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きみは自らの正体を知った。さあ、村人なら敵である人狼を退治しよう。人狼なら……狡猾に振る舞って人間たちを確実に仕留めていくのだ。
どうやらこの中には、村人が3名、人狼が2名、占い師が1名、C国狂人が1名、共鳴者が2名いるようだ。
[ふわり、ひとつあくびを零す]
……ん。もう夕方か。
[腰ポケットから懐中時計を取り出して眺めた。
まだこの海辺では日が傾くような時間では無いだろう。
秋の野山の夕陽は、訪れるのが少し早い]
日が暮れる前に家へと帰らせてもらうよ。
それでは―― いつもながらすまないが、
料理をよろしく頼む。
[ぺこりと一つお辞儀をして、
海岸線の家から去っていった*]
― 黄昏のかえりみち ―
[行きと同じ道を辿って帰っていく。
天を仰ぎながら歩くのは常の癖だ。
けれどその口元から、明るいハミングは流れない。
黄昏時―― 昼と夜が交差する場所。
ただ黙りこんで少女は歩く。]
[山に近付くに連れて太陽の高度はどんどん下がり、
黄昏の空に灯る一番星。]
……… ゆめ見たのは、いつかつよく 輝く日。
[丘の麓、鳥の止まる葦の水辺を通る頃には、
月の無い、暗い空。
星がいくつもいくつもまたたいて、 ]
― 黄昏の水辺 ―
[空を見上げて歩いていたせいで
地面には気を留めていなかった少女は、
草の間に横たわる「なにか」に気づかない。
思いっきり蹴飛ばしかけた足が、
直前でそれを回避して]
………っ、 たっ!
[おもいっきり、*躓いた*]
─ 花畑 ─
[夢の少女の渇望がそうさせたのか、
それとも、渡り鳥の羽の音に、癒された少女の安穏か?
傍らの春の風が凍える北風を侵食したのかもしれないが…
微睡む花畑で夢を見た。
遠い遠い夢じゃない。
ここが彼女の花園だから、残る香りの夢をみる。
そう、遠い遠い夢よりも少しだけ近い夢の夢
夢の住人となった私がまだ仮面をつけず
嗤いもせず
私がまだもうちょっと私でいたころの夢]
『では、ハルさん? その花はどこから来てどこへ行くの?
風は何を運ぶの? 誇らず枯れず 夏を征かず、秋に佇まず、冬も耐えず。
そんなの花じゃないわ。廻らない季節だっておかしい。
なんで夏が来ないの? ねえ、なんで?
ぜんぶぜんぶおかしい。ぞんなの偽物じゃない!』
[それがどういうセカイかもわからずに
ただ逃げて
逃げて 逃げて
逃げて 逃げて 逃げて
たどり着いたのはこの花畑だった。
ハルは…私がこのセカイで逢った最初の少女
彼は?
…ううん。彼にはは逢ってないわ。
…逢ってないったら!
だって…
だって私はまだつけてなかったもの]
『気味が悪い!』
[そう言い捨てて、私は花畑から背を向けた。
常春の園 一面に芽吹く花々 絶えぬ微笑
すべてが理想郷のように心地よくて
まるで作り物のように都合が良くて
そんな夢幻のセカイに覚えた想いは「恐怖」だった。
大きな不安が渦巻いていた
大きな悲しみが飲み込んでいた
大きな感情が胸を焼き尽くしていた
恐れは、逆巻く思いの濁流を解き放つ
ああ、自らを棚に上げよくもまあそんな言葉が言える?
何も知らず 何も見ないで 何も聞かず
嗚呼、酷い私だ 醜い私だ
嫌いだ嫌いだ 私は嫌いだ
こんな私は消えてしまえばいいのに…と]
― 現実・医師の部屋 ―
あら、ローザ。
[すい、と顔を上げる。
ぽわんとした表情で、きりりとした顔立ちの彼女をみつめ]
目立った異常は、なし、ね。
[ファイリングされたいままでの報告書。
異常なし、という文字が並んでいる]
……しかし?
しかし、どうしたの?
[こてん、と言い淀む姿に、首を傾げる。
少女たちの世界になにかあったのか、続きを促すようにボールペンを机の上からとった]
[丘の上から、見るのをやめて
目をつぶった。
世界を見るのが自分のしごと。]
・・・・・首、いた・・・・。
[だけど、ずっと下を向いていれば首も凝る。
この世界においてそういった感覚は
ないものと思い込めばないのかもしれない。
だけど、染み付いた条件反射は簡単にはぬぐえない。
水に濡れたままでいれば寒いし、太陽に当たり続ければ熱い。
下をずっと見ていても、上を見上げていても首は痛くなる。
そういうものだと頭がそうなっている。]
自分が置かれた立場を理解している?
[オウム返しのように口にする。
眠りについた少女たち。
夢であることを理解している子がいるのか。
それでも目を覚まさないのはなぜなのか。
夢が夢だと、わかっていない子は―――]
そう、ありがとう。
……からかわれた…ねぇ…
[んー、とカルテをめくりながら、時折メモを取り]
ありがとう。
…体調は、どう?
夢 の中にいる間は、問題なかったけれども。
ふん、ふん。
こっちでも常にチェックしてるけれども、変だと思ったらすぐに言ってね。
戻って来られなくなっても、こまってしまうし。
……器?
[ゆるり、首を傾げたが――
その悩みの正体にすこしだけ微笑み]
ああ、そのこと。
…嫌なの?ふわふわした髪。
可愛いと、おもったのだけれどねえ…。
[ダメ?と首を傾げ]
夢のなかなのだし、すこしくらい変えるのもいいかなー、なん、て…
[黙っているリヴリア>>0:225が何を考えているか、少女にはわからない。
少女は、むずかしいことはわからない。
少女は、むずかしいことは考えない。
ただふわふわと、お花畑で笑っている]
笑顔は、人を幸せにする?
ハルは、優しさをお裾分けしてる?
そっかあ、そうだと嬉しいなあ!
[リヴリアの胸のうちは知らず、少女はのんきにそう言って、ふわふわと笑った]
ハルのね、得意は花冠を作ること、かなあ?
さっきもね、ミズキちゃんにお裾分けしたんだあ。
今度リヴリアちゃんにも作るねえ。
[不自然に途切れた会話を咎められることはなかった。
そのことに、内心ほっとしていたり……することはない。
もう、少女の中では、すっかり"なかったこと"になっているから。
ただにこにことご機嫌で、ホトケノザの蜜を並んで吸って、そうしてうとうととお昼寝するのだ]
―もう覚えていない昔のお話―
[リヴリアがお花畑に来るようになったのはいつのことだったか、少女は覚えていない。
お花畑はずっと、ずうっと変わらない。
時間の止まったお花畑で、少女の時間の感覚も酷く曖昧だ。
ぶつけられたまっすぐな言葉に、あの時少女はなんと答えたのだったか]
『お花は、どこにもいかないよう? ずっと、ここにいるの。
偽物? にせものって、なあに? 本物って、なあに?』
[不思議そうに首を傾げてそう答えて、けれど"夏"という言葉を聞くと、態度を一変させたのだったか]
『夏なんて、こないよ。
だって、夏なんて要らないもん。
夏なんて、ずっとずっとこなければいい。
ハルは、春しか要らないんだ。
ずっと、ずうっと、春でいいんだ』
[丘を下ってしばらくして、目をこすりながら座り込んだ。
片翼だけでも広げれば身長に近い。
少女が背負って歩くにその翼はいささか大き過ぎた。
まるで親鳥の羽根を背負っているかのよう]
――……。
[日が変わる頃。
渡り鳥は今日の塒を探して樹の洞に潜り込むのだった。
ユメとユメの狭間で。
休息の時間が過ぎるのをただ目を閉じて待ち続けた]
― あさ ―
[どのくらいの時間がたったか。
眠たげな目で傾いた影を眺めていたけれど。
やがて水を求めて木の洞から這い出してくる。
水辺に辿り着くと両手で少しだけ水をすくって飲み。
体を小さくして、自分の翼に埋もれるように
柔らかな草の上に横たわる。
ひなたぼっこ]
[苛立っていたのはわかっていた。
怖かったのもわかっていた。
その、自分でどうしようもない憤りをただこの少女にぶつけていたこともわかっていた。
自分はこんなにも不安で怖いのに、この娘は安穏と自らのお花畑で、都合の良いセカイを作ってただ留まっている。それが無性に私を苛つかせた。
捨て台詞を吐いて立ち去ろうとしたときに、背中に受けた言葉が私の胸を打ち抜いた。]
『偽物だっていうんなら、本物なんて要らない』
[はっとして振り返った。
彼女の顔を見た。ええ、覚えてる。今でも忘れたことなんかない。
夏という言葉ににあそこまで態度を一変させたのにも驚いた。
けれど、それ以上にあの一言は鮮烈だった。あの時の私には]
認めなければなかったことにできる・
認めなければ……ことができる。
[夢から覚めて、身を起こせば、相も変わらず傍らでうたた寝をする少女が見える。
あの時の表情はどこにも感じられない、やわらかくて優しげな寝顔。
仮面を外して少女を見下ろし、その髪をそっと撫で上げる。]
貴女は忘れてしまったのかもしれないけれど
私はね、ハル……
貴女の言葉に助けられたんだよ。
それが貴女の優しさ、私が貰ったひとつの優しさ。
ただの我が儘でも、私にとっては大きな優しさ。
[彼女の眠りを起こさぬように、柔らかな春風に乗せてそっと囁く]
そしてね、ハル。
貴女は忘れてしまったのかもしれないけれど。
私はお礼も言っていないし、謝ってもいないんだよ。
貴女が思い出したなら、謝らせてね。
貴女が夏を超えて秋を駆け抜け、冬へたどり着けるのなら
お礼を言わせて?
[子守歌のように呟いて、それから彼女が起きるまでの間、ただぼんやりと進まぬ時を眺めて過ごす。
彼女が起きた頃には仮面も元通り。
しゃらりと鈴を響かせてその場を辞すだろう]
ハルの子の花冠を楽しみにしているよ。
ボクに似合う冠を作ってくれよ。
ふふ……冠かぁ
花の国の王女様になれるのかな?
