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[あまりにも辺りが眩しくて、あまりにも綺麗で。
自分が消えてしまうような錯覚を覚えれば。
パキン
それを打ち消そうと、チョコレートを割り、口に含む。
甘さの中にほろ苦さ。そして懐かしい香りが口の中に広がって。]
チョコレートアイス……。
[淀んだ水の底から気泡が上がるように、そんな単語が浮かび上がる。
浮かんだ気泡はゆるゆると水面を揺れ、やがてプチンとはじけ]
―白鳥の停車場・客車内―
[転びそうになった時に助けてくれた青年とはいくつかの言葉を交わしただろうか。
車内で仲よさそうに話したり、チョコレートがやりとりされているのをぼんやりと眺めていると、気がつけば一つ目の停車駅に到着したようだった>>#0]
白鳥の停車場……?
……うわぁ…
[視線を外に向けると、そこには星屑をちりばめた海岸が広がっていて、そのまばゆさに目を奪われる。
そのまま視線を巡らせていくと白鳥達が戯れている姿があった。
大きな目を丸くしてその様子をじっと見る。どうしようか。
乗客の中の数人は外に行く見たいけれど]
……白鳥……。
[白い、羽の大きなその取りを見つめながら呟いた声と表情には、何処か寂しげな色が乗っていた]
(男の子が欲しかったのに)
(また、女の子だ)
[白鳥の姿を見ていると頭にそんな声が響いて周りを見渡す。
けれどその言葉を発しただろう人間はどこにも見当たらない。
見当たらないけれど……ずっと聞かされていた言葉]
(おんなのこはいらない。
ほしいのは綺麗に着飾る女ではなく。
家を継いでくれる男だったのに。
また、女だ。)
[無意識に頭の中に沸いてきた言葉に顔をしかめる。
誰に言われたか思い出せないその言葉はけれど、ずっとずっと、言われ続けてきた、言葉。
だから髪を切り、男の子のような言葉で話し、男の子のような服を着て。
振り向いて欲しくて……
――誰に?]
[綺麗すぎる星屑に、呑まれそうで。
ベニに貰ったチョコレートを、立ったま少しだけかじる。
ぱりり、こりり。
怖いほど美しく静かで、星の燃える音すら聴こえそうな海岸。
歯の奥から響く音が、意識を自分へと繋ぎ止めているようで。
白の中輝く二連星を見つめ、二人の元へと近付いて。]
……そろそろ、戻る?
白鳥も、国が変われば七夕の鵲《カササギ》になるからね。
長く居ると、連れて行かれてしまうかもよ?
[但し、白鳥座でも鵲でも、誰かを拐うような神話ではないのだが。
――……寧ろ、自分を含めた皆が、星に呑まれ橋の彼方へ足を踏み入れてしまいそうで。
誰かが残りたいと言うならば、出発時刻ギリギリまで、共に海岸で過ごしただろうか。
いずれにせよ。列車の出る頃合いまでには、車内へと滑り込んだだろう*]
[弾けた気泡が思い出を、脳裏に蘇らせる。]
(ママがチョコレートアイスを、頼んだんだっけ。)
[ジリジリと夏の日差しが照り付ける中、家族で入った喫茶店。
パパもママも、いつになく難しい顔をして、黙りこくっていた。
それでも3人で出掛けるなんて、久しぶりのことだから嬉しくて。
自分が喋れば二人が笑ってくれるのでは。と、ゼンマイを目一杯巻いた玩具のように、途切れることなくお喋りした。
どんな呼びかけにも、生返事と溜息しか返っては来なかったけれど。]
[そして着いた白鳥の見える停車場。
まだ夢を見ているみたいだった。その景色はまるで夢のようで、絵のようで。
それでも自分の目にあるそのリアルさを残そうと、スケッチブックの1ページ目を開いてポケットから鉛筆を取り出し。
さらさらと文字に残した**]
[ 『この子は連れて行けないわ』
『周りと外見が違えば苦労するもの』
『自分が育った場所で暮らす方が』
『この子のため。よ』
ドロドロに溶けたアイス。
チョコレートの甘い匂いに混ざるように、硝子の器に落ちる言葉はとても苦くて]
戻って、アイス食べたい……な…。
[それでもやっぱり懐かしい。
だからこそ、あの時は食べられなかったチョコレートアイスを、食べてみたいと思った。]
[食べられなかった思い出の味。家族との思い出。
それを食べに行こう。と汽車の方を向く。
ベニと自己紹介してくれた女の子が、もう少しここにいるのなら、星屑で絵でも描いて遊ぶつもりだけれども。]
…………。
[最後にもう一度、と海岸を振り返れば、視線の先、星の海に浮かぶ白鳥の姿。
思わず、フードの下の自分の顔に触れる。]
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