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ぐがっ!
[半分くらい距離をつめた所で彼女は頭を右手で押さえる。]
ぐ……が…、ぼ…く…、も…くて……き…。
[それでも彼女は止まることなく接近し、左手で殴りかかる。しかし当たることはなく、背中に強い衝撃がくる。]
ぐぎゃっ!
[地面へ叩きつけられた。だが、それでも長く怯むことなく立ち上がる。]
ぐ…げが…。
[次にとった行動は今までの彼女からは想像出来ない事。逃走だった。
瓦礫を投げつけて牽制し、その間に距離をとり、曲がり角の向こう側へ行き直ぐに姿が見えなくなっただろう。]**
……さくっと倒す、ね。
頼もしいというか……なんというか。
[あれが通常のゾンビでないことは、先の突進で容易に知れた。
あんなものと、こんな開けた場所で戦うなど冗談ではない。彼の軍事的常識は、騎兵とは足を殺したあとで、矢や槍で遠巻きに叩くものだと告げていた。
が、周囲は一切合切が吹き飛ばされたあと。突進を防ぐ障害などろくにありはしない]
[ レデントーレが右手で頭を抑え動きがおかしくなろうと、彼の動きにブレは無かった。むしろ、自己へ戸惑う様な動きが無ければ蹴りは殆ど効果の無い…距離を取る為…の一撃となっていただろう。
故に。そのレデントーレの所作を好機と見て、蹴りは攻撃性を持つものとなった。
彼は、何処か他人事の様に自分の判断を感じていた。
左手で殴り掛かった一撃は、再び建物を倒壊させ、粉砕された瓦礫が周囲に散らばる。その瓦礫と共に、彼はレデントーレの背中へと蹴りを放った。
瓦礫と共に地面に、ごろごろと転がり、立ち上がろうとする。MPライフルを構え…そこへ、瓦礫>>34が真直ぐ飛んで来た。]
[ 頭部と胸部に瓦礫が直撃する。
その最中、ミサイル弾をレデントーレ目掛け、撃ち込んだ。既に逃走体勢に入っていたレデントーレへ飛距離の限られる火炎放射は向けられなかった為でもあるが、瞬間の爆発力を選択したのもあった。
結果がどうあれ、角を曲がる所であり、結果を彼が見届ける事は出来なかった。]
[ 直撃した瓦礫によって地面に倒れる。]
[タンタンタンと音を響かせながら、パイプの中を進む。
嗅覚と聴覚を最大限に研ぎ澄ましてひたすら探しまわる。
やがて眼下の安全を確認すると
空調の隙間からぴょんと飛び降り一気に廊下を駆け走る。]
[数々の亡者の群れが現れるもそのまま突っ込み非常階段を駆け下りていった。]
[逃走するレデントーレは見送る。
倒れたアロールを暫し見つめ、実弾の入ったハンドガンを取り出すと、片手に掴んで近づいた。]
Hi。
お元気いかが?
[華やかに微笑み見下ろす。
ハンドガンの切っ先はアロールに向けたまま。
こちらに対する攻撃の意思が見えれば容赦なく発砲するつもりで。]
[ 混濁した視界。自分の目と、多眼兵装の視界と。
彼自身はその視界の別を判別出来ないのに、何処か機械的判断で、無意識的に周囲を認識していた。]
... ...
[ こちらへハンドガンを向けるジャスミンを敵と判断し、MPライフルを]
[タン、タン、タン、タン、タン、タン。]
これで動きを停めてくれるかしらね?
[ハンドガンで、頭部以外へ実弾を容赦なく撃ち込む。
一部へ集中して撃つのではなく、身体全体へと満遍なく撃ち込んだ。]
私にも予定があるのよ。
[鋭利な微笑みを見せ、次は頭部へ銃口を向ける。]
[ 戦闘不能状況ゆえにか、特述コードから解放され、ゆっくりと痛みと意識が戻って来た。激痛に身体が動かせない。
繋がっているナビに自然と電子の声が零れ、痛みの感情が流れ出す。]
《...イ たい 》
《俺… 死ぬ…のかな》
[ これくらいで死ねないのは分かっている。]
《ナ、ビ》
《ナビ》 《今 いる?》
《レデン トレ ごめん 俺》
[ 痛みの為か何時もより子供っぽい口調だった。]
あんなデカブツからは出来れば逃げたいんだけどね。
建物とかの影や逃げ先に罠張ってそうなのが居そうでさ。
[突進した先で消えてるあいつとぶつかってくれないか。
なんて偶然を期待してしまう。]
まともに行ったらあれはダメだ。
粉々になっちまう。
[自然と足は後退をしていた。]
[あの大型バイクの姿を認めるも爆心地よりやや離れたところにあるため少し遠い。]
まずは、あの月光<Gekko>に何とか近づかなければ・・・。
[隙を見てバイクに近づきたい。
こちらの全速力でもアーネストにすぐに追いつかれるかもしれない。
隠れる場所が何もないところでは圧倒的不利。
せめてあれの動きを鈍らせる手段はないか・・・?]
[折れている骨に構わず、アロールの頭を膝枕する。]
目が覚めた?
酷い怪我ね。
[血に濡れた額の髪を優しく撫でた。]
死ねないのも考えようね。
身体改造による再生も。
[マスクの下の顔を見ながら。
あの機械>>2:286>>2:287>>2:288を使うかどうか思案しながら見守る。]
[前傾姿勢になり、腰からハンドガンを引き抜き白衣を着た科学者に向ける。
最初に攻撃を仕掛けてきたのは科学者の方だった。がらむしゃにメスを振り回して私に近づいて来る。傍に近寄られたら危険だと思い私はハンドガンの引き金に指をかけて科学者頭めがけて撃った。
立て続けに撃ったハンドガンの弾丸は科学者の頭に当たらなかったものの腹の辺りに大きな穴を開けた。
科学者の身体を大きく揺らめく。
私は急いで寝台から飛び降りて、科学者の後ろにある出口へ走った。]
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