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次の日の朝、おひめさま シュガープラム が無残な姿で発見された。
言い伝えは本当だったのかもしれない
白く可憐なお姫様はニコリとほほ笑んでいるが、なにかがおかしい
…いやむしろその表情はピクリともかわらない
祈るようなポーズをする彼女は【人形とされてしまったのだ】
あたりはしんと静まり返っている
さぁ彼らはどうするのだろう?
現在の生存者は、レモン、クランベリー、カシス、メロン、ミント、コーヒー、ミルク、ソーダ、ニッキ、ライム、リンゴ の 11 名。
おひめさまの姿を見てパァっと顔が明るくなる
「おひめさま!おは……よ…ぅ…?」
いつもの調子とは違って語尾がどんどん小さくなった
何故ならばそのおひめさまの様子がおかしかったから
「え…?おひめ、さま…?
ね、ねぇ…どうしちゃったの…?」
肩を叩いても身体をゆすっても目の前に手をやりブンブンと手を振っても、おひめさまは微笑んだまま動かない
ーおはよう、ドルチェ。今日はどんなお菓子をだしてこの世界の人たちを笑顔にさせましょうか?
いつもそういってくれるおひめさまは今日は何も言わなくて
「…ねぇ、ねぇ……
…本当に【お人形さんになる魔法】は存在していたの?」
誰に言った訳でもないから当然返事はなかった
ドルチェの目からポロリと、涙が出、そのままそれは雫型のグミへと変わった
ハッとしてぐしゃぐしゃと出そうになる涙を無理やり拭う
「……この中の誰かにネズミさんがいるんだ…」
[甘く蕩けるような微笑みを浮かべていたおひめさまは、何人をも惹き付けるであろう表情をそのままに、それが永遠になった、いや、なってしまったことが見て取れた。]
…穏やかじゃない。
なになに、なんなのこの状況。
ドルチェちゃんも泣いてるし…。
それに、カシスちゃんのメモ。
一体何が起きてるの…?
ついてけてない、あたしついてけてないよ…!
グミに変わったドルチェの涙を見て思う。
私も泣いたら、お菓子の涙が出るのかしら、と。
「……だいじょうぶよ、なんて言えないけど。
ネズミを探しましょう。
私、探せるみたいなのよ?
ネズミがいるなら、ネズミがお姫様を人形にできたのなら、私のネズミを探す力だってほんとうよ?」
ミルクの口に無理矢理詰め込んだ飴の色を仮面越しに見てみる。
色は、変わらない。
「【ミルクはネズミじゃない】わ」
「ねぇ、おひめさま、なにかいってよ」
わかってる、わかってるけれど、今にも喋ってくれそうだから、思わず声をかけてしまう
「……ねぇ、なんで…」
ぽろり。ぽろり。
雫型のグミが緑、ピンク、水色、黄色とカラフルに落ちる
気がつけばおひめさまと彼女の周りにはグミだらけになっていた
「…………」
彼女はそのまま黙りこくってしまった
きっと【誰かに話しかけられても応じることはないだろう】
「でも、ネズミの魔法が存在するなら、言い伝えは本当ってこと!
ボクらの誰かは能力を持ってる、ネズミは見つけられる!
ネズミさえ見つかったら、大丈夫。
魔法を解いてもらったらいいよ。
ネズミが掛けた魔法だから、きっとネズミが解けるはず。」
メモをなぞって頷きます。
ほら、ボクの思ったとおり。
「ほら、もうカシスが魔法を使ってるよ。
ボクは能力はなかったけど、何か協力できたらいいな!」
「こんにちは
あら、あら?あら?お姫様?
なんてことでしょう、どうしたことでしょう…!」
昨日お話をしたばかりのお姫様が、お人形のように美しいお姫様が本物のお人形に変わってしまった。ネズミ…本当に、いたのだろうか
「あぁ…寝る前のお手紙が上手に届かなかったのね。困ったわ、私ったら美味しそうなお菓子に釣られて気がそぞろになってしまっているのかしら。
私ね、【ネズミさんの事を見つけることができるの】。
とは言ってもネズミさんが本当にいるなんて思わなかったから昨日お話してくれた【クランベリーちゃんにこの飴を舐めてもらった】のだけど…
色は変わらなかったの。ね、クランベリーちゃん。
だから【クランベリーちゃんはネズミさんじゃないわ】」
おはよう!
・・・んー?なんだか、悲しい雰囲気を感じるね。
あ、お姫様・・・そっか、もうお話してくれないんだね・・・それは寂しいなあ。
なになに?ネズミさんを見つければいいの?
それで、カシスちゃんとメロンちゃんが魔法の力があるんだね!
僕には力はないよ!
だから、他のことで協力出来たらいいなあ!
でも、魔法の力を持ってる子ってどれくらいいるんだろ?
わからないな〜誰か知ってる子はいる?
/*コーヒーはきょろきょろとあたりを見渡している*/
綺麗で可愛いお姫様が、動かなくなった。その衝撃は私よりも、ドルチェの方が大きいようで、ポロポロと溢れ落ちる涙は、色とりどりのお菓子が広がっていく。
「……綺麗」
ハッとして口を両手で覆う。ドルチェの涙が綺麗で、思ったことを言葉にしてしまった。
誰かを思って泣ける心が、素敵だと思った。
「あ……違くて、その」
戸惑いながら口を開く。場違いな言葉に対して言い訳をするより、正直に話した方がいいのだろうか。変に思われないだろうか
そんな風に、ぐるぐると考えていると、昨日話しをしていたメロンさんが、私を占ったと話し始めた
(……あ、飴)
コロン、と口の中で転がるものを感じる。そうだ、メロンさんに飴を貰ったんだ。
本当に、ねずみはいるんだと実感する。頑張らなきゃ。頑張ってお姫様も、王子様も、元に戻さなくっちゃ。
「えっと…メロンさんだけじゃなくって、カシスさんも…飴を持っているの?」
2人も占師がいるのならば、簡単にネズミが見つかるのではないだろうか。
(……本当に?)
ドルチェは、能力を持ってる人がいると話していたけれど、複数人いるといっていた?聞いていなかっただけ?
チラリとドルチェを見る。
痛々しい姿。その虚ろな瞳は、お姫様を想っているのだろう。心配する気持ちは勿論ある。けれど、その気持ちを美しいと感じてしまう。
「あ、あの…メロンさんと、カシスさん…どちらかが…その…………」
ここにいる人たちに声をかけた。
けれど、声はどんどんとしぼんでいく。味方だと名乗ってくれた2人のうち、どちらかが嘘をついてるなんて。そんなこと、言い出せなかった。
ドルチェに声をかけたくても、何を言えばいいのか、私には分からなかった。
「2人かあ、もっとたくさんいたら、ネズミもすぐ見つけられたのにな。」
>>カシス、メロン
「あ!挨拶もしてなかった!
よろしく!2人とも。
ボクが協力できることがあったら、なんでも頼んでよ。」
頼りになる2人だ、そう思って手を差し出します。
「えーっと、2人もネズミじゃない。
2人が占った人もネズミじゃない。
カシス→ミルク
メロン→クランベリー
って占ったからその4人以外だね。
うーん、誰が怪しいかな。
ネズミっぽい人?
あの4人以外でネズミっぽい人なら、あの人かな。
コーヒーって名乗ってたよね、ドルチェに。」
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