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[メモ(自己紹介)記入/メモ履歴/自己紹介] / 発言欄へ
英霊 ラーマチャンドラ に 1人が投票した
資産家の三男坊 ハンス に 1人が投票した
遠き星の幽霊 シャーロット に 12人が投票した
遠き星の幽霊 シャーロット は村人の手により処刑された……
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか?
現在の生存者は、スッチー、双子の妹 シリル、双子の姉 レリア、助手 桂川、そらとぶようせい ティンカー・ナッツ、流離いの伊達男 マルセー、たむら よしお、靴磨き キリト、お忍びお嬢様 メルヴィ、継母 イザベラ、英霊 ラーマチャンドラ、ディーラー 一条、資産家の三男坊 ハンスの13名。
〔ごとん。
乗客達は皆乗っているようです。
銀河間特急便スターライナーの扉が閉まりました。
何時も(>>1:#0>>#1:1)と同じように列車がゆっくり動き出します。
シュワシュワ、シャワワン。
先頭の煙突から噴き出す星屑の光は、妖精達のように光っています。
「スターライナー」が線路のようなスターラインを描き走り出します。〕
〔昆虫達に続き木々も葉擦れで音楽を奏でます。
綿毛がふわっと列車に触れて去ります。
星の生物達や妖精達の囁きに見送られながら、
スターライナーは一つの列車と行き違います。
それは「スカイライナー」。この星系の航行便です。〕
「よく間違える人が多いのです。」
〔車掌ププモア・ブルーベは零します。
何やら対抗意識も持っているようで意外な面を見れました。〕
〔「スターライナー」は続いて星の裏側を回ります。
今、星の裏側は夜です。
所かしこで観光客なのでしょう、仄かな光が見えました。
暖かい光もあれば凍れる時のような光もありました。
ぼんやり、ぼうぼう、ぼう。と光っています。
列車はこの星を去ろうともっともっと上空へと向かいます。〕
〔そして漸く目撃します。
そう、大きな大きなクリスマスツリー。
この何でも大きな星の中でも一番大きな*樅の木*を。
どんな姿だったかは・・・あなたの心の中を覗いてみて下さい。〕
じゃあ、またいつか?
[大きな大きな魚が跳ねる。
ばしゃん。派手に水しぶきが上がり、陽光がキラキラと反射した。
風に舞う花弁に綿毛といい、この星はとてもあたたかい。
今ではもう危険な星などとは思えなくなっていた]
あ、そういえば。
自己紹介がまだだった気がする。俺はリコリス。
[クロスケの時も確かしていないし。
ハンスに追いつくとそう話しかけ]
前に乗る?
それとも後ろ?
[体格的には彼が前に乗ったほうが楽そうな気がして、問いかける。
ハンスの意向に任せるつもり]
これ、運転するの爽快だよ。
[もちろん、知らない。
前の星で命の危険を感じた暴走車の運転手が、ハンスだと。
知っていたら。
運転を任せようとするはずないのである**]
−湖畔の畔−
[リコリスの指先には止まった蛍の光。
焼き付いたように目蓋の裏に残った。]
[ばしゃん]
[後ろで魚が跳ねるような音がする。
振り向くか迷ってから振り向いた。
きらきらと反射する陽光と少しの水しぶき。]
俺はハンス・メルダース。
[両親指をポケットに引っ掛けていたので、
左手の中指に嵌めたシグネットリングは表に出ていた。]
・・・。
[追いついたリコリスの提案にバイクを見た。]
[イザベラへ手鏡を使い別ルートで帰る旨を伝えた。
ノーヘルメットで跨がる。]
[がっ!]
[シフトチェンジ。
アクセルを目一杯回し唸らせる。
車体が不気味な音を立てた。]
・・・。
安全運転を心がける。
[クラッチを繋いだ。
湖畔と花畑の間の道を時速2(3)50kmで駆け抜ける。]
綿毛を取れ!
[途中綿毛の群れに遭遇すれば無茶を言う。
綿毛を掴んだら掴んだで空を飛びそうだった。
駅まで猛スピードで戻り大破したかはリコリスが知る。*]
……。
[メルダース、目に入ったシグネットリングの双頭の烏。
覚えのある響きだった。たしかその一族の噂を聞いたことがある。
これでも旅を続けてきた年数は短くない。
でも今はそのことを考えようとは思わなかった]
ハンス、じゃあ頼んだ。
[アクセルが限界っぽい音をたてる。
そこに安全運転という単語が重ねられても表情がひきつるのだが。
ああもうこれは腹を括るべきなのか。
仕立てのよさそうなハンスの服。
こうなったら遠慮なく皺になろうが掴ませてもらおう]
(これは一体何キロ出ているんだろう……?)
[景色が横を高速で流れていく。
振動が身体全体に伝わる。
風圧でうまく話せないし、声が出せてもエンジン音に負けてしまうだろうし、今更速度を落とせというつもりは毛頭なかった]
(おおー、あの鳥大きい)
[慣れれば空を見上げる余裕も生まれる。
なんだかんだ、楽しくなってきたのだ]
綿毛!?
[ハンスからいきなりすぎる要求。
なんて無茶なとは思うが、こうなったらもう意地だ]
っ、よし!
[ハンスの肩を思いっきり片手で掴ませてもらい、
腰を浮かして立つ状態に、そして空へと手を精一杯伸ばす。
生まれつき反射神経などは優れている。
自分でも驚いたが、手には綿毛が握られていた]
[着陸はどうにか柔らかいキノコの上へ。
いまだに心臓が忙しない、まったくなんていう冒険だろう。
おかしくなって笑みが声とともに零れた。]
あはは、お疲れ様。
[ハンスの感想はどんなものなのだろう、と思いつつ。
見るからに傷だらけになったバイクを店へ]
修理代、半額頼んだ。
[肩をぽん、と。
大破まではいかなかったためそう大した金額ではないのだが、
ここは連帯責任ということでいこう*]
― スターライナー ―
[車窓から見える樅の木>>#3
綺羅びやかなイルミネーションは壮観で、見る者を圧倒する。誰しもその大きさに息を飲むというクリスマスツリーを…
男は無言で見つめる。その光景に何を思う…――**]
― 回想/巨大な家の前 ―
日常こそが幸せなのだと、どうして気づけないのでしょうね。
[一条の話>>2:617は、家の外まで届いていた。
さわり。再び風が表情を隠す。
風に溶かすように、そっと呟いた。]
だからこそ、人は自分の意思で選ばなければ……。
そうでなければ、心はどこにあるというの?
[囁かれた疑問は、風に運ばれて、遙か彼方へと舞い上がっていく。]
― 列車内 ―
はぁ・・・・・
[幽鬱そうにため息をつく]
とうとう挨拶もできずに出発しちゃったなぁ・・・
いいさ、その気になればいつだって会えるんだから。うん、そうだよ。
[寂しい気持ちを紛らわすかのように大声で言った]
どこに行ったらいいの?
[知識としてある程度の物はあるが、実際に列車に乗ったのは初めてだ]
・・・歩こう。
[廊下をずんずんと進んで行った]
― 回想了/自室 ―
ん……。
私、寝てた?
[ふわり。意識が浮上する感覚。
しかし眠った記憶がない。
不思議そうに体を起こして辺りを見回すと、見覚えのあるスターライナー内の自室が目に入った。]
どう、してここに……。
[自力で帰ったのか、誰かに連れてきてもらったのか。
何にしても、車に乗って、無事時間内に乗車できていたようだった。
窓の外を見ると、ちょうど景色が動き出した>>#0ところで。]
わ、あ……!
[大きな大きな樅の木>>#3が着飾られていた。
夜空に瞬く星のような、柔らかな光や大きな綿毛、その他特産品であろう果物や鈴で彩られたそれは、きらきら輝いていて。
窓辺に手を当てて覗き込むと、より一層美しさを楽しむことができた。]
ありがとう。
楽しかったわ。
[ところどころ記憶が薄いけれど、たまにはこんな旅もいいだろう。
ふわり。微笑むと、大きなツリーが小さな粒になるまで、ずっとその姿を眺めていた。]
あら?
これが、冒険の成果なのかしら?
[満足するまで景色を楽しんだ後、振り返ると、テーブルに蒼い石>>2:678が置いてあるのに気付いた。
手に取って、星空の光に透かして見る。
星の瞬きに応えるようにきらきら輝くそれに、柔らかく目を細めた。]
まるで、水の中を覗いているみたい……。
どうやって手に入れたのか、是非お話を伺いたいわ。
どなたなら、ご存知かしら……?
[うっとり目を細めたまま、思案に暮れる。]
あ、鈴……。
キリトくんに聞いてみるのもいいかもしれないわね。
[ふと思い出したのは、優しい音色を持った鈴のこと。
家の中に留まっていた彼なら、何か知っているだろうか。
ついでに鈴も見せてもらおうと、楽しげに微笑んだ。]
[星の裏側の暗闇の中、見る人の気持ちまで
暖めてくれそうな、柔らかな明るい煌めきを放つ
そのツリーは、色とりどりの果物や花々や動物、
雪のようなふわふわの綿毛達、星を象った煌めく飾り
など、数えきれない程の飾りで綺麗に飾られていて]
・・・ツリーって、あたたかいね。
懐かしい・・・。
[思い出の中。比べられないくらい、ささやかな物だったけれど、
こんなツリーを囲んで過ごした楽しいクリスマスもあった。
ぽつり、呟くと、こちらを振り向いた妹の瞳の中にも、
同じ思い出のかけらが光っているようだった]
[砂煙を巻き上げてバイクが疾走する。
ゴーグルだけは付けているが、
当たるものがあればビシバシ痛い。
悠然と飛ぶ大鳥を頭上に、
葉っぱと小石のサバイバルオフロード。]
[ふわり]
[小枝をジャンプ台に随分な重量があるバイクが、
綿毛の浮力を受けて急速に舞い上がる。
前のめりになりながら、一時の空の旅。
綿毛の群れの中にも飛び込んだ。]
あ。
(これはいかんなあ。)
[目の前に迫る綿毛と車輪に巻き込まれる綿毛。
一時、綿毛と共に大空を旅したものの空中でアクシデント発生。]
[まともに、ふわふわした綿毛に突き進んだ。]
わぷっ
[綿の中で後ろのリコリスを振り返った。
どんな顔をしていただろう。]
[気付くと柔らかいキノコの上に着地していたらしい。]
・・・・・・。
っは、ふはは、ふっ
[キノコの上に転がって乱れきった髪の毛を
撫でつけながら声がもれる。
リコリスがバイクを店まで押して行った。]
半額?
全額出してやる。
[ぽんとリコリスに札束を差し出した。]
残りは歌の代金だ。
悪くなかった。
[返却は受け入れないとばかりに、
*07手長猿*味の葉巻を切り火を付ける。]
−サロン近く−
[廊下で遠ざかる星を眺めていた。
掌にあるのは蒼い星の涙石。
傍にあるのは黒い魔性のダイヤの原石。
出発の推進剤は眩い雪のような蒼白い光。
触れれば雪粉や雪の様な結晶がとれそうな星屑だった。
光の色は竜の流した涙を少しだけ思わせた。]
When ・・・ a star is born
(星は生まれる時に)
They receive a gift or two
(いくつか力を授かるんだ)
・・・One of them is this(その一つが)
They have the power to make a dream come true
(夢を叶える力なんだ)
When you wish upon a star
(星に願いをかけるなら)
・・・Makes no difference who ・・・ you are
(君がどんな人かなんて関係ない)
Anything ・・・ your heart desires
(心から願うことは)
― 車内 ―
あら、車掌さん……お久しぶり、元気そうね♪
ええ、そろそろ、乗ってみようかと思って……
これからはお客よ♪ よ・ろ・し・く♪
[切符を受け取ると、ププモアの額に挨拶代りのちゅ☆
ふにゃ〜んとなった車掌を後に車内をずんずん進む。]
>>2:756
う〜んと、レリアとシリルね、よろしく。
[サキュバスさんといわれてすぐ。
人さし指をピンと立てて、軽く振ると。]
ノンノン、あたしのことはサッキュんて呼びなさい。
お・ね・が・い♪ ……じゃないと、生気吸うわよ♪
[たかが呼び名、されど呼び名。
うふふと笑いながらも、目は結構本気であった。]
>>#2>>#3
あら、反対側はこんな感じなのね。
……綺麗……まあ、あたしには負けてるけど♪
[車窓から見えるのは星空を閉じこめたような丸い星の裏側。
それから、樅の木。]
『ひとの営みは夜空の眺望』
[ふと、そんな言葉を思い出す。
いったいどこで聞いたのか、記憶が曖昧だが。
いつもより、少しだけやさしい表情だったかも知れない。]
[しばらく無言でツリーを見ていたが、フッと顔が綻ぶ]
今を楽しめればいい…そう決めたじゃないか
[サロンに行けば誰かに会えるかもしれないと歩き出した]
― サロン ―
[サロンに誰か入れば挨拶して、バーカウンターへ]
マスター、ロイヤルコーヒーをお願いできますか。
[疲れた体に甘いものが欲しかった。
ロイヤルコーヒーはコーヒーにコニャック、砂糖、生クリームが入ったもの。]
おや、ハンスさん無事に戻られましたか。
[帰りが別行動だったので声をかける]
…楽しんでらっしゃいますか?
[ニコリと笑って尋ねてみた。]
― 廊下 ―
どうしようかしら……。
[あてもなく、のんびりと歩いていく。
ふと外を見ると、*09西表山猫*の形に似た星が瞬いていた。]
そういう星座だったりして。
……あ、ププモアさん!
[大好きな車掌さんに出会えて、笑顔がはじける。]
ププモアさんは、キリトくん見ませんでしたか?
[ププモアは申し訳なさそうに首を振った。]
「食堂やサロンなど、人が集まるところに行ってみてはいかがですか?」
[去っていく可愛い背中にお礼を言って手を振ると、食堂の方へ歩き出した。]
あぁ。
なかなか。
愉快だった。
[愉快そうに思えない声で言う。]
・・・。
お前は?
[甘いけれど昔飲んだような美味しさは思えない。]
― 駅停車中・列車内 ―
[謎の生き物の回答に(>>37)やっぱり!というように頷いた。]
ふむふむ。
わたしはティンカー・ナッツというもので、スッチーの知り合いです。
今度スッチーに主に壺についてお願いしたいことがあるんですが、どこにいるかわかりますか?
えっと…キューちゃん。
[と聞きながら、名前もちらっと確認してみた。ちゃんと登録されている。どうやら乗客扱いのようだ。]
わたしは大体食堂車とかサロンとかふらふらしているよ。
今日もこれから食堂車!
わたしも探してみるけど、スッチーに会ったらまたよろしくお伝えください〜
[囁きにふと顔を上げて見渡すと]
あ、シリルさん、こちらにいらっしゃったのですね。
[すぐにバーカウンターへ向かったので気づかなかった]
すみません気づきませんで…よろしければご一緒にどうですか?
[さりげなく誘ってみる]
[ハンスの言葉に微笑んで頷いた>>42]
私はおかげさまで、楽しんでおりますよ。
[愉快そうに見えないことについては何も触れない。]
― 駅停車中・列車内 ―
[最後は大分くだけた感じでキューちゃんにお願いした。
その後食堂車でうまいビールをまたマイミニジョッキでいただいた。つまみは宇宙ヒラメのえんがわだ。]
もぐもぐ。出発は明日の朝方みたいだね。
今日は一眠りしようかな。あっすごいこりこりしてる。
寝る前に小びんに蟻蜜を移しておかないと…
[しばらく食堂車で飲み食いしたあと、明日朝の出発に備えてふわふわと自室に戻っていった。]
― 食堂車 ―
さて……キリクくんはと。
[辺りを見回してみるが、どうやら見当たらないようだ。
少し残念そうに溜息をつくと、同時にお腹がくぅ、と鳴った。]
お腹空いたし、ご飯にしようかしら。
[空いていた席に座ると、すぐにウェイターがやってくる。]
*09地球*産果物のミックスジュースとホットサラダ、あとは……宇宙鶏と玉子のサンドウィッチをください。
[恭しく礼をしてさがったウェイターを微笑んで見送ると、料理が来るまで、窓の外を眺めようと視線を向けた。]
― スターライナー・列車後部ミニサロン ―
[車掌さんのアナウンス(>>2:#10)が流れる。
大きな星からの出発時刻が近づいてきた。]
ふわ〜
眠い!何も活動してないのに!
[と自分に文句を言いながら起き出し、いつものようにワンピースを被ると、昨日のうちに詰め替えておいた蜜の小瓶と舐める用の棒を持ってミニサロンへと向う。]
景色くらいはしっかり見ておきたいもんね…
[ミニサロンにつくと、窓にぺったりと手をつけた。]
― 後部ミニサロン ―
[列車が激しく蒸気を吹き上げ動き出す。
噴射口からごうっ、といつもより少量ながら鋭く出てきたのは蒼白い光(>>25)だった。]
へぇー なんか意外…
[と、ざぁっと巨大な綿毛が目の前を横切る。
いくつもの綿毛がふわりふわりと空を舞っていた。
はっと下を見ると黄色い花畑やキレイな湖、いくつかのテーマパークのような大きな建物も見える。]
なにー 命の危機がある星って聞いてたのに…
なんか、すごいイメージと違う!
ううう、もったいないことしたかも〜
[と悔やんでもしょうがない。
次だ次〜と思ったところで、だんだん列車は星の夜の側に入っていく。
何よりも目に入ったものは巨大なクリスマスツリーだった。(>>#3)
宇宙艦の飛行場灯台をもみの木で飾りつけたものだろうか。
定期的に青く大きい光源が、ちかっ、ちかっと光る周りで、白やオレンジのぼんやりとした淡い光がゆっくり点滅している。]
メリー、クリスマス。だね。
[自然と顔がほころんだ**]
[終始仏頂面のハンスを穏やかな目で見る>>50]
こういう旅は、いいですよね。
普段は絶対接することのないであろう人たちと同じ目線で話ができる。
こういう機会が思わぬ発見を生みだして…人としての幅を広げてくれる。
[コーヒーを一口]
一期一会とは、こういうことなのかもしれません。
[ハンスに語りかけているのか、自分にいいきかせているのか、そんなことを言ってみた。]
・・・いや、マル・セー。
[名前を呼んだ。
何か言う前にスプーンを突き出した。]
変な顔はなし。
親交を少し、
暖めてみよう かと。
・・・。
[ぐ、とした顔をした。]
[ハンスにニッコリと笑顔を向けた>>54]
もちろん。
少し酔ってしまいましたか。変な話を長々とすみません。
[また、照れたように笑った]
>>55
いや、別に?
変な・・・話とは・・・。
[シリルをじろっと見る。]
・・・。
この女性の好きなものを。
[トントンと机を叩いてバーテンに伝える。]
「おまたせいたしました」
ありがとう。
[料理を持ってきたウェイターに、柔らかな笑顔とチップを渡す。]
さて。いただきます。
[ナイフとフォークを使い、器用に、優雅に食べ始めた。]
[星から離れて、星の音が消える頃に鳴るのは腹の音。]
おおう。
最近、量食べてないもんな…。
[運転中は食事を八分目に抑えている。久しぶりにかっとばしたせいか、何時もより何倍も空腹感があった。]
よし、あそこに行こう。
一期一会もですが…
[ハンスの言葉に>>56どこか遠くを見るような目になる]
次の星は自分の選ばなかった未来が見えると言います。
私は昔の記憶をなくしているので…
記憶がなくなっていなければ、どうなっていたのか、
見てみたいのです。
[それが、どんな結末だったとしても、見てみたかった。
それが、この旅の目的だったとも言える。]
いえ、一期一会など、偉そうなことを言ってしまったなと…
[ハンスの問に>>57言葉を濁した]
― 食堂車 ―
あんまり人がいなさそう…?
[先程、食堂車の中でもドアで仕切られた一角があるのを見つけていた。あまり此方に来る人は少ないのだろうか。ともあれ、案内をされる。
見知った顔に声をかけられれば、僕もちょっとむこうで食べに来た、と返答する。]
・・・。
初耳だ。
選ばなかった未来が見える?
[イザベラの話は大体頭を過ぎ去っていく。
そして、普段の生活をしている時に、
マルセーの話を聞いたなら話半分に聞き流していたろう。]
・・・?
あぁ。
あれか。
あの星での。
[ぶち切れて一条の腹と竜を殴った。]
今は気にしてない。
[マルセーの謝罪を誤解した。]
― 食堂車・別室 ―
もぐもぐ。
[一室は、要するに焼肉等対策用の部屋。
煙に対する制御や臭い対策に、別室にしてあるようだ。
いつもよりかなりドカ食いになっている。]
もし・・・
もし。
[選べなかった未来も見れたら。
今の現実に耐えられるのか。]
それが本当なら。
[それとも選べた未来の喪失を思うのだろうか。]
・・・。
[無意識にシグネットリングを指で撫でる。]
[ハンスの言葉に肩を竦める>>67]
昔の記憶はおぼろげにはあるのです。
でも、なぜ記憶をなくしたのかも分かりません。
[そのわりには、とても穏やかに笑っている]
食べ過ぎたかも…。
うーん。
あ、におい消しください。
[何時もより羽目を外して食べた結果である。
どうやら、におい消しは服についた臭い含めて万全の対策だったようだ。]
―サロン→廊下―
……ありがとう。
[瞳を覗き込むようにして、笑顔でお礼を言うと、
シャーロットに倣って、髪のあまり目立たない位置に飾る。
またね、と笑顔で手を振って、窓辺を離れ、
メモリアル・ノートに何やら書いていたシリルに
声を掛けてから、サロンから廊下へ出たのだったか*]
―スターライナー/通路―
やれやれ。
全く酷い目にあったもンだ。
………。
[ふと、スターライナーの通路の窓に映る自分の顔を見る。
思い出すのは、曾爺さんが探していた相手。]
それとも…誰かが、
その人を、'見つけろ'って言ってたりしてねェ。
[少しだけ冗談にならない怖い事を言って、
「出発間際」のスターライナーの中を歩む。*]
>>75
あら……あれは?
[通路を歩いていると見覚えのある姿を発見。]
もしかしたら、あの時のお姫様?
[>>2:652>>2:657
ダーリン(キリト)を追っていったところですれ違ったのを思い出す。
パッと見何だか景気づけたくなる様子で。
どう声をかけようか考えて、手をぽんと叩いた。]
そうだわ。いいこと、お・も・い・つ・い・た・わ♪
[サッと空気の中に消えて、スッと一条の背後に現れ。]
……あたしサッキュん、今あなたの後ろ。
[ぽんと肩を軽く叩いて、クスッと笑った。**]
か、可愛い・・・
・・・ひゅ、ひゅん・・・?
