情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[13]
[14]
[15]
[16]
[17]
[18]
[19]
[20]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
黒詰 ユージーン は 改造好き シャノン に投票した。
記憶喪失 シュウ は 黒詰 ユージーン に投票した。
赤貧宇宙人 ニーナ は 黒詰 ユージーン に投票した。
改造好き シャノン は 記憶喪失 シュウ に投票した。
黒詰 ユージーン は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、改造好き シャノン が無残な姿で発見された。
闇が村を覆い、村人達は自らの過ちに気付いた。人狼達は最後の食事を済ませると、新たな犠牲者を求めて無人の村を立ち去っていった。
――受け止めるっ! 来て、みなさい……!
[オレンジ色の光の軌跡と共に『サンダーエース』が襲い来る。
90度のロール。
それは上半身を縦に真二つに切り裂く軌道。黒騎士は光刃を掴み取ろうとするかのように、突き出した左腕を掲げた]
[ガキン、と強い衝撃がコクピット内に走った。
切り裂かれていく『アンギャルド』の機体。スクリーンの映像が消失する。だが、何が起こっているか、少女には感じ取れた]
――『禍珠』が、
[破断した左腕。
肘の部分からひしゃげ、ばらばらになって落花していく。頭部も続けて破砕された。それでも尚、それ自体が“核(コア)”であるかのように浮遊する、銀色の球体――『禍珠(false core)』。
ブゥン、と震え、虹色の膜を球状に展開した]
[虹色の膜が膨張し、二人の機体を飲み込んだ。
空間に縫いとめられたように停止する『サンダーエース』。
膜の表面で色彩が溶け合い、赤く光ろうと――]
そうは――させ、ないっ!
[視野の右下、再構成までのカウントが0に達する。
『自在剣』を片手剣へと変化させ、眼前の機体に向けて*振り抜いた*]
―中央空域交戦座標より南東―
……シャノン…さ…っっ!
[見えた。赤い光条の源、漆黒の騎士と、満身創痍で、それでも身を翻し、騎士へと迫る橙黒の機体。接続したフヅキの“目”が、肉眼ではとても捉えられない距離を飛び越え、映し出す。
―――どうする?どうすれば…
機体を停止しての支援砲撃?
否。距離がありすぎる。精度も威力も条件を満足させるにはあまりに時間が足りない。
高速機動を継続し、可能な限り近距離から支援射撃?
否。やはり精度が問題だ。突撃をかけるサンダーエースを巻き込まない射撃など期待もできない。
すべての出力を機動に回し、近接距離からの支援?
否。サンダーエースと自分とでは彼我の距離が違う。如何に機動力が上がっていると言えど、到底間に合う距離とは思えない。
―――思いつく手段が、即座に自らによって否定されていく。
また、なのだろうか。
また、自分は何もできずに…]
“早く…はやくっ!!!”
[ただ、祈るように機体を叱咤しながら、そこを目指すことしか、できなかった]
―中央空域、高層―
[目の前を、赤い光が過ぎ去っていく。
計器が急にダウンしていく。画面がブラックアウトしていく。
内部から外を認識するシステムはフィリア…BFの核を使っているので、こうなって当然だった]
チッッ、これが赤い光か…。
やっかいだな。
[けれど、ソウルコネクトから伝わるクヴォルの力強さは伝わってきた。
クヴォルはまだいけると呼応してくる]
よし、これが最後の一撃だ。
スルヴォルクカノン、…シュート。
[死仮面の口が開く。
全ての赤と黒が混じりて、螺旋となりて、その大きな奔流は中央上層から、アンギャルドとリトルアースが対峙したフィールドを襲う。
そして、黒い光をも撃ち出した烏羽は、それと同時に真下へと堕ちていった**]
―― 界渡り ――
[少年ウィリーは空を飛びたかった。
―― だから、MiddanEdenでは竜になった。
どうせ沢山見るなら綺麗な女の子が良かった。
―― だから、端末としてマリアを作った]
[新しい肉体と、それへの繋ぎ――ナノマシン。
それらの費用は、MiddanEdenへの借金。
働きながら、少しずつ返す。
完全返済までもう少し]
[走馬灯みたいに、記憶が1つ1つ新たな脳に収められる。
膨大な量のナノマシンがネットワークとして情報量を保持する]
[そうして――
ナノマシンはこの大会の間の記憶も再現していく。
幾人もと出会い、戦い、舞い歌ったこと。
友達のニーナとシャノン。好敵手のユージーン。
挨拶をしたシャーロットと、落としたロジャー、クロノ。
沢山の小型機に虹色モヒカン、王者ゴードン。
コアを止めたあの赤い光。
それを操るというシュウとシルバーコレクター]
―― MiddanEden ブース ――
【記憶のインストールが終了しました。
接続しますか?】
[硝子の内壁が液晶に変わり、そう表示された。
マリア=カリラは瞳をあけて、瞬きもせずその文字を見つめる。
数十秒の間、マリア=カリラは動かない。
けれど、やがて、マリア=カリラの指が【yes】に触れる]
『elen sila lumenn' omentielvo』
[マリア=カリラの唇が動いた。
水晶の瞳は閉じられて、再びマリアはしばしたゆたう。
人型鼠や人型兎、妖精たちによって、予備のコアとそれに接続された新しい脳がケースにすえつけられていく**]
――中央エリア――
[二つの機体を包んでいた膜が、消える。
そこに在ったBFはただ一機だけ――右手に片手剣を下げた、『アンギャルド』の姿。左腕は肘から砕け、頭部も切り裂かれて無惨な有様となっていた]
……それでも、まだ、動く。
[コクピット内で少女は呟いた。
周囲は白一色。機能停止したスクリーンを見回し、目を瞑る]
……それに、まだ、居るね。
あと二機……ううん、もう一機。
[瞼を閉ざした裏に感じ取るのは“核(コア)”そのものの所在。
こちらへと、近づいて来るのがわかる]
――もう少し。もう少しだけ、戦って。
行くよ、『アンギャルド』。
[視線の先で、漆黒と橙黒が交錯する。両者の機体の破砕する音、破断する音が、機体と肉体、両方の感覚として伝わる。
それを、見ているだけしかできなかった。
そして、二つの機体を、虹色の幕が包みこむ。
それを、見ているだけしかできなかった。
虹色の色彩は、やがて、赤色へと収束し始める。
それを、見ているだけしかできなかった。
なんて、無力]
けど…けどっ!
[もう、間に合わないかもしれなくても。それでも、止める。止めるんだ。止めなくちゃ…
…と。一心に接近したその眼前で、振り抜かれる自在剣。橙黒の機体が、落ちていく]
…フヅキ、捕捉を!
[一瞬の煌き。それでかくりと機動を曲げて、橙黒の機体の下部に回りこむ。
BFの反力場で、落下速度を落とし、バリアフィールドへの落着を軟化させた。
その機体は、生きている。止められては、いなかった]
“―――なぜ、ですか”
[遥か頭上。ゆっくりと浮かび上がっていくその漆黒の騎士を追うように、自らも浮上していく。
その最中、回線を通じた、接触]
…やって、ますね。
[やはり小さな画面では飽きたらず、直接見れずともせめて大画面でとリラックスルームへ顔を出す。
画面に釘付けになってるゴードンとその部下たちに軽く会釈をして、自分も近くの席へ。]
シュウちゃん…
[どちらも満身創痍で、痛々しくて。
まるで見ていられないけど、見届けなきゃいけない気がした。]
“なぜですか、騎士殿。
あなたの力は、もっと無慈悲だったのでは? 無慈悲に、残酷で、けれど、決して同胞に向けるものではなく―――”
[侵略者に向けるものだったはずだ。たとえばそう、自分、が、かつてそうだったような。遥か昔に対峙した時の記憶。そして、そのことごとくを否定するような、目前で行われた行動の数々。
ただ、たった今目の前で振るわれた剣は、かつての様に、否、あるいはかつてよりもなお、気高いものだったように、思えて。
その真意を、問おうと、言葉が、次々に、溢れようと―――]
[眼裏に映る形状は青く丸い惑星。ところどころに纏う白。
ニーナの機体、『リトルアース』。
篭められたイメージのかたち]
決着を、付けましょう。
これで最後になる、筈だから。
[黒騎士は『自在剣』を構え、剣先を下げる。
祈りにも似た感覚が少女を包んだ。墜としたいのか、墜とされたいのか。自らの裡に問いかけながら]
――“プレイヤー(Prayer)”の名において。
[ニーナの呼びかけに、閉ざした瞼を薄く開く]
――“私”の中には、もう何もない。
――“あたし”の中に、全部渡したの。
[静かな口調で謎めいた言葉を返し、『リトルアース』へと片手剣の切っ先を向ける]
だから、これは私のわがまま。
これだけ探しても見つからないとは……かくれんぼの才でもあるんですかね?
[クロノを探して手当たり次第に扉を開けまくる少女。
次に開けたのはリラックスルームへと続く扉だった。
すぐさま大画面に映る映像に釘付けになる]
もしかして……もう残り二機ですか?
“あれ”は、もう墜ちているもの。
だから――
[空中を浮遊していた銀色の球体――『禍珠』が飛来した。
黒騎士の前面で停止し、鈍く輝く]
――これは、いらない。
……!?
[キィン、と澄んだ金属音が響いた。
『禍珠』の周囲に銀色の膜が出現し、『アンギャルド』の腹部――機体の“核(コア)”へと飛び込んでいった]
…ええ。そう、ですね。
そのために、ここにきたのですから。
[少女からの呼びかけ。祈りの込められたそれ。そうだ。もう、問答に意味はない]
ならば小官も、小官のなすべきことを果たします。
第七コロニー公社の…いえ、フヅキの名に懸けて。
[少女の『わがまま』の真意はつかめない。けれど、今はきっとそれでいいのだと思う。
突きつけられた切っ先に応じるように、光輪の三重環が、静かに回転を始める]
[不可思議な駆動音が唸り始める。
あるいはそれは、『クヴォルフィリア』の聞く亡者の呻き声か。
少女の座したコクピットの直下、“核”の周辺から赤い光が放たれ始めた]
これ――……つっ、ぐぅ……うっ!
[左手首に埋め込まれた銀色の球体から、何かが逆流してくる感触。禍々しい破壊衝動。他の“核”に干渉し制御下に置こうとする蹂躙の意志。押さえ込もうとしつつ、声を絞り出す]
――逃げて! で、なければ――
…兵装を、捨てるのですか?
[それは、たった今放たれた『決着』の言葉とはちぐはぐに思えて、怪訝にその様子を伺う。
けれど。主に否定されたはずのその“珠”は、けれどその機体に取り込まれていく。
―――何かが、おかしい]
…フヅキ、セブンスムーンの起動を…
[本来ならば必要ないはずの肉声を伴った指示は、あるいはその、名を呼びたかったからかもしれない。傍らにあるその存在を確かめるために]
[『アンギャルド』の失われた左肘から、黄金色の光が噴出。
ブレード状の形となって維持された。
自ら操るものでないように、振り上げられ振り下ろされる。
先刻戦った、竜騎士マリアと同様の攻撃。切っ先の描いた弧が三日月となって留まり、『リトルアース』へと打ち出された]
あと一秒、死ぬ気で――突っ込め!
[自分で選んだコースとはいえ、見る見る内に機体が迫って来る様は中々に恐い。
ぎち、と奥歯をかみ締めてそれを自身の内で殺す]
[振動、衝撃が止み浮遊感、機体は空中に完全停止。
衝突の恐怖で閉じられた目を開けば、赤色を主とした変化をするしゃぼん玉の膜の中に居るような、風景だった
操縦桿はスカスカ、ペダルに対する反応も微か。
表示系統にはノイズが縦横無尽、ふら、と力を抜く]
――ここまで、かぁ。
お疲れ、サンダーエース。
[諦観が占める口調、後悔はしていない、全て納得尽くの行動――だった筈だけど。
やっぱりこの機体は、惜しかった、そう思えるだけ、愛おしかった。]
――ニーナさん、あと、よろしく。
[眼前で、しゃりん。と『自在剣』が振るわれた**]
うん、丁度やってるよ。
…この分だと決着は遠くない。
[入ってきた焼そば屋さんをちょいちょい手招いて、中継画面を固唾を呑んで見守った。]
―――! この期に、逃げることなどっ!!
[搾り出すような、苦しむような少女の声。警告。けど、だからと言って退けるものか!]
クレッセント―――
[機体の周囲を旋回する七つの月の一つが、三日月の軌道を描く]
―――ムーンライト!!
[黄金色の光刃に向けて撃ち出される、もう一つの三日月。相殺は、確認しない。
既に機体は別の月によって機動を始めている]
“フヅキ、解析、お願い、できますか―――?”
[音を介さない声を、フヅキに向ける。フヅキは、力強く、それに応じた。ならば、その時間を、稼ぐ]
コードアカツキ。白昼の残月―――
[機動を繰り返す機体が、その取り巻く月たちを空間に残す。
ぼんやりとその場に漂う、巨大な月。機体が機動を繰り返すたび、その数は増していく―――]
[あ、サラリーマン風の男の人に手招きされた。
「決着は遠くない」という言葉に、とりあえずクロノ探しは後回しにすることにして、室内に入ると手近な椅子に座った。
直後大画面に映し出されたのは、空中で完全停止した後落下する、オレンジと黒の戦闘機。
どうやら先の「残り二機」発言は少女の勘違いだったようだ。
いまだ舞台に立ち続けるは、リトルアースとアンギャルド。
これで今度こそ、残り二機――**]
っく……、この――っ、返せ、私の機体……!
[黒騎士の“核”から流れ込む感覚。
破壊し、奪い取り、押さえ込もうとする感情。
少女は抗いつつも少しづつ、その中に飲み込まれていく]
ぅ、ああああああああああ――っ!!
[『リトルアース』の動向を察知する事は出来なくなっていた。
操縦を無視して荒れ狂う左腕のブレードに、右腕を重ねる]
――だったら、これ、を――
[左肘から吹き出る輝きが、『自在剣』と接触し、融合していく]
(――避けて、)
[過剰なまでに溜める、間。
暴走状態の“核(コア)”から供給された、十分過ぎるほどに蓄積したエネルギー。長く巨大な刃が先端に形成される]
“蒼穹に翔けて、祈れ”――『ヴァイオレットスカイ』。
[少女の唇が動き、“起動言語(トリガー)”が零れる。
『アンギャルド』の仮設AIには登録されていない、それは――
故郷の空を模した弾幕。刀身が薄い青紫に変じた]
―――イクリプス!
