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…はっ、其れが出来るならな。
彼奴を取り戻したいのならば、私を倒せば良かろう?
……もっとも、私が死んだらアイツがどうなるかなんて私は知らないがな。
[実力差自体は先の戦闘である程度奥からの見極めが付いている。
その口調には余裕を存分に含んでおり。相手の目論見には粗方気付いているが――、実際倒されるか、もう一つ。未完成の解呪の術式を唱えられるくらいしか、支配を獣から人へと返す方法は無かった。
その解呪の途中の文句もアレクシスくらいしか知らない。唱えられる状況でも無いのは獣が一番良く分かっている以上――実質獣が倒される事以外に解決策なんて無いのだった。]
……お前らの都合なんて知らんな。
ああ、彼奴か?…ふん、私と彼奴は器が同じでも保有する『魔力』は別だからな。魔力を使い果たして意識を失ったのさ。私を封じ込めるのに無意識の内に魔力を使ってたみたいだからな。
[お喋りが好きな訳でも無いが。
其れくらい冥土の土産に教えてやってもいいだろう、と。
事実、気を失ったり抑えられる魔力が無くなれば封じていた獣が表へと抜け出せる上に、全く逆の獣からアレクシスへの魔力による『支配』も可能になるのだった。
無い魔力では支配することも抗うにも、生命を削るしか無く。
其れによる衰弱で、更に獣の色が濃くなる。だから魔力が尽きるのは他人よりも致命なのだが――、アレクシスは其の事を把握し切れて無いのだった]
―回想/独立組織拠点―
[其れは、独立組織のグレンの部屋での昼食の時だっただろうか。
グレンが状況を伺いに先行する前の事。]
……グレン、
[暫し名前を呼んでは、少しの間押し黙る。
こんな事を、彼に頼んで良いのか分からない。人として、生きたいと彼の手前。人の自分を信じてくれる彼に弱音なんて吐くべきでは無いのかも知れない。其れでも、やっぱりこんな事を頼めるのも――グレンとセシルくらいだから。]
……もし、さ。
俺が獣に乗っ取られたら。
……その時は俺の事、お前が殺してくれないか?
…勿論簡単に受け渡す気は無いぜ?でも、もし。
もしも、俺に何かあったら…、お前に頼みたい。
[その声音はいつに無く、真剣で。冗談など言ってるつもりは無く。
重さの在る其の声に、彼はどう感じたかは、分からないが。]
……できるできないっていうより、しなきゃなんだけど。
身体同一なんだもんねぇ。
[実力をさておいても、彼を殺した所でアレクが無事かどうかは分からない。けれど、ここで倒せば良い、だなんて嘘をいって誤魔化す必要は相手にない。
実際、私にはそれしか方法はないんだろう。自分より近かったグレン君にはわからないけど。]
つまり逆に言えばあなたの魔力を削り殺して、あなたの意識を失わせるか、アレク君が封じ治せるようにすれば良いってことかな。
やだなぁ、分が悪いじゃない。私の死兵食べれるんでしょ。
[少し苦笑をしてから、表情を引き締めて、息を吸った。]
アレク君、とっとと起きて中から手伝ってよね!!ここで寝たまんまなんて、本当にカッコ悪いよ!!
[目の前の相手のその中にいる相手に届けと声を張って、
そうして足をじりと広げた。]
――グレン君、他にあるなら任せるし、時間もかせいでみせるけど。力使い切ってるなら銃渡して逃げて。
どうしたのかしら?痛みが気持ちよすぎて動くこともできない?
[彼の変態加減は悪化しているらしい。悦びの声をあげ、鞭の跡や弾痕を愛おしそうに撫ぜている。]
邪魔しないでくれるなら多少付き合ってあげてもいいわよ?
[一発太腿目掛けて発砲する。熱で手がぶれたかもしれないが、何処かに当たってくれれば時間くらいは稼げるだろう。]
……万に一つ億に一つ、そんな事になったら、
大人しく飼われてねえ獣の野郎だけぶちのめしてやるよ。
足掻いて足掻いてどうしようもなかったら――絶対に最期は俺の手で。
[セシルの問いに答える獣を無言で見つめた後、先程の答えと同じ言葉をアレクに返して獣と向き合う]
ネガティブは昔の俺の専売特許なんだから、気弱になってんじゃねぇよ……ばか。俺たちが何とかもがくから、あんたはあんたで躾のなってない獣抑えてくれよな。
そりゃ俺を「喰らう事なぞ簡単」だろうがな、喰われるのも喰わせるのも御免だ。
[負傷した左腕では二丁拳銃を扱うには無理があるだろう。セシルの動向しだいでは片方を渡して続けた]
…流しっ放しだと動き辛いんだよねぇ
[傷の痛みも血が流れる感覚も、自分にとっては愛すべきものである。これがずっと続けばいいとすら思うけれど、そうもいかないのが人間の体で。
止血を終え千早とシエラの間に視線を遣れば、動けないかと問い掛けられて。こてん、と不思議そうに首を傾げ頬にロッドを当てる。]
好きなものに浸るってダメなこと?