[キューちゃんの鳴き声を、挨拶かな?と思ったらしい。
猫のにゃあに、人間もにゃあと返事するような調子で、
なるべく同じ音で返し、
どうしたの?と問うような表情を付け加える]
― 回想、帰りのバス車内 ―
[一条はシリルの看病を受けている。
傍から見ても痛そうだ。]
そうだ、一条さんこれを・・・。
博士からこれを受け取ってくれと・・・
これは皆で手に入れたようなものですし・・・
[一条に蒼い石を渡す。
我々は手分けして宝石探しの同行者に蒼い石を手渡すことにした。
手分けして渡すほどの人数はいないはずだが・・・。]
[我々は蒼い石を手分けして桂川君には男性陣に、私は女性陣に(ただしイザベラは除く、なんとなく桂川君に任せたい気がした)渡すことにした。]
[ハンスの疑問には、フッとため息をつくように笑いを零す>>76]
過去がないということは、後悔することが少ない。
そんな気がします。
先だけを見ておけばいい。
…もともと、何も考えていないだけかもしれませんが。
[穏やかな笑顔…しかし、どこか自嘲を含んだ笑みでハンスを見る]
それでも…自分の過去がもしかしたら、垣間見えるかもしれない。
そんな思いもあって、今回の旅を決意しました。
過去がないことに不安がないわけではないですからね。
[人というものは、ないものねだりをする生き物なのかもしれない。]
>>88
・・・。
それはないだろう。
後悔は過去がなくても、
出来るものだ。
[心さえあれば。]
>>89
・・・
[マルセー自身へ話しかけているような言葉を聞く。]
[博士が蒼竜との場面ではあんなにかっこよかったのにこのざまである。
とにかく、私はイザベラとマルセーとキリトに蒼い石を手渡す。]
[特にキリトには]
柴犬の着ぐるみ姿、本当にかわいかったですよ。
[と慰める。さて、あとはハンスさんだけだが、・・・]
あれ?ハンスさんどこにいったのだろう。
ここは俺が払っておこう。
[マルセーに返事する代わりに、
バーの代金をシリル共々支払った。
余分はチップとしてバーテンへ。]
[シリルとレリアには、]
お嬢さんたち、これは私からの贈り物です。
どうぞお受け取りください。
[キザったらしい言葉をかけて蒼い石を渡す。
メルヴィがすやすやと眠っているようなので]
(こっちのお嬢さんはよっぽど疲れたのじゃな。そっとしておこう・・・。)
[メルヴィの傍らに蒼い石を置く。
彼女が眠り続けるなら、彼女のそばに蒼い石を置くのを、わかるようにしているだろう。]
― スターライナー・通路 ―
[景色と蜜蟻の蜜を存分に楽しんだ後、サロンの方にとんでいく。ちらちらと途中の部屋でもスッチーを探してみたが見当たらない。]
ん、あれは、キューちゃんと、神話の子と、何度か列車内で見かけたような気のする…
[こそこそと遠くから名前チェックをする。たむらよしおとレリアだ。ふわふわとそちらに向っていった。]
キューちゃん昨日ぶりだね。
スッチーはいたかな?
[と声をかけた。」
あと、レリアさん。この間は怖い話ありがとうだよ。
おまじないもね。完璧にぐっすりだったよ!
[笑って御礼を言った。たむらに対しては、]
わたしはティンカー・ナッツっていうよ。
よろしくね、たむらさん。
[とお辞儀をした。]
あ、スッチーのいるところはわかるのね。
優しい嘘と、本当の事?
・・・優しい嘘は・・・。
いつかはスッチーにも真実がわかってしまうようなこと?
それだったら・・・
本当の事のほうが・・・と思うけれど、
事情しだいかもしれないわ・・・。
芳はどう思う?
[寂しそうなキューちゃんの声.>107に、
なにか深い事情があるようだと察すれば、自分の考えを述べてから、助けを求めるような眼差しで芳の方を見て]
[キューちゃんから急に問われてちょっと考えた。(>>107)]
うーん、優しい嘘も本当の事もどっちも大事なものだけど、とりあえず自分が相手の身になったらどっちがいいかで決めたらどうかな?
[と何も具体的なことは聞かずに答えた。]
―スターライナー/通路―
[一条が、「スターライナー」の出発時間に居たのは矢張り通路だった。
今回、この「大きな星」の大気と混ざり合い噴射(>>0:#1>>0:376)されたのは、蒼白い雪のような光(>>25>>51)。
現在のこの星の気候とも関連があるのだろうか、雪の様な結晶、ダイヤモンドダストの様に結実しているように見える。]
おっ、何だか奇麗だな…。
[一条は窓を開けて、噴射剤の星屑を手で掬った。
光は、見る見るうちに光で出来た雪の結晶に成長する。まるで、そのまま飾れるような、見た目少し植物系にも見える結晶の形をしていた。]
[色々探して食堂車に着くとメルヴィは食事中だったか。
声を掛けるのも躊躇われ外の廊下で壁に凭れて待つ。
キリトが前を通り食堂車へ向かうなら邪魔もしない。]
― 食堂車 ―
ふう。
ごちそうさまでした。
美味しかったわ。
[口の周りをナプキンで拭き取りながら、満足そうに微笑む。
食後にとっておいた、フルーツジュースをゆっくり飲んだ。]
― 食堂車→廊下 ―
あ……。
[食事を終えて移動しようと廊下に出れば、壁に凭れ掛かるハンスの姿>>119が目に入った。
逡巡した後、会釈だけして通り過ぎようとする。]
うん・・・・・・
[感謝の意を込めてきらきらとした光を放つ]
みゅ?
[ふと周りを見渡すと、人が集まってきていた。風を纏う姿が珍しいのか、それともキューちゃんの持つ引き寄せる力かは分からない]
……はい。
こんばんは、でしょうか。
[名を呼ぶ声>>125へ微かに肩を震わせた後、何事もなかったように振り返る。
いつも通りを心がけて微笑んだが、果たしてそれができていただろうか。]
……。
いいえ。私は傷ついておりません。
だから、ハンスさんが謝る必要はどこにもないのです。
[謝罪の言葉>>126に驚いたように目を見開く。
どこか寂しそうに、言葉と微笑みを返した。]
[サロンを去りどことなく歩いていると、なぜだか1か所ざわついている]
ん?一体どうしたんだい?
[するするっと引き寄せられるかのように見に行く]
(キューちゃん、元気ない。)
[昨日あったばかりなのに、あからさまにわかるほどに元気がない。
質問からすると、スッチーのことで悩んでいるようだ。
自分も、スッチーには壺の鏡の世界のことについて聞きたいことがあったのだけど、少し落ち着いてからの方が良さそうに思えた。]
キューちゃん、昨日、スッチーに壺についてお願いしたいことがあるっていったけど、それ、急ぎじゃないよ。
空いたときでいいんだ。
俺が間違っていた。
[声に苦痛が混じっていた。]
そうだ。これ。
気に入ってたろう?
返そう。
[ポケットから魔除けの鈴を右手で取り出した。
握っている為か、音はまだ鳴らない。
左手でメルヴィの手を下から取ろうとする。
右手の鈴を、その手に握らせる為に。
左掌側のリングは、丁度メルヴィの中手骨頭にあたる位置。]
[妖精の声にうなづき、そっと風で撫でた]
まだ、時間は・・・・・・!
[まだ慌てるような時間じゃない。そう考えた矢先であった]
!?
[突然立ち止まり、壺を漫画のようにきれいに落した]
キュー・・・ちゃん
[割れた壺からはもくもくと桃色の煙が立ち上り、やがてそれはスターライナーから出る煙突の星屑と一体になってゆく]
そんなに苦しそうになさらないで。
[悲痛な声をあげる。]
……私の方こそ、心に無理矢理踏み入ってしまったわ。
本当にごめんなさい。
[瞼を伏せて、沈んだ声で話した。]
え……ああ、ありがとうございます。
[指の間から出る組紐で、それが鈴だということが分かった。
キリトが持っていたはずのものだが、いつの間にかハンスの手に渡っていたのだろう。
驚いたためか、すんなり手を差し出す。
リングの触れた部分だけが、ひんやりと冷たかった。]
[黙ってスッチーを風で包み込む。この間とは逆の立場になった、わずかぶりの再会である]
[やじうまに来ていたメットの男や蒼色の猫は突然の事に唖然と見惚れていた]
俺は、そういう生き方しかしてなかった。
心から全てに体当たりするなんて。
そもそも。
求められてもいない。
[メルヴィを見た。
左手で手を取ったまま右手を離す。
小さな音がちりんと鳴った。]
・・・。
だから。
上手く伝えられない。
[笑顔を浮かべようとする。]
―スターライナー/通路>>114―
…と。
でも俺には荷物になるな。
[放流する様に、一条は光の結晶>>114を窓の外で手放す。
何処かへ飛び去るうちに、光はばらばらになって元の星屑の光に戻ってしまった。
もう暫く固着するまで放置しておくか、あの状態から加工する事が出来れば、一種の装飾品にも出来る様にも思えた。]
…それにしても。
粋、だな。
[窓を閉め、再び窓の下、先程まで居た「大きな星」を見下ろせば、其処にはまるで「ダイソン・ツリー」をかくやと思わせる大きな大きな樅の木がある。
そのクリスマスツリーへ向けて、噴射剤の蒼白い星屑の光が舞い落ちてゆく。ホワイトクリスマスのように。]
あ〜ぁ。
宇宙カジノのツリーが懐かしくなる。
[苦笑しつ、「宇宙鯨の涙飴」を一つ口の中へ放り込んだ。]
……。
…………あの歌に、金をもらうわけにはいかないよ。
そういうつもりでもなかったし。
[札束を見つめ、苦笑する]
でもあなたの気持ちだと思って。
……ありがとう。
[固辞することも出来た。
でも少し考え、差し出されたそれを受け取ることを選んだ。
修理の代金はそこからきっちり半額分。
残りは財布ではなく、袋に仕舞っておく。
手長猿が楽しげにホームを駆けるのを目で追って、列車へ*]
何か、経験なされたのですね。
[ハンスの言葉>>138に、見ておらずとも何かがあったことは分かった。]
私が求めます。
……それだけじゃあ、理由になりませんか?
[少し困ったように微笑む。
受け取った鈴をちりん、と鳴らした。]
私は、ちゃんと見てますよ――ハンスさん。
[こんなにも一生懸命に伝えてくれている人から逃げるのはやめようと思った。
以前言われた言葉>>2:554への答えを返す。
意味は伝わっただろうか。]
言葉じゃなくてもいいんです。
ハンスさんが満足できるまで、私、待ってますから。
[泣きそうな、それでいて嬉しそうな、そんな微笑みを浮かべた。]
[うまく、笑顔は浮かべられたろうか。
鈴に気を取られたら、
やっぱりという気持ちと、
これでいいという気持ち。
また諦めれたように思う。]
・・・。
[ぼろっ]
言葉以外?
伝えるには、
言葉しかないだろうに。
[ぼろろっ]
声が弾んでいれば、楽しいことがあったんだなって思います。
表情が沈んでいれば、何かあったのかなって心配します。
目の前で泣いている人がいれば、傍にいたいって思います。
気持ちを表す術は、ひとつじゃないんです。
[慈愛に満ちた笑みを浮かべながら、そっと頬に手を伸ばした。]
[ひとつの硝子の瓶には、みっつの輝き。
もうひとつの硝子の瓶には、一輪の勿忘草が咲いている。
土産物屋で手に入れた特殊な瓶。
その効果のおかげで、星屑と花はふわりと浮いていた]
ああ、ツリーか。
[流れる景色の中に、一際大きな楡の木。
鮮やかに飾り付けられたツリーが、一瞬後に違う姿に移り変わる。
湖の幻、あの蛍の光だけを纏って。
息を呑んだ。人によって違う姿を見せているのかもしれない]
えっと、こういう時なんて言うんだっけ。
[降誕祭。
自分にはあまり縁がなかったから]
えーっと。
思い出せないな……。
[メリークリスマス。
その短い単語が出てこなくて、しばらく考え込む]
それなら、まずは言葉だけでもいいです。
ハンスさんの考えを、教えてください。
何を考えて、どう感じているのか。
私は思いが知りたいの。
……また、わがままですね。
反省できてないなー。
[拒まれなければ、頬とそこに添えられている手に優しく触れただろう。
包み込むように、温もりを伝えるように。
申し訳なさそうに苦笑しながらも、言葉は止められなかった。]
私は、こうやってまたハンスさんと話せて、ハンスさんに触れることができて、すごく嬉しいです。
[逃げないと、決めたから。
花が綻ぶような笑顔を向けた。]
俺の考え?
・・・い、嫌だ。
[言ってから違うんだという目をした。]
もっと・・・出来たら、
触れ合ってみたい。
[現状が嫌だ。]
[メルヴィの手が左手と頬を包み込む。
唯一、シグネットリングだけが冷たい。]
ふふ。大丈夫ですよ。
[柔らかく、優しく微笑んだ。
そこに悲しみの色はもうない。]
ハンスさんのやりたいように、お好きなようにしてみてください。
怖くても、不安でも、自分の意思で。
私がお付き合いします。
ここに、いますから。
[触れた手は決して冷たくはなかった。
リングの冷たさが際立って、むしろ暖かいとさえ感じる程に。
温もりで存在を伝えるように、左手と頬をゆっくり撫でた。]
[どの言葉も上手く当て嵌まらない。
メルヴィから花が綻ぶような笑顔を向けられても、
心が動かされる気はしなかった。
それでも、心が痛むような、苦しくて苦しくてどうしようもない痛みは、今は感じない。]
俺も嬉しい。
[言う時だけ痛むような心細くなるような気持ちがした。]
[正確には、変な距離感がなくなったのが嬉しい。]
・・・。
[撫でられる度に心が引き攣るような痛みがよぎる。
メルヴィの手に右手も重ねようと思ったが、止めた。
決して嫌な痛みではない。]
[通り過ぎようとした、が。
なにか念のようなものを感じた気がして立ち止まった]
……。
……ええと、何かあったのか?
[大きな声がしたから気になって、と。
一条と女性に話しかけたのだった]
それなら、良かった。
同じ気持ちでいられるときは、きっと心が繋がっている。
私はそう、信じているの。
[ハンスの言葉>>160に、自分のことのように喜ぶ。
強くはないが、はっきりした声で言い切った。]
……本当は、私も自信なんてないんです。
選ぶことが正しいのか。自分で決めることが間違っていないのか。
だから、ハンスさんに胸を張ってそうだと言うためにも、次の星で確かめてこようと思います。
[頬に触れた手が少し震えたかもしれない。
それでも笑顔は絶やさずに、ハンスの瞳を見つめた。]
・・・。
強い、な。
[選び続けて来たのだろうか。]
[真っすぐに向けられた瞳と震える指先。
一度はやめた選択、右手をメルヴィの手に重ねた。
震える手を包み込むように。]
……強くなんてないですよ。
いつだって、間違いを認めるのが怖いだけ。
[選ばない選択もあったはずだけれど、自分の運命を周りにまかせるのは嫌だった。
けれど。それで大切な人が傷ついていたとしたら。
不意に何かが込み上げてきそうになって、息を詰める。]
あたたかい、ですね。
[重ねられた右手に、ほっとしたような息が漏れて。
その拍子に、瞳から一筋涙が零れた。]
――通路――
[一条に示されるままに妖艶な女性に視線を向ける。
初対面だ、先ほどの駅から乗車したのだろうか]
はじめまして。
[小さくもう一度会釈]
……?
[このふたりも知り合いというわけではなさそうだ。
会話の主導権を任せ、でも立ち去るでもなく**]
[右手でメルヴィの右指を緩く握らせて、
涙に濡れた指に静かにキスをする。]
・・・。
[どう言葉をかけたらいいだろう。]
ごめんなさい。
安心したらなんだか……ん。
[慌てて涙を左手で拭おうとすると音が鳴った。
ちりん、ちりん。
その音よりも指先に触れる温もりに、すっと力が抜けていく。]
……ありがとうございます。
ハンスさんが傍にいてくれるだけで、すごく救われています。
[言葉にすると大袈裟に聞こえたかもしれない。
それでも伝えなければ分からないから。
柔らかく目元を緩めて、瞳を潤ませながらもそっと微笑んだ。]
メルヴィ。
メルヴィの話を、
聞かせてくれるか。
[何か抱えているように見える。
引き攣れた痛みを感じながら、
涙を落とす頬に触れるように手を伸ばす。]
……。
少し、長くなるかもしれません。
それでも聞いてくださいますか。
[迷うように瞳を伏せたが、名を呼ぶ声>>175に後押しされるように顔を上げる。
伸ばされた手との間を嫌うように、そっと頭を傾けた。]
あぁ。
[紫紺の髪に指を滑らせメルヴィに頷いた。
語り終えるまで黙って聞いているだろう。
微かな胸の痛みに苛まされながら。**]
私は貴族の父と平民の母の間に生まれたというお話は以前しましたよね。
父と母はそれはそれは愛し合っていたそうですが、身分の壁に阻まれ結婚できませんでした。
父も母もはっきりした人たちで、別れるならばとお互い全く干渉しない道を選びました。
ですから私も父は消えたものとして、母とふたり、城下町で静かに暮らしていたんです。
けれど――
[一旦、話を止める。
何かに耐えるように瞼を伏せると、息を静かに吐いて再び話し始めた。]
けれど、母が病に伏してしまって。
その病は、高度な技術をもってしても、痛みを抑え、延命することしかできないものでした。
当時、まだ幼かった私が途方にくれていたところに、父がやってきたのです。
「君がうちの子になってくれるのなら、お母さんの治療を援助しよう」
後になって聞いたのですが、父は無条件で母を助けようとしてくれていたのだそうです。
ただ周りの人間がそれでは首を縦に振ってくれなかった。
そこで条件として出たのが、私が跡取りとして家に入ることでした。
父は別の人と結婚しておりましたが、ふたりの間には子どもがいなかったから。
そのとき母はもう意識がなくて、選択権は私ひとりに委ねられていました。
母は父を今でも愛していましたから、他の人と結婚した姿に近づかねばならないこと。
私自身がひとりで、見知らぬ場所へ行く恐怖。
断る理由はたくさんありました。
けれど――けれど、私が一晩悩んで決断したのは、首を縦に振る選択でした。
母はすぐに国一番のお医者様に診ていただき、意識を取り戻すことができました。
私が母にこれまでのことを話すと、笑顔でありがとう、と言ってくれたことが何よりの心の支えでした。
私の義母となった方は、父との間に愛情はなく、信頼関係で結ばれていたようで、私も母も快く歓迎してくださいました。
貴族の礼儀作法を覚えることは大変でしたが、すべてが上手くいき、私の選択は間違っていなかったのだと思えば、それくらい何てことなかったのです。
父と義母の間に新たな子が生まれても、私の"家族"は誰一人私を追い出そうとはしませんでした。
妹も私を慕ってくれて、私も母も新たな家族の誕生を心から喜びました。
すべてが幸せで、きらきらしていて。
――それでも、終わりはやってきます。
母の命の灯が消えるときが来ました。
私たちの種族は体が残りません。最期は淡い光になって、天へ昇っていくのです。
少しずつ母の体が透け始め、握った手の感覚も薄くなってきたとき、母の口から零れた言葉は。
「寂しかった――」
そう言って、母は消えていきました。
私の選択が、誰よりも大切な母を苦しめていたのかもしれない。
父の傍にいることが、病室から出られない体が、私が他の"家族"の下で笑っていることが。
理由なんていくつも簡単に出てきて。
つまり私は、自分の選択が間違っていたと思いたくなくて、それらのことから逃げていたということで。
それに気づいたとき、私は何かを選ぶのが怖くなってしまいました。
私の存在そのものが、崩れていくような気がしました。
私たちは体が残らない故に、心を何よりも大切なものだと考えています。
考えや思いこそ、最後まで人々の心に残るのだと、そう信じています。
それが出来なくなったら、私には何が残るのでしょうか。
[声は震えていた。
震える瞼から、再び涙が一筋溢れた。]
だから私は、真実を知るために、別の未来が見ることができるという星に行くために、旅をしてきました。
もうすぐ、もうすぐそのときがやってくる。
……行くのが怖いんです、すごく。
だから、私は強くなんかないんですよ。
[今までのどんな笑顔より弱弱しいものだっただろう。
それでも笑みは絶やさずに、小さく息をついた。**]
――通路――
[一条と女性を前にして、突然頭に降ってきた]
ああ。メリークリスマス、だ。
[思わず口に出す。
そう、確かサンタなんとかというおじさんがプレゼントを配るらしいのもついでに思い出した。
なんだかとてもすっきりした気分である]
[プレゼント。
今まで関わったこの列車の乗客たち。
ハンスから貰い受けたお金]
……。
[これは有効な使い道なんじゃないだろうか。
ふっと浮かんだ案]
一条、ちょっと後で話があるんだけれど。
[自分ひとりでは心もとない。
一条はセンスも良さそうだし、何よりとても頼りになる気がした。
勿論彼の都合を第一に考えるつもりだが]
[シリルがハンスを親切な人だと言う>>186]
…えぇ、優しい人ですね…
[その後のシリルの言葉は黙って耳を傾けた>>187
何をもって罪と言っているのか分からなかったが、とてもつもない苦しみ、悲しみを抱えていることだけは分かる。]
[その後に告げられた言葉には>>188]
見なければよかったと思うかもしれないです。
今で良かったと思うかもしれない…
[フッと笑って]
格好いい事を言ってましたが、単なる好奇心ですけれどね。
[いたずらっぽく笑って、シリルを見た。]
>>3:149
ええ、そうよ。イケメンな王子様に担がれお姫様♪
それともまさか……
実は竜に(力づくで)闘いを挑んだ勇者だったりするの?
[一条の問いに答え、小首を傾げる。]
[>>3:162
通りがかりのリコリスに、挨拶がてら。]
あたし、サッキュん。よ・ろ・し・く♪
で、あたしたちが愛を語り合ってるように見える?
[と、笑いながら一条に少し接近してみるが。
嫌がったり、困る素振りを見せたなら。
さらに、近づきぎゅっと腕に手を回しただろう。
といっても、一瞬でパッと離れる程度の軽さ。
喜ぶようなら、うふふと笑って身を引く。]
>>3:170
ところで、あたしのダーリン知らない?
もふもふのわんこさんの格好したキュートな……お・と・こ・の・こ♪
キャッ、いっちゃった。もう、照れるじゃないの。やだぁ〜。
[ちょっと頬を染めて、一条の肩をぺちん。
ひとりで勝手に盛り上がっている。]
で、この車内にいるのは間違いなくって。
今は、鋭意捜索中だったりするわけ。
もし、聞きこみにいい場所……
お客さんが多く集まるところを教えてくれたら嬉しいわ♪
[お願いと、一条を拝んで。
聞き出せたならそこへ行く心づもりで。**]
― スターライナー通路 ―
[キューちゃんに断りを入れたとき、スッチーがサロン方面から現れた。壺が落ち、スッチーの衝撃の大きさが伝わる。(>>135)
2人はぽつぽつと会話をしたあと、揃って窓の外を見た。
つられて自分も景色を見る。
次の停車地だろうか。
暗雲に包まれたような見た目で、雷?が雲下で落ちているのか、ガス雲の隙間からところどころ、光が漏れ出している。
ふっ、とまた視線を2人に戻した。]
(友達か…)
[自分にも、地球にはようせい仲間がいる。
ティンク一族はものづくりのようせいとしてようせい仲間で頼りにされる存在なのだ。
人間の友達、と考えると、まだ若い頃、多くの子ども達と宵闇から真夜中にかけて、一緒に街の上空を飛びまわったものだ。
ただ、銀河間通信の成功による宙港開拓時代が訪れるまで、人間の大人からは隠れて生きてきた。
若い頃には、ようせい仲間がホルマリン漬けにされたり、標本にされたり、すりつぶして薬にされたり、ということがうわさだけでなく実際にも起こっていたからだ。
自分も隠れて生きてきた。ただ一人の例外を除いて。]
(あ、そうだ!)
[と、前にメモリアルノートのバックナンバーで、以前にこの列車に乗った友達の手記を見つけたのを思い出した。]
(読んじゃおうかな〜)
[スッチーとキューちゃんには声をかけないほうがいいだろう。2人を一瞥するとふわりとサロンに向って飛んでいった。**]
>>3:209
うふふ、腹パン……こわいひともいるのね。
ハンスは凶暴、サッキュん、憶えた。
[ころころ笑って、心のメモ帳に書いておく。]
サロンね。一条さん、ありがとう♪
[じっと見つめてから、にっこりほほ笑む。]
う……ん、やっぱり見てて飽きないし。
なにより……うふふ、可愛いじゃない♪
[若くて生気取り放題、はさすがにいえない。
愛の狩人的に死活問題だし。
そこは、企業秘密ということで。
うふっと笑ってごまかした。]
>>189>>190
めりーくりすまs……いいにくいわぁ。
[リコリスの口にする慣れない言葉に思わず噛んで。]
これって、何かの精霊を召喚する呪文?
