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[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
追われし者 ユーリー は 貿易商 ニコライ に投票した
城主 イライダ は 貿易商 ニコライ に投票した
アナスタシア は 貿易商 ニコライ に投票した
海賊紳士 トリス は 敗残兵 ベルナルト に投票した
敗残兵 ベルナルト は 貿易商 ニコライ に投票した
伯爵令嬢 カチューシャ は 貿易商 ニコライ に投票した
貿易商 ニコライ は 騎兵長 グレゴリー に投票した
騎兵長 グレゴリー は 貿易商 ニコライ に投票した
オリガ は 貿易商 ニコライ に投票した
フィグネリア は 貿易商 ニコライ に投票した
遊牧の民 ナタリー は 貿易商 ニコライ に投票した
薄命の青年 ロラン は 貿易商 ニコライ に投票した
ヴェロニカ は 貿易商 ニコライ に投票した
貿易商 ニコライ は村人の手により処刑された……
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか?
現在の生存者は、追われし者 ユーリー、城主 イライダ、アナスタシア、海賊紳士 トリス、敗残兵 ベルナルト、伯爵令嬢 カチューシャ、騎兵長 グレゴリー、オリガ、フィグネリア、遊牧の民 ナタリー、薄命の青年 ロラン、ヴェロニカの12名。
[男が落ちた、その窓際に立つ黒髪の少年――ロラン。]
──動くな。
[言いおいて、大股に男が落ちた場所へ歩み寄る。
こんなときに、何故グレゴリーは消えたのかと苛立ちながらも、ベルナルトの注進を無下にしたのは自分だということは、はっきりと自覚していた。]
――書庫――
[既にそこに生者の影はなく]
『一部の地域では吸血鬼を〈冥府からの使い〉と呼び、それらがヒトの生き血を吸うことを』――――
[男は吸血鬼伝承に関する書物を音読していた。もう既に何度も読んだ本ではあるが、時間を潰すにはちょうどいい。
だが、突如その声がぴたりと止まった]
今の音は……
[まるで、大きな物が上から下に落ちたような音だったけれど]
[オリガの手の平に刺さり、傷つけた薔薇の棘に褪めた眼差しを注く。
香りは嫌いではなかったが、こういうところがあるから、薔薇をあまり好かないのだと思う。
切っ先で袖を捲り上げ、肘の内側、最も柔らかい皮膚に刃を埋め込んだ]
痛くして御免なさい?
[罪悪感など欠片も滲ませない声でそう告げて。
浅く切り開いた傷に唇を寄せる――]
[すぐにわかった。
窓から落ちたのは貿易商のニコライ。
角度のズレた頸骨からも既に絶命しているのは明白だった。
両手で握りしめているのはリディヤのロザリオ。
かすかにアルコールの匂い。
リディヤの亡骸を包んだシーツの余りを引っ掴んで戻り、その上を覆った。]
[血塗られた空気は濃くなったが
…そう言えば、この二人は変わりない!
(この二人は信用出来るわ!)
[ヴェロニカが何事かを見て失神していると言うのに
カチューシャは、内心光の差す思いだった。]
お気を確かに。
どうぞ、しっかりなさって下さいませ。
[冷やしたレースのハンカチをヴェロニカのおでこに乗せ
そっとヴェロニカの手を握る]
[悲鳴をあげる女性たちに一瞥をくれるも、構っている余裕はなかった。
事実確認を優先すべく、城の中へ駆け上がり、ロランの身柄を確保しようと試みる。]
-- アナスタシアの部屋 --
[ごくり。]
[ただ緊張してアナスタシアをオリガを見ていた。]
[いつの間にかトリスに手を握られていたようだがそれもはじめは気付かず。]
こんなことして…なにが目的なんですか。
アナスタシアさんを吸血鬼にするためだけ?
吸血鬼って、誰彼構わず襲うモノなんですか。
…どうして私にこれを、見せるの。
[視線をトリスに向けぬまま、問いだけを向けた。]
[刃が皮膚を切る感触に、僅かに眉を顰める。
傷口に沿って滲む、紅い糸。]
構いませんわ。
お好きなだけ。貴女が、満足なさるまで。
どうぞ、お舐めになってください。
[己の紅に口付ける赤い唇を、愉しそうな笑みを浮かべて。
零れ落ちる黒髪にそっと手を伸ばす。]
―居室―
[血の匂いが濃くなる。
酔ってしまいそうになる血の気配に城主は柳眉を寄せた。
コクリと何か嚥下するように咽喉が鳴る。
欲しいと思ってしまうのは吸血鬼の性]
――…ふ、…ッ。
[切なくも苦しげな声を漏らし濡れた眸が誰かを探した]
誰彼構わずなんて事はない
俺達は吸う人間は選ぶからな、誰彼構わず襲うのはーーー寧ろ人間だろう
[戦争、犯罪、暴力
生きていくのに必要もないのに襲うのは人間だけだと、ナタリーに囁く]
アナスタシアを吸血鬼にするのだって、種の保存の為だ
俺達はこれ以外に種を増やす手段を知らないからな
そして、増やす相手は何も知らない人間より
如何ばかりか知識のある人間の方が良い、と言うわけだ
[そう言って笑う
そう、暗に次に夜の住人になるのはお前なのだと言わんばかりに]
── 二階 / 割れた窓付近 ――
何があった?
[ロランを見つけ、問う。
逃走の気配もないところから、彼がニコライを突き落としたのではないと推測はできていたが、誘導になるような質問は避けたかった。]
あんたも知らないのかよ。
……困ったな。
[人の気配は消えているから、廊下を順に回ればやがては辿りつくだろうが。
用意の悪い自身に苛立ちながら、グレゴリーを先導し三階の廊下を進んだ]
トリス……
あいつ、アナスタシアさんは嫌がっていたのに……
[ぼやきともつぶやきともつかない声を漏らす。口調を改める余裕はない。
部屋の気配を一つ一つ辿りながら、廊下を彷徨う]
……は、…っ……。
[ずるずると躯が崩れた。力が抜ける。
其の侭、力無く床に腰を落として。
視線が捕らえたのは――先程のロザリオ。
それがリディヤの持ち物だとは知らない。ただ、目を奪われた]
なんでニコライさん……なん、で…
[落ちたことにか、ロザリオに拘っていたことにか。
もう何もかもが良く解らなくて。
無意識に…酒の芳香が漂うロザリオに手を伸ばした]
――外――
[落ちて、死に花を咲かせていたのは貿易商の男。
周りにいた人々の反応は様々だった。貿易商の男に駆け寄る者、その場から動けなくなる者、そして]
……いた。
[その場から動けなくなる者を支えようとして倒れてしまう者>>10]
[探す者は見つからない。
この部屋には自分以外誰も居ないのだから当然のこと。
伏せた睫が小さく震える。
我が身を抱き衝動を堪えるような仕草。
その姿が揺らぎ――、酒庫へと姿を向かうはずだった。
ふ、と意識が途切れ目標がずれる。
酒庫の扉の前で膝を折り扉を背に凭れるような姿勢で目を瞑る]
>>23
[何も言わず、震えるヴェロニカの手を優しく両手で包んだ]
(だいじょうぶ。
わたくし達は
共にこの城を生きて出るのです――主の加護と共に**)
[ガラスの割れ方からして、内側から外へと力がかかったことは見てとれた。
ロランの手にあるリディヤのロザリオが鈍い光を反射している。
(ニコライが持っていたように見えたのは錯覚だ)
ロランの証言。
窓が割れた後に、ニコライがまだそこにいたと。]
ニコライ・ミハイロフは、
──君を見て、ロザリオを掲げたというのか?
[答えではなく、ロランの反応を窺う。]
種の保存なんて、くだらない。
私にそのお遊びに付き合えと言うのね。トリストラム・シアー?
