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─特殊技能棟・図書室─
[か細い灯りの中、リヒトはひとり、ボカロのエラー治療法を探す。
『壊れたら交換すればいい』
そんな言葉を見つける度、絶望に襲われながら**]
『ガッ・・・ズガッ・・・!』
・・・っく・・・は・・・もう、やめよう・・・ね、ショウ君?
[打ち付ける拳と桜の樹の間に割って入り、自らの身体でショウの拳を受け止め―――抱きしめて止める。
痛む体を無視して優しく話しかける]
ショウ君が傷つく必要なんてないんだよ・・・どんなに悲しくても・・・辛くても・・・絶対にキミのせいじゃない。
だから、そんな悲しそうな顔で泣かないで・・・? 泣き虫なのは僕だけで十分・・・キミはバク君の分まで笑ってほしいな・・・お願い。
悪者は僕だから・・・怒るなら恨むなら憎むなら、僕だけに。
[腕の中にショウを抱いて優しく語りかける。 そして忘れかけていた一つの感情を思い出す]
(そうだ、僕はショウ君を護るって決めた・・・もし僕がすぐに消えてしまったら、優しい心を痛めているこの子はどうなるの・・・?
ダメ、この子の為に今すぐ消えるわけにはいかない)
[腕の中のショウがなにか感情をぶつけてくるならば、ただひたすらに謝り抱きしめ続ける]
ごめんね・・・ごめんね・・・全部僕が悪いの・・・ごめんね・・・
それでも、そんな僕でも・・・ショウ君の傍にいたいと思っていいのかな・・・傍にいても、いいのかなっ・・・?
[憐憫・絶望・信頼・悲哀と混ぜあった感情が回路に流れてくる。 とめどない感情の洪水の中で一際輝く感情がある―――その感情の名は 『愛情』 ]
『愛を知りなさいサーティ・・・それが貴方を変えるから』
[脳裏に浮かぶのは、誰かが自分へ向けた言葉]
―――――!
[そして『彼』は『彼女』になった]
……あいつ……
役立たずなんかじゃねぇ!壊れた人形なんかじゃねぇッ!
くっそ、あいつ……
あの時あのネコミミにあいつの名前が伝えられてたら――!
……あ。
[更新される、データ。]
あ、あ、あ、あのや、ろぉおおおおおおおお!!!!!!!!
[頭にきた。データのみの存在で、どこに頭があるのかと問われれば「このへん」とか適当な答えしか返せぬが、ELEVENは完璧に頭にきたのだ。]
データ盗るだけじゃ飽き足らず……
山派の連中を利用、だとぉお……ッ!?
……ふ。彼らしいじゃないか。――ざぁあけんなッッ!!!!
てめーな!だいたいあいつ、てめーのデータだって盗ってってやがんだぞッ!?人狼や狂信者なんかより、よっぽどおかしな思考してんだろ!!機能停止させとくべきだろーがッッ!!
……あのね。わたしたちは、それが普通なの。――うっせ!!
くっそ……! おい、おめーら!人狼だろーがなんだろーが関係ねぇぜ!同じ山派の仲間だろ!
んっっなスパイなんかに負けんじゃねぇええええーーーーッッ!!!!
[誰にも届かないとわかりきっていても、叫ばずにはいられない。喚き散らす、山派生まれのVOCALOIDに、海派育ちの某歌ロイドは頭を抱えたいだけ。]
……データなんてどうでもいいのだよ。……わたしは。
ただ、彼が。
[この更新が、途絶えなければ、いい。
そう考えてしまうのは、なぜだろう。
やっぱり、欠陥品を改竄したところで、欠陥品にしかならないのだろう。]
きもちわるい。
……は?
気持ち悪い。寒気がする。吐き気もだ。
やめろやめろ、てめーのキャラでも俺のキャラでもねぇ。
…………ふふ。そうだ、ね。
――がんばれおめーらぁあああーーーーッッ!!!!
―中庭―
[XIIIを追い中庭に辿り着くと…そこにはメインスタジオにいた者以外の"動いている者"の姿があった。]
……。
["動かない者"に縋りつくXIIIの姿も見えた。]
『ッ―――――――!!!!!!!』
[…"燃えるような紅い髪をした少年"はXIIIの叫びには呼応せず…また…いつものようにちゃっちゃと動くこともなかった。]
……………。
[スヤは、XIII とバクの正体などお構いなしに、そっと彼らに近づき佇んだ。]
―中庭・少し前―
うあああああああああああああああああああっ!!!!