[と、小首をかしげた。]
>>3:211
穴場……何か秘密めいた感じでいいわね。
[クスッと笑う。
リコリスと一条が2人きりになりたいといえば。
場所をきき、そのまま手を振りサロンかミニサロンにでもいくつもり。
しかし、列車は動く密室。
獲物は逃げようがないだろうから。
まだしばらく大丈夫だろうとも思い。
面白そうなことなら、そっちに乗るのもありあり。**]
―星の見える窓―
キューちゃん、私時々不安になるんだ。
私がどこに行くかは自分で決められるけど、どこから来たのかは分からないからさ。
何か、大切なものまで一緒に失くしちゃったんじゃないかって。
[キューちゃんは黙って聞いている]
でも、あの星に行けば何かが分かる気がする。私の勘って結構当たるからさ!
僕は―行先が特に決まってないからね。
乗ったのも地球からじゃなかった。
[スタート地点も、地球から離れた星。
今回のゴールも、地球からは近くないと思っている。]
そうだね…。
興味がある星は、星から星へ移る際の次の場所を探している時に大体見つかるよ。ずっとそうやって、渡り歩いてる。
[もう何百年もなると、呟いて。
今の地球人は、寿命はどれくらいなのかわからないが。]
確かにこの辺りは地球からは遠いけど。
僕の地球は、夢の中にしかないようなものだから。
[目を曇らせて、地球の方向―スターライナーの壁―を見る。困ったように苦笑しつつも、目は僅かばかしどこか遠いところに行っていた。]
この旅も、いつか終わる―終わってほしいと思うこともある。でもそれはとても気の遠くなる確率と認識している。
[君が地球の日本という場所に戻れる確率は、気の遠くなる確率だろう。本当の事を伝えられた時のこと。戻れるかという叫びに、冷静に答えてくれた恩人の言葉だ。]
ただもしその時が訪れた時には、星1つでは終わらないような記録を仕立て上げたいなって思ってるんだ。
[もう動けないだろうからと、宇宙を知りたい見たいと言った恩人に。そして、夢の中にある宇宙を知らぬ者達に。
折角だから、自分の趣味を生かして送ろう。
いつの間にか、それが自分の旅する原動力になっていた。]
うは、これは糧食か。
なんでこんなんここに…。
[出店の中に戦闘用の糧食を売っている一角があった。一食分の献立が、高い技術で小さくまとまった形をしている。]
あそういうことか。
別にこういうのに限ったことじゃない。
[と其の横には、同じように今度はとてもよい素材の缶詰何か見せたり。]
まあ、こんなものでよいかな。
[食料を手に居れば目的の大半は達成している。
ちょっときょろきょろしながら、リアさんの見たいものにあわせる方向で動く。]
〔「大きな星」を出発する前、車掌ププモア・ブルーベは、
スターライナーに乗り込む為に来たサッキュんに遭遇(>>30)します。〕
「サッキュんさん、お久しぶりです。
本当ですか?スカイライナーには負けません。
はい、これが切符になります。」
〔どうやら、車掌ププモアの対抗意識はサッキュん関係だったようです。
額に「ちゅ☆」されると、まるで全身の力が抜けきったように、
ふにゃ〜んとしてしまいました。〕
〔次の停留駅の星は、暗雲に包まれているよう(>>207)にも見えました。
雷なのでしょうか。
ガス雲の合間から妖しい光>>166も漏れだしています。
厚い厚い雲を通り抜け、駅にスターライナーは降り立ちました。
不気味なほど静かで、人も見えません。
降りる前は雲や光が見えていましたが、
今は雲一つないような空にも見えます。
駅がぽつんとある以外は、荒野が広がっているようでした。
心なしか、舞い降りる星屑も何時もより綺羅綺羅しているようには見えません。〕
「この星は、人によっては危険な星です。
降り立った人が過去に選ばれなかった未来がある星と言われ、
これまで、帰って来なかった人は何人も居ます。
未来に、あるいは過去に呑み込まれ、
この世ならざる場へ誘われるとも言われています。」
〔車掌ププモア・ブルーベは星へ降りるという乗客へ語りかけました。
もしかすると、この星は見る人によって
全く別の姿に見えるのかもしれません。
同じ物を見ていても、違う姿をしているのかもしれません。
そして、ある人が見えている場所へ、
他の人が迷い込む事もあるのかもしれません。〕
「私も一度だけ降りました。」
〔車掌ププモア・ブルーベが見た選ばなかった未来の姿は、
「スターライナー」の車掌にならなかった未来。
過去に選んだ選択肢の今が、ププモアは大好きなのでした。
だから「どうだった?」と問われても、
車掌ププモアはにっこり微笑んでいるのです。〕
「この星は、皆さんの心の映し鏡です。
皆さんの精神状態にも左右されるかもしれません。
ですから、降りられるのはお奨めしません。」
〔車掌ププモアはそれだけ言うと、
星の荒野の地平の彼方へ顔を向けました。
まるで、其処から何かが現れて来るかのように。〕
〔降りるのは自己責任で降りなければなりません。
それでも、降りる人を見送りながら、
車掌ププモアは皆を*見守る*よう列車の傍で佇んでいました。〕
・・・記録? それは・・・とても素敵なことね。
貴方が見たこと、聞いたこと、触れたもの、出会った人々・・・
あなたの記憶や経験の全てが、
誰かにとっての、次の夢や希望につながるわ、きっと。
帰れないことが・・・つらい夜もあると思うけれど・・・
芳でなければ、できないこと。
貴方だから、見せてあげられる夢。
叶うと、いいわね・・・。
[いつか彼が、彼にとっての地球に・・・
本当に帰りたい場所に、帰れる日が来ますように・・・
心から願うかのように、しばしの間、灰金色の瞳を閉じて]
この列車で出会った人たちに。
でも俺だけじゃプレゼントを選ぶセンスに問題があるだろうから、
あなたにも……手伝って貰えないかと思って。
[遠慮がちな口調で]
あ、資金はとある人から貰っているから心配ないよ。
貰ってしまったとも言う。
[ハンスの名前は出さなかったが、一条なら予想できるところはあるかもしれない。
ちなみにクリスマスが何時であるか、銀河的な日にち感覚は朧げであるため次の星を過ぎた辺りでいいかなぁと思っていたりする]
― スターライナー・サロン ―
ふー
[昔の友達のメモリアルノートを読み、ちょいちょいノートに書き加えたところでププモアのアナウンスが流れた。(>>#7)]
過去に選ばなかった未来がある星…か。
どこの過去だろう?色々見たい瞬間もあるっちゃあるけど今更見てもなー
[続くアナウンスには(>>#8)]
前の星でも超危険な星って言ったのにそんなでもなさそうだったし、騙されないよ!
わたしは降りる!
[アナウンスに向ってぶーぶー言いながら、自室に戻って一度準備をすると、列車の乗降口に向った。]
― 駅 ―
[駅は静かだった。お土産屋なども見当たらない。
ただ荒野が広がっている。]
…特産品とかは、なさそうだよね。
[一応駅設備はあるようで、いかにも燃料補給整備等のためだけに寄ったという趣だ。]
過去に選ばなかった未来のある星…
どこにあるんだろう。
[それとも、誰かが、選ばなかった未来を見たい人がとても多くて、この星をルートに入れているのだろうか。
あまり自分はそういうことを考えたことがないので、いまいちぴんと来なかった。]
そろそろですか…
[隣に座っていたシリルに声をかける]
私は降りる準備をします。
…ここは、一人で行動したほうがよさそうです。
[ププモアの説明>>#7 >>#8を聞いて、シリルを見た。
その顔は、とても穏やかな笑顔]
では、また…
[にっこりと笑って、サロンをあとにした。]
― 荒野 ―
…選ばなかった過去…
[飛びながら、ふと、物思いにふける。
あの時ああしていれば、と思った瞬間は、思ったよりわたしにもいっぱいあるのだと思う。
例えば…。]
(彼の。)
[と、顔を上げた瞬間、駅はもはや見えなかった。
周りは真っ暗だった。
そして目の前に、風雨にさらされた感じのぼろ屋があった。]
まさか…
これがわたしの…
[呆然としながらも、ぼろ屋に向ってふらふらと飛んでいった。**]
[スターライナーの昇降口に向かうと、
ププモアが心配そうな顔を向けてくる]
私の目的はこの駅で降りることです。
…戻って来られるように、祈っていてください。
[穏やかな笑みを残して、スターライナーから降りた]
― 森 ―
[駅舎から出ると、森が広がっていた]
ここは……
[一歩外に出る。なぜか懐かしいと言う感覚がして、どんどんと歩いていった。]
― 駅舎 ―
やっぱ・・・行く?
[もちろんというようにスッチーもうなずく。覚悟は決まった]
あっち・・・
[風でスッチーを包み込んで、飛び去った]
[話の内容はよくある話だった。
父と義母の話からよぎるのは政略結婚なのか。
父と母の話からよぎるのは、
血を絶やさぬことは共通なのか。
当たり前のよくありふれたものが過ぎ去る。]
(何も残らない。)
[心が消える。]
(死んでしまうと、君も何も残らないの?)
アラルースアはどこの星系だったかな。
[ひとりだと感じていたなら。
ある人物からかけられた言葉を思い出す。
メルヴィの頭を撫でるのを止めて、
頬から髪の毛の間へと両手を差し入れた。
親指で涙の溢れた目尻を拭い頬を撫でる。]
地球のクリスマスか・・・本当に懐かしいのう。
巨大な樅の木でクリスマスっぽいのなら私たちはさしづめ蒼い石をプレゼントしたサンタクロースというところかのぅ。
はーはっは。
[と高笑い。]
― 昔の思い出 ―
ナッツは鋳物のティンク一族として木炭の灰から生まれた。
最初の30〜40年は、ようせいの森で、仲間たちとようせいの仕事のものづくりをやったり、外の様子を色々教えてもらったりして暮らしていた。
そして40年を越える頃、森から出て、夜に人間の子どもたちと空を舞うようになった。
子どもたちは、大体ナッツのことを夢だと思った。
ナッツもそれでよかった。
元来ナッツは人間の子どもたちと遊ぶのが好きだし、一晩ずつ、いろんな子どもの様々なお話を聞くのはとても楽しかった。
そんな中、彼に出会った。
はじめて会ったとき、彼は16歳だったと思う。
彼は親の影響で整備士を目指して工学を勉強しており、いろんなところでナッツは人間の技術に感心した。
また、彼は飛び方の考案が天才的だった。
彼が飛ぶたびにいろんな飛行方法や街の絶景ポイントを探し当てるのをみて、ナッツはいつも、次も彼と飛びいたいと思った。自然と毎晩彼と飛び回るようになった。
彼も大人になり、ナッツの光で飛べなくなった。
しかし、ナッツは彼と一緒にいた。
彼は家を出て、荒野に打ち捨てられたぼろ屋を格安で買い、ナッツがいつでも安心して来れる場所を作ってくれたのだ。
彼は原付で少し離れた街に通い、今度はナッツが彼の仕事にようせいの技術をアドバイスしたりした。
ナッツは他の子どもたちと空を飛んだり、ふらっとようせいの森や他のところに遊びに行きながらも、たいてい彼の元に戻ってきた。
そして黄金の30代。彼は自家用軽飛行機を購入した。
再び2人は2人で好きなように空を飛びまわった。
幸せだった。
― 食堂車近く廊下 ―
……っ。
[自分よりも大きな手で頭を撫でられる>>241と、また涙が零れそうになる。
耐えるように唇を噛んでも、抑えきれなかった雫がまた一筋溢れた。]
ア、ラルースアは、ウェグ星系列のクヤデという星に領土を持っております。
[気持ちを落ち着けるように、ゆっくり言葉を紡ぐ。
クヤデは緑や動物が多く、農業や酪農など、自然のものを活かした産業が盛んな星だ。]
私と母は糸を紡いだり、紡いだ糸で織物を作ったりしておりました。
40代。彼は足を悪くして、軽飛行機を売った。
しばらくして仕事もやめ、ずっとぼろ家にいるようになった。
ぼろ家の周りで細々と食物を育て、その他のものは、退職金と飛行機を売った金で、半月に1度家まで来てくれる雑貨屋から購入するという生活を送るようになったのだ。
それでもナッツは彼と一緒にいた。
小さな畑ながら、彼と春夏秋冬を楽しんだ。
彼が50代になったかというときだった。
彼は季節の変わり目で具合を悪くして、3日くらいベッドに寝たきりになった。
彼は、ずっと近くにいて欲しい、とナッツに言った。
ナッツは、ずっと近くにいるよ、と彼に言った。
5日目も彼はベッドから起き上がれなかった。
ナッツは心配になり、ふと思い出した。
ようせいの森のようせいのお医者さんも、人間の名医と友達だった。
ナッツは彼に、薬をもらってくるね!と言って、ようせいの森に向かった。
やはり少し心配で気がせいて、普通なら2日かかるようせいの森まで1日でついた。
ようせいの森のお医者さんに聞くと、ここから3日かかる森の中に、彼の知り合いの老婆の名医がいるという。
場所を詳しく聞いて、お礼を言うと、ナッツは全速力で老婆の森に向かった。
なんと、1日でついた。
老婆は温かくナッツを出迎えた。
彼の様態を話すと、老婆は、それならわたしは治したことがあるよ。安心しなさい。と微笑んでナッツを撫でてくれた。
老婆は1か月分の薬をくれて、季節の変わり目だから万一のこともあるし、早めに持っていっておやりなさい、とナッツに声をかけた。
老婆にありがとう!とお礼をいって、まずはようせいの森に向かおうと老婆の森を出たとき、急に気温が下がり、雪が降り出した。
雪はすぐに猛吹雪になった。
20年に一度の大寒波の到来だった。
吹雪は向かい風で、大きな雪の塊が体にばすばすと飛んでくる。
かといって雲の上に上がったらいくらようせいでも凍死するだろう。
ナッツはそれでもがんばった。
1日吹雪の中を飛び続けて、夜のうちにようせいの森の明かりが見えるところまで来たのだ。
それ以降の記憶はない。
ナッツが目覚めたのは、ようせいのお医者さんの入院ベッドの上だった。
しばらくぼーっとしたあと、ふと、ここまできたいきさつを思い出し、枕元のカーテンを開けて、外を見たナッツは愕然とした。
[ハンスの言葉>>243を聞けば、表情が微かに歪んで。]
きっと、そうなのだと思います。
父は約束を守り、お義母様が行くように勧めても、一度たりとも母に会おうとはしませんでしたから。
けれど、寂しかったのは父のせいなどではないのです。
私が……私が手の届く位置に、果実を実らせてしまった……!
[瞳から次々と涙が零れる。]
私が決断した一晩、かあさまにとって何がいちばんなのかだけを考えたつもりでした。
でも本当は、私がかあさまに消えて欲しくなかっただけなのです……!
きっと、きっと私は、自分のことだけを考えて……!
[涙と一緒に言葉が溢れてくるようだった。
呼び名が昔のそれに戻っていることにも気づかずに、心の奥底にしまっておいたものが零れ出す。]
村には残雪もなく、日なたではいたるところで小さな青葉が芽吹いていた。
春がそこまできていた。
あの暴風雪の日から、一体何日経っているのか想像もつかなかった。
とっさに枕元においてあった自分の荷物をつかみ取ると、窓から飛び出して、必死で荒野のぼろ屋を目指した。
自分の不甲斐なさに目の前が滲んで見えた。
ぼろ屋はなかった。潰されて廃材だけが置いてあった。
ぼろ屋のあったところには大きな石が置いてあり、
「こちらに住まわれていた――氏のご親戚の方へ。
お話と、お預かりしているものがありますので、○市の教会までお越しください。」
と文字が書かれていた。
石の後ろには簡単な十字架のようなものが建っていた。
ナッツは、この先の50年は、この前の50年よりよほど長いものになるだろう、と予感した。
その潰されたぼろ屋が、今、目の前にあった。**
ありふれたことなのかもしれません。
それでも私にとっては物語でもお伽噺でもなく、現実、で……。
[頬を両手で包まれる>>244と、花が萎むように、声に勢いがなくなった。
真っ直ぐな言葉>>245を聞けば、]
あ……駄目、です。
私にそんな言葉をかけては駄目です……。
[苦しそうに、首を横に振った。]
[昔は見えるところにある果実には、
容易く手を伸ばし掴めた。]
・・・。
会えたなら、
きっと・・・
願いは、叶ったのでは。
[確信などはないから途切れがちに言った。]
―通路>>231>>232―
サンタなんとか…。
嗚呼、サンタクロース。
サンディ・クローズの事じゃあないよね?
[宇宙鯨の涙飴ちゃんころころ。]
そりゃァ、素敵な考えだけど、
出逢った全員に買うのはちょっとお金が足りるかな?
[と聞けば、資金はとある人からとリコリスが答える。]
…。
ふゥん……、まァ、資金があるなら問題ないか。
で、どんなイメージのものを買いたい訳?
[今は深くは追求しなかったし、ハンスが理由もなくリコリスへ資金を渡したり、クリスマスプレゼントを購入しろと命じる姿も想像出来ない為、何か気付く切欠がないと予想するのは難しいだろう。
兎にも角にも、プレゼント購入計画はリコリス主導の元、動き出し始めるだろう。**]
[ハンスの問い>>259には、]
え、ええ。
西と東、ふたつ月があるのが特徴ですが……ご存知なのですか?
[少し驚いたように、目を瞬かせる。
拍子にまた、一粒雫が零れた。]
いいえ、会えなかったのです。
私が会えるかもしれないところまで、かあさまの手を引いてしまった。
[ハンスの言葉>>260を嬉しく思う反面、胸が張り裂けそうな程の痛みを感じる。]
ハンスさんは、優しいのですね。
あなたの言葉は、私を救ってくれる。
[目を潤ませながら、柔らかく微笑む。]
けれど、それでは駄目なのです。
悲劇のヒロインのままでは駄目なのです。
だから私は、真実の眠る城を覆う茨を断ち切り、目覚めなければならない。
前へ進むために。
そのために、私は旅をすることを選んだのですから。
>>266
っ
[優しいと言われれば、
歯切れ悪い苦いような言葉を吐き出そうとしたが、
言葉にはならず、小さな息が溢れただけだった。]
――通路――
サンディ・クローズ?
サンタクロースの仲間みたいなものだろうか。
[違う予感がした]
うーん、それが迷うんだよなぁ。
ひとりひとりに対応したものを考えるなんてそんなの無理だから、誰に何が入っているか開けてびっくり的な感じでいいと思うんだけど。
ぬいぐるみとか……青汁詰め合わせとか。
[最後は冗談ですよ。
どんなものが面白いかな、とふたりに首を傾げてみせる]
そういえば。
もうすぐ次の星に着くんだったっけ。
[そうしている間に車掌のアナウンスが響くかもしれない。
その説明に一瞬の間沈黙して]
唐突にこんな相談をしてすまなかった。
続きは次の移動の時にしようか。
[急ぐものではない。
そうして一旦話を切り、窓の外に次の星が見えるかと目を向けた。
降りるかどうか……一寸の迷いがあった**]
これからのお姫様は、守られているだけじゃ駄目ですから。
[どこか切なそうに、それでも強さを前面に出して微笑む。]
王子様が背を押してくれるから、きっと前に進めるんですけどね。
[詰められた息>>269に苦笑を落として、照れながら冗談めいた言葉を紡ぐ。
力強い言葉>>273にしっかりと頷いて。]
ありがとうございます。
いってきます。
[瞳を真っ直ぐ見上げて、ふわり。微笑んだ。]
村の設定が変更されました。
そういえば、次の駅は過去に選ばなかった未来がある星らしいですね。
もしかすると私と博士と出会わなかった未来やお互い敵同士になる未来の可能性があるでしょうかね。
[そのうちにアナウンスが聞こえてくるだろう。**]
王子様だって、泣きたいときもあるでしょう?
大切な人を守れるくらいには、強くなりたいから。
[冗談と本気の混ざったような声色。
瞳の光だけは、いつだってまっすぐに輝いている。]
私は必ず戻ってきます。
だからハンスさんも、帰ってきてくださいね?
[声に不安の色が混ざる。
目的地だけあって次の星の危険性>>#7は理解していた。]
[すんでの所で止まる。]
・・・。
[胸は高鳴って痛い程なのに、
危険を知らせる警笛がどこかで鳴った。
だから、メルヴィの頬にキスを落とす。]
あぁ。
帰って来る。
[今感じた嫌な予感を払いながら囁いた。]
[前方には霧が出てきた。骨の星の霧とは違い、どこか不安にさせるような色合いである]
スッチー、目、つぶる。
[そう言うと、スピードを上げて、霧の中へ突っ込んでいった]
……はい、お待ちしてます。
[頬に触れた温もりに、切ない痛みが胸を貫いた。
それは胸をきりきりと締め付け、呼吸さえもままならなくなるような、そんな痛みで。
振り切るように微笑んで、必死に言葉を紡いだ。]
[ハンスの言葉に緩く首を振った。]
……それじゃあ、私行きますね。
[声の端が震えていたかもしれない。
小さく、それでもはっきりと言葉にした。]
戦うお姫様を、
駅までエスコートしても?
[最後に困ったように微笑もうとした。]
俺のために帰って来い。
[79点の笑顔を浮かべて。]
ええ、もちろん。
[問い>>287には、優雅に微笑みを返して。
すっと姿勢を伸ばして、とられている手を軽く曲げた。]
……はい、必ず。
[声は微かにかすれていて。
それでも精一杯28点の笑顔を向けた。]
― 駅 ―
[到着のアナウンスが聞こえ、少しずつ景色が止まっていく。
駅に着けば、ププモアの言葉>>#7>>#8を聞いただろう。
瞼が微かに震え、繋いだ手を強く握ったかもしれない。]
いってらっしゃい。
……いってきます。
[対の言葉を紡いで、切なさを滲ませながら微笑む。
そして、名残惜しそうに手を離したのだったか。**]
[キューちゃんに促されて目を開ける]
ここは?
[真っ暗闇の中に綺麗な粒子が舞っている。ある者はダイヤモンドダストのようだと形容したかも知れない]
え?
[意表をつかれたようにキューちゃんを見つめる]
一体どういうこ・・・・・
[最後まで言葉にはならずに、スッチーは無数の光の粒となって霧の中に飲み込まれた]
体がふわふわする。宇宙空間をどこまでも漂っているみたいだ。
あれは?誰だろう?暗い部屋で何かを必死に作っている。
これは?なぜだか、無数の生き物が蠢いているみたいだ。
いつだったんだろう?じっと座って、みんながこっちを見ていた気がする。
どうしてなんだろう?水の中で泣いていた。
[走馬灯のように、色々な記憶が過ぎては消えていく]
スッチー・・・・・
[踊るように流れる光の渦を眺める]
ずっと一緒にいたかった。けど、居なくなるならキューちゃんが連れて行きたかった。でも、お別れしたくないよ。
[周りの風がざわざわと震える]
[そっとスッチーと出会った日の事を思い出す]
”命の理から外れた幻獣に仲間はいない”
”何度できても、すぐに消えてしまう”
だけど
スッチー、消えない。
”落ちてた見たことない物の中からひょっこりと顔を出したあの姿を忘れる事は無い。”
[いつ消えるか分からないほど脆い思い。だけど、もしもそれが強い物なら、現実となって現れるかも知れない。時には幻想的な輝きに、時には人を惑わす霧となる。そして時には生き物として現れる事も]
また、消えるの?
