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あ…調さまと朱さまだ…
…素敵だなぁ、なんだかこの一連のことを忘れてしまいそう…
……出会った人々のことは勿論、忘れないけど…ね
最後にあの人に、会おうかな
…えー、祭り、でございますね。
祭りなんてなァ、幾つになっても心踊るもんで、連なる提灯、並ぶ出店。賑やかな町人、綺麗な浴衣のおネエちゃん。
一言に祭りと申しましても、色ンな祭りがございます。
此度、あたしたちがいるこの稲荷神社のお祭りは…なんでも百年に一度の当たり年ってェ話でして…ここだけの話、出るんですってよ、ば、け、も、の。
「おィ、バカなこと言ってんじゃねェよ、お狐様ったらこちらの神様だよ。バケモノなんつったらバチが当たるよ、このバカモノ。」
「そんなもんかねェ。おい、そんなことよか何か呑みてぇよ、ちょいと出店で一杯やろうや。丁度いい、あすこに唐物屋があらァ。どうでェ、たまにゃ洋モノ…」
「唐は大陸だよ、もう酔ってんのかィ」
「すまねェ店主、一杯頼むよ!」
「アイヨ!イイお酒アルヨー。【ムラサメ】【ニワサメ】【ジキサメ】っていう世ニモ珍しいお酒ヨ」
「へぇ、そりゃいいや。どんなだい?」
「【ムラサメ】は村カラでたラ、酔いが覚メル、【ニワサメ】は店カラ出たラ、酔いが覚メル、
【ジキサメ】は飲ンダそばかラ酔いが覚メルネ」
「なんでェそりゃあ。呑まねェ方がマシだィそんな酒。どうせ酒にいっペぇ水回してんだろ?」
「マサカ!水にお酒、回シテるネ」
「なンだよあの店は…」
「アレも商売なんだろ。それよかこれ見ろ、かっぱらってきてやったぜ」
「杏仁豆腐かィ、…おお、こりゃうめぇや」
「食ったらその辺の藪にでも皿ァ捨てとけよ、足がついちまう」
「あいよ、そおーれっと」
「あ痛っ!…誰です、お皿なんて投げて寄越したのは…これは…!杏仁豆腐のお皿…!私が稲荷の遣いの狐と知っての振る舞いですか…?杏仁豆腐の恨み、思い知りなさい!」
「…うーん、んん〜…?」
「どうしてェ、道にでも迷ったか」
「ああ、こんなとこに川なんてねェはずなンだが」
「大方、先だっての大雨で出来た川だろ、そんな深くもねえ、渡っちめェ」
「…ちょちょ、あの人ら、服脱ぎはって裸で水溜まり跨いどるんやけど」
「あらぁ〜?どうせお狐様に化かされてるのよ。放っておきましょうよ〜」
「そないなこと言うたかて…ちょい!旅のおふたりさん!」
「あァ?どしたィ姉ちゃん?…ありゃあ!川はどこいったァ!?」
「あーあー…この辺には『七度狐』ってな、えらい執念深い狐が居るんや。目ェ付けられたら、100年は恋焦がれられるかもなあ」
「俺たちゃ化かされてたンか…」
「まあ気ぃつけることやな。…とりあえず、服着ぃや?」
「…えれぇ目にあった」
「まったくでぇ…おい、もう遅ぇし、今夜は野宿だぞ」
「えー?のじゅくー?野宿するのー?」
「うお、おっでれぇた!こんな時分にガキ二人してなにしてやがんでぇ」
「…ん、このあたりは、『カメ』がでるの…」
「亀ェ?だからどしてィ」
「そうだよ、頭に『お』を付けて長ぁーくして『カメ』」
「…おぉ〜〜かめ。『オオカミ』かィ!?」
「…そう、だよ…?」
「そうだよ、じゃあねェよ…」
「おぅ、灯りが見ェるぜ、あすこで泊まらしてもらおう」
「それがいいや、あのぉー、すみませェーん。一晩休ませちゃあ頂けませんかね?」
