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―前日昼間 厨房―
……お兄ちゃん。
[ジャガイモの皮を剥く作業を一旦止めて、兄から届いたハガキをポケットから取り出した。]
一緒に仕事できるようになるのかなあ。
[ちりんと腰の鈴が鳴る。
ため息をつくと、皮むき作業を再開する。
その内、厨房は香ばしい香りに満たさせて、お茶の時間になる頃にはナッツのケーキが焼き上がる。
焼きたてのそれを食べやすいよう切り分けて、イライダの分を確保して、残りは誰でも食べられるようにテーブルへと並べる。
それから紅茶も用意しイライダの部屋へと行き。
眠っているようだったらその枕元へと置いて去った。]
[ぼんやり考え事をしていたせいか。
晩の食事は作り過ぎのマッシュポテトがメインになった。
でも、失敗なんてそれくらいで。
少々の騒ぎはあったものの、その日はいつも通り平和だった。]
あら、これでも少ない方よ?
説明が曖昧だったり、まったく関係ない方向に行ってる資料は省いてあるから。
[新種の”人狼”憑狼に関してはまだ少ないが、憑依となると昔からの文献も含めてそこそこ多かったりする。その中から資料を受け取ったアミル>>63が欲しい情報は手に入るだろうか]
不安……確かにそうね。
結果は一両日中には結果が分かるらしいから、それまで気長に待ちましょうか。
[自分が知りえる情報は、大体アミルには話しただろう。もっとも知っている事は少ないけれど]
それは……木の実?徹夜のお供で眠らなくても済む……ね。
それならアミル、あなたにも必要ではなくて?
[クスリと笑いながら、先ほど寝てしまいそうと言ったアミルに中のクルミを勧める]
こちらを気遣ってくれてるのね。ありがとう、ポラリスも喜ぶと思うわ。
[こちらを気遣ってくれている事は分かっているので、素直にお礼を言っておく。いざという時はこれにお世話になろうと思いながら。
窓際の席に移動したのを確認して、こちらも自分の机に座るだろう*]
―翌日昼間 資料室へ―
[少女はいつも通り早起きをした。
いつも通り水を汲んで、昨日の残りの混じる朝食を作る。
そして、いつも通り雑務をこなした頃には昼になっている。]
失礼しまーす。
お客さん来てるっていうから用意したんですけど、いらないって言われちゃって。
よかったら紅茶いかがですか。
[紅茶セットの乗ったお盆を手近なテーブルの上に置く。]
あのお客さん、本部から来たんですよね。
此処、滅多に外の人なんて来ないのに。
何の用で来たんですか。
[興味津々といった風に、客人の案内をしていた資料室の主に話しかける。]
え、まだあるのか…
というか、全部読んでるんだなその口ぶりだと
[げんなりとした顔で、恐る恐るという風に言う]
テレーズが読んでるならまあ俺が読む必要はないかなあ。
たぶん、ポラリスも知ってるだろ。
あー、でも足引っ張らない程度の知識は要るか…
[ぶつぶつと呟くアミルには、テレーズやポラリスが狼だったらどうするんだという想定はまだ欠片も無かった。
おすそ分けで貰ったクルミを齧る。甘くて香ばしい。
…が、噂はしょせん噂、ページをめくる手がだんだんゆっくりになる。
とうとうしまいに、肘をついた片手の甲に額を載せて、ぐらぐらと船を漕ぎはじめた]*
>>71
資料室の管理をしているのだから、全部の資料を読むのは当然でしょう?
……時間はたっぷりあるんだから
[閑職ゆえ、空いている時間は多い。
それなら必要な資料を出せるように熟読しておくのはテレーズにとっては当然のことだった]
そうね……。
それにもし、そうもし私やポラリスがいない時にそんな人狼が出てきてしまったら、またここから資料を探すのは酷じゃないかしらね。
[実際に、憑狼がやってくるなど報告の量から考えても極めて低いだろう。だがその最悪な事態に備える事は悪い事ではない]
……。
[自分の作業に集中し、しばらくすれば]
……案の定、ね。
[順調に舟をこぎ出しているアミル>>71。
嘆息一つ吐きながら、そっとアミルの両肩に愛用している薄い毛布を掛ける。
眠ってしまったとしても、これで風邪をひくことは無いだろう。
しばらく起こさないようにして、アミルの様子を見ながらまた作業に戻るだろうか]
―― 資料室 ――
あら、紅茶ね。
いただきましょうか。
[ミレイユがどうやら紅茶を持ってきたらしい>>70。本部から来たというアナスタシアは来客を一切断っているのだろうか。今彼女が見つけようとしている相手が本当にいるというのならその用心は当然かもしれないが。
置かれた紅茶セットからティーポットを取り、自分のカップへと中身を注ぐ]
そうね……、どうやらこの支部に恩がある人らしいけれど……。
[窓際の方で舟をこぐアミル>>71を起こさないように小さな声で、今日本部から来た女性について話した。
さて、興味津々な彼女の興味を満たせる内容だっただろうか]