[だが所詮はあるように見えて、ないもの。一度消えてしまえば覚えている者はまやかしと深く関わりを持った者のみだ]
キューちゃん、戻る。
[実体化した”それ”は何かの姿を変えさせるかも知れないかつて存在した獣の姿も。そして一度消えてしまえば、全て元の黙阿弥だ]
[いつかは元に戻るもの、それは運命と呼ばれるかも知れない。いくら避けようとも、避けられない時がいつかくる。そして、それを受け入れるのが結果的には幸せなのだ。それが自然の理だのだから」
みんな、いれば、スッチー、寂しく、ない。
[今見送る親友のため、少しでも”光”を作ろう。そう決心した]
[長い夢を見ているみたいだった。いつ醒めるかも分からない夢]
キューちゃん待ってよ〜
[壺は持っていないが、楽しく暮らしている夢だった。これが、幸せなのだと]
[森をすすんでいくと、一軒の家にたどりつく]
ここは師匠の…にしては…
[自分の記憶がある師匠の家よりも新しい感じがする。
と、その家から人が出てきた。
確かに師匠だが、あきらかに若い。]
[しばらくすると10歳くらいの男の子がやってくる]
『おぉ、マルセ坊、いつもお使いすまんの』
[声は懐かしい。そして、その男の子をマルセ坊と呼ぶということは…]
『これが、代金じゃ、ご両親によろしくな』
[男の子に袋を渡している。あれが…自分なのか。
この頃の記憶はほとんどない]
「おじいさん、魔法使えるんでしょう?今度おしえてくださいよ。」
『おぉ、わかったわかった。』
[優しい顔で笑うのは見覚えのある師匠の顔]
[男の子のあとをついて行く。]
ここ…えぇ?ここ?
[男の子がただいまと入って行ったのは自分もよく知る薬屋]
「おかえり、マルセー」
[出迎えた両親は…しかし、記憶にない顔。
自分が記憶している薬屋は高値をつけてもったいぶった、
印象の悪い夫婦と言う感じだったが、この両親からはそんな雰囲気はない。]
(どういうことだ?)
[ふと、店のテレビを見る。そこには街で起こった大規模な災害が映しだされていた。]
『ここに、行こうとしてたんだな。』
『そうね、あの子がどうしてもここを離れたくないと言って残ることにしてよかったわ。』
[そんな会話が聞こえてきた。
…そのテレビの中の光景を見て…思い出した。]
[夢には何度か出てきた、街中が燃え盛るなか、訳も分からず歩き続けているところ。]
(そうか、あれは…)
[両親は自分の将来を考えて、街に移り住むことにした。
街に出てほどなくして、その土地を大規模な地震が襲い、続く火災で街は壊滅。
身寄りのない自分はしばらく孤児院にいたが、
さきほどの師匠が風の噂でその孤児院までやってきて、引き取ってくれたのだ。
自分は大規模な災害と、両親を失ったショックで記憶をなくしていたのだった。]
(実体験だったのか)
[かつての自分は街に行く事を嫌がらなかったのだろう。
それが、今の結果である。]
[幸せそうな光景は、田舎に残っていたらどうなっていたのかを見せるものだった]
(このまま平凡に暮らしたのだろうか)
[しかし、このあとの歴史は、男が知る限り、災害によって政情不安になり、内戦状態になって、男もその余波でレジスタンスの一員になって戦い、仲間の裏切りで洞窟に幽閉されて、そうこうしているうちに内戦も収まっていた。というものだったのだが…]
[景色が歪んで時が流れる]
(あれ?)
[田舎で、薬屋を営む自分がそこにいた]
(あぁ、魔法を会得してないから…)
[両親の元で育ち、災害で被害に遭わなかった遠い街の学校で薬学を身に着けて、田舎に戻って家業を継いだということのようだ。政情不安はその学校に行っていた時の事のようである。
そもそもレジスタンスに入ったのが魔法が使えたからであり、その力がなければ、相手にされなかったというのもあるだろう。]
(それにしては…)
[かなりやつれている。今の薬学やらの知識がない自分が見ても明らかになにか病気であることが分かる。]
[村の人がやってきた]
「やぁマルセーさん、大丈夫かい?
薬屋だって、不養生だと病気にだってなるんだ、医者に見てもらいなよ。
両親が急に亡くなって力を落とすのもわかるが…」
[そんな村の人の勧めに]
「そうですね、近々、街の病院へ行ってきます。」
[弱々しく答えている。]
[病気の自分は店をたたんで村を出た。
しかし、街へ向かうことはなく、山の奥へ奥へと進んでゆく。]
「知ってるんだ…これは…医者に見せても治らない…」
[そんなことを呟いて、ついに洞穴のようなところへたどり着き、倒れこんだ。…そのまま、動かなくなるところまで、黙って見ているしかなかった。
過労とストレスで免疫力が弱り、体中が癌に蝕まれていた。]
…何とかならなかったのですかね?
[男は歩き出す。来た道を真っ直ぐ、“駅”に向かって]
・・・。
続けてしまえば、
俺が俺でなくなるように思えて。
すまない。
[道中小さな声でまた詫びた。
怖さは感じても手は震えない。]
― 駅の売店 ―
おじ……じゃなくて、オネェさん、オイッス。
何かこの星なら、これってお土産ある?
[売店にいたのは華麗にメイクアップされたムチガチマッチョな店主。
フリルとゴージャスなレースで施されたロリータファッションで。
頭上を飾るボネは砂糖菓子のように可愛らしい。]
へえ、これ全部お菓子なんだ。
[店主のたくましい腕と存在感のある手指と。
デスボイスでの軽妙なセールストークで。
薄◆のハート型おせんべい(わさび味)
丁字染◆の星型クッキーの詰め合わせ(塩味)
floralwhite◆のドロップ型キャンディの缶(薄荷味)
これらを買って落ち着いた。]
―星への到着前―
あたし達の父はね……カナン紛争で諍う二つの星の一つ、
ノロンドの生まれなの。
カナン紛争は、芳も知っているようだったわね(>>0:444)…
[出店の前、芳に父のことを語る>>230。
カナン紛争>>0:416>>0:452>>2:264は、
カナン、ノロンド、ラピスという3恒星を巡る紛争である。
3つの星は、重力的に互いに束縛されて軌道運動をしている
3重連星であり、ノロンドとラピスという2大恒星が、
互いの間を動く小さな恒星カナンを巡り、
長年に渡って紛争を繰り広げてきた。
様々な思惑や利権や憎しみを巻き込んで、
調停と再発を繰り返し続く紛争の終わりは未だ見えず]
父は、ノロンドの独裁的な軍事政権を握ってきた
大統領一族の生まれで……
でも、とても穏やかで優しい平和主義者だったわ。
長引く紛争中の人達に少しでも安定した生活をと、
一族の反対を押し切って、軍人ではなく、
エネルギー資源学者になったのですって。
そして母は、ノロンドの植民地惑星の一つ、
ロワン・ディシー(>>2:264>>2:266)の出身で……。
[リザディアン(>>2:267>>2:268>>2:269)であった母は、
母星を少しでも豊かにしたいと、ノロンドに研究留学し、
灰色の石と、自身の研究結果をぎゅっと握りしめて、
有名な研究者であった父に面会を申し込んだ]
父は、母の金色の瞳と、小さな灰色の石、
両方の魅力に、一目惚れだったらしいわ。
[教えてくれた時の少し照れたようだった父の表情を思い出し、
くすり、小さく微笑んで、灰金色の瞳を伏せる。
かつては、母と――そして妹とそっくりの、
光の色をしていた瞳を]
[マルセーの記憶、ハンスの感情、レリアの過去。様々な人の心がうねりあって、星を形造ってゆく。それをじっと見つめていた]
いつか、終わり、くる。
キューちゃんも、返す時、来た。
[尻尾の先からするすると光の帯を放った]
[二人は父の家族……大統領一族の手から逃げるように、
ロワン・ディシーに移り住んで研究を続け、灰色の石が、
限りない可能性を持つエネルギー資源だと証明した。
最果ての土地の名を持つ、不毛の星ロワン・ディシーは
一躍、レアメタルの産地として有名になった(>>2:264)]
…あたし達が12歳の時、
母は見学中の採掘現場の事故で亡くなったわ。
それ以来、父は…ずっと、
何かを思いつめたような瞳をして…。
あたし達を信頼する知人に預け、自分だけノロンドに戻ったの。
[後から父の知人が、父と母の研究…ロワン・ディシーの
レアメタルのエネルギーが、ノロンドで軍事利用され始めた
らしい、と教えてくれた]
おじ……じゃなかった、オネェさん、サンキュ♪
[手を振って、売店を後にした。]
よかった、お土産買えて。
[壺をのぞくと、光と共にやさしい言葉があふれ。
それは空気に溶けていった。]
あ……あれ? ええっ!? 店が……消えた?
[振り返ると、背後に広がるのは荒野。]
それ以来、父と連絡が取れないの……
血筋を考えれば、殺されはしていないと思うけれど…。
…そして、あたし達が生まれ育ったロワン・ディシーが、
ラピス側の急襲を受けて滅んだのは、それから2年後のことよ。
だからあたし達には、
後退は(>>0:452)…帰る故郷はもうないの。
あの夜、シリルも…あたしも……、
……あまりにも多くのものを、失ったわ。
[小さな震えを帯びた声で、失われた星を想い、
灰金色の瞳を一瞬だけ伏せてから、
きゅっと唇を持ち上げるようにして、いつもの笑顔を作る。
小さな頃、両親が、幸せ探しをする少女、ポリアンナ(>>2:332)の
ようだと評した笑顔と微かに濡れた灰金色の瞳で芳を見上げて]
― 大きな星(回想) ―
[大きな星での回想は多くを語る事はすまい。
車掌ププモアの声音には、ラーマは星への危険さを微塵も感じなかったのだから。
綿毛舞う壮大なる大地、蝶々は花畑で睦言を囁き交わし、飴坊の様な水面をすいすいと渡る昆虫達に、そして、ほんの少しだけ、皆を楽しませる為に助力する人々。
ラーマは、蜻蛉に乗りながら雄大な景色を見て回った。星の声すら聴こえて来そうな景色だった。
星々の奏でる声(またたき)は遠く近く、ラーマが生まれた地である地球や太陽系が、唯一無二の「生命」と「意思」の存在する星でない事を、強く意識させた。
此処では地球は遥か彼方、挿話やお伽噺や、文章の中の一小節にしか過ぎぬ場でもあるだろう。]
―――。
[聖杯。
或いは其れに似たる場にて。
彼が願いたかったのは、唯一つ。
妻に再び命を与えること。
一度の疑念で喪った、愛する妻シータを蘇らせること。]
― 荒野 ―
[ハンスの言葉>>318に静かに微笑み、見送られるままに歩いた。
辺りには人はおろか動物や植物の姿すら見えず、少し赤みがかった土の地面が、遙か遠くまで広がっているように見える。]
どこに行けば……そういうものでもないのかしら。
[風に舞いあがった土埃に顔を手で覆いながらも、歩みは止めない。]
怖いけど、大丈夫。
私は進むわ。
[言葉を原動力にしたかのように、一歩一歩を踏みしめて、確実に進んでいく。]
[彼は王だった。
しかし、伝承にある様な
神でも神の化身でもなかった。
与えられた妻であろうとも、
彼は妻を愛していた。
願いたいのは何時でも一つ。
一度の失敗で、彼女は笑わなくなった。
そして一度の疑念、
敵に捕らわれ長らく会えなかった妻へ、
問いつめた その時。
妻は地に飲まれ消えた。
鮮血の迸りは温かく、
今もまざまざと思い出す事が出来る。]
[だから、何時だって。]
ぼくはきみに、幸せを与えたいと思っていた。
ぼくの所為で喪ってしまった命を、
きみに再び与えたいと思っていた。
あの時の行いを変えられるなら、
ぼくは何だってしたかった。
[しかし、其れは叶わぬ願い。
死後英霊となろうとも、
何時だって、誰かの願いを叶える為に、その力は振るわれる。
そんな存在で在り続けた。]
[この星で見る、生前の嘗ての過去で有り未来は、
受肉していない英霊の身にとってもまた、幻覚や幻影であろうか?
*否、或いは―――*]
― ??? ―
あら、ここは……。
[気づけば無心で歩いていて、周りから人の声がした。
声、というより活気とでもいうのだろうか。
喧騒、人の気配、そういったものがどんどん強くなってくる。]
あ、ごめんなさ……い。
[不意に人とぶつかったような気がして、慌てて振り返る。
そこに見えたのは――生まれ故郷の景色だった。
驚きに目を見開いていると、下方から声が聞こえる。]
「ごめんねー! また明日!」
[その声は、どこか自分に似ていて。
その姿は、幼い頃の自分にそっくりで。
今の姿は見えないのだろうか。
周りの大人も、その子どもも、何も言わずに通り過ぎていく。]
「メルちゃんきをつけてねー!」
[幼い頃、よく一緒に遊んだ女の子が遠くに見える。
その声の先には、幼い頃の自分がいた。]
これが……選ばなかった未来。
[無意識に近い状態で呟くと、ふらり。
人ごみの間を急いでかけていく、幼い自分の姿を見やる。
向こうは小回りの利く体だからか、すいすいと前へ進んでいくが、こちらもまた人に当たる心配がない。]
まるで、幽霊になったみたいね。
[聞こえるはずもないのについ囁きながら、見失わないように早足で小さな背中を追った。
その角を曲がれば。]
「かあさま、ただいまー!」
[見覚えのある、こじんまりとした家があった。]
「おかえりーメル!」
[ドアを開ける必要もなかった。
壁を通り抜けるように家に入ると、少しやつれた母の姿があった。
自然と目に涙が浮かび、体が微かに震える。
見逃すまいと慌ててまばたきをすると、小さな雫が零れ落ちた。]
「かあさま、今日はたまごがあるからね!」
「あらあら嬉しいねえ!」
[簡素なキッチン。古びたフライパン。
手にした籠に入れた卵を取り出して、嬉しそうに母に見せる幼い自分。
母はやつれてはいたけれど、以前のはつらつさは失われておらず、大好きな太陽みたいな笑顔を浮かべていた。]
かあさま……。
[その後の光景は、どれも見慣れたものばかりで。
ちょっと焦げてしまった目玉焼きとミルクに浸したパン。
それを母の元へ運んでいく。
ありがとうと頭を撫でてくれる母。
嬉しそうに微笑んで、一緒に食事をとった。
今日あった出来事を話して、これからのことを話して。]
「病気だからって、気持ちまで沈む必要がどこにあるんだい!」
[そう言って、からりと笑った母の姿が思い出された。]
[楽しい時間はあっという間に過ぎて、暗い暗い夜が来る。]
「かあさま、となりでねていい?」
「……もちろんさ。おいで」
[優しい声のかあさまの隣に潜りこんで、狭いベッドにふたり横になる。]
「かあさま」
「なんだい?」
「いつもいっしょにいられなくてごめんね」
[服の裾をぎゅっと掴んで、そんな言葉が漏れる。
本当は、ずっと傍にいたいけれど。
現実は優しいだけじゃなくて、生きていくためには働かなければならなかった。
元々母の仕事を手伝っていたから、職に困るということがなかったことだけが幸いで。]
「メルがいるから、つらくないよ。寂しくないよ」
[そう言って、大好きな暖かい手で頭を撫でてくれる母に抱きついて、静かに泣いた。]
かあさまは、寂しく、なかった……?
[聞いたことのない言葉。
つまりこれが、選ばなかった未来なのだろう。
今までと変わらない毎日を過ごして、終わりが来る恐怖に震えている。]
それでも、かあさまは。
[呆然とただ立ち尽くしたまま、すやすやと眠る幼い自分と、慈愛に満ちた表情でそれを見つめる母の姿を目に焼き付けた。]
そう、ね。
うん、大丈夫。覚悟はできていたから。
[母が眠るまでその姿を見つめて、寄り添って眠る親子に背を向ける。
壁を抜けて外に出ると、夜空に満天の星空が輝いていた。
上を見上げる。
よく星が見えるように、涙が零れないように。]
答えが分かって良かった。
かあさまに会えて良かった。
[ぽつりと呟くと、少しだけ気持ちが晴れた気がした。
目を閉じると雫が零れた代わりに、今見てきた光景が浮かぶ。
きっと長生きはできなかっただろう。]
それでも、かあさまは幸せに生きられたのでしょうね。
[そう、信じたい。
けれど、それを信じれば。]
― ??? ―
[目を開けば、元の場所に戻っていると思っていた。]
え……ここ、は。
[愕然と目を見開く。
手足は震え、立っているのがやっとだった。]
ど、して……。
[先程までの家より、ずっと綺麗で白くて広い。
綺麗な花が咲き乱れ、甘い香りに満ち溢れている。
母は、綺麗なものと甘いものが大好きだったから。
見覚えのあるこの場所は、]
かあさま……?
[選んだはずの未来――病室。
そこに眠る母の姿があった。**]
[過去にどんな選択をしても間違っていない。
そんな思いはあの時届いただろうか。
メルヴィの姿が遠ざかり、ハンスも歩き始めた。
荒野は白っぽくも赤茶けている。]
・・・。
[選択はあったのだろうか。
違う未来を見れるのだろうか。]
会いたい気持ちは、よくわかる。
僕だって同じだ。もう何百年も会ってない。
[肉親に会いたいという気持ちは、もう何百年も会えて居ない自分がよく分ってるつもりだった。]
でも、でもでもさ、リアさん父親さんに会いたい理由は…他にもあるの?
[もしかしたら、などと思ってしまう。
ソレを聞いてどうしたいのか、わからぬまま。]
―駅―
あ、キリトくん…。
うん。リアは…後からくるかなと思うわ。
[ププモアに手紙>>3:349を渡した直度、
キリトが通りかかれば>>3:352、少し微笑んで]
これ…? あ…壺?
そういえば、わたしも…スッチーさんから一つ貰っていたわ。
[気をつけて、と言ってくれた言葉に、その気持ちが嬉しいという表情で微笑み返し、スターライナーに乗り込んですぐ、スッチーから小さな光る壺>>0:358>>0:374>>0:380>>0:391を貰っていたのを思い出した]
ありがとう。何かあったら、呼ぶかもしれないわ。
[最近よく中の何かに触れてた方とは逆のポケットに手を入れて、
その小さな壺の存在を確かめる。着替えはしても、無意識に中の物は移していたらしい]
―駅―
見事にまあ。
何もないな。
…。
[駅に降り立ち、
スティック付きの平たい宇宙鯨飴キャンディーを舐めた。
本当は、スティック付の辛口キャンディーが一番好きなのだが。]
馬鹿な、そんなことがあるわけないよ。
あってたまるもんか…。
[暗雲と僅かな光源だけに彩られたその星の隙間から見えてしまった。
あるはずの無いソレが見えてしまった。
あるはずの無いそれが見えてしまった。
直ぐに隠れてしまったが、見えてしまった事実は不変である。]
信じるかどうかはともかく、だ。
これは確かめないといけなくなっちゃったな。
僕、行くよ。
[いつの間にか強く歯軋りしていたようで、あごに痛みが走る。しかしそれが夢でないことをはっきりと分らせてくれた。]
違うんだ、分ってる。
けど行かなきゃ行けないんだ。
蜘蛛の糸だとしても捕まえなきゃいけない。
[夢遊病のようにふらっとした若いカンダタは、
意識持たぬ死者のように揺れ動きながら、
周囲を一切気にすることはなく、
自転車を手にする頃には唇に血が滲むほど噛み締めて、
サインも書きなぐるようにして、駅を降りた。]
― 駅 ―
まったく見渡す限り地平線だけですね。
どうしてこんなところに駅を作ったのでしょうかね。
ここは本当に何もなさそうだ。
車掌さんは自己責任だといってましたが、どこも危険がなさそうですね。
何かありそうじゃと思ったが、本当に何もないようじゃな。
期待はずれじゃったな。
出発まで列車の中で待ってみようかのう。
[真後ろから強烈な風が吹く。]
なんなんじゃこの風は・・・。
[後ろを振り返ると駅・・・、列車も線路も跡形もなく消えていた。
そのかわりに目に入ったものは・・・巨大な黒い宇宙船だった。
その側面には・・・
『SPACE SHIP SUSQUEHANNA』
と書かれている。]
ええーっと『スペースシップ サスケハナ』・・・
サスケハナ!?
我々の宇宙船と同じ名前じゃありませんか・・・。
形がぜんぜん違いますね・・・。
[まあ宇宙は広いから同じような名前の船があってもおかしくはないのだが・・・]
そういえば、博士が昔乗っていた船の名前もサスケハナ号だとおっしゃってましたね。
まさかキャプテンの船ですか?
いやあの船ではないな。
[確かに昔、私はキャプテンと一緒に宇宙を駆けていた船の名前がサスケハナ号で、自分の宇宙船にもつけているのだが・・・、私の思い出の中のサスケハナ号はこういう船ではなかった。]
しかし、これは一体・・・。
[似たような名前の船があってもおかしくはないが・・・、どうもおかしい。
いきなりの展開に列車に戻れなくなってしまった事実はすでに意識しなくなっていた。]
もしかしたらこの船の持ち主も博士みたいにそのキャプテンのファンだったりして。
あっ、ハッチが開きますよ。
[ハッチが開くとそこに二人の少女が立っていた。
一人は赤い服を着た少女、もう一人は白いセーラー服を着た少女である。]
・・・。
未来は、決まっているのでは?
[屋敷があった。]
俺の未来は。
[勝手知ったる屋敷の廊下を歩み一室に入る。
マホガニーに似た光沢のテーブルの上に、
指輪が置かれている。
妖しげな光を放つ女性用の指輪だった。]
[薬屋の前で佇む。中から女性が出てきた]
『あなた、カンロさんのところに薬、届けてくるわね。』
[見覚えのない若い女性が店の中にいる店主と思しき人物に声をかける]
「あぁ、いってらっしゃいエルア、気をつけて」
[中から現れた人物を見て息を飲む。それは明らかに自分だった。さらに]
『マルセー、ちょっとフリッツと散歩にいってくるよ』
[幼い男の子と年配の女性が出てきた。
自分の記憶にはないが、先程の世界で出てきた母親が、歳を重ねた感じである。]
(これは…これはどういう…)
[さらに、別の世界では、自分が家族を持ち、幸せに暮らしているということだろうか。]
これは。
[政略結婚のために造られた烏黒ダイヤの指輪だった。
顔も見た事のない相手と結婚させられるのは憂鬱と、
湾曲的破局をしようと一度は考えたものだった。
宇宙カジノのルーレットで賭けに出し見事負けた。
最終的にはイザベラから返して貰ったが・・・。]
[つまり、人生の選択肢は何もひとつだけではないということだ。]
……好むと好まざるとにかかわらず…か。
[不可抗力で他に選択肢がない場合もあるだろうが、
細かい枝分かれの末にあるのが、今の自分である。]
『教授、どうやらあの人たちがそのようですぜ。』
『そのようね。あなたたちこんなところで立ち話もなんだからこのサスケハナ号に招待するわ。』
[教授と呼ばれる少女・・・とはいってもこんな年で教授とは・・・まだ若そうに見えるが・・・]
桂川君、あの子もこういっておるし、折角じゃから入ってみようかの?
[気になることもあるし、とにかく入ってみなければ。]
博士いいんですか?
もしかしたら私たちを油断させて、
『これからあなたたちは生贄になるのよ。そう新しい科学の発展のための礎になるのよ。ふふふ。』
とかいうに決まってますよ。
[博士は美少女によわいのは先刻承知なのだが、もしも博士に万が一のことがあれば、ユディトさんにどう申し開きをすればいいのか、とにかくおそるおそる船の中に入ることにした。]
あの時、断らなければ?
[賭けで手放しても破談にはなっただろう。
取り戻したのは烏黒ダイヤに後ろ髪を引かれたため。
最後に婚約を断ろうと決めたのは・・・。]
俺も選んだという訳か。
[振り向いた。
尼栗色の髪の女性が寄り添う姿が通り過ぎる。
傍らの自分は今と変わらない顔をしている。
名前はエマ。幾つもの星間企業を束ねる資産家の娘だ。
エマと婚約すれば家と家の結びつきは強くなっただろう。]
― ぼろ屋 ―
[ぼろ屋はあのぼろ屋と何も変わらない。
玄関扉の下の方には猫用入り口のようなナッツ用の小さな扉がついており、そこから屋内に入る。
ベッド際においてあるランタンの灯だけが光源の薄暗い室内で、老いた彼がベッドに寝ていた。]
ああ…
[彼は600年以上前に死んでいるし、ここは地球から遥か遠く離れている。
間違いなくこれは自分の意識や記憶から作られた幻だろう。
それでもこみ上げるものがあり、少し泣きそうになった。]
[老人はナッツに気がつくと、ベッド上から声をかけた。]
『ナッツ、お帰り。この吹雪の中、どこに行ってたんだ?
