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……っくぅっ…!!
[殺到する竜巻。その中心にあって、退くことはない。
現役で背に守るべきもののあったころと違って、守らなければならぬものがある戦いとは違う。
けれど、その背は見守るもののある背だ。
それらの皆に、恥じ入るような戦いはしたくない…!!]
―――おぉぉおおっ!
[退きはしない。その一念でロサを繰り出す。
魔力はパラに。停滞の力でもって、竜巻の力をわずかなり減衰せんと。
同時に、魔力はアズゥに。『異物を祓う』魔力によって、竜巻からわずかなり身を守ろうと。
そして同時に、魔力はロサに。
水気と砂塵の力を得て、わずかなりと繰り出す一撃に重みを加えようと。 中空だったその柄に、ありったけの水気を満たしながら、エステルの竜巻の中心、射陽へと、狙いを引き絞る―――!!]
[灼熱した合金にハンマーを入れる作業に入る。
しかし、手に取ろうとしたハンマーが手からするりと抜け落ちる。
満足につかむことが出来ない]
くそっっ!!!
[合金を灼熱させ続けると不味い。強度がおかしくなる。何とかしなければ]
ミコ!! 頼む!!!
[相棒竜のミコはすぐさまリーマンの意図を理解する。
包帯を使って手をハンマーに縛り付け、無理矢理にリーマンにハンマーを持たせる]
なるほど、鉱物か!
流石サイラス、やはり見るところはしかと見ているな!
[砂に混ざるものの事を失念していた。
相棒の言葉を受けて、至極納得いったように頷いて]
よく、その水晶のような砂利で大きなものを見つけようと
足を運んだものだ。
誰とあたるのかはわからんが、少しばかり注意しておいた
方が良いな。
水にせよ、鉱石にせよ―――。
[相棒は見ていないようで見ていて、そのひとつひとつの
詳細を忘れずにその思いに刻んでいる。
男は、少しばかり思考を試合から外す。]
[最大魔法を前にして、グレダは退きも逃れもしない。>>75
竜巻の中心へ突き進む攻撃。
見えてはいても、かわすことは出来ない。
全ての意識を媒介たる竜器、一点に集中しなければ、竜の息吹は放てないのだから]
[つまり最後は、グレダの竜器がこちらの竜器に到達するか否かの勝負。
自身に出来ることは、魔法の出力を保ち続けることのみ]
(いやいや、御前試合が終わった後の事はまだ考えるまい。)
[男の頭に描かれたのは、これから先に歩く道。
自然に恵まれた、それでも小さな集落でしかない故郷に
このまま帰るのが惜しくなった。
広い世界を歩いてみたくなった。
相棒と、スズメと三人で。]
グレダ……!!
[突如湧き上がる巨大な竜巻。
すごい。
すごい、ここまでの大魔法……!
相手が奥の手を出してきたのだと、わたしは知る]
[アルゴルを抱き寄せて、ぎゅうと握る。
背中に、メリッサの手が置かれた。
ふと見れば、わたしの服をカティちゃんが掴んでいる。
皆居る]
ここで見ているよ……!
[そうしてどうにかハンマーで合金を打つ。
どうにか打つことは出来る。
しかし合金を打つたびに邪竜に自分が殺されるイメージが過ぎる。
それそのまま邪念だ。
鍛冶師の師は『邪念は武器の出来を鈍らせる、無心で打つのだ』と言った。
このような邪念まみれの錬鉄など、なまくらを作ることと同義だ。
しかし今のリーマンに無念の境地など遠すぎる]
ならば逆に考える!!!
[悪いイメージが湧き上がるたびに、それに対処する方法を瞬時に考える。
邪竜のイメージが襲い来るならば、邪竜に打ち勝つイメージを模索する。
模索して打つ。模索して打つ。模索して打つ]
[相手の奥の手に対して、こちらの奥の手はずっとずっと地味だ。
デッキブラシ<ロサ>の柄は中空になっている。
それは強度よりも取りまわしやすさ、軽さを取った結果だ]
[だがその構造は、思わぬ裏技を生んだ。
「集める」魔法と組み合わせ、中身を水で満たせば……、
必要な時、必要な間だけ、大重量を持った鈍器と化す]
[戦闘が後半にさしかかり、ロサの攻撃の重さを知っているほど、
突如重くなったそれは……]
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