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[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
追われし者 ユーリー は 囚われし者 ラビ に投票した
城主 イライダ は 囚われし者 ラビ に投票した
アナスタシア は 囚われし者 ラビ に投票した
海賊紳士 トリス は 囚われし者 ラビ に投票した
敗残兵 ベルナルト は 囚われし者 ラビ に投票した
伯爵令嬢 カチューシャ は 囚われし者 ラビ に投票した
貿易商 ニコライ は 囚われし者 ラビ に投票した
忌み子 リディヤ は 囚われし者 ラビ に投票した
騎兵長 グレゴリー は 囚われし者 ラビ に投票した
オリガ は 囚われし者 ラビ に投票した
フィグネリア は 囚われし者 ラビ に投票した
遊牧の民 ナタリー は 囚われし者 ラビ に投票した
薄命の青年 ロラン は 囚われし者 ラビ に投票した
囚われし者 ラビ は 城主 イライダ に投票した
ヴェロニカ は 囚われし者 ラビ に投票した
囚われし者 ラビ は村人の手により処刑された……
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか?
現在の生存者は、追われし者 ユーリー、城主 イライダ、アナスタシア、海賊紳士 トリス、敗残兵 ベルナルト、伯爵令嬢 カチューシャ、貿易商 ニコライ、忌み子 リディヤ、騎兵長 グレゴリー、オリガ、フィグネリア、遊牧の民 ナタリー、薄命の青年 ロラン、ヴェロニカの14名。
彼が、わたしを探していた?
ああ、彼に正気が残っていたらわたしに礼を言うのは当然でしょうからね。
お相手、ご苦労さまです。
[フィグネリアの微笑みに応えて、聞こえよがしに言いつつ、まだ片付けられていないままのテーブルから、封切られてないヴォトカの瓶を見つけて取り上げた。]
──で、本当に我々以外、誰もいないのか?
[最後の問いはグレゴリーへと。]
―少し前/城主の部屋前―
[ロランとラビの逢瀬。
急に、居心地の悪さが押し寄せてきた。
二人とカチューシャを順に見やる。最後に城主の部屋の扉を見上げ]
――っ。
[息を詰めると、そのまま無言で立ち去った]
―サロン―
[階段を降り、青年はサロンに戻ってきていた。
アナスタシアの影も、トリスの影も、そこにはもうない。
長椅子に、毛布をかけ直す。
傍らに座り込み、ぼんやりと時が経つのを待った**]
それではおやすみなさい、ですな。
[立ち去るフィグネリアに声をかけ後姿を見送った後、ユーリーに視線を戻した>>1。]
宴の後始末も終わらぬまま、使用人を休ませる貴族など居ないでしょうな。
[ユーリーが手にしたヴォッカの瓶を見つめ、それから扉へと目をやる。]
宴の日だけは、どこに目をやっても警備の者が映るはずです。
一つは、飾り――まあ、城主の『見栄』ですな。
一つは、招待客に万が一が起きないよう。
一つは、招待客が万が一を起こさないよう。
……過去に警備の仕方というのを教えたと思いますがな。
ユーリー殿は何かおかしいと思われなかったか?
[頭を掻き、尋ねる。]
――。
[シーツに垂れる水音を、近く聞いていた。
ルビーのネックレスは無事だろうかと、関係ないことを考える。
やがて体の奥底で、ゴトンと。重い蓋が落ちて閉ざされたような感覚を最期に、ぬばたまの夜の気配が肌に押し寄せてきた]
っぁ。嗚呼。 唖――
[牙の抜けていくずるりとした刺激に身を震わせる。
息を荒げるトリスの口元が赤く染まっていて、では私の血は紅かったのだと、奇妙に不思議な気持ちでそれを見た]
[霧に包まれた薔薇園。枯れることなく、美しく咲き誇る薔薇の中。
そこに立つ、二人の人影。
銀色の髪に漆黒のドレスを纏った人物は後ろを向いているため顔が見えないが、もう一人はその相手に話しかけているからか、横顔が見え――決して、見間違えることのないその顔は。]
お姉様!
[声を上げるが、まるで聞こえていないかのように姉は隣に立つ人物へ、無邪気な笑みを向けている。
手に持つは、白い薔薇。]
[一瞬か、数秒か。或いはもっと長い間、褥に漆黒の髪を散らして褪めた瞳を宙に彷徨わせ。
ふと瞬くと、不機嫌な険を顔に浮かばせた]
――終わったの?
[右手を離し、開かれてシーツに押し付けられた太腿に指を這わせる。
乱れたドレスの裾を更に捲って、硬いソレを握った]
なら……
さっさと、退け――!
[刃のない短剣。刺突に特化したスティレットナイフを、最短の動作で振り上げる]
ディアーナお姉様!
[近寄ろうにも、霧が邪魔をするかのように阻む。
叫ぶように姉の名を呼び、気付いて欲しくて手を伸ばすが、叶う事はなく。
不意に姉が話しかけていた人物が、銀色の髪を風に靡かせながら姉に笑みを向けた。]
嗚呼……。
[その人物の妖艶な笑みに、暫く息をする事を忘れた。
大広間で見た肖像画よりも、言い難いほど美しく。
一目で、姉が魂を奪われた存在だと知る。]
[散策に出るというフィグネリアを送り出してから、改めてグレゴリーに向き直った。]
…使用人の不在は、この地方の特異な風習や祭事に拠るものかと許容していた。
彼らが実際、どのように動いて消えたのか、自分には──まだ理解できていない。
[馬鹿騒ぎをモットーとする外面とは裏腹に、醒めた分析こそがグレゴリーの本質だと思う。
この男に「教えられた」他のことを思い出せば、瓶を握る指が白くなった。
どうしても、根のところで逆らえない。
だが、今は事態を収束することが先決だろう。]
…もう外へは出られないと、アナスタシア・ニコラエヴナは言っていた。
命を落としたとしても、意識は城に囚われたまま出ることはできないと。
少尉、周囲の偵察に同道してもらいたい。
城主や使用人たちの行方を調べる必要がある。
それと、城外へ出られないというのが事実なのどうか確認を。
[どれほど視線を奪われていただろうか。
ふと気付くと姉の姿は己のものと変わっている。
己の唇が、白薔薇の花言葉を綴り――そこで目が覚めた。]
あの方が、イライダ様……。
[恍惚とした表情で、震える腕で己の体を抱く。
夢であれ、恋焦がれた存在に逢えた喜びに、暫く浸っていた。**]
[城内の散策をしているうちに、ゆらりと見かけるは商人の姿>>7。
この先は宴会場だろうか。亡霊が視えなくなったせいで、出会うものは貴重。
にこりと微笑み、彼に言葉を掛ける]
おじちゃんは、どうしてここに来たの?
普通の人なのにね。
[城主と取引をしているという事実は知らない。
ただ、彼が余りにも善良で裕福な一般市民だという事。
それはこの血の宴に染まるようには見えなくて]
おじちゃん、死にたくないと思う?
ヒトの血を吸って、生きていたいと思う?
[フィグネリアに問うたのと同じ問い>>1:185を繰り返し、首を傾げた。
ずしりと重みを伝えるのは、ケープの下のロザリオ**]
[もし、事件性が確実ならば。
皆を落ち着かせるために押さえておくべきもの、決めておくべきルールがいくつかある。
たとえば、食糧の配分。
そして、自炊も当番制になるだろうが、列席した連中のほとんどが自分で洗い物などしたこともない貴族だ。先が思いやられる。
だからこそグレゴリー…この、貴族社会の私生児(バスタード)がいるのは心強かった。]
…頼りにしている。
[敬礼に応え、視察へと促した。
途中でベルナルトが見つかれば、同道させるつもりだ。**]
こちらこそ、頼りにしています。
……時は人を大きくするものですな。
[剣の振り方すら知らずべそをかいていた坊主が、途方に暮れずに事態を見極めようと目を光らせている。
ぼそりと感想を漏らし、無駄口はそこまでとユーリーの握るヴォッカを指差した。]
そいつは大事に取っておくといいでしょう。
火をつけるのにも、消毒にも使えますからな。
――少々、惜しい気もしますが。
[妾腹の弟を葬りたくて仕方がない兄は、弟の隊に援軍どころか軍医をつける事さえ認めなかった。
解決策は己が軍医を兼ねる事――必要に迫られて齧った知識が、それを『飲むな』と警告する。
勿体ない、勿体ない、勿体ない――頭の中で連呼しながら、ユーリーに従い偵察へ**。]
[吸血鬼そのものに、特別負の感情はない。
元々そうだったのか、ここに囚われるうちに慣れてしまったのかは、もう忘れてしまいそうだったけれど。
それでも、身内の者がその牙に捕えられるというのは、やはり衝撃を禁じ得なかった]
―礼拝堂―
[酒庫にあった城主の姿が闇に包まれその闇も霧散して
次にその姿を現すは礼拝堂の奥。
小鳥を繋いでいたモノ――切り裂かれた白き布に手を伸ばした]
囚われの小鳥は籠の外――…
逃げたのであれば此処には戻らない、ね。
[確認すれば伸ばした手が空を掴む。
その瞬間、彼女の為に誂えた礼拝堂の装飾は掻き消えて
人の良く知る本来の礼拝堂の姿が現れる]
屈すればあれほど苛まれることもないものを……
可愛い小鳥、強情な小鳥、――…
[謡うように紡がれる声からは感情の色は見えない]
―礼拝堂―
小鳥の囀りを聞けぬであれば此処に用はない、ね。
[自分には似合わぬ場所だと知っている。
微苦笑を浮かべ扉を閉ざすが鍵はかけず]
人は救いを求めるもの……と、何処かで聞いた気がする。
開けておいた方が良い、かな。
あのこも此処は苦手のようだし。
[ぽつりと呟きを残して城主の姿は闇にとけた**]
ダニールは、ここまで読んだ。 ( b0 )
[気絶したラビをそっと姫抱きにして抱えた。
とはいえ抱えた本人も体力が無いから、当然の様によろける…けれど、
なんとか、堪える。
傍に誰か居れば、俺は自室に戻るから…と声を。
誰も居なければ黙って一度城主の扉を見上げて。
踵を返し、覚束ない足取りながらもラビを連れて
程なく2階の自室に辿り着くだろう]
―― 自室 ――
…ラビ……
[愛しげに其の名を呼ぶ。
白薔薇の様にふぅわりと裾が広がった白いドレスは
しっとりと彼女の身を包んでいた。蠱惑的な姿態を露にする其の様。
質量のある胸元は、荒い呼吸と共に大きく上下している。
眦に涙の跡を、見つければ。
そっと唇を近づけて…僅かに残った小さな真珠を舌先で拭った。
薄い塩味。けれど甘くて――]
[此れまでの空白を埋めるかの様に、
青年は飽きもせず、眠った娘の貌を眺めている。
寝台の横に置いた蝋燭が、灯りを、影を、姿態の上に揺らめかせた。
やがて…どのくらい経ったか、それとも僅かな時間だったか。
ラビがゆっくり目を覚ました。
『…、―――…あぁ…』と。深い懊悩を秘めた吐息を、零しながら]
……おはよう、ラビ…。
[青年は緩く微笑う。
娘の玲瓏さは再び帳を降ろし、だから其処に居るのは熱に浮かされた小鳥。
けれど最初に逢った時と違うのは、]
『――…ろらん、』
[自分の名を呼んで、求めてくれることだった…]
[何も為さず、無意味に、誰とも繋がりなど無く、
死んで――ゆくと思っていた。
それならばいっそ、吸血鬼の食事にでも此の身を捧げれば、
血くらいは無駄にならず活用出来るのではと考えた。
己が望んだ、其れが結末。
けれど]
[『おね、がい…』
甘い囀りに笑みを返して、青年は堕落の中に飛び込んだ。
蝋の燃える匂い。彼女から漂う濃密な薔薇の香り。
口付けは幾度も。囁きは飽きるまで。そして、そして――…
『すき』という言葉を聴いたと思ったのは、
キスをねだった声を夢うつつで耳にした為か。
分からない、わからないけれど……
その紅い眸に微笑んで、愛しげに青年も囁いただろう]
好きだよ……君が何処に居ても。
ずっとずっと、…愛してる――…
[自らも命の薄い身。
生命が薄くなる気配というのは、理屈ではなく感じるものがあった。
此の手に抱く小鳥が、満足そうな笑みを浮かべる度に、
ひとつ…またひとつ、と、何かが消えていく幻音がする。
そして抵抗の無くなった隙にとばかりに、
部屋の闇に溶けたぬばたまがじわり、じわりと
愉しそうに彼女を侵食していくのが感じられた。
止めることの出来ない――圧倒的な何かのチカラ。
昏い夜の、絶対的な……
でも――だから、せめて『今』だけは。
この腕のぬくもりを優しく抱いて。
最期だけは君に、
…――*安らぎを。*]
ダニールは、ここまで読んだ。 ( b1 )
大人は大変だねえ。
[少女はにこりと笑った]
ワインは、大切にしてね。
イエス様の血は、きっと、御守りになるよ。
聖水が無ければ、ワインで清めると良いよ。
[商人は、まるで父親のよう。
少女に憎しみをぶつけた、父親とは違う]
わたしも、おじさんみたいな優しいお父さんが欲しかったなあ。
ねぇ、ムクゲのおじさん?