しかし、止まないな…』
[老人がゆっくり窓の外を見た。
いつの間にか外は暗い吹雪になっている。
とたんに家の中が冷え切っていることに気づいた。]
寒いじゃない、駄目じゃない、だから…
[死んじゃうのよ、といいかけて気づいた。
これは、彼の…]
『いいんだ、ナッツ。近くに来てくれないか。』
[黙って老人の枕元にふわりと飛んでいった。
ランタンに照らされた彼の顔は年齢以上にやつれて見えた。]
[何にも逆らわず流されて、
不幸も幸せもない世界で生きてゆく。
今はその生活が、息がつまるように少し色褪せて見えた。]
そろそろ、終わりの時間。
[周りの風はするすると辺りへ広がって行き、霧散してゆく。宇宙全ての者達がたどり着くこの星に、また帰ってゆく]
スッチー、また、きっと。
[強い思いがここでもまた新たに生み出された。それは、どこまでも純粋な思いだった。そして、それは形となって現れてゆく。その様子を満足そうに見つめ、静かに眠った]
ねぇ、具合、どう?
『はは、あんまりよろしくないな。
…実際のところ、もう、駄目だろう。』
[老人は疲れたように長いため息をつくと、痩せてしわしわになった腕を布団から出し、ナッツに手を差し伸べた。
ナッツは、老人の手に乗っかるように体を預けた。
冷たかった。]
『…今でも目を閉じると思い出すよ。
わたしが子供だった最後の夜。
君と一緒に中央都市の上空を飛んだ。
街灯と家々の明かりは眼下であたたかくゆらめいて、
夜空の月と白い星ぼしは静かにわたしたちを照らしていた。
わたしたちはいつものように、雲の上までぐんぐんのぼったあと、街一番の高さの教会の十字架に向かってスピードを上げて一気に飛び込んで、そのまま煌々と光り続ける灯台と、港の酒場と、波間に見え隠れする商船の明かりの方に飛び抜けていっては笑いあった。
月の光の中で君は今と何も変わらず綺麗だった。』
『わたしが飛べなくなった日。
君はきっとわたしの元からいなくなってしまうと思っていた。
でも、君は、終わりの今このときまで、わたしのそばにいてくれた。
そう、あの日からずっと、わたしは君を…』
[光の中から姿を現した。帰って来たのではなく、今形となったのだ]
ここは?
[きょろきょろと周りを見渡すと、どこまでも荒野が広がっていた]
何度も、ここは通ったよね。いくつもの人生があったんだ。
大丈夫だよ。ちゃんと、私の中に受け継がれているから。
[ナッツは老人の顔の横に飛んで行き、呟いた。]
わたしが卑怯だったのよ。
あなたが飛べなくなった日から、あなたはわたしがいつでもあなたの元を離れられるようにしながら、それでもわたしと一緒にいてくれた。
わたしも怖かったの。
あなたが飛べなくなって、もしかしたら、わたしはあなたのことをそんなに好きではなくなってしまうのかも、って。
あなたに甘えて、そのまま何も言わずにここまできてしまったけど、でもずっとわたしはあなたのそばにいた。
つまりはそういうことなのよ。
ごめんなさい、わたし、何もいえなかった。
[とめどなく涙があふれた。
老人は、指でナッツの涙を拭った。]
自分は誰なのか、きっとみんなも一度は思ってるよね。
私は、誰でもなかったんじゃない。誰でもあったんだね。
[ついさっきまで自分そのものだった光の渦を眺めると、少し微笑んだ]
キューちゃん。
[誰にも教えなかった、自分の名付け親の名前を呼ぶ]
これであんたが、私の生みの親だよ。やっぱり家族だ。
キューちゃんの思い、受け取ったからね。
[ぐらりと景色が揺れて]
(あぁ…ここは師匠の家…)
[自分が過ごした時代。師匠が大怪我をして寝ている]
(お金がなくて、あのケチな薬屋から薬が買えなくて…)
[無意識のうちにポケットに手を入れると…]
(……!!)
[思い出した。]
……これを、ディーンさんのところに持って行ってくだださい。「龍の涙」といえば、高く買い取ってくれるでしょう。
[師匠の枕元に桂川から受け取った龍の涙を置いた。]
[いつの間にか、手元には新しい壺が置いてあった]
結局、私に壺をくれたのは師匠だったんだね。
《昔は壺を使って星屑を集めてたもんだ》
自慢気に話していたあれは、私がこの世に現れた原因となっていたんだ。
[大切そうに壺を撫でる]
やっぱり、壺って不思議だね。
[師匠から、夢枕に立った男性にこう言われたと、そして、その通りになり、師匠の怪我を治すことができたこと…]
(……こんなところで繋がってたんですか)
[師匠の家を出て、しばらく歩くと、景色が今まで以上に揺れて…]
『…わたしは、とても幸せだった。
最期まで君がそばにいてくれて。
わたしが君の最期にそばにいられないことが悔しいよ。
今日はわたしばっかり幸せだ。
…でも、君は、わたしのことを忘れてほしい。
これからの何百年、こんな風なこと全てを覚えていたら、君がつぶれてしまう。
わたしを他の、もっと楽しい、いろんな事で上書きするんだ。
変わらず空を、飛び回っていて欲しいんだ。
君の最期のときが、私と同じくらい幸せであることを祈って…
これを…』
[どこから出してきたのだろうか。
彼の手のひらの上には、小さな、二連のネックレスがあった。]
― 駅 ―
[見慣れた駅舎が見えた]
……戻って…これました…ね。
[安堵のためなのか、今まで見た光景のせいなのか、物凄い疲労感が襲って来た。]
[サイズはナッツにあわせてある。細工は彼の手によるものだろう。まるで売り物のように丁寧に作られており、二連のそれぞれの先には、本当に小さなものだけど、ダイヤがはめ込まれているように見えた。
感情を抑え切れなかった。]
うぅ…
あああああああ…!
忘れられないよ、
いやだよう、死なないで…
[大声で泣いた。老人は何も言わずに彼女をずっとなでていた。]
『君は私の人生の翼だった』
[しばらくの後、老人はそう呟いて、長い息を吐き、目を閉じた。
ナッツはその頃には、泣きつかれて、老人の手の中でネックレスを握ってじっとまるくなっていた。]
(ありがとう。あなたも私の40年の翼だった。)
― 母の病室 ―
[母が眠っている。
過ごしてきた過去と変わらない姿で。]
これが……選ばなかった未来?
[声を震わせながら、ベッドへ近づいていく。
傍らには先程より大きく、それでも今より幼い自分の姿。
跪いて、母の手を握っている。
これは。]
最期の、日……。
[母が消えてしまった、あの日。
あの言葉を聞いてしまった、あの日。]
・・・。
来る前で母上が持ちかけようとしたのは、
確かマリアという名前だったな。
[*12殿様蛙*味の葉巻を取り出して火をつけた。
話を聞かずに列車に乗ったが、
その時断っても断らなくても、
今の状況が然程変わりはしないだろうと分かっていた。]
[ふと気づくと空を飛んでいた。
あたりは真っ暗で先が見えない。
泣きながら暴風雪の中を飛んだ夜を思い出した。
でも、胸元を覗き込むと、そこには確かにきらきらと細かく光るネックレスがあり、ナッツに不思議な心強さを与えてくれた。
遠くにぼんやりと、あたたかい橙色の光が見えてくる。
スターライナーの明かりだ。
その揺らめく光は、昔見た商船の明かりを思い出させた。]
ん、あれは…
[ふと、列車とはまた別の方向にきらりと光がはしったように見えた。(>>394)]
なんだろ?
[周りは元の荒野に戻っている。
光の方に向かってふわふわと飛んでいった。]
「母様、寒くない?」
「ああ、寒くないよ」
[握り締めていた指先が少しずつ透明に近づいていく。]
「母様、苦しくはない?」
「ああ、苦しくないよ」
[優しい微笑みを湛えた声が、少しずつ遠くなっていく。]
「母様、母様。大好きよ」
「私もメルが大好きだよ」
[大好きな笑顔が、少しずつ消えていく。]
[荒野を壺を背中に乗せて歩いていく。遠くの岡に1匹の獣がいる]
もう、大丈夫だから。
[重い言葉は要らない。自分が受け止めたから。幻獣としての姿を失い、すっかり老いた獣は、景色に溶け込むかのように姿を消した]
[次の部屋に置かれていたのはシグネットリング。
冷たい輝きを持つ金色の指輪。
彫られているのは双頭の烏。
烏黒ダイヤの会議に出席するようになってから送られたもの。]
・・・。
[一族の正当なる一員として歩む事を定めづける。]
・・・・・・。
[左手に嵌めたシグネットリングが、
まるで共鳴するように冷たい光を反射した。]
久しぶり。
[もう忘れかけていた自分の本当の姿、それを最後に取り戻した]
[そして静かにその目を閉じる。新しい運命を信じながら]
母様……。
[大切な人が消えてしまう瞬間は、何度見ても胸が押し潰されるように痛む。
それにこれが通ってきた道と同じだとするのなら、もうすぐ。]
「メル」
「なあに、母様」
[聞きたくない。
耳を塞ごうとしたけれど、指一本動かすことができなかった。
聞きたくない。
音に近い声だけが微かに漏れる。]
大丈夫なんて、そんなの。
[吐き通せもしない、嘘を吐いた。]
― 駅の売店 ―
[体を引きずるように歩いていると、売店の店主に声をかけられた]
『あらぁ〜おにいさぁ〜ん。お帰りかしらぁ〜』
[口調と声の違和感を感じて振り返ると、>>319]
え、ま、まぁ…
[引きつった顔で答えると、オネェな店主は嬉しそうに微笑んだ]
『よかったわぁ〜、ここは帰れない人も多いのよぉ。
おにいさん、運がよかったのねぇ。』
[と言いつつ、いたずらっぽく「うふっ」と笑って]
『想い人がいると、帰って来られる率が高いみたいよぉ?
おにいさんにも、想い人がいるのね、そうでしょ。』
[疲れが100倍に膨れ上がる。曖昧に笑って聞いていた。]
[近づくと、それは壺を背負ったスッチーだった。(>>408)]
??
スッチー今光ったりした?
キューちゃんと一緒かと思ったよ。
…この星どうだった?
わたしは、すごくいいものもらっちゃった。
この星に降りて良かったわ。
[まだ泣きはらした目が少し赤い中、もう一度胸元のネックレスを見た。]
『ま、いいワ、無事に戻ってこれたお祝いよ』
[星型のドロップがたくさん入った缶をくれた。]
あ、ありがとうございます。
でも、折角ですし…
[そこにあった、せんべいや、クッキーを買い込んで、
列車に乗り込んだ]
[バタン!]
[扉が大きく開かれた。]
っ ?
[過去のシグネットリングに触れる前に、
奪うように手が掴み取って行く。]
こんなもの・・・!
[声を掛けて制止する前に窓から投げられた。]
あ・・・。
こんなもの、
くそくらえだ!
[肩で息をしている。]
[どこかすっきりとした表情をしたスッチーを見て、(>>416)今なら聞ける!と思った。]
ところでさ、スッチーの壺のことなんだけどね。
わたし前、多分、壺に吸い込まれて、一面鏡張りの世界に行ったことがあるんだ。
あそこって、また行けるのかな?
もう一度、行って見たいな、と思ったんだ。
[とスッチーに問いかけた。
もう一度いけるものなら、列車に戻って、鏡張りの世界に行ってみたいと思っていた。**]
そういえば、一条さん……
俺まだサロンでカードやってないんだ。
[乗って早々次の星まで爆睡していたからなので。
自業自得だとは思うけど。]
みんなが帰ってきて落ち着いたら……
一緒に遊ぼう!!
[時は短し、遊べよこども。
そんなことを生前の祖父もいっていたなと思い出す。]
せっかく、一緒の列車に乗ったんだし。
俺、みんなと遊びたいな。
[ポツンとそんなつぶやきを残して列車に戻った。**]
「寂しかったでしょう。私は、メルがいてくれたから大丈夫」
[聞きたくない。
耳を塞いだ。]
「もう、泣かなくていいの」
[聞きたくないの。
目を閉じた。]
「私はずっと、メルの傍にいるから」
[それでも言葉は心に入り込んできて。
――そして、世界を見失った。]
寂しかったのは、孤独に震えていたのは――私だ。
[静かに、淡々と囁いて。真実を告げる神の声。
花が枯れ散るように、その場へ崩れ落ちた。]
ああ、今からだっていけるさ。
[ひょいっとナッツのほうへ壺を渡す]
私にとっちゃ巣みたいなもんだよ。それに
[少しもったいぶって]
文字通りの意味で、故郷だって分かったからね。**
父上、兄上。
俺はこれを受け取らない。
呪いが解けないなら、
その時までは普通に生きてやる。
ダイヤの囁きがどんなに聞こえても、
もう少し良い生き方が出来る筈だ。
[後から入って来た父と兄へ睨みつけながら話す。]
・・・。
[当時、そんな言葉を言う気はさらさら無かった。]
[記憶が蘇る。]
これは、忘れない選択をした未来……。
[本当は、寂しかったなんて言われていなかった。
記憶を捻じ曲げないと孤独に押し潰されてしまいそうで、心を守るために。
分かれば簡単なことで、不意に笑いが込み上げてくる。]
ふふふ。馬鹿ね、私。
[病室の床に寝転んで一頻り笑った後、深く深く息をつく。]
本当、ばか。
そのためにも、今は現状維持に努めよう。
車掌さんの言うことを真に受ければ、これが僕が選ばなかった世界なのか。って何故何も無い真っ暗闇なの、なんでさ?
[寝たまま右手を振り下ろし、ぎょっとする。
床があると思った右手は空振りし、何かを掴んだ。]
この形は、コーラのペットボトルか!
ってことは、僕の選ばなかった未来はあの星の出来事か…。
[ドンナコトダイ?と声が聞こえた気がした。どうせ一人、喋っても何も変わらないだろうと自嘲気味に笑いながら]
『――ル、メル』
え……?
[大好きな、声が聞こえる。
はっと起き上がってベッドを見ると、淡い光が空に舞い上がっていくところだった。
涙が零れそうになるけれど、それよりも驚いたのは。
泣き崩れる幼い自分の隣に寄り添う、母の姿だった。]
『メル、メル。私はここにいるよ。ひとりにはしないから』
[優しく背を撫でる温もりに、どうして気づけなかったのだろう。]
母様は、ずっと一緒にいてくれたのね。
[そう言って、自分の横を見上げる。
そこには以前と変わらない、母の太陽のような笑みがあった。]
何年前だったか忘れていたんだけど。
僕の乗っていた船がこんな暗い星に掴まったのを覚えているんだ。
僕のほかにも沢山の乗客がいたっけ。
ヒトクイソウのお友達のような、ヒトクイボシ。
知能を有した生命体を捕獲しては一つの質問を出す、凶悪な星。
「此方が提示した大事なものを捨てるか、ソレと共に我に食われるか。」
当時僕はコーラが命だった。専ら、体はコーラで出来ていると豪語していたんだ。常時からだのいたるところにコーラを仕込み、食べ物の代わりとしてまで使った自転車すらコーラを補助動力にすることができる機能があった。
星は僕にコーラを捨てるか、コーラと共に食われるかを選ぶよう強制された。熟考の末、僕は手持ちのコーラを捨て、自転車は一部のフレームを残して食われた。
コーラとともに食われることを選ばなかった。当たり前の、ただそれだけの話だろう。
…ヒッ!
[話を終える頃から、徐々に周囲に影が浮かんできた。
見回してみると、皆々恐怖に口を開けた顔をしている人影の群れ。
その群れに、不自然に穴が開けられている。
タダソレダケトハドウイウコトダ。オレタチハギセイニナッタノニ。そう、怒りを口にしているようだった。]
きっと食われた人たち…!
あの穴は僕が居る場所だったと言いたげだね。
[その群れは徐々に近づいて、自分を取り巻いていく。
ゲームのゾンビの群れのようで、背筋が凍る。]
[しかしそれは数秒のこと。
すぐにそばにあったコーラを手に取り、上半身を起こした。]
やめなよ。
誰だか知らないけど、死人に鞭を打つような行為、とてもよくないよ。
それにあのとき、確かに僕は断腸の思いでコーラを捨てたのは間違いない。でも僕は悔いは無いし、今ではそれは過去のことだ。
[ボトルの蓋を開ける。
いつぶりか、しかし泡が出ないようにあける方法は体が覚えている。]
僕がさっき見たものはこれじゃない、違うものだ。
僕はそんなものを確かめに来たんじゃ無いんだ!
[ボトルのコーラを口に流し込む。瞬間、体が拒否反応を起こし勢い良く吐き出した。]
ぶほっ!
[周囲が明るくなっていき、それについて次第に意識が掻き消えた。]
― 荒野 ―
[気づけば辺りは元の荒野に戻っていた。
けれど、そんなことは関係ない。
今隣にいるのは、ずっと心焦がれていた人なのだから。]
母様、気づけなくてごめんなさい。
こんなに近くにいたのに。隣にいてくれたのに。
『メル。これからはずっと一緒よ?』
[からりと笑う声に、涙が次々と溢れる。
そっと両手を伸ばすと、温かな胸に飛び込んだ。
大好きな、お日様みたいな母様の匂い。]
― 客室 ―
[自室に戻り、ベッドに倒れ込む]
…疲れた…
[しかしそれは、不快な疲れではなく、心地良い疲れ。
手の中の小さな壺を眺めて…微笑んだ。]
『メルがいてくれるなら、私は寂しくないよ』
[遠いどこかで聞いたような言葉。
今はもう、思い出す必要を感じないけれど。]
私も、母様ともっと一緒にいたかったの……!
[体が淡い光を放つ。
それは空に浮かぶ星のように小さな球となり、空へと昇っていく。]
[荒れ果てた地に、ポシェットだけが残っていた。**]
[そのまま出て行こうとするが、
屈強な執事によって取り押さえられた。
テーブルに押さえつけられ、頭を付けられる。]
・・・っ!
[屋敷の中は物音一つなく静かだった。
この先の未来は分かる。
反抗が封じられて軟禁か、もしくは諭される。]
ふぅ。
[重い溜息を一つついた。
こんなものが見たい訳ではない。]
― 通路 ―
[>>3:270>>3:371
リコリスと一条の話を聞いて。
サプライズの香りを感じ取る。]
(プレゼントを選ぶ話?)
[目はキラキラ、口元にはいたずらめいたほほ笑みを。]
>>3:233
面白そうね、その話乗ったわ!
[驚かせるのは大好き、それでみんなが楽しくなるのはもっと大好き。
楽しい食事は(生気的な意味で)美味しくいただけるので格別だし。
という、理由もあったり。]
>>3:233
えっと〜、あたしは次の星は用ないし大丈夫よ♪
反省はするけど、後悔はしないもの。
今楽しくいられるのも、その時の選択のおかげでしょ?
後悔したら、その時の自分に超失礼よ。
それに、後悔なんてしてるのがもったいないわ。
もししても、跳ね返せる方法を考える方が好き。
だって、その方が……後でもっと楽しくなるもの。
その時に出来るだけのことしたってね♪
[うふふと、笑った。]
― 教授のサスケハナ号・船長室 ―
[私たちは船長室に通される。
教授と呼ばれる赤い服の少女が話し始めた。]
『改めて多次元航行宇宙船サスケハナ号にようこそ歓迎するわ。
私たちはこの船でさまざまな宇宙を旅行・・・いや、彷徨っているというのが正確な言い方ね。
時間もないから早速本題にはいるわ。
どうやら私と私の助手・・・あのセーラー服を着た子ね、この私たちとあなたたちとは別次元の同一の存在らしいのよ。
あなたたちはどういう状況かはちんぷんかんぷんかもしれないけれど、私たちも自分自身の別次元の存在にこうやって会えるのは初めてなのよ。』
[どうやら博士と教授と呼ばれる人物と私とセーラー服の助手が別次元の同一の存在といいたいらしい。
私には何がなんだかよくわからなくなっている。
もし仮にそうだとしても彼女たちが一体何をしようとしているだろうか、なぜ私たちの目の前に現れたかなぞである。**]
[一族の起源は、地球移民と言われている。
大開拓時代に宇宙に伝播したヒューマン種は瞬く間に、異系人達が繁栄する地へ降り立ち、平和裏にも争乱の内にも新たな種族として認められるに至った。
一族の祖となる初代が、烏黒ダイヤの鉱山の採掘で隆盛して以後は、その財力を元に新たなダイヤの鉱脈を探り当て財貨を蓄え様々な事業に投資も行っている。
それが何の力であれ、何不自由ない生活が保証されているのは、庶人の羨む所ではあろう。]
・・・。
[憂鬱な溜息をついた。
所詮同じなのか?
それとも、まだ選んでいない未来があるのか。]
― ??? ―
[ふわり、ふわり。
体が自然と浮き上がっていく感覚。]
『大丈夫? メル』
ええ。母様がいるから怖くないわ。
[ずっと、ずっと会いたかった。
"家族"はいたけれど、私にとって母は誰よりも大切な存在だったから。
隣にいる微笑みを湛えた姿を見る。
それだけで、心が満たされていくようだった。]
母様、これからどこに行くの?
『私たちがずっと一緒にいられるところ』
[楽しそうに母はからりと笑って。
風が吹くまま、より高く舞い上がっていく。]
[行き当たりの扉を認証後に開いた。
そこにあるのは、烏黒ダイヤの塊と群れ。
こんな”小さな原石”とは比較にならない程の大きさ。
宇宙カジノで見たダイヤも大きかったが、
飾られたこの場の烏黒ダイヤも心を擽る。甘い声で囁く。]
>>3:361
じゃあ、後でね♪
>>3:357>>3:211
穴場の件もありがと♪
[去りゆく一条に手を振ってしばらくして。
列車が停まるくらいの頃には、リコリスとも解散して。]
うふふ、楽しみ楽しみ。
[そのまま、通路を歩いてサロンの方へ行った。
今は列車の探検の方が楽しい。**]
……?
[どこかで綺麗な音が聞こえた気がした。
あれは、何の音だっただろう。]
あ、鈴……。
[遙か下になってしまった、地面を見る。
そこにあるポシェットが、小さな点として見えた。
中にしまっておいた鈴。
出発の直前に受け取った――]
……そうね。
本当は全部分かっていたの。
[瞼を伏せながら苦笑して、小さく息を吐く。]
・・・。
ぷはぁ・・・・・・。
[葉巻から蛙型の煙が跳ねた。]
・・・。
・・・・・・。
・・・。
[烏黒ダイヤの妖艶な囁き声。
シグネットリングの冷たい光が視界にあった。]
ねえ、母様。
『なあに、メル』
[優しい声。お日様の香り。太陽みたいな笑顔。
全部ぜんぶ、心から望んだものだったけれど、]
私が今欲しいのは、この手じゃないわ。
[泣きそうになりながらも、それでも笑顔で選択する。]
『よく、言えたわね』
[母はそれまでと変わらぬ笑顔のまま、優しく頭を撫でてくれた。]
『あなたはひとりじゃない』
[少しずつ大切な人の姿が消えていく。]
『私はメルのおかげで幸せだったから』
[涙で歪む姿をよく見ようと、いつもより多くまばたきをした。]
『今度は自分のために笑いなさい』
[そう言って、世界でいちばん大好きだった人は思い出になった。]
・・・。
こいつが・・・
こんなものがっ、あるから・・・!