[尖った犬歯を一つ舐めて口唇の間にしまい、酷くつまらなさそうに呟いた。
見つめるオリガには莞然として曰く]
貴方の望みがなんであれ……叶うといいわね。
彼じゃなくて、カ・ノ・ジョ。
随分と潔癖な性格した女だよ。男装の麗人ってやつだ。
[ドアに耳を押し当てたり、開いたり。
見聞しながらグレゴリーの言葉に返す。>>35
疑っているのか――その問いには、まあ、と言葉を濁しながら]
……そいつを確かめたいんだ。
アナスタシアさんは具合が悪かった――男手はいらないときっぱり断られて、あいつは彼女を運んでいった。礼拝に行けないって言われたのはその時だ。
手伝いにナタリーも連れて行って……
そういや、ナタリーも結局来なかったな。あのお嬢さんは、葬式に参加したそうだったのに。
[ふう、と息を吐き空の部屋を確認して扉を閉める。
ばたり、と。大きな音が響いた]
無事なら、それでいいんだ。馬鹿にされるのはちょっと辛いけど。
誰でも、よかった…?
[しばしの間を挟んで返されたロランの言葉は、瞬時には理解不能で。
窓枠を調べた後、廊下の手前へと引き返す。]
ニコライ・ミハイロフ氏の部屋を調べさせてもらおう。
君の目にどう映ったにせよ、
わたしは彼の死が「事故」であることを祈る。
仮にだ──
ニコライ・ミハイロフ氏が自ら死へ走ったのであれば、我々は教会の法に則って彼を葬ることができない。
自殺は神が禁じた大罪なのだから。
自殺した者は墓地に葬られることなく、その魂は救われることがない。
その亡骸は──
[この城の立地を思い浮かべる。]
礼拝堂裏手の崖へ投げ捨てることになるだろう。
それは、神が定めた法だ。
保存ではないな
結局生き物である以上、俺達とて誰かと繋がらずにはいられない
[アナスタシアの言葉>>39にそう答える
物理的にも、精神的にも、繋がりを求めてやまないと言うのにこの吸血鬼は物理的に繋がる事の出来ない性癖の持ち主だ]
寂しいとは言わん、しかし
同じ時間を生きる者がいると言う事実を俺が知っているという事が大事なんだよ
俺の遊びに付き合う必要はない、お前はお前の好きにその体を使えば良いさ
普通の人間よりは遥かに死ににくい筈だからな
[一瞬年老いた老婆のような目になった
これ程までに自信に溢れているというのに、それは永きを生きたが故の摩耗なのだろうか]
[事故というよりは『自殺』だろうと瞬時に思った。
でも理由があるならば其れは自発的行為であっても
『事故』であるのかもしれない。
『事故』の方が――まだ、心に優しい、から]
俺も…一緒に行っても、いいかな…?
[ふらふらと立ち上がりながら、相手を見てそう尋ねた。
『事故』の手がかりを、と。
手には未だ、ロザリオを握った侭に]
[ふと、鏡に視線をやる。
半身の気配を探すのは、ここ数年で身に付いた癖だった。
反転した斜めに射す陽光の中、表情のない、黒髪の。
ベッドに半身を起こした 男が]
――っ!?
[驚愕の声を上げる前に、鏡像は瞬時揺らいで、アナスタシアのそれに変わる]
そう…。じゃあ好きにさせてもらうわ。
[乾いた声でトリスに答える。
女の目にだけ映った幻視。それとも、今鏡に映る像こそが幻視なのだろうかと、酩酊に似た感覚を覚えていた]
鏡に映らないというのは、迷信かしら…
[そういえば、昨夜訪れたトリスは映っていただろうかと、鏡枠を凝視する。覚えていなかった。
だがそんな単純な判別法があるなら、朝の時点であのグレゴリーが全員に鏡を覗かせたに違いない。
くすりと笑った。
廊下に人の気配があると、オリガとナタリーに目配せる]
やっぱり、理性のあるイキモノってことなのね。
[トリスの返答にふうん、と答え、離して欲しいと握られた手を振って訴える。]
[ならば、無駄な警戒は要らないのだろう。]
[襲われさえしなければいいのだから。]
そうかもしれない。
人間はいつもどこかで争っているわ。
[自分の郷里は優れた騎馬部隊を持つ。]
[何度かは戦に加担を求められ、戦場を駈けたことがある。]
[その度に、戦の原因には女の影を見ている。
種の保存…
[ふうん、と。]
[まさか自分が次のターゲットになるなんて―。]
[もちろん、ただで逃げられると思っていなかったけれど。**]
[誰かが、やってくる。]
[廊下から気配を感じてトリスを見、アナスタシアを見、それからオリガを見る。]
[来たらどうするの?]
[問いかける視線をトリスに向けた。]
[アナスタシアと視線が合うと、目配せの意図を図りかねて首を傾げた。**]
[アナスタシアの浮かべた表情に、ふと我に返った。>>39]
ええ。ありがとうございますわ。
私の望み……貴女のおかげで、叶うと思いますの。
[こちらの約束は守った。ならば、次はそちらの番だと。
トリスへと視線を向ける。
一瞬見えた老婆のような目に、不思議そうに首を傾げたが何も言わないまま。>>44
握り締めた白薔薇は、茎が折れアナスタシアのベッドの上で花弁を散らしている。]
嗚呼……ごめんなさい。
[愛しげにその薔薇を手に取り、折れた茎の下を屑篭へと捨て。花を胸に挿す。
アナスタシアの目配せに、微かな笑みを浮かべて頷いた。>>47]
付き添ってくれてありがとう。
もう平気みたい。少し寝るから、戻ってくれていいわ……亡くなったという子の埋葬でしたかしら?終わってしまうかもしれない。
[ゆっくりと落ち着いた声を出す。
聞かれても問題のない言葉。とうに葬儀が済んでることは知らなかった。
首を傾げるナタリーへはにこりと目許を和ませて**]
[男が向かうのは、やはり妹の元。
しかし予想より人の気配が多くて面食らった]
な、何が起こっているの……?
[屑籠に打ち捨てられた茎からは、かすかな鉄の匂い]
イライダさま… あなたはずっと傍にと…仰いました…
…苦しそうな響きが闇に染みいていたのです。
[城主が見るのは
誰も居らぬ闇か白薔薇の衣か。
其れは窺い知れずとも。]
[薄く目を開ける。
誰も呼ばずにいたはずなのに――
目の前には眷属にしたばかりの娘が映る。
大きく上下する胸は苦しさのあらわれ。
未だ立ち上がることも出来ぬ城主は
座したまま、ちいさく、わらう]
[白き衣は闇に揺れ、
やがて床に靡いて広がる。]
彼は、別のところに行きました。
私の声は届けども、人の目では見続けは出来ないのでしょう…
[城主を深紅の眸で窺うように見詰めて。]
あぁ…、イライダさま…、…わたしはあなたのもの…
お役には立てませんか…?
[唇を開く度に覗くのは紅い舌。
囀りの声は抑えた甘みを持っている。]
[部屋から人が減れば、それを見やり。
まだ他の者がいたとしても構わず、妹に視線を投げた]
――ナスチェンカ。
あんたが血を求める者となっても、わたしの片割れであることには変わらないよ。
[届かないことは承知で改めて告げ、ふわりと溶けて消えた]
ダニールは、ここまで読んだ。 ( b3 )
なぜ?
