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指標は、ないわね。
例えばの話、私が人並みかどうかだって、判断する人によって違うでしょう?
[経歴、勤め先、世間一般の 普通 とはすこし違ったものだろう。
その容姿も一つ加わるかもしれない]
そうね。
一人でお金を稼いで食べていけるようになったら
…というのは、一つの基準。
私が目を離しても大丈夫になったら…
……いいのだけれどね。
[ヴェルはそうなってくれるだろうか。
何年かかっても構わない。
最終的に、現実を受け入れて、独り立ち出来れば]
ハルはおはな、くれるよ。
それからえがおも、くれるよ。
[眩しい、笑顔。
当たり障りのない言葉を選びながらも。
何かとっかかりを探るように]
ハルのいるおはなばたけは。
よそのおはなばたけより あかるいの。
きっとハルがにこにこ、してるから。
[春は素敵な季節、頷く]
ん――はるはベリーがあるから、すき。
でもあきもぶどうがあるなら、すき。
それに。
たまにかぜがつめたいのも、すきだよ。
そのぶん、だれかとてをつないだら。
あったかいから。
[ちびりちびりと、薬を飲むグレートヒェン。
ココアの薄いのなら、との言葉に、甘さを控えたココアを牛乳で薄く溶く。
ダハールが欲しがるならばそのとおりに作り、自分用には濃いココアを入れた]
無理をしたらダメよ。
……なにか食べたくなったら、言ってね。
スープでも、サラダでも、フルーツでも。
[夢のなかではベリーを食べると、以前聞いた。
そうならば現実でまでフルーツはいらないだろうか、
口にしてから少し考えた]
[今日、といわれて時間の感覚のズレを感じる。
ホウコクに向こうに気を取られている間
こちらのことがおろそかになる。
だから、丘の上でじっとしていたけど。]
どこへ、行くの?
[刹那の話でもあり
未来の話でもとれるような、そんな質問。
返される視線に瞬きをしながら見詰め合う。]
[お花と言われて嬉しそうに、少し頬を赤くした]
そっかあ。だったら、またグレイちゃんにも花冠作るねえ。
グレイちゃんには何のお花がいいかなあ。
[んー、と腕組みして考えていたけれど、よそのお花畑と聞いて目を瞠る]
よそ? グレイちゃん、よそのお花畑、知ってるの?
ここじゃないお花畑、あるんだあ……。
[そうしてしばらく考えて。やっぱり考えるのをやめた]
まいっかあ。ハル、このお花畑がお気に入りだから。
[それから。
春が好きだというグレイヘンに、うんうんと頷いたけれど。
続く言葉に、笑顔が固まった]
そんな……そんなこと、ないよ……。
だって秋は……。
[秋は、夏を越えなければ、やってこない。そんなことは、とても口に出せない。出したくない]
風が冷たかったら、だめだよう。
だって、だってハルには。
[手を繋ぐ人は、もういない。
そんな言葉が頭に浮かんで、少女は強く頭を振った。
"もう"いない? もうって、どういうこと?
頭を振る。
むずかしいことは、考えない]
んー? どこへでも行くさ。
ボクはセカイを巡るのが好きだからね。
見たいんだよ。人のセカイをね。
だって面白いだろう?
人によってセカイは違う。
同じものなんて一つもない。
それは不思議で、愉しいことさ。
見て知って感じて浸る。
廻らなくなるその日まで、セカイを廻りセカイを舞わすのさ。
[あははとくるりくるりと廻って見せる。舞ってみせる]
[伸びをしていた翼を折り畳む]
はな、かんむり。
ミズキがしてた?
――ぐれいへんは なんのはなでもいいよ。
おはなのことはハルのほうがしってるし。
ぐれいへんがさがすのは。
ベリーばっかりだから。
おはなばたけ。
いっぱいある。
おはなばたけじゃないところにさいてるはなも。
いっぱい、あるよ。
[閉じた世界に回帰する花守の思考。
季節を止めるほど花そのものを愛しているとも、何処か違う。
フォトフレームの中の永遠のようなものを感じながら]
大変?