俺も、俺の家族も、
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
[椅子を振り上げ烏黒ダイヤの群れへ叩きつける。
その瞬間、全ては黒い無数の羽となって散って消えた。
辺りは黒く、羽の舞い降りる音ばかりが聞こえている。]
― 荒野 ―
[土埃の舞う中、座り込んでいる姿は、周りから見ればおかしく見えたかもしれない。]
母様、ありがとう。
[最近泣いてばかりだというのに、雫はとめどなく溢れてくる。
最後の温もりを逃さないように、ぎゅう、と自分自身を抱きしめた。]
選択に、間違いなんてなかったのよね。
[それに応えるかのように、温もりが消える瞬間、一陣の風が優しく吹いた。]
あなたは、それが分かっておられたのですね。
[ポシェットから鈴を取り出し、優しくつまむ。
軽く揺らすと、綺麗な音色が荒野に響いた。
ちりん、ちりん。]
……ありがとう。
[鈴を胸に抱いて、体を折り曲げながら泣いた。]
[ぞくり]
[闇の中に大きな巨鳥の幻影を見た。
烏黒ダイヤに取り憑かれたひとりの男に取り憑いた、
呪いの巨鳥の烏の姿。
幻影はどこか魔術の産物らしき雰囲気を漂わせるが、
それが魔法か呪いかの違いなどは分かる訳もない。]
これが・・・
もし、かして。
[喉が鳴る。
虚ろな眼をした巨鳥が男ごと近づく。
男は見た事のない相手だ。
それでも直感的に系譜に連なる誰かなのだろうと理解した。]
っ
[伸ばされた手に指に反射的に腕で庇う。
指は目の前で幻影と辺りの闇ごと、
闇の粒子となって弾けて消えた。]
はっ、はぁ。
[目を薄ら開き震える息を吐き出した。
辺りはまだ暗かったが夜の闇だった。
とぼとぼと数歩歩く。]
皆、あんな・・・ものが憑いて?
いやあれは・・・俺の想像なの、か?
[震えが止まらなかった。
乱れるように葉巻の煙も乱れる。
ふと、夜なのに影が色濃くあるのに気付いた。
空を見上げる。]
[泣いて泣いて泣いて、涙も枯れ果てた頃、ようやく気持ちが落ち着いてくる。
喉が痛い。目も腫れているかもしれない。]
ふう。よいしょ。
[まずは立ち上がらないと。
地面に座っていたからワンピースも随分汚れてしまった。
パタパタと裾をはたいて、できるだけ綺麗にする。
最後に両手の土を落とすと、ポシェットを手に取った。]
……うん、大丈夫。
今度こそ、嘘じゃない。
[空を見上げる。
到着時の雷雲が嘘のように、青く晴れ渡っていた。
これも思いが見せる幻?]
それでもいいか。
だって、この空は、この気持ちと繋がっている。
きっと。ううん、絶対!
[晴れやかな笑顔を浮かべて、前へ歩き出す。]
母様。私頑張るから、見守っていてね。
[後ろを振り返ることはない。
もう、ひとりじゃないことを知ったから。]
[月は2つあった。
銀河の星の密集により雨降らんばかりの星の輝きと、
衛星の周期の関係だろう、2つの月が今は近く見えた。
草いきれ、虫の鳴く声が聞こえる。]
[メルダースの別名は強欲。
様々な手段を使い烏黒ダイヤを得ようする。
その為、どんな場所にも向かう。
その星にダイヤがあれば囁き声が聞こえて来るのだから。]
― アパート・自室・ベッド ―
[フローリングの床に、箪笥とクローゼット。骨董品レベルと思しき、持ち運びのできない電子端末。そのほか遊びに使う道具や、勉強に使う本が散らばっている。
其の本に書かれた内容も、宇宙の中では片腹痛く思う者もいるのではないだろうか。
そして、部屋の端に大きく陣取ったベッドがあり、その上で眠っている男がいる。]
―ここは。
[目覚めた主は、其の場所を直ぐに認識できないで居た。
眺めたカレンダーを見て、自分の置かれた立場に気付いた。]
戻ってきたんだー!
僕の世界へ。
[涙がじんわりと零れ、何時しか滝のように流れる。
当たり前に選ばれる筈だった日常に、戻ってこれたと。]
― アパート・自室・キッチン ―
あっさめし、あっさめしー。
[るんるん気分狭い部屋で朝食の準備。
1パック248円の卵と98円で買ったほうれん草でポパイエッグを作り。
8枚切りのトースト2枚に、45%引きで仕入れた一回サイズのバターを添える。]
あっ塩かけてねーわ。
ベーコン入れてねーから塩が薄いんだよねー。
塩どこだ、塩、塩、鼻塩塩〜。
[陽気な塩を探せば、直ぐに見つかって。]
『芳雄君覚えておきなさい。この宇宙荒塩を使うのがコストパフォーマンスがよくていいぞ。こうやってかけて…ウマイ!』
[と同時に恩人と呼んでいる"専務"の言葉が、何故か甦ってきた。]
あ…。
専務が初めに教えてくれたのは、食についてだったっけね…。
― 学校 ―
あれえ、おかしいな。予定より全然早くついた。ま、いいよね。
[チャリで一本道を駆け抜けて着いた学び舎の距離はやけに近く感じた。時間も何時もの半分以下だった。]
おはよう!
[よくつるんでいる仲間を見つけると、互いに挨拶。後から他の面々も集まり、今日は早いな等と言われながら挨拶を交わしながら校舎に入っていきながら世間話をして講義に向かう。]
― 講義 ―
『芳雄君、君が元々居た世界は、多分文明が遥かに遅れているか昔かのどちらかだろう。
故に君はこの宇宙で生きていくいろいろなことを学ばなければならない。
大丈夫、幸か不幸か君には時間があるのだから。』
専務の言ってたとおりだ。
工学の授業が、まるで歴史の授業じゃないか。
専務はもっととても物知りだったよ。だって…
『芳雄君。君が元の世界に戻りたいと言うのはよく分った。ではそれを踏まえて、これから言うことはを説明しよう。
今から私が話すのは、君が此処に居る理由に対する推測と、君の体に起こってしまった事に対する事実を説明する。
推測は私の考えだが、事実は本当のことだ。精々心して聞きたまえ。』
[みんなが降りていくのをずっと見ていた。
自分はどうするべきだろうか、とぼんやり考えていた。
降りたら、なにを視るのだろう?
自分には有り得たかもしれない未来に対する興味も、
知りたい何かも、羨望も、ない。
ただ知りたくないと漠然と感じる。
それは心が弱い故なのだろう、諦めでもあるかもしれない。
ずっと心の中にある漠然とした冷たいもの。
それを目の当たりにするのが怖いのかもしれない]
― 講義後 ―
[講義が終われば仲間達と、久しぶりに遊ぶ日だ!と何をするか騒ぎ立てる。麻雀、カラオケ、ゲーセン、ボーリング、ナンパ、ネトゲ、メイド。
何故か気付いたら今日1日ですることになっていた。]
まじで全部すんの!?
おかしくね?おかしくね?
[とは言ったものの、自分はそういう雰囲気に餓えていたのかもしれないし、現実、全てやった。
泣きそうになったが、周囲にはナンパ失敗したからと誤解された。そのまま敗戦のヤケ酒だー!と最後安酒で騒いだ。でもちょっとだけナンパ失敗して悲しかった。
しかし、命の水だったコーラは、最後まで飲めなかった。]
― アパート・自室・ベッド ―
今日は楽しかった。懐かしい日々、かえってこれた日々。かけがえの無い日常をまた味わわせてくれて本当に良かった。
[静かにベッドにもぐりこみ、また起き上がった。]
でも、やっぱり駄目なんだ。悲しいよ、今の僕は此処で生活できないんだよ。
知識も肉体も嗜好も、そして時の流れも、当時の僕とあまりに違いすぎるんだ…。
[先程の涙と違う涙が、頬を伝った。]
『君が分り易い表現にて、まずは推測を伝えよう。どうやら芳雄君は、時の落とし穴に嵌ってしまったんだろう。
それも天文学的な数値の確率で。
つまり君は元居た世界から弾き出されてしまったのだ。』
[突然宇宙の遠い星に飛ばされた自分に、専務と呼ばれる恩人が最初のほうに話してくれた言葉を反芻する。]
『故に、また戻ることができるかも、天文学的な数値だろう。時の落とし穴の発生確率は、宇宙宝くじの特等を当てるより遥かに低い数値だ。
さてどうするかね?君はそれでも元の道を探すのかね?』
[無言のまま、ぐずついた顔を布団で拭う。
ちくしょう、ちくしょうとうわ言のように漏らしながら。]
『それでも探すか。芳雄君はそういうと私は思っていた。ならば次に事実を伝えよう。
検査の結果、君の余命はあと約6万年と言うことが判明した。おめでとう!君の1ヶ月は100年分のお徳用余命になったぞ!』
畜生!畜生!馬鹿野郎!専務のいう通りじゃないか!
言う通りにしかならないじゃないか!どうしろってんだよ!
『そこで聞くが、本来の数百倍数千倍の寿命と蓄えるだろう知識を持った君が、元の世界に戻ってどうなるか考えてみなさい。』
八百比丘尼ですか僕は!
人魚の馬鹿!専務の馬鹿!馬鹿!
[専務の笑い声の幻聴に怒り狂い、完全に八つ当たりを言いながら、壁をバコバコ叩いた。]
[少しずつ、部屋の景色が薄れていく。]
ここは選ばれなかった世界じゃない、カンダタが選んだ行く末なんだね。
そしてきっと、ここは今の僕が選ばなかった世界になるんだろう。
[拒絶を示した彼が、未来を示すことは無いかのように。]
だとしたら、僕は、この後どうしたらいいんだ…。
[気付けば、荒野のでっぱりに座っていた。]
って、知ってますよ。専務。
[呪われたお伽噺をしよう]
[その呪いは心を剥奪する代償を持つ。
お伽噺で呪いを解く方法がキスならば?
心が情熱で満たされる時は何時だろう。
囁き声と混じり合う程に心が高鳴る時は何時だろう。
答えは直ぐに導きだせる。]
― 星・荒野 ―
『折角だから長い余命で宇宙中を旅して旅行記を書いておくれ。それさえあれば私は印税だけで研究ができるからね。芳雄君は旅好きなようだしいいじゃろ。』
それであんなことを行ったんでしょう専務。
いつかこうなることをわかってて、意地の悪い人だ。
でも感謝してますから。
こうやってあなたの話を思い出すだけで僕は現実を理解できた。
あなたの余命が尽きる前に一度顔を出しておきますよ。
土産話とともにね。
[遠い空に向かって声を投げ込んで。
傍に立っていたチャリを跨いだ。]**
[それでも]
[もうひとつの未来も見た。
最初から呪いがなかった世界を。
最初から呪いなどない世界の未来を見た。
心から望むものを見つけ、手に入れられる未来を。]
[忘れていた思い出が蘇る。]
(蛍だよ。見て、手の中。可愛いなあ。)
[乱舞する光が、
子供の頃の小さな手の中でダンスを踊る。]
(私は心配なの。
あの子が同じ様に変わってしまうのが。
せめて他の家に行けば呪いはマシにならないかしら。)
[遠い彼方の声の記憶。]
(お月様が2人で笑ってる。)
[両親と共に訪れた星。指差した先の月が2つ。]
― 駅 ―
[数日ともとれる時間を過ごしたように思ったけれど、スターライナーは元のまま、赴きあるその姿で駅に鎮座していた。
大好きな、いつもと変わらない車掌さんの姿を見て、枯れたはずの涙がまた、零れそうになる。]
ププモアさん、ただいま!
[込み上げるものを隠すように、ぎゅう、とその小さな体に抱きついた。
汚れてしまうかもしれないけれど、それは後で謝ろう。]
私ちゃんと、帰ってこれたよ。
[小さく呟くと、ようやく実感が湧いてきて。
野に咲く花のように、ささやかに微笑んだ。]
(ねえ、君は、誰?)
(死んでしまうと、君は何も残らないの?)
(僕と、一緒だね。)
(僕も無くなっちゃうんだ。心が。)
[一つ目の未来では見た顔が死んでいた。
ルクスフェロの投資を始めとして、
決断せず煮え切らないまま残されていた
様々なものへの決断が引き金となるのだろう。]
[2つ目に見た未来はそれに比べると心穏やかだった。
烏黒ダイヤの囁きが聞こえない事がこれほどとは思わなかった。]
[冷たいシグネットリングが左手の中指で光る。
双頭の烏にキスをして呟いた。]
・・・。
これが俺の道?
愛をとっても、
全てに煮え切らずにいても、
行き着く何時かは。
・・・。
[一頻りププモアをぎゅうぎゅうした後、そっと体を離す。]
ごめんなさい。
何だか、嬉しくて。
[照れたような慈愛に満ちた微笑みを返してくれる車掌さんに、小さく微笑んで。
誰が帰ってきたのかを確認する。]
そうですか。
それじゃあまだ。
[後ろを振り向くと、突然追い風が吹いた。
舞い踊る髪を抑えながら、遠くを見つめる。]
待っている、と約束したから。
[汚れた姿で、駅のホームに立ち尽くす。
それよりもずっと、気にかかることがあったから。]
村の設定が変更されました。
更新時間が24時間延長されました。
[満天の星空と2つの月。
それに蛍が空へ舞い上がる。
眩く光る光の群れが指に纏わりついた。
どれくらい経った頃か上半身を起こした。
だらんと頭を項垂れていたが漸う立ち上がる。
ぱたぱたと土を払いハンカチで涙を拭いた。]
[荒れた地に一輪だけ咲いている、薄い青色の勿忘草。
車窓から光って見えたのはそれだった]
なぜ、こんなところに。
[立ち尽くす。
そして、おそるおそるというように手を伸ばし、花弁に触れた。
ひやりとした冷たさ。
はっと息を呑む。星が自分を呑みこむ、そう感じて、]
[暗闇の中で優しい歌声が聞こえる。
夜なかなか寝付けないことの多かった自分に、時々母が歌ってくれた子守唄。
あたたかくやわらかな旋律なのにどこか哀しげに。
彼女はそっと自分の背をたたく。そして。
少しの躊躇いのあと、母は最後の一節を紡ごうと唇を開くだろう。
目を開けたくない。
母と幼い自分がいるから。
分かっている。
あの日のあの夜だと。
この星は過去で選ばなかった選択肢の未来を見せるという。
だとしたら間違いない。選択はここ以外に、ない。
この歌で寝入ってしまい、両親がこっそりと自分に分からないように家を出たことに気付かなかった。
おかしいと思いながら、子供の自分は見過ごしたのだ]
[母は子守唄の最後の一節を、頑なに歌おうとはしなかった。
この地方に昔から伝わる歌なのだから勿論気づいていた。
理由も聞いたことがある。母は笑って言った。
お別れみたいで気に入らないのよ、
私なら子供と夢の世界へ一緒に行ってあげるわ、と]
(おやすみ、さよなら、私の愛しい子。優しい夢の世界へ)
[母は予感していたのかもしれない。
自分たちが戦い、生きて帰れないだろうことを。だから歌ったのだ。
最後の贈り物として残した一節。
どんなに願っても、復讐を果たしても、
父と母が帰ってくることがあるはずないのは分かりきったこと]
[追いかけなかったことを何度後悔したか数えきれない。
裾を引いて離さなければ、今頃と。
でも今更その選択をした未来など見たくない]
(ひとりだ。――自分はそれから、ひとり)
[頭の中で鍵が閉まるような、キン、という音を聞いた気がした]
―――――。
―――、
[ふっと意識が浮かび上がる。
深い眠りの後のように、意識がぼんやりとしている感じがする。
自分は転寝でもしていたのだろうか]
こんなところで?
どういうことだ……。
[首を傾げる。
いつの間にこんなところに。覚えがないのだが。さては夢なのかな。
目の前には“温泉郷の星へようこそ”という看板があった]
[歩き回った。誰もいない温泉街の中を。
謎の叫び屋の前を通り、寂しげな空き地の炬燵を横目に進む。
たどり着いたのは一軒の旅館だった。
一際大きな建物の前には桜の木が艶やかに咲き誇っていた。
はらはらと花弁が音もなく石畳に積もっていく]
……。
[湯気が立ち上っていたのに、やはり旅館の中も無人だった。
店番ロボットさえも動きを止め、黙ってこちらを見ていた。
触れた湯は冷たい。
窓の外を見れば静かに雪が降ってきていた。
なんだろう、これは。
不思議な内容だけれど、夢とはそういうものかもしれない。
寂しさばかりを感じる景色のはずなのに、かすかにあたたかい懐かしさも湧き上がる。
理由は分からないのに。
耐えるように気づけば、手を握りしめていた]
[気づけば、今度は小さなカフェの椅子に座っていた。
あたたかな灯りに天井から降る星の模型、壁にある沢山のドア。
銀製のグラスが鈍く光る。
ここにも誰もいなかった。
厨房にはコーヒーを淹れようと用意されたカップがあるのに]
出かけているのかも、しれない。
そうだろう、――。
[無意識に呟いていた。
唇が動く。
誰かの名前を呼ぶ。誰の?]
……。
[窓の外の夜空に星が流れても心の冷たさが増すだけだった。
ひとりなのだと、余計に感じるばかりだ。
きりきりと胸が痛むのを誤魔化したくて適当なドアのノブを回す。
最後に一度店内を振り返って、閉めた]
……俺、どこから来たんだっけ。いや、夢なんだったか。
[ベンチに座り、行儀が悪いと知りつつ膝を抱える。
どうせ見ている人などいない。
動物園だというのに柵の中さえ空っぽなのだからどうしようもない。
視線を動かせば、すぐそばに箒が転がっているのが見えた]
夢の中じゃなければ。
ここは賑わいのある動物園だったりするのかな……。
っ、
[片手で頭を押さえる。訴えかけてくるのは鈍い痛み。
ともに襲ってくるのはもどかしさ。
このままではいけない、そんな気がする。
早く気付けと誰かが囁いているような。
思い出すなと誰かが足止めしているような。
考えれば考えるほどいつの間にか思考に靄がかかっての繰り返し]
………!
[一陣の旋風が吹いて、咄嗟にきゅっと目を瞑った。
風に舞い乱れた髪が、頬に強く当たる感触と
ふわっと足元の地面から掬われるような浮遊感。
突然、どこからか、明るい音楽と賑やかな人々の声が
微かに聞こえてくる……]
「いらっしゃいませ!」
「メリー・クリスマス!」
[全く同じ、明るく可愛らしい声が二つ、
完璧に同じタイミングで、同時に響いた]
……え?
[慌てて瞳を開くと、眼前にはお揃いの赤いワンピース・ドレスに身を包み、輝くような笑顔を浮かべた、小さな女の子が二人。
腰まである長い金色の髪と、楽し気に輝く大きな金色の瞳。
同じ顔、同じ声、同じ服装…。ああ、これは幼い頃の自分達……]
「まあ。お出迎え、ありがとう。
いつもお揃いで、可愛いわねぇ」
[着飾った初老の女性客は、双子のお揃いのドレス姿に目を細めるが、姉妹の見分けはついていないのだろう。どちらからでも同じだと思ったらしく、まずシリル、次いでレリアの頭を撫でて。
傍に立ち尽くす自分には全く気づかぬ様子で、飾り付けられた賑やかな室内へ]
「…あ、エディおじさん!」
「お願いしたプレゼント、持ってきてくれたかな…」
[次に姿の見えた客は、両親の親しい友人。長身の体躯に、厳し気な表情。けれど優しい、大好きな人だった。]
(…エディおじさん……! お元気そう……)
[最後に記憶に残る姿よりも、やや若い元気そうな様子に、微かに瞳が潤んだ。小さなレリアが気づき、シリルが嬉しそうな笑顔で、大きく手を振る]
「…ね、いつものやって?」
「え―……やるの?」
[いたずらっぽく笑うシリルの提案に、レリアはやや気乗りのしない様子で、小さな眉をひそめる。けれど、その男性が近づけば、
にこ、とシリルの真似をした笑顔になって、一歩前に踏み出し。]
「…どーっちだ?」
「…ほうほう。今日は特別に難しいなぁ…。
シリルかな…レリアかな…シリルかな……いや、レリアだ!」
[両親以外で、双子を間違えたことのないのは、この人だけだった。一目見た時から分かっていたのかもしれないけれど、
いつも、双子の遊びに付き合ってくれた]
「あたり! どうして、いつも分かるの!?」
「…それは企業秘密さ」
[間違われなかったレリアが、どこかほっとしたような、嬉しそうな歓声をあげて、頬にキスを贈る。エディおじさんは、普段は厳しげな瞳を柔らかに細めてそれを受けると、両手で同時に双子の頭を撫でてくれた]
(……ああ、おじさんの手、覚えてる……)
[父と連絡がつかなくなってからは、双子の父親代わりのようだった人の大きな手の感覚が、身に蘇る。
今はもう…失われてしまった、あたたかさ。
それは、星に降りる前に優しく撫でてくれた人の手のぬくもりと、
少しだけ重なるような気がして、
泣きたいような切ない気持ちに、胸の奥が微かに痛んだ]
「…おじさん、お願いしていたプレゼント、持ってきてくれた?」
「ああ、もちろんさ」
[気が気でならない様子のシリルに、おじさんはほんの少しだけ、
得意そうに笑う。ロワン・ディシーはコーラでさえ貴重品>>1:67>>1:423なくらい、輸出入関係の事情の良くない辺境の星だったけれど、政府関係の仕事をしていたエディおじさんに頼めば、大抵のものは何とかなった]
「ほら……可愛いだろう?」
『………みゅ…?』
[小さな双子にもよく見えるように、そっと片膝をついて、コートの前を寛げてくれる。
眠っていたのだろう、ふわふわの白い毛の子猫が、目をしぱしぱさせてから、みゅう…?と愛らしい瞳で、姉妹を見上げた。*]
……どっか具合悪いの?
[返事がないまま、サロンを出て通路へ。
足どりはどこかふわふわしており。]
ねえ、リコリス……どうしたの?
[その足が向かう先は、さっき自分が来た方向。
列車の出口――駅、正確には星。
何だか、嫌な予感がする。
リコリスを追いかけようとした時のこと。
突然視界をふさがれた。]
― 通路・サロン付近 ―
[>>3:445一条、リコリスと別れた後。
列車内をぶらりと散策してみたが、芳しい発見もなく。
収穫といえば、何となく施設などの位置把握くらい。]
>>3:502
あら、あそこにいるのは……ダーリン?
[ワンコのもこもこ着ぐるみではなくとも。
可愛いダーリン(キリト)の姿を見間違えるはずはない。]
ここで会ったが、ひ・ゃ・く・ね・ん・め♪ キャッ☆
[それは、敵に使う言葉というツッコミはもちろんない。
車内に行く手を阻む者もいないのだから。
ウキウキは隠せず。はやる気持ちを抑えきれずにスッと姿を消して、キリトの背後に現れ。
――後ろからそっと目隠しをする。]
……だ・れ・だ♪
[目隠しのまま耳元でそっと囁く。
67秒ほど待ってみても、反応がない。]
あらん? ……どうしたの?
[手を離して顔を覗き、彼の視線の先を見ると。
>>3:476
ふらりと歩くリコリスの姿が。]
>>3:506
『呼んでも返事がないんだ。』
[心配そうな表情に思わず、キュンと来つつも。
欲望をぐっと堪えてふわりとほほ笑む。]
……じゃあ、一緒に尾行しましょ?
[キリトの手をやさしく両手で包んでそういった。**]
そうどうせなら、曾爺さんが会いたかった相手…
俺がそのケヴィンさんに会える'方法'とか……?
[呟いた時だった。
ふっと辺りが暗くなる。
巨大な影が辺りに落ちている事に遅れて気付いた。]
[上を見上げれば、其処には巨大な影の姿。]
これは?
