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…………ん。なんだろう、これ。
[自分の中に見知らぬデータの存在を発見。
開いてみて――]
ぶ。
[盛大に噴いた。]
……こんなものまで吸い取っていたとは、ね。
[それは、そう、最後のあの……――
――――なんだったろうか。]
―廊下?―
[ベルと共に歩きながら、自分の中の不具合をチェック中。意識は警戒を保ちながらも慌しくしていた。だからこそ]
『ソヨさん、中庭!』
え!?
[そんなベルの大声に驚かされる]
─生活棟・サイの部屋─
AIKAさん、すみません!
お願いです、少しだけ確認させてください!
[テープを貼るロボットアームに懇願し、部屋を開く。
やはり、サイの姿はどこにもなく]
・・・サイさん。
[妙なケーキを作って、はしゃいでいた。その姿が思い浮かぶ。
ほとんど話は出来なかったが、遠目で見たときは、いつも明るい人だった]
[ともかく、このことを、皆に伝えなければならない。
後にしたばかりのメインスタジオへ、再び向かおうと]
[作られたボディから、雪音ヨルの記憶と人格は本社の記録バンクへ転送される]
(自分はいつまで知覚していられるだろう?)
[“0”と“1”が作り出す海の中で、ヨルは浮遊する]
――サイ、さん?
あなたも、・・・止められてしまったんですね・・・。
[そして朱音ノソラと名乗ったデータに、言葉を返す]
初めまして、ノソラさん。
僕は、雪音ヨル・・・あなたの、後輩です。
・・・ノソラさんは、ここでずっと見ていたんですね。
僕も・・・見守ります。この記憶と人格データが、消える瞬間まで。
[もう、自分が欠陥を持つということに縛られる事はない。
泣きながら自分を眠らせてくれた優しい「人狼」を、ヨルはそこから見守り続ける・・・]
うーん、一応後でサイお姉さんに聞いてみるかー。なんか難しい事だからちゃんと覚えられるかどうか不安だけど。
とにかく何かあったら大声ね!大声!
シャトはくれぐれも気を付けてね、ね?
[サイにの人格の分化については後程本人に聞く事にし、シャトへしつこい程に何度も念を押してメインスタジオへと移動する。
その途中、廊下の窓から中庭が見えた]
…サーティお兄さんだ、またお花見してるのかな。
1人じゃ危ないって言ったのにー。
[それでも何故かそちらへと向かおうとはせず]
ん。
[聞き覚えのある、声がして。]
ヨル、か。
きみは――…… 人狼の方に、やられたのかな。
[やられた、という表現が正しいかどうかは、あんまり気にしない。]
しかし、データだけというのも不思議なものだね。
……だろ? 俺なんかここ数年ずっとそうだったんだぜ?
……………………
おまえ、まだいたのか。
[頭を抱えたかった。]
―中庭が見える場所―
[ベルに引っ張られるようにしてここまでついてくればもう好きにさせる。そしてベルが自分の見せようとしたものを知り、そちらに目を向ければ]
――え
あ、
あ、あ、あ
[身体が固まる。動けなくなる。ベルの示した光景が目に焼きつく。張り付いて張り付いて、身体に心に纏わりついて――]
『な、なんてことを…』
[その言葉も遠く、その場から固まったまま動けなくなっていた]
―生活棟・自室前廊下―
中庭のほうがなんだか騒がしいな……。
戻るか?
いや、やめておこう。
明日も色々と忙しくなるだろうからな。
[自室へと戻り休止モードに入った]**
!!
[停止しかかった瞬間、急にベルの手を引いた。
目の前の光景で改めてルラの安否を、先ほど声をかけたばかりの彼女が心配になった。せめて一緒にいるべきだといい、ベルを強く誘うだろう。中庭の光景から逃げたくなったという想いと共に]
雪音 ヨル、本社に欠陥品と判断されたもの。
存在意義をなくし壊れても問題ない・・・。
本来ならば話す必要は全くない。
が、酷く気になる。
なにをしたいのか、聞きたいのか分からない。
だから「お疲れ様でした」とだけ伝えた。
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