その時は、ボクもハナの子に何かをあげれたらいいのだけれどね。
[そして北風はゆらりと花畑から姿を消した]*
−海岸線の家−
…どうかな、筏なら丸太とか竹とか組んだらできそうだけど
[冗談めかした声に肩を小さく竦めてみせるだけ。
籠の中を覗きこまれても止める気配はない。
けれど、上がった声にちらりと少女の見る先へ向ける視線]
そんなに難しいものを作ってるわけじゃないから
頼むなんて大仰すぎるよ。
こっちはお肉みたいだけど、何の───わお。
[魔法のようにとにかく置くから奥から出てくる食材
肉やブラックベリーまではよかったが
流石に出てきたまるまるとしたパイナップルの存在に目は丸い。
南国の果物の出会いは少女の口元をほころばせる]
抜群だと思う。ブラックベリーはジャムにすればいいんだね。
じゃあ、クランベリーが手に入ったらそれも欲しいなあ。
[懐中時計を見遣って去っていく少女、
こちらもまたその背をのんびりと見送るばかり。
遠くなった背中を見送り、籠と戦利品は家の中。
暫くすれば、芳ばしく焼ける肉の匂い。
その余熱、傍らでブラックベリーを煮詰める鍋が一つ。
以前貰ったレモンで作った蜂蜜漬けを刻んで加えたところで
少女に伝え忘れたことをふと思い出す]
クランベリーって、収穫するの
凄く大変なんじゃなかったっけ…。
[クランベリーは冬の低湿地帯に実る。
畑で纏めて収穫するならば、水を畑一杯に引く。
完全に木を水没させて揺らし、浮き上がったものを掬い上げる]
…ま、流石に畑はないよね。
[溺れる無数の真っ赤なクランベリー。
小さく身震い一つ、息を吐き出して鍋を掻き混ぜる手は続く]
[焼けた肉は大きな木の葉に包んで鍋の中。
火の消えた場所、残るうずみの熱で果物を煮る。
ココナツとパインは翌日に回したらしい。
やがて、星が一回り巡る朝には
早くからパンを捏ねる音と、オーブンで焼ける匂い。
海から吹く風に乗って、それは丘を抜けて気の向くまま]
[真実は、時に酷く残酷で。
本当のことは、少女を傷つける。
だから少女は、暖かく優しいお花畑に縋る。
季節の過ぎることのないお花畑で笑っている。
それが偽物でも、かまわない。
そうすれば、少女は傷つかない。
そうすれば、少女は幸せでいられる。
時を止めて、前に進まず。
いつまでもいつまでも、10歳の春のまま]
[お昼寝から目覚めたら、リヴリアは立ち去る様子。
少女は、立ち去る人を引き止めない。
いつもにこにこと見送るのだ。
そうしているうち、来なくなった人もいるのかもしれないけれど、少女はそんなことは覚えていない]
リヴリアちゃんにはレンゲの花が良く似合うかなあ。
うんっ。楽しみにしててねえ?
お裾分けなんて、気にしなくていいよう。
[やっぱりにこにことそう言って、手を振って見送るのだった]
[漂ってくる香りにゆるゆると瞼を開く。
小鳥はみずみずしいものが好きだ。
良い匂いだというのは判別はできるけれども。
昨日は山は秋だった。
今日は――ふるりと頭を振る。
柔らかな春の陽射しが少し向こうに広がっている。
目をこすり、気持ち良さそうな空気につられて。
渡り鳥は花畑の隅っこで立ち止まった]
はる。
― 陸の中腹 夜→ ―
[少女が夜を望めば夜に。
世界は少女の意のままに変わる。
その中で、道化師はゆるく頭を振った。]
………まぁ、いいか。
[適当な木陰に腰掛けて瞳を閉じる。
仮面をつけたまま。
端からはただ座しているようにみえるだろうけど]
――……。
[微かな残り香は北風か。
しかし何処までも花畑は春めいている。
きっと寒風に花がしおれる事などないのだろうと思う。
ちくりと何かが痛む。
寒さから逃げて、逃げて、そして他所の季節を渡り歩く。
自分の領域を持たず、他人の領域を侵す罪悪感。
それでも春は甘く生き物を誘うのだ]
― 水辺 ―
[あまり、穏やかな眠りとは言えなかった。
得体の知れない何かが、夢の中で少女を追い立てている。
掌から「星」の入った包み紙が零れ落ち、草の上に着地して湿った音を立てた]
……… っ、
[少女は「星」を拾わない。
空へ向けて僅かに右手が持ち上がる]
−つぎのあさ−
[朝から、潮風に混じって小麦の焼ける匂い。
解体されたココナッツとパインの調理もすすんでいるらしい。
パイナップルの芯はジャムに。
実はパンに刻んでくわえたり、一部はパンを焼く酵母の種。
ココナッツも既にミルクと果肉に分けられていて]
…誰か、ちょっと食べに着てくれたらいいのに。
[出来上がるだろう食事の量に溜息一つ。
最早一人分の食事量ではなかった。
それでも手は動き、ココナツミルクに足すのは
残り少なくなってきた天草を幾らかばかり。
溜息一つとともに、焦げ付かないように鍋を揺すり
消えていけば火から下ろしてゆっくり冷ます]
[と、弾かれたように身を起こし、]
………暗い。
[ぼんやりと光る右腕の星を見て、
星がいくつもいくつも瞬く頭上を見上げ、
それでも暗さには慣れず、辺りを見回して誰かが倒れている?ことには気付くも、]
だあれ? だいじょうぶ?
[その正体までは分からず。
おもむろに立ち上がると、目をこすりながら「誰か」に近付いた]
[その時、少女は運動をしていた。
ずっとお昼寝をしているか、花冠を作っているかというわけではないのだ。
広いお花畑を、走って、走って、時々スキップしてみたりして、疲れたらそのまま転がって]
あれえ?
[ばたん! と倒れるその時に。
視界の端に誰か見たような気がした。
お花畑に倒れこんだまま、ころころ転がって、ぱちぱちと瞬き]
グレイちゃん?
どうしたのー?
ハル。
[うららかな季節と同じ名前の花守。
舞い踊るように駆け回るのに合わせて花々が揺れる。
優しい香りが陽光に絡まり眠りを誘う。
いつものように渡り鳥は目をこすりながら]
おはなばたけが、きもちよさそうだったから。
ここはいつも、とても、あったかい。
[そして少しだけ、眩しい。
目を細めるとより眠たげな表情に見えるか]
[昨日の肉を薄く削ぎ、皿の上に。
刻んだココナツを焼けたばかりのパンで挟む。
出来上がったばかりのパインジャムも挟んで。
こうして出来上がっていく朝の食事]
…今日の検証も成功。
[そんなことを呟いて、外のテーブルへ向かう。
トレイには検証結果と呼んだ食事の皿と
飲み物の入ったカップ。
誰かが近づいてくるとも知らず、海を眺めて優雅な食事]
― 少し前:海岸線の家で ―
[どうやらパイナップルはシンのお気に召したらしい。>>19
安心してほっと息を吐きながら
その言葉の端を拾って、冗談めかして頬を膨らませる]
難しくない…… それは皮肉か?
私にとっての料理とはとてつもなく難解なものだぞ。
[この場所に来て数ヶ月。色々なことを覚えたが、
料理だけはどうしても駄目だった。
センスが絶望的に欠落しているらしい]
クランベリー……ふむ。
分かった、捜してみるよ。 それじゃ。
[脳内にクランベリーの姿を思い描きながら、建物に背を向けた。
赤くて円いころころを、樹からぷつりぷつりと摘んでいく。
シンの思い浮かべたような畑の風景>>21は
まさか思い当たるべくもない*]
[潮の香り、次第に強くなる。風、髪がべたつく。
(少女たちならば、髪がべたつくこともないだろうが)
物理法則を無視した世界で、
知る範囲の常識、物理法則を身に受けながら
その一つ、空腹を抱えて、覗き込む。]
………いいにおいだね、シン
それ、一人前?……じゃないよね。
誰か、御呼ばれしているのかな。
[腹の虫が主張する。
今、仮面の泣き顔は飢えたからに見せるだろうか?]
[仮面の元には朝も夜も巡ってくる。
彼女の住処深い深い森の中を除けば、他人のセカイを等しく享受する。
季節の移ろいも昼夜の理も干渉はしないのだから、そこに春があれば春があり、秋があれば秋がある。
太陽があれば太陽を浴びて、星があるならば星を掴もうとするだろう。
就寝も食事も規則はない。微睡むセカイならば微睡む時もある。
食べるセカイがあるならば食べもする。
ただ全てを享受して廻るのだ。
そしてセカイを巡りながら一度は立ち寄るのが、例の丘。
今日も丘にそよぐ風に微かな鈴の音がしゃらりと響く]
そっかあ。
[グレイヘンの言葉に少女は嬉しそうに笑う。
ここは少女の領域のお花畑……なんて、少女自身は認識していないけれど、大好きなお花畑を褒められるのは悪い気分じゃなかった]
今日はとてもいい天気だもんねえ。
ひなたぼっこのお昼寝日和だよう。
[7年前からずっと"今日"で、明日が来ることはないのだけれど。
そんなことも、やっぱり少女は認識していないのだ]
今日も知識の恵みに感謝して、
いただきまー…あ。
[トレイを前に手を合わせて一拍手。
それから一拝、顔を上げていざ食事。
と、洒落込もうとしたところで聞こえた声。
大きな口を開けたまま視線が仮面の片割れを見た]
呼んでるんじゃなくて、作りすぎただけ。
…食べてく?
[隣の椅子を引いて手招き一つ]
[―――数ヶ月前。
といっても、暦など無いからそれは曖昧な時間だが……
ここに来たばかりのミズキは、
まさしく本当の意味で「何も出来ない」少女だった。
走り方を知らず転び、
泳ぎ方を知らず溺れる。
整理整頓の仕方を知らず家はぐっちゃめちゃ、
扱う言葉すらもこどものようにたどたどしく。
走り方は笑顔の仮面の少女に習った。
何がきっかけだったか、挑んだかけっこ。
何度も転び、抜かされて
けれど、みるみるうちに上手になって、やがて勝負になって
本人はきっと、教えた自覚はないだろうけれど]
[苦手なものは何だって、克服しようと努力した。
ミズキを見守る太陽は
いつだってその努力に応えてくれた。
けれどどうしても克服できないものはある。
たとえば、料理。
そして、 いま目前にいる「星」の少女]
[今日は――その言葉に渡り鳥は少し表情を曇らせる。
それを欠伸のふりをして誤魔化して]
うん。 いいてんき、ね。
おはなもげんき。
[この花畑では花は太陽だけで綺麗に咲き誇る。
雨の恵みを欲してしおれる事もなく、ずっと]
ハルは。
つめたいおみず。
のみたくなったり、しない?
[彼女……少年のような姿で
華のない箇所に住んでいるが、それでも少女、だ
に、声をかけたのは、ちょうどいいタイミング
と、言うべきか、どうか。
屈託なく大きな口をあけたシンの視線がこちらを見た。]
[肉にパンにココナッツにミルク……ココナッツミルクだろう
それに、何かのジャム。
見知った台所と違い、もっと素朴な環境で
よくもこれだけと、驚き半分]
…………おや、おや、いいのかい?
僕には御代になるものはないよ?
強いてあげるなら、
カスミの星ぐらいか
[羨望半分、手招きされれば、
そうは言いつつも、するすると入り込んで
おかれたいすに腰掛けて]
[聞こえた声で「誰か」の正体を把握し、
歩みが一瞬ぴたり、と止まる――が]
ミズキちゃん!
わあ、えっと、とにかくごめんなさいですよう!
その様子だとわたしがここにいたせいで倒れちゃったみたいで……。
[満面の笑顔、焦りを垣間見せるしょんぼり顔、そしてまた笑顔。
ころころと表情を変えながら再度近付く]
お星様が来るのを待っていたら、いつの間にか寝ちゃってたんですよう。
そう見つめられると照れるのだけどねぇ?
[見た目には彼女へは振り向かず、視線はセカイを見つめたままに仮面を傾ける。]
ごきげんよう甘き声の人。
ローザだったかな? ハルの子から聞いたよ。
見つめてくれるのはありがたいが、まずは清く正しく文通から始めるかい?
[カラカラと嗤いながら、辺りをぐるりと眺めて廻る。
彼女が抱く警戒も打算も勿論知るところではない。見ていたことに気付いただけだ。]
どうだい? 今日もセカイは輝いてるかい?
[鍋に入りきらなかった分のココナッツミルクは
流木で出来たカップに幾らか。
そのまま飲むのは流石にくどいのか
うっすら染まっているので何かジャムが入っているらしい]
御代?…貰って欲しいなら考えるけど、別にいらない。
あ、でも感想は欲しい。
今、用意してくるから待ってて。
[そう告げて奥に消えれば暫くして再び戻る。
トレイには、出来上がったばかりのまだ温かい
ブラックベリーのジャムの小鉢もつけて**]
冷たいお水?