船…いや、艇……。
[それは、一艇の黒い船だった。
奇怪な光、黒とも赤とも琥珀ともつかぬ、宇宙のいろを辺りに漂わせ、視認可能なスペクトルと不可能なスペクトルが混じり入る艇があった。]
…。は、なるほどねえ。
何が目的かは分からないが、
行かせて貰いましょうか?
[恐らくは幻覚・幻影の類であろうものであっても、圧迫感を感じた。それは、何処かを潜り抜けて来たような異相次元めいた'いろ'を周囲に漂わせていたからかもしれない。]
[予想が正しければ、恐らく此れは宇宙海賊船の可能性が高いだろう。然し、てっきり艇内に入るのだと思っていた一条は、艇の下で佇む人影を見つけて立ち止まる。]
…。
[遠目からも丈夫且つ上質の造りと思わせる黒のコート。
一条へ背中を向けているが、肩辺りには艇の徴であろうか徽章の様なものが見える。立ちのぼる煙は、匂いまでは漂って来ない。]
俺の妄想の姿でないなら、
貴方が、もしかしてケヴィンさん…?
[人影まで十数歩といった所で一条は立ち止まる。
少し癖のある髪の毛、微かな風が吹いて黒コートが揺れている。]
「……うん。わかりやすく言うと、この星が、駄目なんだそう だ。
空気や光や水、土…とにかく全部が、
地球原産の“猫”という生物の代謝機構…体にはよくないらしい。
元気に大きくなれるかは、分からない…と言われたよ…」
「……だからね、とても残念だけれど、
パパとママは、この子は、もっと地球に近い組成の星に
連れて行ってあげた方が、幸せだと思うの…」
[おじさんがプレゼントしてくれた子猫>>500は、しばらくの間は元気いっぱいの愛らしい仕草で、家族を…特に双子を幸せにしてくれたけれど、やがて段々と元気がなくなった。
原因は、ロワン・ディシーの環境そのものらしかった]
「…いやっ。死んじゃうのも、いなくなっちゃうのも、だめ」
[ふわふわの…けれどあまり動かなくなった子猫を、
離したくないとでもいう様子で抱きしめて、
ぽろぽろ涙を流しながら、両親に訴えるのは、シリル]
「……他の星に行ったら、助かるの? 元気になる?」
[妹と同じく泣いてはいたけれど、小さな両手をぎゅっと握りしめて、
何かを覚悟した顔で、ぽつり、そう確認したのは、レリア」
「あの時……たしか5歳だっただろうか。初めて理解した。
自分とレリアは、違う考え方をする、違う存在なのだと。
生まれる前から一緒だった双子。同じ卵の片割れ、魂の半身。
そっくりの外見と同じように、自分達はずっと一緒で、
同じのままでいられるのだと、思い込んでいたから……]
(……え?)
[ふいに、目の前の風景が、
スライドが切り替わるするように、ぱっと変化する。
見覚えのある、幼い頃の姉妹共用の寝室。
可愛いピンクや空色で統一されたベッドファブリック。
窓から差し込む朝日……いつの朝だろう?]
………ごめん、ごめんね……。
わたしが、少しだけ待って、なんて言わなかったら…
助かったかもしれないのに……。
[朝起きたら、冷たくなっていたらしい子猫を抱いて、
パジャマ姿のまま、ベッドの上で泣きじゃくっているのは、シリル。シリルを、ぎゅっと抱きしめて、一緒に泣いているのは、レリア]
(……え? 知らない。こんな記憶は、ないはず……)
[レリアの手は妹を抱きしめていたけれど、涙に濡れた金色の瞳には、微かな…憎しみや怒りに近い感情の色が見えるような気がするのは、錯覚か…自分の罪悪感の投影か。
いずれにしても、それ以上見ていられずに、咄嗟に瞳を逸らせて…俯いた。]
(…これが…過去に選ばなかった未来…?)
[駅でププモアから訊いた言葉>>#7>>#8を思い出す。
少しの間しか一緒に居られなかった、ふわふわの可愛い子猫>>0:203。元気になってほしかった。幸せでいてほしかった。
でも…傍にいてほしかった。失いたくなかった]
(…わたしは、昔から、自分勝手な子どもだったのね…。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…。
この頃から、何一つ変わっていなかったのかもしれない……)
[実際には、レリアの説得で、シリルも手放すことに同意したので、あの子は、すぐに、ロワン・ディシーよりも地球に近い環境の星に送られた。おじさんの知り合いの、優しい家庭で愛されて、元気になったと聞いた]
過去に選ばなかった未来…。
わたしが本当に、選びなおさないといけない過去は、あの夜。
もしも選びなおせるのなら……。
レリアに……。
[瞳を瞑ると、すうっと涙があふれ。
それが頬を伝う感触に、華奢な肩を一つ、震わせる。
そのまましばらく、顔を両手で覆って、涙が止まるのを待ってから、何かを覚悟した表情で、再び歩きだした*]
― 多次元航行船サスケハナ号・船長室 ―
[セーラー服を着た少女が教授の話に付け加えて]
『私も教授の話がたまにちんぷんかんぷんになって、知恵熱で3日間寝込んだ事もあったな。
あまり深く考えないほうがいいかもしれないぜ。
そういや自己紹介がまだだったな。
このお方は大山崎夢実教授、タゲンとか何とか論を研究している教授。自称天才科学者でこの船を設計開発したのもこの方だぜ。』
大山崎『多元宇宙論よ。あと自称はいらないわ。』
『そうだったけ?ま、いいや。
そして私はその忠実なシモベにしてこの船の操縦士、北白川さゆりだ。よろしくな!』
[少女達が話している内容は突拍子のないものだったが、
この船の名前、この二人からは我々に似た雰囲気を感じる。この二人が言っている事もあながち嘘ではなさそうだ。]
大山崎『まあこうやって、多元世界の同一個体に会えたという事は多元世界を研究するのに重要な資料になるわ。
もっとあなた達をよーく調べたいのだけれど、この星に長くいると永久に出られなくなってしまうらしいわ。
そうなる前にあなた達を元の駅に帰さないといけないわ。準備はできたかしら、さゆり?』
北白川『あいあいさー!準備おっけーですぜ!』
[光線銃を二人に突きつける。}
[無言で吹く風は焼け爛れた虚無の香りがした。]
俺は………一条薫…。
曾爺さんから、貰った名だ。
曾爺さんは、ずっとアンタに…… …!
『...prahmasyp』
[近寄ろうとして、たたらを踏んだ。
気に呑まれたとも言う。微かな歌い声のようなメロディが聞こえた。其れは子守唄のような優しい歌ではない。これは…。]
『...palama sweep daste plai teptaniya noikit arka rodieyah...』
[頭がゆっくりと左側から此方へ振り返ろうとしている。
不気味に妖しいマゼンタの光を眸に宿して。]
[いきなり助手さゆりに光線銃をつきつけられる。]
やっぱり、私達を元の世界に戻すとみせかけて、殺すつもり何だ・・・。
ああ、だめだ、こうなるなら車掌さんの言うとおり列車内でおとなしくしてればよかったんだ。
ああ、神様、仏様、せめて天国に連れて行かせてください。
[錯乱している。]
[浮かぶ巨機を取り巻く様、新たなる風と色が奔った。
否、ほとばしりではない。それでも、早く…遅く…、'時間など存在しないかのように'、時間の概念など無きようにその場に現れた。]
…これは、一体。
[逆巻く風の中、無貌であり又、貌のある'モノ'が在った。
深緑の様に逆巻く風、否、揺らめく様なエネルギーの波紋?
其れにしては勢いなどはなく、否、勢いなど必要は'ない'ものなのかもしれない。
まるで、壮麗な宇宙の調べを耳では無く目で視る様に。
純然エネルギー体としか思えぬ揺らめきを目で見えて居るのに、'見えずに感じる'。]
《...特異点の亀裂...》
《...可能性の夢|選択肢の夢...》
《...枝葉の先に宿る...》
《...裏側...》
《...観測者の不在...》
《...雫...》
[言葉ではないにせよ、そんな'意味'なる'もの'に触れた。]
[深緑色の揺らめき(目で見えているのに、見えているようにも思えない)は、一条が呆気にとられて居る間に、
…消える。]
………え…。
[ぽつん。
気付けば、其処には何も無かった。
黒い船も揺らめきも何も無かった。
唯、広がる空と荒野だけが在った。]
……………。
[それでも、不思議な事に記憶があった。
「何時何処」へ行けば、曾爺さんが会いたかった人物と会う事が出来るのか。
まるで枝分かれした先の、どれかの未来を見て来た様に。]
桂川君、こんなおなごの手にかかって死ねるなら本望じゃ。
[すでにあきらめの境地に・・・]
大山崎『ちょっとまって、初対面の相手にいきなり殺そうとはしないわ。
この銃を使ってあなた達を気絶させれば元の駅に戻れると思うわ。
私はむしろ帰りたいとかやり直したいという意識が引き金となって、逆にこの星に魂を釘付けにさせ、やがて永遠にこの星をさまようという仮説を立ててるわ。
だから意識がなくしてしまえば、元に戻れるんじゃないかと思うの。
でもあくまでも仮説は仮説。
本当に上手くいくかは正直わからないわ。
でも本来逢えるはずのない私達がこうして出会えた。
もうひとつくらい奇跡が起きても不思議ではないわ。
もし無事に戻れたら、すぐにあの列車の中に戻る事ね。
さっさとしないと今度こそ本当にこの星に囚われてで一生ここで過ごす事になるわ。
多元世界の研究のためには非常に残念だけど、同一個体を見殺しにはできないわ。』
[研究の事は口惜しそうに・・・]
もし運良く助かれば、またどこかで会いましょう。
もっとも別の次元の事になるかもしれないのだけれど・・・。
あなた達が宇宙を航海する限り、きっとどこかで・・・。
この石があれば、きっと感じあえるはずよ。たとえ幾百幾千幾億光年離れていても、たとえ違う次元に生きようと・・・、そうだわ、さゆりあの石を出して・・・。』
北白川『ああ、あれか?今出すぜ。』
[と言って、教授は胸元からペンダントを取り出す。助手の北白川も、ペンダントを取り出す。二人とも竜の涙石を持っていたのだ。共鳴作用で激しく輝いている。
そういえば、キャプテンに教えてもらったおまじないの事を思い出す。]
おお、そうじゃ、桂川君もあの石持っとるじゃろう。
はよう出すのじゃ。
あ、はいっ!
[博士も石を取り出したので私もあの石を小瓶に入れていたので取り出す。4つの石はこれまでにない輝きに満ちている。]
これはすごい輝きですね。
桂川君、この石を重ねるのじゃ。
[それはキャプテンから教えてもらったおまじない、船乗り達の間ではこの涙石を重ねる事でお互いのこれからの航海の無事安全と再会を願うのである。
離れ離れとなった船乗り達の魂が再び出会えるよう願をかけるのだ。
まるで共鳴作用でその魂を感じるように。
これを知っているという事は、やはり彼女達も・・・。]
これで多分大丈夫じゃ。
さあ、遠慮なく撃ちたまえ。
大山崎『わかったわ。
最後にあなた達と短い間だったけれど会えてほんとにうれしかったわ。
またどこか出会いましょう。
そしてさよならはいらないわ。Bon Voyage!(良き旅を!)』
北白川『私も会えてとってもうれしいぜ。じゃあな、別の世界の私達。またどこかで会おうぜ。ではいくぜ!』
[光線銃の引き金が引かれ、我々の意識が遠くなる。]
― 駅 ―
うーん。
はっ。ここはどこじゃろう?
そうじゃ列車は・・・ちゃんとある。
[気がつけば、私はホームのベンチに座っていた。
桂川君も・・・無事に隣で寝ているようだ。
あまりにも突拍子のない出来事なのでまさか本当に夢をみていたのだろうか・・・。]
しかし、妙にリアルな夢じゃったな。
[実際、痛みが残っていないところを考えれば、本当に撃たれたのか疑問に思える事なのだろう。
ただ、本人達は気づいていないが、いきなりホームに現れたのでホームに他の乗客がいればびっくりするかもしれない。]
― 駅 ―
うーん。はっ。
ここはどこ・・・?
私は・・・桂川 啓・・・。
[何が起こったのかは、良くわからないが目の前に見慣れた列車が停まっている。]
(そうだ、博士は・・・いた。
やっぱりあれは夢だったのかなあ?
夢にしてはいろいろリアリティありすぎるけれど・・・。)
― 駅ホーム ―
あら、あれは……博士とアキラさん?
[視界の隅に急に何かが現れたような気がして、そちらを向いた。
ベンチに座ったふたりの姿にきょとん、と首を傾げる。
桂川は一条から名を聞いた>>1:1013せいか、ファーストネームが口から出た。]
何だかお疲れ、というよりも呆然としているようだけど、大丈夫かしら?
[ふたりが心配で、ゆっくりと近寄ったのだったか。]
[スッチーからもらった壺の中に少し似ていただろうか。
そこは、今いた荒野とは異質というか。異次元みたいな感じがした。]
お母さん、お父さんは食堂で待ってるの?
[そこでは自分はもっともっと小さな姿で。
少しおめかしした母と手をつないで、デパートのエスカレーターを昇っていた。]
[最上階に着くと、ショーケースにはメニューのサンプルが所狭しと飾られており。
ツヤツヤピカピカしたそれをジッと見て。]
俺、お子様ランチにする!
[結局、いつもと同じものに決めるのだ。
その様子を見て、母はクスクスと笑いながら、先に来て席を取ってる父の所へ自分を誘う。]
博士、こんなところで眠ってしまったのですか?
私、夢の中で博士と一緒に自分と同じ存在だとか言ってた二人の少女たちと会って、変な銃で撃たれたところで目が覚めたんですよ。
確か・・・名前は・・・。
[父の待つ席にたどり着き、3人でテーブルを囲む。
母と同じく、よそ行きを着た父。]
いただきま〜す!!
[専用のプレートに盛られたお子様ランチは。
旗を立てたチキンライス
ホイップの上に赤い缶詰のさくらんぼを乗せたプリン
仲良く並んだ尻尾つきエビフライがふたつ
くるりんとまとめられたスパゲッティ
半分に切られたプチトマトが1(3)個ころん
添えられたカップのポタージュスープをコクリと飲んで。
どれから食べようか、ワクワクしながら迷う。]
(この時、エビフライ食べなければ)
[アレルギー反応から激しい喘息が起こり。
その自分を病院に運ぶ途中で交通事故に遭うなど、幼い子どもに分かるはずもなく。
それまで全く問題なかった食物から、初めての発作が起こること。
それが両親に予測がつかなかったのも彼らのせいではなく。
それは誰のせいでもない。
運よく助かった自分に、祖父はそれを何度もいいきかせてきれて。
自分だけを遺した両親を恨まないこと。
その事故の加害者にも遺族がいて、自分よりも辛い立場なのだということ。
色々教えてくれた。]
まあ、それは不思議な体験ですね……。
[博士の話>>542を相槌を打ちながら聞いた。
汚れたスカートの裾はさりげなく後ろに隠して。]
この星は、違う未来に繋がる場所だと言われています。
それは言い換えれば、別の次元に繋がるということなのかもしれませんね。
[特に疑う様子もなく、自然に受け答えをする。]
私には急にここに現れたように見えましたから、もしかしたら夢じゃないのかもしれません。
それにしても……おふたりが女の子だったかもしれないなんて、少し見てみたかったかも!
[悪戯っぽくころころと笑った。]
あら、ごきげんよう。
[スッチーに挨拶をする。ナッツがいれば彼女にも。]
スッチーはなんだかすっきりしたように見えるわ。
[特に疑問に思ったという訳でもなく、素直な感想を漏らした。]
―>>517一年と少し前、ロワン・ディシーが滅んだ夜―
「レリア、シリル、落ち着いて、良く聞くんだ。
ラピス側が大規模な急襲を仕掛けてくるという情報が入った。
緊急の大型脱出艇が出る。第1便には無理だったが、
第2便用のリストに、何とか君たちを乗せられないか、やってみる。
大急ぎで、宙港へ向かうように。
シリル、二人分の荷物の準備をすぐに!」
[あの夜>>517――生まれ故郷ロワン・ディシーがカナン紛争>>321
の飛び火を受けて、ラピス側の急襲で滅んだ夜>>327。お昼すぎに、エディおじさんから緊急のホログラム通信が架かってきた]
お母さん、俺……ジッちゃんと暮らせたのも楽しかったよ。
ジッちゃん、お父さんがお母さんをお嫁さんにくださいってきた時に。
『くれるやるとかうちの娘はモノじゃねえ!!』
って、いってお父さんとカードで勝負して負かしたとか。
お父さんは89回負けてもめげずに通ってたとか。
……そんな話してくれたし。
[まさか、祖父もサクッと癌で他界するとは思わなかったが。
『病気の寿命でおっ死ぬのもやり直すしねえのことじゃねえしな』
といい残して逝って、そろそろ数ヶ月経つだろうか。
祖父以外の身寄りはなく、天涯孤独になったのだが。
祖父の友人である老夫婦と暮らして。
祖父の法要が一段落ついて、学校も長期休暇に入ったため。
バイトも休みをもらって「スターライナー」の旅に出た。]
「え…? は、はいっ。
わかりました、準備してきます。」
[ロワン・ディシーはノロンドの植民地惑星とはいえ、
辺鄙な場所にあるため、それほどの戦火は及んでいなかった。
いきなりのことに困惑しつつも、おじさんの言うとおり、
別室で荷物の準備を始めた。
その後もレリアはおじさんと何か話をしていたけれど、
すぐに準備を手伝ってくれ、二人で急いで宙港へ向かった。]
―記憶の中・宙港―
「――・――、――・――……レリア・グリーン。
以上はこちらへ。
後の方は、第3便になります。」
[宙港は、噂を聞いたのか、危機を察したのか、できれば脱出艇に乗るか、それが無理なら、せめて首都を逃げ出そうとする人々で溢れかえっていた…。
脱出艇のリストに名前がある者は並ぶようにと言われた長い長い列に何時間も並び、最後に名を呼ばれたのは――レリアの名までだった。]
[レリアは、妹まで…あと一人お願いしますと、必死に食い下がって交渉を始めた。係の人も気の毒がってくれ、あちこちに連絡して交渉はしてくれたけれど…どうしても無理だとなった時]
……わたし、次のに乗るわ。
先に避難して、待ってて。
[姉を安心させようと、がんばって微笑むと、
レリアは一瞬だけ、どこかが痛んだように、眉を寄せて、
ぎゅと瞳を閉じてから]
…いきなさい、レリア。
あたしは…大丈夫よ。
[そう言って、いつもの笑顔で、自分のパスポートを差し出した*]
ジッちゃん、よく
『「スターライナー」乗りてえ!!』
って、いってたし……俺、この旅楽しい。
もう少ししたら、終わるけど……乗れてよかった。
[囲んでいたテーブルも、両親も。
そこにあった、ものは全て消え去り。
――――元の荒野に戻っていた。]
[>>544スッチーといればナッツにも挨拶を]
スッチーはどうかしたのかの。
ずいぶん満足そうな顔をしとるが何かあったのじゃろうか?
[>>545トメルヴィがいうので]
まあ、福引が当たらなかった未来、とかワシと桂川君が出会わなかった未来。スターライナーでこうして君達に出会わなかった未来。
ワシがキャプテンと出会わなかった未来。
挙げればきりがないが、それはそれだけ違う可能性がありえた分、新たな次元が生まれてくるのじゃろうな。
もしかしてこの列車に乗ったのはあの子達だったかもしれんし、
言葉にすればなんだか難しい事じゃが、とにかく我々がこうして出会えたのもひとつの奇跡なんじゃろうな。
[夢じゃないといわれたので、]
これが本当に現実の出来事ならあの子達無事にここから出られたんじゃろうか?
[教授の仮説が正しければこの星に長居をすると永遠に囚われてしまうだろうか、我々を返してもしかすると力尽きてしまうなんて事はないよなあ、と二人の事が頭をよぎる。]
[どれくらいの時間が経ったのか。
耳に痛いほどの静寂の狭間、自分を呼ぶ声が聞こえた気がした。
はっと顔を上げるが姿は見つけられない。
まだ声に高さを残した少年と、女性のものだったような]
……。
……ここにずっといても仕方ないか。
[幻聴だったのかもしれない。
そう思っても、不思議と立ち上がる力が湧いてきた]
[博士の言葉>>554には、]
そう考えると、私たちが生きているこの時間は奇跡みたいなものなのかもしれませんね。
[胸に手を当て、そっと目を閉じた。
博士らが心配する様子を見ると、]
きっと、大丈夫ですよ。
だって約束したのでしょう?
[そう言って、ポシェットから蒼い石を取り出した。
おそらくこの二人がメインとして動いていたように思うから、寝ていて言えなかったお礼を改めて告げる。]
私まで頂いてしまって……ありがとうございます。
[回想ー巨大な星ー
意気揚々と家の中に入って行くイザベラ様。
家の中に入ると大変ちょろい事にすぐさまお目当ての宝石が見つかったのでした。
ぼくは軽い肩透かしを食らった気分でなんもいえねぇ状態でしたがイザベラ様はどうやら違うようです。]
やっぱり宝石もふさわしい所有者の元で輝きたいのねぇ。
わざわざこんな分かりやすいところで…
あたしを待ってたんだわぁ。
[「助手さん達がいなきゃ見つけられてないでしょうに」]
― 駅 ―
>>3:538
……お母さん? ちょっ、もう……って、ええええっ!!
[リコリスの消えた辺りでウロウロしていたキリトの、振り向いての呼びかけに驚いて。
さらに、姿を消したのにも驚いた。]
もぅ〜、ヤダ〜。何でダーリンまで消えちゃうの?
[それはすでに車掌から説明済なのは承知のことで。
過去と未来のあれやそれやこれなのよね、くらいは理解している。]
……で、あたしの方にも来たわけ? 過去とやらが。
[キリトの消えたところから。
ひとりの青年の姿がぼんやりと現れた。
彼は、キリトに少し似ていただろうか。
赤味がかった髪の満身創痍の青年だった。]
[そんなイザベラ様の妄言を打ち砕いたGJな、いえ、KYな番人?の試練とやらにイザベラ様は呟きました。]
実力行使かしらねぇ…
[「発想に美しさの欠片もないですね・・・」
周りは戸惑いつつも平和的な考えをしているのに・・・
数少ない女性なのに。
イザベラ様に落ち着くよう言っていると助手さんが決死のクスグリ攻撃に出ました。
あんたも落ち着け]
[ふわっとほほ笑みながら、彼に近づいた。]
久しぶりね……って、あれから48年よね。
で、先にいっとくけど、あたし……
死にかけた相手の寿命吸い尽くすほど飢えてないから。
『最期に俺の命全部持ってけ』とか。
そんな、自己満の願い叶えるほどお人好しじゃないし。
だから、最期に生気吸わなかったのは後悔してないわ。
[マシンガントークで青年に詰め寄る。
少しぷりぷりしていたかもしれない。]
まぁ。
いいか。
はぁ。
[ベンチに凭れ掛け星空を見上げる。
ハンスが知る由もないが、
メルヴィ達が居る駅と場所は同じだった。]
[結局、思考回路的な意味で戦力外なイザベラ様を置いて周りはあれよあれよと言う間に見事泣かせてしまいました。
見つけた時のようなちょろさでした。]
え?
なんで泣いたの?
[「ぼくに聞かないで下さい・・・」
ぼくにもよくわからないですので・・・]
え、
[息を呑みこみ足を踏み出そうとした瞬間、音もなく扉が現れた。
木製の古びた何の変哲もないそれ。
次の世界でもまたひとりだろうか。
それならばもう移動などせずに目覚めを待――いや、でも]
(早く思い出さないと。
帰れなくなってしまう、この世界から)
[訳も分からずそう感じた。
何を思い出せというのだろう、自分は何を忘れているというのか。
焦燥感が拭えない。じっとはしていられない。
導かれるようにドアノブに指をかけ、ドアを開けた]
[青年は生前同様、彼女の剣幕に弱った顔をして。
言葉少なく見つめてくる。]
そっちにはそっちの言い分があるのは分かるわ。
でも、あたしにだってどう一緒にいたいか。
それを願って叶える権利はあったと思うの。
悪いけど、あたしは"あの時"に"そうした"わ。
あたしいったわよね?
