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[少し騒がしくなってきたな、と思う。
俺以外にも侵入者が現れ、大暴れが始まったのだろう。
最奥が近づいてきている。一層豪奢な飾りのついた扉を抜け、美術品が並べられた広間を通っていく。
周りには見事な花が飾られ、様々な名画がかけられている。
ケヴィンは戦いながらも、それらには傷をつけないようにしていた。
それらはきっと、ミアが好きそうだったから。]
―シップ内―
[試みた通信に答える声が返ってきた>>98
それは男性のものだったか、女性のものだったか。いずれにせよそこに誰かいるのだ]
『応答してください。
クライン博士は本当に死んだのですか? 殺されたのですか?
そうであるならば犯人は? 目的は?』
[正義のプログラム以前に、彼女のコアも影響しているのか「感情回路」が抑えきれず問いが乱舞する。相手はどう思うのだろうか。
情報が欲しくてたまらない。
彼女にとってはそれが普通なのだ。 しかしそれはメカにとっては欠陥と扱われる。
制御出来ないものは、自分たちには不要なのだ。
落ち着けという、感情のまるで籠らない弟の『言葉』が彼女には理解ができなかった]
[ジャッカルの声を聞けば、挨拶ぐらいはできただろうか。
いずれにせよ、相手からの声が、情報が、何よりも欲しくて全ての機能をリンクに集中させる。
そんな彼女には相棒の言葉さえも届かないだろう]
[フィロ>>71にもまた、よろしくね、と返してから。
注文の品を待つ間、彼が向けてきた疑問に瞬いて。
けれど直ぐに、先程言い掛けた言葉のことと察した。]
友達同士なのかしら、って、なんとなく思ったの。
ヒューマンとモンスターで友達同士って、
アタシはあまり、見たことなくって――。
[獣耳と尾を持つフィロの容姿はモンスターのようで、
けれど下級妖魔の中にもそうした見目の者は居る。
妖魔と暮らしていたツバキは、フィロの纏う空気を見て
直感的に、彼は妖魔ではないと察していた。
こんな風に話をしている時は、気持ちも少しだけ
和み、緩みだしてはいたのだけれど。]
─ コルネフォーロス・正門 ─
[ここを逃げ出したのが、ずいぶん前のような気がする。
実際は、数日とたっていないはずだ。
こんな形で戻ってくることがあるなどと、あの時は夢にも思わなかった。
周りをメイアルの……いや、白百合の配下の妖魔達に守られ、前にはメイアルの背中がある。
正門の前に立ち、慇懃に礼をするのは、執事服を着た下級妖魔ガーゴイルだ。
ミアプラキドゥス様はお通り下さい、他の方はお帰り下さい、と主の言葉を伝える。
ミアはうなづいて一歩を進み出た。
そして]
<幻夢の一撃!>
[執事ガーゴイルは、召喚されたナイトメアの蹄で蹴散らされた]
[別の問い>>72に、はっと瞠目した。
暫く、間を置いて。あまり美味くないピザを頬張って。
それを飲み下してから、小さな声で話し始めた。]
うん。ちょっと、追われてるの。
術士ハンター、って言うと違うような気もするけど、
とにかく、そういうヤツにね。
――…ウートラ、っていうんだけれど。
それで、ソイツから逃げてたところ。
アタシを護って、逃がしてくれた人たちもいたけれど、
今は、どうなってるのか判らない。
[最後の言葉には目を伏せて――はっと口に手を当てた。
フィロやセルリアン、このイタ飯屋の店主が
ウートラの手の者でないという証拠は、無かったのだから。**]
[銀翅の君そのお方ではない。しかし、銀翅の君の従者への一打だ。あの方を打つのと同じく罪深いことだ。
逃亡そのものはまだ、いい訳が出来る。あの方に献上する美しいものを探すだとか、新しい歌を探すだとか。
しかし、これは違う。
明確な反逆であり、裏切りだ。
あまりの恐れ多さに震えが止まらなかった。
しかし、背を伸ばしたまま、青ざめた顔をしゃんと上げた]
[メイアルを中心にした一団は、銀翅の君に使える妖魔の軍団を赤く切り裂いていった>>132
白百合を背負った、黒騎士。
星の二つ名を冠する、白い死神。
彼らに守られ、導かれ、ミアは支援と回復の術を駆使した]
[歩みを、止める。
それまでと雰囲気の違う一団がそびえていた。
銀色の鎧に包まれた彼らは、精鋭と呼ぶに相応しい自信に満ち溢れていた。]
……格が違う、って感じだな。
―少し前>>127―
[突然、無線が入る…。この声は…クーロンの酒場で麦茶飲んでいた人かね?いやいや、トボケてる場合じゃない!
