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[広場の瓦礫に突き刺さる、崩れる最中、どこからか落ちてきたのだろう、
鉄製の棒。
それを視界に入れ、立ち止まり。
手を伸ばす。
伸ばした左手は震えたまま。]
……
[ざ、と足を引き、重心を落とし、居合と呼ばれる剣技でもするかのように、
一気に空間を薙ぐ。]
……
[ぶん、とそれを一度振り、
そして、また振り向いて、ヴェスの後を追い、
ナトゥーリアの向かう場に足を進めることになるか*]
……っ
[向かう最中、震える手を腹ただしく、乱暴にポケットに突っ込んだ。
そのとき、ポケットに入っていた通信機に触れ、思い出す。]
……
[少し、手が止まり、
そのまま作動させることなく、手を離し、
ポケットから手を抜いた*]
[両肩に重さが掛かった。
そう思った時には、口にボトルの口がねじ込まれ、不味いものが流し込まれていた]
「あはは。
あっははははは!
あーおかしい」
げほっ、げぼっ、んぁ……ごほっ……
[再び、膝をついて止まってしまう。
激しく咳き込み、えずいた。
辺りに響いたのは、場違いな笑い声]
「ふふ、あはは
あー楽し。
あなたらしくもない。やられたわね?」
[ひょいっと膝つくのに合わせ瓦礫に降り立ったのは、小柄な姿の情報屋。
外套のフードを目深に被っている]
………あ─── あ…──、
「で、あなたはそこまで面白く無い方。
3ヶ月ぶりのお久しぶり。
スティーブさん」
[遅れて来たスティーブにフードを向ける。
この場合、面白く無いというのは反応の話かもしれない]
「あなたって、勇気はあってもオツムが足りない感じ?」
[スティーブに向けて容赦ない批評の一言。
勇気と言うのはこの場合先程の一幕>>3:+27のことか。
そこに居たか居ないのかすら、情報屋は語らなかったし、スティーブもどうだったか見回してはいないだろう]
「こんな彼。
役立たないじゃない。
正気にまず戻しなさいよ」
……ーーー……しくじった……
[そこは、病院。誰かに送り込まれたらしい。
患者が増えているため広い部屋に雑魚寝に近い形で多くの患者が集められている。セーガはその1人]
…あれは流石に想定してない…イギーの言った通りだった…
[ブツブツと呟きながら自身の傷の確認。 足を貫いているところは処置が施され、あとは氷の鎧もどきのおかげで全身を強く打った程度。 いや普通ならそれでも苦痛に苛まれること請け合いなのだが、青年は痛覚に鈍感だった。]
………ーーー、目的の変更…侵攻を…なんとか足止め…
よくわからない白いやつはどうするか…
[思考を回す、銀色だった目はじわりじわりと『元のオレンジ色』に戻り始めていた。顔の表面にあのマークがまた浮き出始める。]
[続いてスティーブに放り投げたのは、水のボトル。
これでも飲ませろという意味だろう]
「スティーブさん、ボトルの料金は五割増し。
ちょっとォ、今支払おうとしないで。
請求は全部彼に回すから」
[情報屋の軽く明るい笑い声で話は流され]
「あなたの馬鹿顔は堪能させてもらったわ。
あんな顔、出来るならもっと見せてくれたら良かったのに」
[地面に視線彷徨わせ、その後に辺りにまた視線を送り、能力行使対象を探そうとしているのを見遣りながら、情報屋は続ける]
「幾ら特ダネ送っても反応が無いと思ったら。
ああいうのが好みだったなんて」
[リサーチ不足だったわァ等と呑気にのたまっている姿に、赤い両眼を向ける]
[周囲を見わたし、自身のコートやブーツ、手袋を見つける。すぐに装着し着替えを済ませる。 1度目を閉じる。]
………ーーーー………。
[サムい。冷たい。 でも、制御しきれないなら、これで、いい。]
……ここを、抜け出す。 タリアを、とめる…
[目を開けば、そこにあるのはいつもと同じ顔、同じ瞳の色の氷の青年。中途半端に発動しっぱなしの能力によって得た『オレンジの瞳』で、この場を逃げ出す方法を考え始めていた**]
「その顔何かしら? 分からないー」
[情報屋は>>+25肩を竦める]
「スティーブさんもだけど、この世に自分達しか居ない、みたいな顔と行動は面白く無いわよ」
『こちらチーム・ハバネロ。
準備よし、てー!』
[何処ぞの店から調達して来たのか、広場からロケットランチャーが続け様に数発、ナトゥーリアに向けて直撃する。
更に破片と爆風が降り、というか、まだ逃げ切れてなかった通行人も爆風で飛ばされる始末]
「ダメージ効いて無さそう。
偽物事件とは耐久度が違うみたいね」
[とある中層バーの即席異能者集団(チーム)の物理攻撃を、爆風で舞い上がりかけるフードを抑え、情報屋は一言。
住人が爆風に巻き込まれているのに動じて居ないのは、それがドームの華のドンパチ所以だからか。
武器の選択を気にしていない所にも、市井の異能者達には、市井の強みがあるのが見受けられる]
「そろそろ行くわ。
あなたが死ぬと面白く無いし、玩具……じゃなくて、人生の楽しみが欠けるもの」
[わざと情報屋は言い間違えて言う]
「スティーブさん、まだ駄目だったらこれ試してみて。
マスター特製のハバネロohハバネロ。
ショック療法、強ち侮れないものよ」
[情報屋はマスターから奪…もとい預かったという、ハバネロ漬の小瓶を更にスティーブに投げた]
[引き攣った顔で、スティーブを見上げる。
まさか、食べさせないよな、という顔。
ふるふると逃げ腰になっている]
…や……だ
すてぃ……しない、よね……
「こちら、情報屋。
天女は移動してる。
広場での中層防衛線、ここを落ち着けたら合流するわ」
[情報屋はフード下、耳に装着した通信機で連絡を取る。
機械生命体によって破壊された大通り一帯の状況が落ち着いたら合流すると連絡し、ウインクをひとつ、二人に向けて行うと颯爽と踵を返した]
「今を楽しく生きる為に、今の脅威に立ち向かうってね。
分かるでしょう?」
[それは誰に言った言葉か。
それとも、情報屋自身の今の指針であったのか分からないが、まだ辺りで激しく揺らめく中、恐ろしさを感じていない筈が無いのに、情報屋は行ってしまっただろう**]
ー 医療機関 ー
[慌ただしく右へ左へと働く人々を横目に出口を目指す。
気配を消すのは割かし得意だった。パキリパキリとコートの中で音が立つのも本人以外には気づかないほどだろう。]
………ーーー…。
[タリアを足止めする方法、白い影を止める方法。ここを抜け出す方法。考えるべきことは山ほどある。冷気によっていつものような愚鈍な思考へ落ちる前に考えきらなければならない。]
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