[突然の質問に、少女はきょとんと瞬いた。
それから、んー、と考えて]
おやつの時間に、果物食べたりね、ジュース飲んだり、するよう?
だけど、今は別に喉は渇いてないかなあ。
[そう言って、にこにこ笑う。
ここではない別の場所で、自分の体が"生かされている"ことなど、もちろん少女は知らない。
別におなかも空いてないし、喉も渇いてない、と少女は思う]
まだごはんの時間じゃないもんねえ。
じゃあ、感想が御代、ということで。
……それにしても、すごいな。
[少女たちの世界で、空腹を個人で満たそうとすれば
それこそ飴のように甘い果実か、菓子類か
まっとうな食事を手に入れるほど
望んだものを得る力はなくて。
それだけで満足できることもできなくて。
出来ることといったら、仮面をつけたまま
器用にその仮面の下に食事を運ぶこと。
しばらくシンが席をはずして、
もって来たのは何か、黒い物体。
手を合わせて頂きますと言い
パンにつければ、それはジャムだった。]
出来立てのジャムを食べたのは
初めてだ
………シンは食事を作るのがすきなのかい?
そっか。
まだ、だいじょうぶなんだね。
[花守の笑顔は押し花のように刹那を保存しているようで。
最も美しく最も穏やかなある季節の一瞬を、
永遠に引き伸ばすような儚さを思う。
花本人も知らぬ内に枯れてしまわないか。
こうして時折様子を尋ねる]
もし のどがかわいたら。
ぐれいへんは きれいなみずべ しってるから。
つめたくておいしいおみず。
もってきてあげるね。
[彼女は自分の力でユメを叶え続けてしまうのかもしれないけど]
あら、ヴェルが?
あら、あらあら。
[ヴェルのカルテを引っ張りだす。
異常はない、と判断した数字だった。
その変化は、医師では分からない、が――
介入者同士ではなにかわかるのだろう]
ヴェルの心の準備ができたら、いつでも迎えに行ってあげなさい。
そのための準備は、ちゃんとしてあるから大丈夫。
[それはいつだって、できていた。
いつ戻ってきても、受け止められるように]
……元気に、ねぇ。
[この現実を、受け入れられればいいけれど]
[薄く削がれた肉をパンに乗せる。
パインが入っているらしく、
生ハムメロン状態だとどこかで思う。
……甘いジャムの類よりも
道化師はこちらが気に入ったらしく仮面の下に器用に運ぶ。
二種のジャムと、淡く甘いミルク。
それに、パインが入ったパン]
ちゃんとした肉を ここで食べられるのもうれしいね。
ジャムは……甘いものが好きな人は
うれしい味付け、なんじゃないかな。
………うん。僕は、少し甘いものより
それ以外が好きだから……
………パンにパインが入ってるんだね。
いつも、こんなに作るのかい?
ぅ……。
[言い切られた。
目を閉じて口を引き結んでぺこりと頭を下げる。
その時ばかりは神妙な顔つきだったが、目を開ければ貼りついたように笑顔が戻る。
それが花水木の少女の苛立たしさをさらにかきたてるかもしれなくとも、
少女自身にはどうにもできず]
上?
お空を見てたんですか…… !?
[突如脱力する相手に、ひとしきりおろおろ。
その理由が身体の不調ではないと分かるとほっ、と息をついて]
そういえばそんなこともありましたねえ。
[大したことではない、という風に、笑う]
んー? ボクの名前かい?
リヴリアだよ。
リヴリアちゃんでも、リヴリア様でも
仮面ちゃんでも好きな名で呼んでくれればいいさ。
けれど、ブではないよ? ヴだからね。
[問われて隠す謂われはない。
仮面はそんなもの知らぬが、現実のカルテと同じ名前を伝えて嗤う。
変なところに拘るのは、些細な茶目っ気としておこう]
ああそうだろうそうだろう。
輝くのさ。皆の希望と願いと憧れを
描き連ねるセカイなのだからね。
キミのセカイも輝いているだろう?
[グレイヘンの言葉の持つ"まだ"の重みを、少女は知らない。
だけど、純粋に気にかけてもらえることは嬉しいと思う]
ありがとうー。それがグレイちゃんの"お裾分け"なんだねえ。
ハルもそのうちグレイちゃんにお裾分けするからねえ。
[むずかしいことは考えない。
永遠に続くかのような"今日"のことだけ考えて生き続ける少女は、そう言ってにっこり笑った]
[なくしてしまった「星」を探している最中に、
野山の入口で動けなくなってしまったんだったか。
痛みも苦しみも、ない。
ただ寒くて震えて、それから眠くなるのだ。
動物が冬眠する時のように。
花水木の少女をちらりと見上げて、それからもう一度頭を下げた]
りぶ・・・りヴぃあ・・・・
[うまく発音ができないのは
未だこの幼い体を上手く操作しきれてないから。
というあたりをつける。]
仮面ちゃん。
きみのこと、知りたい。
[道化師の少女の見えるものは
仮面の奥に秘めたものを見ようと
じ、と再び熱い視線を向けた。]
ううん。
いっぱい、おすそわけしてもらってるから。
[ふるふると渡り鳥は首を振る。
自分は暖かい季節を自分で作り出せないから。
それが花守が自分のためにしている事でも。
おこぼれにあずかる事で恩恵を受けている]
――とりは、はるをわたるから。
[ちょっぴり笑顔を見せる。
そして柔らかな空気を胸いっぱい吸い込むと
伸びをするように翼を広げた]
刺激、ね。
[色々なものを試みた。
その記録は、たくさん残っている。
目を閉じ、動かなくなったローザに毛布をかけて]
どれくらい与えるかは、その子次第ね。
ヴェルが戻りたがってるのならば、少しばかり外からも刺激してあげると、うまく戻れるかもしれないわ。
……ま、まだまだ、わからないことだらけ、ね。
でも、無理に刺激はしないほうがいいのは、確かかしら。
[ほう、と溜息をついて。
何年関わっていても、わかることのほうが少ない]
[『嫌いだ』。
不健康な白い肌、倒れてしまうという繊細さ、
夜を思わせる黒い服装、星、
それら全てがいちいち
思い出したくないものを思い出させるから。
その上それを、「何でもないもの」として扱われれば]
……………そうだな。
そんなことも、あった。
[会話をするのも疲れたとでも言うように、
断ち切るための言葉一つ。
座り込んでいた地面から立ち上がる]
あら、飲み薬は大丈夫なのね。
チョコレートとか、ココアは、どう?
それは無理かしら?
[グレートヒェンのために調合された飲み薬。
顔色から判断しただけの量を、彼女に水とともに渡す。
首元に一瞬だけ目をやったが、何も言わずに
グレートヒェンのカルテに何やら書き加えた]
お裾分け、してる?
え。ハル、グレイちゃんに何かあげたっけ?
[グレイヘンの言葉に、きょとんと瞬いた。
少女には、このお花畑が自分の領域という認識も、自分が作り出しているという認識もない。
ただ、この場所は少女のお気に入りの場所。それだけだと思っている。
グレイヘンの言葉に心当たりがなくて、不思議そうに首を傾げたけれど、まあいっかあ、とすぐに考えることをやめて笑顔になる。
少女は、むずかしいことは考えない]
春は素敵な季節だよねえ。
ずっと、ずうっと春がいいよねえ。
[にこにこと、少女は自分にとって都合のいい言葉を拾い上げ、ご機嫌で笑った]
[うまく名前が呼べぬ様子に愛らしさすら覚える。
彼女が気に入りようが気に入らまいが、仮面にはその姿とその声が気に入っていた。]
へぇ、今日はずいぶん積極的だね。
けれど、そういうのは好きだよ。
ボクは。
知りたい? 何を知りたいんだい?
スリーサイズはトップシークレットだから教えてあげられないよ?
[実際そんなものは知らない。
昨日の様とは打って変わって、知りたいとまで言ってきた少女に興味を覚えたのか、仮面は身を乗り出すように、向けられる視線に自らの視線を返す]
指標は、ないわね。
例えばの話、私が人並みかどうかだって、判断する人によって違うでしょう?
[経歴、勤め先、世間一般の 普通 とはすこし違ったものだろう。
その容姿も一つ加わるかもしれない]
そうね。
一人でお金を稼いで食べていけるようになったら
…というのは、一つの基準。
私が目を離しても大丈夫になったら…
……いいのだけれどね。
[ヴェルはそうなってくれるだろうか。
何年かかっても構わない。
最終的に、現実を受け入れて、独り立ち出来れば]
ハルはおはな、くれるよ。
それからえがおも、くれるよ。
[眩しい、笑顔。
当たり障りのない言葉を選びながらも。
何かとっかかりを探るように]
ハルのいるおはなばたけは。
よそのおはなばたけより あかるいの。
きっとハルがにこにこ、してるから。
[春は素敵な季節、頷く]
ん――はるはベリーがあるから、すき。
でもあきもぶどうがあるなら、すき。
それに。
たまにかぜがつめたいのも、すきだよ。
そのぶん、だれかとてをつないだら。
あったかいから。
[ちびりちびりと、薬を飲むグレートヒェン。
ココアの薄いのなら、との言葉に、甘さを控えたココアを牛乳で薄く溶く。
ダハールが欲しがるならばそのとおりに作り、自分用には濃いココアを入れた]
無理をしたらダメよ。
……なにか食べたくなったら、言ってね。
スープでも、サラダでも、フルーツでも。
[夢のなかではベリーを食べると、以前聞いた。
そうならば現実でまでフルーツはいらないだろうか、
口にしてから少し考えた]
[今日、といわれて時間の感覚のズレを感じる。
ホウコクに向こうに気を取られている間
こちらのことがおろそかになる。
だから、丘の上でじっとしていたけど。]
どこへ、行くの?
[刹那の話でもあり
未来の話でもとれるような、そんな質問。
返される視線に瞬きをしながら見詰め合う。]
[お花と言われて嬉しそうに、少し頬を赤くした]
そっかあ。だったら、またグレイちゃんにも花冠作るねえ。
グレイちゃんには何のお花がいいかなあ。
[んー、と腕組みして考えていたけれど、よそのお花畑と聞いて目を瞠る]
よそ? グレイちゃん、よそのお花畑、知ってるの?
ここじゃないお花畑、あるんだあ……。
[そうしてしばらく考えて。やっぱり考えるのをやめた]
まいっかあ。ハル、このお花畑がお気に入りだから。
[それから。
春が好きだというグレイヘンに、うんうんと頷いたけれど。
続く言葉に、笑顔が固まった]
そんな……そんなこと、ないよ……。
だって秋は……。
[秋は、夏を越えなければ、やってこない。そんなことは、とても口に出せない。出したくない]
風が冷たかったら、だめだよう。
だって、だってハルには。
[手を繋ぐ人は、もういない。
そんな言葉が頭に浮かんで、少女は強く頭を振った。
"もう"いない? もうって、どういうこと?
頭を振る。
むずかしいことは、考えない]
んー? どこへでも行くさ。
ボクはセカイを巡るのが好きだからね。
見たいんだよ。人のセカイをね。
だって面白いだろう?
人によってセカイは違う。
同じものなんて一つもない。
それは不思議で、愉しいことさ。
見て知って感じて浸る。
廻らなくなるその日まで、セカイを廻りセカイを舞わすのさ。
[あははとくるりくるりと廻って見せる。舞ってみせる]
[伸びをしていた翼を折り畳む]
はな、かんむり。
ミズキがしてた?