[雄大な父性は、ムクゲのように。
今は失われていても、娘を想う心は本物なのだろう]
お父さんは、生きて、帰ってね……。
[立ち去る少女は、しかしどこか寂しそうな微笑みを浮かべていた]
―跳ね橋―
何よりも先に確認すべきは出入り口、まあ、鉄則ですな。
[濃い霧に辟易しながらも、松明を手に先ずは跳ね橋へ。
ユーリーと、もしかしたらベルナルトもそこに居たかもしれない。
門脇の詰所へと入れば、目当てのもの――鎖を巻きつけた、鉄の滑車を見つける。]
こいつが動けば、万々歳です。
――そぉいッ!!
[ひとりで滑車に手をかけ、力を込める――微動だにせず。]
ぐ、ぬぬぬぬぬぬ……!!
[埒があかない。
一人で回せるものではないと思われたか、他の者も加わり回そうとする。]
……駄目ですな。
[その場に居た全員が息せき切らし、汗にまみれる。
それほど力を込めてもびくともしない滑車を睨んだ。]
ふむ……理屈は分かりませんが、使い物にならないという事は。
[跳ね橋から伸びる鎖の先を見降ろす。
そこには橋と吊りあう程度の錘が下げられており、それ故橋を動かすのに力は不要なはずだ――本来なら。]
はっはっは。
ここまでいい趣味をした御仁だったとは、全く以て予想しませんでしたなあ。
辺りはまだ暗く、この霧と人手です。
庭園の探索は日の出を待つべきでしょう。
さて、今取ることの出来る最善は何でしょうな?
[まるで生徒に質問をする教師の口振りでおどけて見せる。
相手が問に対する解を持っていることを知るが故**。]
[外は暗かったが、蝋燭も持たずに出歩く。
満月に近いのか、月光は予想以上に明るく、荘厳な城を照らし出す。
暗い色の薔薇を背景に聳え立つ塔。纏う空気は、濃密な闇]
(焼くのが、一番かもしれないなあ)
[庭を、そして教会を探索していたが、目ぼしい物は無かった。
吸血鬼の城、当人達に害をなす木々等存在する筈も無いのだが。銀製の食器も、存在しないだろうか]
(魔女狩りの処刑のように、吸血鬼も、焼いちゃえば良いのにね。
紅い薔薇と、緋い炎。夜に火が燃えるのは、綺麗だよねえ)
[哨戒するユーリー一行に出逢えば、にこりと微笑み、言葉を交わしただろう。
そして、うわ言のように言葉を投げ掛けるだろう。
――生きて、帰りたいか……と**]
[ヴォッカの瓶に注がれるグレゴリーの視線と警告に頷く。
そもそも、それを教えてくれたのは彼だった。
どんな逆境でも笑いを忘れない、不屈の魂をもつ「雑草」
吸血鬼の城がふたたび結んだ運命の糸は何処へと続くのか。
見えぬ定めを照らしはしないランタンを手に、夜更けの庭へと出る。]
── 庭 ──
[しんと降る霧は深く、
それでも、別棟や門衛棟の扉がすべて堅く閉ざされているのは確認できた。
大の男が複数でかかっても、門は軋む音すら立てず。]
閉じ込められた、というのは本当のようだな。
何の意図でやっているかわからないが──
…城主はご無事だろうか。
[ぽつりと洩らした不安の声は痛みを伴う。
指揮系統からすれば、この事態を招いたのはイライダと予想されてしかるべきだった。
それでも、なおユーリーは──肯じ得ず。]
[ドアを閉めると、その場で立ち止まったまま]
私のことは、知らないのかしら。
[叔父は血の繋がらぬ姉の、娘である自分をどう紹介したのか。
あの様子なら存在さえ隠していたのだろう。
しかしただでさえ噂好きの使用人は多い。貴族もそう。
だから、まことしやかに。根拠などなく。
――隠された娘は吸血鬼のようだ。
あれをどこからか拾った当主は惑わされているのだ、と。
そう、耳に挟むことがあったかもしれない]
[グレゴリーの投げかける試問に視線を上げる。]
今、我々がなすべき最善手は──、
戻って休むこと。
[異様な興奮と疲労の下でまともな判断は下せない。
おそらく…今夜は始まりに過ぎないのだから。]
明日になれば、皆の不安を煽らぬよう、正しい情報を与え、秩序を構築する必要がある。
──わたしは、擾乱は、嫌いだ。
[荒仕事で服を汚したらアナスタシアに殺されかねないと、丁寧に手の甲で払う。]
ところで──
アナスタシア・ニコラエヴナの周辺人物で、「ダニール」という名の男を知っているか?
この服の持ち主らしいのだが。
かつて、この城に滞在し──帰らなかったそうだ。
ああ、
アナスタシア・ニコラエヴナにも、もう一度、情報提供を求めよう。
彼女はここが魔窟であると承知の上で来たのだから。
何か脱出の算段があるのかも知れない。
そうでなければ、あまりにも──
< タナトスに魅入られた者 >
[それは彼女自身が口にした言葉。
重ねて逡巡をかきたてるのは、トリストラムと共に階段を上がっていったアナスタシアの姿。]
…やはり明日。
彼女が下りてくるのを待った方がいいな。
―サロン―
[宵闇の中、顔を上げた先に目に入ったのは酒の瓶。
ちょっとした期待を込めて、立ち上がり手に取る。
空だった]
豪快な飲みっぷりだな。
畜生……あのオトコ女め。
[聞こえないのを良い事に悪態をつく。
瓶の底に僅かに残る紅い雫を、窓から落ちる月光にかざした]
[偵察行の途上、赤いフードの少女を発見する。
おとぎ話から抜け出してきたような格好でのひとり歩き。
この子は夢遊病かもしれないと、少女を驚かさないように声を和らげる。]
リディヤ――?
こんな時間に、外にいると、狼に狙われてしまうよ。
一緒に中へ戻ろう。
[穏やかに促せば、少女の内面から洩れてきたもののような声が問う。]
< 生きて、帰りたい…? >
[膝を屈めて、夜に大きく見開かれた少女の双眸を覗き込む。]
──何処へ?
[それが応え。
それが真実。
郷里は奪われた。血族は皆殺しにされた。
生きるも死ぬも関わりなく、自分には帰る場所すら残されていないのだと。
リディヤがそれを知っていたとは思えないが、その問いはユーリーに改めて自分の現状を突きつけるもので。
自分でも驚いたことに静かな笑いがこみ上げてきた。]
[門が開いたら、まっさきに城を出ようとは思っている。
だが、門が開くまで積極的に生き延びようとは思わなかった。
故郷の村はもう焼けた。どのみち放浪するしかない。
そして――生きている限り、耳の底では亡霊の呻きが木霊するだろう。
左足に刻まれた物理的な痛みと共に。
ならば、どうして逃げた?]
……まだ、殺されるって決め付けるのは早いか。
馬鹿な期待なんてするもんじゃねえしな。
[瓶に直接口をつけて、残った雫を浅ましくも全て煽る。
先程まで少女が横たわっていた長椅子に身を預け、瞳を閉じた。**]
狼さんは、怖くないよ。
死んでも生きても、同じだもの。
[静かに笑うユーリーをにこにこと眺める。
彼の事実等知らない、彼を纏う哀しみも、今は見えない。
ただ、その心はあまりにも傷付き、しかしまだ、新たな物を守ろうとする。
――アザミ。花言葉は、独立と復讐]
お兄さん達、外に出ようとしていたの?
無理だよ、出られないよ。
向き合わなきゃいけないの。
お兄さんはどうしたいの?
