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[ソファで眠っていたウルズの起きる様子に気づき、視線を向けた]
目が覚めたか。
[木の実の一つを取り──プラムに良く似た──投げて渡す]
…夢を、みたよ。
[己の起きた気配に顔を上げた、傍らの眼鏡の少女に、まだぼんやりした声で告げる。]
淡い…青い光。
…それから、音だ。
鳥の声を、もっとずっと短くしたような…音。
それがずっと…ゆっくりとしたリズムで単調に聞こえてくる。
…あとは……
[寝覚めの意識がはっきりしていくうちに、夢の欠片は薄れていく。]
……だめだ、よくわからない。
[消え入るような声でそう言い、小さく頭を振った。]
そう、あてがあるならお邪魔かしら。
お暇なら何故ナサニエルが此処に居るのか、
訊いてみたくもあったのだけれど。
[男の言葉から人形へと視線を移すもあったか]
人が人形をつくるからではないかしら。
[静かな声が淡々と呟くも眼差しは揺れ]
[遠く持ち主を探す如く視線は巡るか]
[飛んでくる何かを、腕は反射的に弾いていた。
床に叩きつけられ、半ば潰れてしまった木の実を、ようやく認識する。]
…ぁ。
[実を見て、そこから視線は投げた者の方へ。]
済まない。…せっかく寄越してくれたのに。
――洋館前――
〔感じ取る「望み」、…否、違うものの質。――それは次第にはっきりとしてくる感覚だった。ヘンリエッタから貰った果実はそのまま腕に抱えている。〕
――この魔法はあまり濫発は利かないからね。
アハハ、…参った。
〔これはこれで勉強になるらしい…と大きく深呼吸。〕
キミの話だ…すてら。
誰も彼もボクにはかわいい…
ムキになって貰うのもまた、甲斐性のうち…
なんてそこまで強がりは利かんけれどね?
〔確かに未知の領域に好奇心は疼く。〕
…必要に駆られて群れる…ならアリ、だろうね?
〔すてらに思い切り背を叩かれると…条件反射で猫背が更に前のめりになる。…〕
あ……、いや。私こそ無神経だった。
お前も何かから、逃げて居たのだったな。
何から逃げているかまでは、聞こうと思わないが。
[彼が記憶を失っていることなど彼女は知らず]
[ウルズが拾うより早く潰れた実を拾い上げ、掌中の新しい物を改めて差し出した]
[差し出した実はふたつ。視線で芹菜を示して]
んー、特にアテはないけど。
何故居るかっても…なんでだろうな?
[一瞬どこか歪んだ笑みを浮かべるも直ぐに消えうせ]
[先程の言葉を聞かれていた事に気付けばしまったと言う顔になり]
ぁ――――ごめん。
…ありがとう。
[シャーロットの手から、その実を受け取ると、傍らの芹菜にも手渡す。
ソファーに座りなおして、袖口で実を拭い、口元に寄せる。]
…逃げ、て…?
[その言葉に、訝しげに彼女を見返した。
…確かに、この怪我は、事故に遭ったようでも、獣に襲われたようでもない。
もしかすれば、誰かに傷つけられたもののようには思えるが。]
〔ナサニエルとヘンリエッタが会話を交すのを耳にしながら、歩を寄せる。ヘンリエッタの言葉…「人が人形を作るからではないかしら。」…その意味合い。〕
…困ったね。…
何だか勿体無くなってきた…
万全の状態で、全力でお応えできないのが、さ。
…アハハ、…つくづくだな。
[十姫の姿が翻った時、瞳から脳へと刻み込まれたのは、風変わりな装束に身を包んだ青年の姿]
見つかった?!
[不用意な偵察に自らを呪いながらも、十姫を懐に入れながら、退くか留まるかを迷う。迷うことを不思議とも思わず]
違うのか?
[一度まじまじとウルズの全身を眺め]
その疵に、魘され飛び起きる様子。まるで追われる者のそれだと思ったんだが。
……早とちりかもしれないな。
[己の身にも覚えのあることであったが故の勘違いかと、苦笑]
――洋館前――
[屋敷の前まで戻ってくると歩みを止める。小さく鼻を鳴らし]
この辺りか、それ以上詳細には探ることが叶わぬ。
お主も呪術使いであったか。
術は彼らの摂理に干渉する。
濫発は避けた方が良い…わしは彼らにあまり嫌われたくはない。
[彼の言葉をどう汲んだのか…小さく溜息をつき、腰に手を添える。辺りをぐるりと見渡して]
待ち人はどんなお方じゃ?
容貌がわからねば探すのも容易ではない。
…と、お主は所謂「誑し」というやつなのか…?
[今更な問いかけを投げた後、彼の言葉に浮かび上がる言葉に「悪い男じゃ」とじとりと睨みつけ]
お主は必要ではないと申すか?
誰しも、独りだけで生きていける者はおらぬ。
[ヘンリエッタとナサニエルにも手をあげて挨拶をし]
御機嫌よう、ヒューバート。
噂の君は未だエスコートしていないのね。
でも、近くまではきているかも知れなくてよ。
[悪戯な笑みと共に遠く視線を移し示すもあり]
[声に向き直るも其処には歪んだ笑みが映る]
何でかしらね。
厭な事を訊いてしまったならごめんなさい。
只、貴方はウルズのように怪我をしている訳でもなく、
ひとりで行動も出来るのにずっと人と居るから。
ナサニエルも、すてらのようにひとりは寂しいの?
[謝罪には緩やかに被りを振る]
[揺れるは結い上げた紅い髪か]
構わないわ。
謝罪も求めて居ない。
[去り行く人形にもう一度だけ一瞥をくれて。
近付いて来たヒューバートとすてらに軽く手を上げ返し]
お帰り&いらっしゃいー。なんかあった?
〔すてらに叩かれた背を漸く伸ばして…
結局またいつもの猫背に戻す。〕
ナサニエル…謝罪はいらない、むしろ此方だ。
ボクはヘンリエッタに随分礼を欠いているのだからね?
…痛かあないんだよ…もう。
どうやって今を遊ぼう?…勿体無い。
…ヘンリエッタ…リードを取ってくれる?
〔…ボクは今…、否、若しかしたらずっと。
過去をも夢見ているのかなァ…そう呟く。
望みは…違うもののはずだったのに、
今は――確かに含まれていた。〕
うむ。柳を見つけた。
待ち人は…この辺りにいる筈なんじゃがのぅ…。
[ナサニエルへヒューバートを指差し、ナサニエルの向く方角へと一度目を仰がせる。目を凝らし、ある一点を見つめ]
……やや?
[見間違いではないだろうか、遠くに見える影に小さく手招きをして確認。]
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