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[サーシャに]
今流行のBLと云うやつじゃないかしら。
[紅茶も空気も美味しい。
相手が目の前に居るのが妬ましいので二人の世界を邪魔しているのだ。]
嘘の書物……。
[ロランの言葉を繰り返すそれは、初めて人狼騒ぎに巻き込まれた人が、処刑の単語に反応するような重々しさ。]
そんなものも、あるんだ……。
[何せ青年の読んだことのある本と言えば、一度目の人狼騒ぎが終わった後放り込まれた孤児院におかれた聖書と、人狼騒ぎの議事録くらいだったもので。
四つん這いの人と立ち上がった人が、重々しく会話してる間抜けさなど、些細なことだ。]
― 少し前 ―
[部屋には、ダニールとカチューシャが残された。
薄靄のかかった天井を見上げていた目がダニールを捉え、ふと口を開く。]
さっき、お前さんは俺に「人狼じゃなさそうだ」と言っただろ。
[意識を失って、彼に助け起こされた時の事。]
……人狼に与し、ヒトを殺し、街を一つ潰してる。
何時か郷里に帰ったら、ぶっ殺してやろうと思ってる奴も居る。
……そう言うヤツは、人狼じゃないとしても、果たして人間だと言えるのか。
[何処か遠くを見るようにして、口の端を上げる。]
自分でも分かんねぇのさ。
だから、答えなかった。
[苦悩の中で人を喰らう人狼も居るかも知れない。
しかし、生き残る為に躊躇なく人を殺す人間も居るのだと。]
してきたことに後悔はない。
ただ……サーシャには、悪いことをしたな、と。
……独り言だ、忘れてくれていい。
[うわ言のように呟いて、外を見てくると言われれば>>85頷いた。
ダニールの手に握られたナイフを見詰め、その背にもうひとつ声を掛けようとして―――意識を束の間、落とした。]
びぃえる、は、なかよし、ってこと?
[ミハイルの言葉に、間違いだか正解だかよくわからない解釈をしてみた。
……ちなみに、青年は未だロランの性別に気づいていない。]
びぃえるってのは、
そのなんだ。
アナスタシアに訊けばいい。
[サーシャの質問を押し付けた。]
お前は気にするな。
[ロランにはそう言って、抱っこよしよし
(ちょっと嬉しいらしい、膝とか)]
―少しの後―
[小さな手が頭を滑り、瞳を薄く。]
………ん。
お前さん、まだ此処に居たのか。
[恐らくはダニールの言付け通りに、しっかりと施錠をされた部屋。寝台の傍には少女が一人。
眠っていたのか、気を失っていたのか。数分か、十数分か。扉の向こうへと意識を向けても、喧騒は聞こえて来ないようだ。
暫くの間カチューシャの手に頭を委ねていたが、]
カチューシャ。
[やがて、少女の名を呼ぶ。]
……むー。
[ミハイルがロランをだっこしてるのがなんだかおもしろくなかった。無理矢理膝に割り込んでやろうかと考える。
……やせ気味の二人くらいなら乗っけられるかと思い、実行に移そうとしてみた。]
-回想:食堂車withサンドラ-
…
[>>79サンドラからはアルコールの臭いがした。あぁ、これはウォッカというやつか。今まで飲んでいたのだろうか]
[間合いを詰めながら、彼女の話に耳を傾ける]
まだ冷静って…至って俺は冷静だよ。
あぁ、聞くよ?
言ったじゃん、『信じさせて』って。
[『幾らでも人間証明』という言葉には、片眉が上がる。
自分が人間だと、言葉で伝えるのだろうか。誰もが言ってきた。「自分は人間だ」と。
それでも火で炙ったり。棒で何万回と叩いたり。手足を引き裂いたり。
人狼であったなら狂喜し、人であったのならやけに冷めた目で死体を片付ける…。
ねぇ、サンドラ。言うのかい? 自分は人間だって。あぁ、でもそれなら、俺はシンジラレナイヨ…]
[それは、三人(もしくは二人+一人のお邪魔虫)のじゃれ合いが落ち着いてからだったかも知れない。]
……あ。
[本当はカチューシャだという少女と目が合えば。]
……ずっと、名前、怒っててごめんね?
[生前、彼女の姿を乗っ取った者のことを、彼女の名前で怨嗟したことを謝った。]
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