わたしはあなたを望んで夜に囚われたのです。
[瑠璃色の眸に心奪われるように眸は離せずに。
仄かな熱を深紅色の眸は宿している。]
…は、い…。
[こくんと白い喉が鳴る。
今は丸みを帯びた城主の身に寄り添う。]
[城主の傍らに寄り添う白薔薇は
城主が求めれば紅き痕の首筋を向け、
更には狂気の沙汰としか思えぬ場所も差し出すだろう。]
[頬に触れる長い指先は、
娘の膚に吸いつき
娘の貌を上向かせれば
城主の眸に白い首の紅き痕をまざまざと晒す。]
……ふっ、…ん、ぁ…
[虚脱したように身を反らし、
首筋から吸われぞくりとする寒気と、
躯を駆け廻る甘美な電流に酔い痴れる。]
……は。
[眷属となった娘の甘い囀りと口腔に残る血の味。
城主を苦しめた衝動は彼女の手により癒されて
とろ、と蕩けるような色をその顔に宿し微笑みを浮かべた**]
―――…ぁ、あぁ、…イライダさま…。
[甘い啼き声で囀る。
ぴちゃりと舐められれば躯を軽く震わせた。]
あなたは、いじわるです。
わたしを、あんなにしておいて、…
いまさら、手を離そうというなんて
[長い睫毛を伏せ今にも涙が零れんばかりに。
然し髪を梳き撫でられれば擽ったそうにして、
やがて城主が何処かへ向かえば姿を消すだろう。**]
[両手を包む、ちいさなてのひらの温かさ。
そこにあるのは、生命の光。
その光は、人間たる証明──]
…あたたかい…
[血に濡れた陶器の肌。窓から落ちた男の姿。
そして、自らを運んでくれたフィグネリア、
カチューシャのぬくもり──
それぞれに対する想いが交差すれば、ただ…涙を流していた]
―三階廊下―
[グレゴリーはついてきているだろうか。
人の気配が近い。
扉の開く音と、話し声がする。
ワインボトルにかけていたコートを外して、もう片方の腕にかけた]
俺だって心配なんだ。お見舞いくらいしてもいいですよね?
[トリスと出逢ったのなら、むき出しのワインボトルを掲げて首を傾げ。
苛立ちを隠さずにトリスを睨みつけ、言葉を叩きつける。
何を言われようが、物音のした方へと足を進めるつもり]
―アナスタシアの部屋前―
[ナタリーとオリガの影はもう見えなくなっていただろうか。
足音や話し声から、この部屋だろうとあたりをつける。
少々の躊躇いの後、軽く二三扉を叩いた]
アナスタシアさん、俺です。ベルナルトです。
お見舞いに、来ました。
――ご無事ですか?
…………。
[吸血鬼を良く思っていない、というのも本当。
きっと母の心を奪っていったものだから。
でも理由なく殺したいなどとは思わない。だけれど――]
嫌がる者を無理やり、は好みではないわ。
[自らの生に執着もない。
でも吸血鬼がいるとすれば、それは誰かを知らなければならない。
ただの興味しかなかった宴だが、
人と関わるうちに思い出してきた感情があった。
ただ無意識に紡がれる独り言は、どう受け取られるだろう]
[果たして、想像通りの人影と。
もう一人男が入ってくるなら片眉をあげるだろう]
お見舞いに、ワイン…?
[少し目を丸くして、愛想笑いを見つめ――
楽しそうに笑った]
いいえ、花束を持ってくるよりよほど効果的だったみたいよ。
私のようなひねくれ者が相手なら、だけど。
[グラスがあっただろうかと立ち上がる]
見ての通り、だいぶいいようね。
[真っ直ぐに立って、軽く足踏みしてみる]
何もなくなかったわ。
知りたいなら話すけど……本当に聞きたいの?
世間話の種のおつもりなら、お天気だのくだらないファッションの流行話だのでもしてたいくらいだけど。
―― ニコライの部屋 ――
[ロザリオを仕舞い込んだロランが後をついてくる。
そう、彼はあれを手に持っていたのだ。
戸惑いながらも、苦痛は見せず。]
[ニコライの部屋に遺書めいたものは見当たらず。
まだ塗れているワインの空瓶とコルクに目を留めた。]
転落したニコライ・ミハイロフ氏は酔っていた…と考えてもよさそうだな。
リディヤの死の悲しみを、酒精で紛らわし…あるいは彼なりの追悼をしようと昼のうちからワインを空けたのだろうか。
ロラン・シエル、
君の体調が芳しくなく、無理をさせてはならないことは故ニコライ・ミハイロフ氏から伺っているが、これから一緒に外へ出て、彼の亡骸を礼拝堂へ運ぶのを手伝ってはもらえまいか。
もう日が傾く…
今日のうちに墓を掘って埋葬するのは無理だろう。
一晩、礼拝堂に安置しようと思う。
ところで君たちは…
礼拝堂にいたあの「白い小鳥」を逃がしたのか?
[リディヤが発見されたときには、すでに居なかったのは確認している。
あれが放たれたせいで凶事が起こり始めたのだと考えれば辻褄はあう。]
[卓にグラスを並べる仕草に淀みはない。
どう話そうかと考えていた。ベルナルト一人と、ハンターを名乗るグレゴリーが共にあるのでは状況が違う。
逡巡の末に小さく嘆息して、流れた黒髪を耳にかけた]
昨夜、吸血鬼がこの部屋に来たわ。
――女、だと思う。
すいません。
[遮られては仕方ない。
並ぶグラスを厳しい目で眺めながら。
アナスタシアの口元から発せられた声に、いよいよ息を詰めた]
……城主ですか?
[目の前に居るのが生きた彼女であるが故。
どうなったか、よりも。――誰だったのか、の方が気になって。
低い声で質問を落とした**]
-- 庭園 --
[パタパタと廊下を駆けて階段を下り、玄関から外へ。]
[礼拝堂へ向かおうと足を進め…首を傾げて立ち止まった。]
空気が…ざわざわする。
[ふんふんと鼻をならす。]
[ざわざわとした空気は―視界の隅に見える白い布の辺りから。]
[なんだろうと白い布に近づいて―ひ、と口を覆った。]
[布で覆われているものの形を見て、元人間であったものと察したのだ。]
[恐る恐る布に手を伸ばし、そっとめくる。]
きゃぁっ………ニコライさん…!
[墜落死したニコライの遺体に悲鳴を上げ、ぺたんをしりもちをついた。]
[捲っていた布の端が手から離れ、遺体は再び覆われた。]
失礼。
[言うなり逆手に握ったスティレットナイフを力任せに、振り下ろした。
瓶の底と卓が激しい騒音を立てる]
私はご城主様は吸血鬼だと思っているけど、昨夜のあのクソッタレが彼女だと証言することは出来ないわね。
……嗚呼。
いいわ。たまには役に立つじゃない。
[ワインのコルクを貫いた短剣へ満足げに。
深く刺さりすぎて、トリスの血が染みついたままの先端が酒の液面に届いてしまっていたが――女はそれを黙殺する。
十字架に似た柄を捻ってコルクを抜こうとしながら、来客の反応を待った**]
[何かを話したわけではない。]
[けれど優しそうなおじさんだと思っていた。]
[建物を見上げる。窓が割られているのを見た。]
あそこから、誰かが?それとも…
[わからない。]
[わかるはずもない。]
[けれど、これで無くした命は2人目―。]
[いや、礼拝堂の少女を入れたなら3人だが、その存在は終ぞ知らぬままで。]
どうしてこんなことに。
[探るのは後でもいい。今すべきことは一つだけ。]
[手をぎゅっと組んで安らかであるようにと、祈った。**]
―酒庫前―
[眷属となった小鳥をあやしして落ち着くのを待ってから
城主はゆると立ち上がる。
自ら死を選んだ者たちの声はまだ聞こえない。
迷い込んだ灰色も誰かを探しに行ったままか]
――さて、如何したものかな。
[自称紳士の呼び出しに応じるか
白薔薇の園で見かけた彼の娘を探してみるか、或いは――]
[静かな足音が近づいてくるのを聞く。]
[祈りを終えて、組んだ手はそのままに顔を上げた。]
――……ニコライさん、いい人そうでした。
[フィグネリアの添えた白百合に視線を落とし、ポツリと。]
リディアさんも亡くなってしまったって。
弔いはもう、終わってしまったみたいですね。
あの、リディアさんの亡骸は…どこに?
ご存知なら教えていただけませんか?