――ぐれいへんは なんのはなでもいいよ。
おはなのことはハルのほうがしってるし。
ぐれいへんがさがすのは。
ベリーばっかりだから。
おはなばたけ。
いっぱいある。
おはなばたけじゃないところにさいてるはなも。
いっぱい、あるよ。
[閉じた世界に回帰する花守の思考。
季節を止めるほど花そのものを愛しているとも、何処か違う。
フォトフレームの中の永遠のようなものを感じながら]
大変?
そうね。会社勤めのOLに比べたら、大変かしら。
[ゆるりと首を傾げる。
されど、シャル自身は、それを大変とは思っていなかった]
ああ、まだ学生なのね。
学生としての人並み、っていうのもあるかしら。
きちんと授業に出席して、単位をとって。
それからはバイトだったり、サークルだったり、それぞれだろうけど。
[姉の干渉のため、というのは、あまり人並みではないかもしれないなあ、とぼんやり考え]
コーヒーね、わかったわ。
……お姉さんは、夢のなかではなにか食べたり、しているの?
[熱いコーヒーをマグカップに注ぎながら、問いかけた]
良かったら、今から一緒に廻るかい?
廻りながら知るといい。ボクを知りたいなら教えてあげる。
でも、代わりにキミのことも教えて欲しいな。
[再び彼女をじぃと見つめ、彼女の前に手をさしのべる。
常春に芽吹くハルと違い一所に留まらぬこの身なら、数ヶ月もすれば住人を見ることはほぼ間違いない。
昨日はじめて見たこの少女はきっと新しい住人なんだろう。
そう思えば、案内がてら回ってみるのも悪くはない。
時間を共に過ごせば、それだけ知ることにも繋がるのだから]
・・・・みたい。
連れて、いって?
[首をこてん、と少しだけ傾けながら
仮面が見る世界を所望する。
片手を軽く、あげて
くるりくるりと廻る彼女に手を差し伸べる。]
[固まった笑顔を見て。
嗚呼、この季節が――と思う]
――ごめんね、ぐれいへん、へんなこといったね。
はるはあきのあとだから。
あきはもうおしまいになったきせつだね。
[秋が終わらなければ春にはならない。
春が終わらなければ秋にならないのと反対で。
だけど、そんな言葉は今は口にしない]
だいじょうぶ。 かぜはあったかいよ。
ても、あったかいよ。 つめたくないよ。
ハルのても、あったかいよね?
[少しだけ首を傾げて。
頭を振る花守の前に小ちゃな手を差し出した]
ではお姫様。お手を拝借。
[仰々しくお辞儀をして、彼女の手を取って立ち上がらせる。
柔らかく暖かい掌が、冷たい仮面の掌に温もりを与える。
……まあもっとも、仮面より冷たい手はそうないのだから、氷の手でもなければ暖かくもなるだろう。]
ハルの子のセカイへは行ったんだね?
ハルの子とはお話しをしたのかな?
[そういえばあまりしゃべってくれなかったとか言っていたか……
ここから一番近いのはすぐ見下ろせる花の園
では次に近いのは? 海だろうか? 山だろうか? 星だろうか?]
うん。ミズキちゃんにもね、花冠をお裾分けしたんだあ。
良く似合ってたよねえ?
[グレイヘンの言葉にうんうんと頷いて、ベリーという言葉に、ああ、と手を叩いた]
ハルもね、野いちご好きなんだあ。
今度、ミズキちゃんがお裾分けしてくれるって言ってた!
だけどね、山ほどあるから、グレイちゃんの分も大丈夫だって言ってたよう?
[にこにことした笑顔は、しばらくしてちょっと保てなくなってしまったけれど、グレイヘンが謝ってくれたから、また何事もなかったように笑うのだ]
[最初はただ眺めて、それからおもしろがってちょっかいをかけて。
ふれたそうにしてたから逃げて
触りたそうにしていたから避けてもみた。
怒ってひっぱたきたかったのかもしれないけれど、避けたのでわからない。
そして嗤ってやった。
まるでじゃれつく子犬のよう。
なんだか少し愉しくなった。
ちょっと意地悪もしたくなった。
……うん、実際したかも。ううん、とっくにしてたっけ?]
[形はまるで違うのだけど、この子は少し私に似てもいた。
仮面にじゃない。私にだ。
それは無論黙っている。
容姿じゃないよ。容姿はたぶん対極だ。
たとえばそう……
この子はきっと負けず嫌いなのだろう。
覚えようと、向上しようとする気持ちがとても強く感じられた。
私もそうだ。負けるのが大嫌いだ。
特に自分自身に負けるのがなにより嫌い。
そしてそういう子は上達がとても早い。
私もそうだ。こっそりとだけど少し自慢してやる。
彼女はがんばった。とてもとてもがんばった。
だからだろう。みるみるうちに私に追いついた。
追いついて、いつの間にか私も本気になって……
この間。43回目にしてはじめて駆けっこで負けた。]
[ちょっと悔しい。けれど、ちょっと以上に嬉しかった
いい子いい子で撫でてもあげたかったけれど、怒りそうなのでやめておいた。
……うそ。『よしよーし』と撫でてみた。
どんな反応したっけか?]
ねえおひさまの子。キミは元気だねぇ。
そしてまっすぐだ。
そんなに一生懸命なのはどうしてだい?
あんまり一生懸命だからさ。
昼も夜も飛び越えて
駆けて行ってそのまま遠いセカイまでも
駆け抜けて行きそうで
ボクはちょっと心配だよ。
[ある日一緒に仕留めた鹿に背を預けながら、そんなことも聞いてみた。
ハルやヴェルをはじめ夢のセカイの住民はのんびり屋さんが多い。
儚くもあった。いや……このセカイで儚くない者はきっといないのだけど。
そういう意味で彼女は少し新鮮だった。
けれど、儚さはやっぱりそこに感じられた。まるで……
そんな思いから紡がれた言の葉]*
ううん。秋はね、うん。もう終わっちゃったもんねえ?
だからね、これからは、ずうっと春なんだよう。
[ほっぺたを通り抜けていく春風に、うんと頷く]
うん、あったかい。
ハルの手もね、あったかいよ。
だからね、大丈夫なんだ。
[差し出されたグレイヘンの手を取って、にっこり笑った。
大丈夫。大丈夫。
こうして手を繋ぐ人が、もういなくても。
ここにいれば、大丈夫なんだ**]
セクハラ?
ふふ、おもしろいこというのね。
[くすり、その発想に笑って]
……そうなの。
まだ、外からの刺激はほしくないのかしら。
[彼の姉。
焼身自殺未遂のあと、夢のなかに入っていった。
あの子は、元の世界に戻りたいと、願うことはあるのだろうか]
へえ、ミズキやシンは、ねえ。
[むー、とカルテを取り出すと、いくらか書き加えて]
貴方自身は?
身体は、大丈夫?
うん、とっても。 にあってた。
ミズキもおはなみたいに。
おひさまが だいすきだから。
[太陽が好きな花水木に花冠は相応しい]
のいちご。
ミズキがつんでくれるの?
そっか。
[一瞬何かを考えたが、すぐに微笑んで]
なくならない、ならよかった。
みんな、いっぱいたべられるね。
花水木の山は日によって季節が巡るのさ。
不思議な不思議な山なのさ。
そこに昇るお日様でも見に行こう。
今日の山はいつの季節だろうねぇ?
[巡らぬ季節のセカイを見たのなら、目まぐるしく巡るセカイを見るのもいいだろう。
ローザの手を握りながら、仮面は山へと足を向けた]**
……わたしだって、そう何度も何度も倒れてはいないんですけどねえ。
でも、ミズキちゃんがそう言うなら安心……じゃなくて信頼しますよう。
[空は相変わらず暗いけれど。
凪いだ水辺、映るのは星の光ばかり――何かが、足りない]
…………。わたし、は?
[暗い中でも光をたたえる瞳が、
花水木の少女の視線を受けてぱちり、と瞬きを繰り返す]
[ぽかぽかとお日様を浴びた草の絨毯のように。
温かい、手。
こくんと頷く]
だいじょうぶ。
うん、だいじょうぶ。
だってこんなにあったかいから。
[花守が欲しいものは。
もしかしたらやっぱりこの世界にも存在していなくて。
だけどきっとあちらの世界にもなくて。
手を握り返して、温もりを確かめてから]
あのね、ハル。
おねがいがひとつあるの。
おてて。 だれかとつないだら。
あったかかったか、おしえてね。
[少し不思議なお願いを置き土産に。
それからもうすこし、彼女の笑顔を見た後]
――それじゃあ。
そろそろ、ぐれいへんは いくね。
ぽかぽか、ひなたぼっこできたから。
ありがと。
[そう言って手を振ると。
花を散らさぬようそっと空に*舞い上がった*]
ま、お姉さんに聞いてみないと、わからない話だけれどね。
全ては仮説でしかないのだし。
……ミズキが大食漢?
あらあら。不思議ね。
……たくさん、たべたいのかしら。
[さらと書き加えて、ミズキのカルテも元に戻して]
そう、貴方。
どうしても、身体に負担がかかってしまうから。
グレートヒェンもそうだし、ローザだってそう。
貴方が倒れたら元も子もないのよ。
[そういった面からしか、ケアすることは、彼女にはできないから]
あら、そう。
……なら、いいけれど。
[夢のなかでの数値も、異常のない範囲。
それだけ元から健康なのだろう]
もう、大人をからかわないの。
…なにか変わったことがあったら、教えてね。
[そういいながら、カルテを閉まって、伸びをした]
た、たまたまですよう。
お星様がそっちに飛んでった、気がしたから……追いかけてるうちに倒れちゃったんですよう。
[その時売り歩いていた「星」は、
風に吹かれたか何かで飛んでいってしまう代物だったようだ。
いたって真剣に、嫌がらせではないことを伝えようとしたが、
効果のほどはいかに。
やがて、くるり、と背を向ける花水木の少女。
その背に声をかけようと、口を開くことはせず]
………。
[ただ、ゆるくかぶりを振り、
彼女の姿が見えなくなるまで、その場に立ち尽くした**]
[仮面の少女の手を取られ歩きだす。
ふわりふわりと、ゆっくりと。]
リボンが
風に飛んだときに
[いつのことだったか
かなり前のことのようで
ついさっきのようにも思える。
髪の毛を束ねるためのリボンは大事なもので、この世界では、髪の毛を束ねることはしないけど大事なリボン。
取りに向かったときに出会った本物の少女を思い出した。]
好き………夏、かな
[なんて答えればいいかわからなかった。
だから、自分が好きな季節を
ふわりふわりと、仮面の少女と歩く**]
[不思議なグレイヘンのお願い>>92に、ぱちぱちと瞬いたけれど、すぐにまた笑顔になった]
それがグレイちゃんのお願い?
いいよう。
あっ、リヴリアちゃんとね、手を繋いで踊ったよう?
リヴリアちゃんの手はね、冷たかったなあ。
[それは、グレイヘンがお花畑を訪れる前のこと。
まどろみから目覚めたら、リヴリアがいた時のこと>>0:168を思い出すと、にこにことさっそく報告をした]
うん。
グレイちゃん、来てくれてありがとうねえ。
またねえ。
[手を振って空に舞いあがっていくグレイヘンを、両手を振って笑顔で見送る。
"またね"と笑顔で見送りながら、でももし、これっきりもうグレイヘンが来なくなれば。
グレイヘンのことも、グレイヘンのお願いも、止まった時の流れの中で、いつしか忘れてしまうのだろう**]
リボン? ふぅん?
風に? 大事なリボンを風に持っていかれちゃったのかい?
