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[朝食を取りに出て行くおば様方に会釈をして、浴衣を脱ぎ、きちんと畳んで籠に入れて、内湯のドアをカラリと開けた。
旅館にしては、少し小さめ]
(露天風呂が別にあるって書いてあったし、外にはたくさん温泉があるから、ここはこれくらいなのかな?)
[丁度間隙を縫ったような形になったのか、浴室には人っ子一人いなかった。
曇り硝子から漏れ入る朝日が、ゆれる水面をキラキラと輝かせていた。
ささっと身体を洗うと、湯船に脚をつけた。
温かい。
とぷんと入り、水面と朝日を交互に眺めては、ゆったりとした時間をたゆたっている]
[ゆったりと浸かり、上気して頬を赤く染めていく。
そろそろ亜積さんも起きるだろうし、朝食の時間にもなるだろう。
湯船を出て、掛け湯をして浴室を後に。
ちょっと長湯しすぎたのか、少しフラフラしながら浴衣を着、羽織を羽織って、自室へと*戻っていった*]
[カラリ かたん。
控えめに抑えられた板戸の滑る音と、それに続く小さく打ちつけるような音に、ふと目が覚めた。
むくりと起き上がり音のほうに顔を向けると、茶色の羽織を肩に掛けた姿が目に入る。]
…うん? 誰だっけ?
[目をこすって眠気を払う。
隣の布団を見ると掛け布団が足元の方に畳んで置かれ、そこに寝ていたはずの姿はなかった。]
「あ、おはようございます。起こしちゃいましたか?」
ああ、佳奈さん。おはようございます。
二日酔いにはなってない?
ん、それは良かった。でも、佳奈さんのお酒の弱さにはびっくりしたよ〜(笑)
いやいや、大人しく寝ちゃうのは無害だから問題ないよ。あ、本人的には問題なのか。
[挨拶を交わして軽い会話。浴衣を着るとちょっと雰囲気が変わるね、などと思いつつ、小さく伸びをした。
時計を見れば7時。朝食は確か8時。佳奈さんが朝風呂が気持ち良かったと教えてくれたので、行ってみる事にした。]
[お風呂に向かう道すがら、旅館のあちこちを見物する。
木造の階段が足元でキシリと鳴る。ロビーを見下ろせば、広い窓から朝日が燦燦と降り注ぎ、白と黒を基調にした内装がしっとりとした時間を感じさせた。本当に素敵な宿だ。
地獄釜をちらりと覗いてみれば、もくもくと白い煙が上がっているのが見える。今そこで朝餉の用意がされているのだろうか。
【サカエ家内部 http://www.yuhkfk.com/bepu5.ht...】
色々見て歩き満足すると、足はようやくお風呂場へと向かった。内湯は二面が大きな窓になっており惜しみなく朝日が降り注いでいた。]
昨夜入った露天風呂も気持ち良かったけど、これだけ明るいと内湯も爽やかなもんだね。
[掛け湯で身体を湯温に慣らし、そろりと浸かる。
先客と目が合って会釈すれば、今日はどちらへ行かれますか? などと会話が弾む。2人連れのおばちゃんは、いろんな色の地獄や、そこで飼われているワニなどが見れるから地獄巡りも必見よと教えてくれた。]
さて、茹であがる前に出ないとね。朝から湯中りで疲れてちゃ洒落にならないや。
[最初に桶にとって冷ましておいた湯に少し水道水を混ぜて更に冷まして、肩からザブリと被った。ひやりとした加減が火照りかけた身体に気持ち良い。
身体を拭いて、浴衣から普段着に着替えると、今日一日の行動体制になったなという気がした。]
[一旦部屋に戻り、佳奈さんと一緒に朝食をとりに向かった。夜は部屋食にしてくれたが、朝はみんな宿に設けられた和風レストランでとる事になっているらしい。
【うたげ http://www.coara.or.jp/kannawa...】
レストランの入り口で中を覗き込み、思わず立ち尽くす。
広々とした空間。大きな梁は一本の丸太がそのまま使われ天上を支えている。障子の白さが眩しい。なんて素敵なんだろう。日本万歳!などと思ってしまう。
奥のテーブルに着いた人物がこちらに気付いて、おーいと手を振った。]
「あれ? 滝田さん?!」
