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[彼女の胸の内はわからない。
わからないからだろう、仮面はその一歩をすっと進めて、彼女の鼻を微かに触る。]
んー思ったほど長くなっていないね。
? ふふ……かわいい子だろう? ローザというんだよ。
今は親睦を深めて清く正しい文通から始めようと交渉ちゅうさ、
苛めるだなんて人聞きの悪いことを言うねぇ。
愛でてるんじゃないか。
んー? さては妬いてくれてるのかい?
眩しいキミに妬いて貰えるなんて嬉しいねぇ。
かわいいねぁ。よしよしキミも愛でてあげよう。
[嗤いながら撫でようと髪に手を伸ばすだろう。
その思いを戯れ言の中に隠す仮面。
彼女の胸の内がわかっていたら、もっとおちょくっていたかもしれない。
微かな異変に気付かぬふりをして
変わらぬ様を見せつける。]
…っ!
[出し抜けに名前を呼ばれて、そちらを向く。
眠そうな瞳に、暖かそうな白い翼]
渡り鳥、さん……。
[少女の頭上、想定は外れ、夜は、明けない。
星たちはいつの間にか最初の位置に戻って、夜空に軌跡を描く。
にせものの星空を映す機械が壊れて、
投影を延々と繰り返しているかのよう]
――こんばんは。
[挨拶の言葉は自然、夜のものになった]
おほしさま、たびをしてるの?
[見慣れぬ光景を見上げて、問うた。
これは星売りの世界、だから。
きっと星売りが知っていると。
そう、思ったらしい]
カスミは。
おほしさま、さがし?
[こてんと首を傾げ、星売りの傍へと歩いていく]
……花ってすごいよなぁ……
そこに、咲いているだけで いいんだから……
[楽しんでいると頷くハルに
改めて桜と花畑を見やる。]
へぇ……リヴリアに、か……
折角ハルが作ってくれるんだから、
似合う服を着ればいいのにな
[ここで、彼女の名を口にすることは少ない。
本人には言わない。彼女の性格上
否定してくるなんてわかりきってるから。
だから、他の少女に彼女のことを
尋ねたりするときぐらい。
今の、道化師の彼女に花冠。
昔……豪奢なドレスではなく
動きやすいからって、木綿のワンピースを着ていた
そのときならよく似合ってただろうな、と思いつ
にこにこ笑いながら器用に編み上げる少女を
穏やかに笑いながら見る。が]
へ?……や、僕はいいよ。
似合うわけないしさ
……花だって、ハルや他の少女のように
似合う子にかぶってもらった方がいいだろう?
キミは“妬く”のが上手いけれど
潮騒の子は“焼く”のが上手いからねぇ。
あはは、焦がしてしまうのかい?
ボクは残念ながらそちらの方は“役”には立たないからね。
それで、キミを嗤ってあげられないのが残念でならないよ。
そうだねぇ焦がすのならお魚じゃなくて、心を焦がしてあげればいい。
ローザ、この子は眩しい子だけれど、太陽を見て目がいたくなるようなことはないからね。
見て、遊んで、焦がして貰うといい。
肌と心を
[戯れ言に戯れ言を混ぜても戯れ言
けれど、本当の中に嘘があるように嘘の中にも本当はあるのかもしれない。]
[見せられる脚はむしろ不健康そうに細くて、
この脚が何故あんなに速く走るのか未だに不思議だ。
翼の生えた人間がいる世界で、
そんなものは今更の問だとわかっていても]
失礼な、鼻なんか伸びてないぞ?
なんったって私の実力だからな。
でもリヴリアが特訓頑張ってくれるなら、
私もまた受けてやっても………っ、 …ちょっと!
[青白くとも、未だそこに脚があることに
かすかに安堵して気を緩ませた隙を狙われた。
鼻に触れた手をぺいっと払うが、
頭に手が伸びてくれば避けようとしても触れられて]
長くなるわけがないだろう!
妬いてないってば……話せこのペテン師!