生きていたいの?人間をやめたいの?死にたいの?
[狂ったように、きゃらきゃらと笑う。
あまりにも現実離れした言葉は、信憑性に欠けるのだろうが、幼い少女にそんな意識は無い。
ただ、言葉を紡ぐのみ]
えっ?
[オリガが卓上に手を伸ばすのを小首を傾げて見ていた。]
[彼女が手に取った深紅に一瞬視線が吸い込まれそうで―]
[視線をはずしたならばそれは自分の髪に。]
あ、ありがとう。
[にっこりと笑ってうれしそうに髪の上の深紅をひと撫でした。]
[ヴェロニカの白薔薇へも目をむけて、素敵、と目を細めた。]
[広間から退出したのは、三々五々人々が退出した後だったろう。]
[スープの作り方を教えて欲しくて使用人を探したのだが―]
[今まで見かけていたのは幻だったのか。]
[そう思うくらいに誰もいなかった。]
おっかしいなあ。どこ行っちゃったのかしら…?
もしもーし!あのぉーっ!
[苦手なヒールで厨房まで行って声をかけても無人。]
[無音。]
―――まさか。
[もしやお化けの類だったのでは?]
[そんな風に感じて身体をふるふるっとさせた。]
[自室へ戻る途中、肖像画の前で立ち止まる。]
[これが城主を描いたものだと聞いたのは宴席でのこと。]
うっわぁ…綺麗。素敵な人。
[描かれたものなのに、強烈な存在感―艶を感じた。]
[こんな素敵な女性になりたい。]
[心の奥底に押し込めていた願望が、じわりじわりと浮かんでくる。]
[憧れと、羨望に満ちた視線はやがて心酔したようにうっとりと。]
[髪の上の深紅の香りがひどく心地よかった。]
早く、お会いしたいです。
貴女に。
[つ、と肖像画に手を伸ばして指先だけを触れさせた。]
[ほう、とため息をついて手を離してぺこりと礼をしてから画の前を離れた。]
[サロンからは人の気配がしていたが誰かと話す気分ではなく。]
[そのまま自室に戻って髪の薔薇を手に取った。]
んー、いいにおい。
昼間、お庭の薔薇を見た時はこんないい匂いだって気づかなかったわ。
けど、あまりにいい匂いだからあんな幻を見てしまったのだわ。
[ベッドに横になって、手の薔薇を顔の前でくるくると回す。]
[ふふ、とうっとりしたように笑んだまま、意識は眠りの底へ―**]
-- 回想/了 --
[男の足は宴会場ではなく、酒庫に向かっていた]
『ワインは、大切にしてね。
イエス様の血は、きっと、御守りになるよ。』
[リディヤの言葉が耳から離れなかったから]
― 酒庫 ―
[酒庫の中は様々な酒が並べられていた]
さすが…
[その中から赤ワインの瓶を取り出す。
自分が献上した『ロマネ・コンティ』]
…新しい…契約…
私が契約するのは…死か…吸血鬼…か…
[男は酒庫を後にした**]
[宴も終わり、自室へ戻ると、
胸元の薔薇に優しく手を添える]
……嗚呼。
[貴族の宴──高貴な場に、自分は在ったのだと。
強い充実感と実感を伴い、睡魔へと身を預けた**]
―本棟四階/居室―
[闇を介し部屋に戻る頃には廊下にあった人の気配も無くなっている。
城主の居室はシンと静まり返り其処だけは常の態。
寝室の奥に佇む城主の視線の先には花のように可憐な娘の肖像画がある。
微笑み湛えるディアーナの絵は生前の一場面を切り取ったかのよう]
――…ディアーナ。
如何してあの時、私を庇ったりなんてしたの?
少しくらい傷付いても、私は平気だと言ったのに。
[傷付きながらも城主の無事に安堵の色を見せた人間の娘。
自らの命が散りゆくを感じながらも娘は永遠の命を望まずに――
ただ目の前にある存在の変わりなき姿をみて儚く微笑んだ]
如何して、永遠を望まなかったの……?
[彼女の真意は城主には分からぬ儘。
けれど、望まず喪われた存在は城主の心に深く残っている]
――では、お言葉に甘えて。
[ひとつ頷き、城主の居室へと。
誰かがこちらの様子を見聞きするのは構わない。
むしろ男にとっては面白いことですらあるが、彼女がそれを望まないならと心に秘めておく。
ほどなくして、イライダの元へ姿を現すだろう。
男の口元にはゆるい笑み。]
―サロン―
[ぼんやりと揺蕩う意識が戻ってきた。
時間がどれだけ経ったのか、差し込む光は月光か、それとも陽光か。
身を起こさず、瞳も未だ開かないままに思考する]
ラビは……何者だったのだろう。
彼女は、何をされた?
[白いドレスから見えたうなじには、傷らしきものは見えなかった。
しかし、彼女の様子は尋常ではなかった。風邪を引いたようなものかと無理矢理納得していたが――
彼女の漏らした息の色が、はっきりと甘かったことを思い出す]
[近隣の村々では吸血鬼の住まう城と噂される。
それと同時に永遠が手に入る場所とも言われていた。
確かに生を望んだ者に血をわけ与え眷属とした事もある。
それがその者にとって幸か不幸か城主には知れない]
――……。
[ゆる、と頭を振る。
顔を上げればその眸には常通り強き光が宿っている。
城主然とした自信に満ちた表情は城を支える者の顔]
あのこの行動が――――を傷つけたであれば
場を譲った私にも咎があるのだろう。
我が庇護下にある者をこれ以上苦しめるであれば、或いは……
[柳眉を顰めて独り言ちると、来訪者の気配を感じ其方へと振り向く]
―本塔廊下―
私が吸血鬼などと……馬鹿げたお話だわ。
[吸血衝動など覚えたこともない。
妾腹の母は前当主の亡き後すぐに家を逃げ出したらしいが、
そこには様々な理由が憶測で流れていた。
そのひとつ――吸血鬼に心を奪われて。
娘の血の繋がりに感づいた使用人が、そこからどう連想したか、
分かり安すぎる思考に失笑したくなる]
でも、それはきっと、――。
[叔父は吸血鬼など、異端のものを極端に嫌う。
招待状も隠され燃やされようとしていたのを見つけたのだから。
彼は憎んでいるのだ。
母を――想っていた母を、奪ったものたちを]
私は何のために、ここに来たのかしらね。
……ただ逃げ出したかっただけ?
[夜の深い闇に、その声は溶けてゆく。
花瓶に飾られた赤いあかい薔薇。
華やかなそれは、人々を惑わせる毒でもある。
指を触れさせれば、走った鋭い痛みに眉を寄せた]
――変な味。
[抜ききれていなかった棘に血の玉が浮かぶ。
それに唇を寄せ、ため息をついて。
娘の血の香りを纏う薔薇をそのままに、散策を*続けた*]
[差し出された手を受ける。
生来『男らしくない』と言われるような人間であったから、
導かれる側であっても気には留めない]
あなたから見れば、わたしはまだ子供でしょうか?
まさか、泣きに来たわけじゃないんですよ。
[細められたぬばたまの瞳には、うっすらと欲の色を乗せ、
唇が触れあいそうなほどに顔を近づけた]
……あえて おねだりをさせていただくなら、
甘美なるくちづけを。
[あのまま置いてきてしまって良かったのだろうか。
今更ながらに後悔の念が僅かながら湧きでてきた。
彼女はどうなったのだろう。ロランはどうしたのだろう。
無意識のうちに、指が己のうなじをたどる。
――吸血鬼。その牙を、ここに埋められ、て]
……。
[甘い、さえずりのこえ。
漏らした息には、紛れもない羨望の色――**]
[子供特有の高い声で笑う少女がなおも問う。]
< 生きていたいの? 人間をやめたいの? 死にたいの?>
[理由はわからないが、彼女なりに何かを掴もうとしているのだろう。
暗い夜が近づけた距離で見つめるユーリーの回答は、相手を子供扱いしていない至極誠実なもの。]
そのどれも単独では無意味な質問だ。
…重要なのは「誰と共に」そうしたいかだよ。
それさえ選べれば──すべては等しい。
[グレゴリーがリディヤを屋根の下へと促す。
その後をついて歩きながら、霧に煙る塔を見上げた。
そこに城主はいるのか、いないのか。
闇に投げかけられる明かりは、ない。]
[逃れることはできないと、アナスタシアのみならず、リディヤもそう言った。
礼拝堂にいたものは、もう解き放たれたのか。
明るくなったら確認してみようと思う。
…それにまだ、父母のための祈りも捧げていない。]
ツグ ヲノノ
『はとばかり黙み戦くものの息。
イロビロウド ス モスソ
色天鵝絨を擦るごとき裳裾のほかは
モヤ
声もなく甘く重たき靄の闇、
シ ヨ
はやも王女の領らすべき夜とこそなりぬ。』
[書斎で見つけた古詩の一節を口づさんで。
この城の外で「吸血鬼」の噂を聞いた時のことを思い出す。
父に同道して訪問した屋敷。
総レースの古風なドレスをまとい、腰高の窓から見下ろしていた白い娘。
「あれは主が囲っている吸血鬼の娘」と馬を預かった厩舎番が耳打ちした。
「ならば、今日は見合い話ではないな」と軽口をたたいたものだが──
その娘もまた、ここに招かれていると告げる者はなく。
ただ、胸を過る重い憶測に、霧にしめった前髪を乱暴に手櫛で掻きあげた。]
[文字通り、手応えを感じていた。
あのとき妹の肩口をすり抜けた手は、いまは確かに感触を得ている]
わたしが動揺した、と言ったのは、
半身のような妹が牙に捕らわれてしまったこと。
そして……垣間見た紅(あか)に、何かが高ぶりそうになったこと。
[あの場にいたたまれなくなったのは、なにも悲しみのせいばかりではない]
――あなたなら、この哀れな亡霊を慰めてくださるかと。
[少女の話が噛み合わないも当然。視えないもの、知らないものを前提に会話をするからだ。
何が言いたいのかわからない、気持ち悪い、妄言だと取り合ってもらえない。
だからこそ眩しい、真摯に話を聞いてくれるユーリーの瞳]
