわ、と。
幼い少年の柔肌が、額に触れた。
君が触れると、動脈の拍動は激しく、頭痛は酷くなった。
けれど、撫ぜられるままで。
君の白指に、微かな血が付着した。]
……ぼっちゃんを。
ぼっちゃんだけは、傷つけないでくれ。
どうか。
あの方は、俺の、歩く"意味"だから。
>>29鉄
[すっかり力を失ったようなあなたを見上げて、額に触れる。指先に血が付く。
指についたそれを見下ろして、ぺろりと舐めた。
少し間が空いてから、また、ちゅぱと舐めた。もう、何の味はしなかった。]
[お兄ちゃん、と言いかけて、口を閉じた。また、開いた。]
アンブローズ。[慣れない響きだ。確かめるようにアンブローズ、ともう一度口の中で繰り返した。]
アンブローズ。
どうして、そう。してる、の。
もう。ぼく、は。
あなたの、弟。じゃ、ない、んでしょう。
言う、こと、が。違う、んじゃ。ないの。
ぼく、を。“隔離”して。
リュミ先輩を、守る。そう、言う。べき、じゃ。ないの。
>>30銀
[両の手を握り込む。肩が強張る。頭を垂れたままに、強く唇を噛む。
ふわりふわりと、額のために、ついでに頬に触れる柔肌の感覚が、消えて欲しくなかった。]
違う。
違うんだ。
俺は悔いてるんだ。俺の今までを。
お前が生まれてきてからの、俺の全てを!
俺が"お前"に気付いていれば。
俺がお前に甘えッ放しじゃなかったら。
お前は、きちんと"お前"になれたのに。
お前は認められて、リコシェになったらしい。
アンブローズと呼びたければ呼べばいい!
けれど、お前自身がどうだろうと、……
お前は俺が幸せにしてやりたかった、
大切な弟に他ならないんだ……
[顔をひきつらせて。ぼたぼたと、涙が零れる。頬を伝って落ちた。]
ごめんな。
ごめんな、リコシェ。
俺が助けてやれなかったせいだ。
もう。
行ってくれ。
>>31鉄
[咥えていた指を唇から解放して、じっとあなたを見つめている。
あなたの頬が濡れるのには、目をつむった。けれど、すぐにあなたを見つめた。
少しばかり眉はひそめていて、けれど、まっすぐにあなたを、赤い瞳で見つめた。]
──……お兄ちゃんは。
やっぱり。お兄ちゃん、だ。
いいけど、さ。知ってる、から。
どうしよう、かな。
仲間に。話すな、って。言われたし。
ぼく、ひとりで。きめて、いい、ことじゃ。ないし。
お願い、のこと。後で、答える、よ。
[それだけ言えば、一歩、あなたからずれるように踏みだして。三歩、歩いて。一度振り返った。]
お兄ちゃん。
[呼んだ。けれど、それきり何も言わず。さく、と足音が遠ざかって行くだろうか。**]
>>33銀
…… っぐ、 ひ、ぅ、
[肩を震わせ、眉と瞼いっぱいに力が籠り、絞り出すように涙が溢れ出てくる。もう涙なんて、十何年ぶりに出したか分からなかった。もうとっくに大人なのだから、泣くなんて恥ずかしい、と思うことさえしなかった。自然のままにしゃくりあげ、洟を啜った。
悲しくて、悔しくて、申し訳なくて。
表情薄く、凡そただこちらを眺めるだけの君と対比すると、滑稽に見えたかもしれない。]
……… ……。
……。
[彼の淡泊な回答には、項垂れて、洟を啜るだけ。]
["お兄ちゃん"]
[壁に、手をついた。]
(俺じゃ、 だめなんだ。)
[足音を、背後にずっと遠く聞いていて、
振り返りもせず。]
[頭を壁面に押しつけ、
ずる、と、膝から崩れた。**]
[青年は、ずうっと、ずうっと、広場の隅にある木の陰に座り込んでいた。
手応えのないものを握ろうとする掌に落とされていた視線はゆるやかに下降して。
そのまま何かに縋り付くように項垂れた頭は、いつかゆらりゆらりと舟を漕ぎ始める。]
[意識がまどろみの中に落ちる直前、どこか遠くで。
獣の、咆哮を聞いた気がした。**]
>>38銀
[扉が開かれれば、明らかに今朝より、一層疲れたような様相の人が立っていた。
君がにこりと笑えば、ひく、と口端だけ痙攣するように上がった。
室内へ足を踏み入れ、君に誘われるがまま。一瞬躊躇ってから、ベッドへ座った。]
ああ。
……正直なところ、まだ迷ってる。
最大限お前に償える方法と、
ぼっちゃんを裏切らず、お守りする方法。
その二つで、ずっと揺れてる。
>>40銀
[ベッドから神経質そうに脚を揃えて、腿の辺りで手を組んで、背は殆ど真っ直ぐなまま君を見る。使用人の、いつもの姿勢のくせだ。]
……。
[君が前置いたような言葉には、ただ黙っていた。当然だ、とも、そうだ、とも答えるのは、非常に当たり前だと。
ただそこから君が言い出す言葉を待っていて、──]
──……
本当だな?
[もしそれが今すぐに嘘だと判明させらたら、きっと剣を朝みたいに首筋に当てることじゃすまなくって、君の首を怒りを以て掻き切るだろう。そんな、深く用心深く探る目つきと、静かな声の調子で。]
>>42銀
[対照的に、この人は鋭い緊張を持っていた。眉と目頭に、力が籠っていて。]
もう一つ約束しろ。
俺が例え"お前ら"の手に堕ちても。
"俺"が"俺"じゃなくなっても。
その契約を遂行しろ。
[強く。何らかの確信を持った声で、]
それならば、条件を聞こう。
>>44銀
[頭痛が酷いときと、まだましな時がある。今はその中間くらいだ。君が会話をしていないんだろうとは、何となく分かった。
それでも、君は波動を持っている人間だから、弟じゃなければくびり殺したいくらい頭痛の原因だったのだけれど、]
…… ……。
言え。
>>46銀
[大体。予想していた。大方そんなものだろうと。俺の能力を悪徳に利用したものだろうと。
けれど、予想できていても、実際に言われた瞬間には、ひくりと口端が痙攣した。僅かな怒りを帯びたような。]
[だが。返す言葉は決まっていた。]
ああ。
[その一言より数拍置き、また口を開いた。]
決して、約束は違えるな。
ぼっちゃんに手を出したなら、俺は………
お前を弟と思わない。
首を斬って、殺してやる。
>>49>>50銀
[片手を首に添える。僅かに震えていた。怒りと、恐怖のせいで。]
[もう何も、言葉は返さなかった。立ち去る君の背も見なかった。
ただ自分の脚を見下ろしていた。]
[扉が閉まる。]
[この時。
怒りと悲しみと恐怖に混ざって、この人に喜びと安堵の念が無かったと言えば、全くの嘘だ。]
[君が去ってから、腰の剣を外し、掻き抱いた。
背を丸めて、がくがくがくがくと大きく身が震えた。]
( [──勝利した!勝利した!!勝利した!!!] )
[目を見開いてにまりと口の端を歪めた。
犬みたいに荒く、苦しくなるくらい激しく呼吸した。]
( [私は勝利、勝利致しました、旦那様、
ぼっちゃんを御守り致しました、旦那様!!!] )
( [私の罪でぼっちゃんを喪えば、幾らでも罰をお受け致します、
死を以て償いの念を表明致します、] )
( [だが、だが、だが!!!] )
…………!!!
…………………… ふ、ふ、ふ、
[腿に剣を置き、首を上げた。
かくりと頭を天井へ向け、引き攣ったように口を開いた。]
( [俺の能力と、魂と、徳と、精神と、全てを以て、] )
( [俺は………全く………
護るべきものを……護ったぞ………!!!] )
ハ…… ハ、ハハハ、ハハ、
ハアーー、は、はははあは、は、は、は
ひ、ひひひ、ひひ、ひぃ、ハアーーーハアーーーー……
[規律なく、肩を揺らす。
浅すぎる呼吸と笑いのまじった声を。
ひくひく震える頬と吊り上げて、ただ漏らした。]
[布団を一度殴りつけて。
抉るような視線を無意味に走らせて。]
[恍惚に、悶えた。**]
[震える手で、構えていた弓を下ろす。
あの張り紙を見た瞬間、全身から血の気が引いて行くような感覚を覚えた。]
…どうして。
[穏やかな青年にしては珍しく、怒りを露にして壁を殴りつける。
壁にぶつけた拳は、ちいさく震えていた。]
【魔術師の塔・裏庭】
[裏庭に立つ大きな木の陰に、息を潜めるようにして立っていた。
その手には、使い慣れた弓と矢が握られていて。
全身の神経を研ぎ澄ませて、いつやって来るのか、そもそもここに訪れるのかすら分からない、その人が来るのを待っている。
俯く瞳は、そよりと吹く風の流れを読んでいた。]
>>57
【魔術師の塔・裏庭】
[この人はもう、主人から殆どの仕事を免除されていた。何故なら明らかに瞼が腫れていて、目が落ち窪んでいて、真っ黒な隈が浮いていて、顔色は真っ青で、髪はぐしゃぐしゃで……どう見ても、酷く疲れていたからだ。]
[かちゃり。
剣が鳴った。
この人は、裏庭に足を踏み入れている。]
[裏庭にやって来た人影が待っていたその人―あなただと分かると、青年は、静かで、それでいてはっきりとした口調で声を発した。]
―動かないで。
[一言。
あなたとの距離が遠かろうと、近かろうと。
つがえられた矢の先は、あなたの頭の方を向いている。]
きみは…誰かに言われてあんな事を、あんなでたらめを書いたの。
それとも。
>>59隠
──……。
[君が先に居たことなんて、ちいとも気付かなかった。それは疲れのせいか、単なる怠慢のせいか、あるいは何らか心の乱れのせいかは知らない。
ぴたりと身体を止めて、声がした方へ顔を向けた。斜め前で、少し離れたところ。少なくとも、剣の間合いからはずっと外。]
[矢が確実にこちらを狙っていることを視認すれば、痙攣するようにヒクと口端が歪んだ。この青年の様相は、数日前、君と互いに溌剌としたやりとりをした時から、まるで別人のように変わっていた。
亡霊のような目で、不気味に君を真芯に見つめる。]
仕方ないことだ。
俺は【星読み】。
だが、その身を聖痕に捧げたとは限らない。
>>60鉄
[間合いは十分。いつでも矢を放てるし、圧倒的に有利な距離だったけど。それでも青年は風を読み続けて、あなたの急所を最短で狙える道筋を探していた。あなたが【音叉】だと分かれば、いつでもこの手でとどめを刺せるように。]
[ようやく、あなたと目が合う。
数日前に見た顔よりもずっと変わってしまったそれを見て、つがえた矢の先が揺らいだ。
それから、あなたの言葉を聞いて、切れそうなほど張っていた弓の弦も緩んだ。]
…それなら、どうして。
[泣きそうな、震えた声で、信じたくないとでも言うように呟いて。弱々しくつがえた矢の先が揺らいで、やがて弓も取り落としてしまった。]
嘘を吐いてでも護りたいものがあったなら、そんな事をしなくても…
ぼくに、言ってくれれば良かったんだ。
>>61隠
[自分の生命を、君が握っていることは理解していた。君が目一杯に引いた弦を、自由なタイミングで離せば、例えこの種族の人でも、反射は間に合わずに致命傷を負った。
けれど、矢に関して、恐怖はその目に見られなかった。それをしっかりと見据えていた。自分の死などどうでもよくて、]
[どうして、などという問いかけに、浅く目を伏せて、首を小さく横に振った。
矢がコツンと微かな音を立てて落ちれば、ゆっくりと、君に向かって歩み出した。]
【牧羊犬】──か。 [深く、沁みるように、]
皮肉なものだよな。模造の犬に、蹴り落とされて。
[きっと、君の傍にまで来て、]
知らなかったんだ。
すまない。
[ただ、そうとだけ。
けれど、もう"事"は済んでしまった。]
>>62>>63鉄
そう…だよ。
[「牧羊犬か」。そう言われれば、震える声で肯定した。
本当に、皮肉だ。ぎり、と奥歯を噛み締める。]
―…ローズ、きみは!!