[手を繋いで歩く。
別にそうする必要はないのだろうけれど。
この子はなんだか綿毛のようにふわりとしていて、わたあめのように甘くとけてしまいそうで…
だから、手をつないで歩く。
飛ばないように、とけないように。
リボンが好きと言うけれど、彼女の髪にリボンは見当たらない。ふわりふわりと揺れる髪。
『髪の毛が邪魔かい?』と聞いてもみただろうか?]
夏…夏ねぇ
[二人の少女を思い出す。
一人は春の花 夏を待たない蜜の風
一人は潮騒 潮満ちる浜の風
そういえば、二人は逢ったことはないのだろうか?
セカイを廻らない二人が遭うセカイはあるのだろうか?
そんなことを考えながら、ゆるやかに歩く]
ボクは冬がいい。
セカイを一つに染めてくれるからね。
ああ、夏といえば海辺があるんだ。
夏に海は似合うだろう?
そこには料理のうまい子がいるよ。
お腹がへったら行ってみるかい?
[仮面の知るセカイの人の話を聞かせる。
時に嗤い 時にも嗤う
そして歩く 歩く
ゆるやかに まろやかに
歩いて歩いて 風吹く丘を越えていく]**
― 少女たちの部屋 ―
ヴェル。
[そう話しかけても、身じろぎ一つしない少女。
眠り続けている彼女を見下ろす。
帰ってくる意志がある、らしい。
刺激を加えないように、そうっと髪を梳く。
ゆるく編みこみを施すと、頭を軽く撫でた]
[笑顔がもし彼女の願望だとしたら。
本当の心はどんな顔をしているのだろう]
――ハルのなくとこも。
ぐれいへんはみたいな。
[独りぼっちの空でそう言葉にする。
素直な気持ちを直接告げられる時は来るだろうか。
ふかふかになった翼で。
渡り鳥は春を後にする。
目をこすりながら、求めた季節は――**]
[リヴリアは良くも悪くもその外見通りで
負けず嫌いのミズキをよく煽った。
大人が子供をからかう調子で、――いや、
実際大人と子供の喧嘩だったのだろう。
望んだ身体を手に入れても
精神の方は、そう簡単には望んだ姿にはなれない]
ううっ〜〜〜……。
力を、ぬく。 ちからを、ぬく。
[後ろで笑う仮面。>>81
それに答える声は、こどものようにあどけない。
悔しさと苦しさが入り混じった表情で、
立ち上がり、駆け出そうとするけれど]
う、おりゃぁぁ……、 〜〜〜っ!
[すっくと伸びた若樹のような手足を持て余し、
ふたたび地面にダイブした。
髪に飾る赤い花水木が青葉の草原に落ちる]
[時を止めてしまった少女たちがいる一方で、
太陽の子は時計の針を進めることを望んだ。
巡り巡る、でたらめな季節のように
あっという間に進む時計。
何も出来ない赤子だった生まれたての太陽は、
ひたすらに昼と夜を駆け抜けて
43回目にしてついに、仮面の少女を「追い抜いた」]
[そんな生き方について一度問いかけられた事がある。>>85
互いの事情には触れないものだと思っていたから、
不意打ちに目を見開いて笑う仮面を見た。
相手が純粋にこちらを心配していたから、余計に少し、驚いて。
鹿に背を預けながら、青葉の瞳は高い空へ]
『生まれてきた意味』って、なんだと思う?
[暫しの熟考の後、ぽつりと言葉が漏れ出した。
強く強く望んだ結果、
少女の紡ぐ言葉は今や、ちいさな子供のものではない]
私は………
一番激しく燃え尽きるために、生まれてきたんだ。
[長い手脚、健康的でみずみずしい肌。
太陽の恵みを受ける少女は
ゆっくりと、天の太陽に手を伸ばした*]
― 朝:夏山のログハウス ―
[目覚めの瞬間はいつも不安に駆られる。
けれど窓の外の青空に太陽見れば、
その不安は綺麗に消えて行くのだ]
…――――『おはよう』
[欠かさぬ挨拶とともに身を起こし、
もぞもぞと寝台から起きだして朝の身支度を整える。
じん……と、蒸したような空気。
今日の野山は、「夏」らしい。]
[グレイヘンを見送って、見上げた空。
そのままばたん! と仰向けに少女は倒れる。
転んだって、倒れたって、このお花畑は痛くない。
ふんわり、少女を受け止めてくれる。
ぴかぴかのお日様。グレイヘンの姿が、小さくなっていく]
グレイちゃん、きれいだなあ。
[ほわわんとそう呟く少女は、空の上のグレイヘンの言葉を知らない。
もっとも、知ったとしても「ハルは怒ったりなんか、しないよう?」とふにゃっと笑うのだろうけど]
― そら ―
[山は秋から季節を遡り。
いや、もしかしたら2つ季節をすっ飛ばしたのか。
緑萌ゆる夏の色。
陽射しが強い。
雲は入道のようにどっしりと。
あるいは綿飴のようにふわふわだったかもしれない]
――なつ。
[照り付ける陽射しに眩む。
眩しくて眩しくて両手で顔を覆った]
― 夜・帰り道 ―
[ひとり、引きずるような足取りで歩く。
身の危険を脅かすものはなんにもないけれど、星明りにしか照らされない道はひたすら暗い。
上空に「それ」が現れるまでは]
……お月様。
[ぱあっ、と笑顔が弾け、
真っ黒なワンピースの裾を翻して、月へと向かって駆ける。
数メートルを駆けたところで、
速度は落ちてしまうのだけれど。
少女の視界に映る月は、いつも満月。
少女は最初それを「変だ」と思ったけれど、何度も何度も見ているうちに、すっかりこの現象を許容してしまっていた。
何故ならここは、
願った通りの『私』でいられる場所なのだから]
― 海が見える食事風景 ―
[手際よく作られた食事を頂きながら
先程、世界の外で考えたことを思い出す。
……目の前のシンもそうだが、
ここの世界の住人は、このまま、ここにいれば、
この世界の外の身体が朽ち果て、
この世界からも消えることを。
そのことに、彼女たちは気づいているのか、いないのか?
気づいていての選択なのか?
その場合、介入をしていいものだろうか?
姉が、死を選び、生きながらえ
けれど、この世界のとどまることを思えば、
思考はいつもここでとまり、
結論はやはり先延ばしなまま、
食事はぺろりと平らげる。
多分、大食漢のミズキと負けない量食べているだろう。
それは、この世界の外での習性から]
[頼りない動きではばたきが緩まる。
手の隙間から眼下に広がる木々を見た。
あの木陰の下は。
涼しそうな気がする。
山の隅っこの森の中へ。
空を踏み外して小鳥は落っこちた]
― もり ―
[翼を木々に引っ掛けて宙ぶらりん。
羽毛が辺り一面を舞う中で]
――……。
[あちこちに枝や葉っぱでできたかすり傷。
そのまま眠たげに瞼を閉じた]
― 夏の野山 ―
[藪の中へと分け入り、今日の「収穫」を摘んでいく。
野草ときのこ。そして、木の実。
その藪の中、飛ばしてしまった春の名残の野いちごが
今にも潰れてしまいそうになっているのを見つけた]
どうしよう………。
[成熟しすぎた赤はきっと一日も持たない。
渡すなら今日。けれど……
夏草の薫りを漂わせたミズキを、きっとハルは嫌がるだろう]
― 朝・鏡の部屋 ―
[陽が昇ってからかなりの時を経ても、
起き上がる気配を見せない。
今日の分の『星』は昨夜のうちにできていた。
食べ物ではないから出来たてか否かにこだわる素振りも見せず、
ビンの中にまとめて入れてテーブルの上に鎮座させている。
一言で言うとそれは――「旗」だった。
細く短い棒にくっついているさまざまな色の紙に、
さまざまな色の星が描かれている。手書きと分かる不恰好さで]
………んん。
[寝返り。
眠る時も外さない右腕のブレスレットが、シーツと触れ合って透明な音を立てた]
[もぞり、体を動かす。
翼が痛い。
下を見下ろした。
ぱたぱたと足を動かす。
翼の付け根が引っ張られてやっぱり痛い。
でも仕方がないから。
そのまま更に無理矢理翼を引っ張った]
― →森の中 ―
[結局野いちごは摘み切って、
自分用の、散策中のおやつにした。
43回目にして勝利してしまって以降、
リヴリアとは通りすがる程度しか会っていない。
あのとき撫でてくるリヴリアがやけに嬉しそうだったから、
気恥ずかしさを覚えた――とは、理由にはならないけれど……
薄情を責めて、夢の中に出てきたのだろうか。
そんなことを考えながら、
ぼんやりと野山の端まで辿り着けば]
[『生まれてきた意味』……
そう問われたとき直感した。
『ああ、この子はきっと止まっていたのだろう』…と。
そして、少し似ていると思ったことも理解する。
『きっとこの子も知っている子なのだろう。己を』…と]
キミは燃えさかる火なのだね。
太陽より産み落とされた火の欠片。おひさまの子だ。
燃え上がり 輝いて
総てを照らす
……そしていつかは尽きるのだろう?
ああ、それは素晴らしい生き様だ。
ボクには出来ない生き方だ。
ボクは好きだよ。そういうキミの生き方は。
そうだねぇ。ならばボクは見ていよう。
キミの生き様を。生きた証が無ではないことを。
キミが生きたその瞬間を。
邪魔はしないよ。させないよ。
精一杯生き抜いて、そして飛んで行くといい。
だからね……
[天に伸ばす手を、拒まれなければ携えるだろう]
イカロスにはなるんじゃないよ。
キミはおひさまの子だけれど、太陽じゃない。
[彼女が太陽ならば、原始の闇より永劫とも思える刻を輝くこともできるのだろう。
希望であり絶望であり続けることもできるのだろう。
けれど、彼女自身が言うとおり、激しく燃えて
消えていくのだろう。]
ああ、ボクが見ていると言っても、
別にキミはボクは見なくてもいいよ。
こう見えて恥ずかしがり屋なのでね。
キミのように眩しい子に見つめられたら照れてしまうよ。
そうだねぇ。ボクが先に行くようなら
少しの間でいい。寒い冬を他の子が凌げるように
暖をとってあげるといいさ。寒い北風に凍えぬように。
その間に、ボクは朽ちていこうじゃないか。
ボクの生まれてきた理由はね。おひさまの子
……腐って朽ちるためだよ。
[カラカラと仮面は嗤う
似たところもあるけれど、彼女と私はまるでちがう。
彼女が燃え尽きるように生を謳歌することを望んでいるけれど、
私は腐り熟して朽ちていきたいのだろう。未練が腐り堕ちるまで] *
[ぺっとり汗で前髪が額に張り付く。
あと少しで抜け出せる、そう思って力を入れようとした時]
――ミズ、キ?
[声が聞こえて顔を上げた]
――……ひっかかった、の。
した、あぶない、から。
[引っかかったまま、花水木を見下ろした]
― 海の見える食事風景 ―
[シンはなんと言ったか。
その話はまた後にしよう。
ともあれ、道化師は立ち上がる。]
……そういえば、感想を欲していたけれど、
感想がほしいなら、
他者を探して振舞ったりはしないのかい?
せっかく美味しいのに、余らすのはもったいなかろう?
[鳴らない鐘がついた杖で、軽く床をつく。
さて、それにはどう答えが返ったか?
そうして道化師はふらり、その場を後にして]
[ヴェルの頭をもう一度撫でると、部屋を出ようと振り返る。
独り言を言っているのはきこえなかったが、その姿を見つめるとすこし首を傾げ]
グレートヒェン?
どうしたの?
