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─神社─
[名前を呼ばれて、わたしは顔を上げた]
……あ、神威さんのおばさん……。
[わたしは言葉に詰まった。
神威さんの伝言を伝えたかった。でも、「よろしく」って、どうよろしくしたらいいんだろう。
自分の事より、神威さんの将来のことをずっとずっと心配してたおばさん。何て伝えたらいいんだろう……]
あ、あの、か、神威さんに、わたし、会って、そして……。
[こんなにかんでちゃいけない。わたしは一呼吸をおいた]
神威さん、麓に降りて助けを呼んでくるグループに入ったみたいで、それで。
わたしが会ったのも、ちょっと帰ってきただけで。
またすぐに出かけてしまうから、もしかしたら、危険な道かもしれなくて、それで。
長くかかるかもしれないけど、大丈夫だからって……。
[詰まったこと、それ自体が肯定でしかなかった。
どうして気付いてしまったんだろう。
わたしの嘘が拙すぎたのか。どこかで神威さんを見た人が他にもいたのか。
それとも、神威さんが屍鬼化しているということは、どこかで血を吸われたということで……その前には「人形」になってしまっていたということで……おばさんには何かの予感があったのか]
おばさんは、神威さんが生きていると信じてくれてるだろうと……。
親不孝をしてしまったと……。
言ってました……。
[結局は、ただ、そう言えただけだった]
[先発隊が家の中に入っていく。
一発の銃声を合図に次々と銃声が響いた]
「うわぁぁぁ」
[見知った顔の者に一瞬躊躇した一人が撃たれる。
次々に銃声が響き、さらにはナイフを持った“人間”いや“人形”が襲いかかってくる。]
[小型機械特有の2サイクルエンジンの音がしたかと思うと]
ビィィィィーーーーーー
[音がワントーン甲高く響き渡り“人形”目がけて
霧状の液体がばら撒かれる。
途端に人形は目を抑えて転がり出した。]
[神威さんのおばさんを見送り、わたしは窓辺に移動する。
……夜が明けようとしている。
山入と兼正の屋敷には、志願者が突入していると聞く]
(わたし……わたしに出来ることは……考えること。
じゃあ、何を考える?
わたしはどうしたい?)
(わたしは「日常」を取り戻したい……。
それにはどうしたらいい?
屍鬼を「狩る」こと。人間を「守る」こと。そして、人形を「足止めする」こと)
[白む空を見て、わたしは考える]
……ねえ!!
誰か、手が開いてる方、病院について来てくれませんか?!
[わたしは振りかえって、起きてる人に叫ぶ]
後、病院に詳しい方……国松さんがどこにおられるか知りません?
もし、おられなかったら、ちょっと手際が悪いことになっちゃうけど……。
[農薬散布で使われる機械を押す者、ノズルを持つ者。
その男達の出で立ちは雨合羽にゴーグル、顔はタオルで覆い長靴姿という重装備。
そのまま中に液体を撒きながら突入する。
背負い式の噴霧器を持つ者もいた。そういう者は狭いところ目がけて走りだす。
後から続く者も長袖、ゴーグル、顔をタオルで覆い帽子をかぶっている。
銃声が響く中、怯む者もいたが、かえって逆上して向かっていく者も多く、中で大乱闘が繰り広げられた]
[夜の村を、男は多くを走りながら移動していた。幾ら走っても息が上がる事も疲れる事もないからだ。少しでも多く、何かをしておきたかった。男は村人達の動向を眺めた。また屍鬼達の動向も眺め、その会話を盗み聞いた。
生者を装って、二度、生者に屍鬼の居所を教えた。一度、屍鬼による物陰からの襲撃を防がせた。ごく、些細な行動だった。それでも、この狩りが少しでも早く終わるように、犠牲者が一人でも減るようにと、願っていた。
だが、そんな些細な行動ですら、限界は早かった。門前で雑貨屋を営む青年に話しかけようとした際、念のためにと手を伸ばされて、男は踵を返してその場から逃げ出した。そもそもが「死んで」はいないが末路の確証もない身の上なのだ。
桜子や高瀬が広めていないとしても、男が屍鬼になったらしいという噂は、すぐに広まってしまう事だろう。
それに、男は、屍鬼の側からも追われる身だった。勝手に単独行動をし、のみならず反逆行為を働いているのだ。いつ捕まるかも、捕まったならどうなるかも知れなかった]
……
[空を仰ぐ。他の限界も、じきに訪れようとしていた]
[……数十分後。
わたしは数人のおじさんおばさんと一緒に、病院にある限りの白衣を抱えて、戻ってきた]
たぶん、先生が中心人物だってことは、向こうにも知られてると思うんです。
だから、これは想像なんですけど、「人形」にされた人は、「先生を優先的に襲うように」って指示されてるんじゃないかと思って……。
「人形」の判断力が、どこまで落ちてるかは……わたしはまだ直接見た訳じゃないので、分からないんですけど。ただ、「誰が先生か?」を認識するときに、もしかしたら判断のひとつになってるんじゃないかって……。
[背恰好の似ている有志数人が白衣を着こみ、残りは人が寝ているような形にした布団人形や、藁人形を作って、そこに着せかけた。
神社他、村にもいくつか配置する]
……こんな小細工、どこまで効くかわからないけど。
何もしないで座ってるより、マシかなと思うから。
[男もまた重装備で中に入る]
窓を破れ!できるだけ光を入れるんだ!!
