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いいえ。
たしかにそうですわね。せめてキィ=キョウを与えていただいたサージャリム様には感謝しなければ…。
心寄せるというより…支えになる方はいらっしゃらなかったの?
[そっとソファを立ち上がり、スイ=レンに寄り添い、手をとり]
ならせめて、あと少しの間…ですけど、
[少し言葉に詰まって]
わたしがあなたの支えになりますわ。
───…な。
[細い手が、柔らかく掌をすくいあげる。
告げられた言葉に、思わず息を詰まらせて言葉を失った。]
なに、……を。
サ=フラ=ワーさんとショウさんのようには、いかないと思うんですが…。
スイ=レンの心のどこか、一部の支えになれれば…って。
キチェスだから…?
どうでしょうか?わたしは、キチェスらしいこと、今までしてきたことなかったから…。
慈悲だなんて言えるほどのことはできませんが…。
[抵抗がなければ、彼女を抱き寄せるように、
──縋るように、しただろう。]
……ローズ。
キチェスの慈悲ならば、───欲しくはない。
だが。
───俺が聞き惚れたのは、お前の歌だけだ。
俺を酔わせたのは、お前の声だけだ。
一人でいると、……気に掛かるのは、お前のことだ。
……キチェスの慈悲は要らない。
ローズ。
………それは、お前の本心、……か……?
慈悲だなんて言えるほど、わたしはできた人間ではありません。でも、わたしがキチェスであることは代え難い事実ではあります…。
それでも…それでも、あなたが、望んでいただけるなら…
あなたの心の支えになりたい。
──…、……ローズ。
[彼女の言葉に、ほっと力が抜ける。
一度身体を離して、泣き笑いのような表情で彼女を見つめた。
そうして、再び抱き寄せ──耳朶に、頬に。
唇をそっと寄せる。]
──傍に、いてくれ──
[不器用に微笑んで、彼女を見つめる。
空色の髪を撫で、そうしてまた静かに*口付けた*]
[抱き寄せられると、軽く両手を回し、スイ=レンを包み込むようにして]
──そうね、傍にいるわ。あなたの傍に──
[スイ=レンの求めるままに。
そして、そっとその金色の髪を優しく撫でた**]
[相変わらず、睡眠ルームの椅子に力なく座りながらまどろんでいたショウの意識を、異様な鼓動が叩き起こした]
(ドクン、ドクン、ドクン…)
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