[遥――ハル、と呼ばれているらしい少女のベッドに腰掛けているのに声をかけた]
[自分が少女であることを忘れないための予防線。
甘い甘い、お菓子のような女の子。]
冬も、・・・好き。
[暖かさが尊いものだと感じ取れるから。
仮面の手を、ぎゅっと握り締めて
見晴らしのいい丘を抜ける。]
おなか・・・・・。
[夢の世界。
空腹をいうことを意識したことはなかった。
そう思った途端、空腹に襲われる。
きゅう、と小さな音がおなかから鳴った。]
う……。
[くしゃりと顔を歪めて。
傾いでいく体、花水木はきっと小鳥を見捨てないのだろう。
籔が鳴る音、意を決して]
――……っ。
[外れかかっていた左翼をぐいと曲げる。
それと同時に枝から滑り落ちながら。
誤って肘や膝がぶつかってしまわないように。
肩から下へ落下するように体を傾がせて、
両手をぎゅっと胸に抱くようにして花水木の腕の中へ、落ちる]
[ふっと目が開く。
薄暗がりに同化しているかのようなおぼろげな意識が、
見えるもの、聞こえるものをとらえようと、ゆっくり、ゆっくり、回り始める]
………。
[ぱちり、ぱちり。
瞬きを繰り返して意識をはっきりさせながら、浮かべるのは柔らかな笑み。
それから起き上がって、星を売る支度を始めた。
窓は無いけれど。
こんな部屋でも朝が来たかどうかは、分かる]
[尻からつるり、草木の中へとダイブ!
腕の中のグレイヘンの背をぎゅっと抱えたまま。
勢い良くついた尻餅に、ぎゅっと顔を顰める]
っっっ〜〜〜〜……。
だ……っ、大丈夫か!?
[少々涙目になりながら、腕の中の小鳥を覗きこむ。
にぱっと笑顔を見せた。]
[笑顔。
自分はこんな風に助けてもらう“側”ではないのに。
心がじくりと痛んだ。
腕の中、受け止められ。
ほっとする間もなくまた視界が揺らいだ]
――……!?
[咄嗟に翼を花水木の背へ回す。
だけどついたのは尻餅だけで。
それ以上転倒は、しなかった]
だい、じょうぶ……ミズキは。
いたかった、よね。
ごめんね、ごめんね、ありがとう。
[笑顔が眩しくて。
胸の内で握り締めた両手に視線を落とした]
少しじっとしているんだよ。
[どういう理由でかはわからぬ仮面は、リボンがないので髪もくくれないのだろうと、そう思った。
耳元で囁いて、自らの髪留めを外せば、拒まれなければそれで彼女のふわふわした髪を結んでみる。小さな鈴の音がついた飾り気のない髪飾りだけれど、ふわりとした甘い髪にはきっと似合わないことはないだろう]
ローザに、伝言?
[んー?と首をかしげ、その瞳を見つめ]
遥は、大事な人が、欲しいのかしら?
いっしょにいたいひとが、眠ってしまう前にいたのかしら。
夢のなかで、そんな人ができたとしても、
夢から醒めた時に、いるとは限らないし…
わかったわ、ありがとう。
ローザにも伝えておくわ。
[軽く頷くと、それ以上なければ、自分の部屋へ戻ろうかと]
−海岸線の家−
[泣き顔の道化師にOKサインをみせて、
戻ってくる頃には日が少し動いた。
本当に僅かな動きでしかなかったが
それでも空から降る光は影の位置を微妙に変える]
出来たてはジャムって言うか…コンポートに近いけどね。
食事って言うか…面白いから。
色んな実験してるみたいじゃない?
果物は皮や種と煮たほうが好いジャムになる。
パインはそのものと太陽の力だけでパン種になるし、
海水には豆乳を固める力のあるものが入ってる。
不思議だなって。
そう思って実験してると、いつの間にか増えちゃうんだ。
[軽く首を傾げながら道化師の前にトレイを置く。
一晩葉に包まれていた兎の肉には、ほんのりとした緑の香り]
お口にあったみたいで、よかった。
…豊穣?
そうだねえ、実りそのものだから
[破裂音に似た音の拍手に小さく頭を下げる。
少女のトレイの上にはまだ三分の一ほど残っていて
少しずつ食べながらパンくずが流れていくのを見た。
この先の海に混じれば、微生物の食事になるだろう]
お振る舞いはー…うん、そうだね。
いつか出来たらいいなとは、思ってるんだけど
[幾らか言葉を濁す時間が続き、やがて一つの苦笑い]
この場所は、やっぱり離れられないかなあ。
[少女は答える。
この場所から逃さないとでも言わんばかりに波は満ちる
食事の卓からさほど遠くないところまで打ち寄せていた**]
[ぼんやりと、お花畑の中、大の字に寝転んで、空を見ていた]
いーお天気ー。
[ふかふかの真っ白な雲が、青い空を流れていく。
届くはずもないとわかっているけれど、手を伸ばした]
綿菓子みたいだねえ。
[空にかざされる、小さな手のひら。
見つめて少女はくふふと笑う]
[雲がほしいとか。空を飛んでみたいとか。
そんな大それたことは、願わない。
少女の願いは、とてもささやか。
"ずっと、ずうっと、このままで"
だから少女は、なにもできない。
空を飛ぶことも。
お料理も。
幸せを売って歩くことも。
生きていくための術すら持たない。
ただ少女は、この場所で長い長い"今日"を過ごすだけ。
少女の願いは、ただ、それだけ]
………よかった。
[とりあえず無事であることを確認すれば、
ほっとひとつ安堵の息を吐いた。
けれど腕の中に笑みかけても、瞳を覗くことは出来ない]
だーーいじょうぶだ、大丈夫!
私はとっても頑丈に出来ているんだ。
このぐらいで痛みはしないさ!
[気を落とした様子の相手をどう元気づければいいのか判らず、
取り敢えずぐっと力こぶを作って元気のポーズ。
そして、その肌や翼に走る赤い線に気づき]
と、いうか、だな。
グレイへンこそ怪我してるじゃないか……ほら、見せて。
[翼についた草木をそっと払おうと、指先を伸ばす]
― お花畑 ―
いーお天気ですねえ。
[「いつの間に!?」と驚かれてもしかたないほどのさりげなさで、
少女は花畑の少女の横に立っていた。
「星」の入ったビンを小脇に抱えて。
目が合えば、穏やかな無表情と呼べそうな顔を向けて、
でもすぐに空へと目移りしてしまう]
あの雲とか、パンみたいですねえ……。
今日のお星様におにあいですよう。
でも。 がんじょうでも、いたいものはきっと。
いたい、よ。
[恐る恐る顔を上げると、この山の季節のような
瑞々しい青葉色をちらと伺う。
体で元気を主張する様子はいつもの彼女で]
へい、き。
じぶんでおっこちた、から。
[力なく草の上に伸びる左翼が微かに震えた。
花水木の指先を羽毛がくすぐる。
右翼を畳んで自分で引っかかった枝を取りながら。
すぐには飛び立てそうな素振りはない]
あら、ハルって季節の春、なの?
…たまたまかもしれないけれど。
そう、ありがとう。
[遥の様子を頭に入れる。
それもまた、後にカルテへと記入されること。
そうして、出ようとした時に聞こえた言葉]
……止めたい時間。
[一つ繰り返すと、独り言のような言葉には振り返ることはなく、そのまま部屋へと戻り]
あ。
[ふと、視界に陰が差したと思ったら、いつの間にか、本当にさりげなくカスミが立っていた。
少女は目を丸くして、けれどすぐにいつもの笑顔になる]
カスミちゃんだあ。こんにちはあ。
[挨拶をしながら、むくりと起き上がって、ぺたんとお花畑に座り込む。
カスミにつられたように空を見上げて、のんきな声で同意した]
そうだねえ。
こーんなにいいお天気だし、きっと星がよく見えるねえ。
[もっとも、その夜は、ここにはこないのだけど]
[遥のカルテ。
7年前の事故により、眠り続けている。
…というのは、先輩から聞いたこと。
その医師も、もうここにはいない]
……家族、のことかしら。
一緒に、居たかった人。
[両親と弟を事故でなくしている。
同じ事故に巻き込まれた彼女は、運良く一命を取り留めた、と、]
…身寄りは、なし、と
[親戚でもいればよかったのだろうか。
流石に、死者を生き返らせることはできない]
ふふ、可愛いじゃないか。
今リボンは持ってはいないからね。
でもこれで少しは邪魔じゃないだろう?
帰るまで貸しておくよ。
[可愛らしく彼女が首を傾ければ、その拍子に鈴が鳴る。
自身が奏でぬ鈴の音は、いつもと変わらないはずだけれど、どこか新鮮に聞こえてきた。
仮面は愉しそうにくるりと彼女の周りを一回り。。
髪の鈴の音は消えたから、今は手首の鈴だけが残る。
がさっきより小さく音を奏でる。
これもなんだか新鮮……]
ふぅん……
いつか、海に飲まれても?
[濁された言葉。
もっと、沢山実験できる環境を
口にしても、彼女は同じように濁すだろう。
離れられないというこの場所。
一度仮面ごし海を見た。
泣いた面のまま、喉の奥くつりと笑い口にするのは、
道化師めいた脅しに暈した―――]
そうだ。星狩りの子なら似合うリボンも持っているかもしれないね。
星をあしらったリボンなど如何かな?
あとで寄ってみようか? いいのがあればボクも買おうか?
ぺあるっくというやつだねぇ。
可愛らしいお姫様とおそろなら楽しいねぇ。嬉しいねぇ。
微睡む真昼のセカイもステキだが、煌めく星のセカイもキレイだと思うよ。
[解けば長い白金が背中に大きく翻る。
ボロの中にしまってしまってもいいかと思いはしたが、少し考えてやめておいた。
別に慣れていないわけではなかったから。
彼方の世界では下ろしていた時の方が多かったのだし。]
[カスミの無表情には、何も言わない。
気づいていないのかもしれない。
どうでもいいのかもしれない。
少女は、社交的で、誰にでも愛想はいいけれど、その実、他者への関心は薄いのだった。
本当は、どうでもいいのだ。
いつも笑っているけれど、それもある意味無表情。
だって、少女の中身は空っぽだから]
[そっと翼についた葉と小枝を取っていく。
畳まれない左翼は言葉に反して痛む証。>>144
翼と表情見比べて、しばし悩んだように眉を寄せ]
んーー、 そうだ、な。ちょっとだけ、痛いかもしれない?