[突然、塞き止めていた水が溢れだすように、大声を上げた。自分が聞きたかったのは謝罪なんかじゃない。傍に来たあなたの胸倉を、小さな傷がいっぱい付いてささくれ立った手で、力の限り掴む。]
…最後まで、諦めないって。決めたんだよ。
いまなら……今なら、まだ。戻れるよ。
さっきの言を撤回して、本当のことを言って…きみを誑かしたやつの名前を明かせば、まだ。
きみだけじゃなくて、他の皆にもいい形で、事が進むよ、ねえ、
[安直な考えだ。これを伝える声も涙声で震えてて、最高に情けなかったけど。掴みかかった手は、むしろ縋り付くようにあなたの服の肩口を握っていた。
すん、と鼻を啜りながら、たのむよ、と。半ば駄目押しでもするように呟いた。]
>>64隠
[君が激しくこの人の襟を掴み上げれば、がくりと、まるで首の据わっていない子供のように頭を揺らす。不死者のように、真っ黒な隈の中で、緑色の目がぎろりと君を見つめ返す。]
[ひく、ひく、と、口の端が震えて、吊り上がった。]
フ、
ふ、ふ、ふ、 ふ、
ミリオ。俺はな。二つのものの為に動いてる。
一つは"俺の人生そのもの"で、全く素晴らしい聖痕者だ。
一つは"俺の人生に代わるもの"で、俺に条件を提示した音叉だ。
俺に"皆"なんて関係ない。
ただ俺が護るべきもの、
その二つを護る行動はこれだけだった。
だから離れろ。ミリオ。
あるいは。
俺を殺すか。
>>65>>66鉄
[ぎろりと見つめ返されても、目を逸らす事はなかった。ただ、瞳の奥はいろんな感情に揺れていて、濡れていて、その眦も充血して赤くなっていた。]
…ローズの人生そのものだって言うひとは。
ローズがこんな事をしたって聞いたら、うれしいって思うのかな。
きみはもう、やる事は全部やったみたいな顔してるけど。
ぼくには、ただのエゴにしか思えないよ…。
この距離で僕がきみを殺せるって思うの。
きみは、確かに悪い事をしてるけど。
【音叉】じゃ、ないんでしょ。殺すなんて、できない。
…。
[ぱ、とあなたの肩口から手を離す。離された手はそのままだらりと下に落ちた。縋り付くようにしていた肩口や胸元には涙で濡れた跡があったかもしれない。]
[誰も居ない会議室。貼り出された新たな文書。新たな【星読み】を名乗る者。そして槍玉にあげられたのは、昔からの友人だ。昨日、俺を信じると言ってくれたその人だ。]
……ああ、
[心優しく繊細な彼だ。その苦痛はたえがたいものだろう。俺も彼を信じていたから、そう思って心を痛めた。――かわいそうに。かわいそうに。]
……みんなバラバラだから、こんな思いをするんだよ。
[ぽつり、そう呟いた。みんなおなじになれればいいのに。]
【自宅】
[穏やかな声音の歌声が、台所から居間へと漏れ響いている。]
――〜〜〜♪♪♪
[今日は良い石榴の実が手に入ったんだ。包丁を片手に艶のある赤い実を、うっとりと見つめる。弧を描いた唇から「はあ」と吐息がもれた。なんて美しい赤色だろう。]
[ちゅ]
[すべらかな果実の表面にキスを落として。包丁でざくりと頭と尻をおとす。皮の表面に放射状の切れ目を入れて、水を湛えた木桶の中でばくりとその実を割った。艶のある皮の下にはぎっしりと赤い粒が詰まっている。これをグロテスクだと言う人もいるが、俺は綺麗だと思った。]
……♪ ♪♪
[割れた実に、ずぷと指をつっこんだ。優しくひっかくように粒を掻きだしていく。ぞるり、ぞるりと掻きだしていく。内臓のように掻き出された赤い粒は、ぷつりぷつりと木桶の底にたまっていった。粒を掻き出すのが楽しくて、自然を笑みを浮かべた。]
>>67隠
[服を捕まれたまま、この人はだらんと両腕を下げてばかりいて、剣に手を触れようとはしなかった。しかし、君の瞳が哀しみに満ちる一方で、この人の瞳は自らの魂を燃料として燃やしているような迫力を持っていた。]
"あの方"に知らせる必要は無い。何も。何も。
主人を陰から支える者が、俺たち従者だ。
ただ何も知らず、この事件を無事に終えて下さればいい。
[力が籠った声を、極力静かに告げたが、──君が服を離せば、この人の目尻は、ぴくりと震えた。怒りを表すように。]
──そうだ、エゴだ!
俺がエゴを発露して、お前を陥れようとしているのに。
お前は綺麗事を抜かして俺を見逃すのか?
[屈んで、君が落とした矢を拾い上げた。
それを差し出しながら、もう片手で自分の心臓部を示した]
お前が本当に"皆"のことを想うのなら、突き刺してみろよ!
俺の心臓はここだ。聖痕はここだ。
【音叉】なんて関係ない!
こんな屑野郎は殺して、"皆"を利益を与えてみろ!!
[ヒステリックに叫び、]
[置いておいたパイ生地に手を伸ばして、バターを塗った皿にのばしてゆく。窪みを形成するように整えていく。おいしいと笑みをつくってくれる人のことを考えながら、とろりと窪みにクリームを流し込んだ。
ぽつ、ぽつと。クリームのうえに赤い粒をおとしながら。愛する人々の笑顔を思い出していた。その度に胸の内側に、赤くて甘い感情が満ちていくのを感じる。]
[甘やかに、笑う。]
[はみでた生地を整える。おいしく食すならば、見た目にも気を配らなければならない。歪な生地が、赤い舞台の美しさを損なわぬように。パイの形を綺麗に整えたところで、手の甲で額を拭う。ぺちゃりと潰れた果肉の赤が、聖痕を汚した。]
[火を入れたオーブン窯にパイを閉じ込めて。]
♪ ♪
♪ ♪
♪ ♪
♪
[汚れを落とすと、椅子に腰かけてパイが焼けるのをじっくりと待つ。ぱたぱたと足を揺らして。唇から零れる歌声が、甘いにおいと一緒に部屋に充満している。]
【魔術師の塔:掲示板前】
[掲示板に新しく張り出された紙を、反芻しながら読んでいた。
ゆっくり。文字を噛み締めるように。
昨日中、歯噛みして待ち望んでいた内容だ。ヘール以外の誰かが【音叉】である、ということ。]
……。
[攻撃的な文字に目をやる。ぼんやりと昨日の自分に重なって、湧いてきた羞恥心に思わず目を閉じた。
これ以上は、何が目的であろうと、意味がない。そう結論にたどりついた。
自分が張り出した羊皮紙に、手早く訂正をし、その場を去った。]**
>>70>>71鉄
[突然あなたが叫び出すのを聞くと、青年は驚いたように目を見開いて。さっきよりも大きく、瞳の奥を揺らした。頬をぽろり、と落ちる一滴。]
……あっ…、
[矢を差し出されても、小さく呻くだけで。青年は何も言えなくなってしまった。震える手で矢を受け取り、ぼうぜんとした表情でそれを見つめる。
「突き刺してみろ」、その言葉がぐわんぐわんと頭の中に響いた。
皆を守るために、【音叉】ではない彼を手にかけてしまうのか。自分が、僕が、この状況でやるべき事は、]
―――ローズ、っ!!!