「はあい、大丈夫ですよ。お任せ下さい!旅の方、お腹空いてらっしゃいませんか?スープならたくさんありますからどうぞあがってください」
「ありがてぇ、色々あって腹ァ空いてたんだ」
「くぅー、温まらァ……んん?なんだァこの味は?赤土の出汁に藁までへえってんじゃねェか。腹に左官でもへえりゃ壁ェ出来ちまわァ」
「おふたりさん、ちょっと悪いんだけど」
「今度はなんだィ、兄ちゃん。提灯なんかぶら下げて」
「急で悪いんだけど、留守にすることになってね。留守番を頼みたいんだ」
「ああ、泊まらして貰ってんだ、そのくらい構わねぇよ」
「…ただね、ここ、出るんだよ、幽霊」
「ゆ、ゆ、ゆ、幽霊!?」
「大丈夫。この提灯の油さえ絶やさなければ、あいつら寄ってこれないから。任せたよ」
「…お、おい、消ぇそうだぞ!」
「そんなこといったってもう油がねェよ!」
「こ、これなんかどうだ!?」
「バカ!油ったってこいつァ醤油じゃねぇか!ああ!消ェちまった!!」
「どどどどうすンだよ!で、出ちまうよ!」
「おお、落ち、落ち着け!そう簡単に幽霊なんか出やァったら坊主神主丸儲け…ひゃああああ!!」
「ででで出たぁぁぁぁああ!!」
「…え?あ、僕ですか…?」
「なんまんだぶなんまんだぶ…!成仏してくだせェ…!」
「いやぁ、生きてるんですけど…色白で生気がないとかは言われるけど心外だな…あ、聞いてない…。…おまえたち!」
「へ、へいぃ!」
「僕は怒ってるので、何か面白いことをしなさい」
「へ、へいぃ〜!!」
「…ねぇ、さっきの人たち、今度はお地蔵様の前で裸になって踊ってるわよ〜?」
「まぁた化かされとんのかい…なぁ!おふたりさん!!」
「おお?さっきの姉ちゃんたちかィ!いまそれどこじゃねンだ、こちらの幽霊さんが…あれェ!?」
「はいはい、ええから服着ぃ?」
「ったく、次から次と狐の野郎!」
「…くすくす、おじさんたちさっきから面白いねえ」
「ああ?なんだこのガキ……(……おい、こいつ狐じゃねえか?)」
「(ほんとだ、尻尾が見ェてやがら!)」
「あ!なにするんだよ、おじさん!」
「てめぇ!さんざっぱらひでぇ目にあわしやがって!神妙にしろィ!」
「おっ、こいつ!暴れんじゃねえ!」
スポンッ!
「尻尾が抜けたァー!!」
…ふと我に返ると、抜けたと思って掴んでいたのは、一本の花。
今宵の祭りのお披露目花でございました。
『稲荷祭りの七度狐』というお話でございます。
…さて、爺の仕事ァ終わりだ。
あとは若ェモンの先行きを見守らして貰いますよ。
くく、思ったよか愉快な里帰りになったよ。
…それにしたって不公平だねェ、あたしばっかりすっかり歳ィとっちまった。
やれやれ。あん時あたしも村に残りゃあなァ…。
[松風は、煙草を含みゆっくりと長い煙を吐き出した。]
朱や調の稚児行列も素敵だし、松風さんの小噺も面白かったなあ。
千代さんも花のお披露目が出来て良かったね。
……。
そろそろ帰らないとなぁ。
…帰ったら、父さんと母さんが余計僕を家から出さなくなるかも。
そうしたらもう、しばらく皆とは会えなくなるんだね。
……でも、僕だってたくさん経験したんだ。
体を早く治して、また来年もお祭りに行きたいな。
僕も、頑張ろう。
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