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【技師 ナカジマ】
― IRPO・受付 ―
[荘厳な建物は気圧されるには十分で、少年の普段の言動からすれば違反を犯しているではないにせよ警察機関に対して緊張するのも仕方のないことだった。入り口前で何度か深呼吸をし、やがて意を決したようにその扉をくぐる]
すいませーん、遺失物……じゃないか、誰かが持ってるっぽいし。
ていうか俺のじゃないし。
えーとこの場合なんて言うんだ?
……その、探し物の、依頼で。
[受付嬢に歩み寄り、目的を伝えようとするが、うまい言葉が見つからずしどろもどろにそう告げた。しばしお待ちを、の言葉の後、受付前をうろうろしていると担当者がやってきた。携帯端末を取り出し、相棒メカからダウンロードした「ガラクタ」の特徴を伝え、持ち主の捜索と仲介を依頼した。本部は今シックネス対策に追われている状況だからあまり期待はしないように、と返されながらも、身分証明の手続きに向かう]
―IRPO病院―
[ジェイコブ>>+2との連絡を終え…]
J・Q…。すまぬ…。
[小さくぼやく。しばらく安静していると、看護婦が入ってくる。]
「ジャッカル様、ジェイコブさんがお見舞いに来ましたけど…」
うむ!通すがいい。
[すると、ケヴィンともう一人の女性が入って来た。女性は見た目外見ともに美しく、正直言うとあの看護婦といい勝負である。]
「ジャッカル様、くれぐれも病院から抜け出す様な事はしないで下さい…。」
おお!クーロンで麦茶を飲んでいた人じゃな!
[これはやはりなのか?わざとなのか?どっちかは分からないだろう。]
【技師 ナカジマ】
[身分証明の最中で、少年がラーシナの関係者であることに気付いた担当者から、ラーシナの現状について聞かされる。シックネスと戦闘し、一命を取り留めたものの昏睡状態にあるらしい。そんな状況にあったとは知らなかった。暫し呆然とした後、はっとして担当者に医務室に通すよう詰め寄る。落ち着くよう制されながら、医務室へと案内される。寝台に所狭しげに横たわったラーシナの姿がそこにはあった]
……ラーシナ?
返事をしろよ、おーい。
[静まり返った室内で、弱い呼吸音がいやに耳に残る。ラーシナに寄り添い、名前を呼んだ]
[ケヴィン>>+38から見舞い品を置いて貰う。新作の芋ケーキと言うものらしい。
それを食べながら、話を聞くと…]
???
あの時が始めて会ったはずじゃが…。
[最初の時のケヴィンはまだ「謎の覆面男」と認識してるらしい。今度はボロボロについて聞くと…]
なあに、ジャスティスシリーズに挑んだだけじゃ。ジャスティスばかり頼っちゃダメと言う事。
そして、ジャスティスにワシら人間の恐ろしさを教えようとしただけじゃ。
結果、ワシは生き恥を晒すのみじゃ!ハハハ、いつになれば名誉を取り戻せるか…。
[若干豪快気味に話す]
― ??? ―
[闇の中で何者かの名前だけがこだましていた。自分は死んだのだろう。ならば静かに眠らせてほしかった。そう思い耳を塞ごうとしたとき、不意に声が大きくなる]
「ラーシナ」
[初めてはっきりと単語を聞き取ることができた。ラーシナ。無意識にその単語を呟く。瞬間、闇がぐるぐると回転を始め、様々な光景を模った。シュライク、クーロン、パーミュ、京、コーヤ。眠っているはずなのに眩暈を覚えた。ラーシナ。もう一度、その呪文のような言葉を口にする。闇がぼやけ、白味を帯びていく]
― IRPO・医務室 ―
……ラー、シ、ナ。
[瞼を伏せたままの状態で、そう呟いた。幻視の世界で闇が光へと変化していく。寝台の傍らに寄り添う何者かが、その言葉に反応して大きな声を発した。「ラーシナ!」 ――これは、名前だ。自分に与えられた、自分だけの、大切な名前。わたしはラーシナ。なぜこんな大事なことを忘れてしまっていたのだろう。瞼を開く。幻視の世界が撹拌され、揺らぎ、やがて現実世界へと繋がった]
[自分はどうなったのか、ここはどこなのか、を認識する前に、傍らにいた人物に抱きすくめられた。ナカジマだった。ナカジマはその体勢のまま口早に、経緯を説明する。ただ茫然とその言葉を聞いていた。記憶がうまくリンクしない。意識は覚醒しているのに、どこかあやふやだった。ナカジマは「医者を呼んでくる、野暮用があるから片が付いたらまた来る」と言い残して慌ただしく医務室を去っていた。その瞳が潤んでいたことに気付く余裕は、まだなかった]
分かってる。知ってるよ。アイツの犠牲者は、今に始まったことじゃない。そりゃあもう昔っから居るってね。知ってるさ。
[なんせ、自分もその一員だから。なんて。言わない。だって、言ったからどうだってんだ。だから、『君たちの気持ちはよく分かる。だからそこを曲げて協力して欲しい』って?