[佳奈さんの驚いたような声が聞こえた。あぁそうか、彼女は先に寝たから知らないんだった。
滝田さんの着いたテーブルには、三人前の用意がされているようで、呼ばれるままにそちらへ進んだ。きしきしと鳴る床板が足の下でひんやりとして気持ち良い。
テーブルに着いてみると、驚いた事に掘りごたつ形式らしい。地獄熱を利用したものだそうで、これは冬に来てみたかったかも…と内心思う。]
おはようございます。
「おぅ、おはよう。湯治部の朝食は本来違うらしいんだが、お連れさんならと女将が気を利かせてくれてな。」
[三人が卓に着くと朝食が運ばれた。焼き立てのアツアツの鯵が食欲をそそる匂いをさせている。お皿に添えられた薩摩芋は地獄蒸しだろうか。
トロロに卵を割って入れ用意されたすりこ木で合わせる。それをホカホカのご飯に掛けるとほっぺたの落ちるような美味しさだった。]
もぐもぐ。うん、鯵の身、ぎっちり詰まってますねー。鯵もこっちの名産でしたっけ。
ぱくぱく。うわ、胡瓜のおつけものすごいあっさりですよ。これもう少し欲しいなー。
ごくごく。んん? お味噌汁の実ってなんだろ。これは…むー? でも美味しい。
【朝食 http://image.blog.livedoor.jp/...】
ごちそうさまでした。(合掌)
[たわいない話なぞしながら朝食を済ませ、滝田さんが泊まったという湯治用の部屋を見せてもらう事にして、三人はレストランを後にした。
チェックアウトしようとする頃には、おそらく水緒ちゃんからのメール>>271が届くだろう。
4人が合流するのは*もう少し先のおはなし*]
[別府八湯の中で一番の高台に位置する明礬温泉。別府湾や高崎山が一望できる絶景ポイントに存在するだけあって]
…風がちょっと冷たいな。硫黄交じりの風は暖かいんだが。
冷たい空気と暖かい空気が多重の層になって吹き抜けている感じだ。
[冬場は脱衣所が寒くて辛いらしい。この季節はそういうことを気にしなくて良いので助かる]
ここの中には宿泊施設がないようだが、周辺部には色々とあるんだろうなぁ…。浴衣姿で散策する姿も見えるし、いい感じだ。
ゆっくりと色々なものを見て回ることができそうだ。…それでも土産物屋は人が多いな、後回しにしよう。
[夏休みも終わりかけだからなのか、平日だからか、人出は落ち着いている模様。レジの行列を横目でちらりと見てから、とにかく一番奥にある露天風呂へと向かった。
…貸し切りか?
[それなりに観光客が来ているのに、男湯にはほとんど人がいなかった。思い起こせば、レジで並んでいたのもほぼ女性だったような…]
男はゆっくりと長時間浸かるってことも余りしないしなぁ。
女湯は混んでるのかねぇ?
[掛け湯をした後でどっぷりと顎の先まで湯に浸かり、湯船の中で四肢を充分に伸ばす。
乳白色の湯は、青空を映すかのように僅かにコバルトブルーに染まり、ほわりと湯気の立つ様はとても美しい。眼下には湯の花小屋が立ち並び、その先には別府湾。ちょうどフェリーが出港したようで、白い軌跡を描きながら目の前を横切っている]
気持ちいいね。硫黄の香りが身体に沁み込みそうだ。
[しっかりと温まってから出ると、湯上り処で一休み。ここも景色が素晴らしく、涼しい風が吹き抜けて心地よい。冷たいお茶を飲んで火照りを覚ましてから、温泉卵を50円で購入]
…あちっ!あつ〜!
[両手でお手玉をしながら、しっかりと蒸されたアツアツの卵の殻をむく。そして塩を掛けて、ぱくり]
…ふ、ふぁっ!あっふ、あっふひ!
[周りが少し冷めても、黄身はしっかり熱かった。口の中ではふはほ言いながら、もぐもぐごくん。黄身までしっとりと蒸しあがっていて、旨い]
ふぅ、小腹は満たされたが、大腹が空いたままだな。
夜は何を食べよう…。
[デジカメを構えて移動しながら、店先に並んでいるものをぱちぱちと撮っていく。綺麗に包装された焼酎の瓶に興味が行くが、さすがに全部は買えない。せめて見た目だけでもと思って一通り撮影。
ついでに、可愛い店員さんを撮ろうとしたところで]
http://www.d-b.ne.jp/yunosato/...