[浮かんでいた月たちが、起動コードを受けて一斉に弾けた。白昼の月が消え、振りまくのは星屑。
無数の月がその内包した力を散弾に変え、無軌道に空間を圧した]
“……フヅキ、急いでっ!!”
[黒騎士の不可解な挙動。先ほど聞こえた苦しげな少女の声。急がなければ。
しかし、フヅキの解析は遅々として進まない]
ッッッ!!
回避!!
[月食の生み出した星屑が巨大な長剣の一閃で瞬時に爆ぜる。その末期の煌きが、圧倒的な脅威を伝えた。
巨大な満月の輝き。
弾かれるように、その身をかわす。
そして、一瞬遅れてその空間を薙ぎ払っていく斬撃]
[空間を飛翔する斬撃。
しかしそれは『リトルアース』の描いた軌道を逸れ、空中で弾けた。宙域が青紫に染まり、小粒の散弾が無数に生まれる]
(――降らないで、そのまま――)
[結実した星々へと願う。閉ざした瞳に映るのは、ニーナが駆る『リトルアース』のイメージ。青い惑星を模した姿が大きくなり――そこで、少女の意識は*途絶えた*]
―格納庫へ続く道―
[女性から貰った焼きそばパン。会話の最後で手渡して来たのだが、その代金は受け取らず...達を見送った彼女。
無事にクロノに逢えただろうか?
そんな事を考えながらそっとパンを両手で包み込んで、大切にカバンの中に入れた]
親切…なのは、あの人の方だと思うの…。
屋台の人なのなら、売り上げも色々あるはずなのに…人の為にそれを差し入れにしているのだもの。
それはとても勇気の要る事だと、思うし…。
その、なんていえば良いのか解らないけれど…。
[一向にまとまらない言葉を伝えようと話しながら歩く。
途中、不意に立ち止まったロジャーの横で同じように立ち止まり空を見上げた。
並んだ青はしばらく、そのまま動かない]
―――これは―――?
[弾ける斬撃、生まれる星々。即座に殺到しておかしくはずのそれは、けれど動かない。意図は分からないが、時間の惜しい今はそれが僥倖だった]
“フヅキ、小官も一緒に―――!”
[青く融ける意識の中、フヅキの解析に自らの演算を乗せる。一瞬の静寂]
―――見つけました!
ファストスター・ルシファア、禍の珠を狙って…!!
[撃ち放つ光条。自在剣に弾かれながら、その胸部を射抜こうと煌いて、そして]
―――ッ――――
[流星を追う、青い輝き。消耗しすぎたエネルギーは、意識の空白となって視界が朦朧とかすむ。
けれど、自らが放った光条を道標として、機体は、進む。進む。
黒い騎士の、中心核をめがけて]
コード――――
[ヒトの形を成した機体は、同じくヒトの姿を模した黒騎士に取り付いて、そして]
―――タイラント・マルス――――!!!
[持てる全ての力が、奔流として溢れ出す。
いよいよ以って何もかもを使い果たしたからだから、あらゆる力が抜けていく。
ただ、その腕は、黒騎士に穿たれた穴から、少女を助け出そうと、足掻いて、そして]
[世界が、真白に染まった**]
――中央エリア――
[観客席の視線が、空中の一点に集中する。
決着の瞬間。
白い閃光が『アンギャルド』の背を貫き、弾けた。
眼も眩む輝き。
光の本流が収まったあと、そこに浮かんでいたのは――
丸いコクピットをその手に包んだ、ヒトの形をした機体]
『――今、この瞬間!
勝者が決定しました! 優勝は――』
[実況アナウンサーが興奮の面持ちで、名を読み上げる]
『――『リトルアース』パイロット、
“遊星の落とし子”ニーナ!!』
[その瞬間。
地面を揺るがすような大歓声が、会場一帯に*響いた*]
[烏羽の翼は堕ちてゆく。
ゆらり
ゆらりと。
真逆様に堕ちてゆく。
そこに、一つの声が響いた。
「コード______。第三方面BH機関担当研究員長の名の元に発動する。」
烏羽の全翼が、空中で細かに分解、爆発していく。
それはまるで――
烏の羽が、空に散るように]
[会場が、優勝者が決まるその刹那、ひっそりと烏は散った。
後に残るのは…
藍鉄色の、死仮面。
それは密かに、あの”墓”に回収された。]
大会スタッフ グレンは、屋台のお手伝い ダイアナのヒントがいまいち分かってないけど、個人的には思い出す手伝い出来たらなあと思っていたりする。
大会スタッフ グレンは、屋台のお手伝い ダイアナの店主にダミー参加者見物人全員分(NPCも含む)の焼きそば料理を注文した。よろしく頼む!*
[ゲームセンターで昔のシューティングゲームを遊んでいる]
自機は小粒弾に一撃当たっただけで落ちる……
なのに最終ボスはボムを撃っても通じない……
それどころか回復するって一体どういうこと!
村の設定が変更されました。
[女は表彰式も閉会式も興味がなく、帰還準備をしている]
さて、帰るわよー。
どれくらいの出力向上したか早くしらべたい!
[研究員たちに指示を出し、運搬用機体にクヴォルや、停止したフィリアの核を積み込む]
さ、忘れ物はないわね!
いくわよー!
[研究員たちがあたふたしつつ、何かを言いたそうにするが
それを聞かずに担当研究員長は機体を発進させる。
――さようなら、シラカイ、君の活躍を忘れないよ。と研究員たちは胸に秘めた]
[男は治療室で目を覚ました。
―白い天井、仰々しい機械、ここが治療室とすぐにわかった。
体を動かそうとして、体に激痛が走る]
クッ
[それでも立ち上がろうとするところを看護士に止められた。
まだ堕ちてから数時間くらいしか立っていないらしい。
赤い光の影響で核の安全装置が働いていなかったが、ただの全身複雑骨折程度で済んだのは運がいいらしい]
どこが運がいいんだってんだ。
ともかく、治療はまた後で受けるから、少し外に行かせろ。
[男は、小さな核を利用したフロートベットに移してもらい、それで治療室の外へと出た]
[男は、通路をフロートベットで移動しながら、端末で記事を読んでいた。
日刊アイゾー
「クロノの地球取得宣言はポーズだった?」 スクープ連発某氏が明かす
大人気BF大会The Golden Boughの今大会出場選手のクロノの地球取得宣言はポーズだったと今大会の観客たちで騒ぎになっている。
ネットの「有名某氏」がポーズだったと書き込んだからだ。これまでもThe Golden Boughの参加選手の誰が堕ちるかの予想や、優勝者を事前に言い当ててきた「実績」があり、大会の関係者ではないかという、穿った見方も出ているほどだ。
クロノは、今大会で優勝したら地球を貰うと各チャンネルで報じられている。某チャンネルによると、大会に参加し、第二波で発狂弾幕を放ちながら落ち、そのまま帰ったとされている。
今回は参加者としての形だが、敗北を喫したクロノが再び侵略者として、活動することはないのだろうか? ある業界関係者は次のように語る。
続きはこちらをクリック]
[男は続きを読んだ。
「クロノは、ふわもこ疑惑によって、白川重機株式会社の社員を壊滅寸前に追い込み、威厳は皆無。部下のラント軍人が『アンクルおじさんの酒店』(大会本部出てすぐ)でにこやか?に記念撮影したエピソードは有名です。結局、クロノは惨敗し、地球取得宣言は不成立となりました。以降、クロノは食堂で愛嬌を振りまいていたそうです。TweeHeart Companyの参加者と仲良く話していた姿も目撃されています。侵略者としての道は厳しいのではないでしょうか」
今大会は、白川重機株式会社、GRAVE、TweeHeart Company、MiddanEden、第七号コロニー公社、シルバーコレクター、新進気鋭の選手たちが参加している。まさかのサプライズを起こしてきたThe Golden Boughだけにまさかの衝撃展開も残されているかもしれない。圧倒的知名度を誇りながら突如、戦線から姿を消したクロノ。彼が今後どのような人生を辿るのか注目だ。]
ハッ
あのウサギ、ざまあねえな。
[男はそう呟きながら、格納庫へと向かおうとする]
――大会本部・どこかの廊下――
[少女はまだクロノと会えていなかった。
ゆえに、閉会式が終わった後、猛烈な勢いで本部に戻ってきていた。
焼きそば屋の店主には「修理工場の面々と一緒に観光でもしていればいいんです」と言いおいて]
ああもう、いったいどこに――
[そして見かけた。黒い兎と、かつて黒い服をピチッと着ていた男――今着ているのは患者服だろうか――がばったりと出会っているところを。
同時に少女は、男の方に言いたいことがあるのを+裏+
表:思い出した!
裏:忘れたままだった!]
[男は噂の兎人に遭遇した]
よお、さんざんだったな。
ちょうどお前さんの記事読んだところだぜ。
[クロノが端末を持っている事を見つけると記事を転送した。]
こんなのは当たりが二割のゴシップ記事だが
なかなか当たってるよな。
[この後ユージーンも記事にされるとはまだ男は知らない]
… … 。
[クロノはユージーンを一瞥しただけだったが、
記事が転送されると、それに目を通す。
「ふわもこ疑惑」という部分で、少しだけ顔を顰め、]
―――チッ
これは、チキュウでよく読まれているのか?
[クロノはコアに乗って移動している為、
ユージーンを見下ろす格好になりながら問いかける。]
自分が誰であるか……どんな過去を持っているのか。
その中で、一番大きな出来事は何だったのか。
そういった事、尋ねてみても答えられるのかしら?
……あたしには、無い。
……ううん、「何も無い」っていう事、それ自体が一番大きな、あたしの過去、なのかもしれない。
だから、あたしは――たった一つの手がかりを追うよ。
この前、ニュースで流れてた"Golden Bough"……あれが、あたしの記憶を取り戻す引き金だと思うんだ。
理由? ううん、無いよ。ただの直感。
だけど、あたしはこの直感を信じる。
[ユージーンの目がクロノと合う。]
「 また…来いよ。
俺も、またここに来る。」
……。
[クロノの傍らを半ば通り過ぎた頃、]
クロノだ。
[フロートベッドに横たわるチキュウ人に聞こえたか否か。]
悪くない。
[もぐもぐしながら、手元でガサゴソ。
ビスケットの小袋を開き、おもむろに口に持っていった。]
((パキ))
[小さな音がして、ビスケットが割れる。]
――大会本部・廊下→治療室(>>51のつづき)――
[少女は物陰からクロノとユージーンの様子をうかがっていた]
(兎さんじゃない方に言いたいことがあった気がするんだけど……なんだっけ)
[やがて会話が終わったのか、二人が離れていく。
互いに、振り返ることもなく]
…………。
思い出せないままなのは、大したことがないからか、はたまた近すぎて見えないからか。
まあいいか。
[そして少女に気付かず通り過ぎていったクロノのあとを追った]
……。
[もぐ。お腹はこんな量では満たされない。
躊躇って躊躇って躊躇った挙句、かすみ草の花束を持ち、ビスケットの小袋を上官コート(何もポケットの継ぎ目がないように見えたが、クロノが手を差し込むとポケットが現れた)に入れようとした。]
――大会本部・治療室――
[扉を開ける]
こんにちはー。
[クロノの姿はすぐに見つかった。
先程まで乗っていた球体から降りて、口をもぐもぐと動かしているように見えた。
その手にはかすみ草の花束が]
…………。
それは食べ物じゃなーーーーい!
[まさかと思いながらも反射的にツッコミを入れていた]
―― 格納庫 ――
[硝子ケースの中。
マリア=カリラはゆっくりとその目を開けた。
触腕に覆われた背、指、肢体]
[マリア=カリラは瞬きして、自分の両の手を見る。
水晶のように透き通った爪。血の気のない細い指]
[こきり]
[マリア=カリラは肩を鳴らして、周囲を見る]
『 Hello, world 』
[マリア=カリラの唇が紡ぐ。
水晶の瞳が瞬くと、周囲の掲示に光が走った。
硝子ケースの向こう、空中に半透明のホロデータが舞う]
[もぐもぐもぐもぐ。するクロノ]
いやだからその花はね……
[言いかけてやめた。
代わりに、かごから焼きそばパンをひとつ取り出して差し出した。特に何も言い添えずに。
言えない。まさか餌付けしたくなっただなんて]
私はただの焼きそば屋のお手伝いさんですよ。
BigFireを飛ばして近くにあった戦艦に偵察をかけた以外は普通の……
[いやそんな前口上を述べている場合じゃない]
訊きたいことがあって探していたんですよ。
BigFireに何か魂とも呼べそうなものが宿っているのか否か、調べることはできるんですか?
[やはり単刀直入に、問うた]
[もぐもぐもぐもぐ。]
…何だ、それは。
[口元を拭って、訝しげにダイアナを見る。]
(ヤキソバ?)
[そういえば、先程の老兵がそんな言葉を言っていたような気もするが…もしかすると、チキュウの名物の一つなのだろうか。]
(これがヤキソバか?)
[焼きそばパンを一瞥する。]
ん?おい貴様何をしたと言…
[一呼吸置き、問い返す。]
何故、そんな事をヲレに聞く?
―その頃、格納庫では―
[男は独り佇んでいた。
格納庫のGRAVEが陣取っていたブロックは既に何も残っていなかった]
チッッ
置いていきやがって…。
[男の話は、まだ続く]
―― 大会本部 ――
『――今、この瞬間!
勝者が決定しました! 優勝は――
――『リトルアース』パイロット、
“遊星の落とし子”ニーナ!!』
[会場一帯に聞こえるアナウンサーの声。
その声は格納庫、本部問わずに聞こえていた。
もしかすると、会場近くの「ステーション」の方にも聞こえているかもしれない。]
あの子が勝ったのだな。
[グレンは、歩みを進める。
やる事があるとでも言うかのように。そして、治療室の前へ――]
―― 治療室 ――
[治療室。
目当ての人影の片方は居たが、もう片方は見当たらなかった。
他のスタッフに話を聞くと、先程までナサニエルは居たらしい。
グレンは、黒隗を肩に乗せたまま、ダイアナの方に一度手を上げ、腕章ではなくホログラムペーパーの端末を開いた。]
何故って……あんなにラントの科学力について触れ回っていたのを忘れたんですか?
