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― 食堂車 ―
[視界が霞むのは、出血の為だろうか。
鎖骨の下から肩にかけての貫通傷は依然血を流し続けており、痛みを痛みと感じるだけの感覚もそろそろ無くなりつつあるようだ。]
………やべえ……
輸血も治療も出来ない此処じゃ、
銃の傷なんか……殆ど致命傷だわな。
[ロランが撃たれたと叫ぶサーシャの声が蘇る。
ロランの死因が銃によるものであれば、撃ったのは誰なのか。
食堂車の灯りの元へと辿り着けば、感覚の残る右腕で机の淵を押さえ、体を支える。
と、その机に何か文字が書かれている事に気づいた。]
……これは……
[確かめるように数度、右へ左へと視線が往復する。
意識を失う直前、銃弾が狼を射抜いた直後、人狼の顔がヒトに近く変化しなかっただろうか。
白靄に沈む直前の記憶が、始めて鮮明に蘇る。]
………ミハイルとサーシャは人狼仲間、か。
[思考力の落ちた頭は、裏付けを得た事で容易くそれを鵜呑みにする。事実、己の目撃した情景からは最も高い可能性でもあった。
暫くその文字を見つめていたが、やがて食堂車の先へと走り出した。]
ああ?なんか、そここそこそ何言ってんだ?
[アナスタシアとロランのこそこそ話に、イラだった声をぶつける。
シュテファンの1時間コースは何か八つ当たり的なものになるかもしれない。]
[...は隠れるように、車内を移動している。隠れるところなどほとんどないが、ドアの隙間やカーテンの陰や、空いている客室など死角は探せば見つかるものだ。
食堂車に向かう途中の廊下で>>76ナタリーが、他の人にミハイルとロランのことを伝えていたのを立ち聞きした。叫ぶサーシャの声で何があったか予測はついていても、確実にはわかっていなかったのだ。]
えっと、ミハイルってあの人で、ロランってのはあの人だよね…?
[なんとか記憶の中で顔と名前が一致して、驚愕に息を呑む]
[誰何の声に返答がない為、倒れている二人の方に集中する]
>>83
ダ二ールさんは食堂車の方に居るわ。
彼の怪我は…軽いものではないと思うけれど、自分で手当てをしたみたい。
[皆より遅れて食堂車に辿りついた。
イヴァンの遺体は相変わらずそこに放置されている。
小首を傾げながら、その姿を眺める。]
もしかしたら一番綺麗な死体?
ああ、でもシャノアールの死体、結局見そびれたままだったわ。
[本当に死んでしまったのかどうか確認したかったから。
けれど、もうその必要はなくなったから構わない。
だって、彼女はー。
後部車両へ続く扉の方へ視線を向けた。]
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