[いやに生々しい音を立てて、唾を呑み込む。それから、からからになった唇をぎゅっと噛み締める。ぷつり、と薄い皮が破れて血が出てきた。]
[青年は、ぐあっと、目いっぱいに矢を掴んだ腕を振り上げて。]
[ぽろ、と。矢を、また取り落とした。]
[そして。
弱々しい拳が、あなたの心臓のあたりを叩いた。]
>>69〜 塵
【自宅】
[その張り紙をした帰り道。
甘いにおいが家の外までたちこめていて、思わず目を細めた。
いつもの、帰ってくる場所。長いこと住み続けた住みかだ。
扉に、手をかける。開く。香ばしい香りと、料理をしている湿っぽい空気がわっと頬に触れる。
いつもと、同じだ。]
ただいま。ヘール、またパイ焼いてんのか?今度はどこに配るんだ。
…弁当うまかった。手紙、ちゃんと気づいてくれたんだな。
[そう、声をかける。服についた埃を落としながら。]
>>76 >>77隠
[心に溢れ返った鬱憤を投げつけるように、叫んだ。君の涙を見ても、噛んだ歯から熱い息を何度も吐き出すばかりだった。君に矢を渡せば、両腕を軽く掲げて、身体の左右へとやり、俯く。一切の抵抗も示さない姿勢。]
[目は伏せられていた。君の動きは見ていなかった。]
[叫びの後。何拍だろうか。静寂があった。
そうして心臓が叩かれた。
それは刃でなく、はたまた武器たる拳でなく、]
[目を開いて、顔を上げて、すぐ目の前にいる君を見た。
その目は酷く──がっかりしたような目で。]
だから、お前は。
俺なんかに負けるんだ。
[自分から離すため、君の肩を軽く押して、]
俺は【星読み】。
ミリオは【音叉】だった。
[踵を返して、歩き出そうと。]
>>82 塵
俺は実験台かよ。ヘールも同時に、同じ量ならかまわねぇけどな?
[向かってきて、顔が見えれば、毎日のこととはいえやはり安心する。今日も元気そうだ、と確認できて、いつもほっとする。]
あー、飲むもんはいい。喋れなくなるからよ。
もったいぶることでもねぇし、さっさと話していいか。
…ヘール。俺な、嘘をついてた。
知ってたか?
[いつも自分が座っている場所につけば、相手が座るのを待たず、そう切り出した。]
>>80鉄
[あなたのがっかりした目は見てなかった。
肩を軽く押され、力無くよろけて、先程弓を取り落としたあたりに情けなく尻餅をつく。
俯き顔からは小さな啜り泣きさえ聞こえたかもしれない。でも、]
まだ…負けてない。
…ぼくは、僕は。
[青年の目にはまだ小さく光が宿っていた。震える手で弓を取り、矢を静かにつがえる。
その矢の先は、あなたの心臓の裏っ側に向いていて。]
僕は、【音叉】なんかじゃない…!!
[歩き出そうとするあなたの背に、
矢を、放った。]
[「だからお前は」
「俺なんかに負けるんだ」]
[なんて言葉を聞いて、かっとなったとか、ばかみたいだ。]
[僕は今、取り返しのつかない事をしているのかもしれない。]
[風に乗って真っ直ぐ飛んでゆく矢を見送りながら、どこか他人事みたいにぼんやり思った。]
>>84 塵
悪ぃな。すぐ済む。
…俺は【星読み】じゃない。
お前が音叉なら、とうにわかってたことだろうけどな。
[椅子を引いて座る相手に、頬をこわばらせながら、苦笑い。]
フラニーが、お前が【音叉】だって貼り出したのを見て、カッとなってさ。俺もバカなことしたよなぁ?いつものことだけどよ。
お前が隔離されたりしないようになるまで、ずっと嘘つくつもりだった。
…でも、アンが自分も星読みだって言い出してるのみて、もう意味ねぇなって思って。
嘘吐きは俺です、って貼り出してきた。
[おどけるように、肩をすくめる。何かの笑い話のように。
それでいながら、相手の目を見返したまま視線をはずさない。]
>>85隠
[もう、君には失望しきっていた。隈の内側からジロリと君を見た目は、君には最早何も期待していないような目だった。だから、ただ肩を押したばっかりで、それのみで無防備に背を向けた。]
[既に歩き出していた。背後から、洟を啜る音が聞こえた。
無関心だった。けれど、]
────、
[ある時、頭巾の下に隠された獣耳は、はっきりと弦を絞る音を聞いた。]
[ど、
その音は、木製の的を射った時とは少しばかり違って、
艶めさがあった。]
>>鉄、>>86隠
乱入は、その時に行われた。
ミリオの射た矢は、正しく心臓を射抜いた。
――不意に物陰から飛び出した、狐の心臓を。
>>85隠 >>89狐
[この人は振り返ったばかりであった。
この人に矢は突き立たなかった。]
[その矢は、狐に突き立った。]
[この人は呆然として、振り返った姿勢のまま、
少しばかり立ちつくした。
そうして、ようやくその狐が、いつか自分の僅かながら対話をした狐だと気付いて──言葉を漏らす。]
なぜだ、
>>88鉄 >>89狐
[自分が放った矢が、いつも的に打つものとは違う――たとえば、狩りに成功した時みたいな、そんな確かな手応えを持ったのを青年は自覚した。]
[でも、アンブローズの背に突き刺さったと思った矢は。
いつもじゃないけど、森で、何回も触れ合った、青年にとっては大切な仲間の心臓を。
無慈悲なほど、きれいに射抜いていた。]
……なん、で。
[からん。音を立てて弓が地面に落ちる。
青年は、絶望の淵に叩き落とされたみたいな表情で、狐のもとへふらふらと寄っていった。]
>>90 鉄 >>91 隠
狐は、どうと地面に倒れた。ひくり、わずかな痙攣。
致命の傷である。
優れて弓を扱う者の矢がもたらす、傷である。
命を打つ心臓、その動きに合わせて血がどくどくと流れる。
命とともに、流れ出る。
獣の気配を持つ青年が。森住まいの青年が。
狐に問うならば、わずかに彼は身じろぎして。
薄墨の文字が、時に赤く染まった文字が狐の体から流れ出る。
"Chcete-li se vrátit" "我回到以前" "Um wieder"
――かつてもらったものを。この場にて返す。
"Je reviens à la précédente"
"Niemand, so dass es nicht versehentlich"
――人が。誰も、間違わぬように。
"Ingen slik at den ikke feilen"
>>92 塵
昨日サラ婆さんに、考えろって説教されて。ようやくわかったつもりだけどよ。
…わかってねぇかもな。今度はそれこそ、猛獣の檻に入れられて餌にされそうだ。
[自嘲するように笑った。視線を伏せられれば、目を休めるように少し遠くの壁を見やった。少し沈黙した後、顔を戻して]
ヘール。 今日はお前に投票する。
変えるつもりはない。
[落ち着いた口調で、しっかりと。]
>>93狐 >>隠
[この人は狐に寄らなかった。その場にぼうっと突っ立ったまま居て。
流れ出た文字を、視線で追った。]
[そうか、どうやらこいつは、味方であるべき俺たちを、]
…… 人同士が、勝手に争うだけだ、
賢者のつもりか? 余計なまねをして。
[ただ狐に問うわけではなく、呆然と呟いた。]
>>93狐 >>鉄
あ、ああっ…あ、
[きみに深々と突き刺さる矢を抜こうとして、止めて、せめて何か応急処置を、と腰に提げた袋を震える手で漁って、中身を土の上にぶちまけていた。
もう、どう足掻いてもきみを助ける事はできない。
取り返しの付かない事をしてしまった。そう思う自分とそれを認めたくない自分がいて、しゃくりあげながらもなんとかしようとする自分がいた。]
[流れ出る赤と黒の文字を見なくても、青年にはきみの言わんとする事が理解できた。それでも。]
僕は、間違えてしまったんだ…っ、ローズを、きみを、
[ぽた、ぽた。
流れ出る赤と黒に、透明なものが点々と混じる。]
>>95 鉄 >>98 隠
"Ikke den kloke mannen. Jeg bor desperat"
――賢者はいない。この世にいるのは必死のものだけ。
"نه مرد دانا من به شدت زندگی می کنند" "Ja živim očajnički"
"Zvijer koja više nije u stanju pokrenuti Upravo sam umrijeti."
――ゆえに、走らなくなった獣は死ぬだけだ。
"Fiara, care nu mai este capabil să ruleze doar voi muri."