でも私には…… えっと……少し待ってくれな。
[冗談めかして言いながら、ごそごそとポーチを探る。
ごそごそと調べること約15(30)秒後、
奥の方からひとつ小さな缶を取り出した]
じゃーん! ミズキさん印の、薬草塗り薬。
これを塗り塗りすれば、傷も一瞬で治るからなっ。
ついでのついでに、グレイヘンにも、ぬーりぬーり。
[缶を開き、薬草のつんと香るクリームを指先に取る。
グレイへンの頬の傷の上にちょこんと載せた]
[痛いかもしれないと言われてきょとんとする。
痛い事には慣れていたから。
だけど。
ポーチを探る様子をじぃっと見ながら右翼を抱き締める。
自然と身構える姿はまるで。
自分をつつく親鳥を前にした小鳥のよう]
っ。
[頬の傷が沁みて縮こまった。
薬草の匂いにすんと鼻を鳴らす。
解ってる、これは傷の手当てなんだ]
あり、がと――。
ハルちゃん、こんにちはあ。
[花畑の少女にぺこりと頭を下げて、草花の上にふわりと腰を下ろす。
相変わらず空の方を見たままで]
そうですねえ、夜になればきっと……。
[表情に似合った漠然とした調子で、花畑の少女の言葉に同意をかぶせる。
――夜に、ここを訪れたことはないのだけれど。
いくらうたた寝をしてもお客様を待ってても、
見えるのは雲の流れる空ばかり。
それもまた、ここに来たばかりの少女にとっては「変なこと」であった]
[そして今、シンの部屋、空間を後にしたところ、だが
……鈴の音、足を止めて。
ただ、ゆるく首をかしげる。
いつもの鳴り方とは音が違う、と。
けれど、あの鈴の音なことにはかわりがない。
まさか、他者の髪にあるからとはわからず。
様子を探るため、その方向、へ足を伸ばす。
……場所が場所なため
姿を隠すものがないことに
仮面の奥眉をしかめて]
・・・・ありが、とう。
[かわいく飾られることに戸惑いを見せて
ぱちぱちと瞬きする。
お礼はきちんと頭を下げて。
無邪気に鈴の音を響かせて回る仮面に
ほんの少しだけ、笑顔を見せた。]
[やがてその現象をも許容した少女だったが、
別の形で花畑の少女を傷つけかけてしまうことになる。
――彼女を誘ったのだ。花畑の外に。天上の星を見せようと。
彼女の表情が曇るほどに少女の笑みは濃くなった。
この時ばかりは――そう、意地になっていたんじゃあないか。
結局その目論見は失敗に終わったので、]
でもわたしは夜になるのが待てないですからねえ。
一足お先にお星様をお見せしますよう。
[こうして地上の星ばっかり、彼女の視界に映している。
楽しげな表情は見せられない。
でも特に何も言われないから、気が楽だ]
[夜が来ないお花畑を、カスミが"変なこと"と認識していたとは知らない。
少女は、相手が何を考えているかなんて、考えない。
言われたことを、言われたままに受け止めることしかできない。……否、しない。
むずかしいことは、考えないから。
もしも、カスミにはっきりと尋ねられたとしたら、不思議そうに「だってまだお昼すぎだもん」と答えるのだろう]
あっ、カスミちゃん、星売りに来てくれたんだあ。
あのねあのね、ハルね、ちゃんとお代を用意したんだよう。
[お星様を見せると言うカスミに、機嫌よくにこにこと笑って、少女はごそごそとポケットを探る。
そうして取り出すのは、四葉のクローバー]
はいっ。これね、カスミちゃんに渡そうと思って、とっておいたんだあ。
どーぞ!
[薬が傷口に触れる度、小刻みに左翼が震えた。
渡り鳥本人は膝を曲げて身を小さくして固まっている。
宥めるような声と、眼差し]
――……うぅ、ん。
ぐれいへんはへいき。
へいきだから。
[左翼をもたげるとばさり、羽ばたく動き。
痛い、でも動かせるから平気だと。
薬が沁みる痛みと、翼本来の痛み、
それから無理に動かした反動に唇を噛みながら。
右翼に顔を埋めた]
[出会えば、仮面は無言のまま暫く彼を眺めて、それから吐息を漏らすように空を眺めた。
潮の香りを含む浜風は、丘の風より少し強いか?
下ろされた白金は風を受けてボロと共にひらひらとはためいていた]
["楽しくないこと"はなかったことに。
だから少女は、カスミにお花畑の外に誘われた時のことを、覚えていない。
少女の中では、"なかったこと"にされている]
『行かないよう。ハルは、ここにいるー。
だって、まだ夜じゃないよう? お星様を見せるなんて、変だよう?』
『ハルは、ずうっとここにいるの。
夕方になって、暗くなったら帰るけど』
『ハルは、ここにいなきゃいけないの。
いけないったら、いけないの』
[一生懸命説明したのに、カスミは頑固だった。
カスミがどんどん笑みを濃くしていくいくほど、少女の顔から薄っぺらな笑顔は消えていった。
そうして最後には何もなくなって]
[見かけた姿は……一人の道化師と]
……先生……
[驚きに、本来の立場をこぼしてしまう。
いや、女性的な外見と名前を好んではいない様子。
それが、外見を飾る装飾
増えているのだから驚きはする。]
『カスミちゃんのお星様は、好きだけど。
お花畑の外へ行かなきゃいけないなら、そんなものは大嫌い。
ハルは、そんなものはいらない』
[何も映さない虚ろな瞳で、そう言い放ったのかもしれない]
『……ハルは、本物は、嫌い。
偽物の方が、ずっと、ずっと優しいよ』
[ぽつりと最後にそう零したのは、きっと無意識。
本物の意味も、偽物の意味も、きっと少女はわかっていない]
[小さく丸くなって、痛みを堪え唇を噛む小鳥の姿。
そのやせっぽちのちいさな身体が
星売りとは別の意味で『重なって』]
君は……平気か。
[ミズキは浮かべる穏やかな笑みを消す。
俯く少女を覗きこみ、じっと見つめた]
―――ほんとうに?
[念を押す、真っ直ぐな確認。]
嘲笑の。姫の騎士ごっこか?
[もう一人の道化師、その様子は……
大きく変わることもない。
繋いだ手は、昔の記憶を
別の箇所から見るようにも微か、感じつつ。]
んー? キミの世界では姫様をお守りする騎士様は、こんないたいけでか弱い女の子なのかい?
変わったところに住んでいるんだねぇ。
[頭の上の?を消して『ご挨拶だねぇ』と嗤って見せる]
デートと言って欲しいところだね。
逢い引きでも構わないよ。
ふふ、お似合いだろう?
[繋いだ手は自分からは離さない。
ああ、そして思い出す。
わかっているさ。覚えているさ。此方のセカイに来る前に手を握ったのは目の前のこの子しかいないのだから]
それで、今度は海に落としものでもしたのかい?
[手をつないで饒舌に話していた仮面が静かになる。
唸りを上げて立ち止まった先を見た。
やってくるのは、]
・・・・・・・・・・・・・。
[いきなり聞こえたあちらの世界での呼び名に、数回瞬きをした。
リヴリアからくる疑問の視線に、こちらも二人の関係を気にするような、疑問の視線。]
私はずっと痛かった。
本当は痛くて、痛くて、苦しくて、言いたくて、
だから――もう、我慢することはないんだ。
痛いなら、痛いって言っていいんだ。
ここなら誰も見ていない。
弱音を言ってもきっと、許される ………って、
[そこまで一息に言い切って、
今にも泣き出しそうに震える声は途切れた。
そこで初めて、グレイヘンを見たかのように顔を上げる]
変なこと言ってごめんな。
多分…… 私がそう言って欲しかっただけ。
[弱々しくちいさく、笑みかけた。]
いたいけなか弱い女の子と
ふわふわな無口な女の子とでデートとは
嘲笑のの世界も変わっているね?
[とりあえず、疑問を持ったようだけれど
相変わらずの応対が返れば
仮面の下安堵して、無意識普段より饒舌に返す
お似合い、の言葉に 新人医師を見る。
おい、何を疑問視の顔をしてる。
この人
もしかして:事前にいままでの書見読んでいない?
つかつかと歩み寄って、無口な姿
嘲笑のが握る手と反対側の耳にそっと耳打ち一つ]
……… わあ。
[花畑の少女が御代として差し出したのは、四つ葉のクローバー。
滅多に見られないものを見られたという思いに、目を丸くした]
ありがとうですよう。大事にしますねえ。
[受け取って、ポケットの中にひらりと滑り込ませる。
これでだいじょうぶ。もともと激しい運動はしない少女だが、たとえ転んだって潰れたり千切れたりはしない]
まえばっらっい〜。
[楽しげに口ずさみつつ、ビンから「星」ひとつ、取り出して]
お望みのお星様は、これ、ですよう。
[花畑の少女の前でひらひらさせる。
旗のサイズは手のひらにおさまる程度。
可愛い形に盛り付けしたご飯に立てれば、しっくりきそうな印象]
[吐き出された告白にを渡り鳥は静かに聞いていた。
震える声、弱々しい笑み。
翼を握っていた手を、そっと伸ばす]
――だれも、ゆるしたりしないよ。
[太陽を失ったような花に触れようと]
だって。 いたいのも、くるしいのも、がまんするのも。
つみじゃないし。 ばつでもない。
ぐれいへんは、ミズキをせめない。
だからぐれいへんは、ミズキをゆるしたり、
そんなおおげさなことは できないの。
――ミズキは、いたい?
[右翼を伸ばす、彼女の肩へ]
えへへ。
[目を丸くしたカスミに、ちょっぴり得意げに笑って、ポケットへと仕舞われる様子を見守る。
そうして、取り出された"お星様"に、わあ、と歓声をあげた]
今度のお星様も可愛いねえ。
カスミちゃん、ありがとねえ。
[屈託のない笑顔で、手のひらを差し出した。
だって、カスミちゃんは、大事なお友達。
来なくなったら、きっと忘れてしまう、大切なお友達]
…………まったく
[仮面は泣き顔だが、醸し出す空気は
呆れ一色で、ふわふわとした少女が
空の一点を見るのを見。
それから、嘲笑の、をみる]
……別に、海に何かしら探したわけではないよ
強いて言うなら、まっとうな食事
そのにおいにつられただけだ
[瞬きひとつ。]
けんか、よくない。
[もうひとりの仮面から感じる視線を無視して
手をつないでいる仮面に声をかける。
言い合うような二人に、首を少し傾けて仲裁らしからぬこと。
チリンと鈴が鳴る。]
…どうしたの、ローザ。
[急に飛び起きた、ように見える彼を見やる。
カルテの棚に一番近いところに腰掛けていた彼女は、ぽうとそれを見て]
リヴリアとダハール姉弟が、どうかしたの?
[わけがわからない、というように、こてりと首を傾げた]
[言葉とともに渡り鳥の翼が伸びてくる。
その白い翼を、ミズキは拒絶しようとはしなかった]
……そうだ、 な。
だれも、許しはしない。
自分を責めているのは多分……私自身、だから、
痛くないよ。私は頑丈だから……
けれど――…… すこしだけ、痛いんだ。
[触れた翼のやわらかさに、そっと身を委ねる。]
[……青年男性の声ではなく、
愛らしい少女の声。
……元を知っているだけに、ギャップがすごいが
外見にはあっては、いる。
と、仲裁の声に最初に思ったのはそんなこと。]
………喧嘩……喧嘩、なのだろうか……
それにしても、鈴、よくお似合いで姫君?
姫君、この先で実験の結果を口になされますか?
[結論は出さない、出せない。
喧嘩かどうか決め打つこともなく、
わざとらしい貴族のお辞儀一つしつつ
シンの食事のことを口にする]
[こうしてふたり、陽だまりの中にいても。
かつて目の前の少女に酷い表情をさせてしまったことを、
天上の星――お空のお星様を「大嫌い」だと言われたことを、
時折、思い出すことがある。今のように]
『わかりましたよう。ハルちゃんがそこまで言うならもう、
本物のお星様のお話はしませんよう。』
[それで花畑の少女が幸せになれるなら何の問題もない。
そう思っていたのに]
……ミズキはわるくないの。
だから、じぶんをくるしくしないで。
にげて、いいから。
がんじょう、だなんて。
いいわけ、しなくていいから。
[翼が花水木を優しく包み込む。
それはいつか小鳥が焦がれた親鳥の温もり。
小鳥が決して手に入れる事のなかった、温もりの憧憬]
いたくて、いいよ。
かくさなくて、いいよ。
ぐれいへんは、きれいなゆめより。
ミズキのほんねのほうが、すき。
ああそうなのかい?