[せめて祈りだけでも。]
[フィグネリアの祈りの声が切れ、邪魔にならないのを見計らって声を掛けた。]
―酒庫前―
[城主は未だ表舞台に立つ気は無い。
だからこそ人の集まる場所を避けている訳だが]
この城で不自由を感じるなんて……
[自嘲的な笑みを微かに過ぎらせ呟けば
ふるりと銀糸を揺らし其れを払う。
次に顔を上げた時には瑠璃の眸に宿る揺らぎは消え
力を得て満ちた蠱惑の香がふわりと漂う]
部屋に来い――、ね。
[伝えられた言の葉を口にして城主の姿がその場から消えた]
―― ニコライの部屋 ――
[薬を貰いに彼と一緒にこの部屋に入ったのは
つい昨日のことだというのに――
主を失った部屋は急速に他人顔をし始める。
薬を取り出すニコライの姿を幻視しそうになったから、
慌てて大きくかぶりを振った]
[名を呼ばれ、手伝いを請われれば、
弱々しいながらも緩く微笑んだ]
ニコライさんには本当によくして頂いて……
俺、勝手に親戚の叔父さんみたいに思っていたんです。
だから、寧ろ――
手伝わせてください。
[其の漆黒の瞳を真っ直ぐ、相手へと向けて言った]
逃がした…?
[一瞬だけ苦く顔を歪めてから、ふ…と儚く寂寞感漂う表情に戻り、]
小鳥は自ら飛んでいってしまったよ。そうして籠の中こそが居場所と選んだ。
今頃は城主様の肩の上に留まって、甘く囀っているんじゃ…ないかな。
[僅かに遠い目をしながら、視線を逸らして窓の外を見た。
もうすぐ陽が暮れる。
闇の者達が笑いざわめく夜の時間が始まる…]
ねえ、ユーリーさん。
宴って何だろう…ね。
[人々を集めて、城という檻に閉じ込めて。
吸血鬼を放して後の出来を観る。
其れは悪趣味な貴族の遊びにも似て]
死ななくてもいい人が死んじゃうのは、
…やっぱり、間違っているよね――…
―トリスの部屋―
[窓の無いその部屋に音なく姿を現した。
部屋の中を見回してみるが部屋の主は居ない]
場所を指定したのはあちらの方なのに。
[少しだけ困ったような貌をして待つ態を見せるけれど]
退屈は嫌い――…。
[ポツと呟けば甘い香りのみを微かに残し城主は居室へと戻る**]
[眸から滲む雫は一滴。
城主が唇を触れさせあまやかな言葉を紡げば
娘の紅き眸は開かれる。]
イライダさま…
[小さく囀り
瑠璃色の眸を見詰め
巨きく深き闇の腕に其の身を委ねた。**]
えっ?今まで?
[どこにいたのかと問われて瞬いて。]
ご飯の後はアナスタシアさんと書庫にいたの。
その後、廊下でアナスタシアさんが急に体調悪くしてしまって。
お部屋にお連れしていたのよ。
ベルナルトさんに葬儀のことを聞いたので、駆けつけたかったのだけど…。
[眉を下げ、躊躇いなく素直に話す。]
それじゃあ、私…お祈りしてくるね。
[地面に手をついて立ち上がる。]
[散ったガラス片に触れてしまったのか、手のひらに血が滲む。]
あっ、やっちゃった。
[小さく呟いてハンカチで血を拭い、ぱんぱんとスカートを払った。]
-- 埋葬場 --
[そこには新しい埋め跡が一つ。]
[その傍に膝立ちになって手を組んだ。]
大いなる大地よ母よ。
大いなる空よ父よ。
今旅立つ魂が安らかであることを、御守りください。
[口にしたのはそれよりも馴染みのある信仰の言葉。]
[自然を神とするのは、ほぼ定着とはいえ遊牧の民なら当たり前で。]
[教会の教えも知っているけれど、窮屈で好きではなかった。]
[厳しい宗教家には異教だと嫌われることもわかっているけれど。]
[ひゅうと吹き抜けた風が夕刻であることを告げる。]
[風になれたら、ここから帰れるのだろうか?]
[そんな思いが脳裏を掠めたけれど、すぐにないない、と消す。]
[ニコライの部屋で交わされた会話。
「白い小鳥」に関するロランの答えに唇を引き結ぶ。]
自ら逃げた、か。
ならばそれも──あらかじめ想定されていたことなのかもしれないな。
[皆が言うように、城主が客人を「招いた」というなら。
それは「吸血鬼」を退治させるためやも知れぬと思う。
ロランの投げた言葉は、その暗示するところを違えて、ユーリーの脳裏には「逃げた魔物が城主の肩を掴んで嗤い──その首筋を狙っている」とのイメージを結んでいた。
契約か呪いか──誰かが手を差し伸べねば、永遠に逃れられぬぬばたまの闇に囚われた美しいイライダ。
歪んだ鏡は、正しい像を結ぶことなく。]
宴については――
アナスタシア・ニコラエヴナから聞いた断片的な情報では、事情はよくわからない。
わたしが確信していることはひとつだけ、
──宴の主催者は、何らかのルールに基づいてこれを行っている──
それだけだよ。
吸血鬼が伝説に聞くような強力な力をもっているなら、人間などとっくに滅ぼされているだろう。
そうはせず、食べ尽くさないようにという理性に基づくものであれ、獲物をいたぶる狩人の本能に根ざした享楽のためであれ、
吸血鬼が彼らなりの「思考」に基づいて宴を行っているならば、そこには必ず、交渉の余地──
あるいは、つけいる隙があるはずだ。
それをうまく使えば、自分の望む道を拓くことができるだろう。
吸血鬼を動かすものが、
利得か、驕慢か、矜持か、あるいは──情や愛ですらあるのか、わたしにはわからない。
だが、それを知る努力をわたしはしたいと思う。
彼らが我らを知るように――わたしは彼らを知りたい。
そう、君の言うように、
死ななくてもいい人間が死なないうちに──と願う。
あくまでも、わたしの考え…信念だ。
実際のところは知らない。
ものの見方など、いくらでもあるのだ、
ちょうど、ニコライ・ミハイロフの死の謎のように──
[ワインに関するロランの意見を受け、ロザリオを手にとってみる。]
確かに…
少し湿っているし、ワインの香りがするな。
このロザリオで心臓を挿し貫かれて死んだリディヤ…
その血を「キリストの血」で洗う…
[額に掌を推しあてる。]
彼にとって、その行動はどんな意味があったのだ?
[自問しておきながら、ユーリーはすぐに打ち消した。]
──いや、それは考えても仕方がない。
彼について必要な事実はひとつだけだ。
ロラン・シエル、
君は、目撃者として、ニコライ・ミハイロフの死について、他に証言することはあるか?
>>80,81
顔は、見てないってことですか?
それで――そいつは、やっぱり……
[その先をはっきり口に出さなかった。
己の項に手を当て、吸われたのかと仕草で問いかけようとした時]
――うおわっ!
[唐突に立てられた音。
それが、栓抜きのためのものであると理解するまでに数拍の時間を要した]
変なことを尋ねるようで申し訳ないんですけど。
トリス……さんは、アナスタシアさんをここに運んで、介抱してた、だけ、ですよね?
[グレゴリーに己の心中をぶちまけてしまった以上、確認をとらなければならなかった。
そろそろ日が暮れる頃だろうかとぼんやりどこかで考えつつ]
[項に手を当てる仕草に視線を流し、栓の抜けた瓶をグラスの上に傾けた]
…トリス?
あいつ…そうね。ベッドまで運んでくれたわ。
その後は特に。ナタリーと、オリガも来てくれていたから。彼女達にも、時間を取らせて申し訳なかったわね…
[グラスの一つを手に取って。
態と、挑発するように微笑を作る]
そう、大蒜を押し付けられたり心臓を刺されたりもしてないわよ?
もう陽も暮れるし、貴方やってみる?
-- 回想・ニコライの遺体の傍で --
[今までどこにいたのかを素直に話した後。]
[眉を寄せたフィグネリアと同じように自分も眉を下げていた。]
[素直に言った。嘘もついてはいない。]
[けれど―黙っている事も多くて。]
えっ、あ…そうね、気を付ける。
ありがとう。
[血を拭ったハンカチを握り締めて、頷いた。]
書庫はここの―。
[書庫の場所をフィグネリアに教えて、埋葬場へと。]
-- 回想/了 --
― 回想>>4:*9 ―
[愉悦を湛える城主の笑みに娘の体は淫らに震える。
口元から零れるのは飲み切れぬ雫と甘き吐息ばかり。
悦んでいるのは誰かと問われれば小鳥は囀る。]
ひ、ん…、わたし…ですぅ…――
[羞恥と悦楽の波間に舌足らずに啼く。
零れた雫はあたたかな城主の舌で絡め取られ新たな痕を残し、
絡め取られた雫と城主の舌先が娘の咥内を深く蹂躙する。]
ん、……ぅんん…、…ふっ… んん!