――吸血鬼は、いるよ。
[頭を撫でてくれるグレゴリーの手がくすぐったい]
もー、塔のおじさん、お母さんみたい。
[口を尖らせ、しかしどこか嬉しそうに、彼らに従い城へと戻った。
普段なら言う事も聞かずに逃げるところだが、今は素直に話を聞く気になって。
彼らの心配が、上辺ではないと感じられる]
――鏡、見たら良いよ。
――吸血鬼は、鏡に映らないもんね。
[呟きは、彼らに聞こえただろうか。
部屋へと戻れば、夜更かしが祟り倒れるように眠りにつく。次に目覚めるのは、昼も過ぎ]
― ロランの自室 ―
[――――堕ちる。
堕ちてしまう。
けれど。]
……ぁ、…ろら…ン、もっと
もっと…、あ、…ぁ……
[人の身では持て余す熱り。
ロランの黒髪を両腕で抱きかかえ、
狂おしい熱の渦に翻弄され続ける。
奥底から溢れ出す蜜で内側は濡れそぼち。
然し決して満たされない――――。]
― 朝・自室 ―
[壁に細く切られた窓から、斜めに銀の陽が射し入る。
額を締め付けられるような頭痛に、低い呻きが薄い薔薇の薫に溶かれた]
――つゥ
[体が重く痛む。
浅く弱く吐息を漏らしながら、緩慢に上体を起こした。蛾眉に苦痛の色を刻むのは、淡い霧越しにもあかねさす朝の光。
眩しさに赤く灼ける瞼を幾度か瞬かせ、玉を作る涙を払う。
女が横たわっていたシーツには乾いた血の痕が昨夜の”情事”の残滓を留めていた]
……。く ――
[毒を吐こうとした声は酷く掠れてひりつく。
喘ぐように幾度か唇を開いて、静かに褥を抜けた。
薄暗い室内に漂うのは、薔薇の薫と女の香、それに芳しい血の甘さ。流れた血は一種だったか、それとも混じって溶け合ったのだったのか]
嗚呼…頭にくる
[まだヒールを片方履いたままだった。宴の為に用意したドレスは二目と見られない有様で。
女は口中で悪口雑言を並べながらドレスを脱ぎ落とし、なくした靴を床に探す。
鏡の前に裸身を立たせれば、女の眸は――その部屋にもうトリスが居ないなら、泣き出しそうに切れ長の形を歪めるかも知れない]
[酷く眠かった。
水差しの水を一雫口に含むと、残りを盥に流し、水に香油を垂らす。前日と同じように手巾を浸して、前日とは違い冷たいそれで汚れを拭った。
丹念に繰り返し、張った水が濁るにつれて濃霧のかかったような思考が晴れていく]
馬鹿じゃない? 滑稽だわ。
……とんだ茶番。
[自らを嘲弄し。女はやがて唇を引き結ぶと、盥の水を捨ててクローゼットへ向かった。
吸血鬼がまだ部屋にいたとしても和やかな会話などあろうはずもなく。女の不機嫌は絶後のピークに達していただろう]
―早朝―
[いつも夢を見る。
陽光に思わず瞑った瞼の裏に、まだ母の後姿がある気がした。
夜着を脱ぎ去れば白磁の肌が現れ]
……まだ、残って、
[まるで呪いのように、鎖骨の朱は存在していた。
叔父の執着の跡ということか。
なぞる自らの人差し指が昨夜の棘を思い出し、じくりと痛む]
そういえば、彼らは起きているかしら。
[小さく頭を振り、消えた使用人に思考を移して。
ドレスは深い藍のベルベット。詰まった襟には黒のレースが沿う。
髪は肩に下ろして、ショール片手に部屋を出た]
― 朝・本棟 ―
[食堂へ向かおうとしていた。
城に入った時と同じ、布地のゆったりした黒の装い。億劫そうに、時折体が傾いで蹌踉めきながら、ヒールで床を踏む。
首周りには紅い華が三つ。
紅玉の首飾りと、吸血鬼の欲情の印。
かけたままの首飾りと同じく、首筋の牙痕はそのまま晒され、垂らした黒髪で隠れるばかり。
話 し か け る な
というオーラを全身から発散しながら、だが誰かが朝の挨拶をするなら、驚く程穏やかに会釈をして細く笑みを浮かべるだろう]
―本塔1階―
[食堂の扉に手をかければ、抵抗なく開く。
宴のあとは綺麗になくなっており、
いつの間に片付けられたのだろう、かすかに眉を寄せた]
……やはり、ここは普通ではないのね。
早朝に片付けられたという可能性も、あるけれど。
前者のほうが、この城にはお似合いだわ。
[食事の用意はまだない。早朝だから、当たり前か]
まあ、同胞になっちまえばお前の血の味が変わるのが残念だがな
[実にその血は自分好みだったのでーーー
違う種になるという事は、体の構成が変わるという事なのだから
吸血鬼の血は新鮮みに欠ける。まるで酸化し過ぎた葡萄酒のように]
お前が人間である限りは何度でも来てやるよ
その内お前からせがむようになるかもなあ?
あの白いドレスの少女のように、な?
[はははっ!と笑うとそのまま部屋を後にしようとする
アナスタシアがいぶかしむ素振りを見せればこう答えるだろう]
言っただろ?
いずれお前の方からせがむようになるってな
[そう言って今度こそ去って行った]
―朝/本棟―
[寝覚めは最悪だった。とりあえず眠れたから良かったが。
長椅子から身を起こして、重い頭を軽く振る。
喉が乾いた]
……あ、おはようございます。
[瞳をこすり、フィグネリアに挨拶を返す。
窓から差し込む光は、こんどこそはっきりと太陽のものになっていた]
ベルナルト、で、いいですよ。
[フィグネリアに言い残すと、水を求めて厨房の方に足を向けた]
― →厨房―
―厨房―
[相変わらず、人の気配はない。
多少の気後れはぬぐいきれないものの、勝手にグラスと水を拝借する]
吸血鬼の城なら、使用人が消えちまうのもさもありなん、なのかね。
イライダ様も、使用人と一緒に消えちまったんだろうか。
……でも、それなら宴って何なんだ、って話だよなあ。やっぱりどっかにいらっしゃるのかねえ。
[人が居ないのをいいことに、堂々と呟く。
空になったコップを指の先で弄びながら、再び己のうなじに軽く触れた]
[吸血鬼はいる、と自身もおとぎ話から出て来たような赤いケープの少女は言った。]
──そうか。
[ユーリーはただ諾う。
吸血鬼や人狼や守護天使──それらの存在を否定する論拠を、ユーリーは持たない。
ただこれまでは時間的にも距離的にも自分の近くにいたためしはなく、実物を見たことがなかったに過ぎないのだろう。
例えるならば、カルタゴの巨象兵団と同様。]
── 朝・自室 ──
[大抵の吸血鬼は日の光に弱く
また同じように大抵の吸血鬼は朝に弱い
しかし、人間達は朝から動き始める、動きの気配には敏感に出来ているのも吸血鬼だった]
くぅ…
早起きの奴らがっ
[それは例え血を吸った直後で生命力の高い時でも変わらない]
―回想―
[――吸血鬼>>76。
ユーリーに向けられた言葉を耳にして、それは実在するのか否かと議論する思考をすぐさま放棄した。
自身はこの状況を全く理解していないのだ。
誰が、何故、どうやって……全て不明。暗中を明かりなしで歩いているようなもの。
だったら、『吸血鬼の仕業』というのも選択肢に入れていい。
――あくまで、選択肢に、だが。]
そうか、吸血鬼か……。だったらリディア嬢ちゃん、ひとつ、よく眠れるおまじないをしてあげよう。
『吸血鬼の行く手に、茜と山査子の棘がありますように』……よし、これで吸血鬼は嬢ちゃんの所には行かない。
[戦場で知り合ったセルビアの傭兵から教わった吸血鬼除けの呪い。
当時は『何を馬鹿な』と笑ったものだが、何が何処で役に立つか……予想もつかないものだ。]
……お母さん?
[思わず髭面を指差して放心する。
その後、リディヤを部屋まで送り、ユーリーと別れて自室に戻っただろう。]
― 朝・食堂 ―
[いつの間にか寝てしまった男は、身支度を整え、
食堂の扉を開ける]
これは…
[食卓の用意は整い、客人を待つだけという状態であった。]
皆に知らせないと…
[男は食堂を出た]
もし不安なら、わたしかグレゴリーの部屋に来て寝なさい。
大人はソファで寝てもいいのだから。
[そう言いおいてリディヤを部屋まで送り、宛てがわれた部屋に戻る。
酒の匂いが籠っているかと思ったが、窓が開いており、すっかり換気されていた。ベッドメイクも済んでいる。]
…ベルナルトがしてくれたのか?
[ラビを礼拝堂から連れ出した彼が部屋に戻っていないと知る由もなく、
服を脱いでクローゼットに吊るすと、水差しの中身を洗面ボウルにあけてタオルを絞り、身体をきつく拭った。]
…お疲れ。
[祈りの言葉の代わりに、誰へともなく呟いて。
アナスタシアのヘアピンを枕の下へ捻込むと、ベッドに潜り込み、目を閉じた。]
――夜・薔薇園――
――――騒がしい。
[その「声」で亡霊達の囁きが一瞬だけ止んだ気がした。もしかしたらアリョールの涙も止まったかもしれない。
騒がしいのがどの辺りかは分かっている。跳ね橋付近と――主の部屋の前。
人間達は気付いてないだろうが、この城は多くの亡霊の影、多くの「声」に満ちている。
常とは違う様子に興味を示す声、無関心を決め込む声――抱き合う人間達を見てあからさまに煽り立てるような声はあったかなかったか]
どうせ届かないというのに。
[届かせることを諦めながらも、夜になると亡霊達は声をあげ続けるのだ]
そうやって自分の殻に閉じこもってるから、ここで泣いてる亡霊の声なき声にも気付かない。
── 翌朝 ──
[「ダニール」の服にブラシがかけられているのを見て、見えない何者かが出入りしていることを察する。
畳まれていた新しい肌着に着替え、「ダニール」の服に腕を通した。]
…いまだ礼服着用ということは、宴は続いている、ということなのだろうな。
[ニコライが自室の扉をノックして来た
食事の支度が済んでいるとの事だがーーー]
うるせえ!朝からやかましい事してんじゃねえ!