―前日・深夜/イライダの部屋の中―
[夜を迎える頃には、
賢女の薬のおかげで、体調はだいぶ回復していた。
時折の胸奥の痛みやふらつきは、消せないものの、
発作さえ起こらなければ、暫くは、
ほぼ普段通りの生活は可能な状態だろう]
―前日・深夜/イライダの部屋の中―
…ふふ。本当にこのヤギ可愛い。ミーネに見せてあげたかったな
ミレイユの美味しいナッツケーキも
皆にも食べさせてあげたかったわ…
[ミレイユの作ってくれたケーキ>>67の甘い香りを思い出して微笑む。服の隠しから、アミルに貰った、赤い糸で藁を束ねた小さなわら細工のヤギ>>0:179を取り出して、ぽつり呟いた]
……カーク。…アデル、カタリナ、ラヴィ…。
ユーリエ、アルフレッド、カシム、ミーネ…
[床に跪き両の掌を組んで瞳を閉じれば、
神の名の代わりに彼らの名を囁き、常の就寝前の祈りを捧げる。
それは、この6年間 資料室でイライダが何度となく読み返した
報告書>0:165にある、9年前の北の国の小さな村での、
人狼騒動の犠牲となった孤児たちの名だ]
ごめんなさい…っ。ごめんなさいね…。
大丈夫、必ず敵はとるわ…あと一人だもの。
必ず見つけだして、この手で殺すから…待っててね…。
[人前では決して涙を見せないイライダの頬に、
枯れることのない哀しみと悔恨の雫が零れる。
薄れることのない滾るような憎悪に任せて、ぎりと唇をきつく噛む]
……私だけ生き残って、ごめんなさい…ごめんなさいね…。
[薄皮が破れ滴りかけた血雫を、
小さな赤い舌でなぞる様に舐めとれば。
馴染んでしまった血の味に、胸奥が疼くように痛むのを堪え、
暁色の瞳をぎゅっと固くつむった]
―翌日・昼間 廊下―
[小さな欠伸を片手で覆い、廊下を歩く。悪夢を見たくなくて、
ポイズン・リングの睡眠薬代わりの白い粒薬>>0:10>>0:11を飲んで眠れば。常からの睡眠不足と疲労のせいもあったのか、
起床したのは既に昼近くだったか]
……あら、珍しい。お客様かしらぁ。
[廊下の窓から、建物の向いにある玄関先で、
テレーズ>>43が、客人らしき男女と話しているのが遠目に見え。
男の方に見覚えがあるような気がして瞳を凝らせば]
……シュテファン?
[イライダに剣の型を教えてくれた結社の狩人>>0:15。
6年ぶりに顔を見た、血の繋がらない口煩い兄のような人>>0:36
である、シュテファン・イエーガーの姿。
思わずのように名前が唇から零れた*]
― 朝 ―
[少し早めに食堂へ顔を出せば、そこには早起きなミレイユの姿があった>>70
イライダはまだ起きてきていないようだ>>79
やはりまだ具合は良くないのか。
彼女へ朝食を運ぶ旨を告げ、昨日の昼と同じように取り分けた。]
…………。
[ノックしても返事が無く、彼女はまだ眠っていた。
朝食を置いておいても良いが、起床時間によっては冷めてしまうだろう。
何もせず立ち去ると、結局自分の部屋へ運び、普段朝食を食べない女は少しだけ頂いた。]
でも、皆は人狼なんかじゃないですよ。
[当たり前のように言って。
考え込む時の癖の、眉を顰めたいつもの顔をする。]
それじゃあ。
カップは食事の時にでも持ってきてください。
私じゃなにも手伝えないみたいだし。
もし何か新しいこと分かったら教えてくださいね。
ありがとうございました。
[いつも通りに過ごす事にして。
テレーズにお礼を言って、資料室を後にした。*]
─ 食堂 ─
[やけにくたびれているせいで、食が進まないのが悔しい。湯を飲んで温まり、ちまちまと残り物>>70の方をつつくに留める]
客、どっから来たんだかなー。
[食堂への道すがらが、ちょうどテレーズが案内していた頃合いだったか。来客らしいとは見ていたが。後で誰かに聞いてみよう]
なんなんだろう。
護衛かなんか付いてるなら、お目にかかりたいもんだが。
[ちょっと聞いただけだが、何やらただ者でないらしい。佇まいなり普段の構えくらいは見てみたいものだ。
持ち込まれた信じがたい話>>#0―>>#4を知るのはもう少し後のこと。とりあえず、程見て様子をうかがいに行こうかとマグをゆっくりと干した]
―朝・自室―
[私は机へと向かっていた。
今日も暗いうちから起きている。昨日はきちんと寝たものの、やはり続きが気になってしまって。
……早起きだから徹夜ではない。
でも昨日の今日だから、一応朝ご飯は時間通りに食べにいった。おかげで今日は心配されていない。はず。
そのあとは雪かきを少しだけ手伝い、訓練場の彼を見送って。
頃合いを見て下がってきてからはずっと机へと向かっている。
しかしこれは、私の日常でもあった。]
よし、と。
[そんな朝からの勉学で、昨日渡されたものはほとんど読み切っていた。
キリのいいところまで終わったので、読み切ったものを抱えて資料室へ。他の人も読みたいかもしれないから。]
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