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[メーフィエがホールへやって来たなら、軽く会釈して、]
ケープと、マフラー?
いえ、見てないと思います。
長い髪の女の子……
[ともだちの姿は、幼いもので上書きされてしまっていて、
いなくなった人の姿は、おぼろげだった。]
……なにか?
[此方をじっと見つめる灰青に、
不思議そうに首傾いだ。]
……連れ回して、か……。
[ 自分を敵だと認識してくる彼女に告げた言葉。
死んでいると思いつつ、生きている前提で話している事に気づいて苦笑した。]
……………………。
[キーラの手を握ったまま、暫く黙り込む]
[その眸はてのひらの中の石をじいっと見つめつつも
どこか遠くを見ているようでもあって
傍から見たら、てのひらを見ているようにしか
映らなかっただろう]
[やがてキーラへ顔を向けて]
ね
私、スコーンの練習しようと思うの
おねえちゃん、ジャム、作ってくれる?
紅茶も新しく淹れるから……一緒に飲もう
美味しく出来たら、ヴァレリーさんやロランさん
みんなの分もまた、配りに来るね
[そう笑いかけて
キーラが是と答えたら調理室へ向かおうとするだろう]
[少女の笑みは、ほんの少しだけ寂しそう**]
― ホール ―
[いつの間にか皆がホールに集まっていた。]
あら、皆さんおそろいなのね。
[時間が経っても冷めていないのもひとつの奇跡であろう。
キリルの言葉に微笑み>>106]
それは愛情がこもっているほうが美味しい筈よ。
[首を振るリディヤにウインク一つ>>109]
さっきのブリャニキは美味しかったから、きっと料理も上手なんだと思ったわ。
[リディヤのブリャニキは優しい味がした。]
[蒼と茂る森の中に拵えられたお茶の席。
半透明の女と森の番人で、子供にとっては少し高い椅子に両足をぶらぶらさせてちょこりと座っている。]
ねぇ、その木苺のジャムとってくれる?
[暖かそうな湯気を上げる熊さんの絵のついたティーカップにジャムをたっぷり入れてスプーンでかき混ぜたり。焼き菓子にマーマーレードをぺたぺたぬったり格闘中]
― メーフィエの現れる前 ―
[す、とナプキンを片手に、口元を拭って。]
ここが貴方の夢なら。
次に見るときに、その声の主を夢見ればいい。
[グラスを片手に持ち、口元へ運びながら]
ここが『楽園』なら。
迷っているだろうその声の主の手を引いてあげればいい。
[少年に、味がわかるのか、わからないのか。
穏やかに笑ったまま、テーブルにグラスを戻し。]
もしかしたら。
貴方の記憶に、廃教会の亡霊と、遊んだ記憶ができるかも。
[冗談のように笑いながら]
楽しいゆめは、起きればとても悲しい。
稀に、ずっと眠っていたかったと思うくらい。
覚めれば、辛いばかりだというなら。
この夢を、思い出せば、いい。
クレーシャが楽園だと錯覚するくらい、優しい夢なのだから。
[背を、椅子に預ける。]
それから……
[再び、おなじ灰青の眸に向き合って]
………………ううん、何でもない。
[結局彼にかけようとした言葉は飲み込んで、
苦笑いにすら満たない表情に。
背を向けると、握られた銀の鎖が揺れる。
そのままホールの扉を静かに閉じた]
[目を開けば、少しずつ視界が蘇ってきた。
が、視界はどこか不明瞭で。
ここが新しい教会なのか、それとも古びた教会なのか。
自分の良く知る村はずれの教会か、それともあの不思議な教会なのか。
どちらも合っているような、違うような。そんなあやふやな認識]
(……あれ、私…?)
[言葉はやはり声にはならず。ただ、口を動かすのみ]
[誰かに呼ばれていた気がした。
だが、それが誰だったのか。
キョロキョロと辺りを見渡しながら、小さく首を傾げた**]
レイスは、あの人に薔薇を渡したかったと。
自分は、楽園に入っていいものではないから
奇跡が、彼女に会わせてくれたのだと、言っていました。
[小さい頃は、こんな風に年上と過ごすのは当たり前で
物怖じなんてしなかったのに。
いつから、言葉をなくしていったのだったっけ。]
また、会えたら、いいと、思います。
[俯いた顔から、ぽたぽた音をたてて、涙が落ちる。
質の良い布に、少しだけ染みをつくって、消えた。]
教えてくれて、ありがとう。
[ぎゅ、と手を握ったまま。]
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