潮騒の子の食事は美味しいからね。
キミがそれに誘われる犬のような良き鼻をしていたとしても、奇異とは思わないよ。
キミがどこで何をしようがまあ構わないのだけれどね。
[興味なさげにひらひらと手を振って、かけられる声に顔を向け、不思議そうに首を傾ける]
けんかかい? 困ったねぇ。
これでけんかと言われてしまうと、ボクはおひさまの子と顔を合わせばけんかをしていることになってしまうよ。
見てのとおりボクは平和主義者だからね。
[そう言って。
両手を少女の頬へと伸ばした。
少し背伸びをして、そうしたら。
彼女の頭を胸に抱けるだろうか。
――彼女が拒まなければ]
『わたしはただ、星を見せたかっただけなのに……』
[最後の最後で本音が零れて、零れて、落ちる。
好意が通じなかったことで生じるもやもやを、
全部相手のせいにしようとする「醜い」思いが――。
それすらも、忘れられずに少女の中に残っている]
どういたしましてですよう。
[差し出された手のひらをそっと両手で握りしめた。
なるべく笑顔に見えるように、口の端に上向きの力をこめながら。
苦い思い出が、紅茶に入れられた星型の砂糖のように、包み込まれて溶けることはない。
けれど、触れた手の温かさに、心が少しずつ凪いでいく気が、した**]
……ん?
[一瞬、何を言われているのか分からなかった。
先生が、なんだって?
ぱちくりとまばたき一つ。
そして理解すれば、ため息一つ]
…あらあら、まあまあ。
[腹いせの行動か、そんな由は知るはずもなく
すこしだけ、ダハールの方に向けて困った表情。
表情は枕の奥なので見えないだろうが]
そう、ねえ。
先生、とよばれるひとは、むこうにはいないわけだから。
ちょっと困惑する子も、いるかもしれないわ。
[それが強い刺激にならなければいい、が]
大勢の子に、聞かれていたの?
…そうねぇ…
もし先生が何か、ってきかれたら…
知らないふりを通すか、
なにかの愛称とても、いえばいいかしら。
……混乱しそうな子がいたら、教えてね。
[口元にニヤリとした笑顔を浮かべる。
だが、すぐに自分の口を押さえ込むように
繋がれていないほうの手で
ぺちっと軽く叩いて笑いを消した。]
[ちらりと、自分の剥き出しの足に視線を落とした。
日焼けした肌の上に、血液の流れ出す一筋の傷跡。
きっと尖った小枝に引っ掛けたのだろう。
浅くはない傷跡だけれども、
ちっとも痛いとは思わなかった。
こんな痛みよりずっとずっと強い痛みを、
身体は違っても、感覚が覚えているから――――]
[あたたかな翼に包み込まれる。
こうやって許されることを
ずっと心の何処かで求めていたのかもしれない。
けれどプライドの強さだけで生きてきた少女は、
この期に及んでそれを素直には受け入れられずに]
それを、グレイヘン……君が言うのか?
[翼の中で青葉の眼差しを伏せて、皮肉めいて笑う。]
君だって痛いんだろう。
痛いのに――… どうして、我慢するんだ。
[それは只、素直に抱かれることへの抵抗で
弱々しい苦笑いの中に問い詰める意志はない。
言葉で抵抗しながらも、
そのちいさな腕に包まれてた頭を胸の中へとそっと寄せた。]
[目の前のカスミの思いを、少女は知らない。
きっと、知りたいとも思っていない。
少女の中ではなかったこと。
目に見えること。言葉にされること。それが、少女の知るすべて]
ばんごはん、なにかなあ。
ピラフだったら、立ててもいいなあ。
[小さな旗を見つめながら、そんなことを言うけれど、暗くなったら帰って、ばんごはんを食べる場所がどこだったか、少女は覚えていない。
もっとも、この世界に、そんな場所はないのだけれど]
カスミちゃんの手も、あったかいねえ。
グレイちゃんに教えてあげなくちゃあ。
[覚えていないことにも気づかずに。
にこにこと少女は笑うのだった**]
[握り締めた仮面の少女の手を握って、困ったような表情を浮かべた。
あまり喋らないわりに表情はそこそこに豊か。]
けんか、だめ。
なかよし。
[リヴリアを見つめる。
太陽との関係は、見てみてないとわからないと言いたげにリヴリアだけを見つめた。]
[小さな身体に不相応な大きな翼。
その隅っこの羽根が知らず少女の足の傷に触れた。
白の中に滲んで淡く色を成す。
左翼も持ち上げて。
包み込まれた小さな空間は真っ白に、閉じた卵の中のよう]
――ぐれいへんは。
がまんなんて、してないよ。
[幼さが口調から僅かに遠ざかる]
もう、いたいことは、なくなったの。
ぐれいへんをたたく ぱぱ や まま はいない。
だから、ぐれいへんは。
わたりどりになったの。
[ちくりと痛むのは置いてけぼりの心。
皮肉も抵抗も温もりの中に飲み込んで。
預けられた頭を抱きながらそっと頬を寄せた]
[しばらくリヴリアと視線を交わしあった後は
ダハールを見る。]
リヴがすき。
[リヴリアの手をぎゅっと握り締めて
大事だと言いたげに・・・の胸元に持っていく。
ダハールの声に、受けて立つと言いだけに。]
[飛び続ける事は、苦しいけれど。
いつか何者にも追い立てられぬ場所で。
羽根を休めて眠る事ができるなら]
――……。
[そんな夢物語を形にできるほど。
一度目覚めた少女に力はなかった]
[甘い声、身近な言葉に
仮面は静かにそちらを見やる]
そう、姫君は道化師を所望で。
道化師も姫君を望むなら、
たとえ世界の果て、解れていくときも
その手を離さぬことを。
[……もし、それが”姉”の望みでもあるならば
結論となるならば……
彼女の世界の終焉、死まで。
その結果、姫君の本体も
心ここに置き去りとなり、死亡するとしても
ダハールは気にすることはない。]
さて、僕はこの辺でお暇を?
姫君、くれぐれも心変わりなきよう?
[森の木立と白い翼の中で、夏の陽光は和らぐ。
薄暗くさえもあるやわらかな卵の中、
太陽を求め続ける少女は
今だけは与えられる静けさに身を*任せる*]
今日はやけに饒舌じゃないか。泣き虫君。
好意を甘受することと、品性を売って哀れみを買うことは別物だと思うがね。
ボクは。
けれど物乞いかい? それは確かに思いもしていなかったねぇ。
まあ乞えば手にはいるのなら、乞いもするさ。
手にはいるのならね。
それほど楽なことはないだろう?
そうだね。けんかはよくない。
このセカイはそんなことは望んではいないだろうさ。
キミもそれはわかるだろう?
[ちらりとダハールを見やり、それからローザの見つめる眼差しに応える。
このセカイのローザはローザだ。あどけない少女、舌っ足らずな甘い声の娘。
彼女がそれを演じ続ける限り、私は変わらない。
模して対を成す者もそうだ。
踏み込まないのならば、何も変わらない。
零の距離にいても無限大の開きを画す。
それは、仮面が望むことで
私が望まないこと]
[表情が見えない肩越し。
呟きにベリーの瞳の上、淡色の睫毛が伏せられる]
――いた、そう?
ミズキにはそう、みえた……?
[この少女は優しく視界を覆う夢越しにまだ現実を覚えている。
それは夢の中へ全てを振り捨てて逃げ切れない未練か。
それとも、己だけでは叶えられない何かを望んでいるのか。
許される事。
それは少女独りでは叶えられないユメ。
きっとそれが少女と現実を繋ぎ止めるかすがいの、1つ。
そう感じながら小鳥は自らを振り返る]
嬉しいことを言ってくれるんだね。
[元々綻ぶ嗤いは、ローザが仮面の手を握りしめて胸に抱けば一層綻ぶだろう。
表面上は何も変わらないのだろうが。
変わらぬ仮面の表情は、握られる手にもう片方の手を乗せて、仮面越しに額に額を重ねて応えよう。]
[家族というのは、時に身勝手である。
延命治療の拒否をする本人に
延命治療を施すが如く。
”どんな姿でも生きてほしい”
美談でもあるが
……当人を苦しめる枷ともなる。]
――……ぐれいへんは、きっと。
[開いた口から言葉が出るのに少し、かかった。
自分の心を探り出し、言うか言うまいか迷った後]
まいごに、なったの。
[昼と、夜。
夢と、現実。
何処にも帰れなくて。
何処にいてもそこは居場所ではなくて]
[願いの果ての結論を知ることは怖い。
可能性が横たわるならばなおさらだ。
楽観を信じるには、可能性を思わせる事実が重い。
食道に穴を開け、声を奪い、意思を奪い
管につなぎ、指も、手も動かせず
その意思を目をふさいで見ないように。
その意思を耳をふさいで聞かぬように。
少年は、未だ踏み込めないでいる。
恐らく、二人の道化師だけでは 平行線をたどる。
少年は結論を出さないのだから。
仮面だろうと、笑っているのならば、と……
……生贄に少女の姿の青年を。
現実、寝台に横たわる姿。
仮面の奥で眉を寄せて。
少年は赤を翻して海岸から立ち去る。]
…ローザ、大丈夫?
[少し顔色が、悪い。
そんな風にも見える]
……無理しちゃだめよ。
倒れる前に、私に頼りなさい。
[イスに戻る彼に毛布をかけながら、そうひとこと*]
だから。
どこにいても、ねむれない。
[少しだけ、目をこすった]
ぐれいへんは。
す のばしょをわすれて まいごになった わたりどり。
でもいいの。
さがすのは つかれたし。
ちゃんとあるかも わからないから。
[きっと眠る事ができるのは。
力尽きるその時だけと、思っていた]
そうそう、泣き虫君。
もう何度言ったかわからないけれど、キミはここにいていいのかい?
帰れる場所があるのなら帰れとボクは告げたはずだよ。
世界の果てが解れてしまってはもう遅いんだよ。
それが遠くないことは、わかっていると思っていたのだけどね。
[変調は未だ見えず。セカイの終わりは未だ見えず。
来る日も来る日もセカイを眺め、セカイを巡り
まだ何も変わらない。
変わらないのだけれども
……今ここに彼女がいる]
[どのくらいか、長い間そうしたまま。
名残惜しむようにやがて翼を解く。
夢見る少女との約束が、あったから]
――もう、いかなくちゃ。
[渡り鳥は1つの場所には留まれない]
また。
おはなし、しにきても、いい?
[綺麗な夢物語より。
少女の吐く弱音の方がずっと。
渡り鳥となった小鳥の耳には心地良かった。
返事を待ってから。
自分の羽根の中でも綺麗なものを選んで抜くと。
少女のハナミズキの髪飾りにこっそり、忍ばせ。
森の小道へと、飛び立つ事なく*歩き去った*]
嘲笑の。
自分がしないことを他人に要求するのは傲慢だ。
[立ち去り際、かかる声。肩越し振り返る。
そんなことは知っている。
世界が完全にほつれた時、
接続切断をしていなければ、
心が死ぬことも知っている。]
………わかっている、全部。
僕の選択、それだけだ
― 変わることのない春の野 ―
………―――疲れた
[陽気が、穏やかなものに変わる。
ああ、彼女、の世界か、と思う。
脳が疲れから、警報を鳴らす。
けれど、ただ眠ってもあちらで目覚めるだけ。
だから、生きた造花の花畑に
半ば倒れるように横たわる。
穏やかな陽気は適温で、心地よい。
意識を飛ばしきらぬよう、淡くまどろむ。
花畑の主が今何をしているのか
気配を配る余裕もない*まま*]
[にこり、と笑って
リヴリアの手を握り直し、海を指差す。]
リヴの見るものが、見たい。
[近くにある海に向かって、移動を促した。**]
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