まさか。
そんなの、無理やり食べてひとつにして、死んでるみたいにしちゃうアイツと一緒だ。ぜんぜん生きてるっぽくない。
ヒトの辛さなんて分かってあげられない。できるとするなら、相棒や、ラーシナにしたみたいに、分からないまんまでも支えようって手を伸ばすか―――]
だから、フィロがどうしたいってのも、ツバキがどうしたいってのも、止めないよ。
わたしがやるのは、アイツの本体を見つけ出して、その精神に繋げること。
そっから先は、それぞれの思ったように。
[言い切る前に、答えは出てた>>53]
―――いいね。目的は別。でも、途中までのやり方は一緒だ。だからせいぜい、利用し合おうぜ。お互いさ。
[できるとするなら。こうやって、お互いの辛さなんて知らないフリで、並んで立つくらいだ]
うんうん。こういうのもなかなかに『生きてる』って感じだね。
嫌いじゃないよ。
[それから、話題は《月》に移る。フィロの指摘>>54>>55はなかなかに的確だ。
そこを、セルリアン>>63とイリーナ>>66>>67が、それぞれにフォローしてくれる]
うん、ふたりともありがと。
いや、わたしも思いつきで言ってたからさ。そういう風にいろいろ言ってもらえるのってありがたい。
そうだなー…あとは。
まぁ、月ってのは呼び方の問題で。アイツが隠れてるとしたら、きっとそういうリージョンで。
わたしだったら、たぶん感覚的に察知できる、ってのと、そこへ行く足は何とかできる、っていう、そのくらいかな。わたしから言えることは。
[…言えるとするなら。実は、わたし自身、あんまり信用してないのだ。自分のこの、腐れた灰色の脳みそを。
ただ、そこにアレだけのひらめきがあったってことは。それはもしかしたら、自分の中に残った、アイツのひとかけらが、なにかを思い出したのかもしれないっていう、そんな程度]
んー…どうだろ。
[イリーナの仮説>>68と、それに続くセルリアン>>69とフィロ>>70の疑問]
わたしもあんま理屈で分かってるわけじゃないかんねー。
ほら、自分の手に、今血が通ってますよーって考えながら、心臓動かさないじゃん?
[一応、そんな風に前置きしつつ]
…でも、まぁ、アイツに、ひとつの意識があるのは間違いない。感染したとき聞こえた声は、ひとつだった。ばかでっかかったけど。
[感覚を辿りながら、推測を加える]
もしかして分離できたとして、感染者や分体が勝手に動くってセンは薄いんじゃないかなぁ。
アイツは、とにかく『わたしとひとつにしよう』ってヤツだから。
取り込まれた時点で『アイツの一部』なんだよ。
手首から先が千切れたら、フツーは勝手に動かないじゃん?
わたしみたいなのは別として。
…戻るんなら、いいんだけどね。
―電子世界:J・Q―
…緊急事態。目標ロスト。
[人間的にいえば「やってしまった」と頭を抱えていたようなものだろうか。
全弾発射>>+28により暗いプログラムは文字通り消し飛んでしまった。
これではこのプログラムの源――恐らくは父だろうとJ・Qは推測していた――に到達することができない]
…?
[ふと、己の内部にわずかだがデータが、否、想いが流れ込む>>47
自分を守らんとする、強く、大きく、優しい想いにただ震えるばかりで]
――大丈夫、私は ここにいますよ。
[届くかはわからないが、安心してくれるようにと、はっきりと言葉にした。
あぁ、早く戻らないとあの子は心配してしまうだろうか。
泣き虫でやんちゃな友達はまたぐずぐずと泣くのだろうか。]
[今言おうとしてるのは、あんまり想像したくない事態ではある。けど]
…なにしろ、アイツが感染するってことは、異物が混ざるってことだから。
たぶん、接続が切れたら、異物が体の中に残ったまんま、ほったらかしだよ。
感染が進んでるほどやばいんじゃないかな。
[と。ここまでが、『仮に接続を斬ることができるとしたら』の話]
物理的、距離的な話かー…それこそ、どうだろね。
わたしが相棒と弟くんに感染したときの感じからして、直接接触の必要がないってのは間違いないけど。
リージョンごとに区切るのはありかも。
分体が置かれるのって、リージョンごとだし。
多少影響を弱めることができるんじゃないかって、程度には効果があるかも。ってとこかな。
完全にってのは難しいと思う。リージョン挟んでも、ある程度は繋がってたから。
[IRPOに居ながら、コーヤのラーシナのことが、ほんの少し、ほんの一瞬だけど、伝わってきた。と、これら全部、仮定の話ではあるんだけど…]
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