『一分一秒でも長くあなたといたい』って。
それは、未だに"後悔してない"。
[ほんの少し、声は湿り気を帯びてくる。
ほんの少しだけ、声に勢いがなくなる。]
―駅―
[ぶらりぶらりと一条は駅に戻って来た。]
や。
ただーいま。
皆もう回って来た?
結構凄かったよ…。
[超存在みたいなものにも知らず遭遇した為に。
軽く駅に居る人々に挨拶した後は、のんびりだらだらするつもり。*]
[博士の照れている様子>>566に笑みが浮かんで。]
それなら良かったです。
私も大切にしますね。
[顔の横に石を持ってきて、ふわり。微笑んだ。]
それでは私、人を待っておりますので。
[そう言って優雅にお辞儀をする。
周りにいる人々に挨拶をして、その場を離れたのだったか。]
スターライナー……?
[駅だった。
そして目の前にはスターライナーと書かれた列車が止まっていた。
コツ、コツ、と自分の足音だけが響く。
今更ホームを見渡すこともせずに列車に乗り込んだ。
大きな窓、通路、客室、食堂車、サロン。
柔らかな照明の下にひとりぶんの影だけが伸びる]
……俺、ここを知っている気がする。
いや、ここだけじゃない。
さっきまでのすべての場所を、……忘れている?
[サロンの窓際の椅子に腰を下ろす。
硝子の向こうには暗闇しか見えず、自分の顔が映りこむ]
[青年は労わるような眼差しで。
そこも少しキリトは似ているかも知れない。]
そうね、ひとつだけ"後悔"しているのは……
『あなたを愛してる』っていえなかったこと。
……きちんと伝えておけばよかった。
[真近に迫る青年の顔だけでなく、視界の全てがゆがむ。
目尻から頬を熱い涙が流れるのを感じる。
青年は、涙を唇でそっと拭って……それから口づけを。
――――そして、そのまま消えた。]
[静かに影が1つ伸びてゆく。駅についたためか、列車内は閑散としている]
また、1つ、つながった。
[その影はだんだんと濃くなっていった]
・・・
メルヴィ。
[続きは出来ない。
その気持ちがこの場に留まらせているのだろうか。
昔々の、この過去の景色は遠い思い出だった。]
[「ちょおい!?イザベラ様、ハンス様が」
突然のハンス様ご乱心に面食らってしまいました]
あらあらぁ、男の子ねぇ。
[「いやいやいや!止めないと」
ぼくはすっかり忘れてあました。この女は真っ先に実力行使を提唱した女だと言う事を]
なんで?
そりゃまぁやっている事は褒められた事ではないけれどあぁいうのもいいんじゃないの?
[「何言ってんだこいつ・・・き゛ゃっ。
な、何をおっしゃられているのでしょう、この方は・・・」
楽しそうに微笑むだけで不干渉を貫くとは・・・]
[その叫びは誰かの耳に入っただろうか?
そこで誰かに出会えたならば。
何か話をして一緒に列車に戻っただろう。
もし、そうでないならば。
何食わぬ顔をして自力で列車に戻っただろう。**]
― 駅ホーム ―
[集まる人々から少し離れて小さく息をつく。]
信じているのに……。
[風が吹くと、ポシェットから取り出した鈴が揺れた。
ちりん、ちりん。]
どうして、こんなに胸が騒ぐの……?
[不安は風に運ばれて、空高く舞い上がっていく。]
[窓硝子に映る紅い瞳。
鮮やかな明るい赤ではなく、どこか暗く翳りのある色は、
幼い頃から血の色のようだと言われてきた。
一家の中で自分にだけ表れた紅。
母は宝石のガーネットのようだと好んでくれたのを覚えている]
そう、いえば、
[脳裏を過ぎる。自分を前にして、紅を綺麗と言ってくれた声。
そう、確か、その人は金の瞳をしていて――この列車の]
っ、
[突如走った頭の痛みに眉根を寄せる。
思い出せそうだったのに。
何か紛らわせるものはないかとポケットに手を伸ばせば]
[まぁイザベラ様が何もしないならぼくが出来る事なんてしれています。
イザベラ様と違って優しい他の方がなんとかするでしょう。多分。
なのでさておきまして、なんとあの竜の流した涙が宝石になったではありませんか!・・・
ハンス様ご乱心のインパクトが強すぎて驚きが薄いです。
イザベラ様もどっちを見ているのかよく分かりませんし・・・]
生きていたかった、な……。
[駅近くの岩の上に、ちょこんと腰かけ。
お行儀がよくないとは思いつつ、膝を支えに頬杖をついて、
赤みを帯びた荒涼とした大地の地平線を見つめていると、
ぽつり、自然とそんな呟きが唇からもれた]
I am Now Here.
(あたしは、今、此処にいる)
I am Nowhere.
(あたしは、もう、何処にもいない)
[数度瞬きすると目を閉じて歌い始める。]
When you wish upon a star
(星に願いをかけるなら)
Makes no difference who you are
(君がどんな人かなんて関係ない)
Anything your heart desires
(心から願うことは)
Will come to you
(叶うんだよ)
ひたすら何も無いんだね。
どうやってこんな星があんな夢を見せられるのかな…。
何処を走っても、何処を除いても。
未来への切符を失った僕にはもう夢ですら戻ることは無いと…言いたげなんだろうね。この星はさ。
[それまで動いていた自転車を、きゅっとブレーキをかけて止める。]
宇宙と一緒かもしれないね。当ても無い広い、宙空という荒野を彷徨う。何時か旅が終わる未来は、最大を考えれば少なくとも5桁の年数は下らない…。
僕はもう帰れない。
僕はもう帰れない。
[自転車を降りた。
荒野は、何時まで経っても荒野のまま。パターンを組み合わせたかのような、シンプルさを帯びている。]
[薄いリアクションで待機していると、博士さんが何やら美談に纏めようとしています。
これは、空気は読む物ではなく吸うものであり、世界は自分を中心に廻っていると信じているイザベラ様から待ったがかかるとおもったのですが・・・
意外や意外、スルーです。
「いいんですか?」]
別にいいわよ。
あの宝石、持って帰ったとしても輝いはくれないわ。むしろ、美しさが損なわれるわ。
[「イザベラ様の・・・ですか?」
当たり前じゃないという予想通りの反応でした。]
彼の言うとおり、お土産だけ貰って帰りましょう。
[ご乱心のハンス様。
いつになく空気を読んだイザベラ様。
・・・
・・・
・・・
やっぱりこの星は恐ろしいのかもしれません。
そんなことを思いながら列車へと戻ったのでした。**]
あ……。
[辺りをぼう、と見つめていると、スターライナーの窓辺に座る少女>>2:204の姿が目に入る。]
これまで気づけなくて、ごめんなさいね。
[きっと聞こえないだろうに、つい言葉が漏れて。
視線が合った気がして、柔らかな笑みが零れた。]
If your heart is in your dream
(夢をみる時には)
No request is too extreme
(必ず何かを願うんだ)
When you wish upon a star
(星に願いをかける時には)
As dreamers do
(皆そうするのだから)
……?
[さわり、さわり。風が舞う。
その中で、何か音が聞こえた気がした。]
歌……?
[辺りを見渡しても、誰かが歌っている姿は見えない。
それでも確かに、確かに何か聞こえたはずだと、目を閉じて耳を澄ませた。]
返せよ…返せよ!
おいこの×××星め!
[地団駄を踏みながら、汚い言葉を投げかける。
しかし荒野の地面は、まるで埃一つ立っていない。]
夢を見せて取り込むなら取り込んでくれよ!
絶望しかない未来でも見せ続けてくれよ!
僕を帰せよ、あの日に返せよ!
[現実は我慢できなかった。事実を専務から伝えられたあの日のように、癇癪もちのように暴れた。
あの日は、専務の部屋は物が無く壊れるものが無かった。
今は、荒野は何の顔を見せていなかった。]
僕の――返してくれ。
嘘でもいい、返してくれ…。
[少し前にリアさんに言った言葉は、今は遥か遠く。
荒野は何も言わない。答えも、何も返ってこない。]
Fate is ・・・ kind
(運命の女神はきっと優しい)
She brings to those who love
(密かな願いが叶うように)
The sweet fulfillment of
(願っている人たちに)
Their secret longing ・・・
(優しく力を貸してくれる)
[駄々を捏ねるように暴れた後は、ついてない体の埃をはたくと再び自転車に跨る。その表情には無心と諦観と疲労。]
専務。
貴方の言うとおり、時間が解決してくれますよね。
[暫く―もしかすると数年は影が落ちるかもしれない。だがそれでもよい。恩人の専務は、僕の場合は悲しみは時間が解決できると言った。コーラの時も、そうだった。]
なら、それに従います。
畏まりました。
[自転車を漕いで駅に戻る。]
キューちゃん・・・
[そっと自分の名を名乗る]
選んだ未来、選ばなかった未来、どっちも本物。
交わるはずの無い世界、この星、交わる。
[周りに風を纏い始める]
大切な物を手に入れられたら、一緒に、行こうよ。
[それまで暗かったサロンの入口に光が差す。その時にはもうキューちゃんの姿は無かった]
[ポケットには、硝子の瓶もあった。
星屑と淡い青の小さな花。
優しい光を帯びている――忘れないで、と語りかけるように]
誰かが、くれたんだ。
この列車の中でたくさんの人と、笑いあったはずなんだ。
[あと、もう少し]
(ひとりだけど、ひとりぼっちではなかったんだ)
[その瞬間、霧は晴れた]
Like a bolt out of the blue
(運命はある日突然やってきて)
Fate steps in and sees you through
(最後までずっと見守ってくれるんだ)
When you wish upon a star
(星に願えば)
Your dream comes true ・・・?
(夢は実現するんだよ?)
[胸が痛い。]
When a star is born
(星は生まれる時に)
They receive a gift or two
(いくつか力を授かるんだ)
One of them is this
(その一つが)
[どこからか歌声が聞こえた。
幻聴かもしれないけれど、それは自分には優しく響いた。
母の声とは違う切なさを含んで]
そうだ、空も飛んだ。バイクで。
トランプゲームで大負けもした。
……なんで、今まで忘れていたんだろう。
温泉街も、カフェも、動物園も。
[あんなにも大切な記憶だったのに。
誰かが消そうとした? この星が?
いや、違う。自分がひとりだと思い込んで、忘れようとした]
They have the power
to make a dream come true ・・・
(夢を叶える力なんだ)
キューちゃん、……ありがとう。
[黄金の獣の姿はもうない。
導くように入口に光を残し、消えてしまった]
戻ろう。
[唇を引き結ぶ。
意を決して、溢れる光の中に飛び込んだ]
[駅が見えてきたら、一人のままなら後は入るだけ。
自室に自転車をおいたあと、外に出る。
もう一度駅から外を眺める。
道中の出来事はどうであれ、出発の合図には車内に戻るだろう。]**
星……夢……。
[瞼を下ろした暗闇の中で、声を必死に追う。]
どうして、こんなに必死になっているのかしら。
[空耳かもしれない。
この星なら、幻聴だってあり得るのに。
それでも手を伸ばさなければいけない気がして、より一層歌に集中した。]
[空を見上げると、光が渦巻いていた]
この光のどこかに、キューちゃんもいるんだね。
[そっと目を閉じ、語りかける]
私の”元”のみんなのためにも、知ることができて良かったよ。
キューちゃん、ありがとう。
あ……。
[ハンス>>611がいた。
あの歌は、彼が歌っていたのだろうか。
けれど今は、]
おかえり、なさい。
[伝えたかった言葉を、微笑んで告げた。]
しょうがないなあ。じゃあ・・・・・
[後ろを振りかえると、そこには見慣れた姿があった]
なんだ。いたんじゃないか。なんとなく、そんな気はしてたよ。
[空から光の帯が降りてきて、キューちゃんの黄金の風を形造ってゆく]
ただいま、スッチー。
[その光はゆっくりとスッチーを包み込んだ]
>>613
[ぶわぁっと顔が真っ赤になった。]
あ・・・う、あぁ。
ただいま。
[引き攣った無惨な笑顔を浮かべた。
片手で顔を覆ったがメルヴィを見上げる。]
〜〜〜・・・
おかえり。
[対になる言葉を伝えた。]
どうやって、だなんて野暮な事は聞かないよ。
私には、キューちゃんが隣に居てくれるだけで、もう充分なんだ。
[もう離さない、としっかりとキューちゃんを抱きよせた]
『様々な未来が交わるこの星、もしかしたら【キューちゃんが列車を降りなかった未来】なんてものもあったかも知れない。そして光の帯は、列車を降りる道を選んだキューちゃんの思いもしっかりと届けた』
[ハンスの声>>617を聞いた瞬間、枯れたと思った涙が瞳に集まってきて。
堪えてくしゃくしゃになってしまったであろう表情を見られないように、顔を手で覆う。
手に持った鈴が、ちりん、と鳴った。]
ただいまっ……!
[服が汚れているとか、メイクが落ちているとか、そんなことを考える余裕はなくて。
胸に飛び込むように、駆け出した。]
[胸いっぱいに息を吸い込むと、葉巻の匂いがする。
大好きな、安心する匂い。]
私、間違ってなかった。
選ぶことに、間違いなんてなかった。
[話したいことはたくさんあったのに、言葉にできたのはそれだけで。
胸元に額をぐりぐりと押し付ける。]
[胸に飛び込まれメルヴィの両肩を支える。
そのうち片手であやすように背中を撫で始めた。
そして、深刻な口振りで切り出す。]
メルヴィ。
よく聞くんだ。
・・・。
今の・・・歌は・・・忘れろ。
[かぁっとまた赤くなる。]
え?
[ハンスの言葉>>622に首を傾げる。
歌……やはりあれは、彼が歌っていたのか。]
ふふ。いーやっ!
[大切な宝物のように、心にそっと仕舞って。
ころころと楽しそうに笑った。]
[ハンスの真っ赤な顔>>626には触れないように、優しく背中を撫でる。
自分の背に触れた手>>624が暖かくて、不意に涙が零れそうになるのをそっと堪えた。]
これで、自信を持って背中押せる。
苦しいときは、私が守りますから。
[胸元から顔を上げて、まっすぐ言い切る。
瞳だけでなく、言葉にも光が宿ったようだった。]
――――……。
[また母の子守唄が聞こえる。
今度はゆっくりと瞼を上げ、その光景を見届けることを選んだ。
ベッドの上の幼い自分。そして母。
彼女は最後の一節を口にしない。
あの日より前の光景の中で、母は優しく、優しく微笑んだ]
「あ、黒猫がいるよ」
「本当ね」
[ああ、やけに視線が低いと思ったら、黒猫の姿を借りているのか。
そう、ある日見知らぬ黒猫が窓辺に居た。
もしかしたら。
もしかしたら、あれは、この時の自分だったのかもしれない]
「あんな猫に変われるようになれるといいわね。
黒猫、可愛らしくていいじゃない」
「えー、もう少し強そうなのがいいなぁ」
[くすりと思わず笑う。
自分たちの種族は普段は人型でも、なにかひとつだけ、動物に変身できる能力を持っていた。
10才頃に能力は発現するが、動物の種類は人それぞれ。
潜在意識が作用するとも遺伝が関係するとも言われていたが、
自分は今、黒猫に変身している。
こんな会話をしていたことをすっかり忘れていた]
>>627
[横を向いているが背中を撫でられて満更でもない顔。
メルヴィが話し始めれば少し下の顔を見た。]
っ
[虚をつかれたように僅かに息が零れた。
メルヴィの目にも言葉にも強さが宿っている。]
……。
[口元に笑みを乗せたまま、紅い瞳を閉じる。
もう忘れたりはしないと誓った]
……。
……ただいま?
[自分が消えた場所、荒野の真ん中。花はもう見えない。
乾いた土の匂いがする。
そして何より遠くに見える駅の薄明かりが現実だと教えてくれた。
大きく息を吸い込んで、吐く。
ゆっくりと駅に向かって足を踏み出した**]
[目が合うと、瞳が揺れた>>630ような気がした。]
私はもう、選ぶことを迷ったりしません。
[誓いの言葉のように力強く、それでいて繊細に言葉を紡いだ。
大切な人を守りたい、そんな思いを込めて瞳を見つめる。]
・・・
[ハンス自身は察知出来ないが、
目が揺れたのは動揺したからだろう。
返事内容を一瞬逡巡した後に口を開く。]
そうか。
[メルヴィを見返す。
宿っているのは確かな強い光。]
[一度口を開いて、また閉じる。
先程までの強い光は弱まって、下を向いて言葉が落ちていないか探しているようだった。
口の開閉を何度か繰り返した後、ようやく声を発する。]
ハンスさんは……?
[何がとも、何をとも言わなかった。
答えの形は本人にしか分からないから、全て委ねようとして。
不安の色を滲ませて、顔を見上げる。]
悪い未来と良い未来を。
・・・・・・。
その、・・・俺は・・・
[こんな目をした相手に何を言えばいい。
無理とも出来ないとも言えはしない。
未来に行き着く先が同じなら、せめて。]
・・・。
[いや、今すぐそんな選択を取りたくない。]
そう、ですか。
[ハンスがゆっくりと言葉を紡ぐ間、じぃっと待っていた。]
私、背中を押すとは言いましたけど、急かすつもりはないんです。
ゆっくり、ゆっくりいきましょうね。
[本当は詳しく聞きたい気持ちもあった。
けれど、今はその時ではない気がして。
言葉の通り、ゆっくりと背中を撫でた。]
……傍に、いますから。
[恥ずかしそうに囁いた言葉は、届いただろうか。]
俺はメルダースなんだと実感出来た。
悪い話じゃない。
[微かな皮肉を混ぜて微笑もうとした。]
これで前向きに生きていける。
・・・きっと。
[苦痛を呑み込み微笑もうとした。
しかし、それも背中を撫でられるまでだった。]
・・・。
[泣き出しそうな顔になるが涙は出なかった。]
……。
[黙って、ただ背を撫で続けた。
今かける言葉は、何もないように思えて。]
ハンスさん。
[言葉よりも、思いが伝わればいいと。
静かに、名前を呼んだ。]
私こそ、一緒にいてくださってありがとうございます。
[ハンスの言葉>>640にふわり。自然と笑みが浮かぶ。]
私はそれだけで、すごく幸せなんです。
[これまで使わなかった、使えなかった言葉が当たり前のように出てきた。
そのことに驚いて目を見開くと、嬉しそうに目を細める。]
・・・。
[暖かなものがあった。
決して苦くはない込み上げるものがあった。]
メルヴィ。
[幸せと返事し返す代わりに、
万感をこめてメルヴィを抱きしめようとする。
抱きしめれば、逆に切なさは募り、
腕の中の確かな暖かさに想いを寄せる。]
[ぎゅう、と抱き締められれば、幸せいっぱいの笑みを浮かべて頬を寄せる。]
大好きです、ハンスさん。
[寂しかったら泣くだろう。
悲しいときも泣いてしまう。
幸せすぎるときはどうしたらいいのだろう。
嬉しさと切なさといろいろなものが入り混じった感情に、胸が締め付けられるようだった。]
傍にいます。
ずっと、ずっと。
私が、守るから。
[先程とは違う胸の痛みが襲ってきて、ぎゅう、と抱き締める力を強めた。
嘘はつきたくなくて、けれど何もできないのは嫌で。
このまま時間が止まればいいのにと、一瞬、そう願ってしまった。]
欲しいもの……。
[耳元で囁かれた声と、肩に落ちた雫に目を瞬かせて。
涙を拭うように、そっとハンスの頬に手を伸ばした。]
私が……私が泣いてしまったときに、そっと手を握ってください。
ひとりじゃないのだと、教えてください。
それが私の、願いです。
[囁いて、頭を合わせるようにゆっくり傾けた。]
― 駅ホーム ―
[発車のアナウンスが聞こえる。]
あ……ハンスさん、行きましょう?
[名残惜しそうに体を離して、そっと手を差し出した。]
・・・。
好きだよ、メルヴィ。
[近くにあった顔が体と共に遠ざかる。
差し出されたメルヴィの手を恭しく取ると、
手の甲にキスを85秒の間落とした。
メルヴィから促されれば、手を握り共に歩き出すだろう。**]
――っ!
……そういうの、ずるい。
[真っ赤になった顔を隠すように手を添える。
鈴が同意するように、ちりん、と鳴った。]
私の方が、きっともっと好きです。
[小さく小さく呟くと、共にスターライナーへ乗り込んだのだったか。**]
― 過去の選択 ―
[其れは一つの分岐点。
ラーマが選んだその時の軌跡。
神々に望まれた神造の器は、与えられた妻を愛した。]
喩えば、あの時に攻撃をしなければ。
喩えば、あの時シータを疑わなければ。
ぼくはきみを幸せに出来ただろうか。
[神々を働かせて造りし羅刹の都市。
この世に顕現せし楽園であり夜はなく常に平和があり富と美があった。
その島へ橋掛けるだけで十幾年。長き長き戦いの果ての結末。
使命と共に在り続けた運命を呪ってはいなくとも、英霊になって以後の殺戮には呪詛を放ち尽くした。
いわんや、何をば求め鏖殺を行おうと言うのか。
生きとし生きし者の未来宿る光ある命を狩り星の命を永らえさせ続ける装置の一つは其れが彼[か]の運命であろうと過酷に過ぎる。
喩え座から喚びだされたという我が身の分身体の行いであろうとしても記憶・体験は経験値として蓄積され続ける。
ラーマだけの事ならば未だ其れを純然なる使命として完遂すべき事と受け入れられただろう。]
― その未来は ―
ぼくは、未来に滅んだ地球から来たんだ。
英霊の座すら消えた末の未来から。
ここにいるのは、
誰かの悪戯。
それでもいい。
最期に、こんな終わりを迎えられたのだから。
[ラーマが蜂蜜色の泡の如き煌めく光に包まれる。
ラーマの体が暖かく優しい色をした柔らかい光の花々となる。
緩やかな上昇気流に舞い上がるように、天へ天へと光は消えてゆく。
傍らには、心優しき清らかなる乙女*シータ*の姿があった。]
― 列車 ―
[車掌と「スターライナー」を発見し、ホッと一息。]
……ププモアさん、ただいま!!
びっくりしたよ、まさか2回も不思議体験するとか。
そういえば、サッキュん……前の星から乗って来たの?
[と、気になることを。]
[そこでようやく、聞かされて。]
びっくりしたぜ……でも、ちょっとお母さん思い出した。
サッキュんの笑い方、ちょっと似てたかも。
あと、よく背後から目隠しとか……
イイトシした大人のはずなのによくしてたなあ。
[まさか、くしゃみ、寒気はそこから?
そんな理由はないとは思いつつも。
あの症状が出なくなったのはいいことで。
細かいことだし、気にしなくていいや、で落ち着いた。
車掌に手を降り、壺とお土産を抱えて自室に戻った。*]
[神々すらも滅する程の永き未来の涯。
宇宙では全ての存在は等価でもあろう。
其処で大切なのは汝(な)が「何か」ではない。
神々も人もなく唯「生きとし生きるもの」の*願い(祈り)*に依って宇宙は綴られ続けるのだ。
其れが、此(こ)が宇宙における理の一つ。]
― 駅 ―
>>3:469
あら、一条さん? どこかにお出かけだったの?
[見知った姿に安堵して。
何食わぬ顔で、声をかける。]
で、キリト知らない?
あの子、あたしのこと「お母さん」とか呼んだのよ!
もう……信じらんない!!
[と、軽く愚痴っておく。
100年の恋(そもそもそれでもなかったのだが)は瞬時に覚め。
ぷんすこ! と怒ってはいたものの。
それも本気ではなく、すぐに忘れるだろう。]
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