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次の日の朝、受信中 ギュル が無残な姿で発見された。
噂は現実だった。血塗られた定めに従う魔物“人狼”は、確かにこの中にいるのだ。
非力な人間が人狼に対抗するため、村人たちは一つのルールを定めた。投票により怪しい者を処刑していこうと。罪のない者を処刑してしまう事もあるだろうが、それも村のためにはやむを得ないと……。
現在の生存者は、毒舌家 セルマ、歌い手 ナデージュ、人造妖精 エステル、中毒 カイン、灰色翼人 ランス、占星術師 ヘロイーズ、司祭 ドワイト、小説家 エラリー、研究者 トロイ、手紙狂い パース、がらくた屋さん スー の 11 名。
―手帳の走り書き・灰に対する考察1枚目―
灰の症状は、大きく分類して三つ。
「物品の劣化」「病の発症」「魔物への変異」である。
一つ目の症状である物品の劣化は、
灰に直接触れた時発生する事が多いようだ。
ただし、劣化速度は遅く灰に長時間触れた時でも無ければ目立たない。
故に、建物等は劣化しても傘やフードの様に灰に触れても短時間で灰を落とす物品は建物に比べて脆い割に灰による劣化を受けがたい、と言うわけだ。
―手帳の走り書き・灰に対する考察二枚目―
次に、病の発症。
これは、生物が灰に触れる・もしくは体内に灰を取り込むことで引き起こされる。
症状は多種多様であり、同じ動物でも個体が違えば別の症状が発症する。
また、重体になるまで気づかないほど表面上に症状が出ない物も有れば動けるうちから外見に影響があるものも有り、
症状が目立つ=重体、と断定する事は出来ない。
興味深い点として魔物化はこの病の発症から派生する効果であり、
逆説的に灰が原因で発生した魔物は基本的にこの段階を経て発生した事となる。
考え方を変えれば、灰によって引き起こされる症状はあくまで「魔物化」であり魔物化できなかった結果が病による死亡ではないだろうか。
病に適応した結果が魔物化なのか、魔物化に失敗した結果が病なのかが問題だが、灰の中で魔物が活動を行えることを考えると魔物化に失敗した結果が病なのではないか、と思わざるを得ない。
―手帳の走り書き・灰に対する考察三枚目―
最後に、魔物化。
病の発症を経て生物が全く別の生物となり、狂暴化し周囲の生物を襲う物である。
魔物化した生物は筋力・生命力などが増大する半面、知性の喪失(例外があるかもしれないが、自分は確認していない)・特定の感覚の退化(犬が魔物化した際、視覚を失い嗅覚が発達する個体が見受けられた。基本的に退化した感覚を補う形で別の感覚が発達する個体が多い模様。)等の欠点も見受けられる。
また、魔物化した個体は灰の中でも普通に活動を行っており、
コレが単純に灰に耐性を持っただけなのか灰が魔物に効果を及ぼしていないだけなのかは現時点では確認されていない。
自分は灰の効果は単純に「変質させる」物であり、その変質に耐えた結果が魔物化ではないかと考えている。
その説の裏付けのため、灰から「魔物化」を起こす要素を分離濃縮した物(北の街にて過去一度精製した事は有る為、再精製は一応可能。尚、本来は魔物化への抗体を作る実験であった。)を変異植物に投与。
再変異を起こし絶命するか効果を発揮しないか、さらに別種へと変異するかの確認を行う予定である。
[開かれた扉に、自分の指先に力が篭ります。
どうしたらいいのでしょうか、笑って挨拶をすればいいのでしょうか。
それとも子供の様に、泣いて縋ればいいのでしょうか。
そんな事を考えながらドワイトさんへ向けた顔は、わたしの戸惑いが隠し切れていない表情だったでしょう。
無理矢理に笑みを作ろうとした唇の端が、小さく震えます。
何かが溢れそうになり、咄嗟に頭を下げました。
挨拶代わりのお時儀だと言い張れるでしょうか。
それでも腰を折った姿勢のまま、わたしは暫く顔を上げられませんでした。]
[…三枚のメモを書きあげて、くすりと呆れて笑いを零す。
読ませる相手も居ないのに、なんで報告書形式なのか。
笑みの理由を聞かれれば、なんでもないと誤魔化すだろう。]
アルカ、か。
あそこなら近いな。寄ってから帰るか。
助かったよ。それじゃあ。
[何でもないように、すと片手をあげて、男はそのまま歩いて行った**]
……ありがとう、 ござい ました……
[頭を下げたまま、小さな声でそう告げます。
この一言で、きっとドワイトさんは理解してくれるでしょう。
声はやっぱり醜く枯れていて、自分の声ではないようでした。
マスターが誉めてくれたあの声はもう、帰ってこないのでしょう。
声の震えは、出ない声を無理矢理に出したせいではありません。
誤魔化す様に渇いた咳を幾度かすれば、ようやく、わたしは頭を上げられました。
ドワイトさんと、それから奥に居たランスさんやスーさんに、笑いかけます。
今度は、きっと上手く笑えていた筈。**]
ちょっとちょっと。
森で待ち合わせって?
誰か他に話せそうな奴がいるのかい?
[そうだ、先に少女のことを説明しなくては。
男を引き留め、他のものにも簡単に少女の名前と事情を説明した。
誰か少女を知っているだろうと楽観的に見過ぎていた。
これまでの考えを改め、事態を見直す。]
うちにこの子を泊めたりするのは構わないんだけど、いかんせん情報が、ねえ。
エステルも、思い出そうとしてる節はあるみたいだし。
[やがて。
しん、とした空気を裂いて、ノックの音がする。>>1:180
もしかしたら。
その言葉の先に何が続くのか見当もつかず、こてんと首を傾げるばかり]
よくわかんないけど。
おとなしくまつ。がんばる。
[ぶつぶつと呟きつつドワイトの姿を目で追った。
開かれた扉の向こうで、来客者と相対する姿を**]
一箇所にとどまってみても進展はないし、あたしゃ色々とうろついてこの子のことを調べておきたいのさ。
[隣のテーブルを一瞥する。]
それにさっきまで、ここ、人いたんじゃないのかい?
酒場にはもう、人が来るでもないだろ。
[使われたあとのグラスが残っていた。
片付けられていないということは、誰かがいたことを意味する。
それにこの様子では、店を開けている余裕もないだろう。]
[グラスを持って戻ったところで、ドアをノックする音が聞こえてきた。]
おれが……
[テーブルにグラスを置き、おれが出ようと言いかけるが、もしナデージュならば、ドワイトが出た方が良いだろうと思い直し、言葉を止めて頷いた。]
ってことで、森の方にも興味はあるんだけど――
ま、危ないようなら、この子の判断に任せるさね。
[片手で頬を支えながら、少女を見た。
彼女の表情を窺うためにも。**]
[ナデージュの複雑な表情を見て、予感は確信へ変わる。
酒場の主人は天に召されたのだろう。
おそらくは、彼女の傍らで]
――――――…、嗚呼。
[こういう時に少しでも救いを与えるのが
司祭の務めであるとすれば、
いつまで経っても自分は半人前だ。
崩れゆくこの世界で、神は如何ほどに癒しとなるか。
何かを押し隠す様に頭を下げる彼女。
その姿すら、小刻みに震えているように見えた]
よく、来てくれましたね。
[もう一度先ほどと同じ意味の言葉を繰り返し]
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