[少しだけ呆れたような声音]
まあそれだけじゃないですけどね。
そう……あなたなら分かると思ったからですよ。
もしも……
絶望の最中に放り込まれ、誰かの助けを必要としていたはずのあなたが、BigFireに乗っている最中に、誰かに見守られているように感じていたならば、それは、
[暗に、クロノの母星に起こったことは知っていると、そう告げるかのような言葉の後]
あなたが必要に駆られて見守る誰かを生み出したのか、それともあなたという乗り手の助けを求める気持ちにコアが応えたのか。
そのどちらかなのか、分かると思ったからです。
―― 治療室 ――
[ナサニエルの端末へ繋ぐ事を試みる。
ホログラムペーパー上に、炎と兎を合わせたようなデザインのアイコンが、立体ホログラムとして現れた。]
≪ナサニエル。グレンだ。
まだ会場内に居るのか?≫
[もし、繋がらないようであれば、メッセージを。
繋がれば話をしようと思っている。]
[「ただの焼きそば屋のお手伝い」…であるらしいが。]
目的は何だという意味だ。
ラントの科学力に不可能はない。
[もぐもぐしていた時とは打って変わって、剣呑な瞳をする。]
…見守られる?
ヲレは、一切そんな事は感じなかった。
[そうだ。感じる事はなかった。なのに]
貴様… 何、を言っている?
[理解出来ない。そんな微妙な表情をした。
ただ一つ、思い当たる事があるとするならば。
それは、クロノが墜ちる前。
シャーロットを…あの、マリンブルー・スネイルを、味方もないまま「アンギャルド」の前に差し出すのを拒む気持ちがあった事だ。だが、クロノがそれを素直に認める事はないかもしれない。]
―― 格納庫 ――
[マリア=カリラの呼び出しで、ホロ・ペーパーが次々更新された。
やがて、優勝者が決まった瞬間の動画がミニチュアで再現されて]
『―― おめでと、ニーナ』
[クローズド回線が開かれて、ぽつりと言葉が落ちた]
[マリア=カリラは眠っていた回線を1つ1つ、探る]
『シャノン』
[マリア=カリラは名前を呼ぶ。
そうして、オープン回線で小さく唄を歌った*]
―― 治療室 ――
[想い――曲がりなりにも、チキュウ人としてではなく、シャーロットを個人として見ている事など、クロノが言葉で言うだろうか。
光…。絶望の中で見えた光など、クロノは塗り潰したい気持ちでもある。希望は、あるより、ない方が苦痛ではない。]
貴様は…、BigFireのコアを… 一体何だと思っている?
[クロノは知らず問いかける。]
ヲレがコアの意思を生み出したか、
コア自身が、ヲレを助ける為に意思を発達させたかだと?
そのどちらが、
コアの魂の発生源なのか知りたいから、調べろだと?
貴様ラは…
[ふと、クロノの胸中に忍び寄る気持ち。]
幸いにも、
ヲレの「メテログラフト」は一部まだ使える。
ここの本部に、模擬戦闘が行える室内部屋があったな。
おい、そこのスタッフ!
ヲレ達をそこへ案内しろ。
[クロノは、グレンに呼びかける。]
貴様…BigFireは無論、持っているのだろう?
[クロノはダイアナに冷たく笑う。]
何を、って……
[急に剣呑な光を帯びてきた瞳に若干気圧されつつ、少女はクロノについて考えをめぐらせる。
クロノは絶望にさらされた。そして絶望に飲み込まれそうになっていた。
ここでクロノに遠くにいて憧れるヒーローのような存在や、共に立ち向かう存在がいれば、絶望を乗り越えることも難しくなかったかもしれない。
だけどいないとしたら……そのうち絶望に飲み込まれることは十分に考えられる。
だけどクロノは絶望に飲み込まれていなかった。
少なくとも、シャーロットにアンギャルドのことを教えた時は。
結局何の因果かマリンブルー・スネイルのコアが停まってしまったが、少なくともクロノにはシャーロットを放っておく気持ちはなかった。
もし絶望に飲み込まれていたのならそうはならないはずだ。マリンブルー・スネイルのコアなど停まってしまえばいいと、やけっぱちな気持ちになっていても不思議ではない。
そこまで考えて、それとコアがどう結びつくのか、自分でも分からなくなってきた時――]
『なら、貴様自身で調べてみろ。』
[そう言った後、近くにいたグレンになにやら言いつけるクロノ]
模擬戦闘……ちょっと待った!
確かに私はBigFireを持っていますが、兵装が使えないんですって! 私に弾幕をひたすら食わせる気ですか!?
[無論《Indigo Bird》にも]
それに個人的な興味のために大会スタッフまで付き合わせるわけには……
[焼きそばパンを差し出した手は宙ぶらりんのまま]
そんな美味い話があるわけがないじゃないですか……
喧嘩を買ってピンチになったら兵装ロック解除コードを思い出したなんて……
喧嘩するためにあるんじゃないですよこれは……
(じゃあ何のためにあるのさ?)
(分かってるはずだ、戦うためにあるって)
―― 治療室 ――
(繋がらないか。)
[グレンは、クロノとダイアナの話し合いを聞きながら、
ナサニエルが反応するのを待っていた。]
≪ナサニエル。
よく聞いて欲しい。≫
≪私には、きみが今、何を見、何を聞き、何を話したか、
その全てまでは分からない。≫
≪私は、例えきみが間違った事をしたのだとしても、
悪の道に進む男ではないと知っている。
きみが何であれ。
私は、きみが然るべき事をなし、
再び大空を舞うと信じている。≫
≪それは私が見たいというのもある。≫
[少し含み笑いが混じり、]
≪ナサニエル。≫
≪きみの選択が、きみを閉ざさない事を願う。≫
≪紅蓮・B・R≫
[どの選択であれ。ナサニエルがゆく道を。
グレンのナサニエルへのメッセージはそこで終わる。
ナサニエルが自身の端末を立ち上げれば、炎と兎を合わせたようなデザインのアイコンがポップアップし、メッセージの到着を告げるだろう。*]
[クロノは、ダイアナが差し出していた焼きそばパンを、手で叩いて床に落とす。]
…だからどうした?
貴様の兵装が使えないなど知った事か。
コアに魂があるンだロ?
なら、貴様の事はBigFireが守ってくれる。
そうなのだろう!?
[ギリッ、と半眼な瞳が吊り上がり、ダイアナを睨みつけた。]
ヲレは先に行っているぞ。
さっさと来い。
(――ああ、確かにそうですね。
結局これからクロノがやろうとしていることもこの大会も果てはかつての星域戦争も、規模や血が流れる量が違うだけで喧嘩に代わりはしない。
そして私には戦うための力がある)
[不意に少女は声も立てずに笑う]
(だけど。
私が空を飛びたいと思ったのは、いつ終わるとも知れない戦争の手伝いをするためなんかじゃない。
あのBigFireと――《HYMN TO THE INFINITE SKY》と同じところに立つためなんだ。
不安も恐怖もない、空しかない高み。
そこでは空は一つだった。
ちょうどその時の時刻は昼と夜の境で、空が裂かれるような色合いを持っていたけれど、それでも空はつながっていた。
その不思議な色合いは一瞬しか見ることができなかったけれど、今でもよく覚えている)
…。
あ。もう、あと、2機。
[核を停止させたという、アンギャルドはまだ空の上だ。
大会はもうすぐ終わろうとしている。
The Big Fire.――]
[その名を冠した、最後の2体の姿を焼き付けるようにじっと見上げる。]
おれ、今日のこと絶対忘れない。
…また、会いたいな。
[誰に、とも告げず。並んだ青は* 空を見上げる*]
クロノ。私がきみと戦おう。
[拾い上げ、焼きそばパンを口に運ぶ。一口目が口から消えた後、]
ダイアナも、それでどうかな?
[にっこりと笑う。]
それと優勝式典がそろそろある。
きみ達も出ないか?
最後の二人は、シュウとニーナ…
どちらが勝ってもおかしくなかったようだよ。
戦いを駆け抜けてきたニーナの優勝を祝おうじゃないか。
[その時クロノの手で持っていた焼きそばパンが叩き落された。
凍りつく笑み。もともと半分凍りついていたような気がするが気にしない]
あー……
私は「コアに魂がある」と言い切った覚えはないですよ。ただ、あるかもしれないと思っているだけで。
それに……私の昔話には興味ないでしょうから手短に言いますけど、《Indigo Bird》のコアに魂があるとしてもそれは、
私が忘れてしまったかつての私の残滓、ですよ。
だけどかつての私が、亡霊のごとくコアに居座っているとしたら、私はそれを取り戻さなければならないんです。
そしてできるならば、新たに魂を宿らせ直さなければならないんです。
――この大会の参加者がいた、空の高みに至るために。
[そしてグレンに向き直ると]
そういうわけで、私は受けても、いいですよ。
優勝式典の後がいいですかね?
[その笑みは先程とまでは異なり、清々しかった――]
クロノ次第だろうな。
[大口で食べた所為か、3、4度で焼きそばパンは消えてしまう。]
少しの間だが共闘を頼む。
[グローブを脱ぎ、日に焼けた手をダイアナに差し出した。
真摯に、ダイアナへ頷きかける。]
― 会場・某所 ―
[アテもなく彷徨い歩いていると、空が静寂に包まれ]
[――そして一転]
[ひときわ大きな歓声が会場を埋め尽くす。]
おお……決まったようだな。
[老兵は空を仰ぎ、眩しそうに目を細めた。]
[堕ちてゆくのは、傷ついた騎士の影。]
―時間軸は遡り、優勝者決定の瞬間―
『――今、この瞬間!
勝者が決定しました! 優勝は――』
[アナウンサーが、どこか遠くで誰かの名を読み上げる。
わっ!と沸き起こった歓声も、どこか遠い遠い彼方から響くノイズのよう。
力を使い果たした青い体は、たった今引っ張り出した少女を抱えて、ふわりと着地する。
そのままくず折れる体にそっと寄り添うように、戦いを終えて役目を果たした赤い球体と光輪、そして金属筐体がごとりと落着した]
“終わった―――ので しょう―――か――
ああ――騎士殿の操者は―――無事――でしょうか―”
[次第に白く染まっていく意識で、ぼんやりと考えた。戦闘の最中に聞こえた声。不可解に攻撃の手を止めた黒騎士。聞きたいことは、たくさんあった。
けれど、その疑問は、形にならないまま、白に溶けていく]
“シャノンさん――は―――ウィリ アム さん――は―――”
[消えかかる意識に、浮かび上がってくる顔。無事だったろうか。助けられただろうか。それが、しんぱいだった]
―――ふづ――き―――
[さいごに ずっとかたわらにいてくれた そのなを よんで ぎゅう と そのそんざいを たしかめるように だきしめて
そして そこで すべては しろく―――]
えっ……と、こちらこそ、よろしくお願いします。
[慌ててかごやら何やらを床に置くと、少女はグレンと握手をした
グレンの力強さに負けぬようしっかりと気持ちをこめて]
やれやれ、俺の仕事はここまでだな。
あとは大会本部なり社なり、良きに図らってくれるだろう。
さあ、お家に帰ろう。
[そして、格納庫へ向かう**]
―どこか白い部屋―
―――ッふ―――
[友だちの声が聞こえた気がして、目を覚ます。
ここは、どこだろう。自分は、どうなったんだろう。
確か…
思い出そうとして、身を起こそうとして、体に力がまったく入らないことに気づく]
――あ――るほど―――
[アンリミテッドコードを使って、それはもうこれ以上はないと言うくらいに大盤振る舞いをしたのだった。それは、こうなって当たり前だ。
そういう気持ちが、口を小さく動かした。
あたりをざわめく気配。
どうやら、誰かが寝ている自分を取り囲んでいるらしい。
状況を考えれば大会スタッフだろうか。
そこにいるのが友だちだったら素敵だな、なんて能天気な考えが頭を過ぎるが、すぐに消える。マリアは、ウィリーは、赤い光で墜ちたのだ。
―――無事で…せめてそうでなくとも、また会えたらいいのだけど…。
そのためにはまず、自分が動けるようにならなくては]
―――きそ―ぱ――――
[動けるようになるために。エネルギーを取らねばならなかった。人の生態に合わせるなら、腹ごしらえといってもいい。なにがいいだろう。ああ、そういえば、あれは美味しかった―――]
――や――ば―んを――
[まるで力のこもらない声帯を震わせ、なんとか音を搾り出す。
また、辺りがざわついたけれど、具体的な動きには繋がらない。やっぱり、声が小さすぎるんだろうか。
もうちょっと。がんばって。声を…]
―――やきそばパン ください―――
―― 室内・実戦室 ――
[十数分後、本部の地下に併設された実戦室に、
グレンはダイアナとクロノを連れて来ていた。
室内は一面の白で出来ており、
全面はエネルギーや衝撃を吸収する素材で出来ているようだった。
クロノの姿は今は見えない。
直ぐ横の部屋で「ClockWorks.rant」の技師達による、コア≪BigFire≫と「メテログラフト」の連結を行っているようだ。
格納庫に居た者達には、「ClockWorks.rant」の技師達が本部建物内に向かっていたのが見えた事だ。
ダイアナの機体は、格納庫近くの地面が開き、リフトで実戦室へと降ろされている。]
この部屋は、使用者の好きな景色に変えられる。
私はいいから、きみの好きな景色にしてご覧。
[ダイアナへ、小さな球体とダイヤルと小さなモニタがついたリモコンを手渡した。球体やダイヤルを動かした瞬間に、景色は変わり、モニタに、その景色の説明が文章で表示されるようだ。]
[丁度あれこれ片付けを手伝ってもらって帰るところで…蚊の鳴くような声が聞こえたような…。]
…ん?焼きそばパン?
[医療スタッフさんたちとかに囲まれて、情けない声を上げてるお嬢さんの姿。
そういえば手元には実に都合よく、さっき一緒に決勝戦を観戦してた子からもらった焼きそばパンがあったり。]
…食べる?
[だいじょうぶかなぁ?とかおもいつつ、ニーナに焼きそばパンさしだしてみた。]
―――いただ――す――っ
[かすむ視界の中、差し出されたやきそばパンに、どこに残ってたんだと自分で呆れるくらいの勢いで食いついた。
美味]
ん…んぐっ…はぐっ…
[もぐもぐと、しばらく無言で咀嚼する。
次第に全身へと行き渡るカロリー。クリアになる視界。
ああ、食べ物ってすばらしい。生きることってすばらしい。ありがとうやきそばパン…もとい、やきそばパンをくれた優しい人]
ッふぅ…
ありがとうございますっ!
おかげで助かりました、貴殿の志に感謝いたしますっ!
[やっと飲み込み、一息ついて、敬礼…をしようにも、腕が思うように上がらず。それでもいっぱいの笑顔で、感謝の声を張り上げた。でも、やっぱりまだ足りない。
限界まで使い切ったエネルギー量は、それは大変なものだったのだ]
―――すみません、もう少し、いただけます…か…?