[>>4:*10娘の声は奪われあまやかな呪縛の聲は娘の耳を奪う。
蜜壷を揺らし掻き鳴らした城主の長き指先はぬるりと濡れ、
娘の蕾に宛がわれた楔は容易く甘い蜜に塗れる。]
― 回想 ―
[楔は硬く蕾は容易く。
開いていた花弁の奥に眠る蕾を綻ばせる。
しとど濡れる蕾は城主の楔を奥まで呑み込み、
娘の体を強く反らせる。]
――…ん、ん―――…!
[唇を貪られたまま痙攣を起こし、
然し楔は一度では終わらぬ。
深く深く繋がれば娘の体も熱りを高める。]
……武器を持ちましょう。
本当に吸血鬼が居たら、このままでは危ない…。
[自身とカチューシャの姿を見比べる。
目の前の幼い姿は、信頼して大丈夫だと半ば確信を持っている──
「手があたたかかったから」 ]
…そう言えば、馬鹿にされるだろうけれど。
[最後は、小さく独りごちて。改めてカチューシャへと向き直ると、]
…一緒に、行っても良いかしら…?
[すっと、優しく笑んで、手を伸ばした]
あ、あぁ、やぁぁ…――イライダさまぁ、あ、あ、あぁ…
[散らされる花弁は紅の薔薇。
穿たれる楔は白薔薇を染めゆく。
娘を淫らな色へと――――
――――穿たれる度に嬌声は艶増す。
娘の手は寝台のシーツを離れ蹂躙を施す夜の躯を強く抱えた。]
[硬き楔は蜜壷を泡立て音を娘に聞かせれば
幾十幾百の先に其の硬さを解き娘の芯を燃やしただろう。
刻は永く快楽の炎は易々と消えず、
娘を喉が嗄れんばかりに永く永く艶やかに啼かせただろう。*]
―居室―
[部屋に戻れば暗がりからは女のすすり泣く声が聞こえた。
城主の柳眉がピクと跳ねる。
此処に入れるということは眷属であると知れるが――]
何を泣いているの?
[ゆらり姿を現したのはトリスが我が物顔で連れて行った者。
泣く泣く語る女の其れに城主は深く息を吐いた]
そう。
無法なことをするものね。
――…数少ない同族と目をかけてきたが
目に余るようならば、…………。
[嘆く女の髪を梳き撫であやしながら瑠璃は冷たく光る]
>>113
あら、しないの?…そちらのナイト様はしたいのではなくて?
[グレゴリーにワイングラスを渡そうとする。
朱唇は皮肉げに弧を描いた]
私が珍しくも正直に告白したのに、気を使ってぼかしてくれなくてもいいのよベルナルト。あの女の子達もだけど…甘いったらないわね。
[事実に虚構を織り交ぜる。
偽りにはぎりぎり届かない、言葉遊び。 本音も織り交ぜながら、怒りを忍ばせたぬばたまを瞬かせる]
私は昨夜襲撃された。普通の感性なら、私はお可哀想な被害者では済まないはず。
伝承では…吸血鬼に血を奪われると自らも同じ闇に引きずり込まれるのだったかしら?ハンター殿はご存知?
[首を傾けて、指先で吸血痕に触れる。
やはり痛みはなかった]
少なくとも私は、この一日ばかり誰かを殺したい気分にもならなかったし、………この城に来た目的も忘れてないわ。
[これは事実]
餌として血を吸うだけが吸血鬼の正体だったなら、薄汚い蚊や蛭と同じかしら。
[これは正しくない]
…私に「傷」をつけたことは後悔してもらうつもりだけれどね。
[そして、本音]
夕食。
そうね…少しくらい栄養のあるものを食べないと体がもたないわ。暖かいカーシャか何かなら喉を通るかも知れない。
[朝は紅茶以外は、数口摂っただけだった。
飢えはオリガの血で満たされてくちくなっていたが、それは言わず]
嗚呼、とりあえず、注いでしまった分は飲んでくれないと困るわ。
お見舞いでしょう?
[にこりと笑んで、ワイングラスを掲げた。射し込む弱い夕陽に赤い液体が揺れる。
それから、気になっていたことを尋ねた]
…ねぇ。
亡くなったという子。何があったの?
乾涸びてミイラになってたとか言わないわよね?
[堕落―――――。
堕ちてゆく
紅き闇
ぬばたまの夜 ]
―――…は、ぁ…。
[最初に零したのは甘い吐息。
最初に開かれたのは深紅の眸。
覚醒めに刻まれたのは紅き刻印。
紅き舌と共に覗いたのは白い犬歯。
―――――人を終え眷属として堕ちる。]
……う。
[首筋に並んだ吸血痕>>117に眉を顰める。
予測はしていたが、はっきり見たのはこれが初めてだった]
……。
城主が『そう』だとは限らない。他にいるのかもしれない。
とにかく、この城の何処かに居る吸血鬼の餌として、俺達は集められた?
[青年に特別な力はない。
魂の変質など、感じることも出来ない。
だから――続く彼女の言葉を信じるしかない。>>118
伝承とは、往々にして現実に尾ひれをつけて語られるものだから]
餌として集めるだけなら、何故殺さない?
中途半端に生かしておけば、俺達はいずれ互いが吸血鬼であることを疑い始めるのに……
-- 埋葬場 --
どうか、安らかに。
[ぽつりと祈りをくくる言葉を落とし、立ち上がる。]
吸血鬼が、いたならば…か。
[フィグネリアの忠告めいた言葉を思い出していた。]
居るの、知っちゃったんだよねえ…。
でも…。
[なんか違う。少し違和感。]
[だってあの人は、招待客なのだし―。]
[ならば、この城が吸血鬼の城と呼ばれる所以は?]
── 墜落現場 ──
[誰かが、ニコライに白百合を手向けてくれている。
それは、ひとりの人間の死が知られたということでもあった。]
望まぬのなら、向うを向いていなさい。
[ロランに警告してもう一度、ニコライの遺骸を検分する。
やはり、吸血鬼に噛まれたような痕はなかった。
リディヤとニコライの死で吸血鬼を憎むのは逆恨みに過ぎる。]
[ニコライの側から立ち上がりかけ、覆い布の端に見覚えのない血痕があるのに気がついた。
それがナタリーのものとはわからぬまでも、出血の原因は予測できる。]
ガラスの破片は早く片付けておかないと危険だな。
[箒を探し、ついでに見つけた庭園整備に使う荷車に、ロランの手を借りてニコライを乗せ、礼拝堂まで運んだ。
リディヤの墓の傍らに佇むナタリーの姿を見る。]
―居室―
[眷属の涙が城主の胸を濡らす。
暗がりに見えるそのフォルムは男女のそれのよう]
斯様な無体は断って良い。
断りきれぬなら私の名を呼びなさい。
[漸く泣き止んだ女の耳朶に甘く囁きを触れさせる]
暫くは眠っておいで。
[闇の揺り籠へと眷属を送り届ければ、は、と息を漏らした]
……無い頭で考えても仕方ないか。
ともかく、何とかして吸血鬼を探し出さないといけませんね。
被害者同士が混乱するにしろ、吸血鬼が暴走するにしろ、これ以上死人が出るのは御免です。――俺と吸血鬼を除いて。
[もう色々と遅いような気もする。幼い命は失われてしまったのだ。
いただきます、と手元のグラスを掲げ、唇をつけた。
リディヤの死の原因を問われれば、そうだと首をかしげ>>119]
干からびては居ませんでした……よね?