[寝起きの悪さ故に悪態をついた
起こすならもっと日が昇るより早くに起こせば良いものをと思う
あの食堂には窓はなかった筈だから、日の光の心配はしなくても良い筈だがーーー
結局食堂に 表:行く事にした 裏:行くのはやめた +表+]
[このまま、一人で部屋にいたい。
…だけど、それでは何も解決しないのは解っている。]
―主よ、どうかわたくしに勇気をお与え下さい。
< コン コン >
[何かが扉を打つ音に、とっさにアナスタシアのヘアピンを握って振り返る。
だが、ノックの後に続いた声は、朝食の準備ができたと告げる貿易商のものだった。
昨夜、一緒にグレゴリーをここへ運んでもらったから、心配して様子を見にきてくれたのだと思う。]
ありがとうございます、ニコライ・ミハイロフさん。
身支度が終わり次第、行きます。
[応えて、昨日同様にヘアピンを軍靴に押し込むと部屋を出た。]
[しばらく………涙は止まることはなかった。イヴァンはときたま励ましの言葉をくれたりもしたが、基本的には何も喋らずにただ一緒にいてくれた。どんな励ましの言葉よりも…私のために居てくれる…それが嬉しかった。]
…………………
[やがて…涙が止まった]
―自室―
[自室に戻り、着慣れた服へと着替える。ずしりと重い感触を左の懐に感じ、上から撫ぜた。]
吸血鬼……ヴォルコドラークねー。
[曰く、猫が跨いだ死体のなれの果て。
曰く、流れる水を渡ることはできない。
曰く、鏡にその姿は映らない。
曰く、床に落ちた小麦の数を数えなくてはいられない。]
要らん事ばっかり思い出したなー。
[吸血鬼の恐ろしさを夜な夜な語って見せたセルビアの男は、流れ矢に喉を貫かれて呆気なく死んだ。
クローゼットに借り物のスーツを仕舞おうとする――奥で、何か、ごとんと鳴った。]
おいおい、これは……。
[目が眩むほど絢爛で、目を覆うほどの悪趣味。
入城の際、従者に預けたはずの剣がひっそりと立てかけてあった。]
……はー。
[気味が悪い、ため息をつく。]
何処かに居るってことねー、ここの従者は。
[持ち歩こうか考え、止める。こんなものを持ち歩いたなら……。]
アナスタシア怖いからなー。
[薔薇園で酷評された衣服。それだけでも気が重いのに。
ノックの音で、ニコライから朝食の知らせを受け、部屋を後にした。]
[一生分 ― 生きていれば ― の涙を流したように思えて清清しい気持ちではある。しかし、泣きつかれてしまったのか表情はまだ冴えない。本来、この体で疲れを感じることはないのだが、精神的な疲労感がそうさせるのだろうか]
イヴァンさん…ずっと居てくれて………ありがとうございました。
[イヴァンの胸に寄りかかる]
すみません…疲れてしまって………少しだけ………このままで………
―食堂―
みなさまおはようございます。
昨夜はよく眠れまして?
[気を許せない者達との食事。
だが、貴族の少女はそれに慣れていた。表面上の付き合いに。]
[イヴァンの胸の中で>>2:+51の言葉を思い出している。ゆっくりと口を開く。まだ喋り方はぼんやりしている]
楽しかったこと…嬉しかったこと…あ、そうだ、私、ここ最近で友達ができたんですよ?そう、あの子…
[かすかに疑問を覚える。彼女は確か…裕福な家庭ではなかったはず。なんでこんな立派なお屋敷の宴に呼ばれているのだろう]
トリストラム・シアー…
「不死の血塗れ船」の船長……
[仲間内でその名を知らぬ者はいない。
海賊の中でも最も恐るべき存在―男もその力は嫌というほど知っていた]
これだから宴は――
[いつの間にか、「また宴が来たか」と密かに楽しみにすることもなくなった。
そこまでに至る長い年月を思っていると、泣き止んだアリョールが、お礼の言葉を口にした後に寄りかかってきて]
……
[無言で胸を貸すことにした]
― 食堂 ―
[食堂に入り、ドレスの裾を持ち上げて礼。
昨晩見た夢の余韻で僅かに浮かべる笑みは、昨晩見せたものと違う事に誰か気付いただろうか。]
ごきげんよう、皆様。
[その場にニコライが居るようなら、呼びに来てくれたことに対して改めて礼を言った。]
[強い眩暈と共に赤黒い波に襲われた…それは錯覚であった。
だが、その女の魂は
全く異なる何かに変質してしまっているのは明らかだった。]
>>111
え、何かおっしゃって?
あ、ごめんなさい。わたくし朝に弱くって。。
いつも朝はぼんやりしていると、兄にもしかられますの。
ダニールは、ここまで読んだ。 ( b3 )
さっきは騒がしいなんて言って、怖がらせてたらすまないっす。
[アリョールの肩に自分の両手をそっと置いて]
友達……それはどんな子っすか?
[静かな声で話の先を促した]
─自室・朝─
……
[ニコライの伝言で目を覚ました。けれど、寝覚めは良くはなく。
頭を抱えて、その声に返答は返さなかった]
………酷い夢。
[昨夜の夢見は、悪かった。…そう、他人に聞かせれば叱られるが…
料亭の個室での、一家3人きりの誕生日。
まるで子供のように扱われた記憶は、屈辱でしかない──]
―食堂―
おはようございます。
[席に着き、朝食を平らげる。
昨夜の晩餐とは違い、無言。
ふう、と一息ついて。]
さて、皆様にお尋ねしたいことがあります。
吸血鬼についてご存知の方、もしくは自身が吸血鬼であるという方は居られますかな?
[唐突に、無遠慮に言い放った。]
―本棟四階/居室―
[慰められるはどちらであったか。
眸は伏せられて銀の髪が影を作りその表情は見えない。
窮屈なドレスを脱ごうと項に手を遣れば
眷属たる影が音なく現れ城主の意を汲み其れを脱がしてゆく。
あたたかな湯が用意され影が主の肌を丁寧に拭って]
――…嗚呼、もう夜があけたの。
[遠くある窓辺から射し込むは霧に阻まれた淡い光]
此度の宴はいつまで続くのかしら、ね。
[宴を望むものが一人でもいる限りぬばたまの檻は閉じられた儘。
そう、今はまだ宴を望む者が居るという事だろう。
甲斐甲斐しく世話を焼く影の手に時折くすぐったそうな吐息を零して
新たな衣装に腕を通し髪を梳かれ城主は奇しくも肖像画と同じ姿となる]
[入って来たオリガのラベンダー色のドレスには眩しそうに眼を細めて。
ベルナルトの返事を聞いていたから、カチューシャには緩く首を振った]
いいの。なんでもないわ。目覚ましに紅茶を召し上がる?
[カチューシャが遠くに座るならポットを手にする事はなく。
ベルナルトの灰色の瞳を褪めたぬばたまで見つめ返した]
……綺麗なままね。
[掛けられたドレスを手に取ると、胸元の花が皺ひとつなく鮮やかに咲き誇る様子を見て、小さく呟いた。
一晩だから当然の事実だろうか…そんな事を考えながら。
緩慢な動きで身支度をすると、食事の準備の出来ている食堂へと足を進めた]
あの…イヴァンさん
[だんだん頭が冴えてくる。それと同時に自分自身の状況にも気づき始める。彼女にとっては破廉恥な…今の状況を]
…はっ!ごごごごめんなさい!!
[慌ててイヴァンから距離を置く]
-- 自室 --
[長旅の疲れが残っていたのだろう。]
[ドレスも脱がずに横になったままぐっすりと。]
[結局部屋のドアがノックされるまで起きなかった。]
ふぇ、ふぁ、ふぁ〜い。
わかりましたー。
[ドア越しに朝食の事を聞いて寝ぼけ声を返した。]
>>118
!
[大胆な言葉に驚きはしたが、表情は何一つ変えず]
まあ…。怖い。
そのような不浄の者と、お近づきにはなりたくないものですわ。
[この男、露悪的だからこそ信用出来るかもしれない]
── 食堂 ──
[三々五々と食堂に向かう客人たち。
わずかな緊張はあるものの、まだ一触即発には至っておらず。
「正確な情報を与えて落ち着かせる」と方針はたてたものの、確認できているのは、門から外へは出られないことと、城主の不在のみだ。]
──…、
[食堂に入り、情報はもうひとつ増えた。
新しい血の匂い―― ]
>>120
そうね。いただこうかしら?
[そう言って近寄ろうとしたが
赤黒い色彩の波に再び襲われる]
…いえ、やはりわたくし後でいただきますわ。
[朝日の照らす席に腰を降ろした。]
[「騒がしい」というイヴァンの「恫喝」はぼうっとしていて頭にあまり残っていないようだ。そんなことよりも、今は生娘には余りにも刺激的な行為を行っていたことに対する恥ずかしさで頭が一杯だ。その中で必死に言葉を紡ぐ]
あ、あの、ここに来ているんです。赤いケープを着ている子供なんですけど…えと、名前は…わからないんですけど…あ、友達なのに名前がわからないなんてちょっとおかしいですよね。
[まだ動揺が収まっていない引きつった微妙な笑みを浮かべる、…あの場所でする話に、互いの名前はそれほど重要ではなかった]
[リディヤの部屋をノックしたが、応答がなかった。]
昨日…遅かったからな…
[かなり遅い時間にリディヤと話をしたことを思い出し、
もう少し寝かせてあげようと思った。]
食事は…後で持っていってあげようか…
[それができるかどうか分からなかったが、そう思った]
[テーブルにつくや、グレゴリーの直裁な問いかけが耳に入る。]
ひとつめに関しては、伝承の類ならば。
ふたつめについては、否。
[簡潔に応えて、真鍮のティーポットを手元に引き寄せる。
磨き上げられた曲面に映る顔――]
-- 食堂 --
[脱がずに寝てしまったため、薔薇のドレスはしわしわで。]
[渋々と自分の持ってきたワンピースを着た。]
[それは袖と裾に特徴のある刺繍の施された所謂略式の正装。]
[しかし今は、ただの代替品でしかない。]
おっはようございます。
[食堂の扉を開けて挨拶を。]
[胸元には昨夜の薔薇を止めていた。]
あ、あれっ?
[礼拝堂には誰がいたのか、昨晩サロンで何があったのかは知らない。]
[遅れてやってきた一声は、とても場違いに明るかったのだろう。]
[なんとなく空気が重たい気がして首を傾げた。]
――城主の部屋前――
[扉を叩く音で目が覚めた。時間は朝。
しかし陽射しはどこか暗鬱で、清々しいとは言い難い。
一同は食堂に集っているのだろうが、少女は空腹も感じていなかった為、そのつもりは無かった。
とん、とん……。
叩くは、城主の部屋の扉。
吸血鬼は寝ているかもしれないが、そんな事で遠慮をするつもりも無い]
城主様〜。起きてー。
そこに居るのは、分かってるんだよ?