ゆっくりと目が閉じてゆく。
己をさしたのか、他の誰かをさしたのか、定かならぬままに言葉がこぼれる。
"supraviețui" "överleva" "Survive" ――生 き 、
――あなた方がもし彼の姿を見ているなら。
こと切れた狐の口から、何かほの白い光が漏れ始めたことに気づくだろう。夜、空に見出すものどもに似た、その光は、やがてふわりとひと塊となり、森の中へ迅速に駆け去っていった。
その形は、狐とも犬ともつかぬ、ぼわぼわと青白く輝く四足のものであった。
……その場所には、狐の亡骸のみが残った。
奇妙なことに、その屍は、これまでの君たちが知る狐のものから一変していた。
見事な毛並みは褪せ、白いものが混じり、毛が抜けたような様子すらある。体は痩せ、肉は細り、明らかな老化と衰弱、乾きが見て取れた。
その変化は、今さっき発生したようなものではなく、ずっとずっと昔から、そうであったかのようだった。
――獣に詳しいものならば、知っていたかもしれない。
野生の狐は、通常五年もたたぬうちに何らかの要因によって死を迎える。人の下で手厚く飼育されていてさえ長くて12年。
……この狐は、星降り事件以前、11年前から生存を確認されていた野生個体である。そして、星降り事件において、何らかの力を獲得したと推察される、個体。
もしかしたら、彼は。もうずっと以前から、狐ではなかったのかもしれなかった。**
>>96 塵
あぁ、それも含めて。悪かった。
お前さえ無事ならそれでいい、自分のことも周りのことも、全部投げ捨てていいと思ってた。
[ずっと、心中繰り返していた言葉だ。それでも、相手に放った瞬間、のどが一気に干上がった。 つばで、なんども湿らす。]
おい、ヘール、…
[立ち上げる相手を一度呼び止めたものの、台所まで追うつもりはない。戻ってくれば、短い嘆息。
パイに対しては一目見やり、あぁ、とうなづいただけだ。]
フラニーが本当のことを言っている可能性があるからだ。
…俺は、音叉を捕まえたい。
お前が音叉でもかまわないと思ってたよ。でも…
"ここ"にいないお前は。お前じゃない。
この場所だけは、守りたい。
…お前が、無実なら。
絶対に助けに行く。残りの音叉を全部ひっとらえて、居場所突き止めて、絶対に。その決心が、ようやくついた。
[相手の瞳は、いつもの鳶色だと。信じている。]
>>98 隠
そうだ、君には獣と心を通わせる力があった。
だから、狐の最後の心は貴方にはきっと感じ取れたはずだ。
貴方の涙を受けた狐は、最期の最後に、ほんのわずかに目を開いて。
≪いいんだ≫≪お前はお前のまま、で≫≪いれば≫
お前は望んで人を撃つようなものではない、と。
いつかの冬、軒先を勝手に借りていた狐に苦笑をした貴方。
戻れば、古ぼけた毛布が置いてあった。
いつかの春。足をくじいた時、軽い手当をしてくれた。
仕方がないので珍しい山草を差し入れてやった。
冬、いつの間にか、炉辺の近くで。
追憶のイメージが無数に揺らめき、貴方に届き。
そして、断絶した。**
>>98隠 >>99>>100狐
[そこに、突っ立ったまま、狐が狐でなくなる姿を見ていた。
眉を顰める。小刻み、目尻を震わせる。]
こいつが、ミリオが、
俺を殺すことができたら。
全ては好転したんだ。
俺は間違えてなどいない。
ミリオも、また、間違えてなど。
ただ全てを好転させるための手段は、
俺を殺すことだったのに、
[微かに震える声の中、"おろかな"と、言葉が零れた。]
[走っていた]
[遅れる右足の重みが痛みに変わっても]
[いつか感じた予感より、ずっと強いものがあった]
[かつての絆は友の異変を伝え]
[今また命の灯が星と流れて消えようとしている事を伝えていた]
[やがてままならぬ二つの足にしびれを切らすように]
[いつしか四つ足で駆ける赤い獣がそこにいた]
【魔術師の塔・裏庭】
>>鉄>>隠>>狐
[咆哮と共に裏庭へと藪から飛び出した一体の赤茶のイタチが]
[貴方達の目の前で見る間に一人の老婆へと変わり立ちすくみ]
[息を切らして二人と一匹とを見ていた]
―――… …
[刺さった矢と、抱きとめる人と、ただそれを見つめる人と]
>>99(>>102)狐
[きみの口からぼうっと漏れ出す光を、まだ行かないで、と言うように手で追う。
しかしそれは青年の手をすり抜けて、遠くへ走り去って。その背を見て、きみはもう違う世界に行ってしまうのだと確信した。]
[ぽろ、ぽろ。
青年の頬を伝って零れ落ちる涙が、変わり果てた狐の亡骸に落ちる。
そっと、からからになったきみを、意識下に流れ込んできた思い出とともに抱き上げた。]
…ごめん、ごめんね、ごめん、
>>鉄
[あなたが青年に声をかけようと、無視してこの場から立ち去ろうと。
青年はただ、腕に抱いた狐の亡骸を見つめていた。]
>>105獣
サラさん、
[赤茶のイタチがあなたの姿に変わるのを見て、息を切らすあなたを見て、
青年の瞳はまた困惑の色に揺れて、]
僕は……ぼく、は、
[腕の中の亡骸を見た。]
>>101鳥
まったく。兄さんはいつもそうだ。馬鹿だね。
[パイや食器をあなたの前に並べて。盆と一緒に持ってきていたティーポットから、飴色の茶をカップに注いですすめた。言葉尻の批難には、罵りというよりも悪戯した子供に呆れたような色が濃い。]
[ぎ][再び席について。]
……フラニーは、嘘吐きだよ。俺は音叉じゃないよ。
――って、一応言ってはおくね?
[ぢゃく、と音を立てて包丁の切先がパイに埋まった。ぢゃく、ぢゃくと手元に視線を落としたままパイを裁断して。あなたの言葉に耳をかたむけ続ける。]
――…ん。わかったよ。兄さんはそう思うんだね?
それなら、俺は待ってるよ。牢屋でも、それ以外のどこかでも。
寝小便垂れてた頃みたいに、縋って泣きわめく程子供じゃないしね。
[ちょっと衝撃はあったけど、とこぼして。ちゃく。丸い円盤が、ひときれ分欠けた。食べる?と小首を傾げてみせつつ。]
あと、兄さんはアンの事はどう思ってるの。
本物だと、思ってる?
【魔術師の塔・掲示板前】
[掲示板を見上げていた。羊皮紙一枚一枚を睨むようにしていた。微かに口が開いていることにも気付かず、しきりに目の前のものではない何かを指折り数えていた。増えた情報の一つ一つを飲み込む。激しい違和感がある。――足りない。音叉ではない人間の数が足りない。音叉はまだ二人。]
[【星詠み】が変わった。当然、よく知る人だった。深く眉根を寄せる。【音叉】として挙げられた、あの人と話さなければ良かったと思った。頭の中がごちゃごちゃとして、途方に暮れてしまいそうだった。"ヴァルにー"は、【音叉】ではないという。そして、ヘールだってそうだ。当たり前のことだ。]
……それなら。
[それなら。思考が口をつく。唇が渇いていく。全てが正しかったとなら、残りの音叉であるべき人間は、奇しくも二人共、絹のような髪色をしていた。
思い返した彼らが、陰もなく笑う。何かを酷く間違えている気がして、もう一度何かを数えた。]
>>105獣
[ミリオと狐にかけていた言葉>>103を、貴方も聞いたかもしれない。それは分からない。ただこの人は言葉に続いて、声無く薄く唇を開閉させていた。青白い顔に、困惑と衝撃に見舞われたことがはっきりと示されていた。]
[ミリオが声をかけて、ようやくこの人は貴方に気付いた。僅かに唇を舐めて、]
──……どうも。サラさん。
[言うことは何も思いつかなかった。だから、空虚な挨拶ばかりした。]
>>112獣
──"誰"も!
"誰"も、狐を殺してなんていませんよ。サラさん。
[急に、少しだけ声を張り上げて。やれやれというモーションを見せるように、ぶらりと両手を振り上げた。]
掲示板。見ましたかね。
俺が、彼に、ミリオに【音叉】だと言ったものですから。
放ったんですよ。矢を。
そうしたら、偶然、狐が飛び出してきたばかりで。
"誰"も、狐なんて殺していませんよ。
>>112獣(>>鉄)
僕が。
[質問に答えるべく、は、と口を開く。
言い出しこそすれど、その先は何かがつかえたように言葉が出てこなくって。
何度も何度もしゃくりあげるのを必死に飲み込みながら、さんざ泣きじゃくった子供みたいな声で呟く。]
僕、が。
ローズ、に、放った矢が。急に飛び出してきた、この子に。
あの子は、道を間違わないように、なんて、言ったけど…ぼく、は…。
[また、腕の中の亡骸に視線を落とす。]
…ごめっ、ごめ、ん、なさい……
[謝るとか、謝らないとかではないと思ったけど。
ただ泣きじゃくる子供のような声と顔で、謝った。]
>>109 塵
だぁから、いつものことだろ。
いつも元気で気が利く弟と、いつまでたっても体力ばっかりで頭の回らない兄貴。
[そう、近所の噂を口にする。気にもしていないのだけれど、あんまり聞こえよがしに言われるのでいやでも耳に入る。いつも仲が良くて離れない、なんて声も。]
…信じてる。でも、今日を逃したら、俺は二度とお前を疑えねぇんだよ。
許してくれなんて、言えたもんじゃねぇけど…悪ぃ。
よく考えてくれ、って張り紙に書いたけどよ。
昨日、散々フラニーが疑われてたのを考えると…票はどうなるんだろうな。俺にも入るかもしんねぇ。
…あぁ。お前が、俺を信じて待ってくれるんなら、頑張れる。→
>>塵(続き)
[肩をすくめた。パイを切る音を聞いていると、自分が弟を敵と疑っていたり、明け渡そうとしたりしていることを忘れそうになる。
心地よさから来る眠気と戦いながら、声を出していた。]
どうだろうな。言ってることは納得がいく。俺を読んだのなら、フラニーを隔離したい気持ちになったのもわかるしよ。
できたら、会って話がしてみてぇな。
…なんか俺ばっかり話してるな。ヘールの考えも言えよ。
[首をかしげて、そう問い返す。]
>>118獣
───……
[君の、射抜くような視線。それははっきりと確認した。ひくと口端が痙攣して歪んだ。それは作り笑顔のつもりだったらしい。が、黒い隈にふち取られた亡霊のような目つきはそのままだし、色の薄い唇は小刻みに震えるばかりだった。]
誰も。
間違えていませんよ。
[大きな声ではなかった。だけれど、確かに断言した。]
>>116 >>117鳥
そんなんで、俺が居なくなって大丈夫なの。
[ちゃんと戦えるの。なんて、ここにきてようやく恨みがましく言ってみせた。それもまた、軽口めいていて。心の底からあたなを責めるものではないけれど。]
許すもなにもないでしょ?俺はいつだって兄さんの味方。
親父とおふくろが、俺達を捨ててから。もう俺には兄さんだけだもの。
[パイを乗せた皿をすっと押し出しながら。もう一切れ、自分の皿に乗せる。乗せながら、考えるように。暫く何も言わずに。かちゃ、と包丁を盆にもどしてから。]
兄さんが、星読みじゃないなら。本物はアンって事になるね。
……でも、正直ミリオが音叉って信じられないってきもち。
でも、星読みは。そうだって言ってる。
どうしたものかね。
[パイに歯を立てて噛みちぎる。さくさく。ざくろは人肉の味がする……という伝承もあるけれど。はたして、その味は甘酸っぱくて。美味い。]
俺からみたら、フラニーはにせものだから……、
ミリオもフラニーには票入れてた。だったら、仲間を切ったことになるね。
>>119獣
[許しを請う子供みたいに泣きじゃくっていた顔が、【音叉】と聞けば凍りついた。]
…僕は、【音叉】じゃない!!
