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[こちらの言葉に納得する様子。
笑みも、先ほどのものより笑みで。
仮面の奥で安堵して、
先行し始めた彼女の後ろを
鳴らない鐘がついた杖で追い始めた。
が]
―――………?
どうか、したかい?
迷子にでも、なりそうと思った?
[ローブに触れる様子にゆるく首をかしげて。
後ろをついてくる自分が。
先ほど目的地につけなかった彼女が
迷子になることを恐れたのだろうか?
と、ローブに触れてくる手に思う。
もちろん払うことはなくて。]
[クスリと嗤い、ミズキの前に立って
そっと仮面をはずす。]
どこにいこうと
どんなになろうと
ミズキはミズキだよ。
私は何時だって君を忘れない。
君と過ごした日々は消えない。
どんな世界であってもね。
私と君は友達だ。
[涙を指でそっと払う。
それでも止めどなく涙は溢れるのだろうか?
太陽の雫は輝くのだろうか?]
征っておいで。翔けておいで。
太陽を目指して 星を探しに
太陽はいつだってそこにある
星は何時だって輝いている。
それを教えに
君が駆け抜けるのならば
君が輝くのならば
太陽は決して欠けたりしない。
星はきっと見失うこともない。
征き先は セカイが教えてくれる。
さあ……
かまわないよ。
はぐれない様につかむといい。
一張羅だから、やぶかない程度の力でね?
[こくりとうなづきカスミに
真紅のローブ、その袖を差し出して。]
……おや?
今度は上機嫌、だね?
あとは、顔を洗えば完璧だね?
[今、ないた烏が何とやら。
足取りさえも、ほの明るく輝度を持ち。
ボトルの中ではない星が揺れる中
カスミは今度は目的地に着く、
道化師には自分の変化によって
経路が変化する干渉力はこの世界にないから]
[とびきり難しい身体で生まれてきた。
身体もこころも大人にはなれない。
それどころか年々弱りゆく。
まるで子供に戻っていくかのように
美しい満月が欠けていくかのように
出来ることが段々と減っていく。
身体も―― そして、「こころ」も]
………うん。
[笑顔のままこくりと頷いた。
結局拭われきれなかった涙を、
服の裾で強引にぐいっと拭う]
私の分のごはんも残しておいてくれな。
全部食べちゃったら、許さないから。
……――― 行ってくる!
[背中を押す言葉と同時に、
少女は海に背を向けて、駈け出した。*]
― 丘のふもと 水辺 ―
[丘のふもとは、少女たち固有の領域を
つなぐ役割を持った場所。
自然にない現象はなく、ただ、そのままの自然。
故に終末が近づいても破綻は少なく、
今現在は道化師には何も感じない程度で。
カスミが顔を洗うようならば、
ゆっくりとそれを見ていた。
時折、春の名残、淡い色が水面に落ちて]
[『ありがとう ありがとう』と
ぽろぽろ零れる太陽の涙と共に
私は彼女を抱きしめて……放つ。
それから駈け出す彼女を見つめ続け【彼女を送りだした】。
涙は流さなかった。
だって道化は笑うのだから
友達を見送るのに涙は似合わないのだから。
だから、笑って見送った。
心では……ううん、なんでもない]
……
[その背が遠ざかり、見えなくなれば
グレイヘンを見て戻っているのならシンを見て
最後にローザを見つめる。
ここに居て、ここにはいない彼女の姿を]
誰が届けてくれるのかな?
夢を…幻から遠い光の先へ
[私が知る今唯一の“異常”
けれども、いや…だからこその“可能性”
どういう顛末を迎えるのか
どういう終焉を迎えるのか
他に彼女のような存在がいるのか?
弟は……どうなのか?
それは私にはまだわからない。
私を見たいとそう語った“異常”
見せると言ってくれた“可能性”
私の全てを見せてあげられるのは
いや、見せてしまうのは
彼か…彼女なのだろう──]**
― →丘のふもと ―
[駈け出せば道に迷うことはない。
たとえばハルとシンのように
心から願えば出会わないことも可能な世界で
出会いたくもないのに幾度も出会ってしまったのは
きっとどこかで願ってしまったせいだ。
「会いたい」 ………と。]
[真っ直ぐに駈けて行く。
丘のふもと。水辺に佇むふたつの影のもとで、
星が揺れて太陽を呼んでいた]
あれ……、ダハール?
[泣き顔の方の道化師の姿を認め、
足は一旦少し躊躇いを見せる。
けれど意を決して、ふたたび速度を上げて]
おぉーーーーい!
つか、 まえ、 たっ!!
[星売りの右腕を、太陽揺らす右手が捕まえた。]
[ここには、まだ訪れぬ終末の兆し。
水面を滑った風は心地よい。
それは静かな嵐の前触れなのか]
……ミズキに会いに行くって……
この前言ってた、みんな、
と、お友達になりたい……から?
[カスミにそうたずねたり、
ハルと話していて思ったことを
その考えをまとめたり……]
[ハル、はなくしたものを忘れた。
またなくしてしまう事を恐れてもいた。
そうして、楽しい事だけを抱えて
花畑で、笑って過ごすことを選んでいる。]
[では、姉は?]
[会えば帰れといってくる。
全く忘れていない、こちらのことを。
高い可能性……意図的なもの故の?
低い可能性……偶発的なものでも?
どちらにしても、多分、とても痛い。
けれど、それでも忘れていない。
ハルを見れば、
忘れられる環境だとわかるのに。]
[いくつもの仮定を考えながら、
結論は出さない。結論は出せない。
未だ、微かに香る
熟れた果実のにおいは……知らない*]
[と、言うか……]
ミ、ミズキーーー!?
[驚くわ]
[話題の人というか、時の人というか。
駆ける速度が少し、下がった気がした。
が、前日ここ、でカスミを見た。
そのときとは、纏う空気が全く違う。
考え事はあっという間に霧散して
カスミの腕をつかむさま 泣いた仮面の奥で
青を瞬かせて驚いて。
結論は*出ない?出さない?*]
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