[気恥ずかしさで逃げ出したい……どころか、
心配したことを損した までの気分である。]
ダハールちゃんは。
"そこにいるだけ"じゃだめなの?
[せっせとレンゲを編みながらも、ダハールの言葉を耳に入れ、少女は首を傾げる]
ハルだって、ここにいるだけ、だよう?
[そして、それだけが、少女の望み]
リヴリアちゃんの、お洋服?
ああ、リヴリアちゃん、今日はちょっとくたびれた格好だったねえ。
[リヴリアの服装については、のんびりとそう返した。
7年前から続く今日の話。
これからもずっと終わらない今日の話]
ふふ、大した自信だ。
じゃあすぐそこだけど潮騒の子の家まで駆けてみるかい?
いや、ボクの挑戦を受けてください王者様。
受けて負けて『ぐぬぬ』ってする顔をする貴方様を肴にランチを頂きとうございます。
が、いいのかな?
[どう? っと言わんばかりにミズキとローザに小首を傾げたまま眺めてみせ]
お料理も、潮騒の子と競ってみたらどうだい?
キミならめきめき追いつけると思うのだけど。
ありゃ。
[花冠を断られると、意外そうな顔をした。
これまで断られたことなんか、なかったからだ]
ええーっ、ダハールちゃんだって、似合うと思うよう?
ムラサキツユクサなんか、ちょっと大人っぽくっていい感じじゃないかなあ。
[レンゲを編む手を止めて、検分するようにまじまじとダハールを見つめる]
……僕はね
”いるだけ”どころか、いるのもだめ
だってさ。リヴリアに、言われちゃった。
いっそ、桜とか樹木だったら、
傍にいられるのかなぁ
[首をかしげた少女に
泣き顔のお面のまま、
さめざめと泣くしぐさ一つ。
の後、おもむろに顔を上げて]
まぁ、それでも いるんだけどね?
……ハルが同じに言われたら、どうする
[ずっと、ずっとい続けているらしき少女。
けれど、彼女の中では、一日の出来事。
洋服の話には
「ハルみたいな服もきればいいのにねぇ」
と、こちらものんびり返す。]
[ただ、意外そうな顔には軽く目を逸らす。]
あー、いや、その……ムラサキ……?
ツユ何とか?はさておき、さ。
[まじまじと見られている。
園芸部でもない少年には花の名前は
難しくて、それがどんな花かもわからず
まさか、男だから勘弁とも言い出せず
彼女の視界をさえぎる様に両の手を顔の前に。]
こんばんはあ。
[明けぬ夜をちらりと視界に入れた後、夜の挨拶を返す]
………旅をしてるのとは、違うんですよう。
流れ星じゃないんですよう。
でも、んー……、
お星様、急ぎ足で歩いてるみたいで、落ち着かないですねえ。……わたしが。
[説明になったかどうか分からなくて、困ったような笑顔が浮かぶ。
渡り鳥の少女の問いかけにゆるく頷いた後、少女もこてんと首を傾げて]
……もしかして、いっしょに探してくれるんですかあ?
まあ、いい。
そうとなったらローザ、君も走るだろう?
あの家まで競争だ!
[気を取り直して。
もう目前に見えるシンの家を指差して、
ローザに向けて笑いかけた。
手に持つ二つのバケツのうちの一つをリヴリアに渡す、
ローザへのハンデだ、と伝えながら。]
位置について―――……
よーい、ドン!
[少し逸り気味に有無も言わせず、
砂浜のかけっこへと*駆け出して行く*]
ながれぼし、ちがう?
そっか――たびびとさんじゃ、ないのね。
[急ぎ足、落ち着かない。
眠たげな表情には感情らしい感情は浮かんではいない。
ただあるがままに大きな瞳で夜空と、
そして困ったように笑う星売りを映した]
カスミがさがしてるおほしさまは。
どんなおほしさま?
ぐれいへんにも、とどくかな。
[一緒に探す。
その言葉に頷いて星売りを見上げた]
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