『滝田さんっ!』
[突如背後から声がかかった]
…竹内さん…。
驚きましたよ、こういうことをするタイプだったんですね。
[やり取りしているうちに店員さんは奥に移動してしまった。少しくすくすと笑いながら、いつか仕返しをしてあげようと企む]
せっかくですから奢られてあげましょう。
焼酎の瓶をですね、撮っていたんです。全部の買い占めはできませんからね。
[言いながら、一本だけ購入。
後はひたすらカメラの話をしながら食事処へと連れ立って歩いていく]
画素数は1210万画素、メモリは4GBを2枚用意しました。
普通に使う分には容量が足りなくて困ることはないでしょう。
しかし思ったよりもどうでもいいものまでつい撮ってしまっているので、後で退避が必要ですね。
最寄のカメラ屋に飛び込んでDVDなどに焼いてもらうのもいいですけれど、のんびりing号にはホットスポットもありますからそれを利用するのもいいでしょう。
私は博多に着いたらちょっと自宅に戻ってバイオUを取って来ます。
ハードディスクを退避先にすればほぼ撮り放題ですよ。
ノートパソコンは荷物になるかと思って置いてきましたが、列車に置いて出かければ問題ないでしょう。
寝台車内に鍵付きの貴重品入れもありますしね。
[食事処では、メニュー選択に悩む佳奈を見て(悩むくらいならば両方食べてしまえばいいのに)とか何とか考えながら、自分は黒胡麻味の湯の花プリンをあっさりと決める。
どれだけ集中して悩んでいるのか、バッグの中から微かに聞こえる携帯の音にも気づかないようだ]
夕飯はここでだんご汁セットでも…と思ってましたけれど、何か美味しいものの予定があるのならばそちらに乗り換えましょう。
[土産物屋に移動し、プリンを8個も買う佳奈の姿を見て心の中でこっそり(余程プリンが好きなんだな)と思ったりして]
[亜積と合流すると、佳奈が宿に予約を入れるのを待って、町並みを見ながら散歩へ。土産物屋で地獄蒸し体験をさせてもらうことにして、卵、プリンと選ぶ二人と違うものを…と、団子をチョイス。蒸した団子は、トロリとした食感で柔らかく、しっかりと黄な粉が絡まって旨い]
普通の串団子とは全然違うものになってるなぁ。
材料も作り方も同じで、最後がちょっと違うだけなんだが。
[食べ終わると、いい時間になっていた。車が行き交うのもギリギリな細い道を曲がりくねりながら坂道を宿に向かって上っていく]
こういう所で生まれ育つと、足腰が鍛えられそうだ…。
[湯煙情緒を前に、そんなどうでもいいことをぽつりと呟く。
たどり着いた旅館は、どっしりと古い構えの老舗という感じの建物]
いいね、ふと部屋の隅を見ると、座敷童子でもちんまり座っていそうな雰囲気だ。
こう、「書生」とか、そういう肩書きの付く人がいるような。
[語彙が貧相なので的確な表現が出ないが、本人は気にしない。
そんなことを言っているうちに地獄蒸し料理が運ばれ、まずはビールで乾杯。迷わずいきなり料理に箸をつけるふたりを尻目に、まずはひたすら写真を撮りまくる。
そしてやっと電源をオフにして箸を取り、蒸した海老にかぼすをギュっと絞り、口に運ぶ]
自分自身も硫黄の匂いでいっぱいだが、料理もしっかり硫黄だ。
外からも内からも硫黄で満たされるって感じだなぁ。
茹でた魚介類と違って、蒸したものは味の濃さも違うし。
亜積さんは焼酎が苦手ですか?
私はワインがちょっと苦手ですね。
焼酎は、芋・麦・米どれも好きですよ。
……あれ?竹内さん?絡み上戸?…大丈夫ですか?
[ひと口は少なくても、積もり積もれば結構な量になる。飲めないのは問題ないが、自分のアルコール許容量を知っている人の飲み方に見えない佳奈を見て首を捻る。
その目の前で見事に撃沈する佳奈の姿を見て、思わず亜積と顔を見合わせて噴き出した]
こんなに分かりやすい酔い落ちを見るのは初めてですよ。
[布団を掛けられる佳奈を横に、亜積と情報交換]
ひょうたん温泉か。鯉と混浴できるのか?
そう言えば、うみたまごでは鯉と鯛が同じ水槽で泳いでいるのが見られるはずだし、鯉は意外と何でもありなのかもしれんな。
そして地獄蒸しの屋台か。屋台はいいな…。
[博多の町の屋台の並びを思い出す。旅に出てまだそんなに日にちは経っていないはずなのに、妙に懐かしい]
蒸したてのおこわは旨いですよね。冷えたり、冷えたのを温めなおしたりするとガクッと味が落ちるのが残念なんだが…。
[そこでふたりの携帯に着信が入り、もう1人の客人と合流することを知らされる。携帯の写真を見たときに、同時に画面の上にある現在時刻が目に入り]
(今から駅前に戻るのは…ちょっと面倒だな)
[段取りを全て亜積に任せると、部屋を出て宿の人に部屋が空いてないか聞いてみる。ダメ元だ。すると湯治客用の部屋が空いているとのことで]
何がどう違うかは分かりませんが、泊まれるのならば。
助かります。
[高等温泉のほうにキャンセルを入れると、亜積たちの部屋に戻り、ここに泊まることにした旨を報告。仲居がやってきたのを合図に、宛がわれた自分の部屋へと向かった]
…しまった、こっちのほうが座敷童子で書生だ。
http://www.coara.or.jp/kannawa...
[この侘び寂びたっぷりの部屋を見て、あちらの部屋は充分に豪華だったことを思い知る]
しかしあちらよりもこちらのほうが寛げる気がする。
湯治か…いいね。
一月くらいここでぼーっとしていたい。
[しかし今回の旅で、店舗改装による臨時休暇と有給とをフルにつぎ込んだため、もうしばらくはおちおち休めそうにもない]
…現実は横に置いておこう。溜め息が出る。
[ささっと布団を敷くと、浴衣に着替えて潜り込んだ]
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