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[――なにもしなかったくせに。]
エスコート、すべき、ですね。
[一際大きな耳鳴りを振り払うように呟き。
差し出された手を取って、足首を痛めたらしいヤーニカが立ち上がりやすいようにと支える力を込める。
その手はいまだに震えていた。]
― 夕方・食堂 ―
[普段部屋に居ることも多いアリスが皆の前で話すことにも驚いたが、それ以上にその内容に衝撃を受けた]
馬鹿な!私たちは皆…なぜ結社はそんな妄想を…
[思わず声を上げたが、そんな横槍にも構わずに話し続けるアリスは、どちらかと言うと「いないこと」を証明するつもりらしい]
この中に狼の居るわけがない。
誰かが狼だとしたら、その人は此処にいない筈、でしょう?
[自分を落ち着かせるかのように、ぼそりと呟いた。
昼食もパテにサラダにイチゴとしっかり摂っていたため、もとよりそこまで空腹ではなかったのだが、話を聞いた後はなおさら食べる気がせず、フォークとナイフを置いてしまった]*
……寡黙な男も良いけど、
少しはユーモアもあるとモテるわよ?
[真面目な答え>>72に、やっぱり冗談は通じなかったと
くすくすと笑いながらも掴んだ手を取り立ち上がる。]
何もしてなくないでしょ。
[手の震え>>73を止める様に更に力を込めて、
自身に言い聞かせる様な言葉に重ねる。]
生きてる。
それだけで、今はいいの。
[彼にそして自分に言い聞かせるように、
視線をマコトから外さず口にした。]
[手を繋いだまま、今度は女性達を探す事になる。]
クリスタかニイナかマイダいるかしら。
湿布してもらわないと。
足首と、お尻に。
[冗談が通じないと判っていても、また試したくなる。
どんな反応を見せるだろかと横目で見ながら
皿を拾って食堂へ向かう。
その場に女性陣がいれば、からかった通り、
足首と腰に湿布を貼ってもらっただろう。]
今日は静かにしとこうかね。
[食堂では少し遅めの昼食が待っていたか。]
もしかしてあたし午前中は寝て過ごしたって奴かい?
[これは体動かさないと、とお腹周りを掴みながら
それでもニイナやクリスタの食事は美味しいと
パクパクと口に入れる。]
あの子もこんなオムレツ得意だったなぁ。
[匿った娘。
山の酒場のせいで、魚料理は希少だった。
それでもこの味付けに何処か似た様なものを感じたのは
歳が似ているせいだろうと思っていた。]
クリスタ。
今度茸でオムレツ作っておくれよ?
[酒場や宿で好評だった茸料理を思い出し、
自分では無く彼女に調理してもらいたいと
食堂にいなくても、彼女を見掛けた時に声を掛ける。]
今日は大人しくしてるから、繕い物があったら言っとくれ。
[天気が良くても今日はこの足では外には出られない。
静かに過ごそうとカーテンや他の縫物をしながら
その日は過ごし、明日も同じように過ごす、はずだった*]
― 食堂 ―
…………。
……本日の昼食は鶏のパテと葉野菜のサラダ、タラのオムレツになります。
[マコトとヤーニカ。
二人が手を繋いだまま>>76現れたならその手を一瞬ちらりと見て、それから、昼食の内容とデザートの事>>64を告げた。
無表情で、語調こそ柔らかいものの素っ気ないのか淡々としているのかぼうっとしているだけなのか判らないようないつも通りの態度。
そう、いつも通り。]
湿布、ですか。
わかりました。
……一度別の場所へ移ってから貼りましょうか。
[足首はともかく、人の集まる場所で腰を晒すものではないだろう。
棚から薬箱を出すと、食堂を出てどこかの部屋で貼ろうとヤーニカへ促した。
ここでいいと言われたなら、他者へ見えないよう自分が影になりながら貼っただろうけれど。]
[生きている。
手を汚す事も、庇う事も、―――事もせずに、生きている。]
……火が見たい。
[ぽつり、と聞こえるか聞こえないかというくらいの声で呟く。]
やぁだ。
おばさんの肌見たい人いないわよ。
[気遣ってくれたクリスタ>>79の肩をパンッと
軽く叩いた後で目隠しになってくれた彼女に
こっそり礼を考える。
パイ、切るとき少し贔屓しておこう、それ位の礼*]
― 台所 ―
[食堂で一通り事務的な対応を終えると、台所へ。]
…………。
[マコトと目を合わせようとするでもなく、話しかけるでもなく。
黙って彼の近くへ水を置くと、席について、朝と同じようにゆらゆらと揺れる火を眺めた。]
− 夕食 −
[久しぶりに針仕事に没頭した。
震えていた窓ガラスは、誰かが外から懸命に叩いている様に
激しい音を立てていた。
雨も風も、もう嵐と言っても良いだろう。
そんな中、何処へ行っていたのかアリスが
話があると言い出した。
午前中の彼女の様子を思い出して、
何かあったのだろうかと心配しながら夕食の席に付く。]
……アリス?
あんた自分が何言ってるのか判ってるの?
[唐突に喋り出した彼女は、現実から逃避していたとは
思えないほど饒舌に、力強く話し続ける。]
[牧師が声を荒げた>>74
到底信じられるものではない。
人狼が、自分達が知らない化け物がこの中に混じっている。
結社は生き残り傷付いた者達に更に鞭打とうとしているのだと
知って、絶望し掛けた。]
アリス……。
ねえ?
……何でもない。
[だが絶望と共に疑問が沸いた。
自分が能力者だと名乗り出た彼女。
何故、生きているのだろう……と。]
私、自分が生きるためなら何でもしてきた……つもりです。
[ぽつり、炎へ視線を向けたまま、独り言のように呟いた。]
だからこれからも、そうやって生きると思います。
[でなければ、彼の村で多くを手にかけたことが嘘になる。
今までの人生も。
何をしてでも今日を生きて、明日も生きる。それだけが自分の真実。]
だけど……
もしも、死に抗うことができなくなったら……
[たとえば、結社員となる前に、“彼ら”が自分を連れ戻しにここへ来たなら。]
[自分の村にも占い師がいれば、
もっと結末は変わったかもしれないのに。
アリスが生きたその騒動の結末は……どうだったのだろう。
今度こそ役に立つと告げた事から想像は付く。
これ以上追求出来なかった。]
止めとくれよ……。
あたしは……そんなの無くても……信じてる。
信じたいんだ……。
[出来れば黙っていて密かに占って欲しかった。
能力者の存在は嫌でも人狼を、惨劇を思い出すから。
疑われていたとしても、知らずにすむならそのまま
目を閉じてやり過ごしたかった。]
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