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わからないな…。
[何故彼は彼女を襲わなかったのだろう?
何故彼は彼女を助けようとしたのだろう?]
皆殺しとか、俺の獲物だとか、
人間はただの餌だとか言ってたのにね?
[目の前で人が死ぬのが嫌なのは、
無力な自分を思い知らされるからで。
サーシャみたいに誰かのために
あれほど泣くことはもうできないだろう。]
[そもそも出会ってまもない相手に、
そこまで執着できること自体が理解できない。
ミハイルを一瞥する。
一応人の形を取っているが、
今着ている服には銃創がない。
それまで着ていた服は何処だろう?]
…。
ま、いいか。
[救急箱片手に、食堂車へ戻ることにした。
誰かいれば二人の死を伝えるだろう*]
[自分の亡骸が見える。
ロランとは離されているようだ。
ナタリーがロランの傷を見て首を振っているのがみえた。]
―回想(特等室)
>>17
…おはようございます。…起こしてしまったかしら
[にこりと微笑む]
残念だけれど、まだ夜は明けていないわ。
まだ、昏い夜の時間…
[求められた口付けには、微笑み、応えて]
>>18
…ええ。私も行きましょう。
皆の様子を確認しないと…。
―現在(一等車両)
[ダ二ール、そしてベルナルトを見、ユーリーがタオルで傷口を手当するのを見て]
酷い怪我…。雑菌が入ると良くないわ。
どなたか、傷を診てもらえる人が居ればいいのだけれど…
[…丁度、一等車両の個室から出てきた、救急箱を持ったナタリーを見つけ]
ああ、ナタリーさん…。確か診療所でお手伝いをされていた、と仰っていたわね。
ベルナルトさんの傷を見て下さらないかしら…
―車両前方―
[数歩進んでは壁にもたれ、また勢いよく歩き出す。足取りは安定しない。
食堂車に向かう途中、何かを蹴り飛ばした。見ればナイフ……先ほどカチューシャに投げつけたもの。
刃に血はほとんどついていない。つまり刺さったわけではない。]
……足りない
[こんなものでは、あの子供を殺すことなどできない。拾い上げたそれをぎりりと握りしめ、食堂車へとまた歩を進める。
――悪くても果物ナイフの一本や二本、置いてあるはずだと考えて。]
……あのこ、どこ……?
[やがてダニール達に出くわせば。殺意を漲らせた目で問いかけただろう。]
……カチューシャっ、どこ……!?
[人ならざる力でアナスタシアや、ロラン。ミハイルが死んだ事を知ると振り返り、食堂車の方を見やる。]
……。
[逆上したあの少年が、今すぐに追って来る様子は無い。それを詰まらなそうに確認すると、再び後部車両をデッキに向けて歩き出した。羊のパペットに、銃を握った手を隠しながら。]
[止めようとされても、ナイフをかざし走り抜けただろう。傷が増えようとも、足が動く限りは止まらず。]
カチューシャっ、出てこい! カチューシャっ……!!
[名前だけを呼ぶのは先ほどと同じ。探す。走る。よろけて壁にぶつかる。立ち上がる。
食堂車に駆け込めば、先ほどと同じ問いを繰り返して。洗い場の果物ナイフをひっつかむ。
一直線に。向かうは後部車両。]
[何かを感じたのか、再び食堂車の方へと振り返る。左手で髪を軽く撫で上げると、丁度その車両の中央に位置するドアを開け、中を確認した。
薄いドアだ。蹴破る事も可能だろう。しかし、一応鍵は掛かる。
それを確認すると、開いたドアに寄りかかるようにして、誰かが来るのを待った。]
[ドアを開ける。椅子を蹴り飛ばす。辺りを見回しまた進む。
何度繰り返しただろう? ドアの向こうの低い位置、金色の髪が揺れるのが見えた。]
よくも、ロランを、ロランをっ!!
[声は意味をなす言葉になっていただろうか? 痛みも目眩も、全てが怒りに塗りつぶされた。]
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