[間延びした声を出しつつ、扉を叩き続ける。
目的は一つ。中央塔に、入るため。
そしてそもそも、生贄の主にも会いたいという純粋な興味心]
[吸血鬼の城と言われているこの場所で、その話題。]
[存在を認めているのかいないのかわからないと思ったけど―]
[昨晩何かあったのかもしれないと黙って紅茶に口を付けた。]
ふぁ、おいしい。
[ふわりと薔薇の香りがする。]
[それは紅茶からなのか、胸元の深紅からなのか。]
[こくん、と喉を鳴らしてもう一口。]
[視線は食堂のみなを見回している。]
[アナスタシアを見るのは、いつも薄暗がりでだ。
いっそう白さを増して見える貌に会釈する。]
ああ、この服…
──あなたの気を惹くために。
[応えながら自分の襟元に手をやり、あなた、そこに口紅がついてますよ、とでも示すような仕草をする。]
(わあ、綺麗な人)
[素直に嘆息する。イライダの姿はあまりにも艶めかしい。
慄然とした佇まいは、華麗に咲き誇る薔薇のよう。
――血の色をした、鮮やかな赫い薔薇]
おはようございます、血薔薇の吸血鬼のお姉さん。
[異常のただ中に有って、少女の行動は至って日常。
いつもの通り、挨拶をひとつ]
どうして宴を開いたの?
このままだと、お城が血染めになってしまうよ?
[少女の瞳は、狂気に染まった満面の笑顔。
目の前の相手が人間でないと理解した上で、敢えて問う]
[ユーリーには目配せをするだけに留まり、ベルナルト、アナスタシアの返事には『成程』と頷いた。>>128、>>130、>>131]
いやはや、お恥ずかしい。
私の耳に届くころには、皆ご存知でしたか。
はっはっは。
[ぽかんと口を開けたナタリーに笑顔で手を振り、そのままじっとこちらを見つめるオリガに視線を返す>>132、133。]
ふむ……本当に皆様ご存知の様だ。
[ヴェロニカとナタリーの反応は芳しくはなかったが、それでもここに集った大多数の者が噂を知り、食いついてきた。
満足して、立ち上がる。]
しかし、本当に吸血鬼が居るのなら、少々厄介ですなあ。
跳ね橋は動かず、当面はここで過ごさざるを得ない。
[芝居がかったように目を閉じ、何度も頷いて見せた。]
[その時アリョールが慌てて男から離れた。
俺の体に何かついていたのか、とでも問いたげな目で彼女を見つめつつ]
ここに来ている、赤いケープを着ている子供っすね。
なら、その子に訊けば何か思い出せ――ああ、駄目っす。
現在、俺達の姿は客には見えていないみたいっす。
[ゆるゆると首を振ってから]
……でも、その子の姿を見るだけでも、何か思い出せる可能性はあるっすよね。
ならば明日、その子を探してみるっすか。
[明日、と言ったのは、「その子」が既に寝ているだろう、こんな時間に起きてはいないだろう、という勝手な思い込みからだった]
―食堂―
ありがとうございます。では、ベルナルト様と。
[彼がサロンを出た後もぼんやりと外を眺める。
そうしている内に陽に空は染められ、光は霧を透かした]
……朝食の時間のようね。
[サロンは死角だったか、ニコライはまだ訪れておらず、
廊下に出ればタイミングよく出会ったかもしれない]
>>142
…もし、この城にそのような存在がいるとしても
邪な魂に魅入られる事なく
光の道を選べば
人としての生を全う出来るのではないかしら。
まさか、この中に闇に堕ちてしまいたいと
自ら願う方はいらっしゃらないでしょう?
[反応を伺うかのように、ただの正論を持ち出してみる]
[表舞台に立つ事は無い、との言葉に、こくりと首を傾げる]
血薔薇さんが、開いた宴でしょう?
折角なら、愉しめば良いのに。ねえ?
[にこにこ。音にでもなりそうな笑み。人間でないものと、人間を逸脱したもの。正気等そこには無い]
宴の主って、誰?
やっぱり、招かれた人達だよねえ。
[答えは分かっている。吸血鬼を望む人達が居るのも知っている。それでも、それを望まない人々が居るのも少女は知っていた。
街で、そしてこの城で。
人のまま死ぬか、吸血鬼として生きるか、聞いて回っていた]
宴、終わらせる事は出来ないかなあ?
望まない人も、居るよ?
[心配した口調とはかけ離れ、少女は楽しそうに言う。
もちろん、終わるわけもないだろうと分かった上で]
[ロランの部屋をゆっくり、2回ノックする]
ロラン、食堂で食事が用意されているから
[控えめに声をかけた。それはロランの体を気遣ってのことだったが、本人の耳に届いたかどうかは定かではない]
[アナスタシアの視線>>140に気づく前に、場の空気に萎縮していた。]
[ただ彼女の機嫌が悪そうだという事はそのオーラで感じていた。]
[自分はと言えば―]
[吸血鬼って、誰彼構わず襲ってしまうような野蛮なもの?]
[見たことないし、わからない。]
[むしろ狩りで鉢合わせした野生の方が危険だと。]
跳ね橋が、上がっている…?
じゃあ、今はこの城から出られないのね。
[紅茶のカップを両手で持ったまま、ぽつり、と。]
[それは困ったことだ。]
[使用人の姿が見えない今、それを下ろす方法がわからなければ…]
[いつまでも郷里には戻れないということ。]
[しかしそれほど困っていない自分も確かに居る。]
──ユーリー・レオノヴィチ・ザハーリインです。
[几帳面に名乗りを繰り返しながら、
昨夜、アナスタシアをエスコートして去ったトリストラムは食堂に来ているのか見回してみる。]
…まだおいでではないようですね。
[誰が、とは口にせず。
リディヤもまた居ないことに気づき、ソーサーに下ろしたティーカップがわずかに鳴る。]
[>>+25の提案に頷く]
そうですね。今日はもう遅いですし…。あ、あの、さっきはすみませんでした。あんなことをしてしまって………重く…なかったですか?
[胸に寄りかかったことが、今更申し訳なく思えてきた。彼女はそういう性格である]
― 城主の居室 ―
[ぬばたまの夜に誘われたのか。
娘が求めたのか。
居室の片隅の薄暗がりに現れたのは、
透き通るような白薔薇の娘。
身体から離された魂の姿。]
―――…ぁ、あ、ぁ…。
[長い睫毛に半ば隠された眸は悦楽の霧に烟り、
幾度となく繰り返される吐息は触れれば火傷しそうな程。
その場に居る者が誰であれ、其れは娘が気にするものではなかった。]
[背の高さもありやや男っぽくも見える。胸はお世辞にも大きいとは言えない。しかし、スレンダーな体つき、高い鼻に整った顔立ちは十分魅力的である。それでも今まで…最後まで男を知ることがなかったのはこの自分を卑下するところにあったのだろう
そういえば…そんな私をかわいいといってくれた人がいた…気がするがまだ思い出せない。]
[アリョールが頷く>>+27と]
じゃあ決まりっすね。
……さっき? 重いなんて、そんなこと全然なかったっす。
[いつも通りの薄い笑みを返した。
霊体に重さなどないし、仮に人間相手でも「重い」なんて失礼なことは言わないのだった]
[僅かに逡巡するイライダの様子は、とても人間臭いと感じる。
それでも、彼女は人間ではないのだ]
ねえ、血薔薇さん?
わたし、あの真ん中の一番大きい塔の頂上に上がりたいんだ。
良いかなあ?
[純粋に期待を込めた瞳。
少女が目指すのは、生贄としての本質]
ニンゲンって、弱いよねえ。
白いドレスのお姉さん。呪ったのも、血薔薇のお姉さんでしょ?
だからね、やりたい事が有るんだ。
[ラビの事を問う。
イライダにとって、普通の退魔師ではきっと相手にすらならないだろう。
始祖吸血鬼。その力は強大で、しかしそれ故に、それを無為に振り翳しもせずに。
だからこそ、雄大で、美しい――]
[不穏なものになりがての朝食の席を正道に引き戻さんとしてか、カチューシャが声をあげる。
城主の部屋の前で会った少女。
白薔薇の苑にあった少女。
その声は、少し強がっているようであったけれども。]
光の道というのは、そう簡単に選べるものなのか?
吸血鬼が邪悪な魂をもつものか、寡聞にしてわたしは知らない。
ただ、わたしの両親が死んだのは吸血鬼のせいではないことは、しかと承知している。
[テーブルの上で指を組んだ。]
── 食堂 ──
おはようさん
[結局、何の気まぐれか食堂に現れた
昨日程豪華な服ではない上、意気消沈気味なのは明らかだろう
朝はこれだから苦手だ、と言うか窓のない通路を通ろうとかなり遠回りしたせいか苛ついている]
隣宜しいか?
[そうオリガに声をかけた]
血薔薇のお姉さんは、このままじゃ折角の宴も、暇でしょう?
だから、お愉しみをあげようと思って。
[懐から取り出したのは、大きなロザリオ。
母親が少女を生贄に送り出す際、唯一の選別として寄越したもの。
素っ気なく渡されたそれを、しかし少女は大切に扱う]
聖別、されてないから、弱いけどねえ。
でもこれ、ちゃんと吸血鬼の為のクビキなんだよ?
[よく見れば、十字架の下の部分は尖っていた。十字架形のクビキ。
神の贖罪の図を象った形に、鋭利な刺。
これを心臓に突き刺せば、さすがの始祖吸血鬼も命を失うだろうか]
ここに来たニンゲン達は、みんなとても弱いよ。
ああ、でもユリのような聖気を持ったお姉ちゃんが居たけど。
一人じゃ、やっぱりねえ?
[クビキを持ち、微笑む。それでイライダを貫くつもりは全く無い。
少女の力でどうにかなるとも思えない]
だから、弱いニンゲン達に、武器をあげようと思うの。
そうすれば、血薔薇のお姉さんも、少しは楽しくなるよね?
[少女の瞳に映るのは、舞い散る血飛沫。
流れる血は、人間のものか、それとも目前の始祖吸血鬼のものか。どちらにせよ、それはとても美しい]
血薔薇のお姉さんが死ぬのも、とっても綺麗だよねえ。
それも素敵、素敵だなあ。
[上がるは塔の屋上、城の中で一番高い場所。
見下ろすは薔薇の庭園。赤と白に塗れた、美しい楽園。
それはとても美しく壮大な景色だろうか]
イエス様は、ニンゲン達の咎を背負って、贖罪の為に死んだの。
わたしは、ここに居るみんなの罪を背負うよ?
