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[レイスに力説した後、さらにヴァレリーに向かい]
少なくとも知り合いはそう呼ぶわよ!?
[聞く人は、「語るに落ちている」と取るか、どうか。
彼女をよく知る人間なら苦笑しただろうが、奇しくもここは不思議な世界。
嘘を言っても通用しそうなのがなんだかちょっと怖かった]
…それなりよ。
まだ若いからそれなりには使えるわよ。
[嘘は言っていないのだ。と自分を慰めた]
……へえ、職人さんなの。
[興味深そうに頷いた。まだキーラはそばにいただろうか。解散するまで魔女は話に加わるつもり**]
― 物置 ―
[先程目の前を横切った"なにか"については、
とりあえず害を与えるものではないらしいとわかったので一安心。
その手に受け取ったものは、どこからか現れた
円筒形のガラス瓶の中に入れると鞄へ大事そうにしまう。
そして現在。
おそらく入ったことがないだろう部屋へ
足を踏み入れているのだが]
…………珍しいものは特にない、か。
[どうやらここは物置らしいが、
建物自体が新しいせいか中はえらくこざっぱりとしていた]
一応、地下に繋がってる階段は見つけたけど…。
一人で行くのは、勇気がいるな。
[物置の奥にあった階段も、ひとまずはその先に進もうとしない。
良く言えば慎重だが、悪く言えば臆病な性格だった。
あとでキーラあたりにでも話せば面白がるだろうかと考えつつ]
あ……レイスさん、オリガ。
[物置から出てきた所で、
ちょうど二階に向かっているらしき様子の二人と出会う]
― 現在・キッチン ―
[少年が名を問うならば、自分の名とオリガの名を伝えるつもり。
棚をごそごそと漁るまでもなく、気が付いたら、テーブルには目的のものが、あった。]
…これ、もらってく、けど、
[所謂、酒の瓶である。
キッチンに居た事から、彼も料理人の関係者だと思っているらしい。]
[なにやら黒狼の方を見て、目をきらきらさせたりへらへら笑ったりしながら、そっとその背を撫でる。]
…オリガも、撫でる?
[なにやら、いいことがあったらしい。]
そうなんだ…
[それだけをいい、もらっていくと言われて、こくりと頷いた。
レイスとオリガの名前を聞き]
僕はナタリー…
[と小さく微笑んで、黒狼を撫でていた]**
ナタリー、…あの、…。
よろし、う、わあああ!
[ちょっと、挙動不審気に、目線をうろつかせつつ。
何かを踏んで、すっころんだ。1(10)]
………。
[頭は打たなかったものの、二度目の転倒は、さすがに、…。
これでも、28歳の、はず、………。]
[靴の下敷きになったのは、砥石らしかった。
狼の傍に落ちた欠片には、まるで気付いていない。
鈍いというより、とってもどんくさい男だった。]
―キッチン―
[レイスにつれられて中を覗けば、黒狼とナタリーの姿が。
初めて見るナタリーに、軽く頭を下げ……名乗ろうにも名乗れず、再びエプロンの前ポケットに手を入れ、そこにあったアスチルベの花を差し出した。
挨拶出来ぬ事をもどかしく思い、申し訳なさそうな表情を浮かべながら。
レイスが名前を伝えてくれたなら、ホッと安堵の表情を浮かべ、それにあわせ頷いてナタリーに微笑みかける事だろう]
[ちょっと不振な男に、
少女のような少年に、
花のように愛らしい女性に、
撫でられまくって狼はしあわせそうだ。
ぱたぱた尻尾を振っている。]
[傍らに花が置かれれば、すんと匂いを嗅いだ。
花のにおい、以上の区別はつかなかったけれど。]
[なんだか黒狼の前で、わたわたと身振り手振り。
そのあとやたら笑ったり、目を輝かせたりしたのち、
名残惜しそうに手を離し、立ち上がる]
オリガ、部屋、行きたいんだ。
いっしょに、行こう、か。
[彼女が満足すれば、また手を引いて歩き出すつもり。]
―回想―
[アリョールとレイスのやり取りを見て、自然と笑みがこぼれる。
大がかりな魔法は違っていても、そういった事が出来るというだけで、アリョールを見つめる視線がつい頼もしい物になってしまうようだった。
途中で感じた視線には、軽く目を瞬かせ。
少し申し訳なさそうに笑みを向けた]
―回想終了―
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