[恐る恐る聞いてみた…が…考えてみればそこまでお願いするわけにも行かない気がする。結局、最終的にはスタッフにお願いすることになった]
[もふもふ。
コマイヌロボが屋台村に発注し、運んできてくれた都合64個目のやきそばパンを口に含みながら、スタッフから話を聞いた。…スタッフは呆れた顔をしていたけれど、気にしない。
サンダーエースやクヴォルフィリアのパイロットは、それぞれ大小の傷こそあったものの命に別状はないこと。マリア=カリラの容態については、MiddanEden側が引き取ったことにより判然としないこと(これはある程度予想できていたから、なおさらあとで会いに行こうっていう気持ちが強まった)]
―――騎士殿の操者はご無事でしょうか……。
[その問いには、あるいはやきそばパンをくれた優しい人が答えてくれたかもしれない]
――大会本部(>>110の少し前)――
というワケで、BigFireで一戦交えることになりました。
[少女は電話で焼きそば屋の店主に連絡を入れていた]
大丈夫ですよ。スタッフの人優秀そうですし、壊れてもすぐ直りますって。
大丈夫です。ちゃんと町に送り届けるところまでしますから!
[電話の向こうの声に何を聞かれたのか、少女は急に神妙な顔つきになって]
ええ……ありがとうございます。
私がここに来るきっかけを与えてくれて。
よっぽど、お腹が空いてたのかな?
頭使うと炭水化物欲しくなるしね…
[あまりの食べっぷりにちょっと引きながら苦笑い。
先程画面の中でみた神々しいほどに勇ましい戦乙女とはイメージが繋がらないというか…ある意味あんだけ飛びまわればそりゃ腹も減るだろうというか…。]
うん、取り敢えず死人は出てないらしいし、怪我人も医療設備充実してるしね。
大丈夫、だよ。
[竜と騎士については事情を知らないから、新しく作り直されたなんて思いもよらなかったけれど。]
元気が出たら、いかなきゃならないんじゃないかな?
みんな待ってるよ。
優勝者の凱旋を。
――そして現在/室内・実戦室――
好きな景色……
[グレンから渡された装置は室内の景色を好きに変えられるというものだった。
どうやら球体を動かすと空の様子が変わるらしい。
少女は迷わず夕暮れの空を映すよう球体を動かした。]
ならダイヤルは地上の様子ですかね……
[ひたすらダイヤルをいじりながら]
これじゃあ地上が殺風景すぎますね……
並木……いや違う……
[やがてぐるんぐるんしていた地上の景色はある一点で止まる]
ありましたっ!
そうですか…
[だいじょうぶ。と、やきそばパンを(略)人が教えてくれた。
まだ、よく知らない人だったけど、その言葉には、安心できる何かがあった…ような気がする。
頷き、そのことを確かめるように、少し、うつむいて。
見下ろす腕の中には、フヅキがいた。
古ぼけた金属筐体。意識を失っている間も、ずっと抱えて離さなかったらしい。
偉いぞ自分。よくやったぞ自分。
フヅキが誰かの手に渡るなんて、考えたくもない。
そんな風に、すこし、考え事に、気を取られていたら]
…はぇ?ゆうしょうしゃ?
[…なにか、ものすごいことを言われた気がする。とっさにその事実が飲み込めず、首をかしげた]
― 格納庫 ―
[どこかで見た光景――]
[Firebirdの翼に乗り、雑多な食べ物をいただいている老人の姿。]
ふー、やっと焼きそばにありつけるぜ。
ちとムキになったかもしれんが、これでこの大会で思い残すことはないな。
[ダグラスはほくほく顔でソバをすする。
ソースと青ノリの香りが堪らない。]
[しかしコアの停止はどうでも良いのだろうか。]
いや……
久し振りに疼いちまった、な。
[そう言いながら、最後の機体……リトルアースが回収されるのを見守っていた。]
私はあのタワーに行った日に――
初めて桜並木を上から見たんです。
[そう。
少女の誕生日は桜の季節だった。
これまでは桜の樹の下でささやかなお祝いを繰り広げていたのだが、6歳になったあの日は、父の出世祝いも兼ねて、タワーで食事会をすることになったのだった。
そこで宇宙海賊に遭遇するなどとは夢にも思わずに]
―― 室内・実戦室 ――
[ダイアナがリモコンを持っている間に、グレンは黒隗と話をする。
グレンの機体《BigFire》は見当たらない。]
「ね、そういえばさ。
フヅキと話した時に、ボクの事も話したんだ。
ボクが、宇宙連邦に造られたユニバーサル・マシンだってこと―――。」
そうか。
仲良くはなれそうか?
「――うん。」
[くしゅんとクシャミが出た後のような顔をして、
元気の良い声で黒隗は応えた。]
「ありましたっ!」
[ダイアナの声に、グレンと黒隗は顔そちらを向いた。]
―――これは。 「わぁ。」
[ダイアナが選んだ景色に、目を見開く。
黄昏時の――どこか、懐かしい景色――。
その景色に、ダイアナの声が重なる。]
『あらまーん。お目覚めねー。
お具合はいかがかしらー?』
[気がついたら、医療室のベッドの上だった。
声のするほうに首だけごそ。と向ければ無駄にいきいきとした医療スタッフさん。]
『バリア着地時の衝撃で全身余す所なく打撲。それだけで済んでラッキーよあなたー、他のパイロットさんなんて酷い酷い。
それでも今の今まで寝てたのは精神疲労が原因、でも自分で起きれたから大丈夫でしょー、簡単な検査するから体起こしてね。』
[アレだけ過剰起動させたのに保護機能はちゃんと働いたらしい、流石私のサンダーエース。
うぐぐ…、と鈍痛に顔を顰めながらベッドの上に身体を起こす。起こすが早いかスタッフさんは片手サイズなスキャナを体の前で何度か行き来、空中に浮かんだウインドウを見て少々。
――結果、異常なし。
もう動いても大丈夫だそうだ。]
―格納庫へ向かう途中の空の下―
空を飛ぶ人は、皆勇気がある……。
私もいつかあの人達のように空を行く事が出来るでしょうか…。
[ロジャーの言葉>>93を復唱し、目を細める。
視線の先では残った2機の決着が付けられようとしていた]
ううん、その為にもっと勉強して訓練して頑張らなくちゃ。これからが大変なんですから…。
空の向こう側へ行けるようになるまで長そうです。
[空に向かったまま誰に言う訳でも無く小さく呟いて、ロジャーに同意>>94するかのように頷いた。
「誰に」とは言っていないが、なんとなくこの大会で出会った人々全てなのだろうかと思い込んでいた]
――…私も、また逢いたいです。
[空へと一礼し、その後は会話らしい会話も無く。
2人は最後の瞬間までその戦いを見守り続けた**]
―― 実戦室 ――
用意は出来たか?
[切っ先の鋭い黒いナイフ。そんな感触を思わせる声。]
メテログラフトだ。
今はこんなナリだがな。
[元のメテログラフトの機体の外郭部分はなく、内側も歯車で満ちてはいない。
真鍮色のコア。そのものが見える状態だ。
本来の外郭部分があった所には、兎人のメテログラフト《故郷》たる母星の陸地部分の形の装甲が浮かんでおり、
それ以外は、透明度のある水色の光の膜で包まれている。
クロノがコアに座っている姿がよく見えた。]
簡易的措置だ。
兵装は、ラガリアの刺塵。
他の外部兵装はない。
…あれ、もしかして覚えてない…?
[狐に摘まれた子猫のような様子に思わず微笑ましげに目を細めたり。]
ニーナ、だっけ。
君の優勝だよ?
[表彰式だの、賞金だのの話はとりあえずスタッフさんに任せることにしつつ、焼きそばパンをはむっと一口。]
そして《HYMN TO THE INFINITE SKY》に助けてもらった後――《HYMN TO THE INFINITE SKY》に乗って桜並木の上空すれすれを飛んだんです。
時間はちょうどこの景色のような夕暮れ時。空の色が、昼の色の部分と夜の色の部分を境に、裂かれたような色合いを持つ時間、です。
私が、この空を忘れないようにとの思いをこめて、もう一つの名前は設定されたものだと思っています。
そう、数年後に星域間戦争が始まり、私達は桜並木のある街から基地近くに引っ越すことになり、
見られなくなってしまったのですから。
桜の花の舞い降りる様も、茜咲く平和な空も。
[BigFireが飛び交う空はばらばらに裂かれたように少女には見えた。
そして結局、二度と一つにつながることはないまま、滅びたのか。
物思いにふけっているところに、クロノの声(>>127)がかかった]
― 格納庫 ―
余は満足じゃ。ごっそさん。
[なむなむと手を合わせ、その日の糧(主に焼きそば)に感謝。]
――ん?
あいつは……メテロ……グラフト?
[近接する施設に一機のBFが運び込まれる。
外殻は除かれ、コアは剥き出しになっているかのような状態。
参加データの映像とは随分と違った趣になっていたが]
……また、飛ぶ気になったようだな。
[臨戦体勢。]
……いっ、いた、いたたた――……
あ、そう言えば。
リザルト、どうなりました?
[自分が撃墜される所から今の今までの経緯は全くわからない、当然自分の順位も誰が優勝したかも。]
『……えーっとねー、優勝は『遊星の落とし子』、登録機体は『リトルアース』ってなってるわねー。
ちょうどあそこで寝てるわよん。』
[ぴ、と指差された先には人だかり。
殆どがスタッフさんだけれども、一部他のパイロットさんらしき人と――やきそばパンを凄い勢いでかっ食らっている本人が、見えた。
鈍痛が酷い体をベッドから降ろして、ニーナの居るベッドに向かう。
――何はともあれとりあえずは、祝福だね。]
[続いてもう一機、戦闘機型のBF。]
[青い鳥がペイントされた機体は、どこまでも速度を追及した形状。
コアの特性故、機動性をどこまで維持しているものか形状だけでは判断がつかないが]
……まあ見事に対照的な機体だな。
あの二機がやりあうのか。
用意はできました。
心の準備もできました。
浮かんだ言葉が解除コードと違っていて兵装機能しなくても泣きはしませんよ。
[そういって清々しい笑みをクロノに見せる]
ぇ ぁ ぇ え。 え?
[さらりと告げ、やきそばパンをほおばる男の人。
今度は、ちゃんと聞いた。
…聞いたけど。そのためにがんばってきた、そのはずだけど。
いざ、目の前にそれがあると、どうしたらいいのか分からなくなってしまう。
途方に暮れて、ぎゅっとフヅキを抱きしめる腕に力を込めて。そしたら]
『まぁそういうこった。オラ行くぞ現チャンピオン。
…スマンなマシマ。これ、借りてくぜ』
[そんな言葉とともに、襟首をがっしり掴む感触があった。なんだか懐かしくなるような感覚]
ご、ゴードン殿!?
ちょっ…行くって…
あのっ、まだ心の整理や準備やそのほかもろもろが…
ああっあああああああぁぁぁぁ……
[マシマに一言そう告げて、じたばたと逃れようとあがく体を、片手でずりんずりんと引きずりながら。片手を医療ギブスで固めた前チャンピオンは、抵抗の声を一笑に付して、連行していった]
[腰に両手をあてて周囲を見ながら、ダイアナの話を聞き――]
…きみはもしかして、記憶が…
…話は終わりみたいだな。
[クロノとダイアナの会話を思い出し、
問いかけようとしたが中断する。
クロノのメテログラフトへ視線を向けた。]
[ダグラスは、観客席で勝負の余韻に浸っている研究員を呼び出した。]
<<あ、局長!勝ったのは――勝ったのはリトルアースです!>>
ああ、最後の瞬間はこの目で見たよ。
ところでイノウエ君、充分堪能しただろう。
パスは返してもらうぞ。
<<え?まだセレモニーが……>>
大人しく一般席で眺めてるんだな。
[通信機の向こうから盛大な溜め息が聞こえた。]
あ…あっ、シャノンさんっ!
よかった、ご無事で…
…ってせめて再会を喜ぶ時間くらいっ…!
『うっせぃ、あとにしろぃ』
[ずるずるずるずるずる……]
―― 実戦室 ――
いい覚悟だ。
その期待ごと撃ち抜いてやる。
[クロノは、ダイアナとグレンが機体に乗るのを待った。待…]
貴様。
機体はどうした?
[グレンに訝しげに問いかける。]
それとも止めるか。腰抜け。
止めないさ。
機体はここにある。
私の元々のBigFireは、既に壊れ、今はない。
[クロノの問いかけにグレンは陽気に応えた。]
「だけど、本物と同一のそれ。
ボクが全てを知っている。ボクが全てをおぼえている。」
[黒隗が続きを紡ぐ。]
―― 実戦室 ――
(……。)
[何かがある。ならば…]
そうか。あるならば――構わんな!!!
貴様ラ、諸共に―――砕け散れ―――!!!!
[メテログラフトの周囲に漂っていたラガリアの刺塵が結実。
メテログラフトの両側に、対の砲門。
二つの砲門から放たれるのは、二条の太いビーム。
青白い光を放ち、ダイアナの機体とグレンへ向けて突き進む。]
― 実戦室 ―
ほう、こいつは郷愁を誘うコンバットエリアだ。
[Firebirdで堂々と侵入するオメガ。
BFの実戦施設なだけあって、生半可な移動手段では到底辿り着くことはできない。]
[適当な空きハンガーに駐機させようと――]
<<アラート、弾幕が接近。>>
え?
[早期警戒AIのメッセージ。]
<<WORNING!! 強制イジェクトします>>
い、EJEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEECT!!
シャットダウン
<<オメガ、撃 墜!>>
[そして――《Indigo Bird》に乗り込む]
グレンさんの機体はどこ……まさか生身で戦うわけじゃあるまい。
それに白い兎さんが一緒にいるけど、もしかしてオペレーター……?
まあいいか。
[機体下部から引っ張り出したパネル。
それは自動的にオンになり音声が入力されるのを待つ]
もしかしてずっと待ってた……?
[待ってたのはかつての自分の亡霊か、それともコアそのものか]
……どちらにしろ。
待たせたね、《being torn the sky》
[その時、機体にいつもと違う光がともる。それは主に目の前のパネルと、操縦席の後部――他の人を乗せることが可能なスペースから発せられたものだった。
後ろが気になるがまずはパネルを見る]
『音声認識成功。弾幕兵装三種の操作を許可します』
やった……!