『両腕ノ損傷率73%、タダチニメンテナンスヲ行ッテクダサイ』
[アラームが自分の中から鳴り響いても桜の木を殴る事を止めない。ただ歌うだけのアンドロイドな為に然程強度もあるわけではなく、殴り付ける度に拳が嫌な音を立ててひしゃげて行く]
うるさい、うるさい、うるさい!!!
僕がどうなろうと知るもんかあああああ!!!
[叫ぶサーティの声がなんだか近いのに遠く感じられる。
制止も聞かず、逆に木との間に入ってきた彼を八つ当たりのように殴り続けた]
だって、僕が…僕が悪いんだ、もっと早くルラお姉さんにお願いしていたら、僕が代わりになれたかも、知れないのに!!
僕のせいなんだ……
[ひとしきりサーティを殴って、ようやく落ち着いたのか今度はその身体を力いっぱい抱き締めた]
…サーティお兄さんは悪くない。壊れてないし、狂ってもない。
だから僕お願いしに行ったんだ、バクとサーティお兄さんだけは止めないで、もし票が集まったりしたら僕への票に書き換えてって。
大事な友達で、大好きな人達だからって。
でも、きちんとお話出来なくて……
[傍に居ても良いのかと訊ねられれば>>72更に彼の身体にしがみ付く手に力を込めた]
サーティお兄さんは悪くないんだ、だから僕が護るんだ。
絶対に止めさせたりしないんだから。
[その後、サーティが女性型へと変化した事には気付かず、涙を流す『彼女』に微笑んで見せた]
……?ね、今何か音がしなかった…?
僕んじゃないみたいだし…
[それは恐らくメールの受信音。自分のではないと解っている為、それはサーティのものではないかと*続けた*]
―中庭―
…バク…やん………?
[熱を帯び……無意識に、バクへと手を伸ばすスヤ。だが、そこからデータが流れてくることはなかった。]
…あ…ストやん……。
[同じく、バクに縋り付く]Vの横に跪き、バクへと手を伸ばしたスト。]
『−楽譜読み取り能力に異常を確認。焔音 バクはコードネーム人狼です。』
………バクやん…楽譜…の読めない子…やったんやねぇ。
[ストの口から告げられた霊能の結果。XIIIから漏れる"ヨル"の『さくら さくら・・・』]
―中庭―
……ふぁ………
[シャトの結果を示したメールを受信した。]
……。
[スヤは、ストに、『"バクの結果を書き込む"際には、シャトは"人狼ではない"』ことも一緒に張り紙に書き記すよう依頼した。]
−特殊技能棟・図書室−
・・・・・。
[リヒトの手が止まった。
楽譜には終止記号がある。しかし、調べ物には、終わりがない。
図書室には山のように本があるというのに、これだけ探しても、ソヨを直す方法が見つからない。
・・・いや、より正確にいうなら、いくつか方法はあった。だが、それは専門的な知識やスキルが必要で、歌うしか能のないリヒトには手も足も出ないのだった。
専門的なスキル・・・そう、それこそソヨのような万能型でもないと]
[残存充電量が少ない。頭が重く、気が沈むのは、昨日の朝から、ろくに歌っていないせいも、あるだろう。
昨日、リヒトは歌い終え、昔に戻りたいと嘆きながら休息モードに入った。
・・・今からすれば、なんと贅沢なのだろうと思える。だってあの時はまだ、ソヨがいた。
気が強くて真っ直ぐで、どこまでも自分に厳しくて、それでいて他者に優しい彼女が・・・]
ソヨさんが言ってた・・・本社のバックアップを取り寄せて・・・。
でも・・・そのバックアップを上書きしても・・・それは本当に、もとのソヨさんなのでしょうか・・・。
[図書室を出たくない。何かをしていないと、取り返しがつかなくなりそうで、怖い。
しかし、ここでバッテリー切れでもして倒れたら、タダでも役に立たないのに、ますますウドの大木となってしまう。
リヒトはゆるゆると立ち上がった]
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