[その液体は“人形”の視界を確実に遮る。
見知った顔もあった。しかし前日に見知った顔の屍鬼狩りをしている男達のほとんどに躊躇いはない。
命に関わる薬品でない事を知っているために、ばら撒く側も躊躇いがない。
躊躇うものは窓を破るほうに専念させた。]
[これまで彼らが相手にしてきた人形は、高瀬を狙う為に神社に向かったものの他に銃を持っていたものは皆無である。
日本の田舎の村で銃弾の元にさらされたことのある者などいない。
日光の元で抵抗のできぬ屍鬼を狩るのと、自身を危険に晒すこととはまた別の覚悟がいる。
これまでにも人形の脅威もあったが、緩慢な動きで刃物をふるう者たちとは比べるまでもない恐怖。
流れ弾が村人の一人の頭に命中する。
目潰しが効いているはず――そんな理屈よりも恐怖が先立ち足がすくむ者も少なからずいただろう]
[夜が明けてから家に顔を出すと、過保護な両親は寝ずに心配してたらしい。泣きながら叱られた。
わたしも泣きながら謝った。
けど、ずっと泣いてはいないと決めたんだ。わたしは大学ノートと筆記具をかき集めて、神社に戻った]
住んでる番地で、グループ分けします。最大でも5人がいいと思います。
グループ4つでクラスにします。クラス5つで班にします。
グループ長は、定期的に点呼をとってください。ぼんやりしてる人がいたら、計算か、歴史か、クイズか、なんでもいいので質問して下さい。
返答がおかしければ、すぐにクラス長に回してください。
自転車を持ってる人、ケンカが苦手な人は、連絡クラスになってください。ただ、クラス長を見つけて伝言を離して、他のクラス長への伝言を聞くお仕事です。
[集団心理というものは、時に狂気を生む。
普段穏やかに生きている者が
愛する家族、友人、愛した環境を奪われた時
そして、その復讐心から結束したとき…――
人は……鬼と化す]
[偶然でも、流れ弾が当たれば。死ぬ。
義憤に狩られ、半ば命を捨てている者もあったろう。屍鬼を狩る内に感覚の麻痺してしまった者もいるに違いない。
しかし、全てではない。あくまで彼らは兵士ではない、ただの田舎の村人なのだ。
覚悟を決めていたとしても死ぬかもしれない想像と、具体的にそこにある死の恐怖は別だ。
逃げ出す者がいるのもおかしくはなかった]
「人形」にされた人は、病院の地下病室に集めて下さい。
看護婦さんたちは、その人たちの体調確認をお願いします。
神主さん、巫女さん、住職、お坊様がたは、ありったけの神像、お守り、何でもいいので全部出して下さい。
消防団、駐在の皆さんは、引き続き村内の屍鬼隠れ家捜索をお願いします。
「消毒」が終わった場所は、地図に書き込んでしらみつぶしにしていきます。連絡クラスへ伝言してくださったらいいです。
[わたしのような小娘が言うことに、どれだけの効果があるだろうか。
わたし自身も不安だったが、少しずつ、手伝ってくれる人が増え始めた]
[そこでわたしは気付いた。
ここに残っているのは、山入や兼正に行くほどの度胸はなく、かといって村から逃げ出すほど淡白ではない、「平凡」な人々なのだ。
わたしと同じ]
[皆、「誰か」が「どうすればいいかを教えて」くれて、「解決してくれる」のを待っていた。
わたしと同じように]
大丈夫です。
今だけ、今だけ頑張りましょう。
すぐに元に戻ります。大丈夫。
わたしたちは悪くない。「犯人」は兼正、そして屍鬼です。
少しの間だけ、無感情・無感覚になりましょう。少しの間だけ。
何も考えずに、何も見ずに、ただ、きちんと頑張ればすぐに終わります。
─屋敷・2階居間─
[居間の入り口に人影が見える度、入り口に向かって猟銃を撃つ。いくら輸液を施し、椅子に座っているとはいえ、重い猟銃を撃つのは重労働だった。
1発、また1発と撃つ内に、息が上がる、呼吸が乱れる。額には脂汗が浮いてるにも関わらず、顔色は青白い。
1階から聞こえる、屋敷を破壊していく音。自分の家が壊されていく、紫苑のささやかな夢さえも。
その音を聞きながら
頬を流れるは汗か
それとも涙か──
もう既に自分自身でも分からなかった。ただ、繰り返し、猟銃を──撃つ]
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