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[もぞり、体を動かす。
翼が痛い。
下を見下ろした。
ぱたぱたと足を動かす。
翼の付け根が引っ張られてやっぱり痛い。
でも仕方がないから。
そのまま更に無理矢理翼を引っ張った]
― →森の中 ―
[結局野いちごは摘み切って、
自分用の、散策中のおやつにした。
43回目にして勝利してしまって以降、
リヴリアとは通りすがる程度しか会っていない。
あのとき撫でてくるリヴリアがやけに嬉しそうだったから、
気恥ずかしさを覚えた――とは、理由にはならないけれど……
薄情を責めて、夢の中に出てきたのだろうか。
そんなことを考えながら、
ぼんやりと野山の端まで辿り着けば]
[『生まれてきた意味』……
そう問われたとき直感した。
『ああ、この子はきっと止まっていたのだろう』…と。
そして、少し似ていると思ったことも理解する。
『きっとこの子も知っている子なのだろう。己を』…と]
キミは燃えさかる火なのだね。
太陽より産み落とされた火の欠片。おひさまの子だ。
燃え上がり 輝いて
総てを照らす
……そしていつかは尽きるのだろう?
ああ、それは素晴らしい生き様だ。
ボクには出来ない生き方だ。
ボクは好きだよ。そういうキミの生き方は。
そうだねぇ。ならばボクは見ていよう。
キミの生き様を。生きた証が無ではないことを。
キミが生きたその瞬間を。
邪魔はしないよ。させないよ。
精一杯生き抜いて、そして飛んで行くといい。
だからね……
[天に伸ばす手を、拒まれなければ携えるだろう]
イカロスにはなるんじゃないよ。
キミはおひさまの子だけれど、太陽じゃない。
[彼女が太陽ならば、原始の闇より永劫とも思える刻を輝くこともできるのだろう。
希望であり絶望であり続けることもできるのだろう。
けれど、彼女自身が言うとおり、激しく燃えて
消えていくのだろう。]
ああ、ボクが見ていると言っても、
別にキミはボクは見なくてもいいよ。
こう見えて恥ずかしがり屋なのでね。
キミのように眩しい子に見つめられたら照れてしまうよ。
そうだねぇ。ボクが先に行くようなら
少しの間でいい。寒い冬を他の子が凌げるように
暖をとってあげるといいさ。寒い北風に凍えぬように。
その間に、ボクは朽ちていこうじゃないか。
ボクの生まれてきた理由はね。おひさまの子
……腐って朽ちるためだよ。
[カラカラと仮面は嗤う
似たところもあるけれど、彼女と私はまるでちがう。
彼女が燃え尽きるように生を謳歌することを望んでいるけれど、
私は腐り熟して朽ちていきたいのだろう。未練が腐り堕ちるまで] *
[ぺっとり汗で前髪が額に張り付く。
あと少しで抜け出せる、そう思って力を入れようとした時]
――ミズ、キ?
[声が聞こえて顔を上げた]
――……ひっかかった、の。
した、あぶない、から。
[引っかかったまま、花水木を見下ろした]
― 海の見える食事風景 ―
[シンはなんと言ったか。
その話はまた後にしよう。
ともあれ、道化師は立ち上がる。]
……そういえば、感想を欲していたけれど、
感想がほしいなら、
他者を探して振舞ったりはしないのかい?
せっかく美味しいのに、余らすのはもったいなかろう?
[鳴らない鐘がついた杖で、軽く床をつく。
さて、それにはどう答えが返ったか?
そうして道化師はふらり、その場を後にして]
[ヴェルの頭をもう一度撫でると、部屋を出ようと振り返る。
独り言を言っているのはきこえなかったが、その姿を見つめるとすこし首を傾げ]
グレートヒェン?
どうしたの?
[遥――ハル、と呼ばれているらしい少女のベッドに腰掛けているのに声をかけた]
[自分が少女であることを忘れないための予防線。
甘い甘い、お菓子のような女の子。]
冬も、・・・好き。
[暖かさが尊いものだと感じ取れるから。
仮面の手を、ぎゅっと握り締めて
見晴らしのいい丘を抜ける。]
おなか・・・・・。
[夢の世界。
空腹をいうことを意識したことはなかった。
そう思った途端、空腹に襲われる。
きゅう、と小さな音がおなかから鳴った。]
う……。
[くしゃりと顔を歪めて。
傾いでいく体、花水木はきっと小鳥を見捨てないのだろう。
籔が鳴る音、意を決して]
――……っ。
[外れかかっていた左翼をぐいと曲げる。
それと同時に枝から滑り落ちながら。
誤って肘や膝がぶつかってしまわないように。
肩から下へ落下するように体を傾がせて、
両手をぎゅっと胸に抱くようにして花水木の腕の中へ、落ちる]
[ふっと目が開く。
薄暗がりに同化しているかのようなおぼろげな意識が、
見えるもの、聞こえるものをとらえようと、ゆっくり、ゆっくり、回り始める]
………。
[ぱちり、ぱちり。
瞬きを繰り返して意識をはっきりさせながら、浮かべるのは柔らかな笑み。
それから起き上がって、星を売る支度を始めた。
窓は無いけれど。
こんな部屋でも朝が来たかどうかは、分かる]
[尻からつるり、草木の中へとダイブ!
腕の中のグレイヘンの背をぎゅっと抱えたまま。
勢い良くついた尻餅に、ぎゅっと顔を顰める]
っっっ〜〜〜〜……。
だ……っ、大丈夫か!?
[少々涙目になりながら、腕の中の小鳥を覗きこむ。
にぱっと笑顔を見せた。]
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