[その時クロノの機体――メテログラフトからビームが放たれるのが見えた]
って、喜ぶ間もないのかよっ……
[すでに動ける状態になっていた《Indigo Bird》はすべるように右に避ける]
とりあえずあの砲門を壊せばだいぶ有利になりそうだが……火力的にいけるのか?
[ちょうど実戦室に古めかしい機体が侵入し、見事に撃墜され、パイロットが強制射出される光景がすぐ近くで繰り広げられていた]
まあ、火力がどうとか言う前に、
当たれば一発で終わる、か……。
[その時、突如光が止み、後部座席から前方に、白い球体と黒い球体が飛び込んできた。
白い球体は少女の右手近く、黒い球体は少女の左手近くでふよふよと浮いている]
『Level 1〈dahaca〉展開完了』
『Level 2〈Infinit Cave〉展開完了』
あ、パネルに新たな文字が出た。確かこの球体に手をかざすと発射できるはずだが……もう一個はどうした?
[その時パネルに映し出される映像が一新した。
文字は消え、代わりに16個の正方形が4×4の形で並べられた]
『Level 3〈Far east nightbird〉準備完了。音声認識により展開します』
―会場・特設ステージ―
[抵抗むなしく連れ去られた先にあったのは、華やかに飾られた演台。賑やかに誰かが何かを言っている。
鳴り響くファンファーレに、あっちこっちから向けられる視線やらカメラやらがどうにも落ち着かせてくれない。頭の中は、先刻までとはまったく違う色で真っ白になっていた]
『――――よって、ここでトロフィーを渡す!新王者ニーナ、前へ!』
ふぇぁっ!?
ひ、ひゃいっ!!
[演台を前に、余所行きの、けれど年季のためか見事に堂に入った様子でなにごとか演説していたゴードンが、不意にこちらへ向き直る。真っ白だった頭が対応しきれず、答えた声が裏返る。
会場に笑いが起こる。それは決して嘲笑なんかじゃなかった(はずだと思いたい)けれど、それでまた頭の中身は真っ白になった。
あああ、どうして自分はここにいるんだろう…]
『ほれ、しゃんとしろ。お前ぇは他のやつらに勝って、蹴落としてここまで来たんだろが。胸張らんでどうする』
ぇ…
[ばしんっ!!]
[小声で囁かれた言葉を聞き返す間もなく、強引に背筋を伸ばすように背中を思いっきり叩かれた。
一瞬恨みがましく睨みつけたけど、それで、その痛みで意識はようやく正常な回転を取り戻した]
『新しいチャンピオンの誕生だ!祝ってやってくれ!』
[そんな言葉とともに、金枝を模ったトロフィーが渡される。ひんやりとした金属の冷たさ。フヅキを片手に抱えなおし、受け取ったそれは、ずっしりと重かった。
そして、わぁっ!!と沸き起こるひときわ大きな歓声。
その響きを、どこか遠くに聞きながら、手にずっしりと乗る、その重さに、意識を奪われていた。
正直なところを言えば、自分はトロフィーや王座自体にはあまり関心がなかったはずだった。けれど、それとは逆に、トロフィーや王座自体に特別な意味を見出す人もいる。
この重さは、きっとそうした人たちの想いの重さなんだろうな、なんて。そんな風に考えてしまうのは、少々感傷的過ぎるだろうか]
『よし、やっとそれらしい面ンなったな?
そんじゃあ挨拶してやんな』
[そう言って、演台の前を譲られた。フヅキを抱えなおし、トロフィーをしっかり握って、演台の前に立つ。そうだ。自分はここに立つためにここに来た]
は、はじめまして。第七号コロニー公社所属、登録名…遊星の落とし子、ニーナともうします
[少し、硬すぎただろうか。というより、ここまで来て自己紹介って言うのもおかしかっただろうか。
いや、えい、もう、いいや。このまま行ってしまえ]
このたびは、こうしてここに立てたこと、本当に嬉しく思います。
小官と共闘してくださった人、小官と対峙して、ぶつかり合った人、それに、ぶつかることはなかったけれど、一緒に、同じ空を飛んでいた人。
そういった人たちを押しのけて、小官はここに立っています。
[脳裏を、大会の間に出会った人たちの顔が流れていく]
それぞれにそれぞれの思いを持って、戦っていたことと思います。そのことを受け止めて、大事に背負って、小官は故郷に帰ろうと思います―――。
[静かに、その言葉を反芻するように一度、目を閉じる。
…本当のことを言えば、その言葉自体は嘘になる。帰るべき故郷と呼べるものなんて、自分にはない。
宇宙を漂流するただの情報とエネルギーの集合体だった自分がフヅキと出会った場所は、廃棄されたスペースデブリの吹き溜まり。
放棄されたコロニーのコアシステムだったフヅキに出会い、その情報に触れて。こうして、人ではない自分が人のように人としてこの場にいることができるのは、フヅキが全てを教えてくれて、育ててくれたからだ。
傍らにいるフヅキこそが故郷で、家族で、だから、フヅキのいるところが帰るべき場所だった]
…小官の故郷は遠い宇宙でありますので、小官が今後、またこうして皆さんに会えるかどうか、今はまだ分かりません。
けれど―――
――けれど、こうして金枝杯をいただいた以上、その挑戦にいらっしゃる挑戦者の方には、叶う限りお応えしようと思います。
[そこまで告げて、言葉を区切った。さぁ、最後の仕上げだ]
――なお、当コロニー公社は今回の賞金を受けてコロニーの全面改修工事を行う予定であります!
挑戦者の皆様のご宿泊はもちろん、移住者の皆様の受け入れも行いますので、今後とも!
我が、第七号コロニー公社を よろしくお願いいたしますっ!!
[突然の宣伝文句に、呆気に取られるオーディエンス。
後ろではゴードンが、一瞬ぽかんとこっちを見つめたのかワンテンポ遅れて大声で笑い始めた声が聞こえる。
けれど、ニーナの言い切ったその顔には、照れも後悔も、一切の陰りもなく、ただ、大好きな家族を自慢したような得意げな笑みが浮かんでいた**]
……さて。
まさに過去の自分の亡霊に力を借りている気分だな。何せ「この機体で」弾幕撃ちながら飛ぶのって三年ぶりくらいだし、な。
[言いながら白い球体に右手をかざす。
Level 1〈dahaca〉、弾幕を形作るエネルギーを様々な形にして飛ばす兵装。
まずは左右の放射口から白い弾をばらまく]
空だとノーコンのせいでほぼ明後日の方向にしか飛ばないが、室内なら跳弾させることも可能だろう?
[一通りばらまき終わったら刃物の形を想像する番だ。直刃の小さなナイフ。
やがて想像した形通りの白弾が、真っ直ぐにメテログラフトの砲門めがけて飛んでいく]
―優勝式典が終わって、ふたたび医務室―
[チャンピオンのへんてこなスピーチによって騒然となった会場をするりと抜け、医務室へと走る]
シャノンさんっ
[そこにいた顔を見つけ、駆け寄った。よかった。やっぱり、無事だった。
…時折、痛そうに顔をゆがめている以外は]
…ありがとうございましたっ!
今回勝てたのも、シャノンさんとウィリーさんのおかげであります!
[ぺこり。手を挙げる敬礼ではなく、勢いよく腰を折っての最敬礼]
つきましては、ウィリーさんとの約束を果たしがてら、お見舞いに行こうと思うのでありますが、シャノンさんもいっしょにいかがでありますか?
[今日のご飯は小官のおごりでありますっ!と、ウィリアムとした、共闘の約束をシャノンに説明する]
…いえ、ご飯自体はシャノンさんやウィリアムさんの怪我が治ってからでもよいのでありますが…
…あの後姿を見ておりませんし、できることならウィリーさんと会いに行きたいな…って。
[告げて、少し不安になりながらMiddanEdenの企業ブースがあるであろう方角へ、険しい視線を向けていた**]
だが……これだけじゃ足りない。
[Level 2〈Infinit Cave〉は相手の弾幕前に速度を減衰させる黒い球体を放つ兵装だから攻撃には使えない。
右手を操縦桿に、左手をパネルの前に]
砲門展開、……1番から8番まで。
[パネルに表示される16の正方形のうち上半分に光がともる。
同時に、白光の消えた弾幕放射口から、緋色の光をまといし砲が8つ射出され、《Indigo Bird》の前方に配置される。
物理的な砲ではなく、弾幕を形成するエネルギーから作られたもの。当たれば光となって消える。
砲口の直径は十数センチほど。全てメテログラフトの方を向いている]
[わざわざ音声による砲門展開とタッチパネルでの操作を必要とするため、その隙をつかれたらいっかんの終わりだ。
だが、いくら想像力を駆使しても、不可能なことはあった。
たとえば弾幕を用いて空に文字を描くこと。これはプログラミングされた弾幕装置ではないと無理だ。
また、銃弾や刃物などの「武器の形をした」弾は想像通りの形をなして飛ぶが、「武器の形をしていない」弾は想像だけでは形通りには飛ばない]
――〈Far east nightbird〉
[少女の左手が光るパネルを1番から8番の順にすべるように触れていく。
まずは少女から見て一番左の砲から、続いてその右の砲から。緋色の光が発射される。
その光は鳥の形を模していた。白光のあとを追ってメテログラフトに突っ込む8羽の緋色の鳥。
さらに少女が右上のパネル(4番)に一回触れてからもう一度1番から8番のパネルに触れると、再び8羽の鳥が空を舞う。
しかし次に発射された鳥は、《Indigo Bird》とメテログラフトの中間で突如4つの緑色の小弾に形を変え、白光と緋色の鳥の隙間を縫うように飛んでいく。
一部、白光にぶつかって互いにはじけたり、緋色の鳥にぶつかって吸収される弾もあったが]
― 実戦室 ―
ようグレン、生きてるか?
面白いことやってるじゃないか。
[オメカ゛か゛ あらわれた!(無傷で)]
[生身にビームを打ち込まれたグレンの運命や如何に……?]
ふー、しかしコアがGを軽減するとはいえ、やっぱ食後のベイルアウトはキツいモンがあるぜ。
[弾幕が飛ぶ様を満足げに見送ると少女は《Indigo Bird》を実戦室の天井すれすれまで上昇させた。
機体に8つの砲がついていく]
あ……ストップストップ!
[8つの砲は急停止した。今は《Indigo Bird》の下方数メートルの位置にとどまっている]
星……をかたどった機体を見下ろせる位置とは、なかなか悪くないものだな。
[そう言って少女は再び白い球体に手をかざした――**]
―大会本部―
[華やかな優勝式典と、閉幕式の裏、大会本部のとある機関――
気象観測室。大会の状況と天候を逐一監視する作業にあたる。
大きなスクリーンを前に、鬼の形相でスタッフに食って掛かるひとりの女性の姿があった。
夕焼けみたいなオレンジの髪に褐色の肌。同じ色の瞳が怒りに染まる。]
―――だから!とにかく、もう仕事は済んだでしょう!?
なんで選手のところに―――弟のところへ行っちゃだめなのよ!?
大体ね、アタシは、今回は身内が出場するからメカニックとして登録したのに
なんで当日来てみたら、スタッフとして登録されてんのよ!?
は?
急に欠員が出たからしかたないって
じゃあうちの選手はどうなんのよ!?別のスタッフーーー?
ふざけんじゃないよッ
誰かわかんないようなスタッフにうちのBFを任せられるもんか!って言ってんでしょ!
わーかったわよ、とにかく。
もう、どっちにしろ、式典は終わるんだから。
アタシは失礼させてもらう。
[弟――ロジャーの機体が撃墜された瞬間はスクリーンで見た。
ぎり、と唇を噛んだものの、そのときは飛び出すのを我慢したのだ。
マダラは、バン!!と大きな音を立てて、観測室を出る。
後に残る、疲れた表情のスタッフたちと、やれやれ、と言う誰かの声。]
[怒りは治まらないし、重症ではない、と報告は受けていたものの、弟の容態も心配だった。
いらいらした風に親指を噛みながら、カッカッカッと大またで廊下を歩いている。
大会スタッフの腕章を見つけたら、掴みかかる勢いかもしれない。**]
[青白い光が迫る。
紅蓮は黒隗を左掌の上に器用に乗せ、光に向かって差し出した。]
ロードしたもの、あらゆる全てに変身《ターン》する。
「万能機械存在《ユニバーサル・マシン》−黒隗。」
[小さな白兎の姿が、変化する。
ぐにゃりと、かたちが変わる。白かった毛は黒く――ふわふわな毛並みには似つかわしくない、艶消しされた黒のパーツへの変貌。]
周囲を巻き込んでの自滅は、許さない。
きみを止める為に、撃つ。」
[紅蓮の半身を、カウルのような外装が覆う。
先程、黒隗が居た場所よりも前の位置に、ゴトン、と黒い砲門が現れる。
砲門中心部に光が集中。水面に同心円の波紋が広がるように、中心部から丸い光の輪が拡散。黒い砲門の側面周囲を、紅の炎の模様が包み込み――]
−剣片喰−
[放たれる、迎え撃つ為に放たれる光の花。二重螺旋軌道を描く。
目映く黄色く。花は直ぐに散り、牙向くエネルギー弾そのものとなる。]
実弾を用意。
[コア《BigFire》のないBigFire。
本物の完全なる複製品《レプリカ》
紅蓮を包み込むように黒隗から成長するパーツが覆う。
瞬きの間に、何もない空間から巨体が膨れ上がる。
それは人型のBigFire。ずんぐりとした印象を受ける。
更に紅の光が爆発。
それは、黒い機体の要所を覆い、炎の模様をあしらう。]
「タイプは?」
任せる。 「了解!」
[既に黒い機械は2mの高さを越え、そして更に成長中。]
[万能機械存在《ユニバーサル・マシン》。
科学技術の結晶。BigFireや機械存在GMとは別個の存在。
宇宙連邦によって造られ、属し、人の魂を感じとるマシン。
その費用は莫大で、造られた数も限られている。
その体内は亜空間と通じ、ロード――文字通り読み込み理解する――したあらゆる物に変身《ターン》する、宇宙活動の為の相棒《パートナー》。
機体右手に生み出された銃で、ダイアナの援護射撃を行う。*]
[グレンの黒い機体から放たれた黄色の弾幕と、
ビームが衝突し、連鎖的爆発が起こる。
メテログラフトを移動させながら――…
ラガリアの刺塵の結実形態を変えようとし]
[ゴ、ゴ、ゴッ…]
[メテログラフトの陸地部分のみにある装甲が移動。
立て続けに、重い音を響かせ着弾を確認。
それに注意を奪われる事なく、クロノはラガリアの刺塵の形態変化。
バフォォ…
紫色の渦巻く光の球体が、メテログラフトの直ぐ前に現れる。]
もっと、もっとだ…
[緋色の光の鳥が8羽、それに喰われ、
計32個の緑色の小弾の一部が、メテログラフトの装甲をまた削る。]
なっ……
白い兎さんが、BigFireになった!?
