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[血塗れた女を振り返ることなく、
決して叶えられることのない誓いを抱いたまま、
平等を欲した青年は風に紛れて消える。
去って行く敵を目に留めることはない。
ただ、惜しかったことがあるとすれば、
彼の刃が、この身を貫かなかったことか。]
[ただ見つめる事しかできなかった。
新たに現れた二騎のサーヴァントとキラーの攻防。
自分に出来たのは奥の手でキラーに多少のダメージこそ与えはしたがそれだけだった。
出て行って止める力などなく、気づけば場は静寂を取り戻していた]
せめて、最後ぐらいは……。
[悠乎の亡骸に魔術を施し見かけだけは全く傷のない状態へと戻した]
僕も撤退しないとね。
[ダビデに念話で撤退を伝えると闇夜の中へと姿を紛れこました。
最後の瞬間、少女の中に安らぎがあった事を*祈りながら*]
[ 男が、少女と異形の間に割って入る。異形が大きく跳び下がる。ツカサは、全身を朱く染めた少女の元へと駆け寄った。]
く…。
[ 無残な姿に唇を噛み締める。すでに少女ではないその人影を抱きかかえ、何かを言おうとするが、それはまるで言葉にならず。
振り返れば、男の姿が消失するところだった。]
………ッ
[ うつむき、歯軋りをする。足音に顔をあげれば、逃げられちまったと左之助が口を開いた。]
いや、ありがとう。…すまない。
[ それだけをようやく口にした時、何処からか飛来した魔力に身を強張らせた。が、それはハルカの亡骸より傷を消し去り、消滅する。左之助が辺りを見渡すが、今はいいとそれを止めた。
せめて教会へと届けよう。そう思った時、ハルカの身体がゆっくりとツカサの腕の中で消えはじめた。はっとして抱きかかえようとするも、ひとすじの光を残してハルカは*消失したのであった――*]
[さらさらと、水が流れる音。もう夢でもないのだろう。
流れていくのは、身体。
引き裂かれた身体。
二人の魔術師によって修復された身体は、その身体に溜め込んだ時間の余波で崩れ落ちていく。
まだまだ人の身には余る術だと。
祖父の遺体はなかった。死んですぐに朽ち果てるのだと、父が言っていた。
自分の体もまた、朽ちて吹く風に流れるように、姿を失っていく。
骨すら残らずに。
最後まで、令呪は輝きを放っていた。3つ残されたそれは、最後に消えていった。
仮面が消え、害した影が消え、少女が消えて。――着ていた衣服だけが、赤く染まり、散り散りに引き裂かれて、そこに*残っていた*]
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