わたしの血で、このクビキを洗ったら
それはとても素敵な聖別になるよねえ――?
[笑顔、笑顔。溢れんばかりの笑顔]
………ぅ……、……。
[長い夢を見ていた気がする。
控えめな声とノック>>149は、夢の淵に手を掛けていた青年を後押しし、
現実に呼び戻す]
あ、……は、い……――いきます…。
[掠れた声を扉の向こうに投げてから、重い頭を緩く振る。
隣には熱から解放されて、別の闇に囚われた小鳥の躯。
もう届かない紅を隠した瞼に、
羽根が触れるようにそっと、二度ぬくもりを落とした]
待っててね。……戻ってくるから。
[唇に浮かぶは微笑。
床を見れば、昨日脱ぎ捨てた筈の服が、洗濯されきちんと畳まれ置いてあった。
御丁寧にも一番上には、大事なだいじな薬の皮袋まで鎮座している。
それに特に驚くことなく、気だるそうに着替えを済ませた青年は食堂へと向かった]
[ベルナルトから話しかけられ、そちらへと意識を向けた時、アナスタシアが右手を伸ばし、不安定になったカップを押し上げる。](>>159)
──っ、
―― 食堂 ――
[青年が食堂に姿を見せたのは、トリスのほんの少し後だったろうか。
当たり前の様に並んでいる料理の数々と、
囲む面々の、何処か緊張した空気に――つい、と不思議そうに小首傾げて]
どうか…したんですか?
[そう声を掛け、昨日と同じ様に…日陰の末席に]
ご安心を、フィグネリア嬢。
[告げて、胸元へと手を差し入れた>>160。]
私が吸血鬼を見つけさえすれば、全ては解決します。
[胸元から抜き出されたものは、男の手のひらほどの銀色。
豪奢な装飾の施された、十字架を模した短刀。
さて、ここからが正念場、と顔を引き締めた。]
吸血鬼を狩る任務がありましてな。
この銀の短刀を胸に受けて灰になった吸血鬼は……十匹より上は数えてませんが、まあそれなりに多いですな。
[朝日に煌めく十字架の短刀――但し、装飾以外は一般の、鉄製のものと変わらない。
もしこれで騙し通せたなら、軍を辞めて詐欺師か教祖になるのも悪くない。]
英国の言葉で言うなら、『ヴァンパイヤ・ハンター』といった所ですな。
[嘘をつくなら、顔に出すな。
顔に血液が行って赤くならぬよう、平常心を保ち続ける。
皆の反応はどうだったか。少なくとも、自身はそれを吟味する気はない。]
ごほん……。とまあ、吸血鬼を見つけたなら私に任せていただきたい。
御清聴、ありがとうございます。それでは皆様、ご歓談ください。
[にこりと、無茶な注文を付けて腰を下ろす。
温くなったロシアン・ティーに口をつけた。]
(うっ……!)
[朝の食卓という、和やかであるべき席に
似つかわしくない血の気配。
部屋の空気が変わった。
だが、少女はその原因にまで辿り着けなかった。]
――?
アナスタシアさん?
[単に機嫌が悪いだけ、か。
漏れた吐息に、昨晩の虜囚のこえが何故か思い起こされた……気がする]
俺はあんまり強い方じゃないんですよね。酔うのも悪くないですけど。
[相槌を返しつつ、視線はアナスタシアとトリス、そしてオリガを順に巡る。
自分が去ったとき、サロンに残っていたのはアナスタシアとトリスだった。
そう、思い出しながら]
[近くにいた為、オリガ>>154の囁きが耳を掠める。
なにかを一途に想うローズグレイ。
その内を知る由もない娘には、その姿が輝いて感じられた]
……吸血鬼が邪悪であるか。
様々な噂がありますけれど。でも、人間にも邪悪はありますから。
ただ意志の強さだけでは、足りぬこともあるでしょう。
[ユーリー>>162の組まれた手元に視線を落とす。
子供や女性は力が弱い。いくら意志が強くとも、拒めるのか。
そこに自分を入れることはないけれど。
ゆっくりと食堂を見回せどリディヤの姿は見えなかった]
でも、まだなにが起こったわけでもないもの、ね。
[小さく呟く。
そしてグレゴリーの声>>173>>174に視線をそちらへ]
[吸血鬼を、どうするのだろう?]
[探すのだろうか?]
[では、探してどうするのだろう?]
[殺す、のか?]
[―闇へと堕ちないために。]
[では―闇、とはどういうことなのだろう?]
[会話を聞きながらそんな風に興味が連鎖する。]
[そのときにグレゴリーが見せた短刀に瞬いた。]
[獣の巣に踏み込んで、掃討すると言っているように思えた。]
[思い浮かんだのは、野犬の巣を焼き払ったときのこと。]
[その後その付近の居留地は使わなくなったことを考えれば、結果は知れる。]
――…あら、私は愉しんでいるわよ。
[眷属との酒宴も甘やかな戯れも城主は愉しんでいる。
赤いケープの少女が取り出したロザリオに目を眇め]
弱いけれどちゃんと力を持ってる。
……あのこは嫌がるだろうね。
[流石に自らそれに触れようとはしない。
人間の信じる神と魔性は相容れないもの。
少女が何をしようとしているのか分からず微かに首を傾げ]
そう。他にも興味深い者が居るのね。
[武器を、という少女にくすりと笑う]
武器が欲しいなら行くべき場所は門衛棟かしら、ね。
今はメーフィエに鍵をかけて貰っているけれど。
[中央棟に武器があると思ったのだろうかとそう紡ぎ]
――…あら、私の死を望むの?
[少女の言葉の真意をはかりかねる。
愉しませようとしているのか自分が愉しみたいだけなのか。
これが狂気の片鱗なのだろうか]
罪を問う為に此処に招待したのではないよ。
己の罪は己だけのもの。
聖者と自分を同じと言いたいの、かな。
血が、聖別になる――…?
嗚呼、人はそう、考えるの……。
[人の血は糧だ。
力を得るための、咽喉を潤す為の、糧。
血がそれになるとも思えず不思議そうな様子で少女を見詰める]
ダニールは、ここまで読んだ。 ( b5 )
――…あなたはこの城に何の為に来たの?
あなたは、何が、したいの?
[こういう事はアヴァクームに任せるが一番なのに
今、彼にこの少女の対応を任せることは出来ない。
少しだけ疲れた風に赤いケープの少女に問う]
[慣れている茶器とは違うものではあったが、それでも戸惑う事はなく、丁寧に紅茶を入れる。
他に欲しいという者が居るようなら、その分も用意しただろう。]
ええ。
早々に失礼させていただきましたが、その分とても素敵な夢を見ましたわ。
[声を掛けられれば、昨晩の夢を思い出してうっとりと声を零す。>>183
用意されていた薔薇のジャムも添えてカップをトリスの前に出した。]
こちらのジャムも美味しいですの。
宜しければご一緒に。
[薄いピンク色のジャム。
指で掬ってトリスに見せ付けるようにして舐めたのは、夢を思い出したからか、それとも、この麗人からも夢で見たイライダと同じような空気を感じ取ったからか。]
……あれ、君。ロラン、だっけ。
[末席に座った人影に目線が止まる。
途中で立ち去った者としては、尋ねなければならないと思った]
君……白いドレスの女の子と知り合いだったのかい?
彼女は、変りない?
まだ具合悪いのかな。
生きていても死んでいても、同じでしょう?
だったらわたしは、もっと素敵に愉しく、美しいものが見たいんだなあ。
血薔薇のお姉さんが、殺されるのも素敵。
弱いニンゲン達が、負けてしまうのも素敵。
お互いの意思がぶつかり合った結果。どちらもとても綺麗だよ?
[不思議そうなイライダの表情。
確かに、彼女にとっての食糧が、人間にとっての聖別になるのは疑問だろう]
わたしは聖者じゃないよ。ただの、ニンゲンだよ?
でも、ニンゲンでも、命を使えば、きっと聖別になるよ。ねえ?
命は皆一緒だもの。皆同じで尊い物だもの。
高い所から飛び降りたら、きっと素敵な絵が出来る。
それで出来た武器は、きっと人間に素敵な力を与える。
血の城の中で踊るにも、選択肢は多い方が、きっと楽しめるよ。
ね、塔の上に、登りたいの?
だめかな?
[グレゴリーの演説には数度瞬いて彼の方を見やった。
軍属であったはずだ――ただでさえ反乱鎮圧で忙しいのに、異形狩りなんぞもやっていたのか]
……なら、安心じゃないですか。
やばくなったらお任せすればいいんだ。
俺は大人しく門が開くのを待ってますよ。
[少し声が冷えるのを自覚した。
最後まで紅茶を啜りきると、溜息を一つ]
……勿体無いな。
[小さく、溜息と共に吐き出した]
― 遠い日の記憶 ―
え?これを私に…??
[彼女はある青年からプレゼントをもらっている。あなたがここに来てもう10年になるから、と。その青年は言っていた。
中身を確認するとイヤリングが入っていた]
こ、こんな高価そうなものを…お気持ちだけで結構ですから!
[プレゼントを返そうとする]
[諦めの色が誤解されたのかもしれない。
娘のそれは閉じ込められたことにではなく、オリガの光に対する真っ直ぐさが眩しかったから。
グレゴリーの持つ剣が、陽光を反射するを眺めつつ]
それは心強いことですね。
[ふわりと安心したような微笑みを浮かべる。
娘に聖なる気配など読み取れぬ。
だから信じるもなにもない、ただ武器として映るだけ]
……まだ、眠っているのかしら。
[現れたトリスとロランに会釈する。
しかし今になっても、自らを鬼灯と称した少女の姿はない]
[しかし青年はそれを受け取ろうとしない。「あなたがこういうものを身に着けているのをわたしは見たことがない。少しは自分の身なりにも気をつけたほうがいい。」…ややきつい言葉にも聞こえるが彼女には嬉しくて仕方がなかった。…気にかけてくれている…]
あ、ありがとうございます。一生大事にします!
