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[最後の言葉だけすこし声を荒げた後。
気を取り直すように軽く頭を振る。]
周囲と違う事をすれば、不幸になる。
普通と違う事をすれば、危険がある。
だから、俺は群の中で「普通」に生きる。
不幸にならない為に、誰も不幸にしない為に……な。
[最後に頭をガリと掻いてから、大きく息を吐いた。]
―――それだけの、話だ。
それは違う。
拒否の意味ではなく。
[けれど、離れていく手にはそれ以上は言葉を重ねない。語られ始める蒼真の過去に、イステは耳を傾ける。
街の中心部から外れたこの公園では、人々のざわめきも遠い。]
・・・・・・!
[音にならないため息が漏れる。
ついさきまでそこにあった現実。それはすでに瓦解していた。
まるで遠い記憶であるかのように。そして自分とは乖離しているはずの見知らぬ”フィリップ”の影が自分に入り込んできている。非現実的な記憶と、湧き上がる理由の無い感情。フィリップという個体の中は矛盾で溢れかえっている]
―夜/公園―
「普通」の中にあったものも
否応なく戦いに巻き込まれる世界になりつつある。
「終焉」を、退けなければ終わる世界。
[死したこと。孤独。ひとり。
ひとではない身であるイステは、智識を組み合わせて想像するしかない。もう片方の手で蒼真の腕を掴む。]
ソウマ、お前には――
《適合者》たる所以がある。
己の信じるものへ、信念のまま進んでいく、
想いの強さ。私たちにはそれが必要だ。
今、話しに聞いたお前の父は、
そのような者であったのだと私は推測する。
ソウマ、今、お前は ――
[人間という存在をハードウェアに例えるならば、肉体はマザーボードおよび筐体、思考能力がCPU、記憶がメモリ、経験がソフトウェア、そして記録がハードディスクだと考えている。
本来ならば記憶領域であるメモリの中にある大事なものをハードディスクに記録していくのだろう。
しかし、今の自分は違う。メモリとハードディスクが全くリンクしていない。現在のメモリの中に存在する情報には行き場がなく、霞となって消えていくのみ。しかしディスクには記録されているのだ、自分が記録していないはずの記憶が。
未知のアプリケーションが起動し、勝手に演算処理をこなしていく。
経験の無いデータを拾い上げ、何事も無かったかのように再生していく。
いや、今までもそうだったのかもしれない。ハードディスクの入れ替え後も入れ替え前も、メモリにあった記憶がが記録されたディスクなど存在していなかったのかもしれない。
自らインストールしたと思っていたソフトウェアも、それは幻想で他の誰かが勝手に仕込んだ物だったのかもしれない]
[左手が、その掌の感触を味わうために軽く握り込む。
ああそうだ、フィジカルハードディスクだけは真実だ。今フィリップ・ミラーという存在がここにいる。これだけは記憶してもいい。
では、魂は?オペレーションシステムは、一体何なのだろう]
[改めてリルの顔を見つめる。
愛しい。
愛しい、のか。
愛しい、はずだ。
愛しい、と言うべきなのだ。
・・・・・・・ 何時僕は、リルに恋をしたのだろうか]
[恋をしなければ、愛しいと感じてはいけないのか。
恋をしたという記憶がそれ程大事なのか。
恋をした事が無いのか。
そもそも、フィリップという個体にとって恋とは何なのか]
[リルの肩を掴む。その手はリルを引寄せるでもなく、かといって遠ざけるでもない。ただ、そこにいるリルという存在の肩を掴み、彼女が現在存在する座標を理解したかっただけなのかもしれない。
考えるのを辞めて、沈んでしまえば楽なのかもしれない。今ある全てが正だとして、受け入れる事も大事なのかもしれない。
人間の記憶とはそういうものだろう。記録されたものが記憶の完璧な再現である可能性は低い。そうやって人間は自分に都合良く自らの人生を蓄積し、構築していく。現実から逃げているわけではない、それは現実と向き合い付き合っていくという知恵なのだ。人間という存在は、全てを虚飾ないまま受け入れて生きていくには脆弱な生物だ]
・・・・・・ すまない。
[ぽつり、と呟いた。
リルを抱きしめることを拒絶したわけではない。
敵を倒すことを拒否するつもりでもない。
ただ、今の自分という存在が、まるで霧の中にいる迷い子のような存在で、ただこの霧を抜けるための目印として何処に続くか判らない地面に敷かれたレールの上を、ただ漫然と歩いて行るだけなのが許せない。
そんな状態で、何故僕はリルを抱きしめられるのか。抱きしめる権利があるのか]
[目が覚めた時に、自分がどこにいて何が残っているのか。
何もかも失ってしまうかもしれない。
今思い直せば、自分を思ってくれるリルと、従兄弟のサラ、そして現実の准教授という地位が手元に残る。寿命が尽きるまでそうやって生きて行くことが幸せなのかもしれないし、人はだれもそうやって生きていくのかもしれない。
じゃあ、それが幻想で、現実のフィリップはこの太陽と月の元、既に孤独なのだとしたら。
知らないことは幸せなのか。
知ることが不幸なのか。
だったら、僕の中にあるフィリップという名の誰かの記録の中では、リルとどうやって恋に落ち、そして古のHMに憎悪を燃やしたのか。
今の自分だけが空虚な事に気がついてしまった以上、ここで停滞したくない]
[リルの肩からぬくもりが伝わってくる。
僕とリルの距離はゼロなのに、僕の心はリルという存在から遠く離れた場所に存在している。
辛い。
共に居たいと、安息が欲しいと魂は叫んでいるのに、それが僕には出来ない]
[コクピットのハッチが空き、ラボの蛍光灯が刺し込む。
眩しくて、目を細める。
だがその光は、まるで自分が今いるトンネルの出口のような気がした**]
― 夕方/Endeavour社入り口 ―
[爆音が鳴り響いて、受付嬢たちは顔を見合わせた。何事かと訝しむ彼女たちの前に、白衣を羽織った女性が颯爽と姿を現す。その上着の下は相変わらずパジャマのままだ。
そんな異風の身なりを気に留めることなく、キャスリーン・ロンズデールは軽やかにカツカツと足音をたてて受付へと向かう]
HMについてお聞きしたいのだけれど。
「はい、技術部担当へのご用件でしょうか? アポイントメントはおありでしょうか?」
いえ、そういう事ではなくて。そうね、HMの歴史について、少し尋ねたいの。
[キャスリーンは受付嬢からパンフレットを渡されて、Endeavour社とHMの歴史について説明を受けた。元気の良い受付嬢の軽快な口調は耳に心地いい。特にHMについて「画期的」だと言って胸を張った様子が小動物のようで、本来の目的を忘れそうになる]
画期的……やはり最近までこれに類する技術は無かった? 「終焉」も「機神」も喪われて時を重ね、そして今「機神」だけが……? とすれば、それは何のため?
[思考を整理する。散乱した推測の切片をふるいにかけ、まとめあげて三つの可能性へ収束させる。はたして正解は「敵」か、「味方」か、「偶然」か]
此処の「王」は、どんな方なの? どこにいらっしゃるの?
[「王」という言葉に戸惑いつつも受付嬢の答えた情報は、キャスリーンの思考になんら寄与するものではなかった。不幸なことに、キャスリーンは交渉よりも手っ取り早い、そして大きく危険を伴う手段を学んでしまっている。
彼女を救ったのは、円城寺との会話経験、そして彼の忠告だった。それが無ければ、招かれざる客がサイレンを響かせて現れていたに違いない]
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