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―回想 宿―
アナスタシアさん、薪を持ってきたよ。
[オリガと共に宿へ戻ると、女主人へと明るく声をかける]
――――――…?
[ふと少女の笑顔>>162が目にとまり、其処に滲む感情の色に気を奪われる。その間にアナスタシアと言い争っていたミハイルは、青年の横を通り過ぎて行ってしまった]
あ、ミハイルに…
[振り返って声をかけようとして、言い淀んだ。アナスタシアの前で、ミハイルを兄と呼ぶことに少しだけ抵抗を覚えて。小さな呼びかけは、彼にきっと届かなかった。やがて扉の閉まる音が響き、立ち尽くしたままその場に残される]
[一瞬の静寂を破るように、アナスタシアの声>>164]
夕食かぁ。ここでの食事は久しぶりだな。
お腹すいてるし、楽しみだ。
[場を取り繕うように笑顔を浮かべるも、視線は心配そうにミハイルの出て行った扉へ何度か向けられていた]
―回想 宿→墓地付近の小屋→自宅―
僕、荷物を準備してくるね。
今まで村を回っていたから、一度家に戻らないと。
[食事はそれから、と付け足して、一度頭を下げると宿の外へと。空はすでに紫がかり、やがては夜の闇が訪れるだろう]
今日は綺麗な星が見えそうだ。
[積み荷が殆ど無くなり軽くなった台車を駆け足で引きながら、白い息を弾ませる。
少し回り道をしてミハイルの家へ寄ってみたけれど、不在だったようで。彼が墓地に居たとしても、その姿に気づくことは無く。仕方がなく彼の小屋の前に残りの薪を積み上げてから、自分の家へと引き返した]
―回想 自宅→宿―
[宿に泊まると言っても、荷物はそう多くは無く。
簡単な着替えと、それから―――彫り掛けの木細工を鞄に詰めると、自宅を後にする]
あっ。
[途中、宿へ向かうフィグネリアと道が同じになった]
…………………。こんばんは。
[僅かな空白の間の後、静かな声で挨拶だけを述べ。小さく頭を下げると、そのまま駆けて宿まで向かった**]
[ぎゃあ。]
[ぎゃあ。]
[ぎゃあ。]
[鴉の声に、目が覚めた。]
―朝・自宅―
[ゆっくりと起き上がり。]
[一旦、元に戻る。]
[……………………]
[しばらく天井を見上げて、もう一度。]
…………げ。
[窓の外の景色に、思わず声をあげ。]
[軽くコートを羽織ると、外へ。]
[屍体に鴉が群がることは、ままある。]
[が、鴉が屍体で群がるのは、珍しい。]
[ちらり、と辺りを見回した。]
[濃い靄。]
[よく見えない。]
まだ、あれあんのか?
ウォトカに生姜を漬けた酒。
あればそれも持ってきてくれ。
まずこれでいいか。
[そう言ってウォトカを生で呑み始めた..勿論何も食べずに。]
― 井戸/早朝 ―
[吐く息がことさら白い。
井戸の縁に手をついて。
深い、暗い、底を覗き込む]
……。
[薄く、目を閉じて、呟きを落とす。
いつもの、日課]
さて、行かなくちゃ。
[言って、ふと首を傾げた。
そう言えば、昨日もそんなことを言った気がした]
まあいいか。
[悩んだのは、ほんの数瞬。
なんとなく宿の方角へと歩き出した]
―宿 回想(夕方〜深夜)―
[その日の夜は、久しぶりに宿で食事をとった。窓を揺らす冷たい風が嘘みたいに、夕食の席は温かな空気が流れていたと思う。
イライダさんとも久しぶりによく話をした。頭はあまり良くないと自負しているので、難しい話は理解できなかったと思うけれど。森や湖の話が出るなら、多分、子供みたいに目を輝かせながら興味深そうに聞いていた。
ちなみに水車小屋の前にいたのを彼女に見られていたことには、まったく気づいていなかったらしい]
それじゃ、お休みなさい。
[あまり遅くなる前に、割り当てられた部屋へと向かう。
作り掛けの細工と木堀ナイフを取り出して]
――――――……よろこんで、くれるかな。
[一人、少しだけ笑って。
その日は夜が更けるまで、木を彫る小さな音が部屋に響いていた]
―宿 1日目―
ふわぁ。
[眠そうな目を擦りながら、一階へと降りてくる。
揚々と酒を飲む男の姿が一番に目にとまった]
おっちゃん、随分派手にやってるなぁ。
[豪快にストーブへ足を投げ出す姿に、ニイと笑い。
猟師の彼と、樵の父。森で生活を立てる彼らは、親交があったようだ]
僕は朝ご飯をください。……え、もうお昼だって?
[寝ぼけた顔でずれたことを言えば、訂正する誰かの声が挟まれるか。誤魔化すように頭をかくと、席に付いた]
[しばらく、じっとそれを見つめたあと。]
[5・6本ほど持って、家の中に入る。]
[暖炉に薪を放り込むと。]
[ふと、思い出し。]
[ポケットに入ったままの、ぐちゃぐちゃの封を切ってみる。]
[ざらっと目を通し。]
[それから。]
[ライターの火を灯すと、暖炉に放り込んだ。]
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