千早だっておんなじだったじゃない
[かつて千早がエリィゼを激しく愛でていたことを思い出しながら言う。好きなものに素直になるのは当然の事で、それはとても良いことではないか。
付き合ってあげてもいい、との言葉に期待するように微笑めば、彼女が撃った銃弾が太腿を掠める。>>18]
そうでしょ?千早“ね・え・さ・ま”
[語尾にハートがつくように言って、ニコリと笑う。怒ればいいと思って。怒りは思考を単純にして、先を読むのが容易になるーーだけではなく、怒りや憎しみの籠った攻撃や言葉は最高の快感を齎してくれるから。結局のところ、自分は自分のことしか考えていなかった。
千早は怒りを露わにするだろうか。攻撃を続けるようなら、バチンッと銃の代わりに電気を飛ばすつもり。]
正直不甲斐ねえってレベルじゃなくて本当に…も、申し訳なく……。
[「こんな早くチャンスが」「しっかりしてよ」に息を詰まらせつつ]
アレクは呪いを解く術式を研究してた――完成してないといったって、他でもないセシルにこれだけ言われて気ぃ失ってたんじゃ男も廃るだろ。
内からの抵抗を助けながら獣の余力…魔力と余裕を削ってやれば目はあると思う。
……いざとなったらお誂え向きに炎上してる廃墟近くだ、差し違えてでも殺す。アレクが人であれるうちに。俺でも炎のうちに留めたり生き埋めにしたりすれば何とか、アレクだけでも苦しませずに撃ち抜くくらいは…。
あんたを喰らうのが、きっと一番「アレク」がしたくない事だと思うから――その時はこの場を離れて欲しい。
逃げねえ。
魔力は使い切ってるけどな……クソ弱い俺が心まで折れてたら話にならない。
ここで逃げたら、アレクを信じる権利も死んだ仲間に託されるだけの価値もなくしちまうからな…。
[じりじりと獣との距離を取りながら弾を込め銃を構える。
セシルの言うとおり、死兵を喰われては厄介だと思った]
……消耗戦と行こうじゃねえか。
か弱い人間サマの結束力舐めてる獣野郎に、目にもの見せてやるよ!
[相手というより自分を煽るように。
少しでも魔力と余裕を奪おうと、アレクの身体の消耗による支配の強化に利用されないように、まっすぐ胸を狙った銃弾を放った]
―闇の中―
[声が、聞こえる。自分は、どうしたのだったか。
眩む様な、失血をしたのは憶えていて。其処から記憶が流れ込む。]
(……またアイツに乗っ取られたのか?)
[先程も強引に表に出られてしまった。獣の一つも躾の出来ない自分に苦笑するしか無い。其れでも、身体の痛みの感覚が殆ど感じないのは有り難かったが。今迄、闇の中を彷徨うような、似た感覚は何度かある。
けれど、何時も聞こえたとしても獣の声しか聞こえないのに。
今回はいつもの様に朧気な意識で無く、不思議とハッキリしていて外の音も聞き取れて。…獣の支配権を失った事も、其処で自覚する。
恐らくは其れによる獣のいつも見ている世界――を眺めている、のだろうけれど。>>17『格好悪い』と言われれば、『う、』と心に突き刺さりながらも、>>20、>>22親友の言葉を聞けば思い浮かぶのはノートの術式。
まだ完成は仕切っていない。其れでも、構築や仕組みはある程度分かっていた。後は、それをどうやって表すか。こんな土壇場で試す羽目になるとは思わなかったが、粗方頭にはある。
表で二人が頑張ってくれているのに――それこそ自分では何もできません、じゃ本当に守られてばかりで格好悪い。信じてくれたグレンや。手を差し伸べてくれたセシルの為にも、一時獣が大丈夫だなんて思えた自分を苦々しく思いながらもけじめをつけなければ、と思う。]
(……頼んだぜ、)
[声に出すことは獣が居るせいで封じられているけれど。
心の中で念じては、頭の中で術式を浮かべて。現実世界の声には出せなくても、意識の海の中で詠唱を唱え始める。]
…ッ!