胸に刺さってたんでしたっけ。ナイフじゃなくて……
[グレゴリーの方がより事情を深く知っていよう。
確認しつつ、彼が口を開くなら説明は任せるつもりだった]
ろらん、ボク覚えてたよ。
ずっとずっと昔から。
紅い胸飾りをもらったあの時から。
だから、ね。
[ロランが泣きそうな貌で微笑む。]
ろらん、泣かないで。
[娘はそっと咲う。甘い吐息を混ぜながら。
ロランの黒髪を子供をあやすように撫でて。
ロランから視えなくなる最後の口接け。
最初は唇を啄ばむように。
次は深さを増して。
薔薇の妖香。
城主の薔薇園城主の薫香に似た其れを残し、
娘はロランの前から姿を薄れさせた――――。**]
[ナタリーがリディヤの葬儀に来ていなかったのは把握している。
だが、この奇異な「宴」に同席しただけのつきあいの少女を見送るつもりのない者がいたとしても、それは個人の自由だ。
皆を朝食に呼んだニコライのように、個々に声をかけてまわったわけではないから、鐘の音の意味に気づかなかったということもありえる。
殊にナタリーは、服装からわかるとおりに異文化をもつ民の末裔だ。
グレゴリーによってリディヤの死が告げられたとき、食堂に居なかったのも覚えている。
知らせより前に、ナタリーはアナスタシアと共に食堂を出て──]
──…
[今、墓の前に佇む姿はナタリーひとり。]
―本塔―
[書庫へ向かう前、さらに階段を上る。
足の向く先はアナスタシアが泊まる部屋]
ただ、調子が悪いだけ……なら。
[心配する気持ちと、沸き起こる不穏な感情が揺れる。
元々彼女にはどこか人を惑わす空気があった]
…………。
[ノックしようと上げた手は、しかし扉を叩かずに。
中からは彼女以外の声がした。
内容までは聞こえないけれど、男性だとは知れて]
お見舞いは後ね。
[いつもなら無関心だが、今は誰だろうかと思う。
気配を殺したままその場を立ち去るが、
軍人や吸血鬼にそれが通用したかは分からない]
次は、書庫。知らなくては始まらないわ。
[ひら、と指からハンカチが落ちる。
娘はそれに気づかずに教えてもらった道筋を行く]
ん?誰かいたような気がしたんだけどな。
[あたりを見回して首を傾げた。]
[感じた視線が礼拝堂の中からとは露知らず。]
[さらに、礼拝堂の鐘の意味に気づかぬほど異文化の民と思われている―]
[そんなことも知るはずもなく。]
気のせいかなぁ。
[首をかしげながら礼拝堂へと足を向ける。]
-- 礼拝堂 --
あっ、ユーリーさん、ロランさん…。
[二人が運んできたと思われる白い布の包み。]
[それは恐らくは―]
ニコライさん…連れてきてくださったんですね。
リディヤさんと同じように葬儀を?
[首をかしげて問いかけた。]
[礼拝堂に近づいてきたナタリーに声をかけられ、一礼する。。
活発そうなショートカットのナタリーの首筋はスカーフで隠されてもおらず、だいぶ暗くなってきた時間帯ではあるけれども、異状は見受けられない。]
リディヤの墓参りに来てくださたのですね、ナティア・コサリコフ。
ありがとう。
ええ──亡くなったニコライ・ミハイロフ氏を…
今夜は礼拝堂に安置し、葬儀は明日にと考えています。
ええ、鐘の音は聞こえていたんですけど間に合わなくて。
[答えながらちょっと眉を寄せる。]
[名前を全部通して呼ばれるのに慣れておらず、違和感があったからだ。]
[かといって、ナタリーと呼んで下さいと言うほどには近づけない印象で。]
明日、ですか。
[ふと、入ってきた入り口を振り返る。]
[もう夕刻も回り、宵闇が広がっている。]
そうですね。今日はもう…遅いですし。
ニコライさんは少しさみしいかもしれませんが…
私に出来るお手伝いがあったら、言ってください。
リディヤさんの時はお手伝い出来ませんでしたから。
それじゃ、私…お城の方に戻りますね。
[そう言ってぺこりと頭を下げた。]
…嗚呼。
陽が落ちてから私を一人きりにしても良いものかしら?
見張っておきたいなら、むさ苦しいヒゲ男が傍にへばりついてても我慢してあげてよ?
[くつくつと喉を鳴らして]
……ついでに、礼拝堂の祭壇にでも縛り付けておけば安心かしらね。
お申し出に感謝します、ナティア・コサリコフ。
ニコライ・ミハイロフ氏に献灯する蝋燭がありましたら、後でこちらに届けてくださると嬉しく思います。
──また、夕食の席ででも。
[礼をかえし、こちらも荷車を礼拝堂の裏手に片付けに向かわんとする。]
吸血鬼なら、もっと簡単に割り切れ……なきゃ、やってらんないですよね。
[生きるために積極的に他者を殺す。吸血鬼とは、そういう生き物だと思っていた。
生きるために。殺されないために。
――嗚呼]
……それって、俺じゃないか。
[呟いた言葉がアナスタシアやグレゴリーの耳に届いたかは分からない。
部屋を出るという彼女に、ならばと自分も席を立ち上がる]
グレゴリー、さん。
巻き込んじまってすみませんでした。
[自室に入り、傷口に宛てていたハンカチを外す。
傷口を確認すれば、血は既に止まっていた。手当てをする必要もないだろう。]
手当てが必要なのは、こちらの方ね。
[薔薇を握り締めた掌。
血で汚れたハンカチを畳み、卓上に置くとベッドに腰掛けて僅かに刺さったままだった棘を丁寧に抜き始める。]
[棘は全て抜く事はできたが、それ以上の手当てをする事は出来ず。
傷口を舌先で舐めて笑みを零し、掌を天井に向けてそのままベッドに仰向けに倒れる。]
あの方にお逢い出来るのなら、全身の血だって捧げたのに。
[自室に戻る口実――リディアへの祈りをするつもりはなく。
ただ、トリスが約束を守る時を待っていた。]
-- 本棟地下 --
はぁい、蝋燭ですね。探してみます。
[礼拝堂でユーリーに頷いたものの―蝋燭のありそな場所にはとんと。]
[そういえば地下の食堂の奥に倉庫の様な扉がなかったかと。]
[思い当たった扉を開いてみたら酒庫のようで。]
なあんだ、倉庫じゃないのか…。
[通り過ぎた食堂にはやはり食事の支度が出来ていて。]
[とにかく、食べてから考えようと食堂へ。]
―武器庫―
[気の進まぬ様子を見せながらも応じてくれるメーフィエ。
武器庫の扉の閂が外され脇へと置かれる。
門番である彼の一歩後ろで城主は薄く笑みを浮かべた]
――…私も好きではないけれど。
[彼の言葉に同意を示し]
御苦労さま。
やすんで、と言ったのにまた働かせてしまったわね。
[労いの言葉を掛け、ふ、と思い出したように彼の眸を覗く]
ねぇ、お酒に飽いたなら次は一緒に紅茶でも頂きましょう。
とても好い香りがする紅茶が手に入ったって
アヴァクームが言っていたから、ね。
[誘う言葉を彼に掛け憂鬱を払うように微笑んだ]
[ニコライの搬送を終え、道具を片付けてロランを振り返る。]
ありがとう、ロラン・シエラ。助かった。
身体に気をつけて、ゆっくり休んでほしい。
いずれにせよ、夕食の席にでも顔を見せてくれると安心だ。
わたしは、他の女性たちの様子を見て来る。
葬儀の直後にニコライ・ミハイロフ氏の件が起きて、フォローしきれなかったから。
[ドレスのまま横になったことを思い出せば、すぐに体を起こしてドレスが皺になっていないか確認する。
持ってきたドレスは全てお気に入り。
大きな皺になっていない。安心したようにホッと息を吐く。
喉の渇きを覚え、ベッドサイドに手を伸ばして水差しからグラスへと水を注いだが。]
……やっぱり、紅茶が良いわ。
[そろそろ夕餉の支度も出来ていよう。グラスに口を付けることはなく、そのまま部屋の外へと出る。
朝食時に呼びにきたニコライが、既に物言わぬ姿になっていることは、知ることもなく。
部屋を出る前、鏡を覗き。乱れた髪と胸に挿した白薔薇を直すことは忘れなかった。]
――女性、ですか。
[考える様に、自分の記憶にある女性の名前を数え上げる。
アナスタシア、カチューシャ、フィグネリア、ナタリー、ヴェロニカ――誰かが足りない。]
ああ、トリスだ。
[思わず声を上げ、『失礼』と咳払い。
衝撃的な話が二つ続くと、最初の者は忘れてしまうらしい。
二人は城主が吸血鬼の可能性について話始め。]
ふむ……そういえばここの城主も女性という話でしたな。
[一度も会っていない為か、既に城主に対しては『人か否か』だけの関心でしかなくなっている。
ワインを勧められて受け取るも、唇を湿らす程度に止める。
二人の話に耳を傾けていると、突如こちらにアナスタシアの視線が向く>>117。]
[彼女は太陽のような人だった―――
遠い遠い昔。男は快活な村の少女に思いを寄せていた。
彼女の周りには笑い声が溢れ、誰もが彼女を可愛がっていた。
彼女こそまさに、光の中の住人にふさわしかった―――]
……
[そして。
今は亡き彼女に、何故だか似ている少女もまた。
光の中にいるに相応しい者に思えた。
なぜなら、ベンチで女性の手を握って励ましの視線を投げるその瞳は。
希望を失っていないように見えたから]
……。
[どうしたものかと、アナスタシアとグレゴリーの会話を困ったように見つめている]
俺は……邪魔ですよね、やっぱり。
[『それなら、朝になってから行けばいいんじゃないですか?』
……言葉が喉に出かかったが、飲み込んだ]
-- 食堂に行く前・酒庫 --
[倉庫じゃないのかと肩を落としたとき、何か気配を感じてぎくりとした。]
[ネズミか何かか?と思いながらも―]
だれっ、誰かいるの?