[ひどく感情的になって、まだ震える声で叫ぶ。
叫んでから、つい声を荒げてしまった事に対してすみません、と小さく謝って。]
僕は…【牧羊犬】です。
皆を護る…護る、はずだったんだ。
なのに。
【どこかの部屋】
[痛い。ずきずきと頭が痛い。
聞かなければいけないのに、体が重くて動けない。]
[読めない占いの、結末が知りたい。
そう願って引き摺る体は、ベッドの下に転がされて止まる]**
>>123獣
[貴方の悲鳴に、深く眉を顰めた。貴方とも、ミリオとも、微妙に距離を置いた位置から動かず。]
お辛いでしょうが。必然なんです。
貴方のお孫さん──フラニーさんは、
【音叉】に協力していた。
ただそればっかしですよ。
──そういう意味ならば。
そこの彼は、間違えています。
[ミリオを手で示した。]
【魔術師の塔・裏庭】
………いつの間にか。
ぼやぼやと薄白い、狐とも犬ともつかぬ、四足のものが。
アンブローズの後ろから彼を見ている。
死者が出るとか想定外なんですけどー!
>おきつねこんこん ルナール
地上でお墓RPしても構いませんし、「去る」実行されたら、智朗さんよろしくおねがいします。
>>121 塵
わかんねぇ。…でもお前のためになら、動ける。
けどよ…こんなのはもう、限界だ。弱っちいよなぁ。
[ひどく疲弊した表情を覗かせた。眉を下げて。]
薄情な兄貴ですまん。こんなとこまで、お前とは反対だ。
…だな。ほんとに、でかくなりやがって。
[に、と歯を除かせて笑う。パイには、しばらく手をつけず、じっとその照りを眺めていた。]
お前が無実なら、そうなる。誰だって、信じられねえよ。フラニーとアンのどっちかが確実に音叉側の人間だってだけで、もう信じられねえ。
だから、もう。フラットにする。音叉に集中する。
[眉根を寄せて。]
それ言ったら、昨日お前に投票したのはフラニーとサラ婆さんだけじゃねえか。サラ婆さんは【天秤】だ。ほかに本物が潜んでるってことも、もうねぇだろ。
……。なんで昨日、あんなに票が固まったんだろうな。
サラ婆さんだって、「ヘールをとっさに庇ったのかと思った」って、ほとんどばれてたのによ。
[困り顔には、安心させるように力強く笑ってみせる。いつもの癖だが、今は、中身がからっぽの笑み。]
【魔術師の塔・裏庭】
>>鉄、>>獣、>>隠
[その日彼は朝から体調を崩して部屋でずっと寝ていた。だけれど、部屋の外に出て向けられる昨日以上になんだか騒がしい噂話と視線に、逃げた先、何やら知った声が叫ぶようなのが聞こえた気がして、
青白い顔でもつれるような早足でそちらへとやってきた]
今の声、どうしたんです、……アン、サラ先生……それに、……
[何か不穏な三人の様子に、裏庭の手前で立ち尽くした]
>>126獣
サラ…さん。
[確かにあの時、あなたは「護りたいものを護れ」と、言った。
「分からないなら語り合わなくては」とも、言った。
青年はこの数日間、その言葉を支えに行動していたと思う。
ただがむしゃらに動こうとしていた青年に道を示してくれたのは間違い無くあなたで。
「矢を番えさせたのは私だ」と言われても、どう責めようものか。
何かを言おうとしても青年の頭の中では「ぼくが」で思考停止してしまっていて。
青年は、何も、言えなかった。]
>>128鳥
そんなこと言っちゃ駄目だよ。あきらめたら負けなんだよ?
[一口だけかじったパイを皿にもどして。]
薄情なもんか。
兄さんは、俺もみんなも助けようと。みんな背負って戦おうってしてるじゃないか。立派だよ。
[俺が女の子だったら、惚れるね? と軽口を吐いて。困り顔から一転。笑ってみせた。]
サラせんせいは……フラニーを信じたかったんじゃない?
誰だって自分の孫が、間違ってて欲しくない。人情だよ。
兄さんには言う機会がなかったんだけど。
俺、フラニーに読まれる前日にさ。あいつと話してたんだよ。
俺は、塔関係者に音叉がいるんじゃないかなって。
塔と音叉が繋がって、俺達の腹をかっさばく大義名分を得ようとしてるんじゃないかって。憶測を話したんだけど。
そしたら、俺が音叉だってさ。
[眉尻をさげながら、苦笑してみせて。(続]
>>130獣
[ひく、ひく、と、口端が震えた。目を細めて、貴方を真っ直ぐ見る。]
それで。
それを言いに来ただけなんですか。
貴方には、何が出来るんですか。
この状況下から、
何かを成すこととか、
何かを護ることとか、
あるいは全てを──無かったことにするとか。
全ては始まってしまったことなんですよ。
今更、そんな促し言葉だけで、
何かが解決するんですか。
[静かだった。けれど言葉には、確かな怒りが籠められていた。]
>>129銀
[その微かな鈴の音に対しては大げさに、びくりとしてそちらを見た。例え他の人の装飾品が鳴らした音であっても振り返っただろう。馴染み深い鈴の音を鳴らすその子のことを、思い浮かべていたのだから。口を湿すように数回、唇が震えて。]
……リコシェ。
[ようやく、名前を呼んだ。貴方には余り見せたことがなかったろうか、不安を貼り付けたような表情で。]
>>131光
[あなたの存在に気付いても、いつか見ただろう、素直で人の良い笑みを返すことはない。
ただ、青年は顔中に涙をへばりつかせて、
手にはしろい何かを抱いていた。]
>>131 光
"彼"はまだそこにいる。
アンブローズの背後に、言葉もなく佇む、実体のない白い四足の獣の影。
魔力の気配、星に似た気配。言葉も声も、何を示すでもなく。
>>狐
[彼は、その存在に気付いていなかった。]
>>131光
[その声が聞こえた途端に、彼は目を見開いて振り返った。その人は主人から仕事を免除されていたので、昨日今日は殆ど君と会わなかった。だから君は、この人の姿から、急速にこの人が異様に疲弊したように見えたかもしれない。]
──ぼっちゃん、
[彼が、眩しい光であるかのように目を細めて。
ただそれだけ、何か沁みるように呟いた。]
>>139獣
[名前を呼ばれて、"主"から、貴方へと再度振り返った。
その顔は先程の、怒りと、疲れと、微かな困惑で構成されたそれとは違っていて。
口元に、どこか優しげな笑みさえ浮かべているように見えた。
そうして、]
ミリオです。
[迷うこともなく、]
>>133 塵
負けるのは嫌いだ。
[眉を片方上げて。お前相手でも、とは言えなかった。
立派だとか、昔からそうやって、おだてられて。背中を押されて。
今日まで、この弟にもたれかかりながら歩いてきたのだ。
弟も自分を頼りにしてくれていると思うと、胸がいつも熱くなる。]
フラニーと?…そうか。
あぁ、俺も似たようなことは考えてたな…
お前、それ。当たってたんじゃないのか?もしかして。
サラ婆さんが天秤なら、残りは…
リュミールか、アンか、リコシェ?
[疑問符だったのは、やっぱり信じられなかったからだ。
口では強がりを言っても、こんなもの。]
→
→
>>塵(つづき)
…。なんか恥ずかしいわ、ほんとによ。
フラニーがほんとのこと言ってたら、……。
……。
[沈黙だった。考え込み、フォークを持ってパイに手を出した。
口に入れて咀嚼する。あまずっぱくて、ざくろとチーズの風味が、口いっぱいに広がった。
おいしい。やっぱり、おいしい。]
>>137 隠,>>138 狐
[涙をへばりつかせたあなたと、手に抱く何かを見下ろして。
生前のその何かを知らないから、やはり立ちつくしたまま困惑を表情にうつしていた。
ふと何かアンとも違う魔力と星の気配に視線を向けて、そうしてまた視線がミリオの抱く何かへと向いて僅かに目を見開いた。
少なくとも魔力持つ誰かが命を落としたのは理解したんだろう。]
>>139 獣,>>141鉄
[怒りに歪むサラの顔に息をのんで、それから動きを追って視線はアンブローズへと。]
さ、サラ先生、いったい何を言って……――アン?どうしたの、そんな……酷い顔してる、
[動揺と心配を表すように青白い顔を僅かに振った、]
>>143>>144鳥
知ってる。
[くっくっ、肩で笑って。]
たぶんねー……図星だったんじゃないかな。と思ってる。
サラせんせいは、天秤と見ていいんじゃないかな。
そう、その三人ってことになるね。
でもアンは星読み。俺視点では、本物。だからあと二人。
俺、今日はリュミールさんに入れるよ。
……リコシェは、まだ十だ。たった十の子供だ。
贔屓目は良くないってわかってる。でも、まだ疑いたくないんだ。
[ただの紙飛行機に、あんなに瞳をきらきら輝かせて。兄思いで。健気で。純真な。そんなあの子を、疑おうとすることさえ罪であるようにさえ感じられた。指先でざくろの粒を、ぷちゅと潰しながら。]
でも、これでもあと一人。音叉はのこってる。
全員が塔関係者なのか。それとも他のとこか――。
[じくり、と血のような赤が指先に滲んで。]
>>140銀
[貴方が求めるようなら、見ようとしていたメモを一度剥がして手渡しただろう。]
[ぐちゃぐちゃ。その通りだった。こんな小さな子が、何故こんな事に巻き込まれているのだろうと思った。数日前ならそれは単純な憤慨を呼んで、けれど、今は別の意味にも思えて。それでも、細めた貴方の目に、なんとか微笑もうとする。]
ね。……どうしてこうなっちゃったんだろう、ね。
どうして、奪うとか、裁くとか……それを、疑う、とか。
そう、なっちゃったんだろう。
[その呟きが、感情の雨の前触れだった。ぽつ、ぽつと。目の前に居るのは幼い貴方だというのに、答えを待たずに、かぼそく声が続いた。視線は貴方の顔から滑り落ちて、俯いた。]->
->
【音叉】。皆の中の誰か、なんでしょう?
