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――――。
「私」の目的は無念であり。
その行動も無念故の塊だ。
今更、私一人が人間として生き、「彼ら」を差し置いて幸福を享受しようなどとは思わん。
……戯言はそれで終わりか。瀬良悠乎。
[スパルタクスは背を向けた。]
[喪われた五感、そして意識。淡く輝く光点を見出した、と感じた。それを手がかりに、自らを呼び戻す]
……そうだ。
……私、は。
[回復した意識。それが求める強い衝動があった。
右手の宝具を元の形状に戻し、身を起こす。魔力で編んだ剣を何処からともなく引き抜いた]
……死な、なければ。
[少年が手に在るは断頭の剣。
かつてゴリアテから奪い、その首を断ち切った因縁の剣。
ゆっくりと掲げ、自らの首筋に突き立てようとする]
Ay amor――
[一度、目ばたいた。幻聴のように響いた麗しい声。
だが少年は変わらず、ゴリアテの剣の切っ先を見つめる]
ダビデっ!
[令呪の生んだ光が瘴気に包まれ塗り替えられる。太陽が染めた橙色までもを消し去り、辺り一体がその渦に包まれたようだった。
目を凝らしてみれば、真っ直ぐに向かっていったそれはダビデを傷つけることがなく、けれど吸い込まれていった瘴気は確実にダビデを蝕んでいるようだった]
だめ――っ!
[再び響く、声。今度ははっきりと聞き取れた]
Ay amor――
生きて!
[声の主を、思い出す。眞奈みなみ。
再びの契約と契りとによって結ばれた、己がマスター。
そう気づいた瞬間、剣を握った手の自由が取り戻された]
[零距離から叩き込まれた魔力弾。
その威力は自分自身の魔力とは比べるのが失礼なぐらい強力だった。
それは重力を展開する間もなく着弾した。
まるで車にはねられた人のように飛び上がり、そして地面へと倒れこんだ]
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