[少女は目を疑った]
これほどまでにむちゃくちゃなものを見たと思ったのは、……初めてだよ……!
[通信用のオープン回線は開いた状態なのを思い出し]
あ、褒め言葉と受け取ってください!
「ありがと、ダイアナ。」
[実戦室の通信用オープンチャンネルに、黒隗の声が流れる。]
来るぞ。
[紅蓮は操縦桿を握る。動作は相手に意思を伝える事でも行えるが、BigFire…この操縦桿での操作も可能だ。]
ダイアナ、私がクロノの装甲と兵装をどうにかする。
注意を惹き付けるから、きみは機を見て撃ち込め。
[黒い機体の足裏にローラーが生まれる。ギュインという音を響かせ、メテログラフトを中心に、中心へ進む螺旋軌道。
紫色の弾幕の隙間を狙いながら、メテログラフトの外部弾幕兵装−ラガリアの刺塵の本体を狙う。]
[メテログラフトの方に視線を戻すと、緑色の小弾がちょうど着弾するのを確認できた。
しかし本命の緋色の鳥は、紫色の球体に食われて消えた]
あー! 分かってるじゃないか!
[紫色の球体は次々に生み出され、メテログラフトを包み込むように展開された。
程なくして弾幕を吐き出すのは目に見えている。
しかし砲一つ分の鳥ではおそらく敵うまい]
ならば……1256を連結、3478を連結!
[言葉とともに4つの砲台が連結して一つの砲台となる。
半ば掌をたたきつけるようにして、同時に4つのパネルに触れる。同じ工程をもう一度。
これでさっきよりも大きい緋色の鳥が二羽出現する。
続けて左手を黒い球体にかざし、立て続けに速度遅めの大きめの黒弾をばらまく。
この黒弾に当たった向こうの弾は速度が減衰する。効果は黒弾が消える、十秒ほど。
果たしてこれで隙間が出来るようになるか**]
馬鹿メ。
[グレンが向かってくるのを一笑にふす。
一気に片をつけるのも面白くはない、が。]
所詮、鳥は蛇に喰われる。
[緋鳥を一瞥。クロノの手が、天井を指差す。]
ラガリアの刺塵!!!最終形態!!!!!
[
パ キャ ア ン
冷たい音が室内に響いた。
響きの後、弾幕兵装の姿は見えなくなる。
後に残るのは、紫色の弾幕のみ。]
[そこにオープンチャンネルから、少女の名を呼ぶ、声が。
一つ目の声にはわずかに笑みを返し、二つ目の声には、]
…………。
分かりました。
頼み、ます。
[言葉を返す]
戻ってください。
[指示を送ると二つの砲は緋色の光となって地に落ちる。
いきなり砲を戻したことを怪訝に思われても構うまい]
やってみたかったんですよね、
[左手で白い球体をぎゅっと握る。
少女の想像に呼応して、機体の両の砲口から白い光が左右に伸びていく]
速度を利用しての体当たり戦法。
[紫色の弾幕を避け、黒隗の解析によるラガリアの刺塵の位置と、メテログラフトの装甲へ安定した撃ち込みを行ってゆく。その最中――]
「紅蓮。ラガリアの刺塵の位置が、この位相にない…!」
確定は?
「やってみる。」
[紫の弾幕が、肩の装甲を弾き飛ばす。]
フン。
無駄だ無駄だ。
何をしようと、貴様ラに勝ち目はない。
位置を観測すれば攻撃の種類が、
攻撃を予測すれば位置が移動する。
これはそういうものだ。
[針のようなレーザーが、天井と床を繋ぐ。
その光の線は二十はあるだろうか。
室内を賽の目に切るように動き始める。
それが終われば、こちらへ向かう炎に宿した黒い機体へ向けて天井からの攻撃。ダイアナが何か仕掛ける様子には冷たい視線だ。]
[問題はある。
他二つの兵装が使えなくなることとか、
集中が途切れたら刃が消え去ってしまうに違いないこととか、
そもそも体当たり戦法に機体が耐えられるか分からない、とか。
しかし少女に思いつくことのできた最善の手段はこれだけだった]
確かに蛇に食われることはあるだろうけどさ……
それを怖れてたらいつまでたっても宙ぶらりんのままでしょう?
[直後。両翼下部に二振りの白い刃が完成した]
[撃ち込まれる実弾は、メテログラフトの装甲をガタガタにしてゆく。
ギリギリでレーザーを避けながら、おそれなく突き進む。]
うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
[左手の砲門の先に機械の手が現れ、
両手でメテログラフトを抱えるように装甲に取り付き、引き剥がす。
そこへ、鉄槌とでも言うかのように、青白い雷が黒い機体に堕ちる。]
食えるもんなら食ってみな!!
[コックピット左側のレバーを一気に下げ機体を加速時状態へ。
いつでも飛べる。最高速度で――**]
―― ッ
[唐突にメテログラフトに取り付かれ、
装甲が剥がされる勢いに、ビクリとなるが、]
見ろ、終わりだ。
[滝のような奔流を受ける機体。
これでは無事ではあるまい。]
さあ、貴様も来るか?
[動揺を押し隠しダイアナへ向けて]
[機体の後部が大きく裂けて変形。]
兎人が…
兎人が、あんなに理性的じゃないと思いもしなかった!
あれじゃまるで、大マゼランに行った時に遭遇した奴の方がマシってものだ。
[装甲を引き剥がす。
メテログラフトを包む水色の光の膜は、そのままだ。]
きみは、ラント戦艦の艦長なのだろう!?
[そのメテログラフトに未だ残る装甲を殴りつける。]
だったら―――
[ガヅン。メテログラフトに残った装甲が砕け、殴った手も――黒隗が変じた機体の手も壊れた。]
(何故、動ける!?)
…… ああ、そうだ!
ヲレは、生き残った奴ラを導く立場だ。
だか、ら……
(だからヲレは…
だからヲレは、
絶望に暮れる奴ラに何でもいいから、
目標を与えようと… 何かなすべき事を … )
[ハッと、クロノの目が目の前の機体を見る。]
[男は暫く格納庫でぽつーんとした後、正気に戻る]
さて、どうやって帰るかね。
まずは…体を治す事から考えるか。
[男はしぶしぶとフロートベットを移動させ、治療室へと戻る]
あ。
[勢いよく横の通路から出てきた女と衝突する。
こちらはフロートベットがグラりと揺れる。
全身複雑骨折した体に声にならない痛みがユージーンを襲った。
その後を慌てて駆けて来る大会スタッフがいた。
怯えながらその女性に声をかえている。
「だから走らないほうがいいと言ったのに」
まったくだ。と男は蹲りながら思った]
グレンさんっ!
[メテログラフトに取り付いたグレン機が弾幕にさらされ破壊されつつあるのを見て、思わず助けに突っ込みたくなるのをかろうじてこらえる。
ここで突っ込んだら自分もグレンの二の舞だってわかっているから]
『さあ、貴様も来るか?』
……っ!
[そしてこれが挑発だってこともわかってる]
どこにみすみす死にに行く馬鹿が……っ!
[避けきれなかった弾が機体をかすっていく感触。これで何度目だろうか。
いよいよもってこの機体もやばいかもしれない]
(果たして帰れるのだろうか)
(どこへ?)
(町へ。私の住むところへ。彼らのいるところへ。店主のおじさんにも言われた。無事に帰ってこいって)
(誰かが言っていた。鳥達の翼は帰るべき場所に帰るためにもあるって)
(――帰る場所がない者はどうすればいい?)
(――いや)
(誰しもあるはずだ。かえるべきところが)
(たとえ誰しもいつかは虚無の暗闇の中へ還らねばならないとしても)
(私の帰るべきところはそこではない)
(クロノさんの帰るべきところもそこではない)
ええ……私は来ますよ。
死ににではなく、帰るために。
あなたを帰るべきところへ帰すために。
[その時グレン機の腕が大口径の砲口へ変わる]
『今だ!ダイアナ!』
[その声を聞き終わる前には操縦桿を前に倒しきっていた]
[カノンの一撃が爆ぜる。
追い討ちをかけるように上方至近距離まで一瞬で距離を詰めてきた《Indigo Bird》から、
白い刃が飛んだ]
ヲレは…
[目の前に迫る白い刃]
チクショオオォ――――
[母星にいた誰だって、生きたいに違いなかった。
調査の為に母星に降り死ぬのが嫌な奴はいなかった。
だが、あれでは、あれでは。
ただの無駄死にじゃ―――ないか。]
[光に包まれる瞬間。
ぎゅっと瞑ったクロノの両目から弾き跳んだ光の粒に、
気づくものはいなかったに違いない。]
[至近距離からのカノン。
《Indigo Bird》による最後の一撃。
水色の光の膜は消え去り。
そこに残ったのは真鍮色のコアだけ。
桜並木と夕暮れ。その色を照らし返し、鈍い色に染まっている。]
……っ
[ぐい、と涙を拭う。
自分でも何故泣いているのか分からなかった。]
…… ヲレは、
[ぼろっ。ぼろぼろ。涙がこぼれる。
二人から撃ち込まれたもの。
クロノの心に何か届いたのだろうか。]
……。
[ぼろっ…]
降りよう。
[室内用オープンチャンネルに流れる紅蓮の声。]
「制動がおかしくなってるから内側から押し開けるよ。」
[炎を宿す黒い機体は半壊。コックピットで紅蓮は頷く。
コックピットの開閉システムに不調が起こっている為、「コックピットの内側」から外側へ向け、新たに機体部品がうまれる。
紅蓮が外に出ると、蛇が脱皮をするように破損箇所を落とし、元の状態に戻った機体が見る見るうちに小さくなって、小さな白兎に戻った。*]
―― 実戦室 ――
[厚い花弁を持つ花形にコアが割れる。
クロノはダイアナやグレンとは別方向を向き、床に薬莢などの残ってはいるが、のどかな――夕暮れの桜並木を見上げた。]
――… 貴様ラの、勝ちだ。
違った。コアの意思を知るためか。
ヲレには分からん。
だが、奴の、ゴードンの言っていた
「魂が籠められている」とかいうのは、
分かった、気がする…
[クロノの耳が、少しだけ前に俯いているように見えるのは気のせいだろうか。]
―― 格納庫・どの時間軸でか ――
[優勝者を確認したマリア=カリラは、
その次、視線を動かしてある機体を検索した]
[ナノマシンに保存された記憶によれば、あのコアを破壊する敵に対しても中立に、平等に敵だと言っていた黒い機体]
[ぼろぼろになりながら撃墜された映像が再現された。
マリア=カリラは水晶の瞳を見開いて、しばし眺める]
[マリア=カリラはナノマシンに命じて、
オープン回線に宛先つけてメッセージを流した]
『次は余計な敵なしでやりましょ』
[短い、それだけの通信]
ラガリアの刺塵を使おうが使わまいが、
勝敗の結果に意味はなかったか…。
[メテログラフトの最後の弾幕兵装。
その兵装は壊されてはいない。]
迷惑をかけたな。
ヲレは、… いや、ワレワレは、今から宇宙連邦本部へ行く。
そこで、ワレワレが出来る事を見つけようと思う。
[コアから完全に出ると、後ろのグレンとダイアナを振り返る。]
―通路→治療室―
[男は痛みから解放され、治療室に向かう旨を伝えた。
なぜかぶつかった女も行くらしい。
特にたいした怪我はしていなかったのに]
フン。
[男は治療室に戻るとベットにくくりつけられる。
二つメッセージが届いていた。
一つは担当研究員長からのメッセージだった。
忘れてなかったのか。
もう一つは、とても短いメッセージ。
男はそれを読むと、口角を少し持ち上げたような気がした]
そうだな。次は…な。
[男は、そのメッセージにさらに短いメッセージを返した。
了解とだけ添えられたメッセージ。送る意味はあったのか。
そして担当研究員長からのメッセージを開ける。
たぶん治療休暇をくれるんだろう。
そんな風に思ってメッセージを開いた。
「帰りにやきそば買い忘れたー!買ってきて!」
パシリかよ]
……。
ヲレはラントだ。
貴様ラの技術力を凌駕すると思ったが、
このままでは無理のようだ。
次に会う時は、…貴様ラを越える。
おい、行くぞ。ここでの事は公言するな。
[勝負がついたのを見てか「ClockWorks.rant」の技師達が室内へと入ってくる。その技師達に、メテログラフト等の回収を指示し、クロノは帰ろうとする。]
―― MiddanEden ブース ――
うぃーりあーむさーんっ!遊びに来ましたよーっ!
[一見能天気に聞こえる声が、ブースを隔てる空間に響き渡った]
[それで、用件は伝わったはず。と同時に、張り上げた大声で周囲の視線が集まってくるのを感じる。
よしよし、ここまでは計画通り。
…同行していたなら、シャノンの視線まで集めてしまいそうで、それがちょっとだけ気まずかったけど。
さて。鬼が出るか、蛇が出るか。
相手が相手なだけに、どっちも出てくるのも面白いかも?なんて、どこか的外れなことを考えながら、誰か出てくるのを待った]
――大会本部・治療室――
[少女は目を開けた]
…………。
負け、た?