そうね。会社勤めのOLに比べたら、大変かしら。
[ゆるりと首を傾げる。
されど、シャル自身は、それを大変とは思っていなかった]
ああ、まだ学生なのね。
学生としての人並み、っていうのもあるかしら。
きちんと授業に出席して、単位をとって。
それからはバイトだったり、サークルだったり、それぞれだろうけど。
[姉の干渉のため、というのは、あまり人並みではないかもしれないなあ、とぼんやり考え]
コーヒーね、わかったわ。
……お姉さんは、夢のなかではなにか食べたり、しているの?
[熱いコーヒーをマグカップに注ぎながら、問いかけた]
良かったら、今から一緒に廻るかい?
廻りながら知るといい。ボクを知りたいなら教えてあげる。
でも、代わりにキミのことも教えて欲しいな。
[再び彼女をじぃと見つめ、彼女の前に手をさしのべる。
常春に芽吹くハルと違い一所に留まらぬこの身なら、数ヶ月もすれば住人を見ることはほぼ間違いない。
昨日はじめて見たこの少女はきっと新しい住人なんだろう。
そう思えば、案内がてら回ってみるのも悪くはない。
時間を共に過ごせば、それだけ知ることにも繋がるのだから]
・・・・みたい。
連れて、いって?
[首をこてん、と少しだけ傾けながら
仮面が見る世界を所望する。
片手を軽く、あげて
くるりくるりと廻る彼女に手を差し伸べる。]
[固まった笑顔を見て。
嗚呼、この季節が――と思う]
――ごめんね、ぐれいへん、へんなこといったね。
はるはあきのあとだから。
あきはもうおしまいになったきせつだね。
[秋が終わらなければ春にはならない。
春が終わらなければ秋にならないのと反対で。
だけど、そんな言葉は今は口にしない]
だいじょうぶ。 かぜはあったかいよ。
ても、あったかいよ。 つめたくないよ。
ハルのても、あったかいよね?
[少しだけ首を傾げて。
頭を振る花守の前に小ちゃな手を差し出した]
ではお姫様。お手を拝借。
[仰々しくお辞儀をして、彼女の手を取って立ち上がらせる。
柔らかく暖かい掌が、冷たい仮面の掌に温もりを与える。
……まあもっとも、仮面より冷たい手はそうないのだから、氷の手でもなければ暖かくもなるだろう。]
ハルの子のセカイへは行ったんだね?
ハルの子とはお話しをしたのかな?
[そういえばあまりしゃべってくれなかったとか言っていたか……
ここから一番近いのはすぐ見下ろせる花の園
では次に近いのは? 海だろうか? 山だろうか? 星だろうか?]
うん。ミズキちゃんにもね、花冠をお裾分けしたんだあ。
良く似合ってたよねえ?
[グレイヘンの言葉にうんうんと頷いて、ベリーという言葉に、ああ、と手を叩いた]
ハルもね、野いちご好きなんだあ。
今度、ミズキちゃんがお裾分けしてくれるって言ってた!
だけどね、山ほどあるから、グレイちゃんの分も大丈夫だって言ってたよう?
[にこにことした笑顔は、しばらくしてちょっと保てなくなってしまったけれど、グレイヘンが謝ってくれたから、また何事もなかったように笑うのだ]
[最初はただ眺めて、それからおもしろがってちょっかいをかけて。
ふれたそうにしてたから逃げて
触りたそうにしていたから避けてもみた。
怒ってひっぱたきたかったのかもしれないけれど、避けたのでわからない。
そして嗤ってやった。
まるでじゃれつく子犬のよう。
なんだか少し愉しくなった。
ちょっと意地悪もしたくなった。
……うん、実際したかも。ううん、とっくにしてたっけ?]
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