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―2日目―
[階下から響く絶叫で目を覚ました。何が起こったのか察しはついていた。けれど同時に、酷い絶望も感じていた。
この宿に人狼がいるのは間違いないだろう。だけど、それでも「何事も起きずに」日が経てば、無事に解放されるのではないか。
…そんな一抹の希望は、砕かれた]
――――――……アナスタシアさん。
[無残な女の屍には既に美しい布がかけられていて、その詳細を目にすることはなかったが。
顔を伏せ、冥福を祈る]
[淡々と感情を見せず、或いは殺したように語るロランの説明を聞き終えれば、遠慮がちに口を開いた]
………ロランさんは、どうしたいの。
[唯一最後の科白、村を赦して欲しいとの言だけには、微かに感情の色が見えた気がしたが]
僕は嫌だよ、死ぬのは。…死なせるのは。
[ただ、守りたいと思う。膝の上で握る拳に力を込めた]
俺ならば、そうだな…
ここにいる皆の投票で一日一人、
襲撃以外の犠牲者を決め、
その者が人狼であることを願うのが折り合いの付け所だろうか。
[そうして、街で余所者であった友は吊られて、死んだ]
心中は構わないが、身代わりは認めたくない。
身代わりの相手が人狼でないとは限らないし、
そこで一度免れたとはいえ、
再び対象にしないと身代わりの者に誓えないからだ。
わざわざこれだけの人間を一箇所に集めて
人がここで殺され
(どう考えたってありゃ自殺じゃねえよ)
で、ここにいる人間でどうにかしろ、と言う。
・・
お前さんの親父は
他に何か思惑があるとしか思えねえんだが。
ああ、さっきのはあくまでただの一案だ。
後悔しないように、慎重に皆で決めてくれ。
[年下や同世代向けに口調を戻す]
その際、もし処刑人が必要ならば、俺が死ぬまでは俺がやろう。
恨むなら、父と俺を恨むといい。
それだけの事をしているのだから。
………………。
[秩序ない殺し合いは避けたい、と。ロランのその言葉には静かに頷く。
そしてそんな事態に発展してしまえば、それこそ本当に宿に火をつけられかねないとも思った]
――――…こわいね。
[投票の話になれば、息をのむ。仮に自分が選ばれれば素直に処刑されるのか、とか。一体何を基準に投票をすれば良いのか、とか。色んな思いが頭を巡った後、零れたのはただの呟きだった]
……兄さん。
[いつもの調子で返事が返って来る、ミハイルの声>>50に少しだけ安堵したけれど。
でも、何だかやっぱりぐったりしているように感じられた]
人狼が「いる」って、分かってたなら…。
[ぼそりぼそりと、小さな声で囁く。
多分、相手にしか聞こえていない]
…なんで戻ってきたのさ。ミハイル兄さんの、馬鹿。
[守りたいのは、幼馴染の少女と、古くから慕う兄と。
宿に勤める少女を此処から連れ出すのは、きっと難しかっただろうけれど。ミハイルは宿から離れてくれたから、安心していたのに。
結局巻き込まれてしまった彼の顔を見つめ、少しだけ泣きそうなように顔を歪めた]
おっちゃん……?
[腑に落ちないことが、と声を上げるドラガノフへ顔を向ける。
村長のことを「卑劣」だと言うその声に、ロランもいる手前、否定も肯定も出来ずに黙り込んでいたが]
――――――……っ。
[猟銃に目をやる姿に、びくりと思わず肩を揺らした]
おっちゃん、駄目だよ。
そんなことしようとしたら…。
多分、此処に居る全員、殺されてしまう。
[それに]
……アナスタシアさんを殺したのが人狼なら、…。
協力なんて、してくれる筈ない。
[力なく呟き、視線を落とした]
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