[奥のほうへと声を投げた。]
[にしても、鬱陶しく感じるーーーあの男
ベルナルトとか言う自分の正義こそが正しいのだと言わんばかりの若造
人間が自己正当化に優れた生き物だと思ってはいるが
あそこまで行くと他者を脅かす事を厭わないのだろう
ああいうのを吸血鬼にすると、本気で相手を喰い殺すだけの奴になりかねない
正直ここで死んだ方が後の世の為にも感じられるがーーー]
まあ、その前に宴が終われば言う事なしではあるがなあ?
[そんな事が起こる筈もない事は分かっていた]
―― 書庫 ──
[礼拝堂を離れ、城の中へ戻る。
書庫から明かりが洩れているのに気づき、奥を覗き込んだ。
灯火の下で書物を読んでいるのはフィグネリアと認め、自分の存在を知らしめるように棚をノックする。]
フィグネリア・エーリン──
こちらにおられましたか。
あれから、どうしたかと──探していました。
―トリスの部屋―
[霧が何時しか闇となりじわり滲むように城主は姿を現した。
肖像画にあるのと同じ姿で部屋の中、扉の前に佇む]
――…それで、何の御用かしら?
[ことり、首を傾げ尋ねのみを向けた]
…そう、大変だったのね。それは、大丈夫かしら…
[理由を一通り聞けば、面子が足りなかった事実にも整合性がついた。
妙な不信を抱かなくて済んだ事に、胸をなでおろす]
……ニコライ。 …嗚呼。彼だったのね………
…怖い…。 貴方も、気を付けて。
[あんなこと。外から見た光景の主の名を漸く知る。
あの姿が、一瞬よぎり…胸の前で、十字を切り。
人外がいるかもしれないと、忠告を促した]
そうなのね。私も、探し物をしていて…
[『武器を』。その一言を伝えるほど信頼できてはいない。
相手を見定めようとする瞳で捉えて、何も判らない…と思うとともに、疑心を湧き立たせるのは自分には合わないと苦笑した]
…貴方の言う通りだ。
俺もね、吸血鬼が――彼らが、どうしてこんな宴をしているのか、
其れを知りたい。
きっといろんな理由が…あると思うから。
[浮かんだのは不思議な色を浮かべていた城主の眸か]
その上で、言いたい。
やめよう、 って。
話し合えば、今みたいなのとは違う、
でもお互いが納得出来る、
もっと別の方法があるんじゃないのかな。
誰も傷つかない、誰もが喜んで愉しめる、そんな…
だってさ、ほら。宴だよ?
宴ってさ、俺あんまり経験無いけど、楽しむものでしょう?
そうですよ!
親吸血鬼が居る限り、たとえアナスタシアさんを滅ぼしたって犠牲者は増え続けるんですから!
[グレゴリーが短刀を懐にしまい込み、部屋を出て。
どっと溜息を吐いた]
……なんだかなあ。
じゃあ、行きましょうか。怪我人でよければ、エスコートしますよ。
[そんな感じに声をかけて、彼女と共に墓場の方へ足を向ける。
先導というよりかは、むしろ後を付いていく方が近いかもしれない]
(闇に堕ちるってーと、大抵人格とか記憶とかがどっかしら抜け落ちたりするもんなんじゃねえの?)
[何も変わってないよなあ。
彼女の背中を見ながら、そんな事を考えていた]
城主さんも
(吸血鬼も――)
眷属さんたちも
(ラビたちも――)
勿論、此処に集まった俺達も含めて――
みんなで。
美味しい料理を食べて、無邪気に踊ったりとかして。
会話が弾めば一晩中、交流を深めて。
しあわせに。
[青年は微笑う。穏やかに。
あくまでも、俺の考え…信念だけどね、と。
相手の結びと同じ言葉を、茶目っ気を篭めて真似ながら]
ううん、もう言うことは無いよ。
[他の証言は?と聞かれれば首を振って応じる。
そして相手の手の中のロザリオを指差しながら]
あのさ、そのロザリオ…ユーリーさんが持っていてくれない?
貴方が持っている方がいい気がするんだ。
[既に半分闇に堕ちた自分にとって、十字架で払う闇は無いし。
それに]
ほら、吸血鬼さんと話し合いをするのに
相手が嫌がる武器持ってると会ってくれなそうじゃない?
俺には空っぽの手の方が似合うから。
[戯言と共に、道化た素振りで広げた両手をひぃらり振った。
ユーリーが返そうとしても受け取らないだろう]
(扱えるかどうかは別として
何か持った方が良いのかもしれない…)
わたくしも何か武器を探してみますわ。
―→本棟へ
―回想・了―
ひとまずは落ち着いたみたいですよ。
きっともう心配は要らないと思います。
[アナスタシアのことを伝えてにこりとする。]
[もう一人の遺体がニコライのものとは知らなかった様子に首を傾げたが―]
[そもそもヴェロニカがどこにいたのかを知らないわけで。]
ええ、気をつけます。
ヴェロニカさんも気をつけてください。
[探し物をしていると聞いたなら、何を探しているのかは聞くことなく。]
そう。じゃあ蝋燭を見つけたら教えてください。
ユーリーさんのところへ持っていかないと。
[それだけ言って、じゃあ、また後でと酒庫を後にした。]
……その通りですよ。
十字架など、外から持ち込まない限りは存在するはずもありません。
[光の中の住人へ>>182、ぬばたまの夜の住人から。
無駄だと分かっていても、話しかけてみたくなって]
[トリスは相変わらずの調子]
からかい甲斐がないわね。
[軽く肩を竦め彼女に背を向ける。
どうする、と問われると僅かに振り向き]
――…取引、ね。
勝手に取引の材料に使わないで頂戴。
[矜持の高さゆえかツンとした態度]
眷属に言えば、といっても私以外には見えぬでしょうに。
一人きりの時に、私の名を呼べば――…
気が向いたら会いにゆくよ。
――…話は、それだけ、かしら。
― 廊下 ―
[屈んでそれを拾う。
シルクのハンカチに赤の花。新しく甘い血の香り。
オリガに渡したものとは違った。
裏を返して、 ]
………。
[目立たない銀糸の縫い取り。
繍された名前に、あからさまな険が宿る]
――ベルナルト。
このハンカチは、ユーリー・レオノヴィチ・ザハーリインが持っているはずなのだけど。…怪我でもしたのかしらね?