[赤いケープの少女の語る言葉は城主の琴線には触れない。
共感出来ぬ彼女の思い。
彼女の願いを聞けば柳眉が顰められる]
――…私に人の理は分からないよ。
棟の上から飛び降りれば私の大事にしている花が血に濡れるね。
それは私の望むところではないよ。
掃除させるにしても退屈を好む眷族が嫌がるし。
元のようにするには手間が掛かる。
武器を望む者がいるなら武器庫を解放するよ。
それに――…聖なるものを求めるなら礼拝堂に赴くべきかな。
[庭を血に染めるのは不本意と明らかに気がすすまぬ様子]
[傾いたカップに気をとられたせいで、トリストラムが食堂に入ってきた瞬間のアナスタシアの表情を見落とした。
今回はなんとか中身を零さずに済んだが、この場合、紅茶を服に零したとしても、アナスタシアのせいだろうと思う。
むろん、そんな言い訳は通じない相手だろうが。]
[カチューシャの言葉に、手を挙げて応えた>>182。]
ええ、お任せあれ。
首尾よく収めて見せましょう。
[アナスタシアの賞賛に苦笑しながらも。>>186]
恥ずかしながら、我が母ほどの力を持ち合わせておりませんで。
[自身の母が何処とも知れぬ女だというのは、貴族社会では公然の事実だ。]
敢然と立ち向かってくる吸血鬼ならともかく、我々人間の中に隠れようとする臆病鼠を探すのは……どうにも苦手でしてな。
こうして皆様のお力添えをお願いしたいのであります。
[頭を下げた。そしてロランの言葉が耳に届いたのは、周りの反応に神経を尖らせていたからであろう>>185。]
はっはっは。騎士と称されるのは些か気恥ずかしいものですなあ。
ただまあ、私の様な存在を証明する土台は、吸血鬼――それこそ夢物語ですな。
まあ、その存在を信じていただかねば、私の事が信じられないというのも無理はない。
[ニコライが皆を呼んだと聞いた。
彼が食事を終えたタイミングを計り、控えめに傍に近づき]
ミハイロフ様、少し宜しいでしょうか。
[そうして、リディヤが部屋にいたかを問うた]
[グレゴリーの演説が済んだのをみはからい、テーブルに手をついて立ち上がる。]
わたしも、城門が開かないのは確認しています。
このことについて、事情を聞いている者はいない、ということでよろしいですね?
吸血鬼とやらが出たら、グレゴリー少尉にお任せするとして…
[無茶しやがる、とでも言いたげな一瞥を投げてから]
もし、不安があれば何人かで同室で休まれることを考えてもいい。
警護が必要ならば、男性陣が後退で引き受けるようローテーションを組みます。
慣れない事態ではありましょうが、お互い様です。
秩序ある時間を過ごされることを切に願います。
みだりに秩序を乱す場合は――
当方で、それなりの対策をさせていただきます。
[革命は、嫌いだ。]
[そして、青年に促されイヤリングを付けてみる]
…ど、どうですか?
「うん、なかなかかわいいじゃないか」
[恐らくそれがお世辞であることは間違いないのだが、それでも彼女は有頂天になる。主従……という関係を超えた憧れを持っていた人にほめられたのだから]
あ、あの、もうこれずっと外しません!!
[その言葉を聞いて呆れたのか青年は苦笑いする]
本当に…ありがとうございました。
………ユーリー様
― また一つ、記憶が蘇った ―
― 城主の居室 ―
……、…、……ぁ、んっ…
[零れるばかりの熱く甘い吐息。
あまやかに語らう城主の姿。
蹌踉きながら 夜 へ歩む。
内股に歩く姿は何処か切ない。]
……イライダ、さ…ま……
[甘く囀る。
靄がかかった思考の中、
求め焦がれるのは めのまえの ぬばたまのよる ]
[イヴァンに声をかける]
…私、もう一人探さなければいけない人が増えました。このお城に、ユーリー・レオノヴィチ・ザハーリインという人は来てますか?
[問いかけた後、姿を消してしまった。彼女の、とても濃密な1日が終わった**]
[微妙、とのイライダの言葉に、少女も悲しそうな顔をする]
そっか……駄目なら、しょうがないなあ。
でも、この城の中では、何かを聖別は出来ないよねえ?自分の害になる物なんて、置くわけ無いもんねえ。
[武器庫を開放するとの言葉に]
聖別されない武器は、無意味だよね。まあ、開けておいてもらえるなら、是非。
[表情は一転、にこりと微笑む]
うーん、じゃあ、礼拝堂は自由に使って良いの?あんまり、清浄な感じしないけれど……。
[手元でくるくると回す、ロザリオ。
思案顔のまま、しかい悪戯っぽい表情で微笑んだ]
わたしね、血は吸われたくないんだ。ニンゲンのままの方が、きっと楽しいよ。
だから、血薔薇のお姉さんにも、ちょっと反抗する。
[そのまま、イライダの前を立ち去る。向かう先は、礼拝堂]
[ベルナルトとロランが話しているのが「礼拝堂に囚われていた少女」のことだと気づき、耳をそばだてるも、格段の情報は得られず。
後で、ベルナルドに昨夜のことを問いただそうと決めた。]
[悲しそうな少女の顔にも心は動かない。
この少女は自分の庇護下にある存在ではないから]
知識があれば聖水を作るとか――…
[好まぬ語句を口にして小さく息を吐く]
――…メーフィエに会ったら武器庫の件は伝えておくよ。
ん、礼拝堂に籠もる趣味はないから自由に使うと良い。
[血を吸われたくないと吸血鬼に言う少女。
人間のままを望むは部屋にある肖像画の娘と同じだが
本質はかなり異なるもので姿は重ならない。
あの時、自分を呼んだのは誰だったのだろう。
そんな事に思いめぐらせていれば少女の姿は遠くなっていた]
無理強いして眷属にしても詰まらぬ。
私が欲しいのは――…
[独り言ちて吐息を零した]
― 城主の居室 ―
…――…、ロラン、は、わたしの…昔の知り合いです…
[身を捩り、陶然と吐息をまた零す。
火に薪をくべるばかりの口接け。
ひたりと纏わりつく純白のドレスの下では、
爛熟した体が底無しの沼に堕ちる事を望んでいた。]
[アナスタシアがグレゴリーを徴発している。
いい勝負だろうな──と野次馬的な感想も抱いたが、城主への謁見を示唆されると、胸に視線を落とした。
──会いたい。]
――礼拝堂――
[ラビが吊るされていた、清浄の地。
しかしそれは、イライダの力によってか、長年の使用によってか、神聖な空気は失われていた。布も消え去っていれば、ただの古びた教会でしかない。
大きなステンドグラスと、小さな祭壇。
しかし祭壇の上には十字架は無く、そこがやはり吸血鬼の城の一角である事を思わせた]
お母さんは、吸血鬼が嫌いなんだよね?
[少女の存在を無視する母親]
お父さんは、よく分からないものは無くなれって思ってるんだよね?
[少女の言動を恐れ、暴力を振るった父親]
――神の御詞、光あれ……。
[言葉と共に、僅かながらステンドグラス越しに差し込む太陽光。
光が注ぎこむ祭壇に座り込むと、少女は自分の心臓に、クビキを、ぶすりと、差し込んだ]
[薄気味悪い音と共に、鳴り響く血の溢れる音。
鮮やかな血は、日光を浴びててらてらと輝く。
心臓を貫いたクビキ――
ニンゲンを逸脱した物を貫いた、太陽の光を浴びたクビキ――]
(わたしは、吸血鬼には、なりたくないんだ。だって、ニンゲンの方が、美しい)
[心臓が潰れていれば、吸血鬼として蘇る事は無い。
生きるも死ぬも、少女にとっては同じ事。
ならば、亡霊となって、人々を見守ろうではないか。
そもそもその為に、生贄となって街から逃げたのだから]
――生きていたい?死んでもいい?
――人間でありたい?吸血鬼になりたい?
[礼拝堂にて少女を見つけた人は、何と思うだろう?
少女の胸に刺さった小さなロザリオを使ってくれるだろうか?
自身の姿が滑稽で忌まわしいと思う想像力も常識も、少女には無かった]
――朝・客室前廊下――
[夜が明け、亡霊達の囁きが止んだ頃。
男は廊下にそっと姿を現した。
昨夜、アリョールが消える前に言っていた名前を一人呟く]
……ユーリー・レオノヴィチ・ザハーリィンという人っすか。男の人、っすよね。
あの人の……血縁、という口調でもなさそうだったような。
[祈るのは、美しい戦いの姿。
抗う人間と、対抗する吸血鬼の戦いの姿。
それが悲惨な結末になろうとも、少女は人間に全てを託すだろう]
血薔薇のお姉さん。
油断してたら、殺されちゃうよ?
ニンゲンは、案外、強いんだから――。
[くすくすと微笑みつつ、呟いた。
最期の言葉は、彼女に届いたか――]
[警護担当に関するニコライの頼みを聞く。]
むろん、個々の事情は加味します。
もし、差し支えなければ、後でロランの病について、詳しい説明をいただきたいのですが。
[見た目の脆弱さこそが、吸血鬼である証拠となることもあり得る、とは口には出さず。]
>>200
わたくし、同室はちょっとご遠慮したいかしら。
寝つきが悪いので…。
(本当は、誰が吸血鬼か解らないから怖かった。
今、この場で誰か一人と選ぶのならグレゴリーだっただろうが
それは淑女としては言えない事だった。)
魅力ある、だなんて。
トリス様のように美しい方にそう言って頂けて、光栄ですわ。
一番望む……だとしたら、どんなに素晴らしい事でしょう。
[最後の呟きは、トリスにしか聞こえぬ程小さなもの。
紅茶を飲む様子を見つめながら、続いた言葉に。]
私が勝手にお慕いしているだけですの。お逢い出来たらどんなに幸せな事でしょうね。
でも……同じような方に、既にお逢い出来ているのかもしれませんわ。
[トリスが纏う空気に、どこか魅せられたような笑みを向けて。]
[このまま、人間達が対立するのならば
目覚めさせるしかないのだろう
なり損ないの吸血鬼を!そして、この種を守らなくてはーーー]
[ユーリーの提案。
最もだと思うが、こちらは肯定も否定の言葉も口に出さず、つまり静観していた]
警備ならやりますよ。いくらでも。
……俺は別にどこでも寝れますからね。レオノヴィチ様の隣部屋でベッド借りてますけど、追いだしてもらって構わないです。いつでも。
[あまり興味がなさそうな声音ではあった。
もちろん、命じられれば従う。――恩はあるのだから]
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