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アルビン。
何があった。
[注意を引くよう、手を振りながら寄ってくる姿に問う。
その表情から、何か不吉なことがあったことは察しがついたが]
な・・・。
[家畜が殺されたとか、毛が落ちていたとか、まだその程度だと思っていた。
だが、それを飛び越して・・・]
何かの間違いではないのか?
[咄嗟に出てきた言葉がそれだった。
悪ガキ二人組と違って、アルビンはそんなことには加担しないだろう、そう思っていても]
[自分のアゴヒゲをこする。
一瞬、停止した思考はしかし、ゆるゆると進み始めて]
アルビンすまないが、手分けして村人を全員、集会所に集めてくれ。
料理中の女も、勉強中の子供も、揺り椅子で眠る老人も、仕事中の男も、誰も彼も、一人残らず全員だ。
私は、ゲルトの家を見てから行く。
[アルビンがなだめるように肩を叩く>>21
昔みたいだ、なんて思う暇もなく。何とか説明すれば彼はゲルトの家へと行きたい様で。手を貸してもらって起き上がりつつ、残劇の現場へと案内したろうか
そこは血だらけ、彼が中で遺体と対面している頃、もう1度対面する勇気がなかた自分は外で待っていた
リンゴン、リンゴン
鳴る鐘はその臆病さを責めているようでもあり
彼がゲルトの家の中へ消えれば止まっていた震えは再び再発して
ガタガタと震えていたことだろうか
礼には首を振り、村長への報告はアルビンが行うらしい
休んでいて、という言葉に泣きはらしたぼんやりした瞳で頷く
唯――たった1人で、誰もいない宿屋に帰るのは怖かった
でも、と
それでも休んでいた方がいいというのはわかっていた]
……間違いだと思うなら実際に見てきても良いけど。
大分酷い有り様だったから、心の準備はしておいた方が良い、かも。
[村人達を大事に思い信頼も厚い彼の事だ。
信じたく無いという気持ちから出た言葉なのだろうが、ここで一時的に現実から目を逸らした所で何の意味も無い]
それよりも問題は、今、この村の何処かで、誰かが、
“人狼”に成り済ましてるって事でしょ?
[昨日、図書館でクララ達と話した内容を思い出して。
口から吐かれる言葉は重く]
[ゲルトの死に気づくこともなく。午前はいつもと同じような時間を過ごす。
昼の鐘を鳴らしに塔へ上がれば
ポツポツと雨が降り始めてることに気がついた。]
[頬をぽつり、ぽつりと降りだした雨が滑って
顎を伝い地面へと
それはどこか涙にも似ていた]
[集会場へと気もそぞろに、誘導されるがままゆけば其処には母や宿屋の客もいたろうか
いつもと違い、ガクリ肩を落とす様子に何事かと母は息子の方へと歩みより。そして詳細を聞けば肩を震わせたろう
明けぬ夜はないというけれど――今は暗闇の中にいるようだった]
雨が降り、洗濯物を取り込むと
傘をさして村長の家へと向かう。
理由は帰ってこないジムゾンについて一度相談が必要だと思ったからだ。]
― ゲルトの家 ―
[血にまみれた凄惨な現場は、すでに色が乾き始めていた。
その代わりに、不快な臭いが立ち込める。]
ゲルト・・・。
[酷いとアルビンに聞いていたが、想像以上だった。
確かに困った悪たれではあったが、こんな死に方しなければならないほどの悪人ではなかった。
道中で行きあって一緒についてきていた村の男が、ウッと変な声を上げて外へ駆け出した]
[村長も、出来る物なら逃げ出したかった。
しかし、村長だと言う責任が、その場に釘付けにしていた]
[時間が遅いからなんて軽く思わずに、全員を集会所に集めていればよかった。
獣柵をもっと早く修理すべきだった。
皆に人狼の話をして、注意喚起しておけばよかった]
[ゲルトを哀れに思うと同時に、別のことも思っていた]
[ああ]
[ゲルトで良かった。息子のペーターがこんな姿になっていたら耐えられない。
しかし、なんでよりによって、私が村長の時にこんなことが起こるんだ。
あるいは、隣村でもいいじゃないか。なんでこの村なんだ。
ここは平和で静かな、いい村なのに。それしか取り柄がないのに]
[小さな村と言えど、家々を一つ一つ回り、且つ老人や幼子まで一人残らず召集となればそれなりに時間と手間を要していたようで、昼の鐘を遠くに聞いてはっとする。
太陽は雨雲に覆われていた。
きっとこれから聖水が大量に求められるだろうな。
……あぁ、それとも求める人間が少なくなってしまうだろうか?
もし心の声を悟れる者でも居れば不謹慎だと後ろ指でも刺されたかもしれないけれど、声に出すことは無い。
急いで残りの家へと回る。
村外れにあるカタリナの家は、自然最後に回る事となったが
昨夜の村長の話>>1:167と今朝の緊急召集と。
それから、俄に囁かれていた噂を結びつけて早合点した村人が先に押し掛けていたかも>>17>>18]
[手を伸ばしてゲルトのうつろな目を閉じさせてやる。
逃げ出した男が帰って来ないので、ベッドのシーツを抜き取って、ゲルトの体にかけた。
首を出して見ると、裏庭で吐いている男を見つけた。
遺体をつつんだから、教会に運ぶように伝える。
弔いの鐘を鳴らしてから、シスターを集会所に呼ぶようにとも]
― 集会所 ―
[それから・・・、
誰かに会ったろうか。
考えるべきことが多くて、曖昧で]
[とにかく、今、村中の人々を前に、村長は立っている。
血の気のない白い顔で]
皆に謝らなければならないことがある。
私は、皆に隠し事をしていた。
[ざわざわと声が沸く]
近隣の××村が、全滅した。残ったのはたった一人。
青年負傷兵だけだ。
[ざわざわが更に大きくなるのを、片手を上げて鎮めて]
村人を食い殺したのは、「人狼」という化物だ。
そいつは村人を食って入れ替わり、隣人を夜な夜な食い殺すという。
[続きを言うのはさすがに声が震えた]
その化物は、今、この村の中の、誰かに成りすましている。
ゲルトが・・・今朝、殺された。
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