[一年前――――
眷属達を屠りに来た吸血鬼狩りの師と弟子。
惨劇の刻。
聖別されし道具と武器。
邪を祓い一振りの元に呪を断ち闇を切り裂くもの。
其れは ぬばたまの檻に鎖ざされし魂 さえ例外ではなく
然し今はいずこにあるのか。
聖別されし道具と武器すら既に堕ちたか
それとも葬られたのか――――。]
-- 食堂 --
[食事の用意が矢張り出来ている。]
[気味が悪いと思わない方がおかしいが、とにかく手を付ける。]
[人が集まったときの空気はどうだっただろう。]
[いつも何が起きているのかわからないことだらけだ。]
[なるべくは共にいる時間が多いほうがいい…とゆっくり食事をとっていた。]
[リディヤのことも聞きなおしたりしながら食事を終え、
三々五々散っていくのと同じタイミングで食堂から自室へと戻った。]
…それなら安心ね。でも、尚更。一人には、しない方がいいかしら…
[ナタリーの笑みに笑顔を返し、アナスタシアの体を気遣って]
…ありがとう、そうするわ。
[後の二つの言葉への返答はひとまとめにし。
酒庫を後にする姿を見送れば、傍らの手を取って、外の建物へと武器を探しに行く事にした]
[光の中の住人たる少女。
果たして彼女の願いは――――]
……
[彼女や他の女性を追って本棟に向かおうとした時、ふと、影のような姿と化した眷族の一人が目に留まり]
誰を――見つけようとしてるんすか?
[薄い笑みは消え、完全なる無表情が男の顔を覆う。
影の正体は一年前にこの城に惨劇を呼んだ吸血鬼狩りの――師と呼ばれていた方]
[食堂には食事の用意はされているにもかかわらず、誰も居なかったか――居ても数人ばかり。
首を僅かに傾げながらも、用意された茶器で紅茶を入れて席に座る。
もちろん添えるのは薔薇のジャム。]
皆さん、食事を取らないのかしら?
[そんなことを考えながら、ジャムを指で掬って舐める。
指先には棘の刺さった傷。薔薇の香りと甘さに、微かに混ざる鉄の味。
その傷口をもう一度舐めてから、カップを手に取った。]
[改めて見れば、用意された食事は今この城に居る人数分――つまり、ニコライの分はない。
しかし、それに気付くことなく。暫く紅茶とジャムを交互に舐めながら待っていれば、人が集まってきただろうか。
その時に、漸くニコライのことを聞いただろう。]
そうですか。ニコライ様が。
[この城に来てから、僅かな間に二人もの死者が出た事に溜息を吐く。]
―大広間―
[人を見つけやすい大広間でユーリーを待つ間思考を巡らす――知るところ吸血鬼は二人。
いずれも女性……片方は名前を知れど、手は出せず。]
まあ、怪しいからなー。
[ベルナルトを前に動かなかった理由はただひとつ。
――如何にして吸血鬼を殺すか?
それを試すことのできる状況にはなく、『心臓を串刺しにする』というのも確実だとは言い切れない。
記憶にある吸血鬼伝承――主に、戦場で聞きかじったものだが――何度も確認するように。]
大蒜、十字架、聖水、聖餅――教会関係は当てになるかなー?
[何となく胡散臭い――所詮は生臭坊主が権威を振り翳す為の創作ではないか?]
ああ、それと火か……。
[それならば、あり得そうかもしれない。
報告するまでに、支度を整えておいても悪くはない。]
……あの人、礼拝堂で葬式やった後何してたんだろう?
[ニコライが身を投げたとは思いもよらなかった。
武器庫を探しに行ったのだとしても――三階に来る理由がない。
不可解そうに首をひねりながら、ふとハンカチに記された名前を見やった]
……あれ?
ユーリーさんが持ってたハンカチ、だよな、これ?
いや、訊かなくても分かる話っすね。
血相変えてるように見えるから、既にあの礼拝堂から逃げたお弟子さんってところっすよね?
それとも―――我が主以外の吸血鬼っすか?
[血相を変えた様子で何かを見つけようとしている影に無表情で一歩距離を縮めて――凄もうとしたが]
……
[急に面倒になった。
いつも通りの薄い笑みを浮かべると、影を置いていく格好で男は本棟内へと姿を消した]
――…ええ。
[短い応えをトリスに向ければ視線は外され]
精々気をつけるとするわ。
眷属との約があるから、
容易くはやられたりしない。
[危険が増えるのを承知で武器庫を解放した城主は
ゆらりと影に紛れトリスの部屋を辞する]
[気づけば、とっぷりと日が暮れつつあった
昨日を考えると、そろそろご飯時なのかもしれない]
今日も美味い肉が出れば良いが
ーーー辛い物が食べたいな、それでいて熱ければ言うこと無しだな
[そう言って食堂に向かう事にした
オリガにも伝えねばなるまい、先程の密約を]
―― 城門 ――
[お腹が空いたというよりも、
そろそろ薬を飲まなきゃな…と思い、食堂に行こうし。
其の途中でふと気が向いて、城門へと足を向けた。
跳ね橋は相変わらず動く気配を見せず、
堅牢に、檻の役目を果たしている。
此処を渡ったのはほんの昨日のこと。
なのに――なんと変わってしまったことだろう。
この場の空気も。自分自身も]
ダニール?
……借り物、って。
[そういえば、ユーリーは宴の際に服装を違えていたことを思い出す]
その方と、何か……?
[何かひっかかるものを感じつつ、問うて。
先に夕食に行くことを提案されれば、そうですねと頷く。
あのような態度を見せた手前、ユーリーに会うことを考えると少し気が重かったが]
じゃ、地下ですね。行きましょうか。
[促しながら、階段の方に向かって一歩踏み出す]
[吸血鬼に食べられようと門をくぐった自分は。
吸血鬼からの誘いを断って、
寧ろ人として生きることを選んでいる。
心の半分は既に闇に堕ちたというのに、
それでも、闇からではなく、今の位置から――共に在りたいと。
其れは闇を拒否しているからではなく。
寧ろ闇と、]
友達に?
…なんて、戯言かなあ。
[眷属ではなく、対等な…位置で。
ふふっ…と青年は笑う。]
[ユーリーに対し、先程自分が綴った言葉を思い出す。
大言壮語? 誇大妄想?
そうかもしれない。
でも、理想を語るのは多分勝手だ]
ほら、俺ってさ。身勝手な人間だから――…
[いいじゃないか、とか思う。
死を前にすればきっと何だって出来るのだ。想いが有れば]
宴が早く終われば、いいのにな。
そうすれば城主さんもまた眷属を表に出してくれて――
ラビとも逢えるようになって。
そう。俺は、結局自分勝手なのかも。やっぱり。
だって……宴が終われば、其の先に待つものは…
[城を振り返り、其の最上階を眩しそうに見上げた]
君は、其処にいるのかな。
また、逢えるかな。
ねえ…ラビ。
何か?
ダニールは…
[ハンカチを一度握って、指を開く。乾いた血は掌は汚さない]
ちょっとおつむの弱い馬鹿男よ。
私の兄。
どこぞで遊び歩いてるみたいだから、無理矢理にでも連れ戻さなきゃって思ってるの。
向こうは嫌だって言うかも知れないけどね。
虚空に手を伸ばし、何かを掴むように指先を曲げる。
幻に視るは――…紅い、……
与えられるよりも、
欲しいものは自分で手に入れにいかなきゃ、 …ね?
[ベルナルトと共に食堂へ入った。
頭数は少なかっただろう。
会話を聞かれていたかのように、テーブルにはソバの実のお粥(カーシャ)が置かれていて、苦笑する]
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