あんたが…
あんたが…!その呼び方しないで頂戴!
この…1(3)
(1.変態ドマゾ糞虫が!! 2.変態ドマゾクソ蛆虫!!
3.変態ドマゾクソ野郎!!)
[怒りに任せて銃弾を乱射する。マガジン内の26発の弾丸すべてが寿に弾幕として降り注ぐ]
…ッ!
あんたが…
あんたが…!その呼び方しないで頂戴!
この…1(3)
(1.変態ドマゾ糞虫が!! 2.変態ドマゾクソ蛆虫!!
3.変態ドマゾクソ野郎!!)
[怒りに任せて銃弾を乱射する。マガジン内の26発の弾丸すべてが寿に弾幕として降り注ぐ]
ー国境付近ー
ふん、そんな呼びかけなどーー……!
[聞こえる筈も無い、と一蹴しようとして、存在の綻びを感じ始める。内に感じるのは、自らを消そうとする言の葉の束。
チッ、と舌打ちを一つすれば、魔力の一部を詠唱を阻害する為の抑圧させる為に流す。其れでも此方が劣るだなんて無いだろうとは判断して。其れでも、顰めた顔を>>23グレンの言葉を聞けば、面白そうに嗤った。]
……くくっ…!
その人間とやらの底力、どれだけ持つのか愉しませてもらおうじゃないか!!
[放たれた銃弾の目論見は既に支配強化に魔力は使われたが、其れは詠唱による支配の弱化を防ぐ為で有り。銃弾の通過地点を無重力にしては勢いを殺して、下へと落下させる。
その後、地を蹴れば先ずはグレンに狙いを定めては重力で空間を圧縮しながら爪の様な刃でグレンの喉元を引き裂こうと、移動しながら人差指と中指に当たる部分の爪を伸ばし。]
っ……来いよ、せいぜい後で吠え面かきやがれ!
セシル、俺は魔力使わせつつ時間を稼ぐ…。
大した事はできねえが…細かい事ぁ任せた!
[落下する銃弾を見送りつつセシルに呼びかけ、身構える。
距離を取ろうにも、重力魔法を使われれば無意味に終わるだろう。
地を蹴り迫る獣の肩と足を狙って弾を撃ちこみ、思い切ってその爪目掛けて飛び込む]
アレク!
「命でも何でもくれてやる」。男見せやがれ!
[彼を信じ手を取った月夜と同じ言葉をかけながら、傷ついた左腕で致命傷だけは避けようと。
奪うには奪われる覚悟を――獣を倒しアレクの命を贖うために自分たちの命をそのまま差し出すわけにはいかない以上、手足の一本や二本くれてやって構わない。
鋭い一撃を避けられなければ捕食される直前に腕のみを土塊に変じさせようと微妙な操作をしながら、歯を食いしばる。
残り少ない弾数すべてで極々近距離からの射撃をするために、全気力を注いだ]
[口角を上げたと思えば呼び名に激昂する千早に、思惑通りだと喜び来るだろう攻撃に備え武器に魔力を纏わせる。>>26罵りの言葉を叫びながら銃口を向ける彼女に向かって地を蹴った。怒りのせいか定まっていない銃弾は、全ては無理でも避けることも防ぐことも普段よりは幾らか簡単で。]
罵ってくれるのはうれしいんだけどさぁ
[12(13)発を受けつつ距離を縮める。だん、と飛び上がりロッドを持つ手に力を入れる。バチバチと電気を纏ったそれは、千早を捉えることが出来ただろうか。
武器の一つくらい殴り飛ばすことができていればいいのだけれど。]
なぁんか、お粗末な感じがして、ヤダ
[ロッドを振りぬいたあと、後ろに飛んで肩に乗せる。首を傾げ罵倒にダメ出しをすれば、千早の後方か隣にいただろうシエラをちらりと見遣る。彼女が自分に抱く嫌悪のような、またはいつかの年上の彼が持つ性質のような、そういうものが心地良いのだ。自分で煽っておいてこの言い草はないよなぁとの自覚はあるが、なんでもいいわけじゃない。]
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