いやまさかそんな、あの〈dahaca〉発進は改心の一撃だったはずだよ……見事なまでに一発限りの大技だったけど。
[あの後機体は出力オーバーで一時制御がきかなくなったが、無我夢中で操作していたらなんとか地上に降り立てたようだ。地上部が近かったのも幸いしたか]
で、クロノさんが去ったあたりで、こう、ふらっと――
[途端に少女の顔つきが少しだけ険しくなる]
景色を楽しむ暇もなかったじゃんか……いくら勝ったとはいえ。
―― MiddanEden ブース ――
[すぐに帰って来た短い返事。
マリア=カリラの口元が小さく緩んだ]
[そして。
通信回線ではなく、マリア=カリラの聴覚が声を捉えた。
マリア=カリラは最上部に真新しい脳髄を乗せたガラスの円筒の中、蝕腕に絡まり、泡を身に纏いながら瞬いた]
『二ーナ?』
[マリア=カリラはナノマシンを送り出し、ブースの扉を開く。
マリア=カリラの瞳は、ウィルアトゥワの友人の姿を探す]
クロノ! 「クロノ。」
[グレンと黒隗が同時に呼びかけ、少しだけ顔を見合わせた後。]
私も艦(ふね)を率いた事はあるから、きみの苦労は分かる。
――紅蓮。宇宙連邦局所銀河群支部所属の紅蓮・B・Rだ。
何かあれば出来るだけ助けになるよ。
[グローブを脱ぎ、手を差し出す。]
「クロノ。キミ達なら、大丈夫。キミが居るんだから。」
[黒隗が小さな手を差し出す。]
……。
[シュッ…。
クロノの跳躍。紅蓮の手にパスンと一発。
そして、床に立つ黒隗の前脚の手へと触れる。]
じゃあな。
グレン、コッカイ。
[ふわりと、
ラントの上官コートがグレンと黒隗の視界を隠した。]
―格納庫―
[優勝者の確認を終え、式典までに互いのBFの確認とコアの確認をと急ぎ足で格納庫へと向かう。
TweeHeart CompanyのBFスペースでは、全壊した部分は全て取り払われコアが出されたマリンブルー・スネイルが在る]
――…。
[コアを前に、ロジャーは首を横に振った。
つまり、声が聞こえないという事。
気遣うように見上げて来る彼には元気に、強く言い切って見せた]
……うん。
うん、だ、大丈夫!きっとスネイルネンはちょっと眠っているんです。だって!そうじゃないと私がこんな軽い怪我で済んだ説明が付きません!
今すぐにとはいかないかも知れません。でも、きっと起きてくれます!その為に、どうすれば起きてくれるのか…私も学ばなきゃ、いけないん…です…!
[「ほんの少しでも声が聞こえたら。」
最後にそう呟いて、堪え切れずぷくりと膨らんだ涙を拭った]
――Good Luck.
[クロノの後姿に。
ダイアナとも最後の握手をしたかどうかは、ダイアナの記憶に任せ、ここでは記さない。この後、必要なら、ダイアナを治療室へと一度連れていき、グレンはそっと去った事だろう。]
―――オメガ!
[>>157グレンは、
にっこりと(多分)無傷だろうダグラスに手を振った。]
だけど妙な話じゃないのか……
一時的とはいえ機体が制御不能になったなら、コアの防衛機能により私は機体を操作する暇もなく機体から出されるんじゃなかったっけ……?
[そして操縦者がいなくなった機体は地に墜ちるはずだ]
んー……
[少女はただ首をひねるばかり]
[目の前の扉が開く。…ちょっと警戒しすぎたかも?と思いつつ、ひょこりと扉から顔だけを突っ込んで、きょろきょろと見回す。
その向こうから、手を振る姿。
とたとたと駆け寄る]
こんにちわ、“マリア”さん。
ええと…ご容態はいかがでしょうか?
…ウィリアムさんの。
[最後はちょっと声を落とした。誰が聞いていても、ウィリアムと言う名前はそれなりに普及した名前だから困りはしないと思うけど。
なにしろ目の前のマリアが見たとおりの存在ではないって言うのは分かっているので、問う声は薄ぼんやりと青い燐光を放つ手を差し伸べながら。
でも、触れはしない。
ただ、答えにくいことなら。
それを許可してもらえるのなら、そのときは“直接”聞こうと思って、首をかしげた]
「紫陽花ちゃん、そういえばこのデータはどうするんだ?」
[空気を読んだか、読まなかったか。今にも泣き出しそうな...の目の前にディスクを一枚、スタッフが差し出して来た。]
…えっ?私何かデータを取っていましたか?
すみません、ちょっと貸して下さい…。
[思わず目を丸くしてそれを受け取った。
記録されているデータはかなり重い。一体何を入れたのだろう?と首を傾げた]
[マリア=カリラはガラスの棺の内側に、ぺたりと両手をつけた]
[優勝時のホロを見て、目の前の彼女はヒトではないと理解している。彼女の隣にシャノンがいるなら、そちらにも手を振って]
『ウィルアトゥワは、今、起きたところ。
……私は元気よ』
[マリア=カリラは顎を上げて上を見上げた。
培養槽の中に浮かぶ脳髄。
マリア=カリラの瞳は、燐光に光るニーナの手を見る。
このカプセルも、上に据え付けてある培養槽も、その手で触れれば簡単に起きたこと全てが見通せるだろう。
新しい脳髄。バックアップされた人格。
今は、その2つがマリア=カリラを操っている]
『……直接確かめてみる?』
[マリア=カリラは両手を広げた。金色の髪が液体に揺れる]
『魂は、肉体に宿る? 電気信号に宿る?
それとも、ネットワークに宿る?
ニーナはそれも見えるのかな』
[友人の正体をマリア=カリラは知らない。
上目遣いで聞いてみた]
−会場のどこか−
優勝はあの貧乏コロニーの奴か。
[顔を見た事がある人間の優勝を知り、心の中で彼女を祝福する]
これで、少しはあのコロニーの生活も楽になるか……ならば、悪い事ではなかったのかも知れないな。
[と、同時に思い返すのはシュウの事。]
あれはまた大会に参加するのか。手に入れるまで何度も、という事になればまた来るのかもしれないな。……楽しみだ。
[彼女が聞いていたら怒るかもしれないが、それでもまたこの大会を面白いと思ってくれて、再び参加する意思があるのであればそれでいい。少なくとも、あれだけの力のある人をそのまま遊ばせておくのは勿体無く思えた]
―ちょっと前―
[どう見ても宣伝ですありがとうございました。な優勝者挨拶を画面越しに見て、思わずぽかんとしてしまったのも先程に、すぐさま戻ってきた優勝者本人。
正直その行動はどうなんだろうと思いつつも、細かいコトは気にしない様にしよう。
何よりまず、先程言い損ねた――]
おめでとうございます!ニーナさん。
[その言葉は、心の底から。
自身も狙ってなかったとは言わないが初参加であの位置に着けれれば大満足なのだし、お陰とも言われたがちゃんとしたギブ&テイクなのだけれども……まぁ、悪い気はしませんね。]
……そんな約束をしてたんですか。
まぁ、あれ以降私も心配なんですが――、オーケイ判りました、私も行ってみたいです。
[ご飯発言はさて置き、閉鎖回線での内容から言えば、MiddanEden公式発表のそれとは全く違うのだし。
今現在が気にならない筈はなく。]
[――で、ニーナに付いてMiddanEdenブースまで来たのは良いがいきなり大声であれだ。回りの視線もあれだが焦らない筈はない]
……ちょっ、まっ、に、にーなさぁん……。
[小声でぼそりと耳打ち、いきなり本丸に切りつけるんですかー、とも。
それでも開いてしまった物は仕方無い、前に進むしかない。
ごくりと息を飲んで、硝子の瓶の前に、『マリア』の前に。]
シャーロットにロジャーも、初参加ながら結構頑張っていたみたいで何よりだよ。
[初参加の二人は途中で撃墜されたようではあるが、それでも第一波、第二波を初参加で潜り抜けたのだからなかなかの力はある。
何よりも彼らはいたって真面目だ。その性格と才能が加われば数年後、宇宙に名を響かせるBFの乗り手になれるのは間違いなさそうだ]
私がいなくなったからと言って、案ずることはなさそうだな。BFの世界はもっと面白くなるだろうから。
[記事を見ながら、彼らともう一度空の上で戦いたい気持ちが出てきた]
……はは、私はもう空を飛ばないことを決めたのだ。
それなのに、どうしてこんな気持ちになれるんだろうな……。
―格納庫―
[振り向いたら、何時の間に其処に居たのかクロノが立っていた。慌ててディスクをカバンに仕舞い、彼の方を向いて膝を付いた。どうやらこれは癖らしい]
…え、もう…行ってしまうんですか…?
大会は全部終わりきっていませんのに…。
[ロジャーがその間にクロノへと話しかけるようであればその間は2人を交互に見ながらパイロットスーツのスカートを握っては離しを繰り返す]
[こくん、と、ひとつ、頷いた。
手を差し出す。
カプセルの硝子越しに、手を添える。
探る手。流れ込んでくる情報。脳髄の更新、肉体の再構築、ナノマシンを介して行われるそれら。…そして、壊れた、以前の脳髄]
…分かりません。
[首を振る。魂はどこに宿るのか、なんて。自分自身にそれが宿っているかどうかも、分からないのに。でも]
でも、あなたがあなたをウィリアムさんであると認める限り、あなたはウィリアムさんなのだと、小官はそう信じます。
小官が小官であり、フヅキがフヅキであるように。
[きっと、世の中の視線から見ればフヅキには魂が宿っていないと言われるのだろうと思う。フヅキ自身が、そう教えてくれた。
でも、そんなの関係なしに、自分はフヅキが大好きだし、フヅキが大切だった]
…けれど、小官には、肉体に宿る魂のことは分かりませんので…
…だから、聞きます。
――小官の友だちになってくれますか?
[以前の問いとはまた違った言葉。マリアが、ウィルアトゥワが、ウィリアムであっても、そうでなくとも。自分はその判断を信じるし、受け止めようと、心に決めて。聞いた]
[マリア=カリラはニーナに相対する傍ら、シャノンの方にくるりと向いた]
『……ごめんね、怖がらせて。
煩く騒いで、ごめんね』
[両手を合わせて、ぺこりと謝った]
『怖かったんだ。けど、あれから、ありがとう』
―― 格納庫 ――
ああ。行く。
ヲレにはしなければならん事が出来た。
シャーロット。
ヲレの名は、クロノ=カ・エディーリアトだ。
[遠い血縁でしかないが、そう告げる。]
[最後の戦いと決めた最後の戦いは、決して満足の行く物ではなかった。しかし、自分の決めた道でもあるし何よりも、大会本部に自分の行ったことが見つかってしまえば、どちらにせよBFを乗り続けることは出来ない。
自分の行いはBFへの裏切り、と考えナサニエル・ウエクサとしての自分を捨てた]
BFへの裏切りに対しては、この位ではないと……。
対価ではないからな。
[変装をし、誰にも気が付かれないように屋台通りを歩き、観客にまぎれて会場を後にしようとする]
は、はいっ!?
え、あ、今名前…!!
カ・エディーリアトって……カ・エディーリの歯車の人の…
あっ、そ、それです。ひとつだけ教えて下さい。
何故あの時、その歯車の人の事をお話して下さったんですか…?
[クロノが、恐らく初めて自分の事を「シャーロット」と呼んだ事にも気付いていたが、何よりも彼の名とそれに関わる事を少しでも聞いておきたくて、問うた]
あの後、クロノさんには、結局何も言えなかったな……
[おそらくむざむざと逃げて、その間に故郷の滅びを迎えてしまった自分とは異なり、クロノはこの先もずっと、逃げることなく立ち向かうのだろう。
――何に?
故郷に。その滅びた理由に。望郷の思いに。
だから何かをしてあげたくなった――のかもしれない]
結局コアのことはついでで、”ヒーロー”になりたかっただけなのかもしれないなー……
[その時、聞き覚えのある声がかかる]
分からん。
だが、貴様には何故か言っても良いと思った。
フン
不思議なものだ。
[右手に持った、かすみ草の花を、もぐもぐ。と食べる。
贈った当人がシャーロットとも知らずに。]
[ニーナが触れるのに合わせて、マリア=カリラは
シャノンにも見えるようにガラス壁にホロビジョンを映し出す。
素早く数字が走る、クローンのプログラム。
同時に、マリア=カリラは背後の扉を閉めていた]
[内緒の密会]
『そっか。分かんないか。
私も分かんない。シャノンは分かる?
起きるために眠ることと、
生きるために死ぬことは、きっと同じ。
……昨日の私と同じ結論かは知らないし、
好んでやりたくもないんだけど』
[マリア=カリラは胸の前で手を組んで、首を傾げる]
[ニーナの質問に対しては]
『……食べ物、奢ってくれるなら。
友だちの約束なんでしょ?』
[ニーナの目の前まで、マリア=カリラは泳いでいった。
ぱちぱちと大げさに瞬いて、噴出した]
『―― おめでと、ニーナ。良かったね。
シャノンにも、奢る?』
[マリア=カリラのナノマシンは海馬を刺激する。
大会を中止させたくないと、ニーナは言った。
検索結果が帰って来た]
あんたは……何を言っているんですか?
こんな、治療室に寝ている人間が焼きそばを売ってるわけがないでしょう?
[声をかけてきた男――ユージーンを怪訝そうに見やってから]
まあそう言うわけでおととい……じゃなくて来年……いや数年後? とにかくまた来てください。
もっともその時には、私は焼きそば屋さんのお手伝いじゃないかもしれないですけどね。
[直接的には、マリア=カリラはニーナの疑問に答えない]
[けれど、データを探ったニーナには分かるかもしれない。
記憶領域の一番奥。
渡された"お守り"が、解凍されて最重要項目として保存してある]
うちのチーフが御所望だ。
ほらよ、今度はしっかり金を受け取ってから行けよ。
[ピンっとコインを指で弾いて渡せれば
格好になったのだが、今は全身複雑骨折中。
治療室のベットの機能を使って、財布から代金分のお金を取り出す。
そして女のベットに代金が置かれた]
―格納庫―
[マリンブルー・スネイルのコアについて尋ねられれば、首を縦にゆっくりと振るもののすぐに横へと揺れた]
スネイルネンのコアは、別のものに替えればすぐに動かせると思います…でも、まだこのコアは生きていると信じています。起こす為の何かがきっと在るはずですので…それを探す為に学び、訓練し…一日も早く起こせるようにします。
だから…スネイルネンはしばらくお休み、です。
[クロノの視線を追って、見上げる]
―― 大会本部 ――
これで地球ともお別れだな。
「メロン、あとでもう一度食べよ?」
ああ、そ―――…
[オレンジの髪に褐色の肌をした女性が、
怒り心頭といった表情でグレンの目の前に立ちはだかった。
>>161それは、ロジャーのメカニック担当がグレンとなった事を、>>185他の大会スタッフによって知った、マダラだった。]
何か?
[問いかける。]
[ベッドの上に置かれた代金を見て]
ああ……あの時はわざわざどうも。
[数時間前に伝えようと思って、忘れていたことを、ここで、伝える]
行きたくても行けない……ああ、怪我人でしたか。
[それなりに元気な姿を見せつけつつ笑顔で応対していたが、次の言葉に笑顔が若干凍りつく]
その言葉、忘れないことですね。
次に会ったら必ずや驚かせてやりますからね!