みんな[――ミリオも――]、誰も知らないわけじゃなかった。
会って、話せて。頼んだり、頼まれたり。できてたじゃない。
……こんなやり方じゃないと、できなかったのかな。
[瞳の蒼が沸いたようになって、その目の端からつ、と雫が溢れる。そのまま、しばし、黙って。]
……話し合って、全員で考えて、じゃ、ダメだったのか、なぁ?
[そうしてようやく、貴方へと向いた。頬を湿らせたままで。困った人達だよね、と、笑って見せようとしていた。]
>>142鉄
[自分の名を呼ばれて、は、とした顔であなたを見た。]
きみ、は……っ。
[手の中のものをきゅうと抱く。そして、]
>>145獣
…サラさん。
どう言っても、今ここで僕が【音叉】じゃないと証明するのは難しいですが。
[ぼくを、信じてほしい。
数日前のようなはっきりした口調でそう告げた。]
>>146光
リュミール…さん。
[あなたの顔を見て、確認するようにその名前を呟いた。
赤い瞳を覗き込む目は、何かを見極めるようにじっとりとしている。]
>>隠 >>獣 >>鉄 >>光
さり ざりり。
その場の土、砂。
そういったものが、不可視の蛇がのたくるようにして除けられる。
生まれたのは、文字。
なに を まもる の
……狐は、アンブローズの背中を見つめている。
>>147 塵
リュミールは…あれは、俺が本当の「星読み」じゃないってわかってたのかね…。
昨日、話したんだけどよ。なんか、ぽやっとしてるっつーか。
結局はフラニーに入れたみてぇだが、かなり、迷ってた。
…音叉は、聖痕があれば、誰にでも…。
[そうとつとつと、眉をしかめながら思考を流していた。]
……やっぱつれぇよ。気持ちがもたねぇ。
お前を疑うのも、今日いっぱいにしたい。俺が俺じゃなくなる感じがする。
今日お前に票が集まらないなら、お前はみんなにほんとに信用されてる。
[フォークで行儀悪くパイを何度もつつきながら。]
ん? …ミリオだろ?アンが本物の星読みなら。
[眉をしかめて。そう聞いた。]
>>148糸
[渡されたメモは、きっと兄のものだ。鉤ばった神経質な文字のそれをじっと見下ろした。
そうして顔を上げれば、あなたを目を細めて見上げる。何かをあきらめたような、諦観の色で。]
どうして、か。なんて。わかんない、です。
でも。けど。起きてる、ん、です。
お兄ちゃん、だって。
こうやって。[メモを見下ろせば、ぎゅっと握る。少し、しわが寄った。]頑張って、る。のに。
話し、て。考えて……、リネさん。は。
どう、思う、んです、か?
[問いかけを呟いてまた、あなたを見上げる。涙の雫で頬を濡らすあなたに、また眉が下がった。
小さな手を持ち上げて、あなたの頬へと触れようと。出来ることなら、その涙をぬぐおうと、手を伸ばす。]
>>146光 (>>隠)
──大丈夫です。ぼっちゃん。
ただ少しだけ。疲れているだけですから。
[君へ向き直れば、優しげな声でそう言って、真っ黒な隈を湛える目を浅く伏せて、ふわりと微笑んだ。いかにも自然そのものの笑顔だった。ずっと異質な様相を見ていたもう一人の青年、ミリオにとって、それは寧ろ異常に見えたかもしれない。]
>>149獣
[そして、貴方の一言には、自らの言葉を補強するかのように一つだけ頷いた。
撤回も、否定もなく。
もう一度唇を開こうとした。この場から一旦離れるための言葉を、発そうと、]
>>152狐 >>獣、光、隠
[──そうした時。砂がざりと動いた。]
[彼は、目を見開いて。
眉に緊張を走らせた。]
[けれど。見えない何かに返事をするように。
一人、緩く、目を伏せて。首を横に振った。
何らか、確信の意思を持った態度で。]
──申し訳ありませんが。
仕事について用があるため、失礼します。
>>154鳥
さあ、俺にはそれはわからないなぁ。
……。
うん、わかってるんだけどね。
[ちゅ、と赤くなった指先を口に含んで。]
――…だねえ。こんなことはやく終わらないかな。
ははは、俺も出来れば兄さんには信じててもらいたいけどね。
必要に迫られたら好きに疑ってもらってかまわない。
[しごく真面目な声音でそう言った。]
んー……それなんだけどねぇ。なんか、かっちりこないんだよね。
俺、ミリオが牧羊犬じゃないかなって思ってるんだよ。
あの日、ミリオと話してた時さ。
星読みは皆の希望だって話してる時、凄い真面目に聞いてくれてさ。今日誰も襲われなかっただろ?
[続く]
>>151 隠
ミリオさん…………すみま、せん。
僕は、アンとリコを信じるって、それだけは決めるんです、
[じっとりとした視線をまっすぐに見返してそう、頭を下げた。]
>>152 狐、>>156 獣
[浮かんだ文字を見下ろしてから、掛けられた声にサラを見上げる。
青白い顔が少し強張った表情だけど、こんな状況だからどうにかあなたを安心させようとしてるのだろうか、唇を横に引いて笑った。]
はい、僕が守ります。だから、先生、その子……大事なんでしょう、僕とアンのことは気にしないで。
――でも、その……十分に気をつけて下さい。人の見えるところで、できれば。[ミリオへと視線を僅かに向けてから、そう付けくわえたんだ]
>>152狐
[突然、目の前の砂が蠢きだしたことに目を見張る。]
["なにをまもるの"]
[なにを、なんて。亡骸をそっと撫ぜる。]
>>153獣
…そう、ですよね。信じてもらえません、よね…。はは、
[首を振られてしまえば、青年は少し悲しそうな顔をしただろうか。]
たとえ、僕が隔離されてしまっても。
僕は、あなたの【天秤】が皆を正しい方に導いてくれるって、信じてますから。
…あなたの天秤が壊されないように、見守っています、から。…
[亡骸は、素直に手渡した。]
>>161光
あなたの口から「すみません」なんて聞きたくない。
…僕も、あなたを信じることはできませんから。
[下げられた頭から垂れる、きれいな絹糸みたいな髪をずっと見つめながら、それだけ告げた。
アンブローズの態度と表情(>>158)を見て、あなたがアンブローズの"人生"だろう事は想像できた。
それだから、あなたを、信じることは出来なかった。]
[その後向けられた視線にも、青年は眉を顰めるだけだった。]
>>158 鉄
でも、アン……随分寝れてないんじゃ……。
もしこないだ約束したからって、僕とかリコの護衛とかしてるなら、ダメだよ。
ちゃんと寝ないと、アンが倒れちゃう……それに、アンは星読みなんでしょ。アンがいなきゃ、ダメなんだから。
ちゃんと部屋で寝るんだよ!お願いだから。
[ふわりとしたあなたの微笑みと優しげな声が逆に痛々しくて、眉をひそめた。
仕事に、というあなたの背にそう言葉を投げかけてたんだろう]
>>155銀
[貴方の諦観を帯びた視線を受ければ、それを遮りたいかのように、ぎゅうと長い瞬きがあった。それから小さな手が頬に触れて、そんなことをさせているという事がまた、悲しくなった。どうにも貴方に心配をかけないような表情が作れなくて、せめて、もう大丈夫、と、いつも通りに貴方を撫ぜようと。]
ごめんね。……わかってるんだ。
どうしても、ずっと、そんな考えが消えてくれないだけ。
アムにーだって、リコシェだって[――彼も――]、頑張ってるもの。
今、後戻りしたら、ラニーねぇにだって、怒られちゃう。
[力なく笑む。]
……リコシェのお兄ちゃんは、本物の【星詠み】だと思う。
それで、そうだとしたら。[深い呼吸。]……【音叉】だって言える人は、とても、少なくなる。
[貴方もその内の一人、だとは、とても言えなかった。]
>>銀
[それから、ぽつりと。]
ヴァルにー、こんなこと書いてるけど。
本当に、【星詠み】じゃなかったのかな。
[どこか願いを含んだような、無意識の呟きだ。]
>>160 塵
まぁそのくらいの「フリ」は、音叉だってするだろうしな。
[指先を口に含む様子には、少しだけ眉をしかめて、行儀悪いぞ、とか言ってた。]
こんなもんが落ちてくるから。…落ちてくるだけ落ちてきて、俺には何の力もねぇし。
[む、と口を尖らせて、ふてくされた。]
ミリオが【牧羊犬】?そう言ったわけじゃないんだろ?