J・Q>>142が無線で二人に話しかけている。少し声をかけようと考えたがチャンスが掴めぬ、結局かける事はできなかった。]
(「…スーとラーシナは元気かね?」と言おうとしたんじゃが…)
[結局、二人とJ・Qの通信が終わった時…]
フーム…JはジャスティスのJじゃったのか……。
―回想終了―
―過去・クライン研究所、廃棄物置き場―
[暗くて、静かで、冷たい鉄くずに埋もれながら――自分もそのうちのひとつなのだけど。 数少ないメモリを淡々と、何度も再生していた]
「正義は強くあらねばならない。なぜなら悪に負けてはいけないからだ。」
「正義は律されなければならない。なぜなら乱れれば必ず悪の入る隙間が生まれるからだ。」
「正義を行使する側は心を制御しなければならない。なぜなら情が悪を許すことがあるからだ」
[クライン博士の言葉。既にプログラムとして埋め込まれているのに、言い聞かせるように何度も何度も、自分に向けて投げられた言葉。
自分に与えられるはずだった「正義」
その何もかもを自分は示すことができなかった。
ジャスティスKが廃棄物置き場の扉を開けるまでは、ただずっとその行動を繰り返していた。]**
[もう一つの問いに返るツバキの仕草と言葉>>147に、フィロは紅い瞳を何度か瞬かせて聞き入る]
ウートラって……この間指名手配された?
うわ、すっげやべーのに追われてんじゃんそれ!?
[指名手配イコール重罪人。
そんな認識にあるため、ウートラに追われていると聞いてフィロは驚きの声を上げた]
え、あれ、逃げてきたってことは、
ウートラがクーロンに居るってことだろ?
どっか別のリージョンに移動した方良んじゃね?
[自分が追われているわけじゃないのに、フィロはわたわたと落ち着かない様子になる。
店内を見回したり出入り口に視線を向けたりと、警戒する仕草を繰り返していた]
[そんな中、フィロの上着から呼び出し音のような機械音が鳴り出す]
んあ、ちょっとごめん。
[ごそごそと上着の内ポケットを漁り、それなりの性能の通信機を取り出し、通話ボタンを押して通信機に向けて声を投げかけた]
何か用か?
「九日十日」
………ふざけんなよ、切るぞ。
「あー、待て待て、冗談だ。
フィロ、お前ちょっとマンハッタン行って来てくれ」
はぁ? いきなり連絡寄越して何言ってやがる。
「マンハッタンの競売で『キューブ』が出品されるらしいんだ。
本物かどうかはまだ分かっていないが、本物だとしたら手に入れる絶好のチャンスだろ?
つーわけで行って実物見て本物だったら落札してきてくれ」
おまえばかなの?なんなの?
俺が見極められるわけねーだろ!
そもそも落札のための金はどっから出るんだよ!
「我が結社に不可能は無い」
クーロン支部開発担当の分際で何言ってやがる。
支部長はなんて?
「本物なら経費、間違って偽者落札して来た場合は自腹」
ばかじゃないの。
てめぇのポケットマネーで何とかしやがれ。
「本物落札してくれば無問題」
くたばれカス野郎。
[そんな押し問答のような会話がセルリアンとツバキの目の前で繰り広げられた]
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