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…もう少し、整理すればいいのに。
[大きな部屋に、声がこだまする。
様々なものが積み重なる部屋……ここは、永い時を経て使われるのを忘れられた付喪の倉庫だろうか。
武器も多く保管されている。
ここならば自分やカチューシャの身でも扱える武器があるかもしれない──
短剣や、銀製のなにかを求めて、武器庫を探索しはじめた**]
[ダニールの名に反応したフィグネリアにひとつ頷く。]
アナスタシア・ニコラエヴナ嬢は、この城で消息を断った「ダニール」さんを探しておられるようです。
この服は、その「ダニール」さんのものとのことですが、残念ながら、わたしはこれを拝借しただけで、彼女に益となる情報をもたらすことはできませんでした。
もし、どなたか「ダニール」さんについてご存知であれば、彼女に知らせてくださるようお願いします。
[最後の依頼は、食堂にいる全員に向けて。]
[席につき、簡単な食事をとりながらこれからの予定について話す。]
今夜は、礼拝堂に安置した故ニコライ・ミハイロフ氏の側に灯火を絶やさない「献灯の祈り」で見送れたら、と考えています。
適宜、蝋燭を足して夜通し灯の番をお引き受けくださる方がおられましたら、歓迎します。
むろん、交代で休んでいただけるよう、クッションや毛布を運び込んでおきますので。
ここに居られない方にも、会うついでにお知らせいただければ幸いです。
[それは、礼拝堂に籠るならば、自分が目を配っていられるという提案。]
[亡霊がユーリーのそばに現れたのは、またひとつ命が潰える前か、それとも後のことか]
……まさか、ハンカチまで再利用されていたなんて。
まぁ、それはいいんです。
あなたの、それ。
――まるで人質でも取っているみたいですよ。
[薄笑みを変えないまま、自分と同じ濃紺の服を指さして。
それ以上は何も言わず、黒髪を揺らして消えた]
―井戸脇―
(考えろ――考えろ――気を――しっかり――持て)
[ロランも既に親吸血鬼の襲撃を受けていて――]
……。
……ない。
[遺体の脇にかがみこみ、震える手を抑えながら首筋を見る。
痕はなかった。
グレゴリーはアナスタシアの言葉を疑っていた?ロランこそが本物の親吸血鬼で、アナスタシアの言葉は嘘だったのか?それともグレゴリーこそが嘘を吐いていて――吸血鬼騒ぎに便乗して、ただ単に殺人を犯そうとしていた?
確かなことは、今ここでロランが死んでいて、彼の背にグレゴリーの短刀が突き立っているということ、それだけ――]
── 礼拝堂 ──
[食事の後、礼拝堂へ赴き、後からここを目指してくる者が迷わないよう、入り口にカンテラを提げた。
そして、ニコライが安置された祭壇の隅に、この夜、一本目となる蝋燭を灯す。]
多くの命を守らんがため、
あなたの死をも利用しようとするわたしを許してほしい。
[死の状況を伺わせないよう整えられた亡骸の胸に、ロランから渡されたリディヤのロザリオをそっと乗せた。]
闇に引き摺り込まれるは、血の味を知った時が相場――だったかしら。
ふふ、気を強くお持ちになって?ナイト様。
血の餓えと隷属の本能に屈しさえしなければ…人の皮を被り続ける事も出来るでしょう。
[逃れようとか篭められた力に筋の浮き立つ首筋へ、唇を触れさせたまま囁き]
抗い続けるなら――少しは貴方の事を見直すかも知れなくてよ。
[嗤いながら、白く長い牙は男を*犯した*]
[もし、誰かがこのロザリオを持ち帰っても、それは「盗難」ではないと思う。
神の加護を求めた者に託されたのだ。
ニコライはあれほど執着していたロザリオを、死の前に手放した。
それも、必要なものに渡ることを願っての行為だろうと思う。]
──Cum spiritu tuo.
(汝の霊と共にいまさんことを)
[祈りの言葉を呟き、ニコライの側を離れると、一端、城へ戻った。
礼拝堂で夜を過ごすために必要な品を運ぶために。]
ダニールは、ここまで読んだ。 ( b4 )
――ダニール視点――
[亡霊がユーリーのそばに現れたのは、またひとつ命が潰える前か、それとも後のことか]
……まさか、ハンカチまで再利用されていたなんて。
まぁ、それはいいんです。
あなたの、それ。
――まるで人質でも取っているみたいですよ。
[薄笑みを変えないまま、自分と同じ濃紺の服を指さして。
それ以上は何も言わず、黒髪を揺らして消えた]
― 薔薇園 ―
[夜霧に濡れた薔薇が眠る中。両手を胸にあて、祈るような姿で立っている。
井戸の傍にて流れた命。
ロランの遺体は運ばれたか、そのままであったか。影になっていたが為にそれを知ることはない。
血の匂いを隠すように薔薇の香りはいっそう濃く、娘を包んだ。]
―食堂―
この城で、消息を……。
[ふと脳裏に過ぎるのは、アナスタシアのピアノを弾く後姿。
低音の音色が蘇りなにかを語りかける気がした]
私も出来る限り、協力させてください。
[「献灯の祈り」の提案に。
元々食は細いけれど、更に少ない食事をどうにかとり、
一度部屋に戻るために食堂を*出た*]
[時が止まったような感覚。
逢いたくて逢いたくて堪らなかった相手が目の前にいる。
逃げ出してしまいたくなるような――しかし吸い寄せられるような、艶やかなるその姿。
姉の名で呼ばれるまでの僅かな間。ローズグレイの瞳は常よりも微かに赤みを増して。]
ディアーナ=ヴァレンニコフの妹、オルガ=ヴァレンニコフです。
お初にお目にかかりますわ。イライダ様。
[その唇から漏れる己の名。体が歓喜で震える。
両手でドレスの裾をつまみ、軽くスカートを持ち上げて。腰を曲げて頭を深々と。膝もより深く曲げた。
他の者たちへとした物とは違う、より丁寧な礼。
身体を起こした時には、切なげにこちらを見つめる瑠璃色に心を奪われていた。**]
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