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─個人ブース─
[ブースの中に、「主よ、教えてください・・・」で始まる、迷いと不安と苦しみの声が満ちる]
Herr, lehre doch mich,
daß ein Ende mit mir haben muß.
und mein Leben ein Ziel hat,
und ich davon muß.
[我らは必ず終わる、我が命は必ず尽きる。我がここから去る日は、必ず来る・・・]
[震えるようなコーラスが続く。無力さと恐怖を訴えかける]
Ach wie gar nichts sind alle Menschen,
die doch so sicher leben.
Sie gehen daher wie ein Schemen
und machen ihnen viel vergebliche Unruhe;
sie sammeln und wissen nicht,
wer es kriegen wird.
[命など、あって無きがごとき、はかないもので、皆、ここに確かに生きてはいるけれども、影のように移り変わって、つらねる思いもむなしく、積み上げるものすべてが無駄になっていく]
(Nun Herr, wes soll ich mich trösten?)
[独唱の歌い上げる苦しみに、コーラスが震える声でたずねる]
[では、我々は、何に望みを託せばいいのでしょうか?]
[ブラームスのドイツ・レクイエム。その第三楽章。
全ての感情と技術を込めて、・・・歌う]
[何もできないのかという二人に、話しかける。]
何がしたいのかしら?
[こちらから向こうへはなにもできない。
手助けは全くできないだろうと思ったが、なんとなく聞いてみたかった。]
[「何がしたいのかしら?」
ノソラの言葉がデータだけになったヨルの中で響いた]
僕、は・・・僕のしたいこと・・・
歌いたい、泣かないでと言ってあげたい、歌いたい、
早く終わらせてあげたい、
――終わらせる・・・
どうやって?
「蝙蝠」と「人狼」を停止させれば、それは幸せな結末?
早く終わらせたいのなら、サーティさんを停止させればいい、けれど、「蝙蝠」は・・・「蝙蝠」が・・・
僕にボディがあったとして、皆が悲しむのをどうやって止められる・・・?
[ヨルの思考はデータの海の中、呪文を唱えるように*廻る*]
[「何がしたいのかしら?」
ノソラの言葉を聞いて吼える]
わからねーよ!
俺にはわからねー!
でもじっとしていたくない!
今はただ、あいつらの傍に行ってやりたい!
何で俺はこんなところで燻ってるんだ!?
―自室―
人は誰もが 何かを犠牲にして
我侭な理想を 紡ぎ歩む
永劫の時 消えない痛みに
君の姿が 滲み色付く
誰より素直な 澄んだ 恋心
愛しい君 二度と離れない
蒼い世界で 誓いの口付けを交わそう
[いつか誰かに指示されて歌った、寂しい恋の歌を呟くように口ずさむ]
[歌詞の意味を、今なら理解できる、と。]
[ヨルとバクの言葉を聞き、一言だけ]
歌いませんか?
[ただ単純に二人の歌を聞きたいと思った。
今までの存在する理由が欲しくて、憶えるために聞きたかったのではなく。]
─個人ブース→特殊技能棟─
[リヒトは早足で、特殊技能棟へ向かう。
個人ブースのそばを通る人がいれば、開いたままの扉や、散らばったままの楽譜に気づいたかもしれない]
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