[びしっと指差してそう言うと、少女は治療室から出て、店主に電話をした。
結果、無事大会本部まで焼きそぱ1パックが届けられることになった。
……あれ、結局観光したのか彼は]
…そうしてくれ。
[適当に返す。
このよくわからないやつが居た事は、きっとGRAVEに帰ったら激動の日々によって忘れてしまうだろう。
次の大会にGRAVEとして出れるかはわからないが、またここに来ようと、男は思う]
ここは、案外…
[面白いからな。
そう呟いた声は、周りの音に掻き消されただろう]
……いや、全然煩いとかそんなことなかったです!
むしろ私なんかに付き合ってくれてありがとうございました!
[目の前の『彼女』は、通信機の向こうに居た彼女ではない、けれども『本人』なのだろう。AとしたらB、いやA'なのか。
けれども――そんな事は些細に過ぎる問題だ。
魂は何処に宿る?それに回答なんてないけれど。]
私の機体は、過去の、おっちゃんの作った機体のレプリカでした。
それでも――私にとっては過去のことは関係なく、あれはオリジナルでした。
――あ、何言ってるか判んないですよね……
なんて言うか……えーと……
魂って、心とか、意識そのものなんじゃないでしょうか…ね?
あはは……ごめんなさい。ありがとうございました。
[しどろもどろ、支離滅裂でしっちゃかめっちゃかな物言いだったけど。言いたい事は言えたんじゃないだろいうかと、最後は恥ずかしくなって誤魔化したようだったけれども]
私とも、友達でいてくれますか?
ニーナさん、ウィリーさん。
――大会本部・入り口前――
[長い一日がもうすぐ終わる。
茜色に染まる空と雲が、徐々に空の青い部分を割いて侵食していく、幻想的な時間。
店主が来るのを待っている間に、少女はグレンに連絡を入れていた。
医務室へ連れてくれたことに対するお礼と、質問を一つ]
クロノさんの個人アドレスとか知ってますか?
彼にだけ、伝えたいことができまして。
[まさかマダラの三回転アッパーを喰らって三回転半した後とは知らずに]
―― 格納庫 ――
そうか。
もしその技術がチキュウ外でうまれたら、貴様はどうする?
[もぐもぐ。]
ん?これか。
ベッド脇にあったぞ。
[ピ、と耳が動く。]
―― 大会本部 ――
[廊下に倒れている。
黒隗は無事着地出来たようで、紅蓮の傍へ――…
星が11個ついている印象的な帽子が顔の上になり、表情は分からない。]
……。
[ピ。
矩形ホログラムウィンドウが目の前に展開され、ダイアナからの連絡を届ける。]
[ニュースサイトが伝えたスクープは、ナサニエルの電撃引退。
慌てて自社ブースを飛び出し、ひっそりと逃げる様に出て行く彼を追いかける。]
ナサニエル!
シッポ巻いて逃げる気ですか、卑怯者!!
[息を切らして、引きとめようと叫ぶ。]
―― 大会本部 ――
『クロノさんの個人アドレスとか知ってますか?
彼にだけ、伝えたいことができまして。』
[むくり。
メッセージに目を通し、自分を殴った人物を確認する。]
きみ。
誰かと間違えていないか?
私は、
[帽子を持って立ち上がり、マダラに近寄る。]
…空を裏切ったまま、空を捨てるなんて、
そんなの、見たく無いものから逃げてるだけじゃないですか。
[やや低い視点から、彼の目を真っ直ぐ見据えて。]
貴方も…空を往くものならば、その空へ恩を返したいとは思わないんですか!?
[一番気にかかっていただろう事への返答>>229を聞き、満足したのか緩やかに微笑んだ]
本当、どうしてでしょうね…。
でも…嬉しいです。
[ただ、彼が今食べているものを見ると「あ、やっぱりウサギさんなんだ」と関係ない方向へと思考が行くのは仕方がない事かも知れなかった。]
もしも、その技術が…地球外で?
[それ>>242は思考の範囲になかったらしい。ほんの少し俯いて考える素振りを見せたが、すぐに顔を上げた]
…宇宙でその法を探す、という考えはありませんでした。もしも見つかったとなれば、私は空の向こうへと行きます。
反対はされるかも知れません、むしろ強く止められるでしょう。
…それでも行きたいのです。
―― 大会本部 ――
っつ。
[目の前の女性が怒りながら告げる内容を聞き、事態の把握に努めた。]
きみ、それは――…
[>>4:25の事情を話そうとする。
まだ殴りかかろうとしてきたマダラの手を、がっちりと掴んで止め、]
聞くんだ!
[何時になく強い口調でマダラに呼びかける。
――…そんな二人の間で、
白兎の黒隗がダイアナのクロノへの取次ぎを行っていた。]
[マリア=カリラは、ガラスケースの中から液体を抜く。
ごうんごうんと小さな音立てて、液体は背後の機械に吸い取られていった]
『そう? なら、良かった。あのね、シャノン。
あなたと繋がっていて、私は、ウィリアムは感謝してる。
楽しかった。それだけで、もう全部全部良かったと思ってた。
……本当よ?』
[マリア=カリラは手を伸ばす。
その動作と同時に、ガラスの蓋が開いた。
シャノンの答えをマリア=カリラの耳が捉える。
マリア=カリラは首を左右に振った]
『ううん。分かる。そうだといい。
シャノンは怒って、しかってくれたから。
そうじゃないと、シャノンに謝らなきゃいけなくなる。
だから、そういうことにする』
[マリア=カリラの腕が伸びる。
シャノンの首筋にまきつこうとするように。
……シャノンから拒否されないならばそのままぎゅっと抱きつこうとして]
『人間の男の脳持つドラゴンでよければ』
[マリア=カリラは少し詰まった声で囁いた**]
…もちろん。
そのために来たのですから。
[探っていた“手”を引き揚げる。その手が、何かに触れた。噴出したマリアを見て。その言葉を聞いて。
ようやく、にこりと笑った。
そう言ってくれるなら、それでいい。もし違っているのだとしても、それでいい。
マリアの言葉の通り、昨日の自分は今日の自分とは違う。
昨日の自分は、自分に友だちができるなんて夢にも思ってなかったんだから。
それでもやっぱり自分は自分として、昨日の続きの中にいる。今日の自分は昨日と違うけど、昨日の自分がいなくなったわけじゃないのだろう。今日の中に、昨日は残っている。たとえば、さっき、垣間見た――
なら、やっぱり、おんなじだ]
もちろんっ!シャノンさんだって友だちですから!
ふふふ…小官は既に昨日までの小官とは違うのであります。
さぁ、マリアさんもお早く着替えてふぉろーみー!
急速に発展を遂げた我が経済力、とくとご覧に入れて差し上げましょう!
[最後は、冗談めかせて精一杯元気に。友だちとご飯を食べに行くなんて初めてのこと。これが楽しくないなんて、そんなの嘘だ。
今日くらいは、贅沢したって誰にも文句はいわせない!
…はずだったのだけど。
優勝賞金の獲得手続きに時間がかかるなんて聞いてなかった。
その事実の前に崩れ落ちるまで、あと数時間。
そんなことを知る由もなく、それはもう笑顔イッパイで屋台村へと繰り出していった]
―― 格納庫 ――
[副官よりクロノへ連絡。
ダイアナという人物から、クロノへ直接連絡の希望。
クロノはそれに許可を出す。]
もう一つあったが、
不味い。
[と言いつつ、ビスケットももぐもぐしていたのだが。
それが、後程ラント達の間であまり美味しくない食べ物だが止められない系のお菓子として流行る事は、現時点では分からない事だった。]
そうか。
それは、ヲレが見つけてやる。
[そういえば、とクロノは思う。]
(コアを護る、か――。)
[そんな時に、戦友であったグレンからのメッセージが届く。>>80、>>90]
……グレン、か。
[突然姿を消した事を恐らく心配してくれているであろうグレン。何も言わずに去って行く事に罪悪感を感じる]
……グレンか。ナサニエルだ。
私は何の変わりも無くやっている。
そうそう、私ももう年ではあるし、数多くの有望なパイロット達も揃っているから、この大会に出るのは今回でやめようと思うんだ。
心残りが無いと言えば嘘にはなるが、私は地上からパイロット達の活躍を願っているよ。
もしまたBFに乗る機会があれば、ぜひまた君と対戦してみたい物だ。
グレン、達者でな。
[ナサニエル・ウエクサとして最後のメッセージを彼に返す]
―― 格納庫 ――
[オメガ・ダグラスへの連絡。
コアを護る力。その事への返事。
直ぐには見つからないかもしれない。
だが、クロノはオメガ・ダグラスに告げるだろう。
見届ける気があるなら、来いと。
返事がどうであれ、そう告げる筈だ。]
[かすみ草を食べながら、置いて来たビスケットをも食べているクロノ。しかしそれは不味いとの事]
(味覚が違うんだ…)
[もう片方の白いかすみ草はロジャーの為のものなので差し出す事はなかったが、もう少し草の類のものを持っておけば良かったと心の中で呟いた]
えっ。
え?ちょっ…でも、そんな。
どうしたんです、か…?
[彼は地球人が「嫌い」だと言っていたのを覚えている。それだから今の言葉をもう一度問う事にする]
シャーロット。
[もし、望むならば。シャーロットを、マリンブルー・スネイルと共に召喚するだろうが、だがそれは別の話。
クロノは、シャーロットに別れの挨拶として手を*差し出した。*]
……全然、構いません!
[サンダーエースは失った。
それでも、この抱きつかれた温かさは嘘じゃない。これだけの友達が得られた。
それだけで、tGBに出場した悔いはない、そう言い切れる!]
ニーナさん、ご馳走様です!
[そんな風に。心底楽しそうに、嬉しそうに。
しかし金銭的面の問題で、自分が立て替える羽目になるのは、あとのおはなし。**]
[タイトルを取りに行く、どころか大切な物を失ってしまった『シルバーコレクター』は空を降りてその後でどこへ行くのだろうか。
それは本人にしかわからないことである。
ただ言えるのは、空を自ら降りた立場とは言え空への憧れは変わらない、という事。
いつかまたどこかで、姿を変えた元『シルバーコレクター』に会う事もあるかもしれない− **]
[連絡許可が出たのを知った少女は、クロノにメッセージを送る]
『もしもどんなに深くて濃い、絶望がもたらす闇が待ち受けていようとも大丈夫です。
その時は私が助けに行きます。この番号のどちらかに連絡を入れれば大丈夫……のはずです』
[記されているのは少女の端末の番号と《Indigo Bird》のクローズドチャンネルの番号]
『私の名前はダイアナ・C・W
相棒たるBigFireは《Indigo Bird》、BigFireのもう一つの名前たるシークレットコードは――《being torn the sky》
……あなたが最初ですよ。私が自らの機体の、もう一つの名前を教えたのは。
あなた達に幸多からんことを』
――おっちゃーん!ごめーん!
『くくくっ、遅ぇよ嬢ちゃん。片付けなら殆ど終わったぞ。』
[全てが終わった後の、撤収準備。
サンダーエースが無くなったからか、ピットはひどくがらんとしている、正直撤収準備といっても大したことは無かったのだろう。]
『……寂しくねぇか?あれが無くなって。』
うん。寂しい。
何だかんだで初めてのBFだったし、サンダーエース。
――はい。
ひとつだけ。
「いつか、追いかけて良いですか?」
[小さな、小さな声で問いかけ、差し出された手を両手で包み込むように取った。
彼からの答えがどのようなものであっても、微笑んで返事をする事だろう]
あー、それにしても惜しかったなぁ。
三位だっけ四位だっけ、もう少しだったんだけどねー!
[それこそ半身を喪失してしまったかのような、寂寥感。
それでも、それでも――今までで新たに得た物も、数え切れない。
それは、空に上がる楽しさであったり、恐ろしさであったり、思い出であったり、仲間であったり、友達であったり。
後日、第七コロニー公社を訪ねるのも良いし、MiddanEdenに旅行に行くのも楽しそうだ。
そしてまた、The Golden Boughに出場するのも、悪くない。
今度は優勝だー、と意気込んでも見る。そのためには――]
ねー、おっちゃん。そういえばさ、私にもそれなりに賞金は出るっぽいんだ。
曲がりになり五位以内だしね。
でさでさ、その賞金で買いたいんだけど、探してくれない?
中古販売もやってるでしょ?おっちゃん。
『……ふん、何だよ?』
[どうせ全部分かってるのだろう、その証拠に笑いをこらえるのが一苦労だ、私も、おっちゃんも。]
――SRF0050後期型 サンダーエース。
レプリカにしてね!
[空に上がるのは、当分辞めない様だ。**]
―シャーロットのデータファイル―
[再生]
うん、まだスネイルネンはやれるよ!
だいじょうぶだって!
つえーなーーーーー
[Title:ロジャーくんからの映像通信の記録]
ザザ…ザ…
[数日後、男は治療を終え、大会会場を後にする。
身一つで帰ろうとする男の前に、――全翼の影が一つ。
その場に降りてきたのは、烏羽と鉄色のラインが織り成す機体だった]
クヴォルフィリア…?
いや、違う。これは
[端末が鳴る。
「量産してほしいスポンサーが現れたから、フィリアをレストアして量産しやすいようにしたの。
ちょっとテスト飛行とクヴォルフィリアとの違いをレポートしてねー」
担当研究員長も粋な事をする。男はそう思う事にした]
フィリアU、起動。
G-4771、ユージーン・ゴア・シラカイ
これより任務に入る。
[そして、再び烏羽は、空へと駆け上がった**]
―― 何時かどこかのステーション・プラットフォーム ――
「大丈夫なようでしたね。」
[異星人と思しき容姿。否、ぬいぐるみのような姿。
星を象ったと思しき細いステッキ。閉じられているように見える眼は、きちんとその機能を果たしているよう。
その人物の名前はププピドゥー。]
[宇宙連邦 通称−審問機関 N 所属。
普通に活動しているもの達は知る事のない秘密機関。]
「そろそろ調査の解析も終了した頃です。帰りましょう。」
[調査情報の解析が終了するまでの間、大会を覗きに遊びに来ていた万能機械存在はひとの群れの中にかき消えた。*]
好、き?
チキュウが?
星の事か???
……。
そうだな。
チキュウは好きだ。悪くない。
だがチキュウ人は、好きではない。
おい。大会が終わったら、
ヲレをもう一度、マリンブルー・スネイルに乗せろ。それが共闘の条件だ。
[Title:クロノさんからの通信]
[それは...の手元にずっと残ったままになっている。
時々、それを聞いては空を見上げている...の姿が在るという**]
[1]
[2]
[3]
[4]
[5]
[6]
[7]
[8]
[9]
[10]
[11]
[12]
[13]
[14]
[15]
[16]
[17]
[18]
[19]
[20]
[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新