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[ふっ、と笑った。しょうがない、と言ったような顔で、
手提げ袋から四つに折った和紙を取り出して渡した]
『だが断る』
[と書いた紙を]
[あれから、あてもなくぶらぶらと歩いた。
手は繋いでいる、ぬくもりも伝わってくる。
けど余韻が強すぎて。]
…――甘すぎたね。
[自重しなきゃって気持ちと止まらない気持ちが争ってる。
少なくとも次は場所を選ぼうということで落ち着くだろうか。
やがて夕暮れになり、そろそろ一日の終わりが近付いてきて――伊織の口にした言葉には]
…――1曲?
じゃあ、ちょっとこっち付き合ってくれる?
[喧騒から少し離れていく脇道に手招きした。
人気の少ないところに連れて来れば、射的で獲った鯉のぬいぐるみを取り出してみせて、何か囁くことになる。**]
…………
…なんやねんその仕込み。
いくらわいが上方の本場出身でも、そらないわ。
[がっくりと、それこそ崩れ落ちそうに。
と、腕をひっぱられて。]
なんやねん。つれてくなら火葬場でええで。
もうわいは死んだも同然や……
[後、つきつけたいせりふは『こんなこともあろうかと』である。
ぴたっと止まって、じゃあ火葬場で良いかと本気で思ったが]
…。
[実際骨になったら拾う意味もない。人だかりをするする抜けて、門をくぐる。
するする抜けたのは自分だけで、強引に引っ張ってきた愁が誰に引っかかろうとかまわず。
列に並んで、おみくじを買いに]
[ソフトクリーム食べ終わった頃には大分日が傾きかけている。
夕日に照らされた相手が肯くのを眩しげに見つめて]
…神頼み、ってらしくない気はしてきた、俺。
[参道に並んだ屋台の奥に見える社を見て。夏蓮が食べ終わるのを待って行こうか、と促す]
お、ちょ、ま、おいこら、
あ、すんまへんすんまへん連れがちょっと困ったやつなもんでご迷惑をっておいこらちょいまてや。
[腕をロックされているのだから避ける幅もそれはまあ、狭くも。
がしがしと周囲に迷惑を振りまいて。]
……おみくじ?
神頼み、すきやったんか、ナナナミ。
[ついたところをみて、はて?と。]
[誰か、名前書きたい人いるの?
と、聞きたかったが、多分今は聞くべきではないと思うし、聞いてどうするのかとも思う]
そう?
[と、曖昧な言葉で返した]
ええ、いいわよ。
[二人で社務所のある境内に向かう]
[列。愁の方を見ずに、脛に蹴りを入れた]
……。
[やっぱりただのあほうだと思う。
でなければどあほうか。
おみくじは*08半吉*だった]
あいて。ほんまなんやねん……
[ぶつくさいいつつ、御神籤を引く。*06小吉*だった。]
やれやれ、せっかくひいたんなら例の伝説でも試してみるかいな。
ほれ。
[社務所の前にあるペンをとって、奈波に手渡して。]
[無策だ。
もとより考えた所で、ばっちり決めるぜ☆とか出来るわけないと分かってはいるけれど、心の準備さえ出来ていなかった。]
――あ。
[掬った金魚が、跳ねる水の音。
ようやく気を取り直して、ゆっくりと向き合う。]
……さっきメールもしたけど。
言葉にするには、時間がかかりそうなんだ。
その時間を、俺にもらえないかな。
[座り込んだ美緒に空いた手を差し出して。
今日だけでパニックと緊張が三周していたから、目に見える混乱は耳の赤さくらいで済んだと、自分では思っていた*]
[別に隠すでもなく、目の前で愁、と書き入れる。
気を利かせて?覗き込まないようであれば、
広げて見せて]
…♪
[済ました笑顔で、結びに行った]
[健康:怪我に注意 とかかれた小吉の御神籤。
いまさらすぎる、と小声で突っ込みをいれて。
書くことは決まっている。]
『一番好きな女に蹴られるのはもう勘弁』
[神頼みなんてガラじゃない。
そんなことをするくらいなら、壁にぶち当たって粉々になったほうが自分らしい。
だけどまあ、これくらいは願をかけてもいいだろう。]
ん。
…なんか、な。色々…迷うことが多いよな。
[何に、とは言わなかった。自分でも今一良くわかってないことが多すぎた。
社務所までの道の両脇にある屋台を時々覗きながら歩く。手は繋いだままだ。
しばらく歩いて社務所に着けば、とりあえず?とかいってお賽銭を投げておざなりに両手を合わせ、それからおみくじの方へ]
……なんやねん、そのかける意味のないまじないは。
[広げてみせられた御神籤に、笑みを見せる。
なぜだろうか。きっとそう書くのだろうと、書いてくれると確信していたのは。]
なあ、ナナナミ。このあとどうしよか。
もうちょっとなんか食うか?
[隣で御神籤を結びながら、何気なく。いつもと変わらず。]
[『がいつまでも独りでいますように』とか呪いを書こうかと思っている。
木の枝を思い切りしならせて、先っぽに結ぶ。
結びながら、かけられた声に頷いて]
…。
[普段と変わりなく微笑んだ。まだりんご飴を食べてないから]
迷うこと…?そうね。多いね。
[迷うというのか、自分が迷っているのかどうかさえ分からなくなるときもある。
とにかく自分に自信がないのがやっぱり問題なのだと思う]
…。
[人混みの中では手を繋いだままで。
ただ境内に入り、人気が少なくなったところで、そっと、手を離した]
何か願いごとしたの?
[お賽銭を投げてお祈りをした彬におざなりな言葉を掛ける。
それから、お神籤を買いに...]
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