ミリオを贔屓してるっつぅか、うーん…
アンは確かにリュミールには逆らえないと思う。
ぼっちゃんをお守りしますー、とか言いそうだ。
ま、あいつ、リコシェのこともやっぱり大好きなんだけどな。
俺がこかしちまったの謝ったら、何やってたんだ!ってさ。
[昔を思い出すようにつぶやいていた。パイは半分に減っていたが、進みが遅いことは確かだった。]
>>165 隠
……そう、ですか。
そうですね、アンを信じるなら、ミリオさんは音叉だ。
謝るのも、おかしな話ですし、
[そう少し視線を伏せて。
続けてまた口を開きかけたけれども、結局開かなかった。]
>>167糸
[あなたの頬に手で触れて、涙を指先で拭っただろうか。ローブの裾も袖も、あなたによってちょうど良いサイズへと詰められていて、手を伸ばせば袖で拭うことなどできなかったから。
銀糸を撫でるあなたの手に、一拍おいて、困ったように笑って見せた。]
うう、ん。ぼく、も。そう、思って、ます。から。
リネさん、が。謝る、こと。ない、です。
けど。……お兄ちゃん。が。頑張ってる、ん。だもん、って……。
[彼女の名を耳にして、ふい、と視線が落ちた。
昨日、この手で彼女を隔離へと追いやった。けっこんする、なんて無邪気に言えていた日が、まるで遠い。]
……お兄ちゃん、だもん。[あなたの最初の言葉に、断言するように、そんなつぶやき。
そうして、あなたが漏らした、深い息。それに、不思議そうにあなたを見上げた。]
お兄ちゃんは。【星詠み】。だから、ミリオさん、[その名前は少し、言いにくい。殆ど知らぬ相手だ。]が。【音叉】。だよ。
それで、……[指折り人を数えてから、あなたの言葉を肯定するように頷いた。]
>>165隠 >>166光
──……。
[ミリオがリュミールにそのような言葉を告げた、おおよそ次の瞬間。この人は、ぎろりと君を睨んだ。隈に浮かぶ緑色の瞳が、蛇のように君を見つめていた。それはごく数秒だから、恐らく深い意図ではなく、反射だ。ただ明らかな敵意と、不快感を滲ませて、]
[それから、ただ全く普通の視線を、リュミールへと向けた。]
……ふふ。ぼっちゃんのそのお言葉で、私は殆ど元気になるのですよ。
しかし、ご命令とあらば承知致しました。
ぼっちゃんも同様ですよ。
このような状況下なのですから、極力長い時間お休み下さいね。
おおよそのことは、私に任せて下さって結構ですから。
[過剰すぎる気遣いに満ちた、言葉。小首を傾げながら、にこりと。]
[そうして、"失礼します"と告げた。
──けれど、どうやら、サラが居なくなってしまったことは予想外らしくって、ぴたりと、足を止めた。]
>>隠
[立ち去る寸前。振り返る。]
ミリオ。
"彼"は、無関係だ。
だから。
[今度は、敵意の目つきではない。
懇願するようだった。
"彼"という言葉と同時に、リュミールへ視線が一瞬だけ動いた。
言葉無く、唇の動きだけが続く。"何も知らせないで"]
[……後ろ髪を引かれるような足取りで、立ち去った。**]
>>171鳥
誰もが兄さんみたいに、単純じゃないからね?
[ぺろ、と赤くなった舌をだしてみせて。軽口。]
ほんとにね――…落ちてこなければ、普通の暮らしができたのかな。
[どこか遠い目をした。]
そうなんだけどねぇ。でも、あいつってさ。
純朴っていうか……演技できるタイプのキャラじゃないでしょ。
どう見ても。それとも、俺が騙されてるだけかな。
……アンはさ、リュミールさんの事になると盲目だからさ。
なんかそこが心配。最近話せてないから、なんとも言えないけど。
はは、転んで起き上がって。また転ぶくらいが、丈夫な子になるのにね。
[すっかり冷めてしまったパイをフォークで突きながら。]
>>168獣
護りますよ。
護りたいものを…確かに。
[小さく呟くと、森の方へ向かうあなたをしばらく見送る。]
>>172光
[音叉だ。にはやわく首を振りかけたけど、それ以外は何も言わなかった。
視線を伏せたあなたに、目線ばかりの会釈をして。]
…それでは。
[出来るだけ感情を殺したような声で、挨拶をして。裏庭を後にした。]
>>175鉄
[あなたの懇願するような目付きには、なにも返さなかったんだ。**]
>>174 鉄
言葉で元気になるなら皆休みいらないんだから……、――命令。ちゃんと休んで、それで鍵もかけて。
[青白い顔だけどあなたよりはいっそマシかもしれない。少し笑った。]
僕は今日はちゃんと一杯寝て身体休めてるよ。
大丈夫、アンのことを信じてるもの。僕は心配なんてしてないよ。
[不安や疲れに満ちているあなたを安心させるように、
いつも通りに此方もにこりと微笑んだんだろう。]
[そうして、狐の血と残された文字を見下ろして、悲しげに眼を伏せてからその場を立ち去った**]
【魔術師の塔・掲示板前】
(>>糸、>>銀)
[こつ、こつ。靴の音を響かせて青年が掲示板の前へやって来る。
青年の服には所々赤黒い染みが付いていたかもしれない。
あなた達の姿に気付くと、弱く微笑みかけて……掲示板に紙を貼り付けた。]
[それからひとつ細い溜息を吐くと、そこから少し離れた場所にある椅子に腰掛けて、組んだ手に額を預けるように俯いた。]
[なにか声を掛けられても、深く考え込むような顔をして。
しばらくだんまりを決め込んでいた。**]
>>173銀
[裾を詰めた日は大分昔のようだった。目を輝かせて、確かめるようにその場を歩き回った貴方の、嬉しげに揺れる尻尾が、また見たいと思った。けれど、今、それを取り戻す手段は見付けられなかった。]
うん。諦めたらだめ、だもんね。
リコシェのがしっかりしてる、ね。私もちゃんと前、見ないと。
[落ちた視線に、ぎくりとした。そういえば随分懐いていた事を思い出して、不用意だったと思う。けれど、容易にごめん、などと言ってはならない気がした。ただ、眉根を寄せた。]
アムにー、だもんね。[自分へと言い聞かせるように、貴方の言葉を自分なりに繰り返した。]
ミリオさんも……話したよ。そんな風には見えなかった。[彼を信じると、言ってくれた。]
……でも、そんなの、みんな一緒だから……
>>180隠
[そんな話の途中、貴方が目の前を通過した。服の汚れを怪訝に眺める間に、張り紙が増えた。]
[――じっと、読み進める。]
>>177 塵
俺はもう、だめだよ。
嘘つくのがお前のためにすらならない、ってわかった時、もう歯の根が合わなかった。
[単純といわれればいつもは頭を小突くぐらいはするんだけれども、肩を落として眉尻を下げ、力の抜けた表情だった。]
どうだろうな。確かに今よりはよかったか。
[目を細めて、苦笑。]
お前が、牧羊犬であってほしい、って思うからだろうと思うんだけどな、それは…。
リュミールがアンに、ミリオを音叉だって嘘をつくように言った、ってんならよ。
音叉は、リコシェかリネアってことになるぞ。…それも、なぁ。
…あ、俺も入るか?
[首をかしげる。最後の一口のパイを口にほりこんだ。]
>>176銀
[メモを読み出すその前だったか。怪訝そうな貴方に首を振って。]
……ううん、ちょっと、考えただけ。
昨日一日、信じてたから……なんか、変な気持ちで。
>>182鳥
元気出して。兄さんのとりえだろ。
……ごめんね、兄さん。俺のために嘘なんかつかせちゃって。
[小突かれれば、「いた」と大仰に頭をのけ反らせてみせて。「やったね?」とあなたの左目のうえへと手を伸ばした。嫌がられなければ、そっと優しくそこを撫でて。]
ね…。[頷いて、その手は離れていった。]
だね。願望だ。あまりにも憎めない奴だったから、それに引き摺られてる。
ねえ、どっちを信じればいいかな。
兄さんの言うように、少しでも音叉を捕まえるつもりなら。
ミリオに、いれなきゃだけど。
[いつになく力無い声を。ぽつり。]
俺は兄さんの味方さ。
俺は、何があったって兄さんに票を入れやしない。
それだけだよ、はっきりしてることなんてさ。
[それは「彼」が来る前だ。]
>>181糸
[あの日、盛んにふりたくられていた尻尾は、すっかりしょんぼりとローブの中に納まっている。]
──頑張って。る、ん、だもの。
後ろ、向きー、な。お兄ちゃん、だって。
[廊下で抱きすくめられた夜を思い出した。兄は後悔していて、けれど──そんな記憶はあなたには関係がなくて、ただ、頷いただけ、に見えただろう。
伏せた視線はしばしそのままで、ただ、何かをこらえているように、メモを握る手が白く。力を込めたまま。一度息を吐き出して、そんな感傷を振り切って顔を上げる。]
──……、そう。です、か。[そんな風に見えなかった、その言葉には、それだけ。
だって、あなたがすでに結論を繋げていたのだ。]
みんな、一緒。一緒、でも。本当、は。違う。
嘘、ついてる。だけ。
>>隠(>>184銀)
本物で……間違い……。
[それは、一度も考えた事のないことだった。それだから、すぐに飲み込めずに、声が零れた。]
[――【牧羊犬】。一度、振り返った。俯いた、疲れきったような姿を見た。リコシェが呼んでも答えない様子が、昨日の柔和な調子となかなか一致せず、確かめるように一度呼んだが、やはり反応は無かったのだろう。]
>>185 塵
俺が勝手にやったことだろ。…俺のほうこそ、悪かった。
[撫で付けられれば、ほんの一秒に満たないくらいはじっとしていたけれども、照れたように手の甲で押しのける。そして、ヘールの髪をわしゃわしゃと撫でようと。]
憎めない気持ちはわかる。
なんか、一生懸命なんだよ。俺が仕事で話聞きに行っても、いっつもだ。
…だめだ、ヘール。自分で考えろ。
俺よりずっと、頭が回るだろ?お前は。俺には風の魔法は使えない。
[何度も、その魔法の本は読んだことがある。けれど、理解できず、相性も悪かった。ヘールの風が紙飛行機を飛ばすのを、昔から、よく見上げたもので。]
俺は、お前を疑う。
信じていたほうがよかったのかはわからないけどよ。
でも俺は、お前と…みんなと一緒にいた時を、取り返したい。
全部は無理でも。
[立ち上がる。塔に行くつもりなのだろうか。]
>>糸、>>銀
[しばらくして、ゆっくりと顔を上げる。露わになった顔はだいぶ疲労の色が滲んでいて。
目元―とくに涙袋のあたりなんかはだいぶ腫れているのだった。
椅子からのそりと立ち上がると、きみたちの方へ歩み寄る。精一杯の、辛そうじゃない顔を浮かべて。]
…アンブローズは確かに星読みで間違い無いと思う。
でも、【牧羊犬】の僕を。
【音叉】だと、言ったんだ。
ローズは、自分に条件を提示した【音叉】がいると。そう言っていた。
その条件を提示したのは、ローズをたぶらかしたのは。
きみたちのどちらかなんじゃないか、な。…ローズの信じるものは、もう。
…そう、思ってる。
[張り紙の文章のように、淡々と喋る。
"どちらか"なんて言っておいて。
青年のまなざしは、まっちろな少年を射抜くように見ていた。]
>>186銀
[貴方が必死に感情をこらえているのを見た。自分の弱さが、その小さな身体に映りこんでいるようだった。"わかってる"と口にした自分は、本気だったろうか。――このように、振り切れているのだろうか。貴方が持ち上げた紅の瞳を、まっすぐと覗いた。]
リコシェも……嘘ついてる人が誰か、考えてるんだよね。
今日も……[ミリオの方をちらと見た。]明日も。
早く、こんな事態、終わらせないとだね。
……嘘つき続ける方も、きっと辛いと思う。
>>189隠(>>183>>187糸)
[リネアの言葉>>183に、そう、とだけ、呟いた。感情の話は、それ以上、ほじくり返しても仕方がない。]
[そして、何度か呼びかけたあなたが顔を上げたから、そちらを振り返ったのだ。歩み寄るあなたに、今度こそ、ぎゅっとメモを──兄が、あなたを【音叉】だと告げているメモを握り締めたまま、下がらなかった。
じ、とあなたの言葉を耳にする。
息を吸って、吐いた。あなたとはほとんど初めて口を利く。あなたのことは、ほとんど知らない。]
そう、言って。【音叉】の、あなた、が。
ぼく、を。リネさんを。たぶらかしてる。
ぼくらに。互いに、投票。させよう、として。
──……一言。で、反論。できます、よ?
[あなたの射抜くような視線を真正面から受け止めて、少年はあなたを見つめ返した。]
>>189隠
[歩み寄る貴方を、それでも心配そうに見つめた。疑いはすれど、そう思わないでいられる程断ち切れてはいない。]
ミリオさん。
……【牧羊犬】と名乗る人が、他に誰も出てこなければ。
貴方のメモの可能性を……考えてみようと思います。
[(――だって、絹髪の二人のどっちだって、それができる。)]
[それから、向けられた言葉に、向いている視線の先に、一度、泣きそうな表情になって。]
それでも、今日は。貴方に、入れますね。
……信じている道を、もう少し歩みます。
[はっきりと、そう言った。]
>>191塵
[聖痕を、眩しそうに見て。その腕で、ヘールの頭を自分の肩に押し付けるように、抱きしめようとした。すぐに開放するんだろう。ほんの、一瞬。]
どうしても、決められないときの最終手段、かね。
俺が言えた事じゃねえけど。
[ため息をつきながら、微笑む。]
ヘール、お前がいなくなったら。
絶対、助けに行く。お前が音叉でも。…来たりし者、でも。
[再度、確認するように、そう言った。後に付け加えたのは、ただ、そういうやつもいた、と思い出しただけの言葉。]
わかった。悪ぃな、いっつも任せちまって。
先に行く。
[外につながる扉を開ける。家の中とはずいぶん違う空気に感じる。昇ってる月を少し睨んで、塔に向かって歩き出した。]**
【魔術師の塔・掲示板前】
>>糸 >>銀 >>隠
[何人かの研究員が、幾度か行きかっては、貴方達を興味深げに覗き込んだり、噂話をしていた。
それはほとんどが野次馬だった、気にも留められていなかったろう。
ただ。
そのうちの一人が、掲示板を確認すると、何処かへ足早に去り。またそこへ戻ってきて、こう言った。
「随分、消耗していらしたので」
「何か変化があれば知らせるようにと」
「代行で貼らせてもらうよ。」
そんな事を幾つか言って、一枚の紙を貼った。]
>>192銀
[毅然とした反論、に一瞬、目を丸くした。貴方のか弱い印象は、大分しっかりした物に変わってきていたのだけれど、それでも、これほどはっきりと攻撃をする貴方は、見たことがなかった。]
>>193
[眼差しに芯が通っている。男の子はすぐに置いていってしまうなんて感情が、不意に沸いた。貴方の決意は、大人びて見えた。]
……そうなの、かな。
[苦く笑う。目の前の相手を疑っていることを、隠しただけでこんなにも辛いのに、と思っただけ。自分は優しいとは程遠く思える。それだから、苦く。]
>>192銀
たぶらかそうなんて、思ってないよ。
そう思ってるから言っただけだ。
きみはどのみち僕に投票するんだろう。お兄さんの言葉を信じて。
[ぼんやりときみの瞳を見続ける。さっき見た人と同じ赤だ。そう思った。]
>>194糸
[貴方に入れる。そう聞いても、青年は首を振るだけだった。]
…そう。
リネアさんが信じるならそうすればいい。
何を言っても、もう変える気はないんでしょう。
僕も、信じる方に進むだけ………だ…、
[と、新たに貼られたメモに気付く。出来るだけ感情を抑えていた様子であった青年の目が、驚くように見開かれた。]
【寄宿棟・一室】
[もしこのうるさい音が無くなって、
安らかに目を閉じることができたなら、
俺はそのまま死ぬのではないだろうか。
沼にゆっくりと沈んでいくように。]
[柔らかい毛布にくるまって、
安らかに眠ることが出来たら、
どれだけ幸せだろうか。]
[夜分に意識を失う感覚とは、
随分楽なものだと知った。
その何刻もの間、何も考えずに済む。]
>>196獣
[新しく貼られた紙へ目を向けた。顔がくしゃくしゃに歪むのを、止められなかった。同じだ。信じたいから信じているだけ。矛先が、完全に違ってしまっただけ。]
……私たちも、投票。いかないと。
[ようやく、それだけ。]
[ぽつん、と誰も居なくなった居間に佇んで。]
――来たりし者でも?
ふふふふふふふ、あははは、うれしいなぁ。うれしいなぁ。
俺も愛してるよぉ? 兄さん。
[歪な笑い声をあげながら、ざくろの果肉を指先ですくいとった。]
[人肉の味は、甘酸っぱかった。**]
[ベッドに腰かけて、ナイフを抜いた。
小さな刃が、小さな灯りに照らされて輝いた。]
[生身の腿に、そっと冷たい刃を当てる。
すうと引くと、ぷつりと皮膚が裂けて、
赤い球がぷっくりと膨らんで現れた。]
[刃先を球に当てると、小さく弾けて刃に纏わる。
そのままくりと切り口をほじった。
肉が掘り拡げられて、どくんどくんと血が垂れ出た。
耳の奥でぎんぎん響く雑音と共に、拍動の音が聞こえていた。]
[無感情に。**]
【寄宿棟・一室】
いつの間にか。狐のような白い影が。あなたの部屋の片隅に佇んでいる。
扉は締まっているのに。窓は締まっているのに。
ただ。
貴方を見ている。見ている。みている。
[塔についた。
ミリオとサラの、掲示板に新しく貼り出されたメッセージを読んでいる。
とん、とん、とん、と、足先で地面を叩く。
考えている。]**
>>205狐
[刃を持ち上げた。
刃を見る。
俺の血がついた刃だ。]
[視界の端に、白いものが映った。
ただ、無感情な視線を、そこに投げた。]
まだ、きさまは、
まだ、俺に文句があるのか。
>>199隠
[それは紙を読む前か、貴方の言葉を黙って聞いた。変える気がないと言われれば、瞳を揺らがせながらも、貴方の方を見て。しっかりと頷いた。]
>>隠、銀
[――声をかけてから、この日を惜しむように二人を見て、会議室へと歩き出す。]**
──見るんじゃねえ!!!
[その白い影に向かって、思いきりナイフを投げつけた。
コントロールはめちゃくちゃで、壁に跳ねて転がった。
床に、壁に、点々と赤いものがついた。]
俺の正義だ!
俺の正義だ!!
てめえに何の文句がつけられる!!!
俺の確固とした人生だ!
俺の……俺の人生のための…………
>>208 鉄
狐は何も語らない。
刃にもひるまない。
ただ、じっとあなたを見ている。
それはかくりよのモノか、うつつのものか。
判然とせぬ気配は、ただ、貴方を見て。
責めもせぬ。襲いもせぬ。
ただ、何かを待つように。見ている。
【塔の寄宿塔】
[もう投票は早くに終えていた。アンのメモを見たときから、信じるものもすることも決まったんだから。
でも、眠れなくて、窓から外を見上げる。月が綺麗だ。]
……リコ、アンとお揃いの……。
[ずっと渡せてない、と持ったままの緑のミサンガを何故か思いだした。**]
>>213 鉄
貴方の叫び、鉄、血液の飛び散り。
貴方の狂乱が過ぎたころには――狐の影は、失せている。
まるですべてが幻であったように。
狐の死すら夢であったように。
ただ――幻聴のように、隙間風の音のように何かが貴方の耳を掠めた。
それは。
このあたりの古い言葉で、憐みを示すものに、似ていた。 **
【塔・テラス】
[見晴らしのいいこの場所で。
青年は、ぼんやりと夜空を眺めていた。
どこまでも星が瞬く、綺麗な空だった。]
――星なんて。
[テラスの淵に仰向けに、落ちそうになる程、体を預けて。
しろい光となってどこかに去って行ってしまった友を思い出して。
すうっと、目を閉じた。**]
何故だ……何故俺を見る。
俺が悪か?
俺ばかりが悪なのか?
[背を丸め、頭を抱えた。]
ああ……旦那様。
アンブローズが悪う御座いました。
私の全てが中途半端だったのです。
私を罰して下さい。どんな罰でも甘受致します。
どうか……どうか、罰をお与え下さい……
【魔術師の塔、人気のない星見台】
[星見台の上から、少年が見下ろしているのは地上だ。
地上の灯りだ。人々が営む星の灯りだ。]
[ふわと風が吹いた。
裾のあっているはずのローブは、それでも大きくはためく。]
[赤い瞳が、夜空を見上げた。
きゅっと口角が持ち上がる。犬歯が覗いた。]
ぼくは、アルタイル。 “飛翔する鷲”。
[呟きとともに、手を高く掲げる。すいと夜空に飛ばしたのは、
鷲の横顔の描